説明

電子機器

【課題】利便性の向上が図れる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器としてのプロジェクタ1を構成する操作パネル4は、押圧された場合に所定の信号を出力し、方向に関する情報を入力するための複数の方向スイッチ411U,411D,411L,411Rが実装された回路基板41と、複数の方向スイッチ411U,411D,411L,411Rを押圧するためのスイッチ押圧部42とを備える。スイッチ押圧部42は、各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rを平面的に覆う形状を有し、各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rを押圧するための方向キートップ44を備える。方向キートップ44の外周には、回路基板41に当接し、方向キートップ44を回路基板41に対して近接隔離する方向に揺動自在とする4つの支持部443が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力操作するための操作パネルを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者に操作を促し、電子機器の起動等を実施するための操作パネルが電子機器の外装筺体に配設されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の操作パネルは、プロジェクタの外装筺体に配設された操作パネルである。この操作パネルは、外装筺体の孔から外部に露出する複数のキートップと、外装筐体内部に配置され、キートップの押下により押圧されて所定の信号を出力する複数のスイッチが実装された回路基板とを備える。そして、キートップの押下により、プロジェクタの各種機能を発揮させる構成となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−272094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のスイッチとしては、例えば、メニュー画面が表示された際に、メニュー画面上の各種項目を選択するために「上」、「下」、「右」、「左」等の方向に関する情報を入力するための複数の方向スイッチを含んでいる構成が多用される。
ここで、特許文献1に記載の操作パネルでは、複数のスイッチに対応させてキートップをそれぞれ設けた構成としている。このような構成では、複数のキートップのうちどのキートップが方向に関する情報を入力するためのキートップであるかを利用者に認識させることが難しく、利便性の向上が図れない。
【0005】
本発明の目的は、利便性の向上が図れる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、入力操作するための操作パネルを備えた電子機器であって、前記操作パネルは、押圧された場合に所定の信号を出力し、方向に関する情報を入力するための複数の方向スイッチが実装された回路基板と、前記回路基板に積層配置され前記複数の方向スイッチを押圧するためのスイッチ押圧部とを備え、前記スイッチ押圧部は、前記複数の方向スイッチを平面的に覆う形状を有し、前記複数の方向スイッチを押圧するための方向キートップを備え、前記方向キートップの外周には、前記操作パネルを組み立てた状態で、前記回路基板に向けて突出して前記回路基板に当接し、前記方向キートップを前記回路基板に対して近接隔離する方向に揺動自在とする少なくとも3つの支持部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、回路基板に実装される方向スイッチとしては、「上」、「下」、「右」、「左」の4方向の4つの方向スイッチの他、その他の方向を含んだ4つ以上の方向スイッチや、例えば、「上」および「下」や「右」および「左」の2方向の2つの方向スイッチのみとしても構わない。
また、支持部としては、回路基板に当接した状態で、方向キートップを回路基板に対して近接隔離する方向に揺動自在とすればいずれの構造でもよく、例えば、所定の弾性力を有する板ばね構造を採用できる。
【0008】
本発明では、電子機器を構成する操作パネルにおいて、スイッチ押圧部は、方向キートップを備える。そして、方向キートップは、複数の方向スイッチを平面的に覆う形状を有し、複数の方向スイッチを押圧可能に構成されている。すなわち、単体の方向キートップで、複数の方向スイッチをそれぞれ押圧可能に構成されている。このことにより、方向キートップを、スイッチ押圧部を構成する他の各キートップよりも大きいサイズで構成できる。また、方向キートップとスイッチ押圧部を構成する他の各キートップとを別体で構成することで、方向キートップと押圧部本体を構成する各キートップとで色等を変えて見え方の違う構成とすることができる。したがって、操作パネルにおいて、複数のキートップの中から方向に関する情報を入力するための方向キートップを利用者に認識させ易い構造を実現でき、利便性の向上が図れる。
