説明

電子機器

【課題】生体情報が検出された人から離れた他の人に対して、その生体情報に関連した情報を適切に報知することができない。
【解決手段】電子機器は、第1の人の生体情報、および、前記第1の人の位置を示す位置情報を入力する入力部と、前記入力部により入力された前記生体情報および前記位置情報に基づいて、前記第1の人の位置とは異なる位置にある機器へ前記生体情報に関連した情報を報知するタイミングを制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
人の生体情報を検出して、応用する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2008−230280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、生体情報が検出された人から離れた他の人に対して、その生体情報に関連した情報を適切に報知することができないといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、第1の人の生体情報、および、前記第1の人の位置を示す位置情報を入力する入力部と、前記入力部により入力された前記生体情報および前記位置情報に基づいて、前記第1の人の位置とは異なる位置にある機器へ前記生体情報に関連した情報を報知するタイミングを制御する制御部と、を備える電子機器を提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】生体情報利用システム10の全体構成図である。
【図2】電子機器12の機能ブロック図である。
【図3】位置履歴情報74を示すテーブルである。
【図4】報知タイミングテーブル80の図である。
【図5】電子機器12の報知動作処理を説明するフローチャートである。
【図6】在宅サーバ14の報知後処理のフローチャートである。
【図7】電子機器112の他の形態の機能ブロック図である。
【図8】不快度履歴情報75を示すテーブルである。
【図9】報知タイミングテーブル180の図である。
【図10】電子機器212のさらに他の形態の機能ブロック図である。
【図11】報知タイミングテーブル280の図である。
【図12】電子機器212の報知動作処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、生体情報利用システム10の全体構成図である。図1に示すように、生体情報利用システム10は、電子機器12と、外部機器16を制御する在宅サーバ14とを備える。
【0009】
電子機器12は、第1の人の一例である帰宅者によって所有される。帰宅者は、在宅サーバ14が配された自宅から外出しており、当該外出中に電子機器12を携帯する。電子機器12は、腕時計、携帯電話及び音楽プレーヤ等に組み込まれてもよい。また、帰宅者が、子供の場合、電子機器12は、ランドセル及び通学かばん等に組み込まれてもよい。
【0010】
電子機器12は、帰宅者の生体情報と、生体情報を発信する位置である帰宅者の位置情報を在宅サーバ14へと報知する。電子機器12は、GPS(Global Positioning System)受信機22と、生体センサ24と、制御装置26と、種々の情報を格納するフラッシュROM28と、通信部30とを有する。
【0011】
GPS受信機22は、衛星からの信号を受信して、当該信号に基づいて電子機器12を所有する帰宅者の位置を特定する。さらに、GPS受信機22は、当該特定した帰宅者の位置を示す位置情報を、制御装置26に入力する。
【0012】
生体センサ24は、帰宅者の生体情報を取得して、制御装置26に入力する。生体センサ24は、赤外線を用いた脈波検出センサ、振動センサ、発汗センサを有し、脈波検出センサにより帰宅者の血圧や脈拍を検出し、振動センサにより心拍数を検出する。尚、生体センサ24は、例えば、特開2005−270543号(米国特許第7538890号)に記載されているように腕時計に組み込んで、電子機器12とは別個に帰宅者の身体に接する部分に配されてもよい。また、腕時計ではなく指輪やイヤリングに生体センサを設けるようにしてもよく、更に、帰宅者が自動車を利用する場合には、自動車のハンドルなどに生体センサを組み込むようにしてもよい。
