説明

電子機器

【課題】
動作中の電子機器において、電源プラグがユーザの手により抜かれようとしたときに警告を出して、動作中の処理中断を防止する。
【解決手段】
電子機器において、人の接触を検出する接触センサを備えた電送部と、電子機器がデータ通信等といった最新の動作状態を示す情報を記憶するメモリと、ユーザに警告を与えることが出来る警告通知部と、電子機器の最新動作状態情報を常にメモリに読み書きすると共に、接触センサからの人の接触の有無に関する信号とメモリから読み出した動作状態の情報とを用い、この動作状態が特定の動作を示し、かつ接触センサが人の接触を検知したときに警告を与えるマイコンとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば商用電源等の外部の電力源からの電力が供給されて所定の機能を実行する電子機器において、かかる機能の実行中に電源供給が遮断されることを防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器が所定の機能を実行中に、該電子機器の電源プラグがコンセントから抜かれた場合、電源の供給が突発的に遮断され、各種の不具合が生じる場合がある。例えばHDD(Hard Disc Drive)等の記録媒体を備えた記録再生装置において、HDDへのアクセス中(映像データの録画、再生等)に電源プラグが抜かれると、HDDの記録データの喪失、破壊が生じる恐れがある。
【0003】
電子機器の動作中に電源コンセントが抜かれることを防止するための従来技術としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1は、電源プラグの電流を検知して電源オンを判別し、電源プラグをコンセントに固定することにより、電子機器の使用中に電源プラグがコンセントから引き抜かれることを防止する技術を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2005−235679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の電子機器は、主電源がONの通常モード以外に、主電源がOFFの待機モード(スタンバイモード)でも各種の機能を実行するように為されている。スタンバイモード中に実行される機能としては、例えば、ネットワークからの映像データ(映像コンテンツ)のHDDへのダウンロードや、デジタルテレビジョン放送信号に含まれる電子機器のファームウェア(電子機器の動作を制御するソフトウェア)の取得及び更新等がある。
【0006】
上記特許文献1は、このような待機状態における所定の動作中にも電源プラグが抜かれる可能性があることを考慮していない。特許文献1に記載の技術は、電子機器の使用中(電子機器の主電源ON時)における電源プラグの電流を検出しているため、主電源がOFFで消費電力が小さい(例えば、消費電力1W以下)スタンバイモードの場合は、電源プラグの電流が小さくなり、電流を検出することができない場合がある。よって特許文献1では、電子機器のスタンバイモードにおける所定機能の動作中に電源プラグが引き抜かれること、及びそれに伴う不具合を良好に防止できない。
【0007】
本発明は、上記した技術的課題に鑑みて為されたものであり、電子機器の機能実行中に電源プラグが引き抜かれることを良好に防止すことが可能な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器は、外部の電力源に接続された電送部への接触を検知して接触検知情報を出力する接触検知部と、電子機器が特定の動作状態であり、かつ接触検知部から接触検知情報が出力された場合に警告を出力するコントロール部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
上記構成から明らかなように、本発明の電子機器は、電送部(例えば電源コード)に人が接触したかを検知して接触検知情報を出力する接触検知部を備えるので、電源コードを電力供給源(例えばコンセント)から引き抜こうとしているか知ることができる。コントロール部は、接触検知部から接触検知情報を受け取ると、接触検知情報を入手した時点の機能部の動作状態を記憶部に格納されている動作状態情報から判別する。そして、当該動作状態情報が電源オフ不可状態であると判定される場合、前記警告通知部を制御し、使用者に対して所定の手法で警告を行う。これにより、所定機能の実行時に外部の電力源からの電力供給が遮断されることが防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子機器が通常モード、スタンバイモードに関わらず、電子機器の機能実行中に電源プラグが引き抜かれることを良好に防止すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一の機能を有する部分には同一の符号を付し、重複する記載は省略する。
