説明

電子部品の冷却構造

【課題】 デバイスの冷却効果を高めてデバイスの寿命延長を図ることができる電子部品の冷却構造を提供する。
【解決手段】 回路基板1に実装されたデバイス2の上部に放熱板3を配置し、前記デバイス2の上部に位置する前記放熱板3の上面より下方位置に冷却用の気体7を案内する吸入口8を前記放熱板3に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント基板上に実装されたドライバIC等のデバイスを冷却するのに好適な電子部品の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱量が大きなデバイスを多数使用する場合、各デバイスにヒートシンクを装着してプリント基板上に所定間隔を隔てて実装するが、ヒートシンクによる十分な放熱性能が得られない場合には、ファン等を用いて各ヒートシンクに冷却用気体を吹き付けることにより、各ヒートシンクを強制冷却している(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−343912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、プリント基板上に発熱量が大きい多数のデバイスが実装された場合、特に、デバイスがスター配線状に部品実装された場合においては、冷却用気体の流れ方向に対して下流側に位置するデバイスの方が上流側に位置するデバイスよりも冷却用気体の吹き付け流量が少なくなって十分に冷却されず、下流側に位置するデバイスの劣化が速まって製品寿命が短くなる可能性がある。
【0004】
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、デバイスの冷却効果を高めてデバイスの寿命延長を図ることができる電子部品の冷却構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、電子部品の冷却構造であって、回路基板に実装されたデバイスの上部に放熱板を配置し、前記デバイスの上部に位置する前記放熱板の上面より下方位置に冷却用の気体を案内する吸入口を前記放熱板に設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記吸入口から前記放熱板の上面より下方位置に案内されて前記デバイスを冷却した後の前記気体を外部に排出する排出口を前記放熱板に設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記デバイスの上面を前記放熱板の下面に接触させると共に、該接触部位での前記放熱板の壁部内に前記冷却用気体の流路を前記吸入口に連通させて設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項3において、前記放熱板の下面に前記デバイスの上面が接触する凹部及び凸部の内の少なくとも一方を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項3又は4において、前記デバイスの上面と前記放熱板と下面とが放熱シートを介して接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路基板に実装されたデバイスの上部に放熱板を配置し、デバイスの上部に位置する放熱板の上面より下方位置に冷却用気体を案内する吸入口を放熱板に設けている。
従って、回路基板と放熱板との間を流れる冷却用の気体と放熱板の放熱作用によるデバイスの冷却に加えて、吸入口から放熱板の上面より下方位置に案内された冷却用の気体によるデバイスの局所的な冷却を行うことができ、これにより、デバイスの冷却効果が高まって該デバイスの製品寿命の延長を図ることができる。
【0011】
また、吸入口から放熱板の上面より下方位置に案内されてデバイスを冷却した後の気体を外部に排出する排出口を放熱板に設けることにより、排熱を促進することができるので、デバイスの冷却効果をより高めることができる。
【0012】
更に、デバイスの上面を放熱板の下面に接触させると共に、該接触部位での放熱板の壁部内に冷却用の気体の流路を吸入口に連通させて設けることで、放熱板による放熱効率を高めることができる。
【0013】
更に、放熱板の下面にデバイスの上面が接触する凹部及び凸部の内の少なくとも一方を設けることで、高さの異なる実装デバイスの上面を放熱板の下面に容易に接触させることができる。
【0014】
更に、デバイスの上面と放熱板と下面とを放熱シートを介して接触させることで、より放熱効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態である電子部品の冷却構造を説明するための要部断面図、図2は図1の電子部品の冷却構造の断面斜視図、図3は放熱板の下面の凹凸部を示す斜視図、図4〜図8は本発明の他の実施形態である電子部品の冷却構造を説明するための図である。
なお、各実施形態共に、重複又は相当する部材等については各図に同一符号を付して説明する。
【0016】
本発明の第1実施形態である電子部品の冷却構造は、図1及び図2に示すように、回路基板1に実装された複数のデバイス2の上部に例えばアルミニウム等の鋳造品とされた放熱板3が配置されており、回路基板1に実装された各デバイス2の上面は放熱板3の下面に接触している。
また、放熱板3の下面には、図3に示すように、高さの異なる実装デバイス2の上面を放熱板3の下面に接触させるための凹部4及び凸部5が設けられている。
【0017】
放熱板3の下面と各デバイス2の上面との接触部位における放熱板3の壁部内には、ファン等の冷却装置から吹き付けられる冷却用の気体(例えば空気)7の流路6が形成されており、流路6の上流側の放熱板3には冷却用の気体7を斜め下方に沿って吸入して流路6に案内する吸入口8が該流路6に連通して形成され、流路6の下流側の放熱板3には吸入口8から流路6に案内されてデバイス2を冷却して熱交換された後の気体7を斜め上方に沿って外部に排出する排出口9が該流路6に連通して形成されている。
