説明

電子機器及び電子機器の押し釦スィッチの照光構造

【課題】 本発明の課題は、簡単な構造で、押し釦スィッチのキートップの面積が広い場合にもキートップを均一に光らせることが可能な電子機器及び電子機器の押し釦スィッチの照光構造を提供することにある。
【解決手段】 本発明に関わる電子機器の押し釦スィッチの照光構造は、押し釦スィッチ6の外部に露出するキートップ6aを内部の光源L1によって照光する電子機器1の
押し釦スィッチ6の照光構造であって、光源L1は、キートップ6aの下方に配置される
とともに、該キートップ上面6a1が延在する方向に沿って光を照射することを特徴とし
ている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の電子機器において内部から押し釦スィッチを照射し、利用者が暗がりにおいても押し釦スィッチを明瞭かつ顕著に視認することができる電子機器及び電子機器の押し釦スィッチの照光構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、携帯電話機100は、内部に制御部(図示せず)が収納される本体101と、該本体101に開閉自在にヒンジ結合される蓋体102とを備えている。
【0003】
本体101には、その上面を覆うキー用ケース109が配設され、携帯電話機100を操作するための複数のテンキーのキートップ103、多機能キーのキートップ104、および決定キーのキートップ105等を外側に露出している。
【0004】
ここで、テンキーのキートップ103、多機能キーのキートップ104、および決定キーのキートップ105は、暗がりにおいても操作に支障が生じることなく利用者に明瞭に視認されるように、キー用ケース109内の発光ダイオード (後述)により内部から照射
されている。
【0005】
図6は、携帯電話機100の本体101においてキー用ケース109を外した状態の多機能キーのキートップ104、決定キーのキートップ105廻りの内部構造を示す上面図である。
【0006】
図7は、図6のA−A線断面図であり、図8は、図7のB部拡大図である。
【0007】
多機能キーは、図7に示すキートップ104への上方からの異なる箇所への押圧動作によって、対応したそれぞれの機能のオン・オフを行うシーソーキーであり、図7、図8に示すように、多機能キーのキートップ104および決定キーのキートップ105は、光透過性のゴム材で成形されるゴムベース107に貼り付けられている。
【0008】
また、図6に示すように、キートップ104、105が貼り付けられたゴムベース107の裏側に配設された配線基板106上には、光源である発光ダイオードL2、L2、L2
、L2が4箇所に実装されている。
【0009】
各発光ダイオードL2は、本体101の上方に向けて光を照射する上照射タイプ(図8中の矢印α方向に向けて光を照射)のものであり、図8に示すように、発光ダイオードL2の光の照射方向(矢印α方向)にはゴムベース107およびキー用ケース109が配置されている。
【0010】
この構成により、発光ダイオードL2から上方向(図8中の矢印α方向)に照射された光
は、ゴムベース107、キー用ケース109および配線基板106等によって乱反射され、多機能キーのキートップ104および決定キーのキートップ105を透過して携帯電話機100外側に到達し、多機能キーのキートップ104および決定キーのキートップ105を光らせている。
【0011】
同様に、複数のテンキーのキートップ103においても、上照射タイプの発光ダイオード(図示せず)が、図5に示すキー用ケース桟部109sの下方の配線基板106上に実装されている。 この発光ダイオードから上方向に照射された光は、ゴムベース107、キー用ケース109および配線基板106等によって乱反射され、キートップ103を透過して携帯電話機100外側に到達し、テンキーのキートップ103を光らせている。
【0012】
なお、出願人が出願時に把握している本願に係る文献公知発明は特に無い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、図5に示すように、多機能キーのキートップ104および決定キーのキートップ105は、側方に延在する面積が小さいため、これらキートップ104、105の照射用光源である発光ダイオードL2をキー用ケース109の下方に配設しても、照射光
の乱反射により、キートップ104、105全体を均一に光らせることができる。
