説明

電子機器

【課題】 操作者が操作量と変化量との関係を正確に把握することができるようにすることを目的とする。
【解決手段】 操作部材が回転操作された際に、中立位置に復帰させるように負荷を与える負荷手段と、操作部材への回転操作の回転角度が第1の角度以上か否かに応じて、当該操作部材に対応した機能のパラメータの変化量を切替える切替え手段と、操作部材が前記第1の角度と略等しい第2の角度よりも大きく回転操作された際に、負荷を増加させる負荷増加手段と、を有し、負荷増加手段は、腕部と前記操作部材が回転しても回転しない回転規制部とが当接することで負荷を増加させるものであって、腕部は、操作部材の回転方向と略直交する方向に伸びる先端部と、当該腕部が操作部材に固定された位置と先端部とを結んだ直線よりも回転規制部側に凸となる屈曲部とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材への操作量に応じて当該操作部材に対応する機能のパラメータの変化量を変更することができる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置のような電子機器において、撮影光学系の焦点距離を変更する機能、いわゆるズーム機能を有するものがある。このような撮像装置では、ズーム機能を実行するためのズーム操作部材が撮像装置外装部に設けられており、中立位置(非操作位置)から一方向に操作すると、撮影光学系の焦点距離をワイド方向に切替えることができる。あるいは、中立位置から他方向に操作すると、撮影光学系の焦点距離をテレ方向に切替えることができる。
【0003】
また近年の撮像装置は、ズーム機能における焦点距離の変化速度(ズ−ム速度)を低速から高速へと可変できる撮像装置も提供されている。ズ−ム速度を可変できる撮像装置では、ズーム操作部材の移動量により、低速から高速へと段階的にズ−ム速度を制御しているのが一般的である。このような撮像装置においては、ズーム操作部材の移動量とズーム速度との関係がわかりづらく、低速ズームを意図しているのに高速ズームになってしまい過剰にズ−ムする等、意図したズ−ム倍率に合わせることが困難であった。
【0004】
また、静止画のみならず動画撮影機能が搭載された撮像装置も提供されるようになり、ズ−ム倍率もより高倍率となってきている。こうした動画撮影中にズ−ム速度を可変できる高倍率のズーム機能を有する撮像装置においては、意図したズ−ム速度で制御できないと目標とするズーム倍率に達するまでに時間がかかり意図しない動画デ−タが記録されてしまう場合があった。
【0005】
これらの問題に対し、特許文献1では、操作部材の移動量に応じてズ−ム速度を切替えるズ−ム速度切替え手段と、ズ−ム速度が切替わった時点から他のズ−ム速度に切替わる時点までの間で負荷を増加させる負荷増加手段を筐体に備えた撮像装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−304002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、負荷増加手段は板バネ先端で当接させる構成となっており、当接させた瞬間の負荷は0で、その後、徐々に負荷を増加させている為、負荷を感じるまでの移動量が多い。そのため、操作者がズ−ム切替え位置を正確に把握しにくい。
【0008】
そこで、本発明の目的は、操作部材への操作量に応じて当該操作部材に対応する機能のパラメータの変化量を変更することができる電子機器において、操作量と変化量との関係を操作者に把握しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、中立位置から予め決められた回転角度の間で回転操作が可能な操作部材と、前記操作部材が回転操作された際に、前記中立位置に復帰させるように負荷を与える負荷手段と、前記操作部材への回転操作の回転角度が第1の角度以上か否かに応じて、当該操作部材に対応した機能のパラメータの変化量を切替える切替え手段と、前記操作部材が前記第1の角度と略等しい第2の角度よりも大きく回転操作された際に、負荷を増加させる負荷増加手段と、を有