説明

電子機器

【課題】折り畳み可能な回転機構を有する電子機器であって、回転機構における回動の中心軸の調整が容易な電子機器を提供すること。
【解決手段】第1筐体と、第2筐体と、連結部と、を備える電子機器であって、連結部は、ねじ部材により第1筐体に締結され、該第1筐体に対して回動する、第2筐体を支持する支持部材と、第2筐体に設けられ、支持部材により回動可能に軸支される軸受部と、を備え、支持部材は、軸受部に回動可能に軸支される円筒部と、第1筐体に締結される締結部が形成される板状部と、を備え、板状部は、締結部に対して円筒部が設けられる側と反対側に延出する延出部が形成されており、第1筐体は、延出部と対向する位置に、延出部を厚さ方向に押圧可能な凸部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機や簡易型携帯電話機等の移動通信機、或いはPDA(Personal Digital Assistants)といった電子機器に関する。特には、折り畳み可能に構成された電子機器の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の1つである携帯電話機には、表示部と操作部とが一の筐体に形成される一体型の携帯電話機(いわゆる、ストレートタイプ)のほか、液晶表示画面を拡大させるために、表示部と操作部とを構成する筐体をそれぞれ別々に形成し、それらを折り畳み可能に連結させた折り畳み式のものや、スライド自在に連結させたスライド式のものが種々提案されている。
【0003】
また昨今の携帯電話機においては、カメラモジュール等の各種機能の多機能化、高性能化に加え、小型化や薄型化が要求されており、折り畳み式の携帯電話機は、折り畳むことによりコンパクトになることから、好ましい形態のひとつとして開発が進められている。
【0004】
ところで、このように構成された折り畳み式の携帯電話機は、通常、操作部側の筐体にバッテリが配置されているため、表示部側の筐体に配置される液晶ディスプレイ等に電力を供給したり、表示部側の回路基板に電気信号を送信するためには、バッテリが配置される操作部側の回路基板と表示部側の回路基板とを電気的に接続させる必要がある。
【0005】
このような接続は、通常、操作部側の筐体と表示部側の筐体との連結部を介して行われる。例えば、連結部に回転機構を構成する回転軸部材に加え、中継ケーブルを挿通させるダミーヒンジと呼ばれる中空部材を配置し、中継ケーブルをこの中空部に挿通させて操作部側の筐体と表示部側とを中継し、操作部側に配置される回路基板と表示部側に配置される回路基板とを電気的に接続させていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−329408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、連結部は、折り畳み式携帯電話機を折り畳むときの中心となるため、通常、大きな荷重がかかる。これは、連結部に配置されるダミーヒンジにおいても同様であり、そのために、ダミーヒンジは、高剛性の合金や樹脂により形成されると共に、筐体と締結させることにより荷重に対する負荷を軽減させていた。
【0007】
一方、筐体の回動の中心軸は、連結部における操作部側の筐体及び表示部側の筐体それぞれの寸法精度(設計誤差)により決まるが、ダミーヒンジが配置される場所においては、各筐体の寸法精度に加え、ダミーヒンジの寸法精度も筐体の回動の中心軸に影響を及ぼすことになる。
【0008】
これに対しては、ダミーヒンジの円筒部を囲む周域にいずれかに肉盛りをすることで対応することが可能であった。例えば、移動させたい方向と反対の方向に肉盛りすることで、ダミーヒンジを移動させ、中心軸の調整することが可能であった。
【0009】
しかしながら、ダミーヒンジは上述したように高剛性の部材により形成されるため、ダミーヒンジの円筒部を囲む周域に肉盛りをすると、その周域を構成する筐体のケース自体に肉盛りによる負荷がかかり、例えば、ケース同士を嵌合する嵌合部に隙間が生じたり、ケース同士を嵌合する爪部等に大きな負荷がかかるおそれがあった。
【0010】
本発明は、折り畳み可能な回転機構を有する電子機器であって、回転機構における回動の中心軸の調整が容易な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電子機器は、第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを回転軸を中心に開閉可能に連結する連結部と、を備える電子機器であって、前記連結部は、
ねじ部材により前記第1筐体に締結され、前記第1筐体に対して回動する前記第2筐体を支持する支持部材と、前記第2筐体に設けられ、前記支持部材により回動可能に軸支される軸受部と、を備え、前記支持部材は、前記軸受部に回動可能に軸支される筒状部と、前記第1筐体に締結される締結部が形成される板状部と、を備え、前記板状部は、前記締結部に対して前記筒状部が設けられる側と反対側に延出する延出部が形成されており、