【0012】
また、本実施の形態では、電子機器の一つの例として、記録再生装置及び外付け型のハードディスクドライブ装置について言及するが、これに限定されるものではない。
【0013】
また、以下では、説明を簡単とするため、電源オン状態から待機状態(スタンバイ状態)にすることを「機能電源オフ」というものとする。また、電力供給源からの電力供給を遮断することを「電源オフ」という場合もある。例えば、電源プラグを引き抜いて商用電源(AC電源:Alternating Current電源)の通電を遮断することを「電源オフ」ともいう。
【実施例1】
【0014】
先ず、第1の実施例による電子機器の構成について説明する。この実施例においては、電子機器として、HDD等の映像データを記録/再生するための記録媒体を有する記録再生部112を備えた記録再生装置を例にして、当該実施例の構成、動作等について説明する。
【0015】
図1は、第1の実施例における記録再生装置を示すブロック図である。本実施例に係る記録再生装置10は、例えば商用電源からの電力を記録再生装置へ電送するための電送部としての電源コード101と、圧電発電素子102と、電源回路103と、メモリ104と、演算制御手段としてのマイコン105と、音声出力回路106と、圧電ブザー部107と、記録再生部112とを含んでなる。
【0016】
電源供給ラインとしての電源コード101は、図示しない外部電力供給源(ここでは、例えば、壁に設けられた商用電源AC100Vを供給するコンセント)に接続され、商用電源AC100Vを電源回路103に導く。電源コード101の先端にはコンセント(図示せず)に挿入するための電源プラグ101aが形成されている。また、当該電源プラグ部101aには、圧電発電素子102が設けられている。
【0017】
圧電発電素子102は、圧力を電気信号に変換する素子である。圧電発電素子102は、生じた電気信号をマイコン105に出力するため、マイコン105に信号線102aで接続されている。もし、図示しないユーザが、記録再生装置10を電源オフ(ここでは、コンセントからの商用電源を遮断)するために、電源コード101を引き抜こうと電源コード101の電源プラグ部101aを握った場合、圧電発電素子102は、そのときの握られた押圧力で生じた電気信号の接触検知情報S102を、信号線102aを介してマイコン105に出力する。つまり、圧電発電素子102は接触検知部として機能する。
【0018】
電源回路103は、電源コード101を介して入力された商用電源AC100Vを整流して、スタンバイモード(待機モード)時に機能する部位に電源(直流)を供給するサブ電源回路103aと、パワーオンのときのみ機能する部位に電源を供給するメイン電源回路103bとを含んでなる。本実施例では、サブ電源103aはメモリ104,マイコン105,音声出力回路106および圧電ブザー部107に電源を供給し、メイン電源103bは記録再生部112に電源を供給する。
【0019】
記録再生部112は、内部に図示しない記録媒体としての例えばHDDを有し、マイコン105の制御の下で、内部の図示しないデジタル放送受信部で受信したデジタルテレビジョン放送信号の番組映像を映像データとして記録し、また、記録した番組映像の再生を行う。また、記録再生部112は、記録再生部の内部動作状態が変化する毎に、新たな動作状態を示す動作状態情報をマイコン105に送出する。
【0020】
メモリ104は、例えば不揮発性のメモリであり、記録再生装置10が電源オフされてもバックアップしておく必要がある情報を記憶する記憶部である。本実施例では、メモリ104には、後述する記録再生装置10を電源オフしてはならない場合に該当する記録再生部112の動作状態情報である電源オフ不可状態情報のリストが予め格納されている。また、メモリ104には、記録再生部112の内部動作状態が変化する毎にマイコン105を介して、古い動作状態情報に代えて、新たな動作状態情報が上書きされて格納される。
【0021】
音声出力回路106は、マイコン105の制御の下で、記録再生部112からの音声信号を出力する。また、スタンバイモード時には、マイコン105から入力される警告指示信号を受けて、圧電ブザー部107を駆動し、ユーザ(図示せず)に対してブザー音による警告を行う。また、記録再生装置の動作状態に応じた警告音声信号を出力する周知の音声合成部を内蔵しており、圧電ブザー部107の駆動と同時に、マイコン105からの警告指示信号に基づき、記録再生部112からの音声信号に代えて、記録再生装置の動作状態に応じた警告音声信号を発生させ、音声外部出力端子109から出力する。音声外部出力端子109から出力された警告音声信号は、音声出力が接続される例えば図示しないテレビのスピーカで警告音声として出力され、ユーザに警告を促す。このように、本実施例では、音声出力回路106と圧電ブザー107で警告通知部が構成されている。なお、音声出力回路106には、スタンバイモード時でも警告音声信号が出力できるように、サブ電源が供給されているので、スタンバイモード時の消費電力の増大を招く懸念がある。この場合には、音声出力回路106にメイン電源を供給し、圧電ブザー部107のみをマイコン105で制御するようにしてもよい。
