説明

電子機器

【課題】
制御装置における異常が電源に係る異常であるとき、ホストCPUとサブCPUが同時に情報を発信して情報が停滞した場合には、情報処理に時間がかかり、保護回路が動作するまでに時間がかかり、発火・火災の発生につながるという重大な課題が残っていた。
【解決手段】
サブCPUは、メインCPUから独立して動作し、監視すべき分圧値が所定値になってから所定時間経過した後に前記分圧値の監視を開始するよう制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源異常を検知して電源をオフする制御を行う保護回路を有する電子機器に関し、特にメインCPUとは別に待機電力の省電力化を実現するためのサブCPUを利用した保護回路を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器は、半導体素子の集積度の向上に伴い、高速化、高機能化を続け、その性能向上は著しい。一方、性能向上に合わせてアプリケーションも高度化を続け、アプリケーションが取り扱うデータも大容量化を続けているため、電子機器に求められる性能は数年前に比べて飛躍的に高くなっている。こうした要求に応えるべく、電子機器に搭載されるLSIは、専用ハードウェア回路によって高速化を図るとともに、ソフトウェア実行性能を向上させるために複数のマイコンを1つのLSIへ搭載する例も増えてきている。
【0003】
一方、近年電子機器の消費電力を抑えるために省電力規格を制定し、国際的に取り組みが行われている。省電力規格は機器の動作中だけでなく、動作していない時の消費電力も対象としているため、動作時、待機時を含めた消費電力低減が必要である。電子機器の一種である液晶テレビにおいても国際的な省電力規制が適用され、他の電子機器同様動作時の消費電力だけでなく待機電力も抑えることが必要となってきている。
【0004】
待機電力を抑えるために、電子機器の電源を遮断する方法が考えられるが、この場合にはユーザが電子機器の本体のメカ的なスイッチをオン・オフする必要が有り、近年の大半の電子機器がリモコンによる遠隔装置によって電源をオン・オフするよう制御され、利便性を向上する傾向にあるが、前記の方法はこれに相反する方法となり、現実的ではない。
【0005】
そこで近年では、電子機器の複雑な動作制御を行なうメインCPUとは別に、ユーザからの特定の指令のみを処理するためのサブCPUを設けることによって、待機時の電力を抑えている。すなわち、リモコンなどによる遠隔操作が可能な電子機器において、待機時に必要とされる動作は電源をオンすることで有り、この電源オンの指令のみを受け取り、電源をオンさせる動作をサブCPUに制御させるようにするのである。このように特定の指令のみを処理するだけであれば、サブCPUの集積度は低く、サブCPUで消費する電力は極めて少ないため、待機時の省電力化を実現することが可能となる。
【0006】
また、電子機器を構成する電子回路上に、回路の異常動作を検出するための検出箇所を設け、メインCPUがこれを常時監視し、異常を検出した場合には電源をオフするなどの処理を行って、電子機器の回路保護を行うようなされている。前述のとおり、電源のオン・オフはサブCPUで行っているため、異常を検出したメインCPUは、サブCPUに対して電源をオフするよう指令を送る必要が有り、この指令を送るためにメインCPUとサブCPUの間で通信するための通信手段が設けられる。
【0007】
特許文献1には、ホストCPU(メインCPU)とサブCPUとを通信回路で接続し、この通信によって電子機器の異常を検出してサブCPUをリセットして電子機器の暴走を回避する技術が開示されている。図4を参照しながら、特許文献1に記載の技術について説明を行う。
【0008】
特許文献1に記載の発明では、ホストCPU402と、ホストCPU402からの制御命令によって動作するサブCPU403と、サブCPU403をリセットするリセット回路406とを備えており、さらに、サブCPU403は、ホストCPU402からサブCP
U403に送られてきた制御命令が正常であるか、異常であるかを判断し、判断結果に基づいて制御命令正常あるいは制御命令異常をホストCPU402へ通知し、判断結果が異常である場合には、リセット回路406を制御してサブCPU403自身をリセットする。このように、リセット回路手段を制御してサブCPU自身をリセットすることによって、ホストCPUの暴走、サブCPUの暴走、通信上のノイズ、制御装置自身の異常が原因となる制御装置の異常動作を防止し、制御装置自身が暴走すると言ったような危険な事態の発生を回避する。
【特許文献1】特開平7−84601
