説明

電子装置のカプセル化のための方法

【課題】改善された封止及び低減されたチップサイズを有するOLED装置を提供することが望ましく、とりわけアクティブデバイスレイヤの機械的ダメージを防ぐために薄い又は可撓性の基板の上に形成されたOLED装置を提供することが望ましい。
【解決手段】基板上に配置されたバリヤ層と、セル領域を取り囲む封止ダムであって、ポリベンゾオキサゾールとポリグルタリミドとベンゾシクロブテンとから選択された材料を含む封止ダムと、該封止ダムによって支持されるキャップと、該キャップを支持するために装置の領域にスペーサ粒子と、前記封止ダムの外部表面と隣接する封止領域と、該封止領域に配置された密封材である接着剤とを有し、該接着剤は前記装置を気密封止し、前記封止ダムは前記装置の封止幅を低減し、該スペーサ粒子は、該セル領域にランダムに分布されていることを特徴とする、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光ダイオード(OLED)装置に関する。より特定すれば、本発明はOLED装置のカプセル化に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来のOLED装置100を示す。OLED装置は、セルラーフォン、セルラースマートフォン、パーソナルオーガナイザー、ページャ、広告パネル、タッチスクリーンディスプレイ、テレカンファレンシング機器、マルチメディア機器、バーチャルリアリティー製品及びディスプレイキオスクを含む様々なコンシューマ電子製品においてディスプレイとして利用される。
【0003】
従来のOLED装置は透明導電層105と導電層115との間に1つ又は複数の有機機能層110の機能スタックを有する。この機能スタックは透明基板101の上に形成されている。これらの導電層は基板上に1つ又は複数のセル又はピクセルを形成するようにパターン化されうる。ボンディングパッド150はカソード及びアノードと結合されて、OLEDピクセルを制御する。作動中には、電荷担体が機能層における再結合のためにカソード及びアノードを介して注入される。電荷担体の再結合によって機能層は可視放射光を放出する。
【0004】
キャップ160とピクセルとの間のキャビティ145を形成するキャップ160は基板上にマウントされている。密封材187がキャップのエッジ周囲に加えられ、このキャップのエッジ周囲ではキャップが基板に接する。しかし、キャップと基板との間に存在するギャップGのために、封止幅Wは酸素及び水分が密封材を透過することを防ぐために十分に広くあらねばならない。大抵の場合、封止幅は約0.2〜2mmであり、ギャップは約0.01〜0.5mmである。このような大きな封止幅は結果的にチップ領域の効率的でない利用をもたらし、OLED装置の小型化を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の議論から明白なように、改善された封止及び低減されたチップサイズを有するOLED装置を提供することが望ましく、とりわけアクティブデバイスレイヤの機械的ダメージを防ぐために薄い又は可撓性の基板の上に形成されたOLED装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は一般的にOLED装置に関する。とりわけ、本発明はOLED装置のカプセル化に関する。
【0007】
前記課題は、
基板上に配置されたバリヤ層を有し、
セル領域を取り囲む封止ダムであって、ポリベンゾオキサゾールとポリグルタリミドとベンゾシクロブテンとから選択された材料を含む封止ダムを有し、
該封止ダムによって支持されるキャップを有し、
該キャップを支持するために装置の領域にスペーサ粒子を有し、
前記封止ダムの外部表面と隣接する封止領域を有し、
該封止領域に配置された密封材である接着剤を有し、該接着剤は前記装置を気密封止し、前記封止ダムは前記装置の封止幅を低減し、
該スペーサ粒子は、該セル領域にランダムに分布されていることを特徴とする、装置によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来のOLED装置を示す。
【図2】本発明の実施形態を示す。
【図3】本発明の1つの実施例によるOLED装置製造プロセスを示す。
【図4】本発明の1つの実施例によるOLED装置製造プロセスを示す。
