説明

電子機器及び記憶媒体管理システム

【課題】情報漏えいの防止を強化することによって、従来よりも情報セキュリティを向上させることが出来る電子機器及び記憶媒体管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】電子機器が、着脱自在な記憶媒体と接続する記憶媒体インターフェースを備えた電子機器であって、外部と通信する通信部と、記憶媒体インターフェースに記憶媒体が接続されている場合に、記憶媒体のデータ操作が終了してから所定の時間の間に記憶媒体のデータ操作指示を受け付けていなと、記憶媒体が記憶している電子メールアドレスを送信先とすると共に記憶媒体が取り忘れられていることを通知する取り忘れ通知メールを通信部に送信させる制御部とを、具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機及び複合機等の電子機器及び当該電子機器に接続された着脱自在な記憶媒体を管理する記憶媒体管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、複写機及び複合機等の画像形成装置では、装着したUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びSD(Secure Digital)カード等の記憶媒体が記憶する画像ファイル及びドキュメントファイル等の電子ファイルをプリントアウトしたり、またスキャン機能によって原稿から読み取った原稿画像の画像ファイルを記憶媒体に記憶させたりすることが出来るものが登場している。しかしながら、このような画像形成装置を使用して記憶媒体が記憶する電子ファイルをプリントアウトしたり、また記憶媒体に画像ファイルを記憶させたりした後に、ユーザが当該記憶媒体を画像形成装置から取り外し忘れてしまうことがあり、そのような場合に第三者によって記憶媒体が記憶する電子ファイルが外部に漏えいされてしまう可能性があった。
【0003】
そして、このような問題を解決する為に、下記特許文献1には、ICカード等の外部記憶装置を装填した状態で、操作が所定時間以上中断されると、警告が発生させることによって外部記憶装置の置き忘れを防止することが出来る画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、外部記憶装置の装填を検出すると、外部記憶装置の装填状態でのキー操作入力の有無を検出し、キー操作入力無しの継続時間が所定値になると、視覚及び/又は聴覚に訴える警告を発生する。
【0004】
また、下記特許文献2には、使用後の外部記憶媒体の外部記憶媒体駆動装置内からの抜き忘れを確実に防止することが出来る文書処理装置が開示されている。この文書処理装置では、操作を停止してからの時間を測定し、計測した時間が一定時間を経過したときに、外部記憶媒体が外部記憶媒体駆動装置内にある場合には、使用者に対して置き忘れの警報音を発するとともに、外部記憶媒体の置き忘れであることを示す警報情報を表示画面に表示する。さらに、下記特許文献3には、利便性を高めながらセキュリティを向上させることが出来る通信端末装置が開示されている。この通信端末装置は、所定のファイル形式で作成されたアドレス帳情報が格納された外部記憶メディアに接続し、外部記憶メディアの抜き忘れがあると、音や表示で警告する。
【特許文献1】特開平2−039061号公報
【特許文献2】特開平10−083619号公報
【特許文献3】特開2007−079761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術では、最後の操作が行われてから所定の時間が経過しても着脱自在な記憶媒体が取り外されない場合に、記憶媒体が取り忘れられていると判断し、警告音を鳴動または警告画面を表示して、ユーザへ記憶媒体の取り忘れを通知することによって、記憶媒体の取り忘れを防止している。しかしながら、上記従来技術では、警告音を聞くことが出来ないまたは警告画面を目視することが出来ない距離までユーザが離れてしまった場合に、ユーザは記憶媒体の取り忘れに気付くことが出来ないという欠点があった。そして、取り忘れられた記憶媒体に、機密情報等の重要度の高い情報が記憶されている可能もあり、そのような記憶媒体が放置されたままになっていると、その情報が悪意のある第三者によって漏えいされてしまう可能性もある。その為、上記従来技術には、情報漏えいの防止を強化することによって、情報セキュリティを向上させる必要がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、情報漏えいの防止を強化することによって、従来よりも情報セキュリティを向上させることが出来る電子機器及び記憶媒体管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、電子機器に係る第1の解決手段として、着脱自在な記憶媒体と接続する記憶媒体インターフェースを備えた電子機器であって、外部と通信する通信部と、前記記憶媒体インターフェースに記憶媒体が接続されている場合に、前記記憶媒体のデータ操作が終了してから所定の時間の間に前記記憶媒体のデータ操作指示を受け付けないと、前記記憶媒体が記憶している電子メールアドレスを送信先とすると共に前記記憶媒体が取り忘れられていることを通知する取り忘れ通知メールを前記通信部に送信させる制御部とを、具備するという手段を採用する。