【0013】
制御装置26は、CPUを有し、GPS受信機22から入力された位置情報、及び、生体センサ24から入力された生体情報に基づいて、生体情報に関連した情報を在宅サーバ14に報知するタイミングを制御したり、帰宅者が帰宅するまでにかかる時間を算出する。例えば、制御装置26は、生体情報が示す感情の一例である不快度の起伏が大きいときには、より早く、即ち、家からより遠い位置で生体情報に関連した情報を報知する。
【0014】
フラッシュROM28は、制御装置26から入力された位置情報の履歴、生体情報に関する情報である不快度等を格納する。また、フラッシュROM28は、帰宅者の行動エリアの地図情報(場所の名称、ランドマークの名称など)を格納しており、位置情報が示す場所の名称を認識可能である。通信部30は、無線モジュールとアンテナとを有し、種々の情報を在宅サーバ14へと送受信する。例えば、通信部30は、制御装置26により決定されたタイミングで、不快度、帰宅者の位置情報から算出される帰宅予想時間等を在宅サーバ14へと送信する。
【0015】
在宅サーバ14は、例えば、帰宅者の位置とは異なる位置である帰宅者の自宅に設けられる。在宅サーバ14は、例えば、ドアホンに組み込んでもよく、家に設置された通信可能なパーソナルコンピュータに組み込んでもよい。
【0016】
在宅サーバ14は、電子機器12から不快度及び帰宅予想時間等が報知されると、自宅で待つ家族等の在宅者へ受入準備を提示または実行する。受入準備とは、帰宅者の気分を和らげる準備である。受入準備の例は、家の片付け、冷蔵庫の飲料等の補充、お風呂の給湯等である。在宅サーバ14は、CPU32と、ディスプレイ34と、フラッシュROM36と、タイマー38と、通信部40とを備える。
【0017】
CPU32は、通信部40を介して電子機器12から報知された不快度及び帰宅予想時間等に基づいて、外部機器16の制御等を実行する。ディスプレイ34は、報知された不快度及び帰宅予想時間等を表示する。フラッシュROM36は、報知された不快度等を格納する。タイマー38は、後述する受入準備のために時間を計測する。
【0018】
外部機器16は、家庭用電気製品部42と、エアコン44と、携帯電話46と、検出センサ48とを含む。家庭用電気製品部42、エアコン44及び検出センサ48は、例えば、自宅に設けられる。携帯電話46は、帰宅者の家族等に携帯される。
【0019】
家庭用電気製品部42は、通信部50、カメラ部52、冷蔵庫54、お風呂56を含む。通信部50は、在宅サーバ14の通信部40と種々の情報を通信する。カメラ部52は、複数の撮像装置を含み、家の中の画像、及び、冷蔵庫54の内部の画像等を撮像して、通信部50を介して、撮像した画像情報を在宅サーバ14へと出力する。なお、通信部40、50も無線モジュールとアンテナとを有する構成となっている。
【0020】
エアコン44は、在宅サーバ14と種々の情報を送受信可能に構成されている。具体的には、エアコン44は、在宅サーバ14へ室内の温度等の情報を出力する。エアコン44は、在宅サーバ14から入力された空調指示により、室内を空調する。お風呂56は、在宅サーバ14から入力された湯沸し指示に基づいて、お風呂に給湯する。
【0021】
検出センサ48の一例は、人が発生する赤外線を検出することにより人の有無を判別する赤外線センサである。この検出センサ48の視野角(検出角度)及び検出視野(検出距離)は、家の部屋の大きさなどにより決めることができ、例えば各部屋に設けることにより家の中に人がいるかどうかを判別することができる。検出センサ48による検出結果は、在宅サーバ14へと送信される。
【0022】
図2は、電子機器12の機能ブロック図である。電子機器12の制御装置26は、距離算出部62と、不快度判定部64と、速度検出部66と、帰宅時間算出部68と、情報報知部70とを備える。
【0023】
距離算出部62は、GPS受信機22から帰宅者の位置情報Pn(n=1、2・・)を周期的に、例えば、数秒毎に取得する。距離算出部62には、フラッシュROM28から地図情報72に基づいて帰宅者の現在位置と目的地(例えば帰宅先)が入力される。距離算出部62は、入力された現在位置と目的地とに基づいて帰宅者と目的地との間の距離を算出する。
