説明

電子機器

【課題】防水機能を有し相対的にスライドする二つの筐体を電気的に接続できるフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】フレキシブルケーブル40を筐体20の壁部24に設けられた挿通孔26に挿入して引き戻すと、フレキシブルケーブル40の本体41から幅方向外側へ突出する突出部42が、壁部24の内面241に設けられた一対の係止部28に係止される。これにより、フレキシブルケーブル40を所定位置に容易に位置決めおよび方向性を決定でき、脱落を確実に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水機能付きの二つの筐体を電気的に接続するのに適したフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、二つの筐体を有する防水機能付き携帯電話装置等の電子機器において、フレキシブルケーブルを用いて、防水性を保持しつつ移動可能に電気的に接続することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
図12に示すように、折り畳み式携帯電話装置の上筐体100は、下ハウジング101と上ハウジング102を有する。下ハウジング101と上ハウジング102とは、第1の防水型両面テープ103、第2の防水型両面テープ104および、防水シート108により、防水性を有して接続される。
下ハウジング101には、ヒンジ部105が設けられており、下筐体(図示省略)を開閉可能に連結する。下ハウジング101には、回路基板106が収容される。回路基板106は、一対のコネクタ107,107を有する。
上筐体100と下筐体(図示省略)とを電気的に接続するフレキシブルケーブル109には、一対の端子部110が設けられており、回路基板106のコネクタ107に接続される。
【0003】
このような上筐体100を組み立てる際には、まず、回路基板106を下ハウジング101に収納して固定する。次に、下ハウジング101の上面に第1の防水型両面テープ103を貼り付け、第1の防水型両面テープ103の上にフレキシブルケーブル109を貼り付ける。そして、フレキシブルケーブル109の端子部110を回路基板106のコネクタ107に接続する。
次いで、フレキシブルケーブル109と第1の防水型両面テープ103の上に第2の防水型両面テープ104を貼り付けて、フレキシブルケーブル109を第1の防水型両面テープ103と第2の防水型両面テープ104でサンドイッチ状に挟んだ後、更に第2の防水型両面テープ104の上に防水シート108を貼り付ける。そして、第2の防水型両面テープ104の上に上ハウジング102を接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−188488号公報(第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の電子機器は、上筐体とした筐体とを回転可能に連結したものであり、前述したフレキシブルケーブル109の接続は、上筐体と下筐体とが相対的にスライドする電子機器には、適さないという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、防水機能を有し相対的にスライドする二つの筐体を電気的に接続できるフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフレキシブルケーブルは、所定の幅寸法が連続する本体と、前記本体の長手方向に沿った縁部に設けられ、前記本体の幅方向に沿って突出する突出部と、を備えているものである。
また、本発明のフレキシブルケーブルは、前記突出部が、前記本体の長手方向に対して平行な方向に屈曲しているものである。
【0008】
また、本発明の電子機器は、筐体と、前記筐体の壁部に設けられた挿通孔と、前記挿通孔に対して前記筐体の外側から内側に挿通され、所定の幅寸法が連続する本体と、前記本体の幅方向に沿って互いに離れる方向に向かって突出する突出部とを有するフレキシブルケーブルと、を備え、前記壁部の内面に設けられた一対の係止部に前記各突出部が係止されるものである。
【0009】
また、本発明の電子機器は、前記フレキシブルケーブルの前記本体における裏面と、前記壁部の前記内面との間に第1両面テープが設けられているものである。
【0010】
また、本発明の電子機器は、前記第1両面テープが前記挿通孔および前記各係止部を囲む枠形状であるとともに、前記挿通孔および前記各係止部を覆う蓋部と、前記フレキシブルケーブルの前記本体における表面と前記蓋部との間に介装される第2両面テープとを備えるものである。
【0011】
