説明

電子機器

【課題】CEC信号を受信したときに瞬時にHDMI信号処理部を動作させることが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】前記電源部が生成するスタンバイ電圧の出力ラインと前記信号処理集積回路との間に接続されたスイッチ手段を備え、制御信号が入力されたときにのみ、信号処理集積回路に電力を供給する。また、信号処理集積回路の内部に制御信号の入出力分離回路を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格などにより、外部に接続された電子機器を制御可能な電子機器に関し、特に外部に接続された電子機器の状態を検知するとともに外部に接続された電子機器からの制御信号に従って、スタンバイ状態およびパワーオン状態の電源制御を行うことで省電力化を実現する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、環境問題への配慮から、電気製品の消費電力を抑える技術が検討されている。それら技術の中で、電気製品のすべての機能が動作可能であるパワーオン状態と、パワーオン指令を待っているスタンバイ状態とで電源の出力電圧を制御して、電気製品の動作状態に従って必要なだけの電力を供給することで低消費電力化を実現する技術が一般的に用いられている。更には、電気製品の全般的な動作制御を行なうCPU(Central Processing Unit)とは別に、ユーザからのパワーオン信号のみを受信して電源を制御するサブCPUを設け、スタンバイ状態においてはこのサブCPUが動作する電力のみを供給して、スタンバイ時の消費電力を抑制する技術も広く用いられている。
【0003】
一方、近年では、複数の電子機器が接続された映像音声再生システムにおいて、接続されたケーブルを介して一つの電子機器からそれに接続された複数の電子機器を制御するための技術が規格化されている。その規格の一つに、HDMI規格がある。このHDMI規格には、例えば、デジタル映像信号のブランキング期間にデジタル音声信号を多重化して音声伝送を行なうことが可能であること、デジタル映像信号をRGB信号の形態で伝送する他に、YCbCr信号の形態またはそれより高画質なYPbPr信号の形態で伝送することが可能であること、USB(Universal Serial Bus)並みの小型のHDMI端子で接続することが可能であること等々、種々の規定が盛り込まれている。
【0004】
また、HDMI規格は、映像信号と音声信号だけではなく、HDMI端子で接続された互いの機器同士で通信するための信号を扱うことが可能である。現在電源がオンされているかどうかの情報を出力するためのホットプラグ端子や、電源情報以外の機器の状態を出力するためや、一方の機器で他方の機器を制御するための信号を送るためのCEC(Consumer Electronics Control)端子がある。このCEC端子は、電子機器間の電源制御などのコマンドを送受信するための端子であり、再生、早送り、スキップ、停止などの基本動作コマンドについては、異なる電子機器メーカーの製品間でも制御が可能となるように、HDMI規格によって標準として定義されている。さらにHDMI規格には、各電子機器メーカーが自由に定義できる拡張エリアが規格されており、制御プログラムを拡張することにより、各電子機器メーカー特有の制御コマンドで制御することが可能となる。
【0005】
このHDMI規格に従って、接続された電子機器間で映像/音声信号の入出力を行ったり、またCEC信号による電子機器間相互の制御を行うために、HDMI信号処理部が必要となる。また、外部に接続された電子機器からのCEC信号を受信し、そのCEC信号に従って動作を行なうためには、スタンバイ状態またはパワーオン状態の電子機器の動作状態に関わらず、CEC信号を受信したときには、HDMI信号処理部は動作が出来なければならない。HDMI信号処理部がいつでも動作可能となるように、スタンバイ状態とパワーオン状態の両方の状態において、HDMI信号処理部に電力を供給することは、CEC信号による制御が不要な状態においても常にHDMI信号処理部において電力が消費されることとなり、電子機器の低消費電力化を阻害することとなる。
【0006】