【0022】
圧電ブザー部107は、音声出力回路106で駆動されて警告音としてのブザー音を発生させる。勿論、マイコン105で直接制御されるようにしてもよい。映像表示部を有しない記録再生装置は、一般に、スピーカを備えていない。従って、音声出力回路106から出力される警告音声信号は例えば図示しないテレビのスピーカで警告音声に変換されるが、テレビがスタンバイ状態の場合には音声が出力されないことになる。そこで、ブザー音警告を併用する。
【0023】
マイコン105は、図示しないが、所定の制御処理を行うため、演算制御を行うCPU(Central Processing Unit)と、所定の処理を行うプログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、ワーキング用のRAM(Random Access Memory)等を含んでなる。なお、メモリ104は、データを記憶しておく不揮発性メモリとして用いられている。この不揮発性メモリ104には、マイコン105の動作用ソフトウェア(OS)としてのファームウェアが格納されており、必要に応じ、デジタルテレビジョン放送信号により送信された更新用ファームウェアにより更新される。そして、記録再生装置10を構成する各要素を制御し、所定の処理を行う。
【0024】
次に、電源オフ不可状態における、マイコン105による電源オフ防止処理について説明する。この処理は、記録再生装置が通常モード及びスタンバイモードいずれのモードにおいても実行されるように為されている。スタンバイモードでかかる処理を実行するために、スタンバイモードにおいてはサブ電源103aからマイコン105にサブ電源が供給される。
【0025】
マイコン105は、その内部動作状態が変化する毎に記録再生部112から送出される新たな動作状態情報を取得すると、その新たな動作状態情報をメモリ104に格納する。ここでは、メモリ104に格納されている以前の古い動作状態情報に代えて、新たな動作状態情報を上書きして格納する。
【0026】
また、マイコン105は、圧電発電素子102からの接触検知情報S102を常時監視しており、接触検知情報S102を取得すると、メモリ104に格納されている、現在の記録再生部112の動作状態情報、および、記録再生装置10を電源オフしてはならない場合に該当する電源オフ不可状態情報を読み出し、現在の記録再生部112の動作状態情報が電源オフ不可状態情報に含まれるか判別する。
【0027】
ここで、図3を用いて、電源オフ不可状態情報について説明しておく。図3は、電源オフ不可状態情報、すなわち電源供給の遮断を防止すべき特定機能の一例を示すリストである。図3から明らかなように、電源オフ不可状態は、記録再生部112に内蔵される記憶媒体としてのHDDがアクセスされている動作状態の場合に該当する。例えば、図3の(1)項の映像データの再生状態である時、(2)項の映像データの録画状態である時、(4)項の例えば図示しないHDDからDVDへ映像データのダビング(含ムーブ/コピー)している時、(5)項の記録データを編集している時、(6)項の記録媒体の初期化を行っている時、(7)項の図示しないネットワークを介して所望映像データ(映像コンテンツ)をダウンロードしてHDDに格納している時、(8)項の例えば記録再生部112の図示しないデジタル放送受信部を介してデジタルテレビジョン放送信号から取得した電子機器を制御するためのファームウェア(制御プログラム)のアップデートしている時などである。例外として、(3)項の録画予約して記録再生装置10が待機状態にある場合がある。
【0028】
上記(1)〜(8)の機能のうち、(3)、(6)、(7)、(8)は記録再生装置がスタンバイモードのときにも実行されるものであり、特に(6)及び(8)の機能は、スタンバイモードでもHDDへアクセスする機能なので、アクセス中に電源供給が遮断された場合の記録データの喪失や破壊を防止するために、本実施例では、当該機能を電源供給の遮断を防止すべき特定機能としてリストアップしている。また(8)の機能は、ファームウェアのアップロード中に電源が遮断されるとアップロードが最後まで行えず、これ以降の記録再生装置の動作に大きな支障が生じる可能性があるため、当該機能を電源供給の遮断を防止すべき特定機能としてリストアップしている。
【0029】
このように本実施例は、通常モード以外にもスタンバイモードで実行される特定機能も監視しておき、この特定機能の実行中に電源コードに人が接触した際に警告できるようにしている。これにより、記録再生装置が通常モード、スタンバイモードであるにも拘らず、当該記録再生装置の動作状態に応じた警告をすることが可能となる。
