説明

電子機器ユニット

【課題】 液晶パネル等の電子表示手段をケース上に取り付ける構成であっても、ケースを大型化したり電子表示手段を小さくしなくてもケース内に雨水が浸入するを防止でき屋外に設置できる電子機器ユニットを提供する。
【解決手段】 電子機器ユニットのケース1をケース上1aとケース下1bとで構成し、ケース上1aの前面に液晶パネル10を組み付けるための凹部16を設け、ケース上1a裏面に雨水の浸入を防ぐための帯状の上側リブ25を周設し、凹部16の背面上を通過させて形成した。ケース下1bの対応する内面には上側リブ25の左右において対峙するように2本の帯状の下側リブ26a,26bを周設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等の電子表示手段を備えた電子機器ユニットに関し、特に防水機能を備えた電子機器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ケースをケース上とケース下の2部材で構成し、ケース前面側となるケース上に液晶パネルを取り付けた電子機器ユニットがある。例えば、特許文献1に示すインターホンでは、本体ケース(ケース上)と裏側の本体シャーシ(ケース下)とでボックス型のケースを構成し、ケース上の裏面に液晶パネルを組み付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−117445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のインターホンのようにケース上の裏面側から液晶パネルを取り付ける形態を、屋外で使用するような機器(例えば、インターホンの玄関子機)に適用する場合、雨水がケース内部に浸入しないように液晶パネル取付部は勿論のこと、ケース上とケース下の嵌合部にも、雨水の浸入を防止する構造を設けなければならない。
具体的に、ケース上とケース下の嵌合部に関しては、嵌合部から浸入した水が更にケース内へ浸入するのを防ぐために、壁となる帯状のリブをケース内部に周設しなければならない。そのため、リブを設けるための空間がケース上及びケース下の双方に必要となり、屋外で使用する構造にするには、室内仕様に比べて機器を大型にするか液晶パネルを小型にしなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、液晶パネル等の電子表示手段をケース上に取り付ける構成であっても、ケースを大型化したり電子表示手段を小さくしなくてもケース上とケース下の境界から雨水が浸入するのを防止でき、屋外に設置できる電子機器ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、ケース上とケース下とを嵌合して形成されるケース内に電子回路を収容し、ケース上に電子表示手段が取り付けられ、ケース上の裏面には雨水の浸入を防ぐために帯状に形成された上側リブが周設された電子機器ユニットであって、ケース上は、電子表示手段を収容するための凹部を表面に備えると共に、凹部内には電子表示手段と内部の電子回路とを接続する配線を挿通するための開口部が形成されてなり、上側リブは、開口部の外側であって凹部の背面上を通過し、嵌合したケース下の内面に接触或いは近接する高さを有することを特徴とする。
この構成によれば、電子表示手段をケース上前面側から組み付けることで、ケース上とケース下の境目から雨水の浸入を防ぐための帯状のリブを、電子表示手段の背部となるケース上裏面に設けることができる。そのため、電子表示手段とケース上の側部との間にリブを配置する空間を設ける必要が無くなり、電子表示手段を小型化することなく、或いはケースを大型化することなく屋外対応とすることができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、上側リブに対応するケース下の内面には、ケース内において上側リブの内側と外側の双方から対峙するように2重に配置された帯状の下側リブが形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、リブが3重に設けられるので、雨水の浸入を確実に防止することができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、ケース上の凹部に収容された電子表示手段の前面に、電子表示手段の周囲を覆い凹部を閉塞する為の硬質樹脂製の枠状フレーム体と、枠状フレーム体とケース上との境界を気密閉塞するための発泡樹脂製或いは軟質樹脂製のパッキンとを順に組み付けて、これら電子表示手段、枠状フレーム体、パッキンの上面を透明な合成樹脂製のカバー体で覆い、枠状パッキンの全体にカバー体を圧接させて、枠状フレーム体とケース上との境界を気密閉塞させることを特徴とする。
この構成によれば、電子表示手段をケースの表側から組み付けても、電子表示手段の周囲に発生するケースとの境界を確実に閉塞できるので、電子表示手段とケースとの境界を良好に且つ容易に防水構造にできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子表示手段をケース上前面側から組み付けることで、ケース上とケース下の境目から雨水の浸入を防ぐための帯状のリブを、電子表示手段の背部となるケース上裏面に設けることができる。そのため、電子表示手段とケース上の側部との間にリブを配置する空間を設ける必要が無くなり、電子表示手段を小型化することなく、或いはケースを大型化することなく屋外対応とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る電子機器ユニットの一例を示すケース上の斜視図である。