前記第1筐体は、前記延出部と対向する位置に、前記延出部を厚さ方向に押圧可能な凸部が形成されることを特徴とする電子機器に関する。
【0012】
また、前記凸部は、前記延出部の前記厚さ方向における一方側の面を押圧するように形成されることが好ましい。
【0013】
また、前記一方側の面は、前記開状態における開放面側に形成されることが好ましい。
【0014】
また、前記支持部材が高剛性材料により形成されることが好ましい。
【0015】
また、電子機器は、前記第1筐体と前記第2筐体とを中継する中継ケーブルをさらに備え、前記筒状部は、中空状に形成され、前記中継ケーブルは、前記支持部材の前記筒状部の内部を挿通することにより前記第1筐体と前記第2筐体とを中継することが好ましい。
【0016】
また、前記第1筐体は、外形が第1ケースと、第2ケースとから形成されており、前記凸部は、前記第1ケース又は第2ケースに設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、折り畳み可能な回転機構を有する電子機器であって、回転機構における回動の中心軸の調整が容易な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0019】
まず、図1から図3により、電子機器としての携帯電話機1における全体構造について説明する。図1は、電子機器としての携帯電話機1を開いた状態(開状態)の外観斜視図を示す。図2は、携帯電話機1を折り畳んだ状態(閉状態)の外観斜視図を示す。図3は、操作部側筐体2と表示部側筐体3との連結状態を示す。
【0020】
図1から図3に示すように、本実施形態に係る携帯電話機1は、第1筐体である表示部側筐体3と、第2筐体である操作部側筐体2と、を備えて構成される。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、連結部4において回動可能に連結されており、表示部側筐体3を回転軸Xを中心に回動させることにより携帯電話機1を開状態と閉状態とに切り替え可能になっている。また、操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、連結部4の内部を挿通する中継ケーブル150において、それぞれに配置される回路基板35、70が電気的に接続される。具体的には、中継ケーブル150は、連結部4に配置されるダミーヒンジ100を介して操作部側筐体2と表示部側筐体3とを中継し、それぞれに配置される回路基板35、70を電気的に接続する。
【0021】
なお、ここでいう開状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重ならないように配置された状態をいい(図1参照)、閉状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重なるように配置された状態をいう(図2参照)。
【0022】
次に、携帯電話機1における操作部側筐体2、表示部側筐体3及び連結部4の各基本構造について説明する。
【0023】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bにより構成される。操作部側筐体2には、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしての音声入力部12と、がそれぞれ露出するように配置される。
【0024】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等からなる入力操作キー14、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15と、から構成されている。操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられている(キー・アサイン)。そして、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0025】
音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側(以下、上端部側という)とは反対側の外端部に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態にある場合に一方の外端部側に配置される。
【0026】
表示部側筐体3は、外面が第1ケースであるフロントケース3aと第2ケースであるリアケース3bにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケース3aには、各種情報を表示するための所定形状のメインディスプレイ30と、通話の相手側における音声を出力するレシーバーとしての音声出力部31とが露出するように配置される。音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4側(以下、下端部側という)とは反対側の外端部に配置される。つまり、音声出力部31は、携帯電話機1が開状態において他方の外端部側に配置される。