CEC信号による制御を常時行うことが可能であり、かつ低消費電力を実現するための従来技術におけるブロック図を図4に示す。電源部401は、電子機器の動作に必要となる電圧を生成し、サブCPU402は、リモコン403を介してユーザから入力されるパワーオンまたはパワーオフコマンドに従って、電源部401のパワーオン状態およびスタンバイ状態を制御する。スタンバイ状態において電源部401は、EVER3.3Vのみを出力し、EVER3.3VはサブCPU402に供給され、サブCPU402は常に電源部401をパワーオンに設定するためにユーザからのコマンドを監視する。HDMI接続端子404には、図示しないHDMIケーブルによって、外部に電子機器が接続されており、HDMI接続端子404のホットプラグ端子405は、外部に接続された電子機器がパワーオンした場合に、5Vの電圧が出力されるようにHDMI規格で定義されている。また、HDMI接続端子404のCEC入出力端子406は、電子機器と外部に接続された電子機器との間でCEC信号を入出力するための端子であり、外部に接続された電子機器がパワーオンした場合には、パワーオンと同時に電子機器をパワーオンするためのコマンドが、外部に接続された電子機器から出力されるように、CECの制御プログラムを拡張して設計されることが一般的である。
【0007】
次いで、HDMI接続端子404のCEC入出力端子406によって、パワーオン指令を表すCEC信号を受信する。受信したCEC信号は、入出力分離回路407に入力され、サブCPU402のCEC入力端子414で受信される。入出力分離回路407は、HDMI接続端子404のCEC入出力端子406の入出力信号を入力信号と出力信号にそれぞれ分離するための回路であり、T401〜T404の4つのトランジスタと複数の抵抗やコンデンサで構成される。サブCPU402は、CEC入力端子414からをCEC信号を受け取ると、電源部401に対してパワーオン信号を出力し、電源部401はパワーオン3.3Vを出力する。HDMI信号処理集積回路409に対する電力供給は、パワーオン3.3Vから供給されている。
【0008】
一方、ホットプラグ端子405に5Vが出力されると、トランジスタT405がオンし、HDMI信号処理集積回路409のホットプラグ検出端子12にEVER3.3Vが印加される。HDMI信号処理集積回路409は、パワーオン3.3Vが供給され、ホットプラグ検出端子412で信号が検出されると動作を開始し、映像/音声信号をHDMI規格に準拠したデータに変換して映像/音声データ出力端子415から出力し、HDMI接続端子404の映像/音声データ出力端子413から外部に接続された電子機器に対して出力される。サブCPU402のCEC出力端子416からは、外部に接続された電子機器の制御を行うためのCEC信号を出力する。出力されたCEC信号は、入出力分離回路407に入力されて、HDMI接続端子404のCEC入出力端子406から外部に接続された電子機器に出力される。
【0009】
このように、外部に接続された電子機器からのCEC信号を受信したときにサブCPU402が電源部401をパワーオンし、パワーオン3.3VをHDMI信号処理集積回路409に供給することで、低消費電力を実現している。すなわち、サブCPU402が電源部401のパワーオンオフを制御していることを利用して、スタンバイ状態でCEC信号を受信したときのみ、HDMI信号処理部409に電力を供給して、HDMI信号処理部409へ電力を供給するケースを制限している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術においては、CEC信号の入出力分離回路を複数のトランジスタで構成していたため、トランジスタそれぞれの特性のバラツキを考慮して設計を行う必要が有り、そのためにバラツキの小さなトランジスタを用いる必要があるため、部品コストが増大していた
。また、サブCPUを利用してHDMI信号処理部への電力供給を行っていたため、HDMI信号処理部へ電力を供給するまでに時間がかかり、HDMI信号処理部が動作するまでにタイムラグが発生するという課題が残っていた。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、CEC信号の入出力分離回路の製造コストを下げ、かつ品質を向上し、CEC信号を受信したときには瞬時にHDMI信号処理部を動作させることが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、電子機器において、スタンバイ電圧とパワーオン電圧を電圧出力ラインを介して動作部に出力する電源部と、前記電源部の出力電圧を設定するサブCPUと、パワーオンコマンドとパワーオフコマンドを受けとるインターフェースと、電源部と電圧出力ラインで接続されると共に映像/音声ソースを処理するための信号処理集積回路と、外部に接続された電子機器に前記信号処理集積回路によって処理された映像/音声信号を出力すると共に前記外部に接続された電子機器がパワーオンしたことを検出するためのパワーオン検出端子および前記外部に接続された電子機器と相互に制御信号を入出力するための入出力端子を有する接続端子とからなり、前記サブCPUは、前記外部に接続された電子機器に制御信号を出力するための出力端子と前記外部に接続された電子機器からの制御信号を入力するための入力端子とを有し、前記電源部が生成するスタンバイ電圧の電圧出力ラインと前記信号処理集積回路との間にはスイッチ手段が設けられ、前記サブCPUは、前記インターフェースがパワーオンコマンドを受け取るまでは、スタンバイ電圧を生成するよう前記電源部を設定し、前記インターフェースがパワーオンコマンドを受け取ったときには、パワーオン電圧を生成するよう前記電源部を設定し、前記信号処理集積回路は、前記制御信号の入出力分離回路を備え、前記入出力分離回路は、前記外部に接続された電子機器から出力される制御信号を受信し、該入出力分離回路で分離した前記制御信号を前記サブCPUに出力し、前記サブCPUは前記制御信号を受けとるとパワーオン電圧を生成するよう前記電源部を設定し、前記検出端子から前記外部に接続された電子機器がパワーオンしたことを検知したときには、前記スイッチ手段をオンして前記信号処理集積回路に電力を供給する。
【0013】
電子機器において、前記信号処理部は、映像/音声ソースをHDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に準拠した信号に変換する。
【0014】
電子機器において、前記接続端子は、HDMI規格に準拠した映像/音声信号出力端子、ホットプラグ端子およびCEC(Consumer Electronics Consumer)入出力端子を有する。
【0015】
前記の通り構成することによって、外部に接続された電子機器がパワーオン状態であるときにのみ、HDMI信号処理部に電力を供給し、電子機器の消費電力を抑制するよう作用する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、電源部が生成するスタンバイ電圧の出力ラインと信号処理部との間に接続されたスイッチ手段を備え、前記スイッチ手段は外部に接続された電子機器がパワーオンしたことを検知したときにのみ、信号処理部にスタンバイ電圧を供給するので、外部に接続された電子機器と相互に制御を行う場合のみ、信号処理部が動作を行なうように電力消費が制限されるので、電子機器の消費電力を抑制することが可能となる。また、外部に接続された電子機器がパワーオンしたことを検出するための検出端子からの出力信号によって、スイッチ手段を直接オンオフすることで、検出端子から信号が出力
されてから、即座に信号処理部に電力を供給することが可能となる。また、従来では複数のトランジスタで構成していた制御信号の入出力分離回路を、信号処理集積回路の内部に集積することで、製造コストを低減することが可能となる。また、従来技術における入出力分離回路においては、複数のトランジスタで構成していたため、トランジスタが有するバラツキもトランジスタの個数分存在し、個々のトランジスタのバラツキが相乗された場合には、入出力回路としての機能である分離機能が誤動作をおこす可能性も有る。これを回避するために、バラツキの小さい品質性能ランクの高いトランジスタを用いなければならず、コストを増大させていた。請求項1に記載の発明では、信号処理集積回路に入出力分離回路を集積することにより、電子機器を設計するに当たって、信号処理集積回路を有する半導体ICの部品1点のバラツキのみを考慮して設計開発または管理すれば良いので、電子機器の開発期間を短縮し、かつ入出力信号を分離する精度を向上することが可能となり、制御信号を誤って判断することを低減することが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、信号処理集積回路を、映像/音声ソースをHDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に準拠した信号に処理集積回路とすることによって、デジタル映像信号のブランキング期間にデジタル音声信号を多重化して音声伝送を行なうことが可能となる。HDMI規格に準拠したCECを用いて、HDMI規格に準拠した接続端子で接続される機器間で相互に動作状態を検知することが可能となる。また、HDMI規格に準拠した接続端子で接続される機器間で相互に各機器の動作を制御することが可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記接続端子を、HDMI規格に準拠したHDMI接続端子とすることにより、デジタル映像信号をRGB信号の形態で伝送する他に、YCbCr信号の形態またはそれより高画質なYPbPr信号の形態で伝送することが可能となる。