説明

電子機器

【課題】画像の表示とタッチ入力とを行うことができ、しかも、表示画像を、タッチ面の汚れに関係無く観察することができる電子機器を提供する。
【解決手段】機器本体1と、前記機器本体1の1つの面に設けられた表示部7と、前記機器本体1の前記表示部7が設けられた面とは反対側の面に設けられたタッチ入力部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像の表示とタッチ入力とを行うことができる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像の表示とタッチ入力とを行うことができる電子機器は、機器本体に、液晶表示パネル等の表示パネルの観察側に透明なタッチパネルを配置したタッチパネル付き表示ユニット(特許文献1参照)を実装した構成となっている。
【特許文献1】特開2002−149085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記タッチパネル付き表示ユニットを備えた従来の電子機器は、タッチ面の指紋や皮脂等の付着による汚れによって、表示画像が見づらくなるという問題をもっている。
【0004】
この発明は、画像の表示とタッチ入力とを行うことができ、しかも、表示画像を、タッチ面の汚れに関係無く観察することができる電子機器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1に記載の電子機器は、機器本体と、前記機器本体の1つの面に設けられた表示部と、前記機器本体の前記表示部が設けられた面とは反対側の面に設けられたタッチ入力部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の電子機器において、前記タッチ入力部は、前記表示パネルの画面エリアと実質的に同じ形状の入力エリアを有していることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の電子機器において、前記表示部と前記タッチ入力部は、前記表示部の画面エリアと、前記タッチ入力部の入力エリアとを、互いに背中合わせに対応させて配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器において、前記表示部は、前記機器本体の1つの面に形成された表示窓と、前記機器本体内に前記表示窓に対向させて配置された表示パネルとからなっていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器において、前記タッチ入力部は、機器本体の反対側の面に配置されたタッチパネルからなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明の電子機器によれば、画像の表示とタッチ入力とを行うことができ、しかも、表示画像を、タッチ面の汚れに関係無く観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図3はこの発明の第1の実施例を示しており、図1(a)及び図1(b)は電子機器の使用状態の正面図及び背面図、図2は前記電子機器の表示部及びタッチ入力部が設けられた部分の断面図である。
【0012】
この実施例の電子機器は、折りたたみ型の携帯電話機であり、その機器本体1は、薄箱形状の本体ケース2と、前記本体ケース2の一端に設けられたヒンジ部4に支持され、図1(a)及び図1(b)のように本体ケース2の外方に張出した開状態と、前記本体ケース2の上に重ねられた閉状態とに開閉回動される薄箱形状の蓋ケース3とからなっている。
【0013】
前記本体ケース2には、折りたたみ時に前記蓋ケース3が重なる面(以下、本体ケース2の前面という)に、キーボード5とマイク部6が設けられており、前記蓋ケース3には、その1つの面、この実施例では、折りたたみ時に本体ケース2の前面に対向する面(以下、蓋ケース3の前面という)に、画像を表示するための表示部7が設けられ、この蓋ケース3の前面の先端に近い部分に、スピーカ部12が設けられている。
【0014】
さらに、前記蓋ケース3の前記表示部7が設けられた面とは反対側の面、つまり後面には、タッチ入力を行うためのタッチ入力部13が設けられている。
【0015】
前記表示部7は、図2のように、前記蓋ケース3の前面に形成された表示窓8と、前記蓋ケース3内に、観察側の面を前記表示窓8に対向させて配置された液晶表示パネル10と、前記蓋ケース3内に、前記液晶表示パネル10の観察側とは反対側の面に対向させて配置され、前記液晶表示パネル10に向けて照明光を照射する面光源11とからなっている。
【0016】
なお、前記表示窓8は、前記蓋ケース3の前面に設けられた開口部からなっており、この表示窓8に、強化ガラスまたはアクリル樹脂等からなる透明な表示部保護板9が嵌着されている。そして、前記液晶表示パネル10は、前記表示部保護板9の蓋ケース3内に対向する内面に図示しない透明な樹脂層によって貼付けられている。