【0024】
図3は、位置履歴情報74を示すテーブルである。距離算出部62は、図3に示すように、取得時間Tnに関連付けられた位置情報Pnおよび当該位置情報Pnに基づいて算出した距離情報Dnを含む位置履歴情報74をフラッシュROM28に格納する。距離算出部62は、位置履歴情報74に基づいて帰宅者が帰宅中か否かを判定する。例えば、距離算出部62は、取得時間Tnの経過とともに距離情報Dnの値が減少していれば、帰宅者が帰宅中であると判定する。また、距離算出部62は、算出した距離が「0」になると帰宅者が帰宅したと判定する。
【0025】
不快度判定部64は、生体センサ24から体温、脈拍、発汗等の生体情報を取得して、取得した生体情報から帰宅者の不快度を算出する。例えば、不快度判定部64は、帰宅者の周囲温度が低いにも関わらず発汗が多い場合に、その発汗を精神的発汗と判定して高い不快度を算出する。この場合に例えば、不快度判定部64は生体情報が示す値の範囲と不快度とが対応付けられたテーブルを有しており、当該テーブルに基づいて不快度を算出する。なお複数の生体情報の重み付け平均等によって不快度を算出してもよい。なお、不快度判定部64による判定は、例えば30分おきや1時間おきといったように定期的に行なってもよく、また、出勤時や帰宅時といったような特定の時間帯に行なってもよい。また、後述するように、帰宅者が不快と判定された場合には、不快度判定部64は、その後、連続的に帰宅者の不快度を算出し、不快度が増加傾向にあるか、減少傾向にあるか判定するようにしてもよい。
【0026】
続いて不快度判定部64は、フラッシュROM28から不快度閾値76を取得して、不快度閾値76と不快度とを比較する。不快度判定部64は、不快度が不快度閾値76以上の場合、帰宅者が不快であると判定して、速度検出指示に速度検出部66を出力するとともに、不快度78をフラッシュROM28に格納する。不快度閾値76は、所定の値の一例である。
【0027】
速度検出部66は、不快度判定部64から速度検出指示が入力されると、フラッシュROM28に格納された位置履歴情報74の取得時間Tn及び距離情報Dnから帰宅者の帰宅速度を検出する。帰宅速度は、移動速度の一例である。速度検出部66は、検出した帰宅速度を帰宅時間算出部68に出力する。
【0028】
帰宅時間算出部68は、速度検出部66から帰宅速度が入力されると、現在の位置情報と目的地までの距離に基づいて、帰宅者が家に到着するまでの残り時間である帰宅予想時間を算出する。帰宅時間算出部68は、算出した帰宅予想時間を情報報知部70へと出力する。
【0029】
情報報知部70は、帰宅時間算出部68から帰宅予想時間が入力されると、フラッシュROM28から不快度78を取得する。情報報知部70は、不快度78に対応する報知タイミングをフラッシュROM28に格納された報知タイミングテーブル80から取得する。そして、情報報知部70は、帰宅時間算出部68から入力された帰宅予想時間が取得した報知タイミングの時間未満と判定した場合に、不快度及び帰宅予想時間を在宅サーバ14へと報知する。
【0030】
図4は、報知タイミングテーブル80の図である。図4に示すように、報知タイミングテーブル80において不快度と報知タイミングとが対応付けられている。この例において、上記不快度閾値76の値は1であり、不快度が1以上の場合に不快度等を在宅サーバ14へ報知する。図4に示す例において、不快度78が1以上3未満の場合に、情報報知部70は、帰宅予想時間が5分未満になったときに報知すべきタイミングが来たと判断する。
【0031】
情報報知部70は、生体情報に関連する情報である不快度78と不快度閾値76との差が大きいとき、不快度78と不快度閾値76との差が小さいときに比べて、在宅サーバ14へ不快度78等を報知するタイミングを早くする。また、情報報知部70は、報知するタイミングでないと判定すると、帰宅者が帰宅したか否かを判定させるための帰宅判定指示を距離算出部62に出力する。なお、情報報知部70は、帰宅者の不快度が増加傾向の場合にはより早く(例えば2〜3分程度早く)報知を行なったり、帰宅者の不快度が減少傾向の場合にはやや遅く例えば2〜3分程度遅く)報知を行なうような補正を行ってもよい。
