説明

電子装置筐体及びその製造方法

【課題】生産の効率と製品の合格率が高く、電子装置の寿命を延長できる電子装置筐体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電子装置筐体20の製造方法は、ディスプレイ装置24を準備する工程と、成形槽が設けられる雌型と、雌型と挿入され、且つ装着された型コアにディスプレイ装置24の形状及び寸法と同じな凹槽が設けられる雄型と、を含む射出成形用金型を準備する工程と、ディスプレイ装置24を雄型の凹槽の内に装着する工程と、成形槽と型コアとの間に形状と寸法が樹脂筐体24と同じであるキャビティを形成するように、雌型を雌型に挿入させる工程と、ディスプレイ装置24と樹脂筐体22とを一体に形成するように、キャビティに熱塑性の樹脂を射出して、樹脂筐体22を成形する工程と、射出成形用金型を冷却させた後、成形体を取り出す工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂筺体とディスプレイ装置とが一体に形成される電子装置筐体と、樹脂筺体とディスプレイ装置とが一体に形成される電子装置筐体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴って、携帯電話等の携帯式電子装置が極めて多く開発されている。携帯式電子装置は様々な利便性を有するので、使用者の注目を浴びることが増えている。
【0003】
筐体は電子装置の主な部品の一つで、電話や計算器やコンピューターなどの電子装置に広く使用されている。図1は、従来電子装置の筐体10を示す図である。前記電子装置筐体10は、樹脂筺体12と、ディスプレイ装置14と、を含む。前記樹脂筺体12にディスプレイ用窓122が設けられている。樹脂筺体12とディスプレイ装置14を別々に製造するので、両者を装着する際に、前記ディスプレイ装置14を前記樹脂筺体12のディスプレイ用窓122に組み立てる必要がある。これで、前記ディスプレイ装置14をねじを用いて前記樹脂筐体12のディスプレイ窓122に固定させるか、前記ディスプレイ装置14を前記ディスプレイ窓122に直接に係合させる。前記ディスプレイ装置14を電子装置筐体10に固定させた後、前記ディスプレイ装置14をメーンボードや電気電路に電気連接する。
【0004】
ねじのような固定手段を用いて、前記ディスプレイ装置14を前記電子装置筐体10のディスプレイ用窓122に固定させる場合、ドライバーのような工具及び治具が必用するので、組み立てる過程が複雑になり、組み立てる効率が悪くなる。前記ディスプレイ装置14を前記ディスプレイ窓122に直接に係合させる場合、即ち、前記ディスプレイ装置14を前記ディスプレイ窓122の係合手段に係合させる場合、前記係合手段が破損され、製品の品質が悪くなる可能性がある。また、前記樹脂筐体12と前記ディスプレイ装置14を別々に製造したので、前記ディスプレイ装置14を前記樹脂筐体12に組み立てた後、前記樹脂筐体12と前記ディスプレイ装置14の間に隙間が生じることを免れることができない。したがって、前記隙間から埃や水などが入って、前記電子装置14内部が汚くなり、電子装置14の寿命に影響を与える可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、生産の効率と製品の合格率が高く、電子装置の寿命を延長できる電子装置筐体及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子装置筐体は、樹脂筐体とディスプレイ装置を含み、且つ、前記樹脂筺体と前記ディスプレイ装置が射出成形により一体に形成されている。
【0007】
本発明に係る電子装置筐体の製造方法は、ディスプレイ装置を準備する工程と、成形槽が設けられる雌型と、前記雌型と挿入され、且つ装着された型コアに前記ディスプレイ装置の形状及び寸法と同じな凹槽が設けられる雄型と、を含む射出成形用金型を準備する工程と、前記ディスプレイ装置を前記雄型の凹槽の内に装着する工程と、前記成形槽と前記型コアとの間に形状と寸法が樹脂筐体と同じであるキャビティを形成するように、前記雌型を前記雌型に挿入させる工程と、前記ディスプレイ装置と前記樹脂筐体とを一体に形成するように、前記キャビティに熱塑性の樹脂を注射して、樹脂筐体を成形する工程と、前記射出成型用金型を冷却させた後、前記雌型と前記雄型を分離させて、ディスプレイ装置と樹脂筐体とが一体に形成された成形体を取り出す工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明のように、本発明の電子装置筐体は、樹脂筺体とディスプレイ装置とが射出成形により一体に形成されたので、ねじなどの固定手段を使用して前記ディスプレイ装置を前記樹脂筐体に係合させることを兔れ、生産の効率を高めることができる。