【0009】
ところで、例えば、方向キートップにおいて、支持部を設けない構成とした場合には、以下の問題が生じ易い。
方向キートップは、複数の方向スイッチを押圧するために、外装筐体と回路基板との間において、回路基板に対して近接隔離する方向に移動可能とする必要がある。すなわち、外装筐体または回路基板に対して所定の隙間を空けた状態で方向キートップを配設する必要がある。このような構成では、方向キートップが操作されていない状態であっても、外装筐体(孔)と方向キートップとの間に隙間が生じる恐れがあり、電子機器の外観上、好ましくない。また、スピーカやファン等の振動に連動して方向キートップが回路基板に対する近接隔離する方向(操作方向)にがたつき易い。
【0010】
本発明では、方向キートップには、回路基板に当接する少なくとも3つの支持部が設けられている。また、少なくとも3つの支持部は、回路基板に当接した状態で、方向キートップを操作方向に揺動自在とする。このことにより、回路基板に対して方向キートップを安定した状態で配設でき、また、利用者により方向キートップを操作方向に円滑に操作させることができる。また、方向キートップが操作されていない状態では、少なくとも3つの支持部により方向キートップが回路基板に対して離間する側に押圧された状態となるため、外装筐体(孔)と方向キートップとの間に隙間が生じることがなく、電子機器の外観を好ましいものとすることができる。さらに、スピーカやファン等から方向キートップへの振動の伝達を少なくとも3つの支持部にて緩和できるため、スピーカやファン等の振動に連動して方向キートップが操作方向にがたつくことも抑制できる。
【0011】
本発明の電子機器では、前記少なくとも3つの支持部は、前記操作パネルを組み立てた状態で、前記複数の方向スイッチの中心位置を中心とした回転対称位置にそれぞれ設けられていることが好ましい。
本発明では、少なくとも3つの支持部は、上述した位置にそれぞれ設けられているので、回路基板に対して方向キートップをさらに安定した状態で配設できる。
【0012】
本発明の電子機器では、前記方向キートップには、前記操作パネルを組み立てた状態で、前記複数の方向スイッチの中心位置に対応する位置に、前記回路基板に向けて突出する押圧規制部が設けられ、前記押圧規制部の突出方向先端位置は、前記支持部の突出方向先端位置に対して、前記回路基板から離間する位置に位置付けられていることが好ましい。
ところで、例えば、方向キートップにおいて、上述した押圧規制部を設けない構成とした場合には、以下の問題が生じ易い。
すなわち、方向キートップにおける複数の方向スイッチの中心位置に対応する位置(以下、中心対応位置)が利用者により押下された場合には、方向キートップ全体が押し下げられ、複数の方向スイッチ全体が押圧されてしまう。
本発明では、方向キートップには、上述した押圧規制部が設けられている。すなわち、押圧規制部は、方向キートップが操作されていない状態では、回路基板との間に所定の隙間を有した状態に設定されている。また、押圧規制部は、方向キートップにおける前記中心対応位置が利用者により押下された場合に、回路基板に当接するように設定されている。このことにより、方向キートップにおける前記中心対応位置が利用者により押下された場合であっても、押圧規制部が回路基板に当接することで方向キートップ全体の押し下げを停止させ、方向キートップにより複数の方向スイッチ全体が押圧されてしまうことを抑制できる。
【0013】
本発明の電子機器では、前記複数の方向スイッチは、前記回路基板における所定位置を中心とした90°の回転対称位置にそれぞれ実装された4つで構成され、前記方向キートップには、前記操作パネルを組み立てた状態で、4つの前記方向スイッチに対応する位置から前記回路基板における前記所定位置を中心とした回転方向に45°ずれた位置に、前記回路基板に向けて突出する4つの押圧規制部がそれぞれ設けられ、前記押圧規制部の突出方向先端位置は、前記支持部の突出方向先端位置に対して、前記回路基板から離間する位置に位置付けられていることが好ましい。
ところで、複数の方向スイッチを上述した4つで構成し、例えば、方向キートップにおいて、上述した押圧規制部を設けない構成とした場合には、以下の問題が生じ易い。
すなわち、方向キートップにおける4つの方向スイッチに対応する位置から前記回転方向に45°ずれた位置(以下、ずれ位置)が利用者により押下された場合には、方向キートップにおける前記回転方向に沿って隣接して実装される2つの方向スイッチの間に対応する領域(以下、ずれ領域)が押し下げられ、前記2つの方向スイッチが押圧されてしまう。
