説明

電子装置の製造方法

【課題】 容易に電子部品を支持体に取り付けることができる電子装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 筐体(支持体)11は、矩形の底板部21と、底板部21と隣接する4つの側面板(後板部23,左板部25,前板部27,右板部29)と、右板部29と隣接し、組み立てた状態で底板部21と対向する上板部31と、からなる。底板部21と4つの側面板との間には、それぞれ折り曲げ部分33,35,37,39が設けられている。また、右板部29と上板部31との間には、折り曲げ部分41が設けられている。まず、いずれの折り曲げ部も折り曲げられていない展開された状態の筐体11に、回路基板51,53,55、トランジスタ61、コネクタ15、放電灯13を取り付ける。次に、展開された状態の筐体11を折り曲げて、筐体11を箱型に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に回路基板などの電子部品を取り付けてなる電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属等で形成された支持体に、複数の回路基板やケースASSY(小型の部品を組み込んだ箱型の部品)などの電子部品が取り付けられてなる電子装置が利用されている。このような電子装置では、支持体が電子部品の少なくとも一部を覆って電子部品を保護することができ、また電子装置を筐体等に取り付けて用いる場合には複数の電子部品を1つのものとして扱うことができるため、電子部品を個別に筐体に取り付ける場合と比較すると取り付け作業が容易になる。
【0003】
このような電子装置として、金属および樹脂のケース(支持体)に回路基板や放電灯などを組みつけてなる放電灯装置が提案されている(特許文献1参照)。この放電灯装置において、金属ケースは一つの面が開口となった箱型であって、その内部に回路基板等が取り付けられている。また樹脂ケースには放電灯が取り付けられている。この樹脂ケースで金属ケースの開口を塞いで固定することで、放電灯装置の組み立てが完成する。
【0004】
上記放電灯装置では、電子部品は金属ケースの底面および側面の内側面に取り付けられる。このように、電子部品は支持体におけるさまざまな位置に取り付けることができる。図8(A)〜(F)に、支持体とそれに取り付けられる電子部品(回路基板)の取り付け状態の一例を模式的に示す。図8(A)〜(C)が平面図、図8(D)〜(F)が正面から見た断面図である。
【0005】
図8(A),(D)のように、上方が開口となる支持体101の底面101aにのみ電子部品103a(回路基板)が取り付けられている構成や、図8(B),(E)、および(C),(F)のように側面101bに、電子部品103bが取り付けられている構成などがある。
【0006】
上記図8(A)〜(F)では上面が開口となる支持体101を用いた構成を例示したが、支持体は上図の構成に限定されるものではなく、より面の数の少ないL字型や断面コの字型の支持体や、開口を閉じることができる箱型の支持体などに電子部品を取り付けてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−22702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
板状の部材を折り曲げて形成した支持体に電子部品を取り付ける場合、その取付作業が煩雑なものとなる場合がある。
例えば、電子部品を支持体に固定するためには、溶接,接着,ネジ止めなどが一般的に用いられるが、これらの操作は支持体における電子部品が取り付けられる取付面の上方の空間に操作を阻害する障害物があると、取り付けられる電子部品や工具などが扱いにくくなる。
【0009】
例えば、図8(A)〜(F)において、電子部品103aを底面101aに取り付ける場合に、側面101bや電子部品103bが障害物と場合がある。また、電子部品103bを側面101bに取り付けるときも同様に、底面101aや電子部品103aが障害物となる場合がある。
【0010】
また、放熱接着剤,放熱グリス,放熱ゲルなどを支持体に塗布した後でその上に電子部品を取り付ける場合、塗布面の上方の空間に障害物があると接着剤等を均一に塗布することが難しくなる。これらが均一に塗布されていないと、接着性能が低下したり、充分な放熱能力を得られない場合がある。放熱シートを取り付ける場合も同様に取り付けが困難になる。
【0011】