【0030】
再び継続して、マイコン105の電源オフ防止処理について説明する。マイコン105は、現在の記録再生部112の動作状態情報が図3で述べた電源オフ不可状態情報リストに含まれないならば、何の処理を行わず、ユーザによる電源プラグの引き抜きを了承する。
【0031】
もし、現在の記録再生部112の動作状態情報が図3で述べた電源オフ不可状態情報リストに含まれるならば、マイコン105は電源オフしてはならない場合に該当する電源オフ不可状態であると判別する。そして、マイコン105は、音声回路106に対して警告指示信号を出力する。音声回路106は、マイコン105から入力される警告指示信号を受けて、圧電ブザー部107を駆動し、警告音を発生させ、ユーザに警告を促す。また、音声回路106は、同時に、記録再生装置の動作状態に応じた警告音声信号を発生させ、音声外部出力端子109から出力し、音声出力が接続される例えば図示しないテレビのスピーカを介してユーザに警告を促す。
【0032】
次に、上記したマイコン105による電源オフ防止処理について、上記した説明と一部重複するが、図2を用いて説明する。
【0033】
図2は、本実施例による電源オフ防止処理の一例を示すフロー図である。図2において、まず、マイコン105は、ステップ(以下、ステップを「ST」と略記する)101で、接触検知部としての圧電発電素子102からの接触検知情報S102が有るか判定する。
【0034】
そして、マイコン105は、判定がNo(いいえ)で、接触検知情報S102が無ければ、何の処理も行わず、電源オフ防止処理を終了する。また、判定がYes(はい)で、接触検知情報S102が有ると、ST102に進み、メモリ104から読み出した現在の記録再生部112の動作状態がメモリ104に格納されている電源オフ不可状態情報リストに含まれるか判別する。
【0035】
マイコン105は、ST102の判定がYes(はい)で、記録再生部112の動作状態がメモリ104に格納されている電源オフ不可状態情報リストに含まれ、電源オフ不可状態であれば、ST103に進み、ブザー音や機器の動作状態を知らせる音声により警告し、電源オフ防止処理を終了する。また、ST102の判定がNo(いいえ)で、電源が遮断されても良い状態であれば、何の処理も行わず、電源オフ防止処理を終了する。マイコン105は、上記した図2に示す処理を逐次実行し、的確に電源コードの引き抜きを防止する。
【0036】
以上のように、本実施例によれば、記録再生部のHDD(図示せず)がアクセスされている状態であるときに、ユーザによって電源コードの電源プラグがコンセントから引き抜かれようとすると、警告を行うので、HDDの破壊やデータの喪失を回避することが可能となる。逆にいえば、HDDがアクセスされてなくて、電源オフ不可状態でなければ、電源オンやスタンバイモードにかかわらず、ユーザは安心して電源プラグをコンセントから引き抜くことができるといえる。また、録画予約待機中に電源プラグが引き抜かれようとしても、マイコン105,メモリ104,音声出力回路106,圧電ブザー107にはサブ電源が供給されて動作しているので、警告することができ、録画ができなくなることを回避することができる。本実施例では、かかる警告が通常モード及びスタンバイモードに関係なく実行されるので、スタンバイモードでの特定機能実行中に電源コードが引き抜かれて電源遮断が生じ、HDDの記録データの破壊や喪失等の各種の不具合の発生を防止できる。このように、本実施例によれば、記録再生装置が通常モード、スタンバイモードであるにも拘らず、当該記録再生装置が実行している動作が電源の遮断が防止されるべき特定の動作であるかを判定し、更に電源コードへの人の接触の有無に応じて警告を発することが可能となる。従って、記録再生装置のモードに関係なく、記録再生装置の動作状態に応じた適切な警告をすることできる。
【0037】
なお、本実施例では、ブザー音や音声により警告を行うようにしたが、これに限定されるものではない。記録再生装置に文字表示部や発光ダイオードを備えるときには、文字表示部や発光ダイオードを用いて、あるいは併用して、警告してもよい。また、電子機器が映像表示部を有するテレビジョン受像機などの場合、映像表示部を用いて、例えば「電源コードを抜かないで下さい」等の警告メッセージを表示するようにしてもよい。あるいは、この警告メッセージの表示と上述した音声や発光ダイオードと併用して、警告を行うようにしてもよい。
【実施例2】
【0038】
次に第2の実施例について、図4,図5を用いて説明する。図4は、第2の実施例における記録再生装置を示すブロック図である。図5は、第2の実施例に係わる接触センサ部を備える電源ケーブルの断面構造図である。なお、第2の実施例においても、電子機器が記録再生装置であるとする。
【0039】