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ホストCPUとサブCPUとの間で通信を行うことで制御装置自身の異常を検知しているため、通信機能のためのソフトウェアをホストCPUとサブCPUのそれぞれに搭載する必要が有り、ソフトウェアを格納するための記憶手段であるROMの記憶容量をそれぞれ5キロから6キロバイト大きく取らなければならないため、コストが増大するという課題があった。また、通信機能のためにホストCPUとサブCPUの間に通信経路としてのパターン配線を設ける必要が有り、通信経路への輻射ノイズを避けるためのPCBのパターン引き回しの検討によって設計開発期間を長期化させるという課題があった。また、ホストCPUとメインCPUの間では、通信機能によって、ユーザインターフェースからの情報であるリモコンの各入力キー信号や、メインCPUが暴走していないかどうかなどの信号を常時通信しているため、通信する情報が大きい場合や、ホストCPUとサブCPUが同時に情報を発信して情報が停滞した場合には、情報処理に時間がかかり、制御装置自身の暴走を回避することが出来ないという課題も残っていた。特に、制御装置における異常が電源に係る異常であった場合には、前述のように情報処理に時間がかかれば、発火・火災の発生につながるという最も重大な課題が残っていた。
【0010】
本発明の発明者は、前記の問題点を解決すべく種々検討を行った結果、特に危険な状態を回避するための異常検出を行うことに着目し、従来ではメインCPUとサブCPUとの間に設けられた通信機能を抹消し、かつ、異常検出を監視するタイミングを設定する簡易な手段を設けることで、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
そこで本発明は、低消費電力を実現するためのサブCPUを有する電子機器において、通信機能を有さずに、確実に電子機器の電源異常を検知して、回路を保護するよう制御可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、電子機器において、パワートランス又はスイッチングレギュレータを少なくとも有する主電源部と、ユーザからの指令を受けるインターフェースと、前記インターフェースから少なくともパワーオン・オフ指令を受け取って前記主電源部をオン・オフするサブCPUと、前記主電源部からの出力電圧を昇圧するためのインバータ回路と、前記主電源部と前記インバータ回路との間に接続されたインバータスイッチと、前記インバータスイッチをオン・オフするメインCPUと、前記主電源部の出力電圧を分圧する分圧回路とを有し、前記インターフェースがユーザからのパワーオン指令を受けると、前記サブCPUが前記主電源部をオンし、前記メインCPUが前記インバータスイッチをオンし、次に前記サブCPUが前記分圧回路によって分圧された分圧値の監視を開始し、前記分圧値が予め設定された電圧範囲から外れた場合には電源異常と判断して前記主電源をオフするよう制御を行い、前記サブCPUは、前記メインCPUから独立して動作し、前記分圧値が、該電子機器の正常動作を確保するために予め設定された所定値になっ
てから所定時間経過後に前記分圧値の監視を開始するよう制御することを特徴とする。
【0013】
前記サブCPUは、前記分圧値が、該電子機器の正常動作を確保するために予め設定された所定値になってから100ミリセカンド経過後に前記分圧値の監視を開始するよう制御する。
【0014】
前述のように構成することにより、メインCPUとサブCPUとの間で通信を行うことなく、電源異常を検出して電子機器を保護するように作用する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、メインCPUとサブCPUとの間での通信機能を抹消したことで、通信機能のためのソフトウェアを格納するための記憶手段であるROMの記憶容量を小さくすることができ、電子機器の製造コストを低減することが可能となる。また、通信機能のためにホストCPUとサブCPUの間に通信経路としてのパターン配線を設ける必要がないため、通信経路への輻射ノイズを避けるためのPCBのパターン引き回しの検討によって設計開発期間を短縮することが可能となる。また、通信機能を有さず、サブマイコンが直接電源の異常を検出するよう構成したので、電源異常を即座に検出して主電源部の電源をオフすることが可能となり、電子回路の異常動作による発火などの重大な問題を回避することが可能となる。また、ユーザからパワーオンの指令を受けてから、主電源部がオンし、主電源部の出力電圧が電子機器の通常動作に必要となる値に達するまでに、数セカンドから数十セカンド掛かるため、主電源部の出力電圧が、電子機器の通常動作に必要となる電圧値に達して安定するまでの所定時間後に、サブCPUが分圧回路の分圧値の監視を開始するよう制御することによって、メインCPUがサブCPUに対して監視タイミングを通信で知らせずとも、サブCPUが分圧値の監視を開始するタイミングを知ることが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、前記サブCPUは、前記分圧値が所定値になってから100ミリセカンド経過後に分圧値の監視を開始するよう制御している。これは、ユーザからパワーオンの指令を受けてから、主電源部がオンし、主電源部の出力電圧が電子機器の通常動作に必要となる値に達するまでに、数セカンドから数十セカンド掛かるため、