さらに、近年は電子部品の小型化が求められるため、上述した取り付けが困難であるという問題がより顕著になっている。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易に電子部品を支持体に取り付けることができる電子装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、支持体と、その支持体に取り付けられた電子部品と、からなる電子装置の製造方法に関するものである。ここでいう支持体とは、板状の部材を1箇所以上折り曲げて形成され、その折り曲げ部分を境界として複数の領域に区分されるものである。
【0013】
本発明では、まず、取り付け工程にて、支持体において電子部品が取り付けられる第1の領域と、その第1の領域と折り曲げ部分を介して連接する第2の領域と、の間の折り曲げ部分が展開された状態で、第1の領域に電子部品を取り付ける。そして、この取り付け工程の後の折り曲げ工程にて、展開された状態の折り曲げ部分を折り曲げて、支持体を折り曲げられた状態とする。この取り付け工程および折り曲げ工程により、板状の部材を折り曲げて形成された支持体に電子部品が取り付けられてなる電子装置を製造する。
【0014】
このような電子装置の製造方法であれば、第1の領域に電子部品を取り付けるときには、第1の領域と第2の領域の間の折り曲げ部分が展開した状態となっているので、第2の領域が障害物となって手や工具を用いた操作が妨げられることがない。そのため、電子部品の第1の領域への取り付けを容易に行うことができる。
【0015】
なお、上述した折り曲げ部分とは、支持体における折り曲げ工程で折り曲げられる領域のことを指しており、予め折り曲げやすいように形成された領域であっても良いし、そのように形成されていない領域であってもよい。折り曲げやすいように形成した例としては、例えば請求項4に記載のように、折り曲げ部分をその周囲よりも肉薄に形成することが考えられる。このように支持体が構成されていれば、折り曲げに必要な力を小さくすることができるうえ、肉薄の部分は折れ曲がりやすいため折り曲げる部分の位置決めがなされ、折り曲げ部分以外の誤った場所を折り曲げてしまうことが抑制できる。
【0016】
さらに、折り曲げ部分のみ異なる材質で構成されていてもよい。例えば、支持体として、矩形の金属の板状部材を、熱可塑性の樹脂で連結したものなどを用いることが考えられる。このように支持体が構成されている場合では、折り曲げる際には折り曲げ部分である樹脂部分を加熱すると容易に折り曲げを行うことができるようになる。
【0017】
ところで、支持体における折り曲げ部分によって区分された各領域は、平板状である必要はなく、例えば表面に凹凸が形成されていてもよい。
また支持体は、板状の部材を折り曲げて形成されるものであれば、さまざまな形状のものを用いることができる。例えば、板状の部材における一箇所を折り曲げて形成されるL字型や、2箇所を折り曲げて形成される断面コの字型の支持体などが一例として挙げられる。
【0018】
また、請求項2のように、支持体は箱型に構成されていてもよい。ここでいう箱型とは、少なくとも底面の板と、底面の板の上方の空間を囲むように設けられた複数の縦板とを有するものを意味する。
【0019】
箱型の支持体の内部に電子部品を取り付ける際、従来は、取付面以外の板が障害物となり取り付け作業が非常に困難になっていたが、本発明の電子装置の製造方法であれば、支持体を展開した状態で電子部品の取り付けが行えるため、その作業が容易なものとなる。
【0020】
ところで、支持体に取り付ける電子部品は1つに限らず、複数であってもよい。また、1つの領域に複数の電子部品が取り付けてもよいし、複数の領域に亘って取り付けられていても良い。
【0021】
複数の領域に亘って電子部品が取り付けられている場合、それらの電子部品同士の配線は折り曲げ部分を折り曲げる前に行っても良いが、折り曲げた後に行ってもよい。支持体を折り曲げることによって支持体が展開された状態よりも電子部品間の距離が小さくなるならば、その折り曲げた状態で結線できる長さまで導線の長さを短くすることができる。
【0022】
複数の領域に亘って取り付けられる複数の電子部品が、予めフレキシブル基板やリード線により電気的に接続されている場合には、請求項3に記載のように、取り付け工程にて、第1の領域に取り付けられる電子部品を第1の領域に取り付けると共に、第1の領域に取り付けられる電子部品と電気的に接続されてなる電子部品を前記第2の領域に取り付けるとよい。
【0023】
このような電子装置の製造方法では、第1の領域と第2の領域とを折り曲げることによってそれぞれに取り付けられた2つの電子部品の位置関係が変化しても、フレキシブル基板やリード線が変形することによって電気的な接続状態が維持される。そのため、折り曲げることによって接続状態が解除されることがなく都合がよい。
【0024】