第2の実施例の記録再生装置10Aは、第1の実施例の記録再生装置10とは、接触検知部としての圧電発電素子102を、電源コードを被覆する接触センサ部と静電容量検出回路とで構成する点で異なる。
【0040】
以下では、第2の実施例において、第1の実施例と同じ機能を有する要素には同一な符号を付して示し、その重複する説明を省略し、異なる機能を有する要素に着目して説明する。なお、図4において、マイコンの符号は105Aとしている。これは、マイコンに後述する静電容量検出回路420から接触検知情報S420が入力されるので符号105の後にAを添えて示している。その処理内容には変更がないので、マイコン105Aについては詳細な説明を省略する。
【0041】
図4に示すように、接触センサ付き電源ケーブル400は、電力を記録再生装置10Aに供給する電送部としての電源コード401と、電源コード401のコード部を被覆するように形成された接触センサ部402とで構成されている。
【0042】
電送部としての電源コード401は、図示しない外部電力供給源(ここでは、例えば、商用電源AC100Vを供給するコンセント)に接続され、商用電源AC100Vを電源回路103に導く。
【0043】
接触センサ部402は、電源コード401のコード部を被覆するように形成されている。被覆する範囲は、ユーザが電源コードを引き抜こうとしたときに掴むと考えられる範囲であり、例えば、電源コード401の電源プラグの根元から記録再生装置筐体壁面の固定部125までである。ユーザが手で接触センサ付き電源ケーブル400の電源プラグを握ろうとすると、電源プラグのみならず電源プラグの根元部分のコード部も握ることになる。従って、接触センサ部402の被覆範囲は、電源プラグの根元から10cm程度の範囲でもよい。しかしながら、電源コード401の途中を持って図示しないコンセントから引き抜くユーザも想定されるので、ここでは、記録再送装置10Aの外側に露出している範囲としている。
【0044】
電源コード401を被覆する接触センサ部402は、例えば、図5に示すような断面構造になっている。すなわち、接触センサ部402は、電源コード401の上に形成された第1層をなす柔軟な絶縁部402cと、その上に形成された第2層をなす柔軟な導電部A層402aと、導電部A層402aの上に形成された第3層をなす柔軟な絶縁部402cと、その上に形成された第4層をなす柔軟な導電部B層402bと、導電部B層402bの上に形成された第5層をなす柔軟な絶縁部402cとからなり、同軸状に構成されている。
【0045】
従って、絶縁部402cに外部からの押圧力が掛かると、導電部A層402aと導電部B層402b間の距離が縮まり、この変形に伴って導電部A層402aと導電部B層402b間の静電容量が増加することになる。この静電容量の増加を後述する静電容量検出回路420で検出することによって、接触センサ付き電源ケーブル400がユーザによって把持されたことを検出することができる。
【0046】
このように構成された接触センサ付き電源ケーブル400は、記録再生部10Aの筐体壁面の固定部125で固定され、記録再生部10Aの内部に引き込まれている。そして、電源コード401は電源回路103に接続されている。また、接触センサ部402の導電部A層402aおよび導電部B層402bは、固定部125側で静電容量検出回路420に接続されている。
【0047】
静電容量検出回路420は、接触センサ部402の導電部A層402aと導電部B層402bとの間の静電容量を検出し、当該静電容量が、接触センサ付き電源ケーブル400がユーザによって把持された場合に対応する所定の閾値を超えると、接触検知情報S420を、信号線420aを介してマイコン105に出力する。
【0048】
本実施例による記録再生装置10Aは、上記のように構成されているので、ユーザによって、接触センサ付き電源ケーブル400が把持されると、接触センサ付き電源ケーブル400に備わる接触センサ部402の導電部A層402aと導電部B層402b間の静電容量が増加する。この場合、その増加した静電容量値が、静電容量検出回路420で設定されている所定閾値を超えることになるので、静電容量検出回路420は、把持されたことを知らせる接触検知情報S420をマイコン105に送出する。これにより、マイコン105は接触センサ付き電源ケーブル400が把持されたと判断し、第1の実施例と同様な処理を行い、警告を発する。これにより、第1の実施例と同じ効果を達成することができる。
【0049】
当然、電源コード401のプラグに実施例1と同様な圧電発電素子を設け、コード(ライン)部に本実施例の接触センサ部402を設けるようにしてもよい。
【実施例3】
【0050】
次に、第3の実施例について説明する。第3の実施例では、電子機器として、PC(パーソナルコンピュータ)に接続して使用される外付け型のハードディスクドライブ装置を用い、外付け型のハードディスクドライブ装置に本発明を適用した実施例を示す。つまり、請求項1に係る電子機器の電力を電送するための電送部としてのUSBケーブルを用いた実施例を説明するものである。