【0008】
本発明では、電子機器に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記制御部は、前記取り忘れ通知メールの返信メールを前記通信部が受信すると、前記記憶媒体が記憶するデータを消去するという手段を採用する。
【0009】
本発明では、電子機器に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記制御部は、前記返信メールによって指定されたデータのみを前記記憶媒体から消去するという手段を採用する。
【0010】
本発明では、電子機器に係る第4の解決手段として、上記第2または第3の解決手段において、前記制御部は、前記記憶媒体インターフェースに接続されている前記記憶媒体の個体識別情報と、前記返信メールに載っている個体識別情報とが一致する場合に、前記記憶媒体のデータを消去するという手段を採用する。
【0011】
本発明では、電子機器に係る第5の解決手段として、上記第2〜第4いずれかの解決手段において、前記制御部は、前記記憶媒体が記憶するデータを消去した場合には、前記返信メールの送信元を送信先とすると共に消去が成功したことを通知する消去成功通知メールを前記通信部に送信させ、前記記憶媒体が記憶するデータを消去できなかった場合には、前記返信メールの送信元を送信先とすると共に消去が失敗したことを通知する消去失敗通知メールを前記通信部に送信させるという手段を採用する。
【0012】
本発明では、電子機器に係る第6の解決手段として、上記第1〜第4いずれかの解決手段において、前記記憶媒体の操作履歴情報を記憶する記憶部を具備し、前記制御部は、前記記憶媒体の操作に応じて前記操作履歴情報を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部が記憶する前記記憶媒体の前記操作履歴情報を前記消去成功通知メール及び前記消去失敗通知メールに載せるという手段を採用する。
【0013】
本発明では、電子機器に係る第7の解決手段として、上記第6の解決手段において、前記制御部は、操作内容、操作対象データ名及び操作時刻を前記操作履歴情報として前記記憶部に記憶させ、前記操作履歴情報として操作内容、操作対象データ名及び操作時刻を前記消去成功通知メール及び前記消去失敗通知メールに載せるという手段を採用する。
【0014】
本発明では、電子機器に係る第8の解決手段として、上記第7の解決手段において、前記制御部は、前記記憶媒体を操作したユーザのユーザ識別情報を前記操作履歴情報として前記記憶部に記憶させ、前記操作履歴情報として前記ユーザ識別情報を前記消去成功通知メール及び前記消去失敗通知メールに載せるという手段を採用する。
【0015】
また、本発明では、記憶媒体管理システムに係る第1の解決手段として、上記第1〜第8いずれかの解決手段を採用する電子機器と、電子メールアドレスを記憶し、前記電子機器の前記記憶媒体インターフェースに接続する記憶媒体と、前記記憶媒体が記憶する前記電子メールアドレスは自身のものであり、前記電子機器と電子メールを送受信する端末装置とを、具備するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子機器が、着脱自在な記憶媒体と接続する記憶媒体インターフェースを備えた電子機器であって、外部と通信する通信部と、記憶媒体インターフェースに記憶媒体が接続されている場合に、記憶媒体のデータ操作が終了してから所定の時間の間に記憶媒体のデータ操作指示を受け付けないと、記憶媒体が記憶している電子メールアドレスを送信先とすると共に記憶媒体が取り忘れられていることを通知する取り忘れ通知メールを通信部に送信させる制御部とを、具備する。
【0017】
従来のように警告音の鳴動及び警告画面の表示によって記憶媒体の取り忘れを通知するだけのものでは、ユーザが電子機器から離れてしまうと通知を認識することが出来なかったが、本発明のように、記憶媒体が記憶するユーザの電子メールアドレスを送信先とする取り忘れ通知メールを送信することによって、ユーザが電子メールによって記憶媒体の取り忘れを認識することが出来る為、ユーザが、本発明の電子機器から離れた場所に居ても記憶媒体の取り忘れを認識することが出来る。
【0018】