なお、支持体に電子部品を取り付けるための具体的な手段は特に限定されないが、請求項5に記載のように溶接,ネジ止め,接着剤による接着などを選択することができる。このような操作は取付面の上方に障害物があると操作が困難になりやすいが、本発明の製造方法であれば容易に操作して電子部品を支持体に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】電子装置を示す斜視図
【図2】電子装置の筐体(支持体)を展開した状態を示す平面図
【図3】折り曲げ部分を示す側面図
【図4】筐体(支持体)への電子部品の取り付け方法を説明する平面図
【図5】筐体(支持体)の一部を折り曲げた状態を示す斜視図
【図6】筐体(支持体)の一部を折り曲げた状態を示す側面図
【図7】折り曲げ部分の変形例を示す平面図
【図8】従来の支持体に電子部品を取り付けた状態を示す平面図(A)〜(C)および正面断面図(D)〜(F)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示にすぎず、本発明が、下記の事例以外にも様々な形態で実施できるのはもちろんである。
【0027】
[実施例]
(1)電子装置の構成
本実施例で製造される電子装置の模式的な斜視図を図1に示す。電子装置1は、自動車のヘッドライトに用いられる放電灯装置であり、板状の部材を折り曲げて形成してなる箱型の筐体11に複数の電子部品が取り付けられている。電子部品の一部として、筐体11の外部にバルブ13aが露出した状態で筐体11に固定される放電灯13と、筐体11の外部に一端が露出した状態で筐体11に固定されるコネクタ15と、がある。なお、筐体11が本発明における支持体に相当する。
【0028】
筐体11を展開した状態の模式図を図2に示す。図2は各構成要素を模式的に示しているため、その大きさや形状は実際のものとは相違する。なお、筐体11における図2において示される面は、筐体11を折り曲げたときに内側となる面である。
【0029】
筐体11は、矩形の底板部21と、底板部21と隣接する4つの側面板(後板部23,左板部25,前板部27,右板部29)と、右板部29と隣接し、図1のように組み立てた状態で底板部21と対向する上板部31と、からなる。
【0030】
底板部21と4つの側面板との連接部分が、電子装置1の製造過程で折り曲げられる折り曲げ部分33,35,37,39となる。また、右板部29と上板部31との連接部分が、折り曲げ部分41となる。これら折り曲げ部分を90°に折り曲げることで筐体11が箱型になる。このように、筐体11は、これら折り曲げ部分を境界として6つの領域(底板部21,後板部23,左板部25,前板部27,右板部29,上板部31)に区分されている。
【0031】
折り曲げ部分41を矢印A方向から見た拡大図を図3に示す。折り曲げ部分41には溝部43が設けられており、それにより折り曲げ部分41はその周囲の領域より厚さが薄くなっている。なお、他の折り曲げ部分33,35,37,39も同様の溝部が設けられており、その周囲よりも厚さが薄くなっている。
【0032】
説明を図2に戻る。筐体11の底板部21、左板部25,右板部29には、回路基板51,53,55(以下、これらをまとめて単に回路基板という場合がある)が取り付けられている。これら回路基板同士は、フレキシブル基板57,59で電気的に接続されている。これら回路基板には、電源電圧を平滑化するフィルタ回路,電源電圧を昇圧するDC/DCコンバータ,放電灯13の点灯を開始する始動電圧を発生する高電圧発生回路,回路素子を制御する制御回路などが設けられている。この回路基板は、例えば自動車の運転者のスイッチ操作によりコネクタ15を介して電力が供給されたときに、放電灯13に適切な電圧を印加して放電灯13を点灯させる。
【0033】
後板部23には、トランジスタ61が取り付けられている。このトランジスタ61は上述したDC/DCコンバータを構成する部品であり、多くの熱量を発生する。
前板部27には、コネクタ15が取り付けられている。前板部27にはコネクタ15が挿通可能な貫通穴27aが形成されており、図1に示すように、コネクタ15の一端が当該貫通穴から貫通されて外部に露出した状態となっている。
【0034】
右板部29には、放電灯13が取り付けられている。右板部29にはバルブ13aを挿通可能な貫通穴が形成されており、バルブ13aはその貫通穴から右板部29を通過して裏側面(図2において示されない側、図1における上側)に露出するように配置される。一方、右板部29の表側面にはケース13bが取り付けられる。このケース13bはバルブ13aを保持するものであり、またバルブ13aと回路基板とを電気的に接続するためのコネクタなどが備えられている。
【0035】
なお、回路基板51,53,55、トランジスタ61、コネクタ15、放電灯13が本発明における電子部品に相当する。
(2)電子装置1の製造方法
次に、電子装置1の製造方法について説明する。
【0036】