【0051】
図6は、第3の実施例における記録再生装置を示すブロック図である。図6に示すように、本実施例の外付け型のハードディスクドライブ装置60は、接触センサ付きUSBケーブル600と、電源回路603と、メモリ604と、マイコン605と、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)駆動回路606と、HDD記録部612と、静電容量検出回路620とを含んでなる。
【0052】
本実施例の接触センサ付きUSBケーブル600は、PC61とハードディスクドライブ装置60とを接続するケーブルであり、その先端部にPC61のUSBコネクタ挿入口(図示せず)に嵌合するUSBコネクタ6011を備えるUSBケーブル601と、USBケーブル601のケーブル部を被覆するように形成された接触センサ部602とで構成されている。
【0053】
電送部としてのUSBケーブル601は、その内部に、PC61のUSBコネクタ挿入口(図示せず)から直流電力が供給されるUSB電力線601aと、PC61とデータ通信を行うための2本の+信号線601b1及び−信号線601b2で構成される通信線601bと、を含んでなる。そして、これらの線間は相互に絶縁されている。
【0054】
なお、本実施例においては、ハードディスクドライブ装置60を、接触センサ付きUSBケーブル600を介してPC61に接続した際、PC61が当該接続を検出し、USBケーブル601のUSB電力線601aにDC電力が供給されるものとする。また、ハードディスクドライブ装置60への電力供給は、PCによって制御されるものとする。
【0055】
接触検知部として機能する接触センサ部602は、USBケーブル601のケーブル部を被覆するように形成されている。被覆する範囲は、ユーザが接触センサ付きUSBケーブル600を引き抜こうとしたときに掴むと考えられる範囲とする。例えば、接触センサ付きUSBケーブル600のUSBコネクタの根元からハードディスクドライブ装置筐体壁面の固定部625までの、ハードディスクドライブ装置60の外側に露出している範囲とする。
【0056】
接触センサ部602の構成は、図5の構成において、被覆する対象が、電源コードからUSBケーブルに置き換わったものとする。そこで、その構成の説明は省略するが、接触センサ付きUSBケーブル600がユーザによって把持されると、接触センサ部602内の図示しない導体部層間で形成される静電容量が増加することになる。接触センサ部602内の図示しない2つの導体部層は、第2の実施例と同様に、静電容量検出回路620に接続されており、静電容量の増加を静電容量検出回路620で検出することによって、接触センサ付きUSBケーブル600がユーザによって把持されたことを検出することができる。つまり、接触センサ部602は接触検知部として機能する。
【0057】
接触センサ付きUSBケーブル600は、ハードディスクドライブ装置60の筐体壁面に設けられた固定部625で固定され、内部に引き込まれた後、その内のUSB電力線601aは電源回路603に接続され、通信線601b(+信号線601b1および−信号線601b2)はマイコン605に接続される。
【0058】
電源回路603は、接触センサ付きUSBケーブル600を介してPC61から供給された直流電力を、内部の図示しないDC−DCコンバータで所定電圧の直流電源に変換し、メモリ604,マイコン605,LED駆動回路606,HDD記録部612および静電容量検出回路620に供給する。
【0059】
HDD記録部612は、内部に図示しない例えばHDDを有し、マイコン605の制御の基で、信号線601b(+信号線601b1,−信号線601b2)を経由してマイコン605とPCとの間で送受信されるデータを記録し、また、記録したデータを読み出す。また、HDD記録部612は、HDD記録部の内部動作状態が変化する毎に、新たな動作状態を示す動作状態情報をマイコン605に送出する。
【0060】
メモリ604は、例えば不揮発性のメモリであり、ハードディスクドライブ装置60が電源オフされてもバックアップしておく必要がある情報を記憶する記憶部である。本実施例では、メモリ604には、接触センサ付きUSBケーブル600をPCから引き抜いて、PCから接触センサ付きUSBケーブル600に供給される直流電力を遮断してはならない場合に該当するHDD記録部612の動作状態情報である電源オフ不可状態情報のリスト(図示せず)が予め格納されている。また、メモリ604には、HDD記録部612の内部動作状態が変化する毎にマイコン605を介して、古い動作状態情報に代えて、新たな動作状態情報が上書きされて格納される。なお、電源オフ不可状態情報のリストは、HDDがアクセス(記録,読み出し)されている動作状態を示すリストであり、ほぼ図3に同様であり、その説明を省略する。但し、本実施例では録画予約待機モードを持たない。