【図5】本発明の1つの実施例によるOLED装置製造プロセスを示す。
【図6】本発明の1つの実施例によるOLED装置製造プロセスを示す。
【図7】本発明の1つの実施例によるOLED装置製造プロセスを示す。
【図8】本発明の1つの実施例によるOLED装置製造プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つの実施形態では、基板のセル領域を取り囲む封止ダムが設けられる。この封止ダムは基板上のキャップを支持し、さらに封止ダムの外部表面に配置された封止領域を提供する。1つの実施形態では、封止領域はキャップのエッジとダムとの間に配置され、そこには接着剤がOLED装置を封止するために加えられる。封止ダムの利用は、キャップと基板との間のギャップ(これによりダイオードと機械的保護のためのキャップとの間にキャビティスペースを設ける)及び封止幅を決定する。
【0010】
さらに、スペーサ粒子が装置領域に設けられて、キャップがOLEDセルに接触することを阻止する。1つの実施形態では、スペーサ粒子はスプレイ技術によって基板上にランダムに堆積される。スペーサ粒子は例えばドライスプレイ技術によって堆積される。代替的に、ウェットスプレイ技術が基板上のスペーサ粒子を堆積するために使用される。非装置領域のスペーサ粒子は除去され、スペーサ粒子は装置領域にランダムに分布される。キャップは基板上にマウントされて、装置をカプセル化する。装置領域のスペーサ粒子はキャップがOLEDセルに接触することを阻止する。
【実施例】
【0011】
図2は本発明の1つの実施形態によるOLED装置200を示す。このOLED装置は基板201を有し、この基板201の上にピクセルが形成されている。1つの実施形態では、この基板はガラスのような透明な基板から成る。基板としてOLEDピクセルを支持するのに役立つ他のタイプの透明材料が有効である。OLEDピクセルはカソード105とアノード115との間に挟まれた1つ又は複数の有機層110から成る。1つの実施形態では、カソード及びアノードはそれぞれの第1の及び第2の方向にストリップとして形成されている。大抵の場合、第1の及び第2の方向は互いに直交している。OLEDピクセルは基板のセル領域に形成されている。ボンディングパッド150は電気的にカソード及びアノードに結合されている。キャップ260はOLEDピクセルをカプセル化するために設けられている。このキャップはキャビティ145を設け、キャップをOLEDセルから分離している。本発明の1つの実施形態では、スペーサ粒子680がOLEDセルとキャップとの間に設けられている。これらのスペーサ粒子はキャップがOLEDセルに接触することを阻止する。
【0012】
本発明によれば、封止ダム280がキャップを支持するためにOLED装置のセル領域の周囲に設けられている。この封止ダムの高さがキャビティ145を決定する。1つの実施形態では、この封止ダムは非導電性材料から成り、電極の短絡を阻止する。マルチレイヤード封止ダムも使用されうる。このマルチレイヤード封止ダムにおいては少なくとも基板に接した層が非導電性材料から成る。封止ダムは封止スペース又は領域285を形成し、この封止スペース又は領域285は封止ダムの外部面281に接する。1つの実施形態では、封止ダムはキャップのエッジから距離を置いて配置されており、キャップのエッジとダムとの間には封止スペース285を残している。密封材287がこの封止スペースを満たし、装置を気密に封止する。封止ダムの使用は有利には従来のカプセル化において存在するギャップ(図1のギャップG)を除去する。これによって例えば<1mmの比較的狭い封止幅によって形成された装置が可能である。1つの実施形態では、封止幅は約0.2mmから1mm未満までである。
【0013】
さらに、スペーサ粒子680はキャップがOLEDセルに接触するのを阻止するために装置領域上に堆積されている。1つの実施形態では、スペーサ粒子は球面形状を有する。立方体、プリズム、ピラミッド、又は他の規則的な又は不規則な形状のような他の幾何学的形状を有するスペーサ粒子も有効である。スペーサ粒子の平均直径はキャビティの所望の高さを維持するのに充分であるべきであり、このキャビティの所望の高さは例えば約2〜50μmである。これらのスペーサ粒子のサイズ及び形状配分もキャップとOLEDセルとの間の適正な分離を保証するために充分に小さくあるべきである。
【0014】