し、前記負荷増加手段は、前記操作部材の回転に合わせて回転する腕部と前記操作部材が回転しても回転しない回転規制部とが当接することで負荷を増加させるものであって、前記腕部は、前記操作部材の回転方向と略直交する方向に伸びる先端部と、当該腕部が前記操作部材に固定された位置と前記先端部とを結んだ直線よりも前記回転規制部側に凸となる屈曲部とが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作部材への操作量に応じて当該操作部材に対応する機能のパラメータの変化量を変更することができる電子機器において、操作量と変化量との関係を操作者に把握しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係る撮像装置の展開図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置のズームレバーユニットの展開図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置のズームレバーユニットの詳細図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置のズームレバーユニットの断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置のズームレバーユニットの動作を表す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置のズームレバーユニットの回転角度によるズーム速度切替え点と負荷増加点の関係を表す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置のズームレバーユニットの詳細図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る撮像装置のズームレバーユニットの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
以下に、本発明に係る第1の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置の外観図であり、図1(a)は撮像装置を前面から見た概観図であり、図1(b)は撮像装置を背面から見た外観図である。撮像装置本体1には、被写体像を撮像素子に結像する沈胴式の光学系撮影レンズ鏡筒2が収納されている。撮像装置本体1の前面右上方には、撮影時に被写体の明るさが足りない時に発光するストロボ光の発光窓3が設けられている。
【0015】
撮像装置本体1上面にはシャッターボタン4が設けられている。シャッターボタン4は2段階の押圧操作が可能となっている。シャッタ−ボタン4に1段階の半押し操作をすると、撮影準備動作(測光動作や測距動作等)が開始される。シャッタ−ボタン4に2段目の全押し操作をすると、撮影動作が開始され被写体を撮影する。
【0016】
シャッタ−ボタン4の外周には、回転操作型のズ−ムレバ−5が取り付けられている。ズ−ムレバ−5は、操作者による操作入力を受け付ける操作部材である。このズ−ムレバ−5を上面から見て時計周りに回転させると、撮影レンズ鏡筒2の撮影レンズの焦点距離がテレ側(画角が狭くなる方向)に変化し、逆に反時計周りに回転させるとワイド側(画角が広がる方向)に変化する。
【0017】
ズ−ムレバ−5の横には、モード設定レバー6および電源ボタン7が設けられている。モード設定レバー6は撮像装置本体1に対してスライド移動可能であり、スライド位置に応じたモードが設定される。
【0018】
撮像装置本体1の下面には、電池蓋8および記録媒体蓋9があり、電源となる主電池(使い切り式一次電池のほかに充電式電池も含む)を収納する電池収納室および撮影された被写体像を記録する記録媒体を収納する記録媒体収納室を開閉可能としている。
【0019】
撮像装置本体1を背面から見た右側面には電源や信号の入出力用ジャック(不図示)が設けられ、ジャック保護用のカバー部材10で覆われている。カバー部材10を開くことで入出力用ジャックへの各種ケーブル類の抜き差しが可能となる。