【0032】
図5は、電子機器12の報知動作処理を説明するフローチャートである。図5に示すように、電子機器12の制御装置26の距離算出部62は、GPS受信機22から周期的に位置情報Pnを取得するとともに、不快度判定部64は、生体センサ24から生体情報を取得する(S100)。距離算出部62は、フラッシュROM28から地図情報72を取得して、地図情報72及び位置情報Pnから目的地までの距離を算出する(S110)。距離算出部62は、位置情報Pn及び距離情報Dnが取得時間Tnと関連付けられた位置履歴情報74をフラッシュROM28に格納する。なお、周期的に位置情報や生体情報を取得するのに代えて、例えば、帰宅者が最寄の駅を通過したことをトリガーにして位置情報や生体情報を取得してもよく、また、自宅から所定距離(例えば1〜5Km)以内に帰宅者が入ったり、30分以内に自宅に到着することを予想して位置情報や生体情報を取得するようにしてもよい。
【0033】
次に、距離算出部62は、位置履歴情報74の距離Dnの増減から帰宅者が帰宅途中か否かを判定する(S120)。距離算出部62は、帰宅者が帰宅途中でないと判定すると(S120:No)、ステップS100以降を繰り返す。一方、距離算出部62は、帰宅者が帰宅途中であると判定すると(S120:Yes)、ステップS130に進む。
【0034】
不快度判定部64は、ステップS100にて取得した生体情報、例えば、発汗や心拍数から不快度を算出するとともに、フラッシュROM28から不快度閾値76を取得する。そして、不快度判定部64は、算出した不快度が不快度閾値76以上か否かを判定する(S130)。不快度判定部64は、不快度が不快度閾値76未満であると判定すると(S130:No)、後述するステップS170を実行する。一方、不快度判定部64は、不快度が不快度閾値76以上であると判定すると(S130:Yes)、不快度78をフラッシュROM28に格納するとともに、速度検出指示を速度検出部66に出力する。
【0035】
速度検出部66は、速度検出指示が入力されると、フラッシュROM28の位置履歴情報74から距離情報Dnを取得して、帰宅者の帰宅速度を検出する(S140)。速度検出部66は、検出した帰宅速度を帰宅時間算出部68へと出力する。
【0036】
帰宅時間算出部68は、帰宅速度が入力されると、フラッシュROM28から距離情報Dnを取得する。帰宅時間算出部68は、入力された帰宅速度と距離情報Dnとに基づいて、帰宅予想時間を算出する(S150)。帰宅時間算出部68は、算出した帰宅予想時間を情報報知部70へと出力する。
【0037】
情報報知部70は、帰宅予想時間が入力されると、フラッシュROM28から不快度78を取得する。情報報知部70は、不快度78に対応する報知タイミングをフラッシュROM28の報知タイミングテーブル80から取得する。情報報知部70は、帰宅予想時間と取得した報知タイミングとを比較して、報知するタイミングを制御する。例えば、情報報知部70は、帰宅予想時間が報知タイミング未満であると判定すると、報知するタイミングと判定する(S160:Yes)。これにより、情報報知部70は、不快度及び帰宅予想時間を在宅サーバ14へと報知して(S180)、報知動作処理を終了する。一方、情報報知部70は、帰宅予想時間が報知タイミング以上であると判定すると(S160:No)、距離算出部62に帰宅判定指示を出力する。
【0038】
距離算出部62は、フラッシュROM28に格納されている距離情報Dnから帰宅者が帰宅したか否かを判定する。距離算出部62は、帰宅者が帰宅していないと判定すると(S170:No)、ステップS100以下を繰り返す。一方、距離算出部62は、距離情報Dnが略「0」になり、帰宅者が帰宅したと判定すると(S170:Yes)、報知動作処理を終了する。
【0039】
図6は、在宅サーバ14の報知後処理のフローチャートである。在宅サーバ14のCPU32は、電子機器12から帰宅者の不快度及び帰宅予想時間に関する情報が報知されると(S200:Yes)、帰宅者の不快度及び帰宅予想時間を在宅者に通知する(S210)。尚、CPU32は、ディスプレイ34、及び、在宅中の人の携帯電話46等を介して在宅者に不快度等を通知する。
【0040】