(i)筐体への電子部品の取り付け(取り付け工程)
まず、いずれの折り曲げ部分も折り曲げられていない展開された状態の筐体11に、回路基板51,53,55、トランジスタ61、コネクタ15、放電灯13を取り付ける。
【0037】
回路基板を筐体11に取り付ける際には、図4に示すように、まず放熱接着剤65(高い熱伝導率を有する接着剤)を底板部21,左板部25,右板部29に塗布し、その上に回路基板を載せて接着する。
【0038】
トランジスタ61も回路基板と同様に、放熱接着剤によって後板部23に固定される。
コネクタ15は、一端が貫通穴27aを通過した状態においてネジ(図示しない)で前板部27にネジ止めすることによって固定される。
【0039】
放電灯13は、バルブ13aが貫通穴31aを通過した状態で、ケース13bを上板部31に溶接することよって固定される。
以上説明したように、筐体11に電子部品を取り付けることで、図2に示す状態となる。
【0040】
(ii)筐体の折り曲げおよび導線の接続(折り曲げ工程)
次に、展開された状態の筐体11を折り曲げて、筐体11を箱型に形成する。複数の折り曲げ部分を折り曲げる順序は特に限定されないが、配線などの作業を行い易いように適宜調整することができる。
【0041】
本実施例では、まず、図5に示すように、配線が必要なコネクタ15と回路基板51との間の折り曲げ部分37を最初に折り曲げて前板部27を立て、その後コネクタ15と回路基板51との間を導線67で結線して接続する。折り曲げ部分37を折り曲げることによってコネクタ15と回路基板51との距離が接近するので、筐体11が展開した状態よりも短い導線で結線できるため、導線67を短くすることができる。
【0042】
続いて、図6に示すように、折り曲げ部分39,41を折り曲げて、右板部29を立て、上板部31を底板部21と対向する位置とし、その状態で、ケース13bと回路基板51との間の導線69を配線する。折り曲げ部分39,41を折り曲げることによってケース13bと回路基板51との距離が接近するので、上記導線67と同様に導線69を短くすることができる。
【0043】
続いて、折り曲げ部分33を折り曲げて後板部23を立て、トランジスタ61と回路基板51とを結線する。その後、折り曲げ部分35を折り曲げて左板部25を立てる。この状態で筐体11は箱型になっており、溶接やかしめを行って形状を固定する。
【0044】
以上のように、配線を行いながら筐体11を折り曲げて箱型に形成することで、図1に示すような電子装置1が完成する。
(3)発明の効果
以上説明した電子装置1の製造方法であれば、筐体11に電子部品を取り付けるタイミングでは筐体11が展開された状態であるため、電子部品を取り付ける際に筐体11自体が障害物となりにくく、電子部品を容易に取り付けることができる。
【0045】
例えば、筐体が組み立てられた後であれば、電子部品を取り付ける取付面に手や工具を挿入する方向が限定されてしまうが、展開した状態であれば様々な方向から溶接、ネジ止め、接着などを行うことができ、取り付ける操作に高い自由度を持たせることができる。
【0046】
また、放熱ゲルや放熱グリスを均一に塗布する作業も筐体11が展開されていれば容易に行うことができる。
特に、本実施例の電子装置1における筐体11は折り曲げ部分を折り曲げていくと箱型となり、その内部に電子部品が取り付けられるものである。箱型の筐体では上述した障害物となりうる部分が多いため電子部品の取り付け方法が制限されやすいが、本実施例では容易に取り付けることができる。特に、溶接、ネジ止め、接着剤による接着などの操作を行うときに有効である。
【0047】
また、回路基板51,53,55はそれぞれ異なる領域(底板部21、左板部25,右板部29)に取り付けられているが、それぞれがフレキシブル基板により電気的に接続されているため、折り曲げ部分を折り曲げる際に妨げにならず、また電気的な接続も維持されるため都合がよい。
【0048】
また、折り曲げ部分は肉薄に形成されているため、折り曲げに必要な力を小さくすることができるうえ、肉薄の部分は折れ曲がりやすいため折り曲げる部分の位置決めがなされ、折り曲げ部分以外の誤った場所を折り曲げてしまうことが抑制できる。
【0049】
また、例えば上述した特開2003−22702号に記載の放電灯装置における金属ケースのように、金属ケースの開口を塞ぐ樹脂ケースに放電灯が取り付けられている場合、放電灯と金属ケースに収められた回路基板との配線は樹脂ケースが開口を塞ぐ前に行う必要がある。従って、金属ケースと樹脂ケースとを分離した状態で配線ができるように、導線は長くしておく必要がある。しかしながら、本実施例では図6に示すように、導線は結線に必要な最低限の長さでよくなる。導線の長さを短くすると高周波ノイズの対策にもなる。
【0050】