図3〜8は本発明の1つの実施形態のOLED装置を製造するためのプロセスを示す。図3を参照すると、カプセル化キャップとして使用される基板360が設けられている。この基板はメタル又はポリマーのような様々なタイプの材料から成りうる。この基板の厚さは例えば0.4〜2mmであればよい。薄い基板(0.01〜0.2mm)を設けることもとりわけ可撓性のある装置を製造するためには有効である。
【0015】
装置層380がこのキャップの大きい方の表面に堆積されている。この装置層380から封止ダムが形成される。1つの実施形態では、この装置層はフォトレジストのような非導電性の感光性材料から成る。繊細なジオメトリのために、ダム材料は直接的に又は間接的にパターン化可能でなければならない。フォトパターニング可能な(photopatternable)ポリイミド、フォトパターニング可能なポリベンゾオキサゾール、フォトパターニング可能なポリグルタリミド及び他のレジンのような、他の電気絶縁性の感光性材料も有効である。ダムの高さ(例えば1μm)は装置層の高さ(約0.5μm)より大きい。
【0016】
図4を参照すると、装置層はパターン化されて封止ダム280を形成している。パターニングプロセスは、例えばレジスト層の選択的露光の後に選択された部分を除去する現像プロセスを含む(つまり、露光された又は露光されなかった部分がポジ型又はネガ型レジスト層の使用に依存して除去される)。1つの実施形態では、封止ダムは基板260のエッジから距離をおいて形成され、封止領域285を残す。大抵の場合、封止領域は約0.2〜2mm幅である。ダム及び基板はキャップ260を形成し、OLED装置をカプセル化する。
【0017】
代替的に、スピンオンガラス、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリグルタリミド又はベンゾシクロブテンのような非導電性である非感光性材料が封止ダム層として使用されうる。ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンを含むポリマー又は酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウムのような無機材料のような他の非感光性材料も有効である。非感光性材料に対しては、レジストのようなエッチングマスクが装置層をパターン化するために設けられる。
【0018】
もっと他の実施形態では、多重層が封止ダムスタックを形成するために使用される。少なくともOLED基板に接触する最上層は非導電性材料から成る。これらの層は例えば封止ダムを形成するためにエッチングマスクを使用してパターン化される。
【0019】
図5を参照すると、基板501が設けられており、この基板501の上に1つの又は複数のOLEDセルが形成される。この基板はガラス又はポリマーのような様々なタイプの材料から成りうる。十分にOLEDセルを支持できる他の材料も有効である。
【0020】
1つの実施形態では、この基板は可撓性のある装置を形成するためのプラスティックフィルムのような可撓性材料から成る。このようなフィルムは例えば透明ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリスルホン(PSO)及びポリ(p-フェニレンエーテルスルホン)(PES)を含む。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリスチレン(PS)及びポリ(メチルメチルアクリレート)(PMMA)のような他の材料も基板の形成に使用できる。薄いガラス又は他の可撓性の材料から成る可撓性の基板も有効である。
【0021】
導電層505は基板の上に堆積される。この基板には二酸化珪素(SiO)のようなバリヤ層がこの導電層を堆積する前に基板表面上に導電層の下に設けられる。バリヤ層はとりわけソーダ石灰ガラスから成る基板に対して有効である。バリヤ層は例えば20nmの厚さである。1つの実施形態では、導電層は酸化インジウム錫(ITO)のような透明導電性材料から成る。酸化亜鉛及び酸化亜鉛インジウムを含む他のタイプの透明導電層も有効である。化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)及びプラズマ気相成長法(PECVD)のような様々な技術がデバイス層を形成するために使用されうる。導電層は、電気的要求を満たすと同時に後続のフィルム形成へのネガティブインパクト及び光学的吸収を低減するために薄くあるべきである。導電層は典型的には約0.02〜1μmの厚さである。
