説明

電子機器

【課題】基板接続用のスロット位置の変更等によって伝送距離が変わった場合でも、必要なパラメータ設定を比較的簡単に判別し再設定する。
【解決手段】電子回路基板13iがマザーボード10の任意のフリースロットに装着された初期状態で、電子回路基板13iは、監視制御部B4にて送受信回路部B1の受信状態を監視して、当該受信状態が規定状態となるようにパラメータ設定部B3に送受信回路部B1の受信パラメータを変更させ、受信状態が規定状態とならない場合にはその旨をホスト制御基板11に通知する。当該ホスト制御基板11は、スイッチ処理基板12に、電子回路基板13iの受信状態が規定状態となるように送信パラメータの変更を指示する。スイッチ処理基板12の監視制御部C4は、ホスト制御基板11からの指示に応じてパラメータ設定部C3に送受信回路部C1の送信パラメータを変更させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、伝送路の複数のスロットに装着される複数の電子回路基板それぞれの送受信信号の伝送品質を管理する機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば放送用送信装置のような電子機器では、それぞれ特定の処理機能を有する複数の電子回路基板がマザーボードに設けられる複数のフリースロットに着脱自在に接続されている。このマザーボードには、フリースロットに接続される電子回路基板間の信号伝送を差動方式により行うための伝送路が形成されている。
【0003】
ところで、上記電子機器では、信号処理及び信号伝送の高速化に伴い、基板間の信号伝送距離が重要な要素となってきている。これに対して、従来のようなフリースロット搭載のマザーボードでは、基板を装着するスロットが自由に選択可能な利便性を有するが、基板間の信号伝送距離が不定となる。この場合、伝送品質が均一とならず、伝送エラーを引き起こすおそれがある。
【0004】
特に、放送用送信装置等の電子回路基板では、伝送品質を向上させる信号増幅レベル、ドライブ電流レベル及び周波数調整等のパラメータが固定である。このため、基板間で良好な伝送品質が得られる距離は必然的に限定されてしまい、利用可能なスロットが制限されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−22392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、従来の電子機器では、信号処理及び信号伝送の高速化に伴い、基板間の信号伝送距離が重要な要素となってきているにもかかわらず、フリースロット搭載のマザーボードでは、基板を装着するスロットが自由に選択可能な利便性を有するが、基板間の信号伝送距離が不定となる。この場合、伝送品質が均一とならず、伝送エラーを引き起こすおそれがある。
【0007】
特に、放送用送信装置等の電子回路基板では、伝送品質を向上させる信号増幅レベル、ドライブ電流レベル及び周波数調整等のパラメータが固定であるため、基板間で良好な伝送品質が得られる距離は必然的に限定されてしまい、利用可能なスロットが制限されてしまう。
【0008】
本実施形態の目的は、基板接続用のスロット位置の変更等によって伝送距離が変わった場合でも、必要なパラメータ設定を比較的簡単に判別し再設定することのできる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係る電子機器は、伝送路に基板を着脱自在に接続するための複数チャンネルのフリースロットと前記複数チャンネルのフリースロットの全てと前記伝送路を介して接続される固定スロットとを備える伝送装置と、前記伝送装置の複数チャンネルのフリースロット及び専用スロットに接続される基板それぞれの送受信信号の品質を管理するホスト制御装置と、前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着される電子回路基板であって、送信/受信パラメータに従って前記伝送路を介して信号を送受信する第1送受信回路部と、前記第1送受信回路部の送受信処理を制御する送受信制御部と、前記第1送受信回路部に送信/受信パラメータを設定する第1パラメータ設定部と、前記第1送受信回路部の動作状態を監視して前記第1パラメータ設定部を制御する第1監視制御部とを備える前記電子回路基板と、前記専用スロットに接続されるスイッチ処理基板であって、前記複数のフリースロットそれぞれに接続される電子回路基板と間で送信/受信パラメータに従って信号を送受信する複数チャンネルの第2送受信回路部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの送受信処理を選択的にオン/オフするスイッチ部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