このように、本発明の電子機器からユーザへ取り忘れメールを送信することによって記憶媒体の取り忘れを防止する、すなわち記憶媒体が記憶する情報の漏えいの防止を強化することによって、従来よりも情報セキュリティを向上させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の電子機器に含まれる画像形成装置の一つであるコピー機能、プリント機能、ファクシミリ送信/受信機能を併せ持つ複合機及び当該複合機によって構成される記憶媒体管理システムに関する。
まず、記憶媒体管理システムAのシステム構成について、図1を参照して、説明する。図1は、本実施形態に係る記憶媒体管理システムAのシステム構成図である。
この記憶媒体管理システムAは、図1に示すように、複合機B、USB(Universal Serial Bus)メモリC、端末装置D及び公衆網Eから構成されている。
【0020】
複合機Bは、複写開始指示に基づいてコピー処理を実行し、クライアントコンピュータ(図示略)から受け付けたプリント指示に基づいてプリント処理を実行し、さらに公衆網Eを介してファクシミリ送信機(図示略)からファクシミリを受信すると、ファクシミリ画像データに基づいて受信結果の出力処理を実行する。
【0021】
また、複合機Bは、USBメモリCが装着されると、当該USBメモリCが記憶する画像ファイル及びドキュメントファイル等の電子ファイルをプリントすることが出来ると共にスキャン機能によって原稿から読み取った原稿画像の画像ファイルをUSBメモリCに記憶させることが出来る。さらに、この複合機Bは、公衆網Eを介して端末装置Dに接続し、端末装置Dと電子メールを送受信することが出来る。なお、この複合機Bの動作の詳細については、後述する。
【0022】
USBメモリCは、フラッシュメモリ等によって構成され、複合機Bに着脱自在な不揮発性記憶媒体である。このUSBメモリCは、複合機Bに装着され、自身のUSBコネクタを介して複合機Bとの間で画像ファイル及びドキュメントファイル等の電子ファイルを入出力する。また、USBメモリCは、端末装置Dの電子メールアドレスが登録された電子メールアドレス登録ファイルを記憶している。この電子メールアドレス登録ファイルは、USBメモリCの記憶エリア直下またはフォルダの予め決められた場所に記憶されており、またファイル名も規定の名前が付けられている。なお、このUSBメモリCは、個体識別情報として自身のシリアル番号を記憶している。
【0023】
端末装置Dは、デスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータであり、公衆網Eを介して複合機Bへ接続している。この端末装置Dは、公衆網Eを介して複合機Bと電子メールを受送受信することが出来る。そして、この端末装置Dの所有者であるユーザは、端末装置Dが複合機Bから取り忘れ通知メールを受信すると、複合機Bに装着したUSBメモリを取り忘れたことを認識することが出来る。
【0024】
公衆網Eは、公衆の電話網及びインターネット網であり、複合機Bと、端末装置Dとを接続する。この公衆網Eは、複合機B及び端末装置Dの間の通信における信号の伝送路である。なお、複合機Bと端末装置Dとの間の電子メールの送受信は、公衆網Eのインターネット網及び公衆網Eに設置された図示しないメールサーバを経由して行われる。
【0025】
上記構成の記憶媒体管理システムAにおける複合機Bの機能構成について、図2を参照して、説明する。図2は、本実施形態に係る記憶媒体管理システムAにおける複合機Bの機能ブロック図である。
複合機Bは、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、各種センサ群4、用紙搬送部5、画像読取部6、画像データ記憶部7、画像形成部8、通信I/F部9、操作表示部10、USBポート11及びUSBメモリ操作履歴情報記憶部12を備えている。
【0026】
CPU1は、ROM2に記憶されている制御プログラム、各種センサ群4から受信する各種検出信号、画像データ記憶部7に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データ及びファクシミリ画像データ、通信I/F部9を介してクライアントコンピュータ(図示略)から入力される各種指示及び操作表示部10から入力される操作指示に基づいて複合機Bの全体動作を制御する。なお、このCPU1の制御処理の詳細については、以下に複合機Bの動作として説明する。
ROM2は、CPU1で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。
【0027】
RAM3は、CPU1が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。