本発明では、方向キートップには、上述した押圧規制部が設けられている。すなわち、押圧規制部は、方向キートップが操作されていない状態では、回路基板との間に所定の隙間を有した状態に設定されている。また、押圧規制部は、方向キートップにおける前記ずれ位置が利用者により押下された場合には、回路基板に当接するように設定されている。このことにより、方向キートップにおける前記ずれ位置が利用者により押下された場合であっても、押圧規制部が回路基板に当接することで方向キートップにおける前記ずれ領域の押し下げを停止させ、方向キートップにより前記2つの方向スイッチが押圧されてしまうことを抑制できる。
【0014】
本発明の電子機器では、前記支持部は、前記操作パネルを組み立てた状態で、4つの前記方向スイッチに対応する位置から前記回転方向に45°ずれた位置にそれぞれ設けられていることが好ましい。
本発明では、支持部は、上述した位置にそれぞれ設けられた4つで構成されている。このことにより、方向キートップにおける前記ずれ位置が利用者により押下された場合であっても、上述した押圧規制部に加えて、支持部の付勢力により、前記2つの方向スイッチが押圧されてしまうことを抑制できる。
【0015】
本発明の電子機器では、当該電子機器は、光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであることが好ましい。
本発明によれば、上述した電子機器をプロジェクタとすることで、上述した効果を好適に図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1は、電子機器としてのプロジェクタ1の外観を示す斜視図である。
図2は、プロジェクタ1の内部構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して画像光(カラー画像)を形成し、形成したカラー画像をスクリーン(図示略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1または図2に示すように、外装筐体2と、光学ユニット3(図2)と、操作パネル4(図1)とで大略構成されている。
なお、図2において、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内には、光学ユニット3の他、プロジェクタ1内部の各構成部材を冷却する冷却ファン等を備えた冷却ユニット、およびプロジェクタ1内部の各構成部材を制御する制御装置等が配置される。
【0017】
外装筐体2は、図1に示すように、略直方体形状を有し、プロジェクタ1の天面側を構成するアッパーケース21と、プロジェクタ1の底面側を構成するロアーケース22等で構成される。そして、各ケース21,22は、互いにねじ等で固定されている。
アッパーケース21において、天面部分には、図1に示すように、操作パネル4の後述する押圧部本体の複数のキートップを外部に露出させるための複数の操作用孔211と、操作パネル4の後述する方向キートップ等を外部に露出させるための操作用孔212とが形成されている。そして、プロジェクタ1を組み立てた状態では、各操作用孔211,212を介して、操作パネル4の操作が可能となる。
また、各操作用孔211,212の縁部分には、アッパーケース21の内側に向けて(下方側に向けて)突出するリブ211A,212A(図4参照)がそれぞれ形成されている。
【0018】
光学ユニット3は、前記制御装置による制御の下、光源から射出された光束を光学的に処理して画像信号(画像情報)に対応したカラー画像を形成し、スクリーンに拡大投射する。この光学ユニット3は、図2に示すように、光源ランプ311やリフレクタ312等を有する光源装置31と、レンズアレイ321,322、偏光変換素子323、および重畳レンズ324等を有する照明光学装置32と、ダイクロイックミラー331,332、および反射ミラー333等を有する色分離光学装置33と、入射側レンズ341、リレーレンズ342、および反射ミラー343,344等を有するリレー光学装置34と、前記制御装置による制御の下、光源装置31から射出された光束を画像信号に応じて変調する光変調装置としての3つの液晶パネル351、3つの入射側偏光板352、3つの射出側偏光板353、および3つの液晶パネル351にて変調された光束を合成してカラー画像を形成する色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム354等を有する光学装置35と、カラー画像を拡大投射する投射光学装置としての投射レンズ36と、これら各光学部品31〜36を内部に設定された照明光軸Aに対する所定位置に配置する光学部品用筐体37とを備える。
なお、上述した各光学部品31〜36については、種々の一般的なプロジェクタの光学系として利用されているため、具体的な説明を省略する。
【0019】
図3および図4は、操作パネル4の構造を示す図である。具体的に、図3は、アッパーケース21に対する操作パネル4の配設状態を示す分解斜視図である。図4は、アッパーケース21に対する操作パネル4の配設状態を示す断面図である。