部に前記送信/受信パラメータを設定する第2パラメータ設定部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの動作状態を監視して前記第2パラメータ設定部を制御する第2監視制御部とを備えるスイッチ処理基板とを具備し、前記電子回路基板が前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着された初期状態で、前記電子回路基板の前記第1監視制御部は、前記第1送受信回路部の受信状態を監視して、当該受信状態が規定状態となるように前記第1パラメータ設定部に前記第1送受信回路部の受信パラメータを変更させ、前記受信状態が規定状態とならない場合にはその旨を前記ホスト制御装置に通知し、前記ホスト制御装置は、前記スイッチ処理基板に、前記通知のあったチャンネルの電子回路基板の受信状態が規定状態となるように、チャンネルを指定して送信パラメータの変更を指示し、前記スイッチ処理基板の第2監視制御部は、前記第2パラメータ設定部に前記ホスト制御装置から指示されるチャンネルの第2送受信回路部の送信パラメータを変更させる態様とする。
【0010】
または、伝送路に基板を着脱自在に接続するための複数チャンネルのフリースロットと前記複数チャンネルのフリースロットの全てと前記伝送路を介して接続される固定スロットとを備える伝送装置と、前記伝送装置の複数チャンネルのフリースロット及び専用スロットに接続される基板それぞれの送受信信号の品質を管理するホスト制御装置と、前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着される電子回路基板であって、送信/受信パラメータに従って前記伝送路を介して信号を送受信する第1送受信回路部と、前記第1送受信回路部の送受信処理を制御する送受信制御部と、前記第1送受信回路部に送信/受信パラメータを設定する第1パラメータ設定部と、前記第1送受信回路部の動作状態を監視して前記第1パラメータ設定部を制御する第1監視制御部とを備える前記電子回路基板と、前記専用スロットに接続されるスイッチ処理基板であって、前記複数のフリースロットそれぞれに接続される電子回路基板と間で送信/受信パラメータに従って信号を送受信する複数チャンネルの第2送受信回路部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの送受信処理を選択的にオン/オフするスイッチ部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部に前記送信/受信パラメータを設定する第2パラメータ設定部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの動作状態を監視して前記第2パラメータ設定部を制御する第2監視制御部とを備えるスイッチ処理基板とを具備し、前記電子回路基板が前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着された初期状態で、前記スイッチ処理基板の前記第2監視制御部は、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの受信状態を監視して、各チャンネルの受信状態が規定状態となるように前記パラメータ設定部に前記第2送受信回路部の受信パラメータを変更させ、前記受信状態が規定状態とならないチャンネルがある場合にはその旨を前記ホスト制御装置に通知し、前記ホスト制御装置は、前記通知のあったチャンネルの第2送受信回路部の受信状態が規定状態となるように、該当するチャンネルの電子回路基板に送信パラメータの変更を指示し、前記電子回路基板の第1監視制御部は、前記第1パラメータ設定部に前記ホスト制御装置からの指示に従って前記第1送受信回路部の送信パラメータを変更させる態様とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る電子機器の構成例を示すブロック図。
【図2】図1に示す実施形態の各電子回路基板の監視制御部における受信設定処理の流れを示すフローチャート。
【図3】図1に示す実施形態のホスト制御基板の電子回路基板における受信設定処理時の処理の流れを示すフローチャート。
【図4】図1に示す実施形態のスイッチ処理基板の送信設定処理の流れを示すフローチャート。
【図5】図1に示す実施形態の通信スイッチ処理基板の受信設定処理の流れを示すフローチャート。
【図6】図1に示す実施形態のホスト制御基板のスイッチ処理基板における受信設定処理時の処理の流れを示すフローチャート。
【図7】図1に示す実施形態の各電子回路基板の監視制御部における送信設定処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る電子機器を説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る電子機器の構成例を示すブロック図である。なお、図1は、収容基板数nの場合の例を示している。