各種センサ群4は、例えば用紙切れ検出センサや、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ等の画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU1に出力する。
【0028】
用紙搬送部5は、用紙トレイに収納されている印刷用紙を画像形成部8に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の印刷用紙を図示しない排紙トレイに搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。
【0029】
画像読取部6は、ADF(自動原稿送り装置)とCCD(Charge Coupled Device)センサ等を備え、ADFによって順次給紙される原稿の画像をCCDセンサに読み取らせ、原稿画像に基づく原稿画像データを出力する。なお、画像読取部6は、原稿画像データをCPU1に出力し、一方、CPU1は、原稿画像データを画像データ記憶部7に記憶させる。
画像データ記憶部7は、例えばフラッシュメモリであり、CPU1の指示の下、原稿画像データ、通信I/F部9がクライアントコンピュータ(図示略)から受信するプリント画像データ及び通信I/F部9が公衆網Eから受信するファクシミリ画像データを記憶する。
【0030】
画像形成部8は、CPU1の制御の下、画像データ記憶部7に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データまたはファクシミリ画像データに基づいて、用紙搬送部5から搬送される印刷用紙にトナーによって形成される画像形成画像を転写し、定着ローラによって当該画像形成画像の定着処理を行う。
通信I/F部9は、クライアントコンピュータ(図示略)及び公衆網Eに接続し、このクライアントコンピュータ及び公衆網Eとの間で各種信号の送受信を行う。
【0031】
操作表示部10は、コピー機能切替キー、プリント機能切替キー、スキャン機能切替キー、ファクシミリ機能切替キー、スタートキー、ストップ/クリアキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)、タッチパネル10a及びその他の各種操作キーを備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU1に出力すると共に、CPU1の制御の下、タッチパネル10aへ種々の画面を表示する。なお、コピー機能切替キー、プリント機能切替キー、スキャン機能切替キー及びファクシミリ機能切替キーは、それぞれの機能をユーザが使用する場合に、各機能の動作モードへ複合機Bを切り替える為のキーである。
【0032】
USBポート11は、USB規格に対応したシリアルインターフェースであり、USBメモリCが装着されると、USBメモリCと電気的に接続する。このUSBポート11は、USBメモリCと接続している場合に、CPU1の制御の下、USBメモリCとの間で電子ファイルを入出力する。
USBメモリ操作履歴情報記憶部12は、例えばフラッシュメモリまたはハードディスクであり、CPU1の制御の下、USBメモリC及び他のUSBメモリ(図示略)の操作履歴情報が登録されたUSBメモリ操作履歴情報テーブルを記憶する。
【0033】
図3は、上記USBメモリ操作履歴情報テーブルを示す模式図である。USBメモリ操作履歴情報テーブルは、図3に示すように、USBメモリ操作履歴情報番号毎に、USBメモリシリアル番号及びUSBメモリ操作履歴情が登録されたデータテーブルである。このUSBメモリ操作履歴情報テーブルには、USBポート11に装着されたUSBメモリCが操作される度に、CPU1によって、USBメモリCのシリアル番号を示すUSBメモリシリアル番号と、USBメモリ操作履歴情報としてUSBメモリCの操作内容と、USBメモリCの操作時刻が登録される。
【0034】
そして、USBメモリ操作履歴情報の操作内容として、「装着(USBメモリCのUSBポート11への装着)」、「書き込み(USBメモリCへの電子ファイルの書き込み)」、「読み出し(USBメモリCの電子ファイルの読み出し)」、「消去(USBメモリCの電子ファイルの消去)」及び「取り外し(USBメモリCのUSBポート11からの取り外し)」のいずれかが登録される。
【0035】
さらに、操作内容として「書込み」、「読み出し」及び「消去」が登録される際には、操作対象の電子ファイルのファイル名を示す操作対象ファイル名がUSBメモリ操作履歴情報に登録される。なお、上記USBメモリ操作履歴情報番号は、USBメモリシリアル番号、USBメモリ操作履歴情報がUSBメモリ操作履歴情報テーブルに登録される際に割り当てられる識別番号である。
【0036】
