説明

電子機器

【課題】光学式エンコーダの専用の発光素子を不要にして部品点数を削減することができるとともに、電気基板のレイアウトの自由度を高めることができるデジタルカメラを提供する。
【解決手段】デジタルカメラは、外装部材に対して回転操作可能なフロントリングと一体に回転が可能に該フロントリングに支持され、回転方向に複数のスリット51が一定間隔で設けられた回転部材5と、外装部材に形成される表示窓3に向けて光を照射する発光素子と、発光素子が発光した光を導光して回転部材5に向けて照射する導光部材6と、導光部材6の照射端62から照射されて回転部材5のスリット51を通過した光を受光する受光素子7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式エンコーダを有するデジタルカメラ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光学式エンコーダは、一般に、複数のスリットが形成された移動板と、移動板に向けて光を照射する発光素子と、回転又は直進する移動板のスリットを透過した光、或いは移動板のスリット間の遮蔽部で反射した光を受光する受光素子とを備える。
【0003】
そして、受光素子で受光した光を光電変換して得られた電気信号をA/D変換することでパルス信号を生成し、生成したパルス信号に基づいて移動板の移動量を検出する(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−230841号公報
【特許文献2】特開平5−276726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1及び2では、光学式エンコーダの構成部品として移動板、発光素子及び受光素子が必須となるため、部品点数の削減は困難である。また、発光素子及び受光素子が実装される電気基板の回路規模が大きくなり、電気基板のレイアウトの自由度が低くなる。
【0006】
そこで、本発明は、光学式エンコーダの専用の発光素子を不要にして部品点数を削減することができるとともに、電気基板のレイアウトの自由度を高めることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、外装部材と、前記外装部材に対して回転操作可能な操作部材と、前記操作部材と一体に移動が可能に前記操作部材に支持され、移動する方向に複数のスリットが設けられた移動部材と、前記外装部材に形成される表示窓に向けて光を照射する発光素子と、前記発光素子が発光した光を導光して前記移動部材に向けて照射する導光部材と、前記導光部材から照射されて前記移動部材のスリットを通過した光を受光する受光素子と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の電子機器は、外装部材と、前記外装部材に対して回転操作可能な操作部材と、前記操作部材と一体に移動が可能に前記操作部材に支持され、移動する方向に複数のスリットが設けられた移動部材と、前記外装部材に形成される表示窓に向けて光を照射する発光素子と、前記発光素子が発光した光を導光して前記移動部材に向けて照射する導光部材と、前記導光部材から照射されて前記移動部材の互いに隣り合う各スリットの間の遮蔽部で反射した光を受光する受光素子と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光学式エンコーダの専用の発光素子を不要にして部品点数を削減することができるとともに、電気基板のレイアウトの自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の電子機器の第1の実施形態であるデジタルカメラを説明するための外観斜視図である。
【図2】ユーザによる露光補正或いはホワイトバランスの設定方法について説明するためのフローチャート図である。
【図3】光学式エンコーダを説明するための分解斜視図である。
【図4】表示窓と導光部材との接続例を示す拡大斜視図である。
【図5】光学式エンコーダの組立状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の電子機器の第2の実施形態であるデジタルカメラに設けられる光学式エンコーダの要部斜視図である。
【図7】図6の下方から見た斜視図である。
【図8】本発明の電子機器の第3の実施形態であるデジタルカメラに設けられる光学式エンコーダの分解斜視図である。
【図9】(a)は表示窓に一体に設けた2本の腕部と受光素子の保持基板を保持するホルダとの配置例を示す斜視図、(b)は(a)の下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の電子機器の第1の実施形態であるデジタルカメラを説明するための外観斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のデジタルカメラは、カメラ本体1の正面部にレンズ鏡筒1aが設けられ、レンズ鏡筒1aの周囲には、フロントリング2がレンズ鏡筒1aと略同軸となる位置で、外装部材に対して回転操作可能に設けられている。
【0014】
また、カメラ本体1の正面側上部には、表示窓3がフロントリング2に近接して設けられており、表示窓3の内部には、LED等の発光素子4(図3参照)が配置されている。ここで、フロントリング2は、本発明の操作部材の一例に相当する。
【0015】