【0020】
撮像装置本体1の背面に液晶表示装置(LCD)11が設けられている。液晶表示装置11は撮像する被写体像の確認や、撮像された画像の再生表示に用いられる。液晶表示装置11の右側方には、複数の操作ボタン群12が設けられている。複数の操作ボタン群12は、例えば撮影条件の変更、液晶表示装置11の表示形態の変更、再生画面への切替えといった、機能を指示する際に利用する。
【0021】
次に、本実施形態における回転操作型のズ−ムレバ−ユニットについて図2ないし図6を用いて詳細に説明する。図2は本実施形態に係る撮像装置の展開図、図3は撮像装置におけるズームレバーユニットの展開図、図4はズームレバーユニットを下方から見た詳細図、図5はズームレバーユニットの縦方向の断面図である。
【0022】
ズ−ムレバ−ユニット33は、撮像装置本体1の上面に取り付けられる。前カバ−31および後カバ−32は、撮像装置本体1を覆う外装カバ−である。
【0023】
ズ−ムレバ−ユニット33は、シャッターボタン4と、圧縮バネ13と、ズ−ムレバ−5と、上面ベ−ス部材14と、ト−ションバネ15と、ズ−ムレバ−固定板17と、ズ−ム速度切替えブラシ18と、負荷増加板バネ19とで構成される。そして、直下に配置した操作プリント基板21とでシャッタースイッチ21aとズームスイッチ21bを構成する。本実施形態では更にメインスイッチ21c、モード設定スイッチ21dもあわせて構成しているが、説明は省略する。
【0024】
シャッターボタン4は、シャッターボタン4の軸4bに、シャッターボタン4を上方向に付勢する圧縮バネ13を通して、フック4aでズ−ムレバ−5に抜け止めされている。シャッターボタン4は、操作者により押下された後、押下が解除されると圧縮バネ13の力で、待機位置に自動復帰する。
【0025】
上面ベ−ス部材14は、モード設定レバー6と、電源ボタン7と、操作者の操作によって移動したズ−ムレバ−5を中立位置に復帰する復帰力を与えるト−ションバネ15が設けられている。ト−ションバネ15は、上面ベ−ス部材14の上面に設けた軸に、上方向から差し込まれ、両足が上面ベ−ス部材14の下側に潜り込むようにしてビス16で抜け止めされている。
【0026】
上面ベ−ス部材14には、ズ−ムレバ−5に設けたビス用の軸を通す複数の扇形の穴が設けられている。ズ−ムレバ−5のビス用の軸を、上側からこの穴に差込み、裏側からズ−ムレバ−固定板17を2本のビス20で固定する。したがって上面ベ−ス部材14はズ−ムレバ−5とズ−ムレバ−固定板17に挟まれている。
【0027】
このときズ−ムレバ−固定板17のレバ−形状部17aをト−ションバネ15の2本の腕の中央に引っ掛ける様に組み付ける。また、ズ−ムレバ−固定板17を固定する2本のビス20を締める際に、ズ−ム速度切替えブラシ18と負荷増加板バネ19をそれぞれ共締め固定する。ズ−ム速度切替えブラシ18と負荷増加板バネ19がズ−ムレバ−5と位置決めされることで、ズ−ム速度切替えブラシ18と負荷増加板バネ19は精度良く組みつけられる。またバランスよく配置することで互いの干渉が無く組立性も良い。
【0028】
ズ−ムレバ−5とズ−ムレバ−固定板17は一体固定となり、一体となったズ−ムレバ−固定板17は、上面ベ−ス部材14に対して、ズ−ムレバ−5に設けたビス用の軸を通す扇形の穴の範囲で回転自在に取り付けられている。
【0029】
これにより、ズ−ムレバ−固定板17は、ズ−ムレバ−5の操作に連動して回転動作する。ズ−ムレバ−5はト−ションバネ15の2本の腕の中央にズ−ムレバ−固定板17のレバ−形状部17aが位置するときに中立位置となる。ト−ションバネ15は、操作者の操作に応じて回動したズ−ムレバ−5を中立位置に戻すようにズームレバー5に対して所定の復帰力(回転操作に対する負荷)を付与している。
【0030】
ズ−ム速度切替えブラシ18は、ビス締め部18bが、樹脂で覆われるよう、金属と樹脂で構成されている。ズ−ム速度切替えブラシ18のブラシ部18aは、金属片でできており、先端が二股になった二本の接触子が形成されている。ビス締め部18bを、樹脂で覆う事で、ブラシ部18aがズ−ムレバ−固定板17に電気的に接触しないようにしている。