通常動作に必要な電圧値に達する前に、サブCPUが分圧値の監視を開始すると、電源異常と判断して、主電源をオフするように動作するため、永久にパワーオン動作が出来ない。従って請求項2に記載の発明では、パワーオンの指令を受けてから、主電源をオンして、100ミリセカンド経過後には、通常動作に必要な電圧値に確実に到達しているため、ここから分圧回路の分圧値を開始することで、異常電圧を誤って検出することを回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態としての光ピックアップの構成ならびに動作について図面を参照しながら説明する。
【0018】
まず、図1は本発明に係る液晶テレビジョンのブロック図を表している。液晶テレビジョン100は、画像データ生成回路101と、パネル駆動回路102と、液晶モジュール103と、主電源部104と、メインCPU105と、インバータ回路106と、音声処理部107と、リモコン108から送信されてきたユーザからの制御コマンドを受信するリモコン受光部109と、リモコン受光部109から受けたパワーオンコマンドによって主電源部104をオンするサブCPU110と、インバータ回路106への入力電圧を分圧する分圧回路111と、主電源部104からの電圧をインバータ回路106にスイッチするインバータスイッチ112からなる。
【0019】
メインCPU105は、パワーオン状態において、リモコン受光部109で受信した制御コマンドに応じて、チャンネルの切換、音量のアップ/ダウン等を制御する。上記構成においてメインCPU105は、液晶テレビジョンを構成する各部と電気的に接続しており、メインCPU105内部の構成部品としてのCPUが、同じくメインCPU105内の構成部品であるROMやRAMなどに書き込まれた各プログラムに従って、液晶テレビジョン全体を制御する。なお、CPUやROMやRAMについては図示を省略している。
【0020】
画像データ生成回路107は、映像信号をその信号レベルに応じてデジタル信号化するとともに、映像信号から抽出した輝度信号と色差信号とに基づいてマトリクス変換処理を行ない、画像データとしてのRGB(レッド、グリーン、ブルー)信号を生成する。音声信号は、音声処理部107を経て、図示しないスピーカーに出力される。
【0021】
パネル駆動回路102では、上記RGB信号を入力するとともにRGB信号に対して液晶モジュール103の画素数(横縦比、m:n)に合わせたスケーリング処理を行い、液晶モジュール103に表示する1画面分の画像データを生成する。そして、このように生成された画像データを液晶モジュール103に出力することにより、液晶モジュール103に画像データに基づく画像表示をさせる。以上より、画像データ生成回路101とパネル駆動回路102とが上記映像処理部を構成する。
【0022】
液晶モジュール103は、内部に液晶パネル103aとバックライト103bと制御回路103cとを有する。制御回路103cは画面表示の制御駆動処理を行う電子回路であり、パネル駆動回路102より出力される画像データから色別にR用液晶パネル、G用液晶パネル、B用液晶パネルを駆動する電圧を生成する。バックライト103bは、インバータ回路106から高電圧が供給されて点灯し、生じた光が液晶パネル103aの背面から照射され、正面方向へ各色の液晶パネルを透過するようになっている。これにより、液晶モジュール103は、画面から画像データに対応する映像、すなわち、映像信号に対応する映像を表示する。
【0023】
主電源部104は、外部電源113(商用電源等)から電源電圧(交流)の供給を受けるとともに、同供給された電源電圧を、各回路へ供給する。主電源部104は、必要に応じて各回路へ供給する電圧を交流から直流へと変換する。インバータ回路106は、主電源部104から供給された直流電圧を交流電圧に変換し、駆動信号としての当該交流電圧をバックライト103bに供給し、バックライト103bを点灯させる。
【0024】
次に、電源回路について説明する。主電源部104は、整流回路104aとスイッチングトランス104bとフィードバック回路104cと発振回路104dとから構成されるスイッチング電源である。スイッチングトランス104bより出力される直流は、液晶テレビジョン100を構成する各部101、102、103、105、107、112、などに供給される。
【0025】