【0014】
ところが、キートップ104、105の側方に延在する面積が大きくなった場合には、上照射の光源をキー用ケース109下方に配設すると、光源から発した光は、キートップ104、105中央部まで届かず中央部が暗くなり、キートップ104、105上面全体を均一に光らせることができない。
【0015】
そこで、この上照射の光源を多機能キーのキートップ104の下方に配置した場合には、キートップ104の一部に局所的に強く光る箇所、所謂ホット・スポットが発生し、キートップ104、105上面を均一に光らせることができないという問題を生じる。
【0016】
本発明は上記実状に鑑み、簡単な構造で、押し釦スィッチのキートップの面積が広い場合にもキートップを均一に光らせることが可能な電子機器及び電子機器の押し釦スィッチの照光構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1に関わる電子機器の押し釦スィッチの照光構造は、押し釦スィッチの外部に露出するキートップを内部の光源によって照光する電子機器の押し釦スィッチの照光構造であって、前記光源は、前記キートップの下方に配置されるとともに、該キートップ上面が延在する方向に沿って光を照射することを特徴としている。
【0018】
本発明の請求項2に関わる電子機器の押し釦スィッチの照光構造は、請求項1に記載の電子機器の押し釦スィッチの照光構造において、前記キートップの上面と前記光源間に、前記光の照射方向に沿う方向であるとともに前記光源が照射する光に対向して、前記光源近くを濃として該光源から遠ざかるに従い次第に淡となるグラデーションの遮光用印刷を施したことを特徴としている。
【0019】
本発明の請求項3に関わる電子機器は、押し釦スィッチの外部に露出するキートップを内部の光源によって照光する電子機器であって、前記光源は、前記キートップの下方に配置されるとともに、該キートップ上面が延在する方向に沿って光を照射することを特徴としている。
【0020】
本発明の請求項4に関わる電子機器は、請求項3に記載の電子機器において、前記キートップの上面と前記光源間に、前記光の照射方向に沿う方向であるとともに前記光源が照射する光に対向して、前記光源近くを濃として該光源から遠ざかるに従い次第に淡となるグラデーションの遮光用印刷を施したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
以上、詳述した如く、本発明の請求項1または請求項3の発明によれば、光源は、キートップの下方に配置されるとともに、該キートップ上面が延在する方向に沿って光を照射するので、キートップ上面の広い領域を光らせることができる。
【0022】
本発明の請求項2または請求項4の発明によれば、キートップの上面と光源間に、光の照射方向に沿う方向であるとともに光源が照射する光に対向して、光源近くを濃として該光源から遠ざかるに従い次第に淡となるグラデーションの遮光用印刷を施したので、キートップの上面を局所的に光らせることなく均一に光らせることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、本発明を適用した携帯電話機1は、制御部等が収容される本体2に、文字、画像等の各種情報を表示する液晶表示部(表示部)3a1を有する蓋体3が、ヒン
ジ部4により開閉自在に連結されている。
【0025】
携帯電話機1の本体2は、その全体がポリカーボネイト、ABS等のプラスチック製の箱状のケースにより覆われており、その上面は、平板状のキー用ケースcにより覆われている。 上記キー用ケースcには、所定のキー用孔が成形されており、該キー用孔から、複数のテンキーのキートップ5a、多機能キーのキートップ5b、および決定キーのキー
トップ5cが露出している。
【0026】
携帯電話機1の蓋体3は、蓋体3を開いた状態の図1(a)に示すように、その内側に液晶表示部(表示部)3a1が配設されており、ポリカーボネイト、ABS等のプラスチック
製の内ケースk1により覆われている。 また、蓋体3を閉じた状態の図1(b)に示すよ
うに、その外側に副液晶表示部(副表示部)3a2が配設されており、同様なプラスチック
製の外ケースk2および外ケースk3により覆われている。
【0027】
上記外ケースk3には、所定のキー用孔k3hが成形されており、該キー用孔k3hから、
コンソールキー6のキートップ6aが露出している。
【0028】