次に、上記構成の記憶媒体管理システムAにおける複合機B及び端末装置Dの動作について、図4及び図5のシーケンス図を参照して、詳しく説明する。図4及び図5は、本実施形態に係る記憶媒体管理システムAの複合機B、端末装置Dの動作を示すシーケンス図である。
まず、複合機BによってUSBメモリCが記憶する電子ファイルをプリントしようとするユーザは、複合機BのUSBポート11にUSBCを装着する。
【0037】
そして、ユーザは、タッチパネル10aが表示する操作画面または/及び操作表示部10の操作キーを操作することによって、USBメモリCが記憶する電子ファイルの中からプリントする電子ファイルを選択し、操作表示部10のステートキーを押下することによって選択した電子ファイルを複合機Bにプリントさせる。そして、複合機BのCPU1は、USBポート11を介してUSBメモリCからプリント対象の電子ファイルを読み取り、当該電子ファイルに基づいて画像形成部8等の各部にプリント動作を実行させる。
【0038】
CPU1は、プリント動作の終了後、USBポート11からUSBメモリCが取り外されたか否か判定し(ステップS1)、ステップS1において『YES』と判定した場合には、すなわちUSBポート11からUSBメモリCが取り外されている場合には、操作表示部10がプリント指示を受け付けるまで待機する。CPU1は、ステップS1において『NO』と判定した場合には、すなわちUSBポート11にUSBメモリCが装着されたままになっている場合には、プリント動作を終了してから所定の時間の間に操作表示部10がUSBメモリCのデータ操作指示を受け付けたか否か判定する(ステップS2)。なお、上記ステップS2におけるデータ操作指示とは、CPU1が、電子ファイルの書き込み、電子ファイルの読み取り及び電子ファイルの消去をUSBメモリCに実行する操作指示である。つまり、スタートキー押下によって操作表示部10が受け付けるプリント指示もデータ操作指示に含まれる。
【0039】
CPU1は、ステップS2において『YES』と判定した場合には、すなわちプリント動作の終了から所定の時間の間に操作表示部10がUSBメモリCのデータ操作指示を受け付けている場合には、操作表示部10がプリント指示を受け付けるまで待機する。CPU1は、ステップS2において『NO』と判定した場合には、すなわちプリント動作を終了してから所定の時間の間に操作表示部10がUSBメモリCのデータ操作指示を受け付けないと、USBメモリCが記憶する電子メールアドレス登録ファイルに登録されている端末装置Dの電子メールアドレスを送信先とすると共にUSBメモリCが取り忘れられていることを通知する取り忘れ通知メールを作成する(ステップS3)。
【0040】
具体的に、CPU1は、上記ステップS3において、USBメモリCが記憶する電子メールアドレス登録ファイルから電子メールアドレスをUSBポート11を介して読み出し、当該電子メールアドレスを電子メールの送信先に設定し、さらに当該電子メールの本文及び件名にROM2に予め記憶されているUSBメモリCが取り忘れられていることを通知するメッセージを設定することによって、取り忘れ通知メールを作成する。
CPU1は、ステップS3の後に、取り忘れ通知メールを端末装置Dへ通信I/F部9に送信させる(ステップS4)。なお、CPU1は、ステップS3において、USBメモリCから読み取ったシリアル番号を取り忘れ通知メールに載せる。
【0041】
端末装置Dは、複合機Bから取り忘れ通知メールを受信すると、取り忘れ通知メールをディスプレイに表示し(ステップS5)、キーボードまたはマウスによって返信メール作成指示を付けると、取り忘れ通知メールの送信元である複合機Bの電子メールアドレスを送信先とすると共に取り忘れ通知メールに載っているUSBメモリCのシリアル番号を載せた返信メールを作成し(ステップS6)、返信メール送信指示を付けると、当該返信メールを複合機Bへ送信する(ステップS7)。
【0042】
複合機BのCPU1は、端末装置Dから通信I/F部9が返信メールを受信すると、USBポート11に装着されているUSBメモリCのシリアル番号と返信メールに載っているシリアル番号が一致するか否か判定し(ステップS8)、ステップS8において『YES』と判定した場合には、すなわちUSBポートに装着されているUSBメモリCのシリアル番号と返信メールに載っているシリアル番号が一致する場合には、USBポート11に装着されているUSBメモリCに記憶されている全ての電子ファイルを消去する(ステップS9)。
【0043】
そして、CPU1は、ステップS9の後に、返信メールの送信元である端末装置Dの電子メールアドレスを送信先とすると共にUSBメモリCが記憶する電子ファイルの消去が成功したことを通知する消去成功通知メールを作成し(ステップS10)、当該消去成功通知メールを端末装置Dへ通信I/F部9に送信させる(ステップS11)。なお、CPU1は、ステップS10において、USBメモリ操作履歴情報テーブルに基づいて、返信メールに載っているシリアル番号に応じたUSBメモリ操作履歴情報を消去成功通知メールに載せる。