図2は、ユーザによる露光補正或いはホワイトバランスの設定方法について説明するためのフローチャート図である。
【0016】
まず、撮影時にユーザがカメラ本体1の背面側に設けられた設定キー(不図示)を押すと(ステップS201)、発光素子4が点灯して光が外装部材に形成される表示窓3に照射される(ステップS202)。発光素子4の光は表示窓3から射出され、これにより、表示窓3が点灯表示されて、ユーザは露出補正或いはホワイトバランスの設定操作が有効であることを確認することができる。また、カメラ本体1の背面側に設けられたLCD等の表示部(不図示)には、露出補正或いはホワイトバランスの設定画面が表示される(ステップS203)。
【0017】
次に、ユーザがフロントリング2を回転操作すると(ステップS204)、表示部に表示された設定画面の設定値が段階的に変更される(ステップS205)。そして、所望の設定値でユーザが設定キーを押すと(ステップS206)、設定が完了して設定画面が終了し(ステップS207)、また、発光素子4も消灯して表示窓3が消灯表示される(ステップS208)。
【0018】
ここで、不図示の制御部は、設定キーのユーザ操作に基づいて発光素子4の点灯/消灯制御を行い、設定キー及びフロントリング2のユーザ操作に基づいて表示部の表示制御を行う。
【0019】
また、制御部は、フロントリング2が回転操作された際の回転量(移動量)を光学式エンコーダからの信号に基づき検出し、検出結果に従って表示部に表示される設定画面の設定値を段階的に変更表示する。
【0020】
次に、図3〜図5を参照して、光学式エンコーダについて説明する。図3は光学式エンコーダを説明するための分解斜視図、図4は表示窓3と導光部材6との接続例を示す拡大斜視図、図5は光学式エンコーダの組立状態を示す斜視図である。
【0021】
図3に示すように、フロントリング2には、該フロントリングと一体に回転する円環状の回転部材5がフック5aを介して略同軸に支持されている。回転部材5には、円周方向に一定間隔で複数のスリット51が形成されており、円周方向に互い隣り合うスリット間が遮光部とされている。ここで、回転部材5は、本発明の移動部材の一例に相当する。
【0022】
また、発光素子4は、保持基板4aに保持され、カメラ本体1の正面側から表示窓3により覆われている。表示窓3には、図4に示すように、光ファイバー等からなる2本の導光部材6の採光端61が接続されている。導光部材6は、発光素子4から照射された光を採光端61で採光して、採光した光を照射端62側に導光する。
【0023】
導光部材6の照射端62は、図5に示すように、回転部材5の円環部分を軸方向に臨む位置に配置され、回転部材5を間に挟んで導光部材6の照射端62と対向する位置には、保持基板7aに保持された受光素子7が配置されている。
【0024】
ここで、上述したように、ユーザによる露光補正或いはホワイトバランスの設定時に発光素子4が点灯した状態でフロントリング2が回転操作されると、フロントリング2と連動して回転部材5が回転する。
【0025】
そして、回転部材5のスリット51が導光部材6の照射端62を横切る際には、導光部材6の照射端62から照射された光がスリット51を通過して受光素子7で受光される。また、回転部材5の遮蔽部が導光部材6の照射端62を横切る際には、導光部材6の照射端62から照射された光は遮光部で反射して受光素子7で受光されない。
【0026】
制御部は、受光素子7で受光した光を光電変換して得られた電気信号をA/D変換することでパルス信号を生成し、生成したパルス信号に基づき回転部材5の回転量を検出して、検出結果に従って表示部に表示される設定画面の設定値を段階的に変更する。
【0027】
以上説明したように、本実施形態では、フロントリング2の回転操作による露出補正或いはホワイトバランスの設定時に表示窓3を点灯表示させる発光素子4を光学式エンコーダの発光素子に兼用している。
【0028】
このため、光学式エンコーダ専用の発光素子が不要になって部品点数を削減することができ、また、受光素子7近辺の回路規模が小さくなって電気基板のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、図6及び図7を参照して、本発明の電子機器の第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複又は相当する部分については、各図に同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】
図6は本発明の電子機器の第2の実施形態であるデジタルカメラに設けられる光学式エンコーダの要部斜視図、図7は図6の下方から見た斜視図である。なお、図7では、受光素子7の保持基板7aの図示を省略している。
【0031】
図6に示すように、本実施形態のデジタルカメラは、導光部材6の照射端62が受光素子7側に配置されている。受光素子7の保持基板7aには、導光部材6の照射端62が配置される穴7bが受光素子7に近接して形成されている。
【0032】
ここで、上述したように、ユーザによる露光補正或いはホワイトバランスの設定時に発光素子4が点灯した状態でフロントリング2が回転操作されると、フロントリング2と連動して回転部材5が回転する。
【0033】
そして、図7を参照して、回転部材5のスリット51が導光部材6の照射端62を横切る際には、導光部材6の照射端62から照射された光はスリット51を通過するため、受光素子7で受光されない。