【0014】
この電子機器では、筐体内に伝送装置としてのマザーボード10が配置される。マザーボード10は、第1、第2スロットS1,S2及びnチャンネルの第3スロットS31〜S3nを備える。また、マザーボード10には、伝送路としてのシリアルバス101と制御バス102が形成される。シリアルバス101には第2スロットS2及びnチャンネルの第3スロットS31〜S3nそれぞれの送受信信号伝送ラインが接続され、制御バス102には第1スロットS1、第2スロットS2及びnチャンネルの第3スロットS31〜S3nそれぞれの制御信号伝送ラインが接続される。第1、第2スロットS1,S2はそれぞれホスト制御基板11、スイッチ処理基板12が着脱自在に接続される専用スロットである。また、nチャンネルの第3スロットS31〜S3nは、順不同でn枚の電子回路基板131〜13nが着脱自在に接続されるフリースロットである。第3スロットS31〜S3nは、それぞれスロット認識用データ(以下、スロットID)発行部A1〜Anを備える。このスロットID発行部A1〜Anは、電子回路基板3i(iは1〜nのいずれか)が装着されたとき、スロットIDを発行して装着された基板に通知する。
【0015】
上記ホスト制御基板11は、マザーボード10のnチャンネルの第3スロットS31〜S3nに接続される電子回路基板131〜13n及び第2スロットS2に接続されるスイッチ処理基板12の送受信信号の品質を管理する。
【0016】
上記電子回路基板13iは、送受信回路部(SERDES:SERializer / DESerializer)B1、送受信制御部B2、パラメータ設定部B3、監視制御部B4及びスロットID管理部B5を備える。送受信回路部B1は、設定された送信/受信パラメータに従ってマザーボード10のシリアルバスを介して信号を送受信する、パラレル/シリアル変換機能を有する送受信回路である。送受信制御部B2は、送受信回路部B1の送受信処理を制御する。パラメータ設定部B3は、送受信回路部B1に送信/受信パラメータを設定する。監視制御部B4は送受信回路部B1の動作状態を監視し、その動作状態に応じてあるいはホスト制御基板11からの指示に従って、パラメータ設定部B3を通じて送受信回路部B1に適切な送信/受信パラメータを設定する。スロットID管理部B5は、マザーボード10のいずれかの第3スロットS3iに装着された時に、そのスロットのスロットID発行部Aiから発行されるスロットIDを受け取って登録する。ここで、上記パラメータ設定部B3には、予めスロットID毎にスイッチ処理基板12との距離に適応した送信パラメータ及び受信パラメータが登録される。
【0017】
ここで、送信パラメータは、例えば信号振幅値、ドライブ電流値であり、受信パラメータは、例えば受信ゲイン、イコライザ値である。上記監視制御部B4は、送受信回路部B1の信号受信状態をモニタし、受信信号の信号レベル及びビットエラーを監視して、それぞれ適正値となるようにパラメータ設定部B3を通じて受信ゲイン及びイコライザ値の受信パラメータを変更する。また、ホスト制御基板11からの指示に従って、パラメータ設定部B3を通じて信号振幅またはドライブ電流の送信パラメータを変更する。
【0018】
上記スイッチ処理基板12は、送受信回路部(SERDES:SERializer / DESerializer)C11〜C1n、スイッチ部C2、パラメータ設定部C3、監視制御部C4を搭載する。送受信回路部C11〜C1nは、第2スロットS2を通じてマザーボード10のシリアルバスと接続されるnチャンネル伝送ラインそれぞれに接続される。iチャンネルの送受信回路部C1iは、設定された送信/受信パラメータに従ってマザーボード10のシリアルバスを介して対応するiチャンネルの第3スロットS3iに接続される電子回路基板13iとの間で信号を送受信する、パラレル/シリアル変換機能を有する送受信回路である。スイッチ部C1は監視制御部C4からの指示により指定されたチャンネルの送受信回路部C1iの送受信処理を選択的にオン/オフする。パラメータ設定部C3は、送受信回路部C11〜C1nに送信/受信パラメータを設定する。監視制御部C4は、各チャンネルの送受信回路部C11〜C1nそれぞれの動作状態を監視し、その動作状態に応じてあるいはホスト制御基板11からの指示に従って、パラメータ設定部C3を通じて送受信回路部C11〜C1nに適切な送信/受信パラメータを設定する。
【0019】
ここで、送信パラメータは、例えば信号振幅値、ドライブ電流値であり、受信パラメータは、例えば受信ゲイン、イコライザ値である。上記監視制御部C4は、送受信回路部C1iの信号受信状態をモニタし、受信信号の信号レベル及びビットエラーを監視して、それぞれ適正値となるようにパラメータ設定部C3を通じて受信ゲイン、イコライザ値の受信パラメータを変更する。また、ホスト制御基板11からの指示に従って、パラメータ設定部C3を通じて信号振幅またはドライブ電流の送信パラメータを変更する。