携帯電話機1は、その本体2内に音楽を記録するためのハードディスクが搭載され音楽の聴取が可能であり、コンソールキー6は、シーソーキーとして、その操作のために用いられている。 このコンソールキー6のキートップ6aには、音楽を聴取する際の再生、
停止、早送り、巻き戻し等の記号が表示され、各記号箇所を上方から押圧することにより各操作が行なわれる。
【0029】
このコンソールキー6のキートップ6aは、照光用の光を拡散するために、例えば透光
性を有する乳白色のポリカーボネイト等のプラスチックで成形されている。
【0030】
コンソールキー6のキートップ上面6a1には、メタリック感を出すためのパールを混ぜた白色の塗装がなされ、この塗装面上に操作用の再生、停止、早送り、巻き戻し等の記号が青色のインクで印刷され、これらの塗装、印刷面をコーティングで覆い保護している。
【0031】
図2は、図1(b)に示す携帯電話機1の蓋体3において外ケースk3を外した状態のコ
ンソールキー6のキートップ下面6a2の印刷を上方から透視して示すキートップ6a近
傍域の上面図である。
【0032】
図3は、図2のC−C線断面図であり、図4は、図3のD部拡大図である。
【0033】
図3、図4に示すように、コンソールキー6のキートップ6aは、光透過性のシリコン
ゴムで成形されるゴムベース7に接着、融着等により接合されている。
【0034】
ゴムベース7には、コンソールキー6のキートップ上面6a1の再生、停止、早送り、
巻き戻しの各記号箇所が押下された場合に、各記号に対応したクリックドーム8(後述)を押下し反転動作させるための押し子7aが成形されている。
【0035】
このゴムベース7に隣接して、コンソールキー6のスィッチ用配線パターンが印刷されたキー基板9が配設されており、キー基板9には、ゴムベース7の各押し子7aに対向して、スィッチ用配線パターンの接点間を導通させるためのクリックドーム8が、再生、停止、早送り、巻き戻しの各記号に対応して貼り付けられている。
【0036】
クリックドーム8は、板厚の薄い例えばステンレス鋼板等の金属製でありドーム状の形状を呈しており、コンソールキー6のキートップ6aが押下された際に、ゴムベース7の押し子7aによって押下され反転動作し、それぞれ各記号に対応したスィッチ用配線パターンの接点間を導通させる。
【0037】
また、キー基板9上には、図2に示すように、コンソールキー6のキートップ6aを裏側から照射するための光源である発光ダイオードL1、L1、L1、L1が、キートップ6aの下方の4箇所に実装されている。
【0038】
各発光ダイオードL1は、キートップ上面6a1の横方向に広がる広い領域を照射するため、図3、図4に示すように、照射面L1aがキートップ6a側方を向いて配置される横方向を照射する横照射タイプのものが選択され、図4の矢印β方向に向って光を照射する。
【0039】
すなわち、発光ダイオードL1は、キートップ6aの下方に配置され、図4に示すよう
に、キートップ上面6a1が延在する方向に沿って光を照射する。
【0040】
そして、この光源である発光ダイオードL1、L1、L1、L1が照射する光を拡散するため、キートップ下面6a2には、図2に示すように、第1層としてキートップ6a下面全
体に亘って白色のシルク印刷6asが施されている。
【0041】
また、キートップ下面6a1の印刷第1層に上塗りする印刷第2層として、キートップ
上面6a1において発光ダイオードL1の照射光によるホットスポット(局所的に光の強い
箇所)が生じることを防止するため、遮光用の灰色のシルク印刷6agが施されている。 すなわち、発光ダイオードL1の照射面L1aが光を照射する照射方向に沿う方向であると
ともに照射光に対向して、照射面L1aの近傍域の照射光が強い領域から遠ざかった領域に亘り、光源近傍域が濃で光源から遠ざかるに従い次第に淡となるグラデーションの遮光用の灰色のシルク印刷6agが、各発光ダイオードL1に対応してそれぞれ施されている。
【0042】
このグラデーションの遮光用のシルク印刷6agは、シルク印刷のドットのメシュの密
度が、光源近傍域を密に光源から遠ざかるに従い次第に粗となるように印刷されている。
【0043】
なお、本実施例においては、グラデーションの遮光用のシルク印刷6agをキートップ
下面6a2に施した場合を例示したが、ゴムベース7に施してもよく、光源の発光ダイオ
ードL1とキートップ上面6a1(図4参照)間であれば、グラデーションの遮光用のシルク印刷6agを施す場所は特に限定されるものではない。