操作パネル4は、図3に示すように、アッパーケース21の天面部分の平面視略中央部分に左右方向に延びるように設けられ、利用者にプロジェクタ1の起動・調整操作等を実施させるものである。この操作パネル4は、図3または図4に示すように、回路基板41と、スイッチ押圧部42とを備える。
【0020】
回路基板41には、図3または図4に示すように、複数のタクトスイッチ411が実装されている。
複数のタクトスイッチ411は、図3または図4に示すように、リード端子4111を回路基板41に半田付けすることで実装されている。これらタクトスイッチ411には、その上面部から突出するとともに、内部に配置されたばね板を押し下げるためのボタン部4112が設けられている。初期状態においては、ばね板と回路基板41上に形成された図示しない接点との間には隙間が形成されているが、スイッチ押圧部42の後述するキートップを押し下げてタクトスイッチ411上のボタン部4112を押圧することで、回路基板41上に形成された接点にばね板が押圧される。
例えば、複数のタクトスイッチ411は、具体的な図示は省略したが、プロジェクタ1の電源ON/OFFを実施するための電源スイッチ、画像の入力を切り換えるための入力切換スイッチ、メニュー画面を表示させるためのメニュースイッチ等を備えている。
そして、回路基板41から各種タクトスイッチ411の押下に応じた信号が前記制御装置に出力され、前記制御装置により各種タクトスイッチ411の押下に応じた制御(電源ON/OFF、画像の入力切換、メニュー画面の表示等)が実施される。
【0021】
また、複数のタクトスイッチ411は、図3に示すように、「上」、「下」、「左」、「右」の4つの方向に関する情報を入力するための方向スイッチとしての4つのタクトスイッチ411U,411D,411L,411R(「上」の方向に関する情報を入力するための上方向スイッチ411U、「下」の方向に関する情報を入力するための下方向スイッチ411D、「左」の方向に関する情報を入力するための左方向スイッチ411L、「右」の方向に関する情報を入力するための右方向スイッチ411R)を備えている。
ここで、各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rは、図3に示すように、回路基板41の左側に位置するタクトスイッチ411Oを囲み、タクトスイッチ411Oを中心とした90°の回転対称位置にそれぞれ実装されている。
そして、回路基板41から各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rの押下に応じた信号が前記制御装置に出力され、前記制御装置により各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rの押下に応じた制御(例えば、表示されたメニュー画面上の各種項目の選択等)が実施される。
【0022】
また、回路基板41には、図3または図4に示すように、各方向スイッチ411U,411D,411L,411R近傍(タクトスイッチ411Oから離間する側)に、スイッチ押圧部42の後述する方向キートップ44を位置決めするための位置決め用孔412がそれぞれ形成されている。
【0023】
スイッチ押圧部42は、利用者により操作される部分である。このスイッチ押圧部42は、図3または図4に示すように、回路基板41の上方側に積層配置され、押圧部本体43と、方向キートップ44とを備える。
図5は、押圧部本体43の構成を示す斜視図である。
押圧部本体43は、図5に示すように、複数のキートップ431と、ベース部材432とを備え、これら複数のキートップ431およびベース部材432が一体的に構成されたものである。
【0024】
複数のキートップ431は、複数のタクトスイッチ411のうち各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rを除く他のタクトスイッチ411O,411E(図3)に応じた位置にそれぞれ配設され、利用者による操作により押し下げられてタクトスイッチ411O,411Eを押圧するものである。なお、これらキートップ431は、図5に示すように、略同様に構成されたものであるため、以下では、1つのキートップ431のみを説明する。
このキートップ431は、図5に示すように、操作部4311と、遮光部4312とで構成される。
操作部4311は、図5に示すように、略円柱形状を有し、利用者により操作される(押し下げられる)部分である。
遮光部4312は、図5に示すように、操作部4311の押し下げ方向(タクトスイッチ411に向かう方向、以下、操作方向)先端部分の外周から回路基板41に沿って延出し、操作方向基端側に向かって立ち上がる断面略L字形状を有する。
そして、プロジェクタ1を組み立てた状態では、図4に示すように、操作用孔211に操作部4311が遊嵌状態で配置され、操作用孔211から操作部4311が外部に露出し、利用者により操作部4311の操作が可能となる。