【0027】
また、表示部側筐体3のリアケース3bには、各種情報を表示するためのサブディスプレイ32が露出して配置される。メインディスプレイ30及びサブディスプレイ32それぞれは、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
【0028】
連結部4は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、回転軸Xを中心にして任意の角度で開閉自在に連結する1軸ヒンジ機構(回転機構)を備える。また、連結部4には、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを電気的に接続する中継ケーブル150を挿通させるダミーヒンジ100が配置されている。ダミーヒンジ100は、中空状に形成された筒状部101を有しており、中継ケーブル150は、筒状部101の内部を挿通することにより操作部側筐体2と表示部側筐体3とを中継する。
【0029】
次に、図4から図6により、操作部側筐体2及び表示部側筐体3の内部構造について説明する。図4は、操作部側筐体2の分解斜視図を示す。図5は、表示部側筐体3の分解斜視図を示す。図6は、ダミーヒンジ100の外観斜視図を示す。
【0030】
操作部側筐体2は、図4に示すように、フロントケース2aと、上述した操作キー群11を構成するキーシート40と、キースイッチが配置されるフレキシブルプリント配線基板50と、シールドケース60と、基準電位パターン層及び携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備える回路基板70と、リアケース2bと、を備える。また、リアケース2bの内部には、アンテナ80が収容されると共に、バッテリ90がリアケース2bの外側から装脱可能に収容される。リアケース2bは、バッテリ90収容後、蓋部25により閉蓋される。
【0031】
フロントケース2aとリアケース2bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2aとリアケース2bとの間には、キーシート40と、フレキシブルプリント配線基板50と、シールドケース60と、回路基板70とがフロントケース2a側からこの順番で収納配置される。
【0032】
回路基板70における第1の面72には、図示しない各種電子部品及び基準電位パターン層が形成される。また、回路基板70における第2の面73には、各種電子部品が配置される。
【0033】
シールドケース60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する金属製の部材である。なお、シールドケース60は、金属により形成する以外に、骨格を樹脂により形成し、その表面に金属性の導体膜を形成したものでもよい。
【0034】
フレキシブルプリント配線基板50は、フロントケース2a側の面に複数のキースイッチ51、52、53を有している。フレキシブルプリント配線基板50のキースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、フレキシブルプリント配線基板50の表面に印刷された不図示の電気回路に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通する。なお、フレキシブルプリント配線基板50は、複数の絶縁フィルムの間に配線を挟み込んだものである。
【0035】
キーシート40は、シリコンゴム製のシート41の表面に操作キー群11が接着剤により貼り付けられて構成される。キーシート40における操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15は、フレキシブルプリント配線基板50におけるキースイッチ51、52、53と対向する位置に配置されると共に、後述するフロントケース2aに形成されるキー孔45から露出するように配置される。
【0036】
フロントケース2aには、携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3のメインディスプレイ30と対向する内側面に、キー孔45が複数形成される。複数のキー孔45それぞれからは、キーシート40上に形成される機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15の押圧面が露出する。この露出した操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15の押圧面を押し下げるように押圧することで、対応するキースイッチ51、52、53それぞれにおけるメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
【0037】