また、本発明の電子機器は、前記挿通孔が、互いに連続する略帯形状の第1挿通孔および第2挿通孔を備え、前記第1挿通孔が、前記本体の幅寸法および前記各突出部の突出寸法の合算寸法よりも大きな第1長手方向寸法を有し、前記第2挿通孔が、前記本体の幅寸法よりも大きく、かつ、前記第1長手方向寸法よりも小さな第2長手方向寸法を有するものである。
【0012】
さらに、本発明の電子機器は、前記各突出部が前記フレキシブルケーブルの挿入方向始点側に向かって屈曲する略L字形状であるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、フレキシブルケーブルを筐体の壁部に設けられた挿通孔に挿入して引き戻すと、フレキシブルケーブルの本体から幅方向外側へ突出する突出部が、壁部の内面に設けられた一対の係止部に係止される。これにより、フレキシブルケーブルを所定位置に容易に位置決めおよび方向性を決定でき、脱落を確実に防止できるという効果を有するフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)は本発明に係る第1実施形態の電子機器を表側から見た斜視図であり、(B)は裏側から見た斜視図
【図2】本発明に係る第1実施形態の電子機器の分解斜視図
【図3】挿通孔およびフレキシブルケーブルの突出部の平面図
【図4】(A)ないし(C)はフレキシブルケーブルを挿通孔に挿通する工程図
【図5】(A)は挿通孔に挿通されたフレキシブルケーブルに第2両面テープを貼り付ける状態を示す平面図であり、(B)は第2両面テープの上に蓋部を取り付けた状態を示す断面図
【図6】本発明に係る第2実施形態のフレキシブルケーブルおよび電子機器の平面図
【図7】(A)ないし(C)は本発明に係る第2実施形態のフレキシブルケーブルを挿通孔に挿通する工程図
【図8】(A)本発明に係る第3実施形態のフレキシブルケーブルを電子機器に挿通する状態を示す平面図であり、(B)はフレキシブルケーブルが挿通孔に係止された状態を示す平面図
【図9】(A)本発明に係る第4実施形態のフレキシブルケーブルを電子機器に挿通する状態を示す平面図であり、(B)はフレキシブルケーブルが挿通孔に係止された状態を示す平面図
【図10】(A)および(B)は突出部の変形例を示す平面図
【図11】(A)および(B)は挿通孔の変形例を示す平面図であり、(C)は係止部の変形例を示す斜視図
【図12】従来の電子機器の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態のフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器について、図面を用いて説明する。
図1および図2に示すように、本発明に係る第1実施形態の電子機器10は、防水機能を有する上筐体11および下筐体20を有する例えば携帯端末である。上筐体11と下筐体20とは、相対的にスライド可能に連結されており、フレキシブルケーブル40によって電気的に接続されている。
なお、以下の説明においては、フレキシブルケーブル40およびフレキシブルケーブル40が接続される一方の筐体である下筐体20側について詳細に説明する。
【0016】
図2に示すように、下筐体20は、上方(図2において上方)が開口(開口部211)した矩形箱状の部材であるケース21と、ケース21の開口部211を密閉するカバー22とから、防水機能を有する矩形箱状に形成される。
ケース21は、壁部である矩形板状のベースプレート24と、ベースプレート24の外周縁に沿って立設された縦壁25を有し、縦壁25の上端が開口部211となる。
ケース21の内部には、回路基板23が収容されて、ベースプレート24の内面241に固定される。
【0017】
図2および図3に示すように、フレキシブルケーブル40は、所定の幅寸法が長手方向に長く連続する本体41と、本体41の先端部付近の長手方向に沿った縁部411に設けられて本体41の幅方向に沿って左右外側に突出する一対の突出部42、42を有する。なお、フレキシブルケーブル40の先端には、回路基板23に接続するためのソケット43が取り付けられている。
【0018】
図3に示すように、突出部42は、本体41の縁部411に連続して本体41の幅方向外側に延びる基部421と、基部421の先端から本体41の長手方向と平行に挿入方向始点側(以後、「反挿入方向」という。)に屈曲する突起部422を有する。従って、突出部42は、全体として反挿入方向へ屈曲するL字形状を呈する。
ここで、フレキシブルケーブル40の本体41の幅寸法をF1、突出部42の突出寸法をF2とする。従って、合算寸法である全幅F0は、F0=F1+2×F2となる。
【0019】
図2および図3に示すように、ベースプレート24には、ベースプレート24の外側(図2において下側)からフレキシブルケーブル40を下筐体20の内部に引き込むための挿通孔26が設けられている。