且つ、前記ディスプレイ装置を前記樹脂筺体に係合することが必要ないから、製品が破損されることを兔れ、製品の品質を高めることができる。また、前記ディスプレイ装置と前記樹脂筺体が一体になったので、両者の間に隙間が生じることを兔れることができる。したがって、前記隙間から埃や水などが入って、前記電子装置内部が汚くなり、電子装置の寿命に影響を与えることを兔れることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
【0010】
図2に示したように、本実施形態に係わる電子装置筐体20は、樹脂筺体22と、ディスプレイ装置24と、を含む。
【0011】
前記樹脂筺体22に使用する材料として、特別な制限がないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレン−スルフィド、ポリサルフォン、ポリスチレン、ポリエステルモディファイドグリコー、ポリプロピレン等を単独または混合して用いることができる。
【0012】
前記ディスプレイ装置24として、液晶表示装置(liquid crystal display、 LCD)、有機発光ダイオード(organic light emitting diodes、OLED)、プラズマディスプレイ等のいずれか1つを使用することができる。
【0013】
前記樹脂筺体とディスプレイ装置24とは、射出成形方式により一体に形成され
たものである。
【0014】
次に、本実施形態に係わる電子装置筐体20の製造方法について説明する。
【0015】
第一工程で、溶融状態の熱可塑性樹脂を射出成形するための射出成形用金型を準備する。図3および図4が示したように、前記射出成形用金型は、雌型32と、該雌型32に挿入される雄型34と、を含む。前記の雌型32には、前記電子装置筐体20の形状及び寸法と同じな成形槽322が設けられている。前記雄型34には、前記電子装置筐体20の形状及び寸法と同じ型コア342が凸設されている。且つ、前記型コア342の上には、前記ディスプレイ装置24の形状及び寸法が同じな凹槽344が設けられている。前記凹槽344は、前記ディスプレイ装置24を装着するために設けられている。
【0016】
第二工程で、形状及び寸法が適合するディスプレイ装置24を準備する。前記ディスプレイ装置24は、液晶表示装置、有機発光ダイオード、プラズマディスプレイ等のいずれか1つを選ぶことができる。
【0017】
第三工程で、図5が示したように、前記ディスプレイ装置24を前記雄型34の凹槽344の内に固定する。これで、粘着剤を使用して、前記ディスプレイ装置24を前記雄型34の凹槽344の内に固定させることができる。また、前記ディスプレイ装置24を前記雄型34の凹槽344の内に固定させる過程を簡単にするために、前記雄型34の凹槽344の内に真空吸盤(図未示)を設けて、前記ディスプレイ装置24を前記雄型34の凹槽344の内に吸着させることもできる。
【0018】
第四工程で、図6に示すように、成形槽322と型コア342との間にキャビティ36を形成するように、前記雄型34を前記雌型32に挿入する。前記キャビティ36の形状及び寸法は前記樹脂筺体の形状及び寸法と同じである。
【0019】
第五工程で、前記ディスプレイ装置24と前記樹脂筺体22とを一体に形成するように、前記キャビティ36に溶融状態の熱可塑性樹脂を射入する。即ち、前記キャビティ36に溶融状態の熱可塑性樹脂を射入すると、前記樹脂筺体22が前記ディスプレイ装置24の上に一体に付着される。前記熱可塑性樹脂として、ポリ塩化ビニルを使用することができる。
【0020】
第六工程で、図7に示すように、前記射出成形用金型を冷却させた後、前記雌
型32と雄型34を分離させして、前記ディスプレイ装置24と前記樹脂筺体22とが一
体に形成される電子装置筐体20を前記雄型34から取り出す。
【0021】
以上の説明のように、本発明の電子装置筐体20は、樹脂筺体22とディスプレイ装置24とが射出成形により一体に形成されるので、ねじなどの固定手段を使用して前記ディスプレイ装置24を前記樹脂筐体22に係合させることを兔れ、生産の効率を高めることができる。
【0022】