ここで、タクトスイッチ411Oを押圧するためのキートップ431O(図5)を除く他のキートップ431は、図4に示すように、操作部4311と遮光部4312との溝にリブ211Aが遊嵌状態で配置された状態となる。そして、遮光部4312およびリブ211Aにより、外装筐体2内部から外部への操作用孔211を介した光漏れを防止している。
【0025】
ベース部材432は、図5に示すように、回路基板41の外形形状と略同一の外形形状の平面視矩形枠形状を有し、枠状内側部分にて複数のキートップ431を支持する。このベース部材432には、図5に示すように、枠状内側面から枠内部に向かって延びる支持材4321が形成され、該支持材4321の先端部分がキートップ431の遮光部4312に接続する。そして、操作部4311が利用者により操作されると、支持材4321が枠体に対して屈曲して、キートップ431が押し下げられる。
【0026】
図6は、方向キートップ44の構造を示す斜視図である。具体的に、図6(A)は、方向キートップ44をプロジェクタ1の天面側から見た斜視図である。図6(B)は、方向キートップ44をプロジェクタ1の底面側から見た斜視図である。
方向キートップ44は、図3に示すように、押圧部本体43とは別体で構成され、利用者による操作により押し下げられて各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rを押圧するものである。この方向キートップ44は、図6に示すように、方向用操作部441と、方向用遮光部442と、4つの支持部443とを備える。
【0027】
方向用操作部441は、図3または図4に示すように、各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rを平面的に覆う形状を有し、利用者により操作される(押し下げられる)部分である。この方向用操作部441は、図6に示すように、基部4411と、延出部4412とを備える。
基部4411は、図6に示すように、略中心部分にキートップ431Oの操作部4311を遊嵌状態で配置するための円孔4411Aを有する平面視円環形状を有する。
この基部4411の裏面には、図6(B)に示すように、各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rに応じた各位置(円環形状の中心位置を中心とした90°の回転対称位置)に、十字状の当接部4411BU,4411BD,4411BL,4411BRがそれぞれ立設されている。
【0028】
そして、基部4411の円環状の輪帯部分である上側領域ArU(図6(A))が利用者による操作によって押し下げられた際に、当接部4411BUが方向スイッチ411Uに当接して方向スイッチ411Uが押圧される。同様に、各下側領域ArD、左側領域ArL、右側領域ArR(図6(A))が押し下げられた際に、各当接部4411BD,4411BL,4411BRが各方向スイッチ411D,411L,411Rに当接して押圧する。
また、基部4411の裏面には、図6(B)に示すように、円孔4411Aの縁部から方向用操作部441の操作方向に突出する第1リブ4411Cと、第1リブ4411Cの外側に位置し第1リブ4411Cを囲う第2リブ4411Dとがそれぞれ立設されている。
延出部4412は、図6に示すように、基部4411の外縁部分から方向用操作部441の操作方向に延出する部分である。
【0029】
方向用遮光部442は、図6に示すように、方向用操作部441の操作方向先端部分の外周から回路基板41に沿って延出し、操作方向基端側に向かって立ち上がる断面略L字形状を有する。
そして、プロジェクタ1を組み立てた状態では、図4に示すように、操作用孔212に方向用操作部441が遊嵌状態で配置され、操作用孔212から方向用操作部441が外部に露出し、利用者による方向用操作部441の操作が可能となる。また、円孔4411Aにキートップ431Oの操作部4311が遊嵌状態で配置され、円孔4411Aからキートップ431Oの操作が可能となる。
ここで、方向キートップ44は、図4に示すように、方向用操作部441と方向用遮光部442との溝にリブ212Aが遊嵌状態で配置された状態となる。また、キートップ431Oは、操作部4311と遮光部4312との溝に第1リブ4411Cが遊嵌状態で配置された状態となり、かつ、遮光部4312が第1リブ4411Cと第2リブ4411Dとの溝に遊嵌状態で配置された状態となる。そして、方向用遮光部442およびリブ212Aと、遮光部4312および各リブ4411C,4411Dとにより、外装筐体2内部から外部への操作用孔212および円孔4411Aを介した光漏れを防止している。
【0030】