【0022】
導電層505は選択的にこの層の部分を除去するようにパターン化され、基板の部分556を露出する。パターン化された導電層はOLEDセルのための第1の電極として使用される。1つの実施形態では、導電層はストリップを形成するようにパターン化され、これらのストリップは例えばピクセル化されたOLED装置のアノードとして使用される。パターニングプロセスはボンディングパッドに対する接続を形成することもできる。フォトリソグラフィ及びエッチングのような従来の技術が導電層をパターン化するのに使用できる。スタンプを使用するパターニング技術も有効である。このような技術はあらゆる目的に対して役立つ参考文献である同時出願中の国際特許出願PCT/SG99/00074、タイトル"Mecanical Patterning of a Device Layer"に記述されている。
【0023】
1つ又は複数の有機機能層510が基板上に形成され、露出された基板部分及び導電層を被覆する。有機機能層は例えば共役ポリマー又はAlqのような低分子材料から成る。他のタイプの有機機能層も有効である。この有機機能層は従来の技術、例えばスピンコーティング又は(Alq有機層に対する)真空昇華法のようなウェットプロセスによって形成されうる。有機層の厚さは典型的には約2〜200nmである。
【0024】
図6を参照すると、有機層の部分は選択的が除去され、ボンディングパッド接続のための領域670にある下の層を露出させる。有機層の選択的除去は例えば研磨プロセスを使用して実施されうる。エッチング、スクラッチング又はレーザ剥離のような他の技術も有効である。
【0025】
1つの実施形態では、スペーサ粒子はランダムに基板上に分配される。有利には、スペーサ粒子はOLEDセルが形成されるセル領域にランダムに分配される。スペーサ粒子は装置のアクティブ及びノンアクティブ部分(例えばエミッティング及びノンエミッティングエリア)を占める。スペーサ粒子の分布又は密度は、設計(可撓性装置)による又はアクシデント(装置の取り扱い)による機械的ストレスが存在する場合にOLEDセルにキャップが接触するのを充分に阻止しなくてはならない。この分布はキャップの厚さ、基板の厚さ及び装置の必要なフレキシビリティ量のような設計要求に応えるために様々でありうる。
【0026】
有利な実施形態では、スペーサ分布は、OLEDセルのエミッション均一性に目に見えるほどの影響を与えることなくキャビティの高さを充分に維持する。典型的には約10〜500μmのスペーサ粒子間の平均距離を有するスペーサ分布は、キャップがOLEDセルに接触することを充分に阻止する。1つの実施形態では、スペーサ粒子分布の密度は約10〜1000No/mmである。スペーサ粒子の小さいサイズに加えてこのような分布によって、エミッション均一性に対するこれらの影響が基本的に肉眼には見えないほどであることが保証される。
【0027】
アノードとカソードとの間の短絡を起こすことを回避するために、スペーサ粒子は有利には非導電性材料から成る。1つの実施形態では、スペーサ粒子はガラスから成る。シリカ、ポリマー又はセラミックのような他のタイプの非導電性材料から成るスペーサ粒子も有効である。
【0028】
1つの実施形態では、スペーサ粒子はスプレイ技術によって堆積される。有利な実施形態では、ドライスプレイ技術がスペーサ粒子を堆積するために使用される。ドライスプレイ技術は例えばあらゆる目的に対して役立つ参考文献である Birenda Bahadur (Ed), Liquid Crystals: Applications and Uses, Vol.1(ISBN 9810201109) に記述されている。ダムが配置される領域は、レーザクリーニング法又はスクラッチング又はフォトレジストによるパターニングのように粒子を除去する何らかの他の適当な方法を使用して、スペーサ粒子が除去される。
【0029】
ドライスプレイ技術は典型的には第1の極性(正又は負)によるスペーサ粒子の静電的チャージ及び第2の極性(負又は正)による基板の静電的チャージから成る。スペーサ粒子はドライエアースプレイヤーにより供給されるドライエアーによって基板へと吹き付けられる。Nisshin Engineering Co., 製のDISPA−μRのようなドライエアースプレイヤーが使用されうる。静電引力によってスペーサ粒子は基板に付着し、粒子間の静電反発力が基板上の粒子凝集作用を阻止する。