CPU32は、在宅者がいるか否かを判定する(S220)。CPU32は、検出センサ48の検出信号に基づいて、在宅者がいると判定すると(S220:Yes)、受入準備を在宅者に通知する(S230)。
【0041】
例えば、CPU32は、家の中の画像をカメラ部52から取得して、フラッシュROM36に格納されている整理された家の中の画像と比較する。そして、CPU32は、家の中が片付いていないと判断すると、家の中を片付ける旨をディスプレイ34に通知する。また、CPU32は、エアコン44から家の中の気温を取得して、帰宅者の好みの気温と異なる場合、エアコン44の設定を変更するようにディスプレイ34に通知する。尚、帰宅者の好みの気温は、帰宅者が事前にフラッシュROM36に格納してもよく、帰宅者のエアコン44の設定履歴に基づいてエアコン44がフラッシュROM36に格納してもよい。また、CPU32は、冷蔵庫54の中に、帰宅者の好みのビール等がないと判定すると、当該ビール等を冷やすようにディスプレイ34に通知する。CPU32は、フラッシュROM36に格納されているビールの画像と、カメラ部52から取得した冷蔵庫54の画像とを比較して、ビールの有無を判定すればよい。CPU32は、お風呂56の状態を取得して、お風呂56に適温の湯がないと判定すると、お風呂56に湯を補充するようにディスプレイ34に通知する。CPU32は、炊飯ジャー等の情報を取得して、帰宅者が帰宅する時間までに食事をする準備ができないと判定すると、ご飯を炊くようにディスプレイ34に通知する。
【0042】
一方、CPU32は、在宅者がいないと判定すると(S220:No)、受入準備を自ら実行する(S240)。例えば、CPU32は、家の気温が帰宅者の好みと異なると判定すると、エアコン44を制御して、家の気温を帰宅者の好みに設定する。尚、CPU32は、タイマー38から入力された時間に基づいて、帰宅者が帰宅する時間に合わせてエアコン44を制御することが好ましい。また、CPU32は、通信部40を介して電子機器12に在宅者がいないことを通知する。この際に、CPU32は、冷蔵庫54にある食材や飲料(もしくは冷蔵庫54にない食材や飲料)の情報を電子機器12に連絡する。これにより、帰宅者が家に在宅者がいないことや、冷蔵庫54にある食材などを認識することができ、帰宅前に買い物などを行なうことができる。
【0043】
上記実施形態において、電子機器12の情報報知部70が、帰宅者の不快度に基づいて不快度等を報知するタイミングを制御している。これにより、電子機器12は、不要な報知を抑制しつつ、在宅サーバ14を介して適切なタイミングで帰宅者の不快度を家族に報知できる。これにより、電子機器12は、帰宅者から離れた位置にいる家族に帰宅者の不快度を適切に報知することができる。この結果、家族は、不快度の高い帰宅者に対応することができる。また、家族が外出している場合に、在宅サーバ14は受入準備を実行して、帰宅者の不快度を和らげることができる。
【0044】
図7は、電子機器112の他の形態の機能ブロック図である。本実施形態の電子機器112では、制御装置126の不快度判定部64の機能が変更されるとともに、制御装置126が不快度変化率算出部65を更に備える。また、フラッシュROM28に不快度履歴を記憶する不快度履歴情報75が設けられるとともに、報知タイミングテーブルの符号が180となっている。この報知タイミングテーブル180は、帰宅者の不快度の変化率を加味して報知タイミングを変更している。
【0045】
図8は、不快度履歴情報75を示すテーブルである。不快度判定部64は、生体情報から算出した不快度が不快度閾値76以上であるか否かに関わらず、不快度UDnと生体情報の取得時間Tnとが関連付けられた図8に示す不快度履歴情報75をフラッシュROM28に格納する。図8に示すように、不快度履歴情報75は、異なる取得時間Tnにおける帰宅者の複数の不快度UDnを含む。具体的には、前述したように30分や1時間おきに不快度UDnを取得し、取得した不快度UDnが不快度閾値76を超えた場合には、その後は連続して、または、1分ごとに不快度UDnを取得して不快度履歴情報75に格納している。また、不快度判定部64は、不快度UDnが不快度閾値76以上であると判定すると、不快度変化率算出部65に最新の不快度UDnを入力する。