この方向用遮光部442において、操作方向先端部分には、図6(B)に示すように、回路基板41の各位置決め用孔412に対応する位置(方向用操作部441における円環形状の中心位置を中心とした90°の回転対称位置)に、位置決め突起4421がそれぞれ突設されている。そして、プロジェクタ1を組み立てた状態では、図4に示すように、各位置決め突起4421が各位置決め用孔412に挿通され、回路基板41に対して方向キートップ44が位置決めされる。
【0031】
また、この方向用遮光部442において、操作方向先端部分には、図6(B)に示すように、各位置決め突起4421に対して、方向用操作部441における円環形状の中心位置を中心とした回転方向に沿って45°ずれた位置に、押圧規制部4422がそれぞれ突設されている。
ここで、各押圧規制部4422の操作方向先端位置は、図6に示すように、各支持部443の操作方向先端位置に対して、回路基板41から離間する位置に位置付けられている。
【0032】
また、方向用操作部441の延出部4412、および方向用遮光部442には、図6(B)に示すように、回路基板41から離間する方向に切り込まれた2つの切り欠き部44Aが形成されている。そして、2つの切り欠き部44Aには、具体的な図示は省略したが、プロジェクタ1を組み立てた状態では、キートップ431Oに接続する2つの支持材4321O(図5)が挿通される。
【0033】
4つの支持部443は、方向用遮光部442の操作方向先端部分の外周から操作方向に突出し、プロジェクタ1を組み立てた状態で、図4に示すように、回路基板41に当接する部分である。また、4つの支持部443は、図6(B)に示すように、各押圧規制部4422に対応した位置(方向用操作部441における円環形状の中心位置を中心とした90°の回転対称位置)にそれぞれ形成されている。なお、これら支持部443は、図6に示すように、同様のものであるため、以下では、1つの支持部443のみを詳細に説明する。
より具体的に、支持部443は、図6に示すように、基端部分が回路基板41に略平行に延出し、先端部分が回路基板41に近接する方向に屈曲し、さらに、回路基板41に略平行に延出する形状を有する。
そして、支持部443は、方向キートップ44の材料の剛性、および上述した形状により、基端部分が可撓性を有する板ばね構造で構成されている。すなわち、プロジェクタ1を組み立てた状態で、4つの支持部443が回路基板41に当接して方向キートップ44が回路基板41に支持されるとともに、4つの支持部443により方向キートップ44が操作方向(回路基板41に対して近接隔離する方向)に揺動自在に構成される。
【0034】
上述した本実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、プロジェクタ1を構成する操作パネル4において、スイッチ押圧部42は、押圧部本体43と、該押圧部本体43とは別体で構成された方向キートップ44とを備える。そして、方向キートップ44は、各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rを平面的に覆う形状を有し、各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rを押圧可能に構成されている。すなわち、単体の方向キートップ44で、各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rをそれぞれ押圧可能に構成されている。このことにより、方向キートップ44を、押圧部本体43を構成する各キートップ431よりも大きいサイズで構成できる。また、方向キートップ44と押圧部本体43とが別体で構成されているので、方向キートップ44と押圧部本体43を構成する各キートップ431とで色等を変えて見え方の違う構成とすることができる。したがって、操作パネル4において、複数のキートップ431,44の中から方向に関する情報を入力するための方向キートップ44を利用者に認識させ易い構造を実現でき、利便性の向上が図れる。
【0035】
また、方向キートップ44には、回路基板41に当接する4つの支持部443が設けられている。また、4つの支持部443は、回路基板41に当接した状態で、方向キートップ44に揺動自在とする。このことにより、簡素な構成で、回路基板41に対して方向キートップ44を安定した状態で配設でき、また、利用者により方向キートップ44を操作方向に円滑に操作させることができる。また、方向キートップ44が操作されていない状態では、4つの支持部443により方向キートップ44が回路基板41に対して離間する側に押圧された状態となるため、アッパーケース21の操作用孔212と方向キートップ44との間に隙間が生じることがなく、プロジェクタ1の外観を好ましいものとすることができる。さらに、スピーカやファン等から方向キートップ44への振動の伝達を4つの支持部443にて緩和できるため、スピーカやファン等の振動に連動して方向キートップ44が操作方向にがたつくことも抑制できる。
【0036】