【0061】
LED駆動回路606は、マイコン605の制御の基で、マイコン605から入力される警告指示信号を受けて、LED素子603を点滅するように駆動して、ユーザ(図示せず)に対してLED素子603点灯による警告を行う。警告を行う点灯は、光の点滅が好ましいが、これに限定するものではなく、連続点灯であってもよい。勿論、第1の実施例で用いた圧電ブザーなどを併用してもよい。
【0062】
静電容量検出回路620は、第2の実施例の静電容量検出回路と同じである。その機能は、第2の実施例で述べたように、接触センサ部602内の図示しない2つの導体部層間で形成される静電容量を検出し、当該静電容量が、接触センサ付きUSBケーブル600がユーザによって把持された場合に対応する所定の閾値を超えると、接触検知情報S620を、信号線620aを介してマイコン605に出力する。
【0063】
マイコン605は、図示しないが、所定の制御処理を行うため、演算制御を行うCPUと、所定の処理を行うプログラムを格納するROMと、ワーキング用のRAM等を含んでなる。なお、メモリ604は、データを記憶しておく不揮発性メモリとして用いられている。そして、ハードディスクドライブ装置60を構成する各要素を制御して、所定の処理を行う。例えば、マイコン605は、接触センサ付きUSBケーブル600が図示しないユーザによって引き抜かれることを防止するため、電源オフ防止処理を行う。電源オフ防止処理は、図2に示すフロー図と同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0064】
本実施例によるハードディスクドライブ装置60は、上記のように構成されているので、第1の実施例の図2のフロー図と同様な電源オフ防止処理を行うことができる。具体的には、ユーザによって、接触センサ付きUSBケーブル600が把持されると、接触センサ部602内の導電部層間の静電容量が増加する。この場合、その増加した静電容量値が、静電容量検出回路620で設定されている所定閾値を超えることになるので、静電容量検出回路620は、把持されたことを知らせる接触検知情報S620をマイコン605に送出する。これにより、マイコン605は、接触センサ付きUSBケーブル600が把持されたと判断し、HDD記録部612がHDDをアクセスしている状態(電源オフ不可状態)であれば、警告を発する。これにより、第1の実施例と同じ効果を達成することができる。
【0065】
尚、本実施例では電力供給源としてPCを例に挙げているが、USB接続端子、若しくは電力を供給する他のインターフェース端子を持ってさえいればどのような機器でも電力供給源として使用できることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施例に係る記録再生装置を示すブロック図である。
【図2】第1の実施例に係る電源オフ防止処理の一例を示すフロー図である。
【図3】電源オフ不可状態情報の一実施例を示すリストである。
【図4】第2の実施例に係る記録再生装置を示すブロック図である。
【図5】第2の実施例に係る接触センサ部を備える電源ケーブル断面図である。
【図6】第3の実施例に係る記録再生装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0067】
10,10A 記録再生装置
101 電源コード
101a 電源プラグ
102 圧電発電素子
102a 信号線
S102 接触検知情報
103 電源回路
103a サブ電源回路
103b メイン電源回路
104 メモリ
105,105A マイコン
106 音声出力回路
107 圧電ブザー部
109 音声外部出力端子
112 記録再生部
125 固定部
400 接触センサ付き電源ケーブル
401 電源コード
402 接触センサ部
402a 導電部A層
402b 導電部B層
402c 絶縁部
420 静電容量検出回路
420a 信号線
S420 接触検知情報
60 ハードディスクドライブ装置
61 PC(パーソナルコンピュータ)
600 接触センサ付きUSBケーブル
601 USBケーブル
6011 USBコネクタ
601a USB電力線
601b 通信線
602 接触センサ部
603 電源回路
604 メモリ
605 マイコン
606 LED駆動回路
608 LED素子
612 HDD記録部
620 静電容量検出回路
620a 信号線
S620 接触検知情報
625 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電力供給源に接続された電送部により電力が供給される電子機器において、
前記電送部への接触を検知して接触検知情報を出力する接触検知部と、
前記電子機器が特定の動作状態のときに前記接触検知部から前記接触検知情報が出力された場合に、警告を出力するコントロール部と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