【0044】
また、本実施例においては、グラデーションの灰色のシルク印刷6agを例示して説明
したが、光源の光を遮光してキートップ上面6a1を均一な光で光らせることができれば
灰色以外の他の色のインクを用いても良く、また、シルク印刷以外の印刷を用いてもよい。
【0045】
上記構成によれば、コンソールキー6のキートップ6aを内側から照光する光源の発光ダイオードL1をキートップ上面6a1に沿う方向に照射する横照射タイプとしたので、キートップ上面6a1の広い領域を照射することが可能である。
【0046】
また、コンソールキー6のキートップ6aの下面6a2に、各光源の発光ダイオードL1の光の照射方向に沿う方向であるとともに照射光に対向して、光源近くを濃として光源から遠ざかるに従い次第に淡となるグラデーションの遮光用の印刷6agを施したので、コ
ンソールキーのキートップ上面6a1が局所的に強く光ることが防止でき、全領域をほぼ
均一に光らせることができる。
【0047】
従って、簡単な構成で、広い面積を有するキートップであっても、その上面を均一に光らせることが可能であるという作用効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の活用例として、実施例以外にコードレスホン、PDA(Personal Digital Assistant)、PHS(Personal Handy-phone System)、電子手帳、電子辞典等の電子機
器に適用可能であり、小型の電子機器であれば種類に限定されることなく、本発明を有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)および(b)は、本発明の実施例に関わる携帯電話機の蓋体を開いた状態を示す斜視図、および蓋体を閉じた状態の斜視図。
【図2】実施例の携帯電話機の蓋体において外ケースを外した場合のコンソールキーのキートップ下面の印刷等を表したキートップ近傍域を示す上面図。
【図3】図2のC−C線断面図。
【図4】図3のD部拡大図。
【図5】従来の携帯電話機を示す斜視図。
【図6】従来の携帯電話機の本体における多機能キー・決定キーのキートップ廻りの内部構造を示す上面図。
【図7】図6のA−A線断面図。
【図8】図7のB部拡大図。
【符号の説明】
【0050】
1…携帯電話機(電子機器)、
6…コンソールキー(押し釦スィッチ)、
6a…キートップ、
6a1…キートップ上面、
6ag…灰色のシルク印刷(遮光用印刷)、
L1…発光ダイオード(光源)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し釦スィッチの外部に露出するキートップを内部の光源によって照光する電子機器の押し釦スィッチの照光構造であって、
前記光源は、前記キートップの下方に配置されるとともに、該キートップ上面が延在する方向に沿って光を照射する
ことを特徴とする電子機器の押し釦スィッチの照光構造。
【請求項2】
前記キートップの上面と前記光源間に、前記光の照射方向に沿う方向であるとともに前記光源が照射する光に対向して、前記光源近くを濃として該光源から遠ざかるに従い次第に淡となるグラデーションの遮光用印刷を施した
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器の押し釦スィッチの照光構造。
【請求項3】
押し釦スィッチの外部に露出するキートップを内部の光源によって照光する電子機器であって、
前記光源は、前記キートップの下方に配置されるとともに、該キートップ上面が延在する方向に沿って光を照射する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
前記キートップの上面と前記光源間に、前記光の照射方向に沿う方向であるとともに前記光源が照射する光に対向して、前記光源近くを濃として該光源から遠ざかるに従い次第に淡となるグラデーションの遮光用印刷を施した
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−103084(P2007−103084A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289067(P2005−289067)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】