また、USB(Universal Serial Bus)並みの小型のコネクタで接続することが可能となる。また、HDMI規格に準拠したCECを用いて、HDMI規格に準拠した接続端子で接続される機器間で相互に動作状態を検知することが可能となる。また、HDMI規格に準拠した接続端子で接続される機器間で相互に各機器の動作を制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、図を参照しながら本発明の実施形態の説明を行う。図1は本発明に係る光ディスク再生装置とそれに接続されるテレビジョン受信装置のブロック図を表す。以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。この光ディスク再生装置100は、例えばDVD等の光ディスク101がドライブ部102に装着されることにより、その記録データを読み取る。そして、このドライブ部102で読み取られたデータは、信号処理部103に供給されて、デジタル化処理、エラー訂正処理及び復号化処理等が順次施されて、デジタルの映像信号及び音声信号に復元される。
【0020】
その後、この信号処理部103で復元されたデジタルの映像信号及び音声信号は、HDMI信号処理集積回路104に供給されてHDMI規格に準拠した形態に変換され、一点鎖線で表されるDVD HDMI端子111を介して外部に出力される。このDVD HDMI端子111は、映像データを出力するための映像出力端子105、音声データを出力するための音声出力端子106、及び外部に接続される機器と相互に制御を行うための制御信号を送受信するための制御入出力端子107から構成されている。
【0021】
この光ディスク再生装置100は、上記した再生動作を含むその全ての動作をメインCPU108により統括的に制御されている。このメインCPU108は、光ディスク再生装置100本体に設けられたスイッチ群である操作部109からの操作情報を受け、または、遠隔操作可能なリモコン110から送出された操作情報を、受光部113を介して受信
し、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0022】
電源部114は、光ディスク装置100がスタンバイ(待機)状態のときに必要となるスタンバイ電圧と、パワーオン(動作)状態のときに必要となるパワーオン電圧を生成する。また、サブCPU115は、電源部114のスタンバイ電圧とパワーオン電圧の切り換え設定を行ない、操作部109またはリモコン110からのパワーオン信号を監視し、パワーオン信号を受信したときには、電源部114が生成する出力電圧を、スタンバイ電圧からパワーオン電圧に昇圧させ、光ディスク再生装置100をスタンバイ状態からパワーオン状態に移行させる。
【0023】
スタンバイ電圧は、光ディスク再生装置100がスタンバイ状態からパワーオン状態に移行するために動作が必要となる回路のみに供給されており、そのように構成することによって、スタンバイ時の消費電力を抑制している。また、サブCPU115にもスタンバイ電圧が供給されており、操作部109またはリモコン110からのパワーオン信号を常時監視している。
【0024】
また、メインCPU108は、メモリ部112を利用している。このメモリ部112は、主として、メインCPU108が実行する制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、該CPUに作業エリアを提供するRAM(Random Access Memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0025】
ここで、上記映像出力端子105、音声出力端子106及び制御入出力端子107は、それぞれ、HDMI規格に準拠した伝送路を介して、信号の受信装置となる液晶テレビジョン受信装置120に設けられた、一点鎖線で表されるHDMI端子134に接続されている。このHDMI端子134は、光ディスク装置100のHDMI端子111から出力される映像データを受けるための映像入力端子121、音声データを受けるための音声入力端子122及びテレビジョン受信装置120と光ディスク装置100との間で相互に制御を行うための制御データを送受信するための制御入出力端子123で構成されている。
【0026】
このうち、映像入力端子121に供給されたデジタルの映像データは、HDMI信号処理部124に供給されてHDMI規格に変換される前のデジタル映像信号に戻された後、映像処理部125に供給されて表示に対応した形態に変換され、液晶パネル等でなる映像表示部126によって映像表示される。
