説明

電子機器のシャーシ構造

【課題】インターロックスイッチの回路/部品や自動ロック機構の回路/構造により装置
の安全性を高める方法は、基板の実装面積または構造上の実装空間の増大や、それに伴な
うコストアップが課題である。また、シャーシカバーを工具により固定することにより保
守員にしかシャーシカバーを開けられないようにする方法では、保守作業性が悪いという
問題がある。本発明は、保守作業性を損なわずに低コストで装置の安全性を高める手段を
提供する。
【解決手段】シャーシカバの一部をシャーシカバー開放時に電源入力ケーブルと干渉する
位置に設置することで通電中にシャーシカバーを開けることができなくなり、保守作業性
を損なわずに、安価な方法で電子機器の安全性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のシャーシ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の設計時には、ユーザの安全性を高めるために通電状態で装置内部のエネルギ
ー危険部位を露出させない設計を行なうことが望ましい。そのため、電子機器のシャーシ
カバーやドアの開閉に対しては、機械式のインターロックスイッチ等の検出手段を設けシ
ャーシカバーやドアが開いたときに電源を自動的に遮断する、または通電時にシャーシが
開かないように電子ロック機構を設ける等の方法が使用されている。また、シャーシカバ
ーを工具により固定することにより保守員にしかシャーシカバーを開けられないようにす
る方法も用いられている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−202698号公報
【特許文献2】特開2000−325292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、インターロックスイッチの回路/部品や自動ロック機構の回
路/構造による、基板の実装面積または構造上の実装空間の増大や、それに伴なうコスト
アップである。また、インターロックスイッチやロック機構の場合、回路部品、ロック機
構の信頼性を保証する必要がある。
【0005】
一方、工具によるネジ止めにより保守員にしかシャーシカバーを開けれないようにする
方法の場合、保守作業性が悪い等の課題がある。本発明は、装置の保守作業性を損なわず
に、低コストで装置の安全性を高める手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シャーシカバの一部をシャーシカバー開放時に電源入力ケーブルと干渉する
位置に設置することで通電中にシャーシカバーを開けることができなくなり、安価な方法
で電子機器の安全性を高めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシャーシ構造は、インターロックスイッチやその周辺回路、ロック機構等を用
いずに装置の安全性を高めることが可能であり、実装面積や実装空間の縮小化や低コスト
という利点がある。また、シャーシカバーの固定方法についてツールレスの固定方法が使
用できるため、装置の保守作業性を損なわない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
着脱式の電源入力ケーブルを使用する電源ユニットを持つ電子機器において、通電状態
で装置内部のエネルギー危険部位を露出させず安全性を高めるという目的を、インターロ
ックスイッチ等の回路を用いずに低コストで実現した。特に、装置内部に触手可能なエネ
ルギー危険部位を有しかつ一般ユーザの装置内部へのアクセスを許容する仕様のコンピュ
ータ機器等に用いると最も効果的である。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の一実施例を示したものである。以下、図中のXYZ各軸は矢印の方向
をプラス方向とし、矢印と逆方向をマイナス方向とする。図1の装置は、着脱式の電源入
力ケーブル4を使用する電源ユニット3、およびシャーシカバー1を構成要素として持ち
、シャーシカバー1を取り外すことで装置内部にアクセス可能となっている。図1はシャ
ーシカバー1の取り外し方向がZ軸のプラス方向の場合の例を示しているが、取り外し方
向は、X軸に平行な方向以外の方向であればいずれの方向でも構わない。また、シャーシ
カバーの固定方法は図1はネジ止めの場合の例を示しているが、保守作業性を向上させる
ため、人手で外せるネジや、レバーによるロック機構等のツールレスの固定方法を使用す
ることが可能である。
【0010】
シャーシカバー1には、電源ユニット3の電源入力ケーブル差込口の位置に開口部2を
設ける。これにより、電源入力ケーブル4を挿した状態ではシャーシカバー1を開けるこ
とができなくなるため、通電状態で装置内部にアクセスすることはできなくなり、エネル
ギー危険に対する安全性が向上する。
【実施例2】
【0011】
実施例1は装置の安全性を高める最も安価な方法と考えられるが、万一シャーシカバー
を開けた状態で誤って電源ユニット3に電源入力ケーブルを差し込んでしまうと電源をオ
ンしてしまうという危険性がある。その危険性を回避してさらに安全性を高めたい場合の
実施例を図2(a)および図2(b)に示す。図2(a)はシャーシカバー取付前または
取外し後の図、図2(b)はシャーシカバー取付後の図を示している。電源ユニット3の
電源入力ケーブル差込口の位置にレバー5を持つカバー6を設けバネ等により電源ユニッ
ト3単体またはシャーシカバー取付前または取外し後にはカバー6が閉じた状態とする。
シャーシカバー1には電源ユニット3の電源入力ケーブル差込口の位置に開口部2と、レ
バー5に当たる位置にツメ7を設置する。これによりシャーシカバー1を装着したときに
シャーシカバー1のツメ7によってレバー5が押され、電源入力ケーブルの差込口が開き
、シャーシカバー1を取外したときには電源入力ケーブルの差込口はカバー6が閉まり、
電源入力ケーブルを差し込むことができなくなり、実施例1に対しさらに安全性を高める
ことができる。
【実施例3】
【0012】
図3は、電源ユニットが入力ケーブル方向に着脱可能であり、冗長電源のホットスワッ
プや保守作業性向上のためシャーシカバー装着状態での着脱が必要な場合の実施例を示し
たものである。図3は図1とほぼ同様の構造であるが、シャーシカバー1の一部分である
、電源入力ケーブル4との干渉部8がいずれかの方向に機械的に可動であることを特徴と
し、電源入力ケーブル4との干渉部8を動かすことによりシャーシカバー1を開けること
なく電源ユニット3の取り外しを可能とする。図3は干渉部8が回転式で上方向に動く場
合を示しているが、この場合はシャーシカバー1の取り外し方向をX軸のマイナス方向と
して設計することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1を示した説明図である。
【図2(a)】本発明の実施例2(シャーシカバー取付前)を示した説明図である。
【図2(b)】本発明の実施例2(シャーシカバー取付後)を示した説明図である。
【図3】本発明の実施例3を示した説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1…シャーシカバー、2…シャーシカバー開口部、3…電源ユニット、4…電源入力ケ
ーブル、5…レバー、6…差込口カバー、7…ツメ、8…シャーシカバーの電源入力ケー
ブルとの干渉部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱式の電源入力ケーブルを使用する電源を持つ電子機器において、機器内部を覆うシ
ャーシカバーの一部分が電源入力ケーブルの周囲を囲むまたは電源入力ケーブルと近接す
ることによりシャーシカバーの開動作時にシャーシカバーの一部分が電源入力ケーブルと
物理的に干渉し、電源入力ケーブル装着状態でシャーシカバーを開けることができないこ
とを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1において、電源の入力ケーブル差込口にレバー付きのあらかじめ閉じたカバー
を有し、シャーシカバー装着時のみシャーシカバーが差込口カバーのレバーを押すことに
より差込口カバーが開くことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、電源の入力ケーブルを囲むまたは電源の入力ケーブ
ルと近接するシャーシカバーの一部分を可動式とすることにより、シャーシカバーを開け
ない状態での電源ユニット着脱が可能である電子機器。

【図1】
image rotate

【図2(a)】
image rotate

【図2(b)】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−171736(P2008−171736A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5297(P2007−5297)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】