【0034】
また、回転部材5の遮蔽部が導光部材6の照射端62を横切る際には、導光部材6の照射端62から照射された光は遮光部で反射して受光素子7で受光される。その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、図8及び図9を参照して、本発明の電子機器の第3の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複又は相当する部分については、各図に同一符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図8は、本発明の電子機器の第3の実施形態であるデジタルカメラに設けられる光学式エンコーダの分解斜視図である。図9(a)は表示窓3に一体に設けた2本の腕部3a,3bと受光素子7の保持基板7aを保持するホルダ9との配置例を示す斜視図、図9(b)は図9(a)の下方から見た斜視図である。なお、図9(b)は、受光素子7及び保持基板7aの図示は省略している。
【0037】
本実施形態のデジタルカメラは、図8及び図9に示すように、導光部材からなる2本の腕部3a,3bが表示窓3に一体に設けられ、2本の腕部3a,3bは、発光素子4から照射された光を照射端31に導光する。2本の腕部3a,3bの照射端31は、凸レンズ形状とされて、導光した光を集光させる。
【0038】
受光素子7の保持基板7aは、回転部材5を向く側がホルダ9に保持されており、該ホルダ9には、受光素子7に対応する部位に孔92が形成されている。また、受光素子7の保持基板7aには、小孔71が2つの受光素子7に対してそれぞれ近接して形成されている。
【0039】
2本の腕部3a,3bの照射端31は、保持基板7aの裏側(ホルダ9の反対側)から2つの小孔71を臨む位置に配置されている。ホルダ9の孔91の内周壁の保持基板7aの小孔71に対応する部位には、切欠き91が形成されている。これにより、2本の腕部3a,3bの照射端31で集光された光は、保持基板7aの小孔71及びホルダ9の切欠き91を通って回転部材5の円環部分に向けて照射される。
【0040】
ここで、上述したように、ユーザによる露光補正或いはホワイトバランスの設定時に発光素子4が点灯した状態でフロントリング2が回転操作されると、フロントリング2と連動して回転部材5が回転する。
【0041】
そして、回転部材5のスリット51が2本の腕部3a,3bの照射端31を横切る際には、照射端31から照射された光はスリット51を通過するため、受光素子7で受光されない。また、回転部材5の遮蔽部が2本の腕部3a,3bの照射端31を横切る際には、照射端31から照射された光は遮光部で反射して受光素子7で受光される。その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0042】
なお、本発明の構成は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0043】
例えば、上記各実施形態では、光学式ロターリエンコーダを例示したが、光学式リニアエンコーダであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 カメラ本体
2 フロントリング
3 表示窓
4 発光素子
5 回転部材
6 導光部材
7 受光素子
51 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装部材と、
前記外装部材に対して回転操作可能な操作部材と、
前記操作部材と一体に移動が可能に前記操作部材に支持され、移動する方向に複数のスリットが設けられた移動部材と、
前記外装部材に形成される表示窓に向けて光を照射する発光素子と、
前記発光素子が発光した光を導光して前記移動部材に向けて照射する導光部材と、
前記導光部材から照射されて前記移動部材のスリットを通過した光を受光する受光素子と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
外装部材と、
前記外装部材に対して回転操作可能な操作部材と、
前記操作部材と一体に移動が可能に前記操作部材に支持され、移動する方向に複数のスリットが設けられた移動部材と、
前記外装部材に形成される表示窓に向けて光を照射する発光素子と、
前記発光素子が発光した光を導光して前記移動部材に向けて照射する導光部材と、
前記導光部材から照射されて前記移動部材の互いに隣り合う各スリットの間の遮蔽部で反射した光を受光する受光素子と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記発光素子を覆う表示窓を備え、前記導光部材は、前記表示窓と一体に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記受光素子からの信号に基づき前記操作部材の移動量を検出して、該検出結果に従って表示部の表示制御を行う制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−52853(P2012−52853A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194018(P2010−194018)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】