整流回路104aは、整流用ダイオードや平滑用コンデンサ等で構成され、外部電源113から入力される交流を直流に変換して出力する。スイッチングトランス104bは、互いに絶縁された一次コイルと二次コイルとを備え、一次コイルを備えて整流回路104aから直流が入力される一次側と、二次コイルを備えて同一次側に誘起された直流を出力する二次側とで構成される。上記一次側には、整流回路104aより直流が入力されるとともに後述する発振回路104dと接続されてPWM制御され、再整流・平滑された直流が上記二次側に出力される。
【0026】
フィードバック回路104cは、上記二次側からの出力電圧、あるいは出力電流の検出比較を行い、上記二次側からの出力を一定にするように発振回路104dに上記一次側をオ
ン・オフさせる制御を行っている。発振回路104dは、上記一次側をPWM制御して、スイッチングトランス104bの一次コイルに流れる電流をパルス状とする。
【0027】
本実施形態において、主電源部104の出力は、インバータスイッチ112を介してインバータ回路106に接続される。インバータスイッチ112は、メインCPUの制御により、インバータ回路106と主電源部104との接続をオン・オフする。
【0028】
本実施例における液晶テレビジョン100は、主電源部104に外部電源113から電力供給が開始されると、まず、サブCPU110に電力供給され、液晶テレビジョン100は、リモコン108からオン設定の実行を指示する操作入力をリモコン受光部109が受信するのを待ち受ける待機状態となる。待機状態では、サブCPU110以外の各部は電力を消費しない、もしくはほとんど消費しない。つまり、待機状態における主電源部104の負荷は、サブCPU110のみである。このとき、主電源部104は、サブCPU110が必要とする電力を供給するだけの発振を行えばよいため、上記一次側の発振を、パワーオン状態の発振周波数である約100kHzに対して、数キロヘルツの間欠発振を行う。
【0029】
サブCPU105は、常にリモコン受光部109を監視しており、待機設定においてリモコン受光部109がリモコン108より電源オンを指示する操作入力を表す信号を受信すると、主電源部104をオンし、スイッチングトランス104bの発振周波数を約100kHzまで上げ、出力電圧を上昇させる。続いて、メインCPU105がインバータスイッチ112をオンし、インバータ回路106が昇圧を開始して液晶モジュール103に映像を表示するオン設定へと移行する。また、オン設定においてリモコン受光部109がリモコン108から電源オフを指示する操作入力を表す信号を受信すると、メインCPU105は、インバータスイッチ112をオフし、続いてサブCPU110は、主電源部104をオフし、スイッチングトランス104bを間欠発振させ、映像を画面に表示させない待機状態に移行する。
【0030】
以上より、待機状態中にリモコン108から操作入力を受け付けてオン設定する処理はサブCPU110が行い、パワーオン状態中にリモコン108から操作入力を受け付けたときは、まずインバータ回路のオフをメインCPU105が行ない、続いてスイッチングトランス104bの発振周波数を下げて間欠発振させて待機状態に設定する処理はサブCPU110が行なうようになされている。
【0031】
次に、サブCPU110が行うインバータ回路106への入力電圧の監視について説明を行う。リモコン108を介してユーザから電源オンの制御コマンドが送信され、リモコン受光部109が受信し、サブCPU110に送信する。サブCPU110は主電源部104をオンし、主電源部104からメインCPU105に電力が供給される。次にメインCPU105はインバータスイッチ112をオンさせて主電源部104の出力電圧をインバータ回路106に接続する。主電源部104からインバータ回路106への出力電圧は約24ボルトであり、インバータ回路106は、主電源部104から受ける入力電圧24ボルトを1キロボルトまで昇圧する。
【0032】
主電源部104からインバータ回路106への入力電圧の目標電圧値は24ボルトであるが、主電源部104がオンされて、スイッチングトランス104bが発振を開始しても、インバータ回路106への入力電圧は、液晶テレビジョン100全体の高負荷のために、直ぐには24ボルトには到達せず、数セカンドから数十セカンドかけて徐々に目標電圧値の24ボルトに到達する。
【0033】
分圧回路111は、図示しない抵抗によって構成され、主電源部104からのインバータ
回路106への入力電圧を分圧し、サブCPU110はこの分圧値を監視する。インバータ回路106に入力されるべき目標電圧値は24ボルトであり、主電源部104の出力電圧がこの目標電圧値の24ボルトに到達したときには、分圧回路111による分圧値は3.3ボルトになるように、分圧回路111を構成する抵抗の値が設定されている。サブCPU110は、主電源104がオンしてから、インバータ回路106への入力電圧が24ボルトになるまでの所定時間経過後に、分圧回路111の分圧値が、予め定められた電圧値範囲にあるかどうかを監視する。
【0034】