【0020】
上記構成による電子機器おいて、以下にその初期設定及び調整について説明する。
【0021】
電子回路基板13iでは、第3スロットS31〜S3nのいずれかに装着される(装置電源ONまたは基板活線挿入)と、監視制御部B4は、装着した第3スロットS3iのスロットID発行部Aiから発行されるスロットIDを読み込んでスロットID管理部B5に登録し、パラメータ設定部B3からスロットIDに対応した送信パラメータと受信パラメータを読み出して送受信回路部B1に初期設定する。
【0022】
すなわち、装着する第3スロットS3iのチャンネルが決まれば、そのスロットの位置からスイッチ処理基板12との距離が決まる。そこで、本実施形態の電子機器では、パラメータ設定部B3に予めスロットIDに対応づけてスロット毎のスイッチ処理基板12までの距離に適応した送信/受信パラメータを登録しておく。そして、スロット装着時に、読み取られたスロットIDに対応する送信/受信パラメータをパラメータ設定部B3から読み出して送受信回路部B1に設定する。これにより、電子回路基板13iをどの第3スロットS3iに装着したとしても、適度な送信/受信パラメータを設定することができ、基板間での伝送品質を安定化することができる。しかも、スロットIDと送受信パラメータとが対応づけられているので、比較的短時間に設定することができる。
【0023】
但し、実際にはマザーボード10や基板毎に特性にばらつきがあるため、基板装着後に調整が必要である。以下、上記電子回路基板13i及びスイッチ処理基板12に対する送信・受信パラメータの調整について説明する。
【0024】
まず、スイッチ処理基板12から出力される送信信号が各チャンネルの電子回路基板13iで確実に受信可能とするための調整について述べる。
【0025】
図2は各電子回路基板13iの監視制御部B4における受信設定処理の流れを示すフローチャート、図3はホスト制御基板11の電子回路基板13iにおける受信設定処理時の処理の流れを示すフローチャート、図4はスイッチ処理基板12の監視制御部C4における送信設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0026】
電子回路基板13iにおいて、監視制御部B4は、図2に示すように、スロット装着による起動後、送受信回路部B1の受信状態を監視し(ステップST11)、受信信号レベルは十分か否かを判断する(ステップST12)。受信信号レベルは十分でないと判断した場合(No)には、パラメータ設定部B1に対して受信ゲインを1ステップ大きくなるように指示する(ステップST13)。ここで、受信ゲインは最大か否かを判断し(ステップST14)、最大でないと判断した場合(No)にはステップST11に戻って受信状態の監視を継続し、ステップST12で受信信号レベルが十分であると判断されるまで、あるいはステップST14で受信ゲインが最大であると判断されるまで、ステップST13の1ステップアップを実行する。上記ステップST14において、受信ゲインが最大であると判断した場合(Yes)には、受信信号レベルが十分とれないことをホスト制御基板11に通知する(ステップST15)。また、ステップST12で受信信号レベルが十分であると判断した場合(Yes)には、その旨、ホスト制御基板11に通知する(ステップST16)。
【0027】
ここで、ホスト制御基板11では、図3に示すように、各電子回路基板13iの受信信号レベルが十分とれないとの通知の有無を判断する(ステップST21)。ステップS21で、受信信号レベルが十分とれないとの通知有りと判断した場合(Yes)には、スイッチ処理基板12に対し、電子回路基板13iに対する送信設定として、信号振幅またはドライブ電流の送信パラメータを1ステップ大きくするように指示して(ステップST22)、受信信号レベルは十分とれるとの通知の有無を判断し(ステップST23)、その通知があるまでステップST22の処理を繰り返す。ステップST23で、受信信号レベルは十分とれるとの通知有りと判断した場合(Yes)には、ステップST22の処理を停止させ、スイッチ処理基板12に送信パラメータの増加を停止させる。
【0028】
スイッチ処理基板12において、監視制御部C2は、図4に示すように、ホスト制御基板11からの送信設定指示を受けて(ステップST31)、パラメータ設定部C3に対し、電子回路基板13iに対応するチャンネルの送受信回路部C1iの信号振幅またはドライブ電流の送信パラメータを1ステップ大きくし、設定の停止指示があるまでステップST33の送信パラメータの増大を継続する(ステップST32,ST33)。
【0029】