【0046】
不快度変化率算出部65は、不快度判定部64から最新の不快度UDnが入力されると、フラッシュROM28に記憶されている不快度履歴情報75から1つ前の不快度UDnを取得する。不快度変化率算出部65は、取得した2つの不快度UDn、UDn−1から単位時間当たり、1分当たりの不快度変化率79を算出する。不快度変化率算出部65は、算出した不快度変化率79をフラッシュROM28に格納するととともに、速度検出部66に速度検出指示を出力する。
【0047】
情報報知部70は、帰宅時間算出部68から帰宅予想時間を取得すると、フラッシュROM28から不快度変化率79を取得する。情報報知部70は、取得した不快度変化率79に対応する報知タイミングを報知タイミングテーブル180から取得する。情報報知部70は、取得した報知タイミングと、帰宅予想時間とを比較する。情報報知部70は、帰宅予想時間が報知タイミング未満と判定すると、最新の不快度UDn及び帰宅予想時間を在宅サーバ14へと報知する。
【0048】
図9は、図7の電子機器112に対応した報知タイミングテーブル180の図である。図9に示す報知タイミングテーブル180では、前述したように報知タイミングが不快度変化率に関連付けられている。報知タイミングは、不快度変化率が不快度UDn大きくなるように変化するにつれて、報知が早くなるように設定される一方、不快度変化率が不快度UDn小さくなるように変化するにつれて、報知が遅くなるように設定されている。
【0049】
尚、本実施形態の制御装置126による報知動作処理は、図5に示すフローチャートのステップS130とステップS140との間に、不快度変化率算出部65による不快度変化率の算出処理が追加される以外は、図5のフローチャートと略同様のため説明を省略する。
【0050】
図10は、電子機器212のさらに他の形態の機能ブロック図である。本実施形態の電子機器212では、制御装置226の帰宅時間算出部68の機能が一部変更されるとともに、制御装置226が不快度予想部69を更に備える。本実施形態の帰宅時間算出部68は、算出した帰宅予想時間を不快度予想部69に出力する。また、報知タイミングテーブルの符号が280となっている。
【0051】
不快度予想部69は、帰宅時間算出部68から帰宅予想時間が入力されると、フラッシュROM28の不快度履歴情報75から最新の不快度UDn及び不快度変化率79を取得する。不快度予想部69は、帰宅予想時間、最新の不快度UDn及び不快度変化率79から帰宅者が帰宅した時の不快度である予想不快度を算出する。例えば、帰宅者の帰宅予想時間が残り5分であって、最新の不快度UDnが「3」であって、不快度変化率79が「−0.5」である場合、予想不快度は「0.2」となる。尚、予想不快度がマイナスである場合、帰宅者が帰宅したときに、帰宅者の不快度が十分に緩和されていることを意味する。不快度予想部69は、帰宅予想時間及び予想不快度を情報報知部70に出力する。情報報知部70は、不快度予想部69から帰宅予想時間及び予想不快度を取得すると、取得した予想不快度に対応する報知タイミングを報知タイミングテーブル280から取得する。
【0052】
図11は、図10の電子機器212に対応した報知タイミングテーブル280の図である。図11の報知タイミングテーブル280では、報知タイミングが予想不快度に関連付けられている。情報報知部70は、取得した報知タイミングと、帰宅予想時間とを比較する。情報報知部70は、帰宅予想時間が報知タイミング未満であると判定すると、不快度及び帰宅予想時間を在宅サーバ14へと報知する。尚、予想不快度がマイナスである場合、情報報知部70は、報知タイミングテーブル280に基づいて、不快度等の情報を在宅サーバ14へ報知しない。
【0053】
図12は、電子機器212の報知動作処理のフローチャートである。尚、上述したステップの処理と同様の処理には同じステップ番号を付与して説明を簡略化する。
【0054】
まず、電子機器212の制御装置226は、ステップS100〜S120を実行する。次に、不快度判定部64は、生体センサ24から取得した生体情報に基づいて、不快度UDnを算出する。不快度判定部64は、生体情報の取得時間Tnに関連付けられた不快度UDnをフラッシュROM28に格納する。不快度判定部64は、不快度UDnが、フラッシュROM28に格納されている不快度閾値76以上と判定すると(S130:Yes)、最新の不快度UDnを不快度変化率算出部65に出力する。