ここで、4つの支持部443は、方向用操作部441における円環形状の中心位置を中心とした90°の回転対称位置にそれぞれ設けられているので、回路基板41に対して方向キートップ44をさらに安定した状態で配設できる。
【0037】
また、方向キートップ44には、4つの押圧規制部4422が設けられている。すなわち、各押圧規制部4422は、方向キートップ44が操作されていない状態では、回路基板41との間に所定の隙間を有した状態に設定されている。また、各押圧規制部4422は、方向キートップ44における各領域ArU,ArD,ArL,ArRの境界位置P1〜P4(図6)が利用者により押下された場合には、回路基板41に当接するように設定されている。このことにより、方向キートップ44における各境界位置P1〜P4が利用者により押下された場合であっても、押圧規制部4422が回路基板41に当接することで方向キートップ44における各境界位置P1〜P4を含む各領域の押し下げを停止させ、方向キートップ44により4つの方向スイッチ411U,411D,411L,411Rのうち隣接して実装される2つの方向スイッチ(境界位置P1が押下された場合は方向スイッチ411U,411R、境界位置P2が押下された場合は方向スイッチ411R,411D、境界位置P3が押下された場合は方向スイッチ411D,411L、境界位置P4が押下された場合は方向スイッチ411L,411U)が押圧されてしまうことを抑制できる。
【0038】
ここで、4つの支持部443は、各押圧規制部4422に対応した位置にそれぞれ設けられている。このことにより、方向キートップ44における各境界位置P1〜P4が利用者により押下された場合であっても、上述した押圧規制部4422に加えて、支持部443の付勢力により、前記2つの方向スイッチが押圧されてしまうことを抑制できる。
【0039】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、回路基板41に、「上」、「下」、「右」、「左」の4方向の4つの方向スイッチ411U,411D,411L,411Rが実装された構成を説明したが、その他の方向を含んだ4つ以上の方向スイッチが実装された構成や、例えば、上方向スイッチ411Uおよび下方向スイッチ411Dや、左方向スイッチ411Lおよび右方向スイッチ411Rの2つの方向スイッチのみが実装された構成としても構わない。この際、方向キートップ44としては、各方向スイッチを平面的に覆う平面形状を有するように構成すればよい。
【0040】
図7は、前記実施形態の変形例を示す図である。具体的に、図7は、図6に対応した図である。
前記実施形態において、方向キートップ44の構成は、前記実施形態で説明した構成に限らない。
例えば、方向キートップ44は、平面視円環形状で構成していたが、矩形状、円形状、三角形状、その他の多角形状等、種々の平面形状で構成しても構わない。
ここで、回路基板41におけるタクトスイッチ411Oを省略し、方向キートップ44´を図7に示すように平面視円形状に構成した場合には、押圧規制部4422´を以下に示す位置に設けた構成としてもよい。
すなわち、図7(B)に示すように、各方向スイッチ411U,411D,411L,411Rの中心位置に対応する位置PO(図7(A))に、押圧規制部4422´を設ける。また、押圧規制部4422´の突出方向先端位置は、押圧規制部4422の突出方向先端位置と略同一の位置に位置付けられている。このような構成によれば、方向キートップ44´における位置POが利用者により押下された場合であっても、押圧規制部4422´が回路基板41に当接することで方向キートップ44´全体の押し下げを停止させ、方向キートップ44´により方向スイッチ411U,411D,411L,411R全体が押圧されてしまうことを抑制できる。
【0041】
前記実施形態において、支持部443の構成は、前記実施形態で説明した構成に限らない。
例えば、支持部443は、板ばね構造で構成されていたが、これに限らず、回路基板41に当接した状態で、方向キートップ44を操作方向に揺動自在とすればいずれの構造でもよく、例えば、コイルばね等の付勢部材で構成しても構わない。
また、例えば、支持部443は、4つに限らず、少なくとも3つ設けられていれば、その数は、特に限定されない。また、支持部443は、方向用操作部441における円環形状の中心位置を中心とした回転対称位置に設けられていたが、回路基板41に対して方向キートップ44を安定した状態で配設できれば、回転対称位置に限らず、その他の位置に設けた構成を採用してもよい。
【0042】
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネルを用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