液晶モジュール103が正常に動作を行なうために必要な電圧値は1キロボルトであり、主電源部104からインバータ回路106に入力される電圧値は、インバータ回路106が正常に1キロボルトの電圧値を出力できる値になければならない。分圧回路111で分圧される分圧値の電圧値範囲は、インバータ回路106が正常に1キロボルトの電圧値を出力するために必要な入力電圧となるように設定されている。また、主電源部104からインバータ回路106へ出力される電圧値が、目標電圧値から大きく外れるということは、その他の構成回路である101、107、102、103a、103b、103cなどへの出力電圧もスイッチングトランス104bのコイルの巻数によって設定されているためこれに比例して大きく変動し、インバータ回路106のみならず、液晶テレビジョン自身が正常動作を維持することが出来ない状態に陥る可能性がある。さらには、主電源部104が異常を来たし、発煙・発火などの重大な問題を起こす可能性がある。
【0035】
このため、本実施形態においては、この電圧値範囲を、1.5ボルトから5.0ボルトと設定し、この電圧値範囲から外れた場合には、主電源104をオフするように保護回路が設けられている。サブCPU110は、分圧回路111によって分圧された分圧値を監視し、監視している分圧値が、1.5ボルトを下回った場合と、5.0ボルトを超えた場合には、主電源部104の異常と判断し、主電源部104をオフするために、スイッチングトランス104bの発振を停止させる。
【0036】
次に図2は、本発明の実施形態に係るサブCPUの監視タイミングチャートを表す。図2(a)は、サブCPU(図1、110)が出力するパワーオン信号(以下、P−ON信号)の波形を示す。リモコン(図1、108)からパワーオン制御コマンドが送信され、リモコン受光部(図1、109)がそれを受信し、サブCPUに送信する。サブCPUは主電源部(図1、104)をオンするためのP−ON信号を送り、図2(a)のように0ボルトから5ボルトの電圧値を主電源部に出力する。
【0037】
次に図2(b)は、主電源部(図1、104)の出力波形を示す。サブCPUからP−ON信号を受けた主電源部は、発振回路(図1、104d)によってスイッチングトランス(図1、104b)を100kHz前後で発振させ、インバータ回路(図1、106)に出力するための出力電圧を徐々に上昇させ、24ボルトに達すると、フィードバック回路(図1、104c)が24ボルトを維持するように発振回路の発振周波数を制御する。
【0038】
次に、図2(c)は、分圧回路(図1、111)の分圧値の波形を示す。分圧回路の分圧値は、主電源部の出力電圧を抵抗値による比率で分圧されており、主電源部の出力電圧が24ボルトの時に、3.3ボルトになるように抵抗値が設定されている。P−ON信号が送信されてからの電圧変化は、主電源部の出力電圧の変化に同期して変化する。従って、P−ON信号が出力されてから徐々に上昇を続け、3.3ボルトに到達すると、主電源部のフィードバック回路(図1、104c)が24ボルトを維持するため、3.3ボルトが維持される。図2(c)に示すように、P−ON信号が出力されて、0ボルトから3.3ボルトに到達するまでに数ミリセカンドから数十ミリセカンドの時間を要する。これは、主電源部が発振を開始し始めてから、液晶テレビジョン(図1、100)全体の回路における負荷に対して電力が供給されて安定するまでに要する時間であり、この時間は、主電
源部の電力容量や、液晶テレビジョンの負荷の大きさに依存する。
【0039】
本実施形態において、液晶テレビジョンの正常動作時における分圧回路の最適な分圧値は、3.3ボルトであるが、正常動作を確保できる分圧値の範囲は、1.5ボルトから5.0ボルトに設定されている。従って、サブCPUは、分圧回路の分圧値を監視しているときには、この分圧値が1.5ボルトを下回ったときと、5.0ボルトを超えたときに、異常状態と判断し、主電源部に対して、P−OFF信号であるゼロボルトを出力して、主電源部の発振をオフするように制御する。
【0040】
次に、監視を開始するタイミングについて図2(c)を参照しながら説明する。図2(c)の通り、P−ON信号が出力されてから数ミリセカンドから数十ミリセカンドの間は、分圧値は3.3ボルトに向かって上昇を続けている途中であるため、サブCPUが監視を開始するタイミングは、P−ON信号が出力されてから、100ミリセカンド経過した後に設定されている。なぜなら、正常動作を確保できる分圧値の範囲は、3.3ボルトから5.0ボルトであるため、P−ON信号が出力されたと同時に監視を始めた場合には、分圧値が上昇途中である電圧範囲の下限である1.5ボルトを下回っているため、サブCPUは異常状態と判断して直ぐに主電源をオフするように保護回路が動作してしまい、何度P−ON信号を出力しても、パワーオンできない状態に陥ってしまう。このため、サブCPUがP−ON信号を出力してから、所定時間経過後、本実施形態においては100ミリセカンド経過後、分圧値の監視を開始することで、異常状態を誤って検出することを回避し、正常にパワーオン動作を行なうことが可能となる。