一方、上記電子回路基板13iにおいて、監視制御部B4は、ステップST12で受信信号レベルが十分であると判断した場合(Yes)には、送受信回路部B1のビットエラー状態を監視し(ステップST17)、ビットエラーの有無を判断する(ステップST18)。ここで、ビットエラー有りと判断した場合(No)には、パラメータ設定部B3に対して受信用イコライザのパラメータを調整し(ステップST19)、ステップST17に戻ってビットエラー状態の監視を続ける。ステップST18でビットエラー無しと判断した場合(Yes)には、一連の受信設定処理を終了する。
【0030】
以上の処理により、スイッチ処理基板12から出力される送信信号を各チャンネルの電子回路基板13iで確実に受信することが可能となる。
【0031】
次に、各チャンネルの電子回路基板13iから出力される送信信号がスイッチ処理基板12で確実に受信可能とするための調整について述べる。
【0032】
図5はスイッチ処理基板12の監視制御部C4における受信設定処理の流れを示すフローチャート、図6はホスト制御基板11の通信スイッチ基板12における受信設定処理時の処理の流れを示すフローチャート、図7は各電子回路基板13iの監視制御部B4における送信設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0033】
通信スイッチ基板12において、監視制御部C4は、図5に示すように、送受信回路部A1iの受信状態を監視し(ステップST41)、受信信号レベルは十分か否かを判断する(ステップST42)。受信信号レベルは十分でないと判断した場合(No)には、パラメータ設定部C3に対して受信ゲインを1ステップ大きくなるように指示する(ステップST43)。ここで、受信ゲインは最大か否かを判断し(ステップST44)、最大でないと判断した場合(No)にはステップST41に戻って受信状態の監視を継続し、ステップST42で受信信号レベルが十分であると判断されるまで、あるいはステップST44で受信ゲインが最大であると判断されるまで、ステップST43の1ステップアップを実行する。上記ステップST44において、受信ゲインが最大であると判断した場合(Yes)には、受信信号レベルが十分とれないことをホストCPU基板11に通知する(ステップST45)。また、ステップST42で受信信号レベルが十分であると判断した場合(Yes)には、その旨、ホスト制御基板11に通知する(ステップST46)。
【0034】
ここで、ホスト制御基板11では、図6に示すように、スイッチ処理基板12の受信信号レベルが十分とれないとの通知の有無を判断する(ステップST51)。ステップST51で、受信信号レベルが十分とれないとの通知有りと判断した場合された場合(Yes)には、電子回路基板13iに対し、スイッチ処理基板12に対する送信設定として、信号振幅またはドライブ電流の送信パラメータを1ステップ大きくするように指示して(ステップST52)、受信信号レベルは十分とれるとの通知の有無を判断し(ステップST53)、その通知があるまでステップST52の処理を繰り返す。ステップST53で、受信信号レベルは十分とれるとの通知有りと判断した場合(Yes)には、ステップST52の処理を停止させ、電子回路基板13iに送信パラメータの増加を停止させる。
【0035】
電子回路基板13iにおいて、監視制御部B4は、図7に示すように、ホスト制御基板11からの送信設定指示を受けて(ステップST61)、パラメータ設定部B3に対し、スイッチ処理基板12の送受信回路部C1iに対応するチャンネルの送信設定として、信号振幅またはドライブ電流の送信パラメータを1ステップ大きくし、設定の停止指示があるまでステップST63の送信パラメータの増大を継続する(ステップST62,ST63)。
【0036】
一方、上記スイッチ処理基板12において、監視制御部C4は、ステップST42で受信信号レベルは十分であると判断された場合(Yes)には、送受信回路部A1iのビットエラー状態を監視し(ステップST47)、ビットエラーの有無を判断する(ステップST48)。ここで、ビットエラー有りと判断した場合(No)にはパラメータ設定部C3に対して受信用イコライザのパラメータを調整し(ステップST49)、ステップST47に戻ってビットエラー状態の監視を続ける。ステップST48でビットエラー無しと判断した場合(Yes)には、一連の受信設定処理を終了する。これにより、通信開始の準備が終了する。
【0037】
以上述べたように、従来は、各電子回路基板やスイッチ処理基板の送信設定や受信設定が固定であったので、良好な伝送品質が得られる区間が限定されてしまい、スロットに自由度があっても接続可能なスロットに制限があったが、本実施形態では、ホスト制御基板11を通じて、送受信状態を確認しながら、スイッチ処理基板12の監視制御部A2及び各電子回路基板13iの監視制御部B4間で送信パラメータ、受信パラメータを適切な値に設定できるので、どのスロットに装着しても良好な伝送品質が得られる。この結果、電子回路基板を任意のフリースロットに実装できるので、装置内の基板実装の自由度が広がる。また、基板の送信設定、受信設定を都度実施する必要がなくなり、低コスト化を実現することができる。