【図2】図1のケース上を背面から見た斜視図である。
【図3】ケースに化粧パネルを取り付けた電子機器ユニットの斜視図である。
【図4】図3の電子機器ユニットを背面側から見た斜視図である。
【図5】液晶パネル装着部の分解斜視図である。
【図6】ケース上の液晶パネル取付部の部拡大図である。
【図7】液晶パネルを取り付けたケース上の部分拡大図である。
【図8】図1の液晶表示部の横断面図である。
【図9】図8のA部拡大図である。
【図10】図8のB部拡大図である。
【図11】液晶パネル前面に取り付けるパッキン等を分離し、ケース下を省略した図8に対応する液晶表示部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1〜図4は、本発明に係る電子機器ユニットの一例を示す斜視図であり、図1は主要部材を組み付けたケース上の斜視図、図2はケース上を背面側から見た斜視図、図3は化粧パネルを取り付けて実際に施工する状態の電子機器ユニットの斜視図、図4は図3を後方から見た斜視図を示している。各図において、1はケース、2は化粧パネルであり、ここで示している電子機器ユニットは、玄関等の屋外に設置されて居住者を呼び出して通話するためインターホン機器を一例として示している。そのため、前面にはカメラ3、マイク部4、スピーカ部5、操作部6、液晶表示部7、呼出ボタン8等が設けられている。
【0012】
ケース1は、操作部6や液晶表示部7等を備えた前面側を構成するケース上1aと、ケース背部を構成するケース下1bとの2部材で構成され、双方を嵌合することで回路基板等を収容するための収容空間を内部に形成している。そして、液晶表示部7は、ケース上1aの略中央に配置され、この液晶表示部7に後述する液晶パネル10が組み付けられている。
【0013】
以下、液晶パネル10の取付構造を中心に説明する。図5は、液晶パネル10をケース1に組み付ける様子を示すインターホン機器の分解斜視図の一部を示し、図6は図5のケース上1aを拡大した図を示している。図5において、11はケース上1aとケース下1bとで形成されるケース1内に組み付けられる回路基板、12は液晶パネル10をケース上1aに固定するための固定フレーム、13は液晶パネル10周囲を密閉するためのパッキン、14は液晶パネル10を保護するパネルカバーである。
【0014】
図6に示すように、ケース上1aには表面側に液晶パネル10を取り付けるための矩形の凹部16が形成され、その底部16aには更に液晶パネル10と内部電子回路である回路基板11とを接続するための配線挿通口17が開口形成されている。そして、底部16aの左右端部には、液晶パネル10をケース上1aに固定するためのねじ孔18が2箇所ずつ設けられている。
【0015】
液晶パネル10は、四角形板状を成し、左右端部にねじによりケース上1aに固定するためのねじ挿通孔10aが設けられている。
固定フレーム12は、液晶パネル10の周囲に係合する合成樹脂製の四角形枠体であり、左右端部に夫々一対の爪片20が後方に突設されている。そして、凹部16に合致する形状で形成されている。尚、対応するケース上1a凹部16の4隅にはこの爪片20を挿入して係止する係止孔21が設けられている。
【0016】
パッキン13は、発泡樹脂、ゴム、或いは軟質樹脂で形成された枠片であり、固定フレーム12に重なる形状であって、固定フレーム12より僅かに大きい外形を有して形成されている。
【0017】
またパネルカバー14は、透明の合成樹脂で形成された板体であり、液晶パネル10を保護するための中央窓部14aと、パッキン13を圧接する周囲枠部14bと、周囲枠部14bから延設して上下の4箇所に設けたケース上1aにネジ止めするためのねじ挿通孔14cとで構成されている。尚、対応するケース上1aの凹部16周辺には、ねじ孔22が形成されている。
【0018】
これら各部材は、図5に示すように液晶パネル10、固定フレーム12、パッキン13、パネルカバー14の順にケース上1aの凹部16を中心に組み付けられる。具体的に、液晶パネル10は凹部16に収容され、4箇所ねじ止めされて組み付けられる。図7は、こうして液晶パネル10をネジ止めした状態を示している。
固定フレーム12は、左右夫々2箇所に設けられている爪片20をケース上1aの係止孔21に挿入して係止させる。この固定フレーム12は、液晶パネル10を覆い、液晶パネル10周囲と凹部16の隙間が埋められる。その上からパッキン13を配置し、パッキン13の上にパネルカバー14を配置してねじ止めする。
こうして液晶パネル10はケース上1aに組み付けられ、液晶パネル10の取り付けは完了となる。その後は、後述するようにケース下1bと嵌合して一体化することでケース1の組み立ては完了する。
【0019】
次に、ケース上1aとケース下1bの嵌合構造について説明する。図2に示すように、ケース上1aの裏面には、ケース1の側面を構成する枠部23に沿って帯状のリブ(以下、「上側リブ」とする)25が形成されている。この上側リブ25は、ケース下1bと嵌合したときにケース1内部に雨水の浸入を防止するよう、下方の一部を除き枠部23に沿うように周設されている。この上側リブ25は、ケース上1aとケース下1bとを嵌合した際に、ケース下1bの内底部に接触或いは近接して雨水の浸入を防ぐよう構成されている。
【0020】