フロントケース2aの上端部側には、フロントケース2aの表面からリアケース2bが配置される側と反対側に突出した軸受部20が形成される。軸受部20は、表示部側筐体3の下端部側の一方端において固定される回転軸部材110を回転軸Xを中心に軸支する第1軸受部21と、表示部側筐体3の下端部側の他方端に配置され、カラー部材120が嵌装されたダミーヒンジ100を回転軸Xを中心に軸支する第2軸受部22と、から構成される。つまり、軸受部20は、表示部側筐体3を回転軸Xを中心に回動可能に軸支する。
【0038】
軸受部20の幅は、連結部4における第1連結部310の内側壁部と第2連結部320の内側壁部との幅よりも僅かに狭く形成されており、第1連結部310と第2連結部320との間に嵌装可能となっている。
【0039】
また、第1軸受部21及び第2軸受部22は、操作部側筐体2の内部、言い換えると、フロントケース2aの凹状の内側面と連通している。これにより、表示部側筐体3から中継される中継ケーブル150は、ダミーヒンジ100を介して第2軸受部22から操作部側筐体2に挿通可能となる。また、軸受部20の上端部側の端部には、表示部側筐体3に設けられる第1ストッパ(図示せず)と当接することにより、表示部側筐体の展開角度を規制する第2ストッパ(図示せず)が形成されている。
【0040】
表示部側筐体3は、図5に示すように、表示窓33と、メインディスプレイユニット34と、金属部材で構成される内部フレームを備えたフロントケース3aと、ダミーヒンジ100と、基準電位パターン層及びディスプレイ用の電子部品を備える回路基板35と、サブディスプレイユニット36と、リアケース3bと、を備える。
【0041】
フロントケース3aとリアケース3bとは、フロントケース3aの凹状の内側面がリアケース3bと向き合うように配置されると共に、フロントケース3aの外周縁とリアケース3b外周縁とが重なり合うようにして結合される。また、フロントケース3aとリアケース3bとの間には、ダミーヒンジ100と、回路基板35と、サブディスプレイユニット36とが、フロントケース3a側からこの順番で収納配置される。また、フロントケース2aの表面には、メインディスプレイユニット34と、表示窓33とがフロントケース3a側からこの順番で嵌装される。
【0042】
メインディスプレイユニット34は、メインディスプレイ30と、該メインディスプレイ30を固定するホルダー(図示せず)とにより構成されている。
【0043】
回路基板35は、上述のようにフロントケース3aにおけるリアケース3b側の収容部に収容配置される。回路基板35におけるリアケース3b側には、図示しない各種電子部品が配置される。また、各種電子部品は、所定の組み合わせによりメインディスプレイ30やサブディスプレイ32の表示態様やそのタイミング等の表示制御を行う表示制御ブロック等の回路ブロックを形成する。
【0044】
サブディスプレイユニット36は、サブディスプレイ32と、該サブディスプレイ32とを固定するホルダー(図示せず)とにより構成されている。サブディスプレイユニット36は、リアケース3bと回路基板35とに挟まれるように配置される。また、サブディスプレイユニット36は、リアケース3bに形成される窓部3cから表出するように配置される。
【0045】
フロントケース3aは、内部に金属製の板金部材37が配置される。フロントケース3aには、この板金部材37を挟んでフロントケース3a側及びリアケース3b側それぞれに、浅い凹状の第1収容部37a及び第2収容部37bが形成される。そして、リアケース3b側に形成される第1収容部37aには回路基板35が収容配置され、第1収容部37aと反対側の第2収容部37bにはメインディスプレイユニット34が収容配置される。なお、板金部材37は、表示部側筐体3における曲げ動作や捩り動作に対する剛性確保のための補強部材及び静電対策用のシールドとしても機能する。
【0046】
第1収容部37aの板金部材37には、ダミーヒンジ100に形成される後述の延出部104をリアケース3bとダミーヒンジ100の締結部103aを支点にリアケース3b側に押圧することにより、ダミーヒンジ100の中心軸の調整を行う第1調整凸部130が形成可能になっている(図8(A)及び図9(A)参照)。第1調整凸部130は、延出部104のフロントケース3a側と対向する位置に設けられ、板金部材37に肉盛りをすることにより所定量突出するように調整される。
【0047】
また、フロントケース3aのリアケース3bと対向する側の面には、ダミーヒンジ100の板状部102をリアケース2bとダミーヒンジ100の締結部103aを支点にリアケース3b側に押圧することにより、ダミーヒンジ100の中心軸の調整を行う第2調整凸部140が形成されている(図8(B)及び図9(B)参照)。第2調整凸部140は、板状部102のフロントケース3a側と対向する位置に設けられ、フロントケース3aの当該部分に肉盛りをすることにより所定量突出するように調整される。
【0048】