【0038】
尚、上記実施形態では、スイッチ処理基板、電子回路基板それぞれがパラメータ設定部を備える場合について説明したが、スイッチ処理基板が送信パラメータ設定部を備え、電子回路基板それぞれが受信パラメータ設定部を備える場合、あるいはスイッチ処理基板が受信パラメータ設定部を備え、電子回路基板それぞれが送信パラメータ設定部を備える場合でも同様に実施可能である。
【0039】
また、上記実施形態における電子回路基板131〜13nには、例えばメモリ基板、様々な通信機器と接続するためのインターフェース基板、デコーダ/エンコーダ基板等が適用可能である。
【0040】
また、上記実施形態はそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせでもよい。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…マザーボード、101…シリアルバス、102…制御バス、A1〜An…スロットID発行部、11…ホスト制御基板、12…スイッチ処理基板、S1…第1スロット(ホスト制御基板専用)、S2…第2スロット(スイッチ処理基板専用)、S31〜S3n…第3スロット(フリースロット)、131〜13n…電子回路基板、B1…送受信回路部(SERDES:SERializer / DESerializer)、B2…送受信制御部、B3…パラメータ設定部、B4…監視制御部、B5…スロットID管理部、C11〜C1n…送受信回路部(SERDES:SERializer / DESerializer)、C2…スイッチ部、C3…パラメータ設定部、C4…監視制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路に基板を着脱自在に接続するための複数チャンネルのフリースロットと前記複数チャンネルのフリースロットの全てと前記伝送路を介して接続される固定スロットとを備える伝送装置と;
前記伝送装置の複数チャンネルのフリースロット及び専用スロットに接続される基板それぞれの送受信信号の品質を管理するホスト制御装置と;
前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着される電子回路基板であって、送信/受信パラメータに従って前記伝送路を介して信号を送受信する第1送受信回路部と、前記第1送受信回路部の送受信処理を制御する送受信制御部と、前記第1送受信回路部に送信/受信パラメータを設定する第1パラメータ設定部と、前記第1送受信回路部の動作状態を監視して前記第1パラメータ設定部を制御する第1監視制御部とを備える前記電子回路基板と;
前記専用スロットに接続されるスイッチ処理基板であって、前記複数のフリースロットそれぞれに接続される電子回路基板との間で送信/受信パラメータに従って信号を送受信する複数チャンネルの第2送受信回路部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの送受信処理を選択的にオン/オフするスイッチ部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部に前記送信/受信パラメータを設定する第2パラメータ設定部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの動作状態を監視して前記第2パラメータ設定部を制御する第2監視制御部とを備えるスイッチ処理基板と;
を具備し、
前記電子回路基板が前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着された初期状態で;
前記電子回路基板の前記第1監視制御部は、前記第1送受信回路部の受信状態を監視して、当該受信状態が規定状態となるように前記第1パラメータ設定部に前記第1送受信回路部の受信パラメータを変更させ、前記受信状態が規定状態とならない場合にはその旨を前記ホスト制御装置に通知し;
前記ホスト制御装置は、前記スイッチ処理基板に、前記通知のあったチャンネルの電子回路基板の受信状態が規定状態となるように、チャンネルを指定して送信パラメータの変更を指示し;