【0030】
基板上へスペーサ粒子を堆積するためのウェットスプレイ技術の使用も有効である。ウェットスプレイ技術は例えばあらゆる目的に対して役立つ参考文献である Birenda Bahadur (Ed), Liquid Crystals: Applications and Uses, Vol.1(ISBN 9810201109) に記述されている。典型的には、スペーサ粒子はエタノール、イソプロパノール又はアルコールと水から成る混合物のようなアルコール性の又は水性の液体の中に懸濁される。スペーサ濃度は例えば約0.1〜0.5重量パーセントである。超音波が粒子を分散させて凝集することを阻止するのに使用されうる。例えば、スペーサ粒子には粒子デポジションの前に数分の間超音波が照射される。用意された懸濁液はノズルを介するエアーによって基板上にスプレイされ、その上にスペーサ粒子を堆積する。
【0031】
図7を参照すると、第2の導電層715が基板上に堆積され、スペーサ粒子及び基板上に形成された他の層を被覆している。導電層は例えばCa、Mg、Ba、Agのような金属材料又は混合物又はそれらの合金から成る。とりわけ低い仕事関数を有する他の導電性材料も第2の導電層を形成するのに使用されうる。1つの実施形態では、この第2の導電層はパターン化され、ピクセル化されたOLED装置に対するカソードとして使用される電極ストリップを形成する。また、ボンディングパッドに対する接続はパターニングプロセスの間に形成されうる。代替的に、導電層が選択的に堆積され、カソードストリップ及びボンディングパッド接続を形成しうる。導電層の選択的デポジションは例えばマスク層によって実施されうる。カソードストリップは典型的にはアノードストリップに対して直交している。アノードストリップに対して対角線をなすカソードストリップを形成することも有効である。トップ及びボトム電極ストリップの交差は有機LEDピクセルを形成する。
【0032】
図8を参照すると、キャップ260がOLEDピクセルを有する基板上にマウントされ、OLED装置のセル領域を取り囲むように封止ダムを位置合わせする。圧力がキャップ及び/又は基板に加えられ、これらを共にプレスして、密封材が封止ダムと基板との間の隙間の中に入り込むのを回避する。密封材287はキャップのまわりの基板上に加えられる。この密封材は例えばUV硬化性エポキシから成る。熱硬化性エポキシ又はアクリレートのような他のタイプの密封材も有効である。密封材はキャップと基板との間の封止領域285を充填するために入り込む。密封材は例えば(例えばUVで又は熱的に)硬化され、この結果、気密にOLED装置200を封止する。
【0033】
キャップがキャビティ845を作り出し、キャップとOLEDセルとの間の分離を提供する。マウンティングプロセスの間に、スペーサ粒子がOLEDセルの複数の層へとプレスされる。これらのスペーサ粒子はOLEDセルの領域の上のキャップに対する支持を提供し、圧力がキャップに加えられる時にキャップが装置のアクティブコンポーネントに接触することを阻止する。
【0034】
上記のように、プロセスは有機層の形成の後でスペーサ粒子を堆積する。これらのスペーサ粒子は代替的にプロセスフローの別の地点で堆積されてもよい。例えば、スペーサ粒子は第1の導電層の形成の前に又は有機層の形成の前に堆積されてよい。実際には、スペーサ粒子は第2の導電層の形成の前のプロセスのいずれかの地点で堆積されてもよい。
【0035】
プロセスは、図3〜4に記述されたように、キャップ上に封止ダムを形成する。代替的に、封止ダムが基板上に形成されてもよい。ダムは、第1の導電層の形成の後に、しかし、有機層の形成及びスペーサ粒子のデポジションの前に形成される。
【0036】
本発明はとりわけ様々な実施形態との関連において図示され記述されたが、当業者は修正及び変更が本発明の精神及び範囲から離れることなしに本発明に加えられうることを認めるであろう。本発明の範囲はそれゆえ上記の記述との関連によっては決定されるべきではなく、等価なものの完全な範囲とともに添付された請求項との関連によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