【0027】
また、上記音声入力端子122に供給されたデジタルの音声データは、HDMI信号処理部124に供給されて、光ディスク再生装置のHDMI信号処理集積回路104による変換前のデジタル音声信号に戻された後、音声処理部127に供給されて音声再生に対応した形態に増幅され、スピーカ128によって音声再生される。
【0028】
また、テレビジョン受信装置のCPU130は、テレビジョン受信装置120本体に設けられたスイッチ群である操作部131からの操作情報を受け、または、遠隔操作可能なリモコン132から送出された操作情報を、受光部133を介して受信し、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。メモリ部129は、主として、CPU130が実行する制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、該CPUに作業エリアを提供するRAM(Random Access Memory)と、ユーザが任意で行う画質調整値や音量調整値などの各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0029】
次に、図2はHDMI規格に準拠した接続端子であるHDMI端子のピン配置およびそれ
ぞれのピンの信号名を表す。このHDMI規格には、例えば、デジタル映像信号のブランキング期間にデジタル音声信号を多重化して音声伝送を行なうことが可能であること、デジタル映像信号をRGB信号の形態で伝送する他に、YCbCr信号の形態またはそれより高画質なYPbPr信号の形態で伝送することが可能であること、USB(Universal Serial Bus)並みの小型のHDMIコネクタで接続することが可能であること等々、種々の規定が盛り込まれている。
【0030】
HDMI端子は、映像信号と音声信号だけではなく、HDMI端子で接続された互いの機器同士で通信するための信号を扱うことが可能である。現在電源がオンされているかどうかの情報を出力するためのホットプラグ端子201や、電源情報以外の機器の状態を出力するためや、一方の機器で他方の機器を制御するための信号を送るためのCEC端子202がある。ホットプラグ端子は、外部に接続された電子機器がパワーオンすると5Vの電圧を出力するようにHDMI規格によって定義されている。また、CEC端子は、電子機器間の電源制御などのコマンドを送受信するための端子であり、再生、早送り、スキップ、停止などの基本動作コマンドについては、異なる電子機器メーカーの製品間でも制御が可能となるように、HDMI規格によって標準として定義されている。さらにHDMI規格には、各電子機器メーカーが自由に定義できる拡張エリアが規格されており、制御プログラムを拡張することにより、各電子機器メーカー特有の制御コマンドで制御することが可能となる。
【0031】
次に図3は、本発明に係る電子機器(図1)における主要ブロック図を表す。図3を参照しながら、本発明の実施形態における電子機器の動作を説明する。電源部114は、スタンバイ状態には、スタンバイ電圧であるEVER3.3Vを出力し、電子機器のすべての動作が可能となるパワーオン状態にはパワーオン電圧であるP−ON3.3Vを出力する。
【0032】
サブCPU115は、リモコン110からのパワーオンオフコマンドに従って、電源部114の出力電圧であるスタンバイ電圧とパワーオン電圧の設定を行う。また、サブCPU115は、外部に接続された電子機器からのCEC信号を入力するためのCEC入力端子305と、外部に接続された電子機器を制御するためのCEC信号を出力するためのCEC信号出力端子306を有する。スタンバイ状態にあるときに、HDMI接続端子301のCEC入出力端子303から入力されるCEC信号を、HDMI信号処理集積回路104を介して受け取ったときにも、電源部114にパワーオン電圧を出力するよう設定を行う。
【0033】
HDMI信号集積回路104は、図示しない映像/音声ソースから映像/音声信号を受け取り、HDMI規格に準拠した映像/音声データに変換されて、映像/音声データ出力端子307から出力する。映像/音声データ出力端子307は、図1で説明したとおり、実際には映像データと音声データで別々に出力端子を備えているが、図3においては簡略化のために一つの出力端子としている。また、HDMI信号処理集積回路104は、外部に接続された電子機器がパワーオンされたことを表す信号を受け取るためのホットプラグ検出端子308を有している。また、外部に接続された電子機器と相互に制御を行うためのCEC信号を入出力するためのCEC入出力端子314を設けている。また、サブCPU115からのCEC信号を入力するためのCEC入力端子309と、サブCPU115に対して外部に接続された電子機器から受け取ったCEC信号を出力するためのCEC出力端子を有する。また、HDMI信号処理集積回路104が動作に必要となる電力を受け取るための電源端子311を有する。