前記スイッチ処理基板の第2監視制御部は、前記第2パラメータ設定部に前記ホスト制御装置から指示されるチャンネルの第2送受信回路部の送信パラメータを変更させることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記伝送路はシリアルバスであり、前記第1送受信回路部及び第2送受信回路部はSERializer / DESerializerであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1監視制御部は、少なくとも前記伝送装置からの受信信号レベルを監視して、前記受信パラメータとして受信ゲインを変更させることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1監視制御部は、少なくとも前記伝送装置からの受信信号のビットエラーを監視して、前記受信パラメータとしてイコライザ値を変更させることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2監視制御部は、前記送信パラメータとして少なくとも信号振幅、ドライブ電流のいずれかを変更させる請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記伝送装置は、前記複数チャンネルのフリースロットそれぞれに、装着された電子回路基板にスロット識別符号を通知する通知部を備え、
前記電子回路基板のパラメータ設定部は、予め前記複数チャンネルのフリースロットそれぞれに対応する受信パラメータ設定値が登録され、前記フリースロットへの装着時に前記通知部から通知されるスロット識別符号を受け取り、そのスロット識別符号に対応するフリースロットの受信パラメータ設定値を読み出して前記第1送受信回路部に設定する請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
伝送路に基板を着脱自在に接続するための複数チャンネルのフリースロットと前記複数チャンネルのフリースロットの全てと前記伝送路を介して接続される固定スロットとを備える伝送装置と;
前記伝送装置の複数チャンネルのフリースロット及び専用スロットに接続される基板それぞれの送受信信号の品質を管理するホスト制御装置と;
前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着される電子回路基板であって、送信/受信パラメータに従って前記伝送路を介して信号を送受信する第1送受信回路部と、前記第1送受信回路部の送受信処理を制御する送受信制御部と、前記第1送受信回路部に送信/受信パラメータを設定する第1パラメータ設定部と、前記第1送受信回路部の動作状態を監視して前記第1パラメータ設定部を制御する第1監視制御部とを備える前記電子回路基板と;
前記専用スロットに接続されるスイッチ処理基板であって、前記複数のフリースロットそれぞれに接続される電子回路基板と間で送信/受信パラメータに従って信号を送受信する複数チャンネルの第2送受信回路部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの送受信処理を選択的にオン/オフするスイッチ部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部に前記送信/受信パラメータを設定する第2パラメータ設定部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの動作状態を監視して前記第2パラメータ設定部を制御する第2監視制御部とを備えるスイッチ処理基板と;
を具備し、
前記電子回路基板が前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着された初期状態で;
前記スイッチ処理基板の前記第2監視制御部は、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの受信状態を監視して、各チャンネルの受信状態が規定状態となるように前記パラメータ設定部に前記第2送受信回路部の受信パラメータを変更させ、前記受信状態が規定状態とならないチャンネルがある場合にはその旨を前記ホスト制御装置に通知し;
前記ホスト制御装置は、前記通知のあったチャンネルの第2送受信回路部の受信状態が規定状態となるように、該当するチャンネルの電子回路基板に送信パラメータの変更を指示し;
前記電子回路基板の第1監視制御部は、前記第1パラメータ設定部に前記ホスト制御装置からの指示に従って前記第1送受信回路部の送信パラメータを変更させることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記伝送路はシリアルバスであり、前記第1送受信回路部及び第2送受信回路部はSERializer / DESerializerであることを特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項9】
前記第2監視制御部は、少なくとも前記伝送装置からの受信信号レベルを監視して、前記受信パラメータとして受信ゲインを変更させることを特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項10】