105 透明導電層
110 有機機能層
115 導電層
150 ボンディングパッド
200 OLED装置
201 基板
260 キャップ
280 封止ダム
287 密封材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置において、
セル領域を有する基板を有し、
前記基板上に配置されたバリヤ層を有し、
前記セル領域を取り囲む封止ダムであって、ポリベンゾオキサゾールとポリグルタリミドとベンゾシクロブテンとから選択された材料を含む封止ダムを有し、
該封止ダムによって支持されるキャップを有し、
該キャップを支持するために装置の領域にスペーサ粒子を有し、
前記封止ダムの外部表面と隣接する封止領域を有し、
該封止領域に配置された密封材である接着剤を有し、該接着剤は前記装置を気密封止し、前記封止ダムは前記装置の封止幅を低減し、
該スペーサ粒子は、該セル領域にランダムに分布されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
セル領域は1つ又は複数のOLEDセルから成る、請求項1記載の装置。
【請求項3】
封止ダムは非導電性材料から成る、請求項2記載の装置。
【請求項4】
密封材は熱的に硬化される接着剤から成る、請求項1記載の装置。
【請求項5】
スペーサ粒子は非導電性材料から成る、請求項1〜4のうちの1項記載の装置。
【請求項6】
スペーサ粒子はキャップと基板との間のキャビティの高さを維持するために平均直径を有する、請求項5記載の装置。
【請求項7】
スペーサ粒子はキャビティを維持するために密度を有する、請求項6記載の装置。
【請求項8】
装置をカプセル化することを含む前記装置を形成するための方法は、
セル領域を含む基板を設け、
前記基板上にバリヤ層を堆積し、
スペーサ粒子が該セル領域にランダムに分布するように、前記基板上に該スペーサ粒子をスプレイし、
キャップに、ポリベンゾオキサゾールとポリグルタリミドとベンゾシクロブテンとから選択された材料を含む封止ダムを設け、
前記基板上に前記キャップをマウントし、前記封止ダムは、前記セル領域を取り囲み、さらに前記封止ダムの外部表面に隣接する封止領域を形成し、前記キャップは前記スペーサ粒子により支持される装置の領域におけるキャビティを形成し、
前記封止ダムが前記基板に接触することを保証するために圧力を加え、
接着剤を前記封止領域に加え、前記接着剤は前記基板を気密に封止し、前記封止ダムは前記基板と前記キャップとの間のギャップを除去して前記装置の封止幅を低減する、装置をカプセル化することを含む前記装置を形成するための方法。
【請求項9】
基板を設けることは該基板のセル領域にOLEDセルを形成することを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
基板には第1の電極を形成するようにパターン化された導電層と該導電層の上の少なくとも1つの有機機能層とが用意される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
スペーサ粒子は非導電性材料から成る、請求項10記載の方法。
【請求項12】
スペーサ層をスプレイすることはドライスプレイから成る、請求項8記載の方法。
【請求項13】
ドライスプレイは、
静電的に基板を第1の極性にチャージし、スペーサ粒子を第2の極性にチャージし、
前記スペーサ粒子をドライエアーにより基板に吹き付けることから成る、請求項12記載の方法。
【請求項14】
スペーサ層をスプレイすることはウェットスプレイから成る、請求項8記載の方法。
【請求項15】
スペーサ粒子はランダムに基板上にスプレイされる、請求項8〜14のうちの1項記載の方法。
【請求項16】
ダムのためのスペースを作るために基板の非装置領域からスペーサ粒子を除去することを有する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
キャップにダムを設けることは、キャップ用の基板であるキャップ基板上に封止ダムを形成することから成る、請求項8記載の方法。
【請求項18】
接着剤を硬化させることを有する、請求項8記載の方法。
【請求項19】
封止ダムを形成することは、
ポリベンゾオキサゾールとポリグルタリミドとベンゾシクロブテンとから選択された材料を含む装置層をキャップ基板上に堆積し、