【0034】
ここで、HDMI接続端子301が有するCEC信号入出力端子303が入力と出力を兼ねた入出力端子であるのは、HDMI接続端子の小型化をはかるため、またHDMI規格
に準拠しているためである。一方、サブCPU115は、CEC信号の入力端子と出力端子を別々に設けている。入出力端子は、信号の入力と出力を兼ねているため、信号の入力と出力を同時には行えない。また、入力を受けたとき、サブCPU115においては、信号の入力処理、その信号が正しいかどうかの判断、その判断結果の出力という処理手順を少なくとも踏まなければならない。そのため、同時に入力と出力の信号を処理することが出来ず、更には処理手順が多くなり、一つの処理に時間がかかってしまう。また、入力と出力を同時に処理することが出来ないため、優先順位の高い信号を優先して処理を行う割り込み処理が出来ない。これらを改善するためには、処理時間を短縮するため、サブCPU114の性能を上げる必要が有り、製造コストが上がることになる。このため、サブCPU114はCEC入力端子305とCEC出力端子306をそれぞれ別々に設けている。
【0035】
HDMI接続端子301は、HDMI規格に準拠した接続端子で有り、図示しない外部の電子機器と接続されており、外部に接続された電子機器がパワーオンしたことを表す信号を出力するホットプラグ端子302、外部に接続された電子機器を制御するためのCEC信号を出力し、また外部に接続された電子機器からのCEC信号を入力するためのCEC入出力端子303、およびHDMI規格に準拠した映像/音声データを出力するための映像/音声データ出力端子304とを備えている。
【0036】
前述のとおり、HDMI接続端子301におけるCEC入出力端子303は、入出力を兼用する端子であるのに対して、サブCPU115においては、CEC信号に対する応答速度を速めるためや、割り込み処理を可能にするために、CEC入力端子305とCEC出力端子306を有しており、このままではCEC信号の入出力が出来ない。このため、CEC入出力端子303からのCEC入出力信号を分離するための入出力分離回路312をHDMI信号処理集積回路104の内部に設けている。この入出力分離回路312の回路は、従来技術を表す図4の407と同等となっている。従来技術においては、入出力分離回路407において、4つのトランジスタと複数の抵抗およびコンデンサを個別に回路基板上で構成していた。入出力信号の分離を確実に行うためには、電子部品における電気特性のバラツキを考慮して設計を行う必要が有るが、従来技術のように電子部品の点数が多いと、電子部品それぞれのバラツキを考慮して部品の設定を行わなければならない。特に半導体素子であるトランジスタは、電流や温度によって特性が大きく変化するため、トランジスタ4つで構成する場合には、バラツキの小さな品質の高いランク品を選定する必要が有り、これは製造コストを増大させることになる。本発明においては、HDMI信号処理集積回路104の内部に、これらの電子部品を集積することで、複数の電子部品のバラツキを総合して品質管理を行うことが可能となり、入出力の分離精度も向上し、部品点数の削減および回路基板の縮小によって製造コストを抑えることが可能となる。
【0037】
次に、スタンバイ状態からパワーオン状態に移行する動作を説明する。スタンバイ状態において、電源部114はスタンバイ電圧であるEVER3.3Vを生成しており、サブCPU115はEVER3.3Vを供給されて、電源部114にパワーオン電圧を生成させるためのパワーオン信号を出力できる状態にある。このスタンバイ状態において、外部に接続された電子機器がパワーオンしたとき、HDMI接続端子301のホットプラグ端子302には外部に接続された電子機器によって所定の電圧が出力される。外部に接続された電子機器がスタンバイ状態の時にはゼロV、パワーオン状態の時には5Vが出力される。ホットプラグ端子302に出力された5Vの電圧は、分圧抵抗R301とR302で分圧される。分圧された電圧は、トランジスタT301のベースに印加され、トランジスタT301のコレクタ−エミッタ間が導通する。トランジスタT302のベースには、EVER3.3Vが電流制限抵抗R303を介して接続されてトランジスタT302のコレクタ−エミッタ間は導通しているが、ホットプラグ端子302の出力電圧でトランジスタT301が導通することによって、トランジスタT302のベース電位はほぼゼロとなり、