また、ベースプレート24の内面241における挿通孔26の周囲には、矩形額縁形状の第1両面テープ27が貼り付けられている。第1両面テープ27は、内部に矩形の開口部271を有しており、挿通孔26は開口部271に収容される。
【0020】
図3に示すように、挿通孔26は、挿入方向に直交する長手寸法(第1長手方向寸法)L1が大きな略帯形状の第1挿通孔261と、この第1挿通孔261に連続して長手寸法(第2長手方向寸法)L2が小さな第2挿通孔262を有する。
第1挿通孔261は、ベースプレート24において挿入方向終点側(以後、「挿入方向」という。)に設けられ、第2挿通孔262は第1挿通孔261の反挿入方向側に連続する。従って、挿通孔26は、全体として反挿入方向へ突出した凸字形状を呈する。
【0021】
第1挿通孔261の長手寸法L1は、フレキシブルケーブル40の両突出部42の外側幅寸法である全幅F0より大きく、フレキシブルケーブル40が挿通可能となっている。一方、第2挿通孔262の長手寸法L2は、フレキシブルケーブル40の本体41の幅寸法F1より若干大きく形成されており、フレキシブルケーブル40の本体41は挿通可能だが、突出部42は挿通できない大きさとなっている。
【0022】
フレキシブルケーブル40を下筐体20に取り付けるには、まず、図4(A)に示すように、フレキシブルケーブル40の先端を、下筐体20の外側(下側)からベースプレート24の挿通孔26に挿通する(矢印A参照)。このとき、フレキシブルケーブル40を第1挿通孔261に挿通することにより、フレキシブルケーブル40の突出部42を挿通できる。
【0023】
突出部42が挿通孔26を通過したら、図4(B)に示すように、フレキシブルケーブル40を反挿入方向へ引き戻す(矢印B参照)。このとき、フレキシブルケーブル40の本体41を、第2挿通孔262に沿って引き戻す。
図4(C)に示すように、突出部42は第2挿通孔262を通過できないので、第1挿通孔261と第2挿通孔262との角部である係止部28により突出部42の突起部422が係止される。この状態でフレキシブルケーブル40を第1両面テープ27へ押し付けて、本体41の裏面412(図2参照)を第1両面テープ27に固定する(図4(C)中ハッチング部分)。
【0024】
次いで、図5(A)に示すように、フレキシブルケーブル40の本体41の表面413(図2参照)側から、第1両面テープ27に重ねるように第2両面テープ29を貼り付ける。第1両面テープ27および第2両面テープ29は同じものを使用することができるが、第1両面テープ27および第2両面テープ29の間にフレキシブルケーブル40を挟持した際に、隙間ができないように変形できるものとする。
そして、図5(B)に示すように、第2両面テープ29の上に蓋部31を貼り付けて、挿通孔26を密閉する。
【0025】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態のフレキシブルケーブル40によれば、所定の幅で連続する本体41の長手方向縁部411から、幅方向外側へ突出する突出部42を有する。そして、この突出部42が長手方向に対して平行な方向へ屈曲しているので、容易に突出部42が係止され、フレキシブルケーブル40を位置決めして脱落を防止できる。
【0026】
また、本発明に係る第1実施形態の電子機器10によれば、フレキシブルケーブル40を下筐体20のベースプレート24に設けられた挿通孔26に挿入して引き戻すと、フレキシブルケーブル40の本体41から幅方向外側へ突出する突出部42が、ベースプレート24の内面に設けられた一対の係止部28,28に係止される。
これにより、フレキシブルケーブル40を容易に所定位置への位置決めおよび方向性を決定でき、脱落を確実に防止できる。
【0027】
また、フレキシブルケーブル40の本体41の裏面412と、ベースプレート24の内面241との間に第1両面テープ27を設けたので、フレキシブルケーブル40をベースプレート24に固定して脱落を防止できる。
【0028】
また、フレキシブルケーブル40をベースプレート24の内面241に固定する枠形状の第1両面テープ27は、内部に挿通孔26および各係止部28を収容する。また、挿通孔26および係止部28を覆う蓋部31が設けられており、蓋部は、フレキシブルケーブル40の本体41の表面413に貼り付けられた第2両面テープ29を介して取り付けられる。
これにより、蓋部31をベースプレート24に取り付けることができ、第1両面テープ27、第2両面テープ29および蓋部31の協働により、挿通孔26の防水性を確保できる。
【0029】
フレキシブルケーブル40を挿通させる挿通孔26は、第1挿通孔261と、第1挿通孔261に連続する第2挿通孔262とを有する。第1挿通孔261は、フレキシブルケーブル40の本体41および突出部42の全幅F0より大きい第1長手方向寸法L1を有し、第2挿通孔262は、フレキシブルケーブル40の本体41の幅寸法F1よりも大きく、かつ、第1長手方向寸法L1よりも小さな第2長手方向寸法L2を有する。