前記装置層をパターン化することにより、前記キャップ基板上に封止ダムを形成することを有する、請求項8記載の方法。
【請求項20】
封止ダムは感光性材料から成る、請求項19記載の方法。
【請求項21】
装置をカプセル化することを含む前記装置の形成のための方法は、
セル領域を含む基板を設け、
前記基板上にバリヤ層を堆積し、
前記基板上に、ポリベンゾオキサゾールとポリグルタリミドとベンゾシクロブテンとから選択された材料を含む封止ダムを形成し、該封止ダムが前記セル領域を取り囲み、
スペーサ粒子が該セル領域にランダムに分布するように、前記基板上に該スペーサ粒子をスプレイし、
前記封止ダム上にキャップをマウントし、封止領域は前記封止ダムの外部表面に隣接し、
前記キャップが前記封止ダムに接触することを保証するために圧力を加え、
接着剤を前記封止領域に加え、前記接着剤は前記基板を気密に封止し、前記封止ダムは前記基板と前記キャップとの間のギャップを除去して前記装置の封止幅を低減する、装置をカプセル化することを含む前記装置を形成するための方法。
【請求項22】
基板を設けることは基板のセル領域にOLEDセルを形成することを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
封止ダムを形成することは、
基板上に、ポリベンゾオキサゾールとポリグルタリミドとベンゾシクロブテンとから選択された材料を含む装置層を堆積し、
前記基板上に前記封止ダムを形成するために前記装置層をパターン化することを有する、請求項21記載の方法。
【請求項24】
装置層は感光性層から成る、請求項23記載の方法。
【請求項25】
接着剤を硬化させることを有する、請求項21記載の方法。
【請求項26】
封止ダムは感光性材料から成る、請求項21〜25のうちの1項記載の方法。
【請求項27】
スペーサ粒子は非導電性材料から成る、請求項26記載の方法。
【請求項28】
スペーサ層をスプレイすることはドライスプレイから成る、請求項21記載の方法。
【請求項29】
ドライスプレイは、
静電的に基板を第1の極性にチャージし、スペーサ粒子を第2の極性にチャージし、
前記スペーサ粒子をドライエアーにより基板に吹き付けることから成る、請求項28記載の方法。
【請求項30】
スペーサ粒子をスプレイすることはウェットスプレイから成る、請求項21記載の方法。
【請求項31】
前記スペーサ粒子は前記OLEDセルと前記キャップとの間に設けられている、請求項2記載の装置。
【請求項32】
前記スペーサ粒子は球面形状を有する、請求項1記載の装置。
【請求項33】
前記基板は可撓性材料を含む、請求項1記載の装置。
【請求項34】
前記スペーサ粒子の分布密度は10〜1000No/mmである、請求項1記載の装置。
【請求項35】
前記密封材はUV硬化される材料である、請求項1記載の装置。
【請求項36】
前記封止ダムは、前記キャップの底部側に直接コンタクトする、請求項1記載の装置。
【請求項37】
前記封止ダムの外表面全体が前記接着剤によって封止されている、請求項1記載の装置。
【請求項38】
前記スペーサ粒子を前記OLEDセルと前記キャップとの間に設ける、請求項9記載の方法。
【請求項39】
球面形状を有するスペーサ粒子を使用する、請求項8記載の方法。
【請求項40】
前記基板に、可撓性材料を含む材料を使用する、請求項8記載の方法。
【請求項41】
前記スペーサ粒子を、10〜1000No/mmの間の密度で分布させる、請求項8記載の方法。
【請求項42】
前記密封材に、UV硬化される材料を使用する、請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−27624(P2010−27624A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251324(P2009−251324)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【分割の表示】特願2003−533357(P2003−533357)の分割
【原出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【出願人】(501094487)インスティチュート オブ マテリアルズ リサーチ アンド エンジニアリング (3)
【Fターム(参考)】