【0044】
例えば、端末装置Dからの返信メールにUSBメモリCのシリアル番号が載っている場合に、USBメモリCのシリアル番号が「A6400」であるとすると、図3に示すUSBメモリ操作履歴情報テーブルのUSBメモリ操作履歴情報番号「0001」〜「0005」のUSBメモリ操作履歴情報が消去成功通知メールに載せる。
【0045】
CPU1は、ステップS8において『NO』と判定した場合には、すなわちUSBポート11にUSBメモリCが装着されていない、またはUSBポートに装着されているUSBメモリCのシリアル番号と返信メールに載っているシリアル番号が一致しない場合には、USBメモリCの電子ファイルの消去を行わずに、返信メールの送信元である端末装置Dの電子メールアドレスを送信先とすると共にUSBメモリCが記憶する電子ファイルの消去が失敗したことを通知する消去失敗通知メールを作成し(ステップS12)、ステップS11において通信I/F部9を介して当該消去失敗通知メールを端末装置Dへ送信する。
【0046】
また、CPU1は、上記ステップS10と同様に、ステップS12において、USBメモリ操作履歴情報テーブルに基づいて、返信メールに載っているシリアル番号に応じたUSBメモリ操作履歴情報を消去失敗通知メールに載せる。
端末装置Dは、上記ステップS11において複合機Bから消去成功通知メールまたは消去失敗通知メールを受信すると、ディスプレイに消去成功通知メールまたは消去失敗通知メールを表示する(ステップS13)。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る記憶媒体管理システムAでは、USBポート11にUSBメモリCが装着されたままになっている状態で、プリント動作を終了してから所定の時間の間に操作表示部10がUSBメモリCのデータ操作指示を受け付けていないと、USBが取り忘れられている判断し、USBメモリCが記憶する電子メールアドレス登録ファイルに登録されている端末装置Dの電子メールアドレスを送信先とすると共にUSBメモリCがとり忘れられていることを通知する取り忘れ通知メールを作成し、当該取り忘れ通知メールを端末装置Dへ通信I/F部9に送信させる。
【0048】
従来のように警告音の鳴動及び警告画面の表示によってUSBメモリCの取り忘れを通知するだけのものでは、ユーザが離れてしまうと通知を認識することが出来なかったが、上記本実実施形態のように、電子メールによってユーザへUSBメモリCの取り忘れを通知することよって、ユーザは電子メールによってUSBメモリCの取り忘れを認識することが出来る為、複合機Bから離れた場所に居てもUSBメモリCの取り忘れを認識することが出来る。このように、複合機Bからユーザへ取り忘れメールを送信することによってUSBメモリCの取り忘れを防止する、すなわちUSBメモリCが記憶する情報の漏えいの防止を強化することによって、従来よりも情報セキュリティを向上させることが出来る。
【0049】
また、複合機BのCPU1は、取り忘れ通知メールの返信メールを受信すると、返信メールに載っているシリアル番号とUSBメモリCのシルアル番号が一致すると、ユーザへUSBメモリCが記憶する電子ファイルを消去する意思があると判断し、USBメモリCの電子ファイルを消去する為、ユーザがUSBメモリCを複合機Bからすぐに取り外すことが出来ない場所に居たとしても、遠隔操作によって早急にUSBメモリCの電子ファイルを消去することが出来ることによって、USBメモリCが記憶する情報の漏えいの防止が強化される為、さらに情報セキュリティを向上させることが出来る。
【0050】
さらに、複合機BのCPU1は、USBメモリCが記憶する電子ファイルの消去の成否に応じて消去成功通知メールまたは消去失敗通知メールを端末装置Dへ通信I/F部9に送信させ、さらにこの消去成功通知メールまたは消去失敗通知メールにUSBメモリCのUSBメモリ操作履歴情報を載せることによって、ユーザはUSBメモリCの電子ファイルの消去の成否と共にUSBメモリCが第三者によって操作されたことをすぐに知ることが出来る為、早急にUSBメモリCが記憶する情報の漏えいの対応を施すことが出来る。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態の複合機BのCPU1は、USBメモリCの取り忘れられを検知すると、取り忘れ通知メールによってUSBメモリCの取り忘れを通知するものであるが、本発明はUSBメモリCに限定されるものではない。
【0052】