【0041】
次に、図3は、本実施形態の異常状態監視に関する一連の動作フローチャートを示す。パワーオン制御コマンドがリモコン(図1、108)から発信され(ステップS301)、次いでサブCPU(図1、110)からP−ON信号が主電源部(図1、104)に対して出力される(ステップS302)。ここで、サブCPUは直ぐに分圧値の監視を行わず、100ミリセカンドのウェイト時間を有する(ステップS303)。これは、主電源部の出力電圧が徐々に上昇して安定してから監視を開始することで、サブCPUが誤って異常状態を検出することを防止するためである。
【0042】
ステップS303で100ミリセカンドウェイとした後、サブCPUは、分圧回路(図1、111)の分圧値の監視を開始する(ステップS304)。そして、液晶テレビジョンが正常に動作を行なうための条件として、予め定められた電圧値の範囲、1.5ボルトから5.0ボルトに分圧値があるかどうかを監視する(ステップS305)。そして、ステップS305において、分圧値が範囲から外れていると判断された場合には、サブCPUは主電源部に対してパワーオフ信号を出力し(ステップS306)、主電源部は発振を停止してオフする(ステップS307)。なお、ステップS305において、分圧値が、予め定められた電圧値の範囲内にある場合には、継続して分圧値の監視を行う。
【0043】
なお、本実施形態において、主電源部が発振を開始してから出力電圧が安定してから、すなわち、分圧回路の分圧値が3.3ボルトになってから、サブCPUの監視を開始しているが、正常動作を確保できる電圧範囲の下限値である1.5ボルトになってから監視を開始するようにタイミングを早めることも可能である。
【0044】
また、本実施形態において、主電源部からインバータ回路への24ボルト出力ラインに分圧回路を接続して、24ボルトラインの電圧を監視するようにしたが、その他の画像データ生成回、音声処理部、パネル駆動回路、制御回路、液晶パネルなどへの出力ラインに対して分圧回路を接続して、監視を行うようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、省電力化のためにメインCPUとは別にサブCPUを設けて電源制御を行う電子機器に対して好適で有り、特に、電子機器の電源異常を検知して電源をオフするための保護回路を有する電子機器に対して特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る電子機器のブロック図を表す。
【図2】本発明の実施形態に係るサブCPUの監視タイミングチャートを表す。
【図3】本実施形態の異常状態監視に関する一連の動作フローチャートを表す。
【図4】従来技術にブロック図を表す。
【符号の説明】
【0047】
104 主電源部
104b パワートランス
105 メインCPU
108 インターフェース
110 サブCPU
111 分圧回路
112 インバータスイッチ
116 インバータ回路









【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワートランス又はスイッチングレギュレータを少なくとも有する主電源部と、ユーザからの指令を受けるインターフェースと、前記インターフェースから少なくともパワーオン・オフ指令を受け取って前記主電源部をオン・オフするサブCPUと、前記主電源部からの出力電圧を昇圧するためのインバータ回路と、前記主電源部と前記インバータ回路との間に接続されたインバータスイッチと、前記インバータスイッチをオン・オフするメインCPUと、前記主電源部の出力電圧を分圧する分圧回路とを有し、前記インターフェースがユーザからのパワーオン指令を受けると、前記サブCPUが前記主電源部をオンし、前記メインCPUが前記インバータスイッチをオンし、次に前記サブCPUが前記分圧回路によって分圧された分圧値の監視を開始し、前記分圧値が予め設定された電圧範囲から外れた場合には電源異常と判断して前記主電源をオフするよう制御を行う電子機器において、
前記サブCPUは、前記メインCPUから独立して動作し、前記分圧値が、該電子機器の正常動作を確保するために予め設定された所定値になってから所定時間経過後に前記分圧値の監視を開始するよう制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記サブCPUは、前記分圧値が、該電子機器の正常動作を確保するために予め設定された所定値になってから100ミリセカンド経過後に前記分圧値の監視を開始するよう制御する請求項1に記載の電子機器。






【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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