前記実施形態では、光変調装置として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。この場合は、光束入射側および光束射出側の偏光板352,353は省略できる。
前記実施形態では、操作パネル4をプロジェクタに搭載していたが、これに限らず、その他の電子機器、例えば、パーソナルコンピュータやリモートコントローラ等に搭載しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の操作パネルは、利便性の向上が図れるため、電子機器に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態における電子機器としてのプロジェクタの外観を示す斜視図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を模式的に示す図。
【図3】前記実施形態における操作パネルの構造を示す図。
【図4】前記実施形態における操作パネルの構造を示す図。
【図5】前記実施形態における押圧部本体の構成を示す斜視図。
【図6】前記実施形態における方向キートップの構造を示す斜視図。
【図7】前記実施形態の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0045】
1・・・プロジェクタ(電子機器)、4・・・操作パネル、31・・・光源装置、36・・・投射レンズ(投射光学装置)、41・・・回路基板、42・・・スイッチ押圧部、43・・・押圧部本体、44,44´・・・方向キートップ、351・・・液晶パネル(光変調装置)、411・・・タクトスイッチ、411U,411D,411L,411R・・・方向スイッチ、443・・・支持部、4422,4422´・・・押圧規制部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作するための操作パネルを備えた電子機器であって、
前記操作パネルは、押圧された場合に所定の信号を出力し、方向に関する情報を入力するための複数の方向スイッチが実装された回路基板と、前記回路基板に積層配置され前記複数の方向スイッチを押圧するためのスイッチ押圧部とを備え、
前記スイッチ押圧部は、
前記複数の方向スイッチを平面的に覆う形状を有し、前記複数の方向スイッチを押圧するための方向キートップを備え、
前記方向キートップの外周には、前記操作パネルを組み立てた状態で、前記回路基板に向けて突出して前記回路基板に当接し、前記方向キートップを前記回路基板に対して近接隔離する方向に揺動自在とする少なくとも3つの支持部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記少なくとも3つの支持部は、前記操作パネルを組み立てた状態で、前記複数の方向スイッチの中心位置を中心とした回転対称位置にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
前記方向キートップには、前記操作パネルを組み立てた状態で、前記複数の方向スイッチの中心位置に対応する位置に、前記回路基板に向けて突出する押圧規制部が設けられ、
前記押圧規制部の突出方向先端位置は、前記支持部の突出方向先端位置に対して、前記回路基板から離間する位置に位置付けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子機器において、
前記複数の方向スイッチは、前記回路基板における所定位置を中心とした90°の回転対称位置にそれぞれ実装された4つで構成され、
前記方向キートップには、前記操作パネルを組み立てた状態で、4つの前記方向スイッチに対応する位置から前記回路基板における前記所定位置を中心とした回転方向に45°ずれた位置に、前記回路基板に向けて突出する4つの押圧規制部がそれぞれ設けられ、
前記押圧規制部の突出方向先端位置は、前記支持部の突出方向先端位置に対して、前記回路基板から離間する位置に位置付けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器において、
前記支持部は、前記操作パネルを組み立てた状態で、4つの前記方向スイッチに対応する位置から前記回転方向に45°ずれた位置にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子機器において、
当該電子機器は、光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタである
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−243635(P2008−243635A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83260(P2007−83260)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】