トランジスタT302のコレクタ−エミッタ間はオフする。
【0038】
HDMI信号処理集積回路104の電源端子311とEVER3.3Vの間には、HDMI信号集積回路104に対してEVER3.3Vの供給をオンオフするスイッチ手段313が設けられている。スイッチ手段313は、トランジスタT303、バイアス抵抗R304および電流制限抵抗R305で構成されており、ホットプラグ端子302の出力電圧に従ってオンオフする。ホットプラグ端子302に電圧が出力されていないときには、トランジスタT302のベースにはEVER3.3Vが印加されているため、トランジスタT303のベース電位も3.3Vとなり、トランジスタT303のエミッタ−コレクタ間はオフしており、HDMI信号処理集積回路104の電源端子311にはEVER3.3Vは供給されていない。
【0039】
ホットプラグ端子302に5Vの電圧が出力されて、トランジスタT301のコレクタ−エミッタ間が導通すると、トランジスタT301のコレクタ電位はほぼゼロとなり、トランジスタT303のベース電位もほぼゼロとなるため、トランジスタT303のエミッタ−コレクタ間が導通し、電源端子311にEVER3.3Vが供給される。
【0040】
また、HDMI信号処理集積回路104のホットプラグ検出端子308には、EVER3.3Vが電流制限抵抗R304を介して印加されているが、トランジスタT302のコレクタ−エミッタ間がオンしているときには、ホットプラグ検出端子308の電位はほぼゼロになっている。ホットプラグ端子302の出力電圧によって、T301がオンし、T302がオフすることによって、ホットプラグ検出端子308には、EVER3.3Vが印加される。
【0041】
このように、HDMI信号処理集積回路104は、ホットプラグ端子302の出力電圧によって、HDMI信号集積回路104が動作に必要となる電源電圧であるEVER3.3Vを供給され、また、外部に接続された電子機器がパワーオンしたことを検知することで、CECによる動作制御がいつでも可能な準備状態に移行する。
【0042】
また、HDMI接続端子301のCEC入出力端子303から、パワーオンを表すCEC信号が出力され、HDMI信号処理集積回路104のCEC入出力端子314に入力される。入力されたCEC信号は、HDMI信号処理集積回路104の内部に設けられた入出力分離回路312を介して、CEC出力端子310からサブCPU115に出力される。サブCPU115は、HDMI信号処理集積回路104からのCEC信号をCEC入力端子305で受信し、電源部114に対してパワーオン信号を送出する。電源部114はサブCPU115からのパワーオン信号を受けて、スタンバイ電圧からパワーオン電圧に出力電圧を昇圧し、電子機器は、すべての動作が可能となるパワーオン状態に移行する。
【0043】
このように、電源部が生成するスタンバイ電圧の出力ラインと信号処理部との間に接続されたスイッチ手段を備え、前記スイッチ手段は外部に接続された電子機器がパワーオンしたことを検知したときにのみ、信号処理部にスタンバイ電圧を供給するので、外部に接続された電子機器と相互に制御を行う場合のみ、信号処理部が動作を行なうように電力消費が制限され、電子機器の消費電力を抑制することが可能となり、かつ、スタンバイ状態においても外部に接続された電子機器からの制御信号に従ってパワーオン状態に常時移行可能となる。
【0044】
また、従来技術においては、外部に接続された電子機器から受け取ったCEC信号をサブCPUに入力し、サブCPUが電源部にパワーオン電圧を生成し、このパワーオン電圧をHDMI信号処理集積回路に供給していたため、外部に接続された電子機器からCEC信号が出力されてからHDMI信号処理集積回路が動作するまでに時間を要していた。しか