【0031】
負荷増加板バネ19は、図4(b)に示すような形状をしており、ズームレバー5の回転中心とビス締め部19bの中心とを結ぶ直線aに対して線対称な1対の腕部19aが、ズームレバー固定板17と略平行に設けられている。本実施形態では、ズームレバー5の回転中心とビス締め部19bの中心とを結ぶ直線aはズームレバーの径方向と一致している。
【0032】
腕部19aは、直線aの近傍で負荷増加板バネ19に固定されていて、固定位置から直線aに対して略直交する方向に伸びている。そして、腕部19aには第1の折り曲げ部19c、第2の折り曲げ部19d及び第3の折り曲げ部19eが設けられていて、第1の折り曲げ部19cによって直線aに対して略直交する方向からビス締め部19b側に折り曲げられる。なお、第1の折り曲げ部19cでは、直線aに対して略直交する方向からの角度が90度を超えないように折り曲げることが望ましい。第1の折り曲げ部19cによって折り曲がった腕部19aは、更に第2の折り曲げ部19dによってズームレバーの回転方向と略平行な方向であって、腕部19aの先端部19fが直線aから離れる方向に折り曲げられる。そして、先端部19fの近傍に設けられた第3の折り曲げ部19eによって、先端部19fはズームレバー5の回転方向と略直交する方向であって、ズームレバー5の外周方向に折り曲げられる。このように、第1の折り曲げ部19cから第3の折り曲げ部19eまでの部分を屈曲部とすると、屈曲部と先端部19fとは連続して設けられ、屈曲部は腕部19aが固定された位置と先端部19fとを結んだ直線よりも後述する回転規制部側に凸となる。
【0033】
これらのズ−ムレバ−ユニット33直下に操作プリント基板21が配置される。操作プリント基板21には、シャッタ−ボタン4の押し子4bで押下されるシャッタ−スイッチ21aと、ズ−ム速度切替えブラシ18の金属ブラシ部18aが摺動するズ−ム接点部21bと、他には、電源スイッチ21c、モ−ド接点部21d等を備えている。
【0034】
ズ−ム速度切替えブラシ18の金属ブラシ部18aは、操作プリント基板21のズ−ム接点部21b上を摺動移動し、操作者によるズ−ムレバ−5への操作角度(操作量)に応じて、非作動、ズ−ム動作方向の切替えと、ズ−ム速度の切替えを行う。
【0035】
次に、ズームレバー5を回転操作したとき生じる操作過重について図6を用いて説明する。図6(a)に示した中立位置からズ−ムレバ−5を所定角度だけ回転させると、図6(b)に示すように、負荷増加板バネ19の先端部19fが、上面ベ−ス部材14に形成された二本の回転規制部14aに当接する。先端部19fが回転規制部14aに当接した状態で更にズームレバー5を回転させると、ト−ションバネ15による復帰力に加え、負荷増加板バネ19による復帰力が追加される。この時、第2の折り曲げ部19dにより形成された腕部19aの『く』の字形状部分(屈曲部)が伸びることで塑性変形を防ぎ、先端部19fが回転規制部14aに当接した状態からわずかにズームレバー5を回転させただけで所望の負荷を生み出すことができる。
【0036】
この復帰力の増加点からズ−ムレバ−5を更に回転操作すると、高速ズ−ム駆動状態が開始される。高速ズ−ム駆動状態が開始されてから更に回転操作していくと、図6(c)に示すように、ズ−ムレバ−5のビス締め用のボス5aと上面ベ−ス部材14に設けられた扇形の穴の端である突き当て部14bが当接し、それ以上の回転操作が不能となる。
【0037】
次に、ズームレバー5を回転操作したときのズーム速度の切替えについて説明する。ズ−ムレバ−5に力を加えト−ションバネ15の反力に抗して回転させると、ズ−ム速度切替えブラシ18の金属ブラシ部18aがズ−ム接点部21b上を摺動移動し、ズーム非作動の中立位置から低速ズ−ム域に入る。ズームレバー5の回転角度がこの低速ズーム域に入っている間は、第1のズーム速度でズーム倍率が変化する。
【0038】