一方、ケース下1bの内面には上側リブ25に対応する帯状のリブ(以下、「下側リブ」とする)26が形成されている。具体的に図8、図9に基づいて説明する。図8は、液晶パネル10を組み付けたケース上1aに、ケース下1bを嵌合した状態の断面説明図であり、液晶パネル10取付部の断面を示している。また、図9はこの断面図のA部を拡大した図を示している。
図9に示すように、上側リブ25は凹部16の背面上を通過するように設けられている。そして、ケース下1bには、上側リブ25をケース1の内側と外側の双方において対峙するように配置して2重に形成した下側リブ26(26a,26b)が設けられている。この下側リブ26も、上側リブ25と同様に下方の一部を除きケース下1b内面に周設されている。
尚、図2において、24はケース下1bをねじ止めするネジ止め部であり、嵌合されたケース上1aとケース下1bとは、ネジ止め部24でねじ止めされて嵌合状態が維持される。
【0021】
図10は図8のB部の拡大図を示し、液晶パネル10周囲の防水構造を示している。また、図11は、液晶パネル10の前面に取り付けるパッキン13等を分離し、ケース下1bを省略した図1の液晶表示部の横断面図を示している。
図10において、13aは圧縮前のパッキン13の断面を示している。この図10に示すように、固定フレーム12とパネルカバー14の間で圧縮されたパッキン13により、固定フレーム12とケース上1aの境界部が密閉され、液晶パネル10周囲の気密性が維持される。
【0022】
このように、液晶パネル10をケース上1aの前面側から組み付けることで、雨水の浸入を防ぐための帯状の上側リブ25を液晶パネル10の背部となるケース上1a裏面に設けることができる。そのため、液晶パネル10とケース上1aの側部である枠部23との間に帯状リブを配置する空間を設ける必要が無くなり、液晶パネル10を小型化することなく、或いはケースを大型化すること無く屋外対応とすることができる。
また、上側リブ25に加えてケース下1bには2重のリブが設けられて、全体で3重のリブが設けられるので、雨水の浸入を確実に防止することができる。
更に、パッキン13により容易に且つ確実に隙間を閉塞できるので、液晶パネル10をケース1の表側から組み付けても、液晶パネル10の周囲に発生するケース1との境界を良好に且つ容易に防水構造にできる。
【0023】
尚、上記実施形態は、液晶パネルを例に説明したが、板状の電子表示手段に対して好適であり、例えばプラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネセンスパネル、発光ダイオードパネル等の電子表示手段に対しても適用できる。
また、パネル上1aに1つの帯状リブを設け、パネル下1bに2重の帯状リブを設けているが、逆であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
上記実施形態では、屋外に設置するインターホン機器について説明したが、本発明の構造は、液晶パネル等の電子表示手段を備えた屋外に設置する電子機器ユニットに対して好適であるし、屋外でなくとも防水機能を必要とする浴室や厨房等において使用するモニタ機器等にも好適である。
【符号の説明】
【0025】
1・・ケース、1a・・ケース上、1b・・ケース下、7・・液晶表示部、10・・液晶パネル(電子表示手段)、11・・回路基板、12・・固定フレーム(枠状フレーム体)、13・・パッキン、14・・パネルカバー(カバー体)、16・・凹部、25・・上側リブ、26・・下側リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース上とケース下とを嵌合して形成されるケース内に電子回路を収容し、前記ケース上に電子表示手段が取り付けられ、前記ケース上の裏面には雨水の浸入を防ぐために帯状に形成された上側リブが周設された電子機器ユニットであって、
前記ケース上は、前記電子表示手段を収容するための凹部を表面に備えると共に、前記凹部内には前記電子表示手段と内部の前記電子回路とを接続する配線を挿通するための開口部が形成されてなり、
前記上側リブは、前記開口部の外側であって前記凹部の背面上を通過し、嵌合した前記ケース下の内面に接触或いは近接する高さを有することを特徴とする電子機器ユニット。
【請求項2】
前記上側リブに対応する前記ケース下の内面には、ケース内において前記上側リブの内側と外側の双方から対峙するように2重に配置された帯状の下側リブが形成されて成ることを特徴とする請求項1記載の電子機器ユニット。
【請求項3】
前記ケース上の凹部に収容された電子表示手段の前面に、前記電子表示手段の周囲を覆い前記凹部を閉塞する為の硬質樹脂製の枠状フレーム体と、前記枠状フレーム体と前記ケース上との境界を気密閉塞するための発泡樹脂製或いは軟質樹脂製のパッキンとを順に組み付けて、これら電子表示手段、枠状フレーム体、パッキンの上面を透明な合成樹脂製のカバー体で覆い、
前記枠状パッキンの全体に前記カバー体を圧接させて、前記枠状フレーム体と前記ケース上との境界を気密閉塞させることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−199042(P2011−199042A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64770(P2010−64770)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】