且つ、前記ディスプレイ装置24を前記樹脂筺体22に係合することが必要ないから、製品が破損することを兔れ、製品の品質を高めることができる。また、前記ディスプレイ装置24と前記樹脂筺体22が一体になったので、両者の間に隙間が生じることを兔れることができる。したがって、前記隙間から埃や水などが入って、前記電子装置14内部が汚くなり、電子装置14の寿命に影響を与えることを兔れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の電子装置筐体を示す図である。
【図2】本発明に係る電子装置筐体を示す図である。
【図3】本発明に係る電子装置筐体の製造に使用する雌型を示す図である。
【図4】本発明に係る電子装置筐体の製造に使用する雄型を示す図である。
【図5】本発明に係る電子装置筐体のディスプレイ装置を雄型に固定した状態を示す図である。
【図6】本発明に係る電子装置筐体のディスプレイ装置を雄型に固定し、雄型を雌型に挿入した状態を示す図である。
【図7】雌型と雄型とが分離された状態を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
10 電子装置筐体
14 ディスプレイ装置
22 樹脂筐体
20 電子装置筐体
22 樹脂筐体
24 ディスプレイ装置
32 雌型
36 キャビティ
34 雄型
122 ディスプレイウインド
342 型コア
344 凹槽
322 成型槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂筐体とディスプレイ装置を含む電子装置筐体において、
前記樹脂筐体と前記ディスプレイ装置が射出成形により一体に形成されることを特徴とする電子装置筐体。
【請求項2】
前記樹脂筐体の材料として、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレン−スルフィド、ポリサルフォン、ポリスチレン、ポリエステルモディファイドグリコー、ポリプロピレン等を単独または混合して用いることを特徴とする、請求項1に記載の電子装置筐体。
【請求項3】
前記ディスプレイ装置は、液晶表示装置、有機発光ダイオード、プラズマディスプレイ等のいずれか1つを選択可能であることを特徴とする、請求項1に記載の電子装置筐体。
【請求項4】
前記電子装置筐体がレンズをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電子装置筐体。
【請求項5】
電子装置筐体の製造方法において、
ディスプレイ装置を準備する工程と、
成形槽が設けられる雌型と、前記雌型と挿入され、且つ装着された型コアに前記ディスプレイ装置の形状及び寸法と同じ凹槽が設けられる雄型と、を含む射出成形用金型を準備する工程と、
前記ディスプレイ装置を前記雄型の凹槽の内に装着する工程と、
前記成形槽と前記型コアとの間に形状と寸法が樹脂筐体と同じであるキャビティを形成するように、前記雌型を前記雌型に挿入させる工程と、
前記ディスプレイ装置と前記樹脂筐体とを一体に形成するように、前記キャビティに熱塑性の樹脂を注射して、樹脂筐体を成形する工程と、
前記射出成形用金型を冷却させた後、前記雌型と前記雄型を分離させて、ディスプレイ装置と樹脂筐体とが一体に形成された成形体を取り出す工程と、を含むことを特徴とする電子装置筐体の製造方法。
【請求項6】
前記ディスプレイ装置を容易に前記型コアの凹槽に装着するために、前記凹槽の内に真空吸盤が設けることを特徴とする、請求5に記載の電子装置筐体の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂筐体に使用する材料はポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレン−スルフィド、ポリサルフォン、ポリスチレン、ポリエステルモディファイドグリコー、ポリプロピレン等を単独または混合して用いることを特徴とする、請求5に記載の電子装置筐体の製造方法。
【請求項8】
前記ディスプレイ装置は、液晶表示装置、有機発光ダイオード、プラズマディスプレイ等のいずれか1つであることを特徴とする、請求項5に記載の電子装置筐体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−126657(P2008−126657A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269164(P2007−269164)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(505177003)深▲セン▼富泰宏精密工業有限公司 (138)
【出願人】(506422788)スーテック・トレーディング・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】