更にズームレバー5を回転させると、負荷増加板バネ19の先端部19fが上面ベ−ス部材14に形成された回転規制部14aに当接し、操作負荷が増加する。この回転角度を負荷増加点とする。この角度より更にズームレバー5を回転させることで、高速ズ−ム域に入る。ズームレバー5の回転角度がこの低速ズーム域に入っている間は、第1のズーム速度よりも速い第2のズーム速度でズーム倍率が変化する。すなわち、負荷増加点となる角度が低速ズ−ム/高速ズ−ムのズ−ム速度切替え点となる。
【0039】
このように、負荷増加点(第2の角度)とズーム速度切替え点(第1の角度)とを一致させることでズーム操作中の操作負荷の変化とズーム速度の変化とが対応し、操作者が操作負荷とズーム速度との関係を正確に把握することができる。そのため、操作者が所望するズーム速度を容易に設定することができ、目標とするズーム倍率に達するまでの時間を軽減することができる。
【0040】
なお、この負荷増加点とズ−ム速度切替え点とは完全に一致していなくてもよく、角度差が所定の範囲内(5°以内が望ましい)すなわち、負荷増加点とズ−ム速度切替え点とが略等しければ、操作者が操作負荷とズーム速度との関係を正確に把握することができる。
【0041】
図7は、ズ−ム速度切替え点と負荷増加点の関係を表す図である。なお、図7では、負荷増加点とズーム速度切替え点とが一致していない場合について説明する。
【0042】
ズームレバー5をシャッタースイッチ21aを中心に回転させると、ズ−ム速度切替えブラシ18の金属ブラシ部18aが操作プリント基板21に実装されたズーム接点部21bに接触導通し、ズーム非作動の中立位置Aから低速ズ−ム域Bに入る。更にズームレバー5を回転させると、低速ズ−ム域B移動中に、負荷増加板バネ19の先端部19fが上面ベ−ス部材14に形成された回転規制部14aに当接し、負荷増加点(中立位置から負荷増加点までの回転角度:D)となる。
【0043】
この位置より更にズームレバー5を回転させることで、高速ズ−ム域Cに入る。この角度が低速ズ−ム/高速ズ−ムのズ−ム速度切替え点(中立位置からズ−ム切替え点までの回転角度:A+B)となる。すなわち、ズームレバー5の回転角度が第1の角度以上か否かに応じてズーム速度を切替える。
【0044】
上述したように、(A+B)とDとの角度差を所定の範囲内に設定することで、操作者が操作負荷とズーム速度との関係を正確に把握することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、図8を参照して、本発明に係る第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態で説明した撮像装置とズームレバーユニット33の構成のみが異なるため、ズームレバーユニット33以外の構成についての説明は省略する。また、以下では、本実施形態のズームレバーユニット33において第1の実施形態のズームレバーユニット33と同様の部分は同じ符号をつけて説明するものとする。
【0046】
本実施形態では、ズ−ムレバ−5は、3本のカシメ軸5aが設けられ、上面ベ−ス部材14の上面から差込み、下面からズ−ムレバ−固定板17を取り付け、3本のカシメ軸5aを溶着することで、上面ベ−ス部材14を挟んで、回転自在に取り付けている。これにより、ズ−ムレバ−固定板17は、使用者によるズ−ムレバ−5の操作に連動して回転動作する。
【0047】
ズ−ムレバ−固定板17には、1対の板バネ形状部17bが設けられており、取り付ける際に、ズ−ムレバ−固定板17は、上面ベ−ス部材14の中立軸14cを2枚の板バネ形状部17bで挟むように組み込まれる。この2枚の板バネ形状部17bは、操作に応じて回動したズ−ムレバ−5を中立位置に戻るようにズームレバー5に対して所定の負荷(復帰力)を付与する。2枚の板バネ形状部17bの中央に、上面ベ−ス部材14の中立軸14cが位置するときにズ−ムレバ−5は中立位置となる。
【0048】
また、ズームレバー固定板17には、第1の実施形態における負荷増加板バネ19の腕部19aと同形状の腕部17cが設けられている。
【0049】