外部の電力供給源に接続された電送部により電力が供給される電子機器において、
前記電送部への接触を検知して接触検知情報を出力する接触検知部と、
所定の機能を実行する機能部と、
前記機能部の動作状態の情報を記憶する記憶部と、
使用者に対して警告を通知する警告通知部と、
前記機能部を制御し、該機能部の動作状態を取得して前記記憶部に記憶された前記動作状態情報を更新するとともに、前記接触検知部からの接触検知情報と前記動作情報記憶部に記憶された動作状態情報に基づいて、前記警告通知部を制御するコントロール部と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、前記電送部は、前記外部の電力源としての商用電源を前記電子機器に供給するための電源コードであり、前記接触検知部は、該電源コードのプラグ部に設けられた、接触に伴う圧力を電気信号に変換して前記接触検知情報として出力する圧電発電素子を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2に記載の電子機器において、前記接触検知部は、前記電送部に被覆された、接触の伴う圧力により静電容量が変化する接触センサと、該接触センサからの静電容量が所定値を超えた場合に前記接触検知情報を出力する静電容量検出回路と、を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器において、前記電送部は、前記外部の電力源としての商用電源を前記電子機器に供給するための電源コードであり、前記接触センサが前記電源コードに被覆されていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項4に記載の電子機器において、前記電送部は、前記外部の電力源として他の電子機器からの電力が伝送されるUSBケーブルであり、前記接触センサが前記USBケーブルに被覆されていることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1に記載の電子機器において、前記コントロール部は、前記記憶部に記憶された前記動作状態情報が特定の動作状態を示し、かつ前記接触検知部が前記電送部への接触を検知した場合に、前記警告通知部に警告を出力するための命令を送信することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器において、前記警告通知部は、前記コントロール部からの前記命令に応じて警告音を出力する音声出力回路を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項7に記載の電子機器において、前記警告通知部は、前記コントロール部からの前記命令に応じて発光ダイオードの転倒を制御するためのLED制御回路を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項7に記載の電子機器において、前記警告通知部は、前記コントロール部からの前記命令に応じて表示部に警告メッセージを生じさせるための手段を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項7に記載の電子機器において、前記電子機器は、前記所定の機能として、映像データを録画媒体に記録もしくは該記録媒体から映像データを再生する機能を備えた録画再生装置であり、
前記機能部の前記特定の動作状態は、前記記録媒体に映像データを録画する動作、前記記録媒体から映像データを再生する再生する動作、前記記録媒体に映像データをコピーもしくは移動する動作、前記記録媒体に記録された映像データを編集する動作、ネットワークからの映像データを前記記録媒体にダウンロードする動作、前記記録媒体に前記映像データを録画するための録画予約が為されている場合において該録画予約を待機する動作、前記記録媒体を初期化する動作の、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項7に記載の電子機器において、前記電子機器は、前記所定の機能として、デジタルテレビジョン放送信号を受信する機能を備えたテレビジョン受信装置であり、
前記機能部の前記特定の動作状態は、前記受信されたデジタルテレビジョン放送信号に含まれる当該受信装置のファームウェアを更新する動作を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−92249(P2010−92249A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261210(P2008−261210)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】