フロントケース3aの下端部側には、回転軸部材110を固定する第1連結部310と、ダミーヒンジ100を保持する第2連結部320と、が形成されている。第1連結部310と第2連結部320は、下端部側において、フロントケース3aの両側に形成されており、第1連結部310と第2連結部320の間には、操作部側筐体2に設けられる軸受部20が嵌装される。つまり、第1連結部310と第2連結部320との間隔は、軸受部20の幅よりも僅かに広く形成されており、軸受部20が嵌装可能に形成されている(図6参照)。そして、第1連結部310及び第2連結部320に軸受部20を嵌装することにより、携帯電話機1は連結部4の回転軸Xを中止に折り畳み可能になる。また、第1連結部310と第2連結部320とは、表示部側筐体3の長手方向に突出するように形成されている。
【0049】
また、第1連結部310と第2連結部320は、その一部がリアケース3bに覆われるように形成されており、第2連結部320に配置されるダミーヒンジ100はフロントケース3aとリアケース3bとに挟持されるようにして第2連結部320で保持される。
【0050】
ここで、第1連結部に固定される回転軸部材110は、開閉動作における表示部側筐体3の開閉を付勢する。また、第2連結部320は、フロントケース3aの凹状の内側面、つまり、表示部側筐体3の内部と連通している。そして第2連結部320は、ダミーヒンジ100の円筒状の筒状部101が配置される。これにより、中継ケーブル150は、第2連結部320からダミーヒンジ100を介して表示部側筐体3の内部に挿通可能となる。
【0051】
リアケース3bには、リアケース3bとダミーヒンジ100とをねじ部材により締結するねじ孔38が形成されている。ねじ孔38は、第1調整凸部130と第2調整凸部140の間に該当する位置に形成されている。ねじ孔38には雌ネジが切られており、雄ネジの切られたねじ部材が螺合可能に形成されている。また、ねじ孔38は、ダミーヒンジ100の回転軸の調整を行う際の締結部103aを構成する。
【0052】
リアケース3bには、ダミーヒンジ100に形成される後述の延出部104をリアケース3bとダミーヒンジ100の締結部103aを支点にリフロントケース3a側に押圧することにより、ダミーヒンジ100の中心軸の調整を行う第3調整凸部141が形成可能になっている(図8(C)及び図9(C)参照)。第3調整凸部141は、延出部104のリアケース3b側と対向する位置に設けられ、リアケース3bに肉盛りをすることにより所定量突出するように調整される。
【0053】
ダミーヒンジは、図6に示すように、中空状に形成され、中継ケーブル150を挿通させる筒状部101と、板状に形成され、リアケース3bに締結される板状部102と、から構成される。筒状部101は、第2連結部320において、フロントケース3a及びリアケース3bにより挟持されるように保持される保持部101aと、中空状のカラー部材120が嵌装される嵌装部101bと、を有する。
【0054】
ここで、カラー部材120は、摺動抵抗が低い材料で形成されており、例えば、POM(ポリアセタール)により形成される。このように、筒状部101にカラー部材120を嵌装させることにより、連結部4における表示部側筐体3の摺動性が向上する。また、嵌装部101bにはキーが形成されており、カラー部材120には、キーに対応して切り欠かれたキー溝が形成されている。キーがキー溝に対応することで、カラー部材120が周方向に回転することを防止でき、その結果、第2軸受部22に対してカラー部材120が摺動することが可能なり、表示部側筐体3の摺動性を担保する。
【0055】
板状に形成された板状部102には、締結孔103が形成されている。締結孔103は、リアケース3bに形成されたねじ孔38に対応した孔であり、ねじ部材をねじ孔38に螺合させることにより、リアケース3bと締結される。また、締結孔103は、リアケース3bと締結されることにより、後述のダミーヒンジ100の軸調整における支点となる締結部103aを構成する。
【0056】
板状部102には、締結孔103に対して、筒状部101が形成される側と反対側において、筒状部101が形成される側と反対側に延出する延出部104が形成されている。延出部104は、第1収容部37aの板金部材37に形成可能な第1調整凸部130と対向する位置まで延出するように形成される。なお、延出部の形状は、特に限定されることはなく、第1調整凸部130と当接可能な形状であればよい。
【0057】
また、ダミーヒンジは、高剛性の合金や高剛性の樹脂等の高剛性材料で形成されている。高剛性材料としては、例えば、ポリカーボネイト、アルミニウム合金等が例示できる。
【0058】
ここで、ダミーヒンジ100の中心軸と携帯電話機1が回動する連結部4の回転軸Xとのズレを調整する第1調整凸部130、第2調整凸部140、第3調整凸部141について、図7から図9を参照しながら説明する。図7は、表示部側筐体3の正面図を示す。図8(A)〜(C)は、図7のA−A断面図を示す。図9(A)は、ダミーヒンジ100の回転軸を矢印B方向に調整する場合の説明図を示し、(B)及び(C)はダミーヒンジ100の回転軸を矢印C方向に調整する場合の説明図を示す。