ズ−ムレバ−5を図8(a)に示した中立位置から所定角度だけ回転させると、図8(b)に示すように、腕部17cが上面ベ−ス部材14に形成された回転規制部14dに当接する。腕部17cが回転規制部14dに当接した状態で更にズームレバー5を回転させると、板バネ形状部17bによる復帰力に加え、腕部17cによる復帰力が追加される。この時、腕部17cの『く』の字形状部分(屈曲部)が伸びることで塑性変形を防ぎ、腕部17cが回転規制部14dに当接した状態からわずかにズームレバー5を回転させただけでも所望の負荷を生み出すことができる。
【0050】
この負荷増加点からズ−ムレバ−5を回転操作すると、高速ズ−ム駆動状態が開始され、更に回転操作していくと、図8(c)に示すようにズ−ムレバ−5のカシメ用のボスと上面ベ−ス部材14の突き当て部(不図示)が当接し、それ以上の回転操作が不能となる。
【0051】
ズ−ムレバ−固定板17には、更に、操作プリント基板に実装されたズ−ムスイッチ21bのレバ−部材を挟み込むように、突出部17dが形成されている。
【0052】
ズ−ムスイッチ21bは、角型で形成されたベ−ス部材に、レバ−部材が外形から突出しており、内蔵されたコイルバネ(不図示)によってレバ−部材を中立位置を保つように付勢している。レバ−部材は、一方の方向に回転させると、撮影レンズの焦点距離がテレ側(ズーム倍率が大きくなる方向)に変化し、他方の方向に回転させるとワイド側(ズーム倍率が小さくなる方向)に変化する。レバ−部材は操作者によるズ−ム動作を終了した後、内蔵されたコイルバネによって中立位置に復帰する。
【0053】
ズ−ムスイッチ21bは、ズ−ムレバ−固定板17の突出部17dの回動に伴い、ズ−ム動作への切替えと、ズ−ム速度を低速ズ−ム/高速ズ−ムの切替えを行うものである。
【0054】
このように、ズ−ムレバ−固定板17には、中立位置に復帰させる板バネ形状部17bと、回転操作の負荷を増加させる腕部17cと、ズ−ムスイッチ21bを作動させる突出部17dが一体で構成される為、精度良く、また組立性良く配置することが可能となる。
【0055】
操作者がズ−ムレバ−5に力を加えズームレバー5を回転させると、ズ−ムレバ−固定板17の突出部17dがズ−ムスイッチ21bを作動させ、中立位置から低速ズ−ム域に入る。ズ−ムレバ−固定板17の腕部17cが上面ベ−ス部材14に形成された回転規制部14dに当接し、操作負荷が増加する。その後更にズームレバー5を回転させると低速ズ−ム/高速ズ−ムのズ−ム速度切替え点を越える。この負荷増加点と、低速ズ−ム/高速ズ−ムのズ−ム速度切替え点を略等しく(角度差が5°以内が望ましい)設定することで、操作者が操作負荷とズーム速度との関係を正確に把握することができる。
【0056】
(第3の実施形態)
次に、図9を参照して、本発明に係る第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態で説明した撮像装置とズームレバーユニット33の構成のみが異なるため、ズームレバーユニット33以外の構成についての説明は省略する。また、以下では、本実施形態のズームレバーユニット33において第1の実施形態のズームレバーユニット33と同様の部分は同じ符号をつけて説明するものとする。
【0057】
本実施形態では、上面ベ−ス部材14には、ズ−ムレバ−5を中立位置に復帰する復帰力を与えるト−ションバネ15が設けられている。ト−ションバネ15は、上面ベ−ス部材14上面に設けた軸に、上方向から差し込まれ、両足が上面ベ−ス部材14の下側に潜り込むようにしてビス16で抜け止めされている。
【0058】
ズ−ムレバ−5は、上面ベ−ス部材14を挟むようにして、ズ−ムレバ−固定板17と2本のビス20によって固定され、上面ベ−ス部材14に対して回転自在に取り付けられる。これにより、ズ−ムレバ−固定板17は、ズ−ムレバ−5の操作に連動して回転動作する。
【0059】
ズ−ムレバ−固定板17は、取り付ける際にレバ−形状部17aをト−ションバネ15の2本の腕の中央に引っ掛ける様に組み付けられる。ズ−ムレバ−5は、このト−ションバネ15の2本の腕の中央にズ−ムレバ−固定板17のレバ−形状部17aが位置するときに中立位置となる。ト−ションバネ15は、操作者の操作により回動したズ−ムレバ−5を中立位置に戻るように所定の復帰力を与える。
【0060】