【0017】
また、前記タッチ入力部13は、前記蓋ケース3の後面に配置された例えば静電誘導型のタッチパネル15からなっている。このタッチパネル15は、前記表示部7の画面エリア(液晶表示パネル10の画面エリア)10aと実質的に同じ形状の入力エリア15aを有している。
【0018】
そして、前記タッチパネル15は、前記蓋ケース3の後面に前記タッチパネル15の外形及び厚さに対応した形状及び深さに形成された凹入部14に、タッチ面を外側に向けて嵌め込まれ、前記凹入部14に貼付けられている。
【0019】
さらに、前記表示部7と前記タッチ入力部13は、前記表示部7の画面エリア10aと、前記タッチ入力部13の入力エリア15aとを互いに背中合わせに対応させて、前記表示部7の画面エリア10aの真後に前記タッチ入力部13の入力エリア15aが位置するように配置されている。
【0020】
図3は前記携帯電話機の内蔵回路の構成図であり、この回路は、前記キーボード5と前記マイク部6を形成するマイクロフォン6aと前記スピーカ部12を形成するスピーカ12a及び送受信用アンテナ17が接続された電話機回路ブロック16と、前記電話機回路ブロック16から出力された表示データ信号に基づいて前記液晶表示パネル10を駆動する表示ドライバ18と、前記タッチパネル15を駆動し、前記タッチパネル15のタッチ位置のX,Y軸座標を検出してそのタッチ位置信号を前記電話機回路ブロック16に出力するタッチパネルドライバ19と、前記電話機回路ブロック16と前記表示ドライバ18及び前記タッチパネルドライバ19を制御する制御回路20とにより構成されている。
【0021】
この携帯電話機は、蓋ケース3を図1(a)及び図1(b)のように開いて使用され、蓋ケース3を開くと、前記表示部7の面光源11が点灯し、前記電話機回路ブロック16から待ち受け画像のデータ信号が出力されて、前記表示部7に、待ち受け画像が表示される。
【0022】
そして、キーボード5からの入力を行うと、キー入力に対応した表示データ信号が前記電話機回路ブロック16から制御回路20に出力され、制御回路20は、前記表示データ信号を表示ドライバ18に出力し、前記表示部7に、前記キー入力に対応した画像が表示される。
【0023】
また、前記タッチ入力部13のタッチ面(タッチパネル15の外面)を例えば指でタッチするタッチ入力を行うと、タッチパネルドライバ19は、タッチパネル15のタッチ位置を検出して、そのタッチ入力に対応したタッチ位置信号を制御回路20に出力し、制御回路20は、前記タッチ位置信号を、前記電話機回路ブロック16と、表示ドライバ18とへ出力する。
【0024】
前記電話機回路ブロック16は、前記タッチ位置信号を受けて動作する。また、タッチ位置信号を受けた表示ドライバ18は、そのタッチ位置信号に応じて、タッチ位置を示す画像を前記表示部7に表示させる。
【0025】
前記タッチ入力とそれに対応した前記表示部7の表示を、例えば複数のメニューの選択を例にとって説明すると、この例では、前記タッチ入力部13の入力エリア15a内の任意の位置のタッチにより、図1(a)に示したように、前記表示部7の画面エリア10a内に、アドレス表示、テレビ表示、スクロール表示等の複数のメニューマーク21を予め定めた配置で表示するとともに、前記画面エリア10aのうちの前記タッチ入力部13のタッチ位置に対応した位置にポインタ22を表示する。
【0026】
そして、前記複数のメニューの選択は、前記タッチ入力部13のタッチ面を指でタッチし、その指を前記タッチ面上を滑らせて選択するメニューマーク21の方向に移動させることにより行う。
【0027】
このように、前記タッチ面にタッチした指を移動させると、それに対応して、前記表示部7に表示されたポインタ22が移動するため、前記表示部7に表示された複数のメニューマーク21のうちの選択したメニューマークに前記ポインタ22を合わせることができる。
【0028】
なお、前記タッチ入力部13へのタッチ入力は、前記表示部7の表示を見ながら前記蓋ケース3の後側から行うが、前記タッチ入力部13は、前記表示部7の画面エリア10aと実質的に同じ形状の入力エリア15aを有しているため、前記タッチ面上の指の移動方向及び移動距離と、前記ポインタ22の移動方向及び移動距離とを1:1の関係にし、前記ポインタ22を選択したメニューマーク21に合わせるための指の移動に実感を持たせることができる。
【0029】
しかも、前記表示部7と前記タッチ入力部13は、前記表示部7の画面エリア10aと、前記タッチ入力部13の入力エリア15aとを互いに背中合わせに対応させて、前記表示部7の画面エリア10aの真後に前記タッチ入力部13の入力エリア15aが位置するように配置されているため、前記ポインタ22を選択したメニューマーク21に合わせるための指の移動を、前記表示部7の裏側からポインタ22を移動させているような感覚で行うことができる。