このため、フレキシブルケーブル40を第1挿通孔261に挿通させ、その後第2挿通孔262に沿って引き戻す。フレキシブルケーブル40の突出部42は第2挿通孔262を通過できないので、フレキシブルケーブル40の突出部42は係止部28に係止されて、位置決めされ、脱落を防止できる。
【0030】
フレキシブルケーブル40の突出部42が、フレキシブルケーブル40の反挿入方向側に向かって屈曲する略L字形状を呈しているので、突出部42は容易かつ確実に係止される。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器を図6に示す。
なお、前述した第1実施形態にかかるフレキシブルケーブル40およびそれを用いた電子機器10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0032】
図6に示すように、本発明に係る第2実施形態のフレキシブルケーブル40Bでは、突出部42Bが三角形状となっており、挿入方向側に斜面423を有し、反挿入方向側には挿入方向と直交する係止面424を有する。
また、本発明に係る第2実施形態の電子機器10Bでは、挿通孔26Bは長方形状をした1個の開口である。挿通孔26Bの挿入方向に直交する長さL3は、フレキシブルケーブル40Bの本体41の幅F1より大きく、突出部42Bを含む全幅F0よりも小さい。
なお、挿通孔26Bの外側に設けられている第1両面テープ27は、第1実施形態と同じものである。
【0033】
従って、図7(A)に示すように、フレキシブルケーブル40Bを挿入方向(矢印A方向)へ引っ張って挿通孔26Bを挿通する際には、フレキシブルケーブル40Bの本体41は挿通孔26Bを通過可能である。一方、突出部42Bはそのままでは挿通孔26Bを通過できないが、斜面423が挿通孔26Bに当接して内側に変形させられるので、挿通孔26Bを通過できる。
突出部42Bが挿通孔26Bを通過した後、図7(B)に示すように、突出部42Bが元の位置に復帰して、挿通孔26Bの外側に突出する。この状態でフレキシブルケーブル40Bを反挿入方向(矢印B方向)へ引き戻すと、図7(C)に示すように、本体41が第2挿通孔262に沿って引き戻されるので、突出部42Bは挿通孔26Bの外側で係止される。
【0034】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態のフレキシブルケーブル40Bおよびそれを用いた電子機器10Bによれば、第1実施形態のフレキシブルケーブル40およびそれを用いた電子機器10と同様の作用・効果を得ることができる。
さらに、挿通孔26Bおよびフレキシブルケーブル40Bの突出部42Bの形状が簡潔なので、容易に制作することができる。
【0035】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態のフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器を図8に示す。
なお、前述した第1実施形態および第2実施形態にかかるフレキシブルケーブル40、40Bおよびそれを用いた電子機器10,10Bと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0036】
図8に示すように、本発明に係る第3実施形態のフレキシブルケーブル40は、第1実施形態のフレキシブルケーブル40と同じものである。
また、本発明に係る第3実施形態の電子機器10Cでは、挿通孔26Cは台形をした1個の開口である。挿通孔26Cは、挿入方向(矢印A方向)側にフレキシブルケーブル40の突出部42を含む全幅F0(図3参照)よりも長い長辺263を有する。また、反挿入方向(矢印B方向)側には、本体41の幅F1より長いが全幅F0より短い短辺264を有する。従って、斜辺265は、挿入方向に向かって外側へ拡がるように傾斜している。
なお、挿通孔26Cの外側に設けられている第1両面テープ27は、第1実施形態と同じものである。
【0037】
従って、図8(A)に示すように、フレキシブルケーブル40を挿入方向(矢印A方向)へ引っ張って挿通孔26Cを挿通する際には、フレキシブルケーブル40の本体41および突出部42は挿通孔26Cにおける長辺263側を通過する。
突出部42が挿通孔26Cを通過した後、フレキシブルケーブル40を反挿入方向(矢印B方向)へ引き戻すと、フレキシブルケーブル40は挿通孔26Cの短辺264側に沿って引き戻される。このため、図8(B)に示すように、突出部42は挿通孔26Cの斜面265に係止される。
【0038】