し本発明においては、パワーオンしたことを検出するための検出端子からの出力信号によって、HDMI信号処理集積回路へ電力を供給するスイッチ手段を直接オンオフすることで、検出端子から信号が出力されてから、即座に信号処理部に電力を供給することが可能となる。また、従来では複数のトランジスタで構成していた制御信号の入出力分離回路を、信号処理集積回路の内部に集積することで、電子部品点数をでき、また、回路基板を小さく出来ることで製造コストを低減することが可能となる。また、従来技術における入出力分離回路においては、複数のトランジスタで構成していたため、トランジスタが有するバラツキもトランジスタの個数分存在し、個々のトランジスタのバラツキが相乗された場合には、入出力回路としての機能である分離機能が誤動作をおこす可能性も有る。これを回避するために、バラツキの小さい品質性能ランクの高いトランジスタを用いなければならず、コストを増大させていた。請求項1に記載の発明では、信号処理集積回路に入出力分離回路を集積することにより、電子機器を設計するに当たって、信号処理集積回路を有する半導体ICの部品1点のバラツキのみを考慮して設計開発または管理すれば良いので、電子機器の開発期間を短縮し、かつ入出力信号を分離する精度を向上することが可能となり、制御信号を誤って判断することを低減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、電子機器を相互に制御するための制御回路を有する電子機器に好適であり、特に制御回路への電力供給を制限して省電力化を実現する電子機器に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る光ディスク再生装置とそれに接続されるテレビジョン受信装置のブロック図を表す。
【図2】本発明に係るHDMI規格に準拠した接続端子であるHDMI端子のピン配置およびそれぞれのピンの信号名を表す。
【図3】本発明に係る電子機器における主要ブロック図を表す。
【図4】従来技術におけるブロック図を示す。
【符号の説明】
【0047】
100 電子機器
104 信号集積回路
114 インターフェース
115 サブCPU
301 接続端子
312 入出力分離回路
313 スイッチ手段















【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンバイ電圧とパワーオン電圧を電圧出力ラインを介して動作部に出力する電源部と、前記電源部の出力電圧を設定するサブCPUと、パワーオンコマンドとパワーオフコマンドを受けとるインターフェースと、電源部と電圧出力ラインで接続されると共に映像/音声ソースを処理するための信号処理集積回路と、外部に接続された電子機器に前記信号処理集積回路によって処理された映像/音声信号を出力すると共に前記外部に接続された電子機器がパワーオンしたことを検出するためのパワーオン検出端子および前記外部に接続された電子機器と相互に制御信号を入出力するための入出力端子を有する接続端子とからなり、前記サブCPUは、前記外部に接続された電子機器に制御信号を出力するための出力端子と前記外部に接続された電子機器からの制御信号を入力するための入力端子とを有する電子機器において、
前記電源部が生成するスタンバイ電圧の電圧出力ラインと前記信号処理集積回路との間にはスイッチ手段が設けられ、前記サブCPUは、前記インターフェースがパワーオンコマンドを受け取るまでは、スタンバイ電圧を生成するよう前記電源部を設定し、前記インターフェースがパワーオンコマンドを受け取ったときには、パワーオン電圧を生成するよう前記電源部を設定し、前記信号処理集積回路は、前記制御信号の入出力分離回路を備え、前記入出力分離回路は、前記外部に接続された電子機器から出力される制御信号を受信し、該入出力分離回路で分離した前記制御信号を前記サブCPUに出力し、前記サブCPUは前記制御信号を受けとるとパワーオン電圧を生成するよう前記電源部を設定し、前記検出端子から前記外部に接続された電子機器がパワーオンしたことを検知したときには、前記スイッチ手段をオンして前記信号処理集積回路に電力を供給することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記信号処理集積回路は、映像/音声ソースをHDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に準拠した信号に変換する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記接続端子は、HDMI規格に準拠した映像/音声信号出力端子、ホットプラグ端子およびCEC(Consumer Electronics Consumer)入出力端子を有する請求項1乃至2に記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−123284(P2009−123284A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296172(P2007−296172)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】