【0055】
不快度変化率算出部65は、不快度判定部64から最新の不快度UDnが入力されると、フラッシュROM28に記憶されている不快度履歴情報75から1つ前の不快度UDn−1を取得する。不快度変化率算出部65は、2つの不快度UDn、UDn−1から不快度変化率79を算出する(S135)。不快度変化率算出部65は、算出した不快度変化率79をフラッシュROM28に格納するとともに、速度検出部66に速度検出指示を出力する。
【0056】
速度検出部66は、帰宅速度を検出するとともに(S140)、帰宅時間算出部68は、帰宅予想時間を算出する(S150)。帰宅時間算出部68は、算出した帰宅予想時間を不快度予想部69へと出力する。
【0057】
不快度予想部69は、帰宅時間算出部68から帰宅予想時間が入力されると、フラッシュROM28から不快度変化率79及び最新の不快度UDnを取得する。不快度予想部69は、帰宅予想時間、不快度変化率79及び最新の不快度UDnから、帰宅者の帰宅時の不快度である予想不快度を算出する(S155)。不快度予想部69は、最新の不快度UDn、帰宅予想時間及び算出した予想不快度を情報報知部70へと出力する。
【0058】
情報報知部70は、不快度予想部69から最新の不快度UDn、帰宅予想時間及び予想不快度が入力されると、当該予想不快度に対応する報知タイミングを、フラッシュROM28の報知タイミングテーブル80から取得する。情報報知部70は、帰宅予想時間が報知タイミング未満であると判定すると(S160:Yes)、最新の不快度UDn及び帰宅予想時間を在宅サーバ14に報知する(S180)。これにより、報知動作処理が終了する。
【0059】
本実施形態では、情報報知部70が、予想不快度に基づいて、不快度UDn等を報知するタイミングを制御する。これにより、帰宅中の帰宅者の不快度UDnが高くても、帰宅時の不快度である予想不快度が低い場合、情報報知部70は、在宅者に不快度UDnを報知しない。これにより、在宅者は、帰宅者の帰宅時の状態に応じて、適切な対応をとることができる。
【0060】
上述の各実施形態では、情報報知部70が、不快度等を1度だけ報知するように機能したが、情報報知部70が、複数回、不快度等を報知するように機能してもよい。例えば、情報報知部70は、報知するタイミングと判定したときが、前回報知するタイミングと判定した報知したときから予め定められた報知間隔、例えば、5分間空いていれば、再度報知してもよい。
【0061】
また、在宅サーバ14のCPU32が、報知された数日間または数週間分の帰宅者の不快度をフラッシュROM36に保存してもよい。そして、CPU32は、帰宅者の高い不快度が数日間連続した場合、その旨を帰宅者以外の家族等に通知してもよい。これにより、通知を受けた家族は、帰宅者が学校または職場等での環境が悪化していると推測することができ、帰宅者の不快度を和らげることができる。
【0062】
また、外部機器16の一つとして、在宅者の生体情報を検出する生体センサを採用してもよい。この場合、在宅サーバ14のCPU32は、在宅者の生体情報に基づいて在宅者の不快度を算出する。CPU32は、その不快度に応じた報知タイミングをフラッシュROM36に記憶された、図4と同様の報知タイミングテーブルから取得する。CPU32は、報知タイミングテーブルに基づいて図5のフォローチャートと同様に、在宅者の不快度を帰宅者の電子機器12に報知する。これにより、帰宅途中の帰宅者に在宅者の不快度を適切に報知することができる。なお、在宅者が複数いる場合には、CPU32はどの在宅者の不快度が高いかとともに、不快度の高い在宅者の気持ちを和らげるような情報(好きな食べ物、花などの情報)を電子機器12に報知するようにしてもよい。
【0063】