【0018】
このように構成された電子部品の冷却構造によれば、回路基板1に実装されたデバイスの上部に放熱板3を配置し、デバイス2の上部に位置する放熱板3の壁部に形成された流路6に吸入口8から吸入された冷却用の気体7を導くようにしているので、回路基板1と放熱板3との間を流れる冷却用の気体7と放熱板3の放熱作用によるデバイス2の冷却に加えて、吸入口8から流路6に導かれた冷却用の気体7によるデバイス2の局所的な冷却を行うことができる。
また、これにより、各デバイス2の冷却効果を高めることができると同時に各デバイス2を均等に冷却することができ、この結果、各デバイス2の製品寿命の延長を図ることができる。
【0019】
また、吸入口8から流路6に導入されてデバイス2を冷却した後の気体7を外部に排出する排出口9を設けているので、排熱が促進されてデバイス2の冷却効果をより高めることができる。
更に、デバイス2の上面を放熱板3の下面に接触させているので、放熱板3による放熱効率を高めることができる。
更に、放熱板3の下面にデバイス2の上面が接触する凹部4及び凸部5を設けているので、高さの異なる実装デバイス2の上面を放熱板3の下面に容易に接触させることができる。
【0020】
図4に示す本発明の第2実施形態である電子部品の冷却構造は、回路基板1に実装された複数のデバイス2の上部に例えばアルミニウム等の鍛造品からなる放熱板13が配置されており、回路基板1に実装された各デバイス2の上面は放熱板13の下面に非接触とされ、各デバイス2の上面と放熱板13の下面との間に冷却用の気体7の流路16が形成されている。
また、流路16の上流側に位置するの放熱板13には、冷却用の気体7を斜め下方に沿って吸入して流路16に案内する吸入口18が切りおこし等により形成されている。
【0021】
このように構成された電子部品の冷却構造によれば、回路基板1に実装されたデバイス2の上部に放熱板13を非接触で配置し、デバイス2の上面と放熱板13の下面との間に形成された流路16に吸入口18から吸入された冷却用の気体7を導くようにしているので、放熱板13の放熱作用によるデバイス2の冷却に加えて、回路基板1と放熱板13との間を流れる冷却用の気体7と吸入口18から吸入された冷却用の気体7とが合流してデバイス2に導かれて該デバイス2の局所的な冷却を行うことができる。
また、これにより、各デバイス2の冷却効果を高めることができると同時に各デバイス2を均等に冷却することができ、この結果、各デバイス2の製品寿命の延長を図ることができる。
【0022】
図5に示す本発明の第3実施形態である電子部品の冷却構造は、上記第2実施形態に加えて、流路16の下流側の放熱板13に吸入口18から流路16に案内されてデバイス2を冷却して熱交換された後の気体7を斜め上方に沿って外部に排出する排出口19を切りおこし等により形成したものである。
なお、排出口19については、図6に示すように、デバイス2の冷却後の気体7を斜め上方に沿って案内する案内面19aが形成されるように放熱板13を切りおこすことで、気体7の排出を確実に行うことができる。
【0023】
このように構成された電子部品の冷却構造によれば、吸入口18から流路16に導入されてデバイス2を冷却した後の気体7を外部に排出する排出口19を設けているので、排熱が促進されてデバイス2の冷却効果をより高めることができる。
その他の構成及び作用効果は上記第2実施形態と同様である。
【0024】
図7に示す本発明の第4実施形態である電子部品の冷却構造は、上記第2及び第3実施形態が、放熱板13の下面とデバイス2の上面とを非接触としているのに対し、放熱板13の下面とデバイス2の上面とを放熱シート20を介して接触させ、各デバイス2の両側部を冷却用の気体7の流路16としたものである。
【0025】
このように構成された電子部品の冷却構造によれば、デバイス2の上面と放熱板13と下面とを放熱シート20を介して接触させることで、デバイス2の両側部の流路16を流れる冷却用の気体7による冷却とデバイス2の上面の接触部分での放熱シート20及び放熱板13による放熱作用によりデバイス2の冷却効果を更に高めることができる。
その他の構成及び作用効果は上記第3実施形態と同様である。
【0026】
図8に示す本発明の第5実施形態である電子部品の冷却構造は、上記第1実施形態において、冷却用気体7の流れ方向に複数のデバイス2が接近して配置されている場合、上流側のデバイス2を冷却して排出口9から排出された比較的高温の気体7が下流側のデバイス2側の吸入口8に流入して該デバイス2の冷却効果を低下させる虞れがあるので、これを回避すべく、下流側のデバイス2側の吸入口8を上流側のデバイス2側の排出口9からの排出気体7の流れ方向からオフセットした位置に配置し、且つ下流側のデバイス2側の排出口9と吸入口8とをつなぐ流路6を蛇行させて形成したものである。
その他の構成及び作用効果は上記第1実施形態と同様である。
【0027】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記第1及び第5実施形態では、放熱板3をアルミニウム等の鋳造品とした場合を例示したが、これに限定されず、放熱板3を無垢板に後加工を施して形成してもよい。
【0028】
また、上記第4実施形態では、放熱板13の下面とデバイス2の上面とを放熱シート20を介して接触させた場合を例示したが、これに代えて、放熱板13にプレス加工等により凹部や凸部を形成して、該凹部の底面や凸部の先端面にデバイス2の上面を接触させるようにしてもよい。
【0029】
その他、上記各実施形態において例示した回路基板、デバイス、放熱板、気体、吸入口、排出口、流路、凹部、凸部、放熱シート等の材質,形状,寸法,形態,数,配置個所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態である電子部品の冷却構造を説明するための要部断面図である。
【図2】図1の電子部品の冷却構造の断面斜視図である。
【図3】放