CPU1は、USBメモリCに限らず、SDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリスティック、スマートメディア、フロッピー(登録商標)ディスク、CD‐RW、DVD‐RW及びMOディスク等のあらゆる記憶媒体の取り忘れを検知すると、当該記憶媒体が記憶する電子メールアドレスを送信先とすると共に記憶媒体の取り忘れを通知する取り忘れ通知メールを通信I/F部9に送信させるようにしてもよい。そして、CPU1は、取り忘れ通知メールの返信メールを受信すると、上記動作を実行するようにしてもよい。
【0053】
(2)上記実施形態は、本発明に係る電子機器を、画像形成装置の一つである複合機Bに適用したものであるが、本発明は、記憶媒体に接続するインターフェースを有すると共に共に電子メールの送受信機能を有するものであれば、パーソナルコンピュータ及び携帯端末等のあらゆる電子機器に適用するこが出来る。また、上記実施形態の記憶媒体管理システムAでは、端末装置Dをデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータとしているが、電子メールを送受信する機能を有するものであれば、携帯端末等であってもよい。
【0054】
(3)上記実施形態の複合機Bでは、CPU1が、USBメモリCが操作される度に、USBメモリ操作履歴情報テーブルにUSB操作履歴情報として操作内容、操作対象ファイル名及び操作時刻を登録したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、複合機Bが、各種動作を実行する上で、認証カード等によるログインを必要とするものである場合に、CPU1が、USBメモリCを操作したユーザのユーザ識別情報として、認証カードに登録されているカード番号等の情報を、操作内容、操作対象ファイル名及び操作時刻と共にUSB操作履歴情報としてUSBメモリ操作履歴情報テーブルに登録するようにしてもよい。
【0055】
そして、USB操作履歴情報として操作内容、操作対象ファイル名及び操作時刻と共にユーザ識別情報を消去成功通知メール及び消去失敗通知メールに載せ、送信することよって、消去成功通知メールまたは消去失敗通知メールを受信したユーザは、USBメモリCの操作内容、操作時刻と共に操作した第三者を特定することが出来る。これにより、USBメモリCの情報が漏えいしたとしても、その情報を漏えいさせた可能性の高いユーザを特定することが出来る。
【0056】
(4)上記実施形態の複合機Bでは、CPU1が、USBメモリCが記憶する全ての電子ファイルを消去したが、本発明は、これに限定されない。
例えば、CPU1は、HTML(Hyper Text Markup Language)形成であると共に取りUSBメモリCに記憶されている電子ファイルの一覧を載せた取り忘れ通知メールを作成し、当該取り忘れ通知メールを通信I/F部9に送信させる。
【0057】
そして、端末装置Dの所有者であるユーザは、この取り忘れ通知メールを端末装置Dが受信すると、HTML形式である取り忘れ通知メールに載っている電子ファイルの一覧の中から消去してもよい電子ファイルのチェックボックスにチェックを付けたものを返信メールとして端末装置Dに送信させる。そして、複合機BのCPU1は、通信I/F部9が受信した返信メールに基づいて、チェックボックスにチェックの付いた電子ファイルのみUSBメモリCから消去する。これにより、ユーザは、USBメモリCが記憶する電子ファイルの中から消去する必要のない電子ファイルを消去しなくて済む。
【0058】
(5)上記実施形態の複合機BのCPU1は、USBメモリCの取り忘れられを検知すると、取り忘れ通知メールによってUSBメモリCの取り忘れを通知するものであるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、複合機Bにスピーカによって構成された発音部を設け、CPU1は、USBメモリCの取り忘れられを検知すると、取り忘れ通知メールを通信I/F部9に送信させると共に発音部による取り忘れ通知音の鳴動及びタッチパネル10aによる取り忘れ通知画面の表示の両方またはいずれかを一緒に実行するようにしてもよい。
【0059】
また、CPU1は、USBメモリCの取り忘れを検知した後に、まず発音部による取り忘れ通知音の鳴動及びタッチパネル10aによる取り忘れ通知画面の表示の両方またはいずれかを実行し、所定の時間を実行しても、USBメモリCがUSBポート11から取り外されないかつ操作表示部10がUSBメモリCのデータ操作指示を付けつけない場合に、取り忘れ通知メールを端末装置Dへ通信I/F部9に送信させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る記憶媒体管理システムAのシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る記憶媒体管理システムAの複合機Bの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る記憶媒体管理システムAの複合機BのUSBメモリ操作履歴情報テーブルを示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る記憶媒体管理システムAの複合機B及び端末装置Dの動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る記憶媒体管理システムAの複合機B及び端末装置Dの動作を示すシーケンス図(図4の続き)である。