前記第2監視制御部は、少なくとも前記伝送装置からの受信信号のビットエラーを監視して、前記受信パラメータとしてイコライザ値を変更させることを特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1監視制御部は、前記送信パラメータとして少なくとも信号振幅、ドライブ電流のいずれかを変更させることを特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項12】
前記伝送装置は、前記複数チャンネルのフリースロットそれぞれに、装着された電子回路基板にスロット識別符号を通知する通知部を備え、
前記電子回路基板のパラメータ設定部は、予め前記複数チャンネルのフリースロットそれぞれに対応する受信パラメータ設定値が登録され、前記フリースロットへの装着時に前記通知部から通知されるスロット識別符号を受け取り、そのスロット識別符号に対応するフリースロットの受信パラメータ設定値を読み出して前記第1送受信回路部に設定することを特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項13】
伝送路に基板を着脱自在に接続するための複数チャンネルのフリースロットと前記複数チャンネルのフリースロットの全てと前記伝送路を介して接続される固定スロットとを備える伝送装置と;
前記伝送装置の複数チャンネルのフリースロット及び専用スロットに接続される基板それぞれの送受信信号の品質を管理するホスト制御装置と;
前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着される電子回路基板であって、送信/受信パラメータに従って前記伝送路を介して信号を送受信する第1送受信回路部と、前記第1送受信回路部の送受信処理を制御する送受信制御部と、前記第1送受信回路部に送信/受信パラメータを設定する第1パラメータ設定部と、前記第1送受信回路部の動作状態を監視して前記第1パラメータ設定部を制御する第1監視制御部とを備える前記電子回路基板と;
前記専用スロットに接続されるスイッチ処理基板であって、前記複数のフリースロットそれぞれに接続される電子回路基板と間で送信/受信パラメータに従って信号を送受信する複数チャンネルの第2送受信回路部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの送受信処理を選択的にオン/オフするスイッチ部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部に前記送信/受信パラメータを設定する第2パラメータ設定部と、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの動作状態を監視して前記第2パラメータ設定部を制御する第2監視制御部とを備えるスイッチ処理基板と;
を具備し、
前記電子回路基板が前記複数チャンネルのフリースロットのいずれかに装着された初期状態で;
前記電子回路基板の前記第1監視制御部は、前記第1送受信回路部の受信状態を監視して、当該受信状態が規定状態となるように前記第1パラメータ設定部に前記第1送受信回路部の受信パラメータを変更させ、前記受信状態が規定状態とならない場合にはその旨を前記ホスト制御装置に通知し;
前記ホスト制御装置は、前記スイッチ処理基板に、前記通知のあったチャンネルの電子回路基板の受信状態が規定状態となるように、チャンネルを指定して送信パラメータの変更を指示し;
前記スイッチ処理基板の第2監視制御部は、前記第2パラメータ設定部に前記ホスト制御装置から指示されるチャンネルの第2送受信回路部の送信パラメータを変更させ;
前記スイッチ処理基板の前記第2監視制御部は、前記複数チャンネルの第2送受信回路部それぞれの受信状態を監視して、各チャンネルの受信状態が規定状態となるように前記パラメータ設定部に前記第2送受信回路部の受信パラメータを変更させ、前記受信状態が規定状態とならないチャンネルがある場合にはその旨を前記ホスト制御装置に通知し;
前記ホスト制御装置は、前記通知のあったチャンネルの第2送受信回路部の受信状態が規定状態となるように、該当するチャンネルの電子回路基板に送信パラメータの変更を指示し;
前記電子回路基板の第1監視制御部は、前記第1パラメータ設定部に前記ホスト制御装置からの指示に従って前記第1送受信回路部の送信パラメータを変更させることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21681(P2013−21681A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118917(P2012−118917)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】