ズ−ムレバ−固定板17を固定する2本のビス20は、ズ−ム速度切替えブラシ18と負荷増加ゴムバネ29をそれぞれ共締め固定する。これによって、ズ−ム速度切替えブラシ18と負荷増加ゴムバネ29を精度良く、また組立性良く配置することが可能となる。
【0061】
ズ−ム速度切替えブラシ18は、ビス締め部18bが、樹脂で覆われるよう、金属と樹脂の二色成形で構成されている。ズ−ム速度切替えブラシ18のブラシ部18aは、金属片でできており、先端が二股になった二本の接触子が形成されている。ビス締め部18bを、樹脂で覆う事で、ブラシ部18aがズ−ムレバ−固定板17に電気的に接触しないようにしている。
【0062】
負荷増加ゴムバネ29は、エラストマ−など小さな力で大きく変形し、大きな弾性ひずみ領域を持った材料で構成している。負荷増加ゴムバネ29は、ズームレバー5の回転中心とビス20でビス締めされる不図示のビス締め部の中心とを結ぶ直線bに対して線対称な1対の腕部29aが、ズームレバー固定板17と略平行に設けられている。腕部29aは、直線bの近傍で負荷増加ゴムバネ29に固定されていて、固定位置から直線bに対して略直交する方向に伸びている。そして、腕部29aの先端部29bは、ズームレバー5の回転方向と略直交する方向であって、ズームレバー5の外周方向に折り曲げられる。本実施形態でも、第1の実施形態及び第2の実施形態の屈曲部に相当する、腕部29aが固定された位置と先端部29bとを結んだ直線よりも後述する回転規制部側に凸となる部分が設けられている。
【0063】
ズ−ム速度切替えブラシ18の金属ブラシ部18aは、操作プリント基板のズ−ム接点部上を摺動移動し、操作者によるズ−ムレバ−5への操作の回転角度(操作量)に応じてズ−ム動作への切替えと、ズ−ム速度を低速ズ−ム/高速ズ−ムの切替えを行う。
【0064】
図9(a)に示した中立位置からズ−ムレバ−5を所定の角度だけ回転させると、図9(b)に示すように、負荷増加ゴムバネ29は上面ベ−ス部材14に形成された二本の回転規制部14aに先端部29bが当接する。この時、負荷増加ゴムバネ29はエラストマ−などの弾性材料で構成されるため、先端部29bと回転規制部14aとの衝突音を軽減することができる。
【0065】
先端部29bが回転規制部14a当接した状態で更にズームレバー5を回転させると、ト−ションバネ15による復帰力に加え、負荷増加ゴムバネ29による復帰力が追加される。この時、腕部29aの凸形状に起因する負荷増加ゴムバネ29の弾性力により、先端部29bが回転規制部14aに当接した状態からわずかにズームレバー5を回転させただけでも所望の負荷を生み出すことができる。
【0066】
この負荷増加点(先端部29bと回転規制部14aとが当接する回転角度)から更にズ−ムレバ−5を回転操作すると、高速ズ−ム駆動状態が開始される。高速ズ−ム駆動状態が開始されてから更に回転操作していくと、図9(c)のように、ズ−ムレバ−5のビス締め用のボス5aと上面ベ−ス部材14の突き当て部14bが当接し、それ以上の回転操作が不能となる。
【0067】
なお、上面ベ−ス部材14の突き当て部14bもエラストマ−などの弾性材料となるように周りの樹脂できた領域と2色成形されており、ズ−ムレバ−5のビス締め用のボス5aと上面ベ−ス部材14の突き当て部14b衝突音を軽減することができる。
【0068】
このように、本実施形態では、ズームレバー5を回転させることで衝突する部分にエラストマ−などの弾性材料を配置することによって、音声録音時に録音されるズームレバーの操作音を軽減することができる。
【0069】
ズ−ムレバ−5に力を加えト−ションバネ15の反力に抗して回転させると、ズ−ム速度切替えブラシ18の金属ブラシ部18aは、操作プリント基板のズ−ム接点部21b上を摺動移動し、中立位置から低速ズ−ム域に入る。更にズームレバー5を回転させると負荷増加ゴムバネ29の先端部29bが上面ベ−ス部材14に形成された回転規制部14aに当接し、操作負荷が増加する。この回転角度が負荷増加点である。その後更にズームレバー5を回転させると低速ズ−ム/高速ズ−ムのズ−ム速度切替え点を越える。この負荷増加点と、低速ズ−ム/高速ズ−ムのズ−ム速度切替え点を略等しく(角度差が5°以内が望ましい)設定することで、操作者が操作負荷とズーム速度との関係を正確に把握することができる。