以上、説明した本発明に係る第3実施形態のフレキシブルケーブル40およびそれを用いた電子機器10Cによれば、第1実施形態のフレキシブルケーブル40およびそれを用いた電子機器10と同様の作用・効果を得ることができる。
さらに、挿通孔26Cの形状が簡潔なので、容易に制作することができる。
【0039】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態のフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器を図9に示す。
なお、前述した第1実施形態ないし第3実施形態にかかるフレキシブルケーブル40,40Bおよびそれを用いた電子機器10、10B、10Cと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0040】
図9に示すように、本発明に係る第4実施形態のフレキシブルケーブル40Dでは、突出部42Dが傾斜面425を有する略L字形状となっている。
また、本発明に係る第4実施形態の電子機器10Dでは、挿通孔26Dは長方形状をした1個の開口である。挿通孔26Dの挿入方向に直交する長さは、フレキシブルケーブル40Bの本体41の幅F1より大きく、突出部42Bを含む全幅F0よりも小さい。そして、挿通孔26Dの左右外側に隣接して、一対の係止孔266,266が設けられている。係止孔266は、突出部42Dが嵌合して係止可能な大きさおよび位置に設けられている。
なお、挿通孔26Dおよび係止孔266の外側に設けられている第1両面テープ27は、第1実施形態と同じものである。
【0041】
従って、図9(A)に示すように、フレキシブルケーブル40Dを挿入方向(矢印A方向)へ引っ張って挿通孔26Dを挿通する際には、フレキシブルケーブル40Dの本体41は挿通孔26Dを通過可能である。一方、突出部42Dはそのままでは挿通孔26Bを通過できないが、傾斜面425が挿通孔26Dに当接して内側に変形(図9(A)中矢印C参照)させられるので、挿通孔26Dを通過する。
突出部42Dが挿通孔26Dを通過した後、突出部42Dが元の位置に復帰して、挿通孔26Dの外側に突出する。この状態でフレキシブルケーブル40Dを反挿入方向(矢印B方向)へ引き戻すと、図9(B)に示すように、突出部42Dは挿通孔26Dの外側にある係止孔266に嵌合して係止される。
【0042】
以上、説明した本発明に係る第4実施形態のフレキシブルケーブル40Dおよびそれを用いた電子機器10Dによれば、第1実施形態のフレキシブルケーブル40およびそれを用いた電子機器10と同様の作用・効果を得ることができる。
さらに、突出部42Dを係止孔266により係止するので、確実に係止でき、フレキシブルケーブル40Dの脱落を防止できる。
【0043】
なお、本発明のフレキシブルケーブル40、40B、40Dおよびそれを用いた電子機器10、10B、10C、10Dは、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態において示した突出部42、42B、42Dの形状の他に、図10に示すような形状を採用することができる。
図10(A)に示すフレキシブルケーブル40Eにおいては、突出部42Eは、本体41から外側に真っ直ぐに突出したものである。
また、図10(B)に示すフレキシブルケーブル40Fおいては、突出部42Fは、本体41から外側に向かうとともに反挿入方向に斜めに突出したものである。
【0044】
また、前述した挿通孔26、26B、26C、26Dの形状の他に、図11に示すような形状を採用することができる。
図11(A)に示す挿通孔26Eは、フレキシブルケーブル40の本体41のみが通過可能な係止部267を反挿入方向側に有し、突出部42も通過可能な挿通部268を左右一方の端部に沿って挿入方向側に有する。
従って、フレキシブルケーブル40を挿通させる際には、幅が広い挿通部268を通し(図11(A)中矢印A1)、突出部42が通過した後、本体41を係止部267側へ移動させる(図11(A)中矢印A2)。そして、フレキシブルケーブル40を反挿入方向へ引き戻して係止する(図11(A)中矢印A3)。
【0045】
また、図11(B)に示す挿通孔26Fは、フレキシブルケーブル40の本体41のみが通過可能な係止部321と、突出部42も通過可能な挿通部322とが、クランク状に連続して設けられている。すなわち、挿通部322は、係止部321の挿入方向側にあって、左右いずれかの方向にずれて設けられている。
従って、フレキシブルケーブル40を挿通させる際には、挿通部322を通し(図11(B)中矢印B1)、突出部42が通過した後、本体41をクランク状に移動させる(図11(B)中矢印B2)。そして、フレキシブルケーブル40を反挿入方向へ引き戻して係止部321に係止する(図11(B)中矢印B3)。
【0046】
また、図11(C)に示す変形例では、挿通孔26の左右外側において上方に突出した一対の係止部33,33を設けた。