なお、上述の実施の形態では、帰宅者が自宅に帰宅する場合を例に説明したが、例えば、ユーザが会社に向かう場合の不快度をその会社にいる人に連絡するようにしてもいい。取引先から会社に向かうユーザの不快度を連絡することにより、ユーザの上司、部下または仲間はそのユーザに対して適切な対応を行なうことができる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0065】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0066】
10 生体情報利用システム
12 電子機器
14 在宅サーバ
16 外部機器
22 受信機
24 生体センサ
26 制御装置
28 フラッシュROM
30 通信部
32 CPU
34 ディスプレイ
36 フラッシュROM
38 タイマー
40 通信部
42 家庭用電気製品部
44 エアコン
46 携帯電話
48 検出センサ
50 通信部
52 カメラ部
54 冷蔵庫
56 お風呂
62 距離算出部
64 不快度判定部
65 不快度変化率算出部
66 速度検出部
68 帰宅時間算出部
69 不快度予想部
70 情報報知部
72 地図情報
74 位置履歴情報
75 不快度履歴情報
76 不快度閾値
78 不快度
79 不快度変化率
80 報知タイミングテーブル
112 電子機器
126 制御装置
180 報知タイミングテーブル
212 電子機器
226 制御装置
280 報知タイミングテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の人の生体情報、および、前記第1の人の位置を示す位置情報を入力する入力部と、
前記入力部により入力された前記生体情報および前記位置情報に基づいて、前記第1の人の位置とは異なる位置にある機器へ前記生体情報に関連した情報を報知するタイミングを制御する制御部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記入力した生体情報が所定の値との差が大きいときは、前記所定の値との差が小さいときに比べて前記機器へ報知するタイミングを早くする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記入力した生体情報に基づいて前記第1の人の感情の起伏を検出する第1検出部を備え、
前記制御部は、前記第1検出部の検出結果に基づいて前記タイミングを制御する請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
異なる時間において前記第1の人の前記生体情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された生体情報と、前記入力した生体情報との変化率を検出する第2検出部と、を備え
前記制御部は、前記変化率が大きくなるに連れて前記機器へ報知するタイミングを早くする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記位置情報に基づいて前記第1の人の移動速度を検出する速度検出装置を備えた請求項1から4のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項6】
前記位置情報に基づいて前記第1の人が前記機器のある位置へ到着する時間を検出する第3検出部を備えた請求項1から5のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項7】
前記入力部は、前記機器のある場所に関する情報を入力することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項8】
前記入力部は、前記機器近傍にいる第2の人の生体情報を入力することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の人に前記第2の人の生体情報を報知するタイミングを前記第2の人の生体情報に応じて制御する請求項8記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−223457(P2012−223457A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95419(P2011−95419)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】