【0070】
以上のように、上述した3つの実施形態では、ズーム速度の切替えを行うためのズ−ム速度切替え部材とズーム操作の負荷を増加させる負荷増加部材を精度良く、また組立性良く配置することができる。また、ズーム速度の切替え角度と略等しい角度でズーム操作の負荷を大きく変化させることで、操作者が操作負荷とズーム速度との関係を正確に把握することができる。
【0071】
なお、上述した3つの実施形態では、撮像装置におけるズーム操作に適用した場合を説明したが、その他の機能の操作に適用しても構わない。例えば、記録媒体に記録された複数の画像のうちの1つを液晶表示装置11に表示させる再生モードにおいて、表示させる画像を次の画像に変更する画像送り操作の速度を変更させる場合に適用しても構わない。
【0072】
また、上述した画像送り操作のような、撮像装置以外の電子機器でも実行可能な機能にも適用可能であるため、操作部材への操作量に応じて当該操作部材に対応する機能のパラメータの変化量を変更させる電子機器であれば本発明を適用することができる。
【0073】
また、上述した3つの実施形態では、操作部材の回転方向によらず、負荷増加及び変化量の変更を行ったが、操作部材を一方の方向に回転させたときのみ負荷増加及び変化量の変更を行う場合であっても適用可能である。
【0074】
また、上述した3つの実施形態では、変化量を2つで切替える(低速ズーム/高速ズーム)場合を説明したが、もっと多くの切り替えを行う場合に適用してもよく、例えば、第1の実施形態における負荷増加板バネ19を複数設けた構成であってもよい。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 撮像装置本体
5 ズ−ムレバ−
14 上面ベ−ス部材
15 ト−ションバネ
17 ズ−ムレバ−固定板
18 ズ−ム速度切替えブラシ
19 負荷増加板バネ
21 操作プリント基板
29 負荷増加ゴムバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中立位置から予め決められた回転角度の間で回転操作が可能な操作部材と、
前記操作部材が回転操作された際に、前記中立位置に復帰させるように負荷を与える負荷手段と、
前記操作部材への回転操作の回転角度が第1の角度以上か否かに応じて、当該操作部材に対応した機能のパラメータの変化量を切替える切替え手段と、
前記操作部材が前記第1の角度と略等しい第2の角度よりも大きく回転操作された際に、負荷を増加させる負荷増加手段と、を有し、
前記負荷増加手段は、前記操作部材の回転に合わせて回転する腕部と前記操作部材が回転しても回転しない回転規制部とが当接することで負荷を増加させるものであって、
前記腕部は、前記操作部材の回転方向と略直交する方向に伸びる先端部と、当該腕部が前記操作部材に固定された位置と前記先端部とを結んだ直線よりも前記回転規制部側に凸となる屈曲部とが設けられることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記腕部は、前記先端部と前記屈曲部とが連続して設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記腕部は、前記操作部材に固定された位置と前記屈曲部との間に、前記操作部材の径方向に略直交する方向へ伸びる部分が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記屈曲部は、前記操作部材の回転方向と略平行な方向に伸びる部分を有し、
前記腕部は、前記回転方向と略平行な方向に伸びる部分と前記先端部とが連続して設けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−8269(P2012−8269A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142947(P2010−142947)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】