このように構成しても、フレキシブルケーブル40の突出部42を係止できるので、フレキシブルケーブル40の位置決めおよび脱落防止を図ることができる。
【0047】
なお、前述した各実施形態では、突出部をフレキシブルケーブルの両側に設ける例を示したが、突出部42をフレキシブルケーブル40の片側に設けても同様の効果を有する。
また、前述した各実施形態では、突出部42はフレキシブルケーブル40の両側に線対称のように設けた例を示したが、挿入孔26の形状に合わせてフレキシブルケーブル40の両側の突出部の位置を少しずらしても同様の効果を有する。また、突出部42は半円形状であっても同様の効果を有する。また、突出部42は凸形状であっても同様の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかるフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器は、フレキシブルケーブルを筐体の壁部に設けられた挿通孔に挿入して引き戻すと、フレキシブルケーブルの本体から幅方向外側へ突出する突出部が、壁部の内面に設けられた一対の係止部に係止される。これにより、フレキシブルケーブルを所定位置に容易に位置決めおよび方向性を決定でき、脱落を確実に防止できるという効果を有し、防水機能付きの二つの筐体を電気的に接続するのに適したフレキシブルケーブルおよびそれを用いた電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0049】
10、10B、10C、10D 電子機器
20 下筐体(筐体)
24 ベースプレート(壁部)
241 内面
26、26B、26C、26D、26E、26F 挿通孔
261 第1挿通孔
262 第2挿通孔
27 第1両面テープ
28 係止部
29 第2両面テープ
31 蓋部
40、40B、40D、40E、40F フレキシブルケーブル
41 本体
411 縁部
412 裏面
413 表面
42、42B、42D、42E、42F 突出部
F0 全幅(合算寸法)
F1 本体の幅寸法
F2 突出部の突出寸法
L1 第1長手方向寸法
L2 第2長手方向寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の幅寸法が連続する本体と、
前記本体の長手方向に沿った縁部に設けられ、前記本体の幅方向に沿って突出する突出部とを備えたフレキシブルケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のフレキシブルケーブルであって、
前記突出部が、前記本体の長手方向に対して平行な方向に屈曲しているフレキシブルケーブル。
【請求項3】
筐体と、
前記筐体の壁部に設けられた挿通孔と、
前記挿通孔に対して前記筐体の外側から内側に挿通され、所定の幅寸法が連続する本体と、前記本体の幅方向に沿って互いに離れる方向に向かって突出する突出部とを有するフレキシブルケーブルと、を備え、
前記壁部の内面に設けられた一対の係止部に前記各突出部が係止する電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記フレキシブルケーブルの前記本体における裏面と、前記壁部の前記内面との間に第1両面テープが設けられている電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記第1両面テープが前記挿通孔および前記各係止部を囲む枠形状であるとともに、
前記挿通孔および前記各係止部を覆う蓋部と、
前記フレキシブルケーブルの前記本体における表面と前記蓋部との間に介装される第2両面テープとを備える電子機器。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の電子機器であって、
前記挿通孔が、互いに連続する略帯形状の第1挿通孔および第2挿通孔を備え、
前記第1挿通孔が、前記本体の幅寸法および前記各突出部の突出寸法の合算寸法よりも大きな第1長手方向寸法を有し、
前記第2挿通孔が、前記本体の幅寸法よりも大きく、かつ、前記第1長手方向寸法よりも小さな第2長手方向寸法を有する電子機器。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のうちのいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記各突出部が前記フレキシブルケーブルの挿入方向始点側に向かって屈曲する略L字形状である電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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