【0030】
前記メニュー選択は、前記タッチ入力部13のタッチ面から指を離すことにより終了する。そして、前記携帯電話機は、前記メニュー選択の終了に応じて、選択されたメニュー(ポインタ22が合わされたメニューマーク21に対応したメニュー)を実行する。
【0031】
すなわち、例えば前記複数のメニューのうちの画面スクロールのメニューが選択されたときは、前記表示部7の表示画像を、前記タッチ入力部13のタッチ面上の指の移動に対応した方向にスクロールする。
【0032】
また、前記選択されたメニューの実行は、例えば、前記タッチ入力部13の入力エリア15a内の任意の位置を複数回(例えば2回)の断続的にタッチすることにより終了する。
【0033】
この携帯電話機は、前記表示部7と前記タッチ入力部13とを備えているため、画像の表示とタッチ入力とを行うことができ、しかも、前記表示部7が前記蓋ケース3の前面に設けられ、タッチ入力部13が前記蓋ケース3の後面に設けられているため、前記タッチ入力部13のタッチ面が指紋や皮脂等の付着による汚れても、前記表示部7の表示画像を、前記タッチ面の汚れに関係無く観察することができる。
【0034】
また、この携帯電話機は、表示パネルの観察側にタッチパネルを配置したタッチパネル付き表示ユニットを備えた電子機器のように、前記表示パネルからの出射光が前記タッチパネルを透過することにより減衰することが無く、したがって、前記表示部7に、前記液晶表示パネル10の表示輝度に対応した明るい画像を表示することができる。
【0035】
しかも、この携帯電話機は、前記タッチ入力部13を形成するタッチパネル15が透明である必要が無いため、前記タッチパネル15の外面、つまり前記タッチ入力部13のタッチ面に装飾印刷等を施すことができる。
【0036】
なお、上記実施例の携帯電話機は、表示部7を形成するための表示パネルとして、液晶表示パネル10を備えたものであるが、前記表示パネルは、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル等の発光型表示パネルでも良く、その場合は、上記実施例における面光源11は不要である。
【0037】
また、上記実施例では、タッチ入力部13を静電誘導型のタッチパネル15により形成しているが、前記タッチ入力部13は、他の形式のタッチパネル15により形成してもよい。
【0038】
さらに、上記各実施例の電子機器は、折りたたみ型の携帯電話機であるが、この発明は、折りたたみ型以外の携帯電話機、電子辞書、デジタルカメラ等の、表示部とタッチ入力部を備えた電子機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の第1の実施例を示す折りたたみ型携帯電話機の使用状態の正面図及び背面図。
【図2】前記携帯電話機の表示部及びタッチ入力部が設けられた部分の断面図。
【図3】前記携帯電話機電子の内蔵回路の構成図。
【符号の説明】
【0040】
1…機器本体、2…本体ケース、3…蓋ケース、7…表示部、8…表示窓、9…表示部保護板、10…液晶表示パネル、10a…画面エリア、11…面光源、13…タッチ入力部、15…タッチパネル、15a…入力エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、
前記機器本体の1つの面に設けられた表示部と、
前記機器本体の前記表示部が設けられた面とは反対側の面に設けられたタッチ入力部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
タッチ入力部は、表示部の画面エリアと実質的に同じ形状の入力エリアを有していることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
表示部とタッチ入力部は、前記表示部の画面エリアと、前記タッチ入力部の入力エリアとを、互いに背中合わせに対応させて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
表示部は、機器本体の1つの面に形成された表示窓と、前記機器本体内に前記表示窓に対向させて配置された表示パネルとからなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
タッチ入力部は、機器本体の反対側の面に配置されたタッチパネルからなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−79660(P2010−79660A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248165(P2008−248165)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】