なお、上記実施例では、6つの領域全てに電子部品が取り付けられているので、6つの領域全てが本発明における第1の領域に相当する。また、6つの領域全てが折り曲げ部分を介して第1の領域(即ち、電子部品が取り付けられた領域)に連接しているので、本発明における第2の領域に相当する。
【0051】
[変形例]
上記実施例においては、支持体として、6つの面を有する箱型の筐体11を用いる構成を例示したが、支持体は板状の部材を1箇所以上折り曲げて形成されるものであれば、上述した構成に限定されない。例えば、L字型や断面コの字型の部材など、板状の部材を折り曲げて形成することのできるさまざまな形状のものを支持体として用いることができる。
【0052】
また上記実施例においては、すべての領域に電子部品を取り付ける構成を例示したが、電子部品が取り付けられる領域は1つ以上であればいくつであってもよい。
また、筐体11への回路基板やトランジスタ61を固定には放熱接着剤を利用する方法を例示したが、筐体11に放熱グリスを塗布して回路基板等を載せた状態で、ネジ止めなどの他の方法で固定してもよい。また、多くの熱量を発生する部品には放熱シートを取り付けてもよい。いずれにしても、本実施例のように筐体11を展開した状態で取り付けることができることから、その操作は簡便なものとなる。
【0053】
また上記実施例においては、溝部によって折り曲げ部分を肉薄にする構成を例示したが、溝部のないフラットな形状であってもよい。また、溝部に変えて、図7に示すように、折り曲げ部分41の両端に切欠き41aを形成することで、折り曲げ部分41を折り曲げやすくしてもよい。
【0054】
また上記実施例においては、回路基板同士はフレキシブル基板により電気的に接続されている構成を例示したが、リード線で接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…電子装置、11…筐体、13…放電灯、13a…バルブ、13b…ケース、15…コネクタ、21…底板部、23…後板部、25…左板部、27…前板部、27a…貫通穴、29…右板部、31…上板部、31a…貫通穴、33,35,37,39,41…折り曲げ部分、41a…切欠き、43…溝部、51,53,55…回路基板、57,59…フレキシブル基板、61…トランジスタ、65…放熱接着剤、67,69…導線、101…支持体、101a…底面、101b…側面、103a…電子部品、103b…電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の部材を1箇所以上折り曲げて形成される支持体と、前記支持体に取り付けられた電子部品と、からなる電子装置の製造方法であって、
前記支持体における前記折り曲げ部分を境界として区分された複数の領域のうち、前記電子部品が取り付けられる第1の領域と、当該第1の領域と前記折り曲げ部分を介して連接する第2の領域と、の間の前記折り曲げ部分が展開された状態で、前記第1の領域に前記電子部品を取り付ける取り付け工程と、
前記取り付け工程の後に、前記展開された状態の折り曲げ部分を折り曲げる折り曲げ工程と、を備える
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記支持体は箱型である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の領域には、前記第1の領域に取り付けられる電子部品とフレキシブル基板またはリード線により電気的に接続されてなる電子部品が取り付けられており、
前記取り付け工程は、前記第1の領域に取り付けられる電子部品を前記第1の領域に取り付けると共に、前記第1の領域に取り付けられる前記電子部品と電気的に接続されてなる前記電子部品を前記第2の領域に取り付ける工程である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記折り曲げ部分は、前記支持体における前記折り曲げ部分の周囲の領域よりも肉薄に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記取り付け工程は、溶接,ネジ止め,接着剤による接着,からなる群から選ばれる1つ以上により前記電子部品を前記支持体に取り付ける工程である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子装置の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−89671(P2012−89671A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234839(P2010−234839)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】