【符号の説明】
【0061】
A…記憶媒体管理システム、B…複合機、C…USBメモリ、D…端末装置、E…公衆網、1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…各種センサ群、5…用紙搬送部、6…画像読取部、7…画像データ記憶部、8…画像形成部、9…通信I/F部、10…操作表示部、10a…タッチパネル、11…USBポート、12…USBメモリ操作履歴情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在な記憶媒体と接続する記憶媒体インターフェースを備えた電子機器であって、
外部と通信する通信部と、
前記記憶媒体インターフェースに記憶媒体が接続されている場合に、前記記憶媒体のデータ操作が終了してから所定の時間の間に前記記憶媒体のデータ操作指示を受け付けないと、前記記憶媒体が記憶している電子メールアドレスを送信先とすると共に前記記憶媒体が取り忘れられていることを通知する取り忘れ通知メールを前記通信部に送信させる制御部とを、
具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記取り忘れ通知メールの返信メールを前記通信部が受信すると、前記記憶媒体が記憶するデータを消去することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記返信メールによって指定されたデータのみを前記記憶媒体から消去することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記記憶媒体インターフェースに接続されている前記記憶媒体の個体識別情報と、前記返信メールに載っている個体識別情報とが一致する場合に、前記記憶媒体のデータを消去することを特徴とする請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶媒体が記憶するデータを消去した場合には、前記返信メールの送信元を送信先とすると共に消去が成功したことを通知する消去成功通知メールを前記通信部に送信させ、前記記憶媒体が記憶するデータを消去できなかった場合には、前記返信メールの送信元を送信先とすると共に消去が失敗したことを通知する消去失敗通知メールを前記通信部に送信させることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記記憶媒体の操作履歴情報を記憶する記憶部を具備し、
前記制御部は、前記記憶媒体の操作に応じて前記操作履歴情報を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部が記憶する前記記憶媒体の前記操作履歴情報を前記消去成功通知メール及び前記消去失敗通知メールに載せることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、操作内容、操作対象データ名及び操作時刻を前記操作履歴情報として前記記憶部に記憶させ、前記操作履歴情報として操作内容、操作対象データ名及び操作時刻を前記消去成功通知メール及び前記消去失敗通知メールに載せることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記記憶媒体を操作したユーザのユーザ識別情報を前記操作履歴情報として前記記憶部に記憶させ、前記操作履歴情報として前記ユーザ識別情報を前記消去成功通知メール及び前記消去失敗通知メールに載せることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の電子機器と、
電子メールアドレスを記憶し、前記電子機器の前記記憶媒体インターフェースに接続する記憶媒体と、
前記記憶媒体が記憶する前記電子メールアドレスは自身のものであり、前記電子機器と電子メールを送受信する端末装置とを、
具備することを特徴とする記憶媒体管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−141500(P2010−141500A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314561(P2008−314561)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】