【0059】
本実施形態における携帯電話機1を表示部側筐体3と操作部側筐体2とを連結部4により連結された状態まで組み立てた場合、連結部4における回転軸Xとダミーヒンジ100の回転軸との位置ズレが生じていない場合には、このまま携帯電話機1を完成させることができる。
【0060】
しかしながら、例えば、設計誤差等により、連結部4における回転軸Xとダミーヒンジ100の回転軸とに位置ズレが生じてしまうと、開閉動作に支障を来すと共に、故障の原因になるおそれがある。ここで、携帯電話機1の回転軸Xは、一般に操作部側筐体2と表示部側筐体3との寸法精度により決定する。そして、回転軸部材110の回転軸と回転軸Xとが位置ズレを生じさせている場合においては、回転軸部材110をずらすことにより回転軸を調整する。
【0061】
しかしながら、回転軸X上にダミーヒンジ100のような回転軸を有する筒状部材を配置させた場合には、回転軸部材110の回転軸に加え、ダミーヒンジ100の回転軸も同時に調整する必要が生じる。ここで、ダミーヒンジ100は連結部4にかかる応力に耐えうるように、例えば、高剛性材料で成型されたり、フロントケース3aやリアケース3bに共締めされるたりするため、ダミーヒンジ100の回転軸の調整は困難なものである。
【0062】
そこで、ダミーヒンジ100に締結孔103に対して、筒状部101と反対側に延出する延出部104を設けると共に、この延出部104と厚さ方向に対向する位置(延出部104と面対向する位置)に形成される第1又は第3調整凸部130、141若しくは締結部と対向する第2調整凸部140を設けることにより、締結部103aを支点としたダミーヒンジ100の回転軸の調整が可能になる。
【0063】
例えば、携帯電話機1において、図8(A)に示す手前左側(矢印C方向)にダミーヒンジ100の回転軸が回転軸Xよりもずれていると仮定する。このような状態においては、右側(ダミーヒンジ100の回転軸がずれている方向と反対側である矢印B方向)にダミーヒンジ100の回転軸をずらす必要がある。この場合、第1調整凸部130を形成する。つまり、図9(A)に示すように、ダミーヒンジ100の回転軸が矢印B方向に動くように第1調整凸部130を肉盛りにより形成し、当該部分を押圧する。
【0064】
具体的には、第1調整凸部130を形成すると、図9(A)に示すように、第1調整凸部130が延出部104を押し上げられる。しかしながら、締結孔103がリアケース3bに締結されているため、締結部103aを支点にして筒状部101側が押し下げられる。これにより、筒状部101が矢印B方向に移動する。つまり、第1調整凸部130を肉盛りにより形成することにより、回転軸を有する筒状部101の矢印B方向への調整が可能になる。
【0065】
また、例えば、携帯電話機1において、図8(B)に示す手前右側(矢印B方向)にダミーヒンジ100の回転軸が回転軸Xよりもずれていると仮定する。このような状態においては、左側(ダミーヒンジ100の回転軸がずれている方向と反対側である矢印C方向)にダミーヒンジ100の回転軸をずらす必要がある。この場合、第2調整凸部140又は第3調整凸部141を形成する。つまり、図9(B)及び(C)に示すように、ダミーヒンジ100の回転軸が矢印C方向に動くように第2調整凸部140又は第3調整凸部141を肉盛りにより形成し、当該部分を押圧する。
【0066】
具体的には、第2調整凸部140を形成すると、図9(B)に示すように、第2調整凸部140が板状部102を押し上げようとする。ここで、締結孔103がリアケースに締結されているため、締結部103aを支点にして筒状部101側が押し上げられる。これにより、筒状部101が矢印C方向に移動する。つまり、第2調整凸部140を肉盛りにより形成することにより、回転軸を有する筒状部101の矢印C方向への調整が可能になる。
【0067】
また、例えば、図8(C)に示すように、第3調整凸部141を形成すると、図9(C)に示すように、第3調整凸部141が延出部104を押し下げる。すると、締結部103aを支点として板状部102側が押し上げられる。つまり、締結孔103に対して延出部104と反対側に位置する筒状部101が矢印C方向に移動する。つまり、第3調整凸部141を肉盛りにより形成することにより、回転軸を有する筒状部101の矢印C方向への調整が可能になる。
【0068】
このように、本実施形態においては、ダミーヒンジ100に延出部104を設け、延出部104を押圧する第1又は第3調整凸部130、141、若しくは板状部102を押圧する第3調整凸部141において、ダミーヒンジ100を押圧するための肉盛りをするため、支点となる締結孔103と各調整凸部との距離を長くすることが可能になり、締結孔103にかかる負荷を小さくすることが可能になる。
【0069】
また、本実施形態においては、連結部に肉盛りをしてダミーヒンジ100の筒状部101の回転軸のずれを修正する場合に比べて、連結部4への負担を軽減することが可能となり、例えば、当該連結部4を構成する各ケースの隙間の発生を軽減することができる。
【0070】
また、例えば、筐体を無理開きした場合、延出部104が長く形成されているため、締結部103aにかかる負荷を低減することができる。さらに、締結部103aを構成する締結孔103の変形を軽減できると共に、無理開きをした場合における回転軸の位置ズレ(移動)を抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態においては、第1及び第2調整凸部130、140が表示部側筐体における開方向側に形成されているため、携帯電話機1を開いた際における回転軸のずれをより修正しやすくなる。
【0072】
また、本実施形態においては、第1及び第2調整凸部130、140を板金部材37、フロントケース3a、又は第3調整凸部141をリアケース3bに肉盛りすることにより形成する。つまり、板金部材37、フロントケース3a、又はリアケース3bに各調整凸部を形成するため、ダミーヒンジ100の回転軸を修正するためのコスト増加を抑制することかできる。
【0073】
なお、本実施形態においては、携帯端末装置として携帯電話機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、2軸ヒンジ機構を有する折り畳み式の携帯電話機について説明するが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば、2軸ヒンジ機構を有する折り畳み式の携帯電話機等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】電子機器としての携帯電話機1を開いた状態(開状態)を示す外観斜視図である。
【図2】携帯電話機1を折り畳んだ状態(閉状態)を示す外観斜視図である。
【図3】操作部側筐体2の分解斜視図を示す。
【図4】表示部側筐体3の分解斜視図を示す。
【図5】ダミーヒンジ100の外観斜視図を示す。
【図6】操作部側筐体2と表示部側筐体3との連結状態を示す。
【図7】表示部側筐体3の正面図を示す。
【図8】(A)から(C)は、図6のA−A断面図を示す。
【図9】(A)は、ダミーヒンジの中心軸を矢印B方向に調整する場合の説明図を示し、(B)及び(C)はダミーヒンジの中心軸を矢印C方向に調整する場合の説明図を示す。
【符号の説明】
【0076】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
4 連結部
38 ねじ孔
100 ダミーヒンジ(支持部材)
101 円筒部
102 締結部
103 締結孔
104 延出部
110 回転軸部材
130 第1調整凸部
140 第2調整凸部
141 第3調整凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを回転軸を中心に開閉可能に連結する連結部と、を備える電子機器であって、
前記連結部は、
ねじ部材により前記第1筐体に締結され、前記第1筐体に対して回動する前記第2筐体を支持する支持部材と、
前記第2筐体に設けられ、前記支持部材により回動可能に軸支される軸受部と、を備え、
前記支持部材は、前記軸受部に回動可能に軸支される筒状部と、前記第1筐体に締結される締結部が形成される板状部と、を備え、
前記板状部は、前記締結部に対して前記筒状部が設けられる側と反対側に延出する延出部が形成されており、
前記第1筐体は、前記延出部と対向する位置に、前記延出部を厚さ方向に押圧可能な凸部が形成されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記凸部は、前記延出部の前記厚さ方向における一方側の面を押圧するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記一方側の面は、展開状態における開放面側に形成されることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記支持部材が高剛性材料により形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1筐体と前記第2筐体とを中継する中継ケーブルをさらに備え、
前記筒状部は、中空状に形成され、
前記中継ケーブルは、前記支持部材の前記筒状部の内部を挿通することにより前記第1筐体と前記第2筐体とを中継することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1筐体は、外形が第1ケースと、第2ケースとから形成されており、
前記凸部は、前記第1ケース又は第2ケースに設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−111690(P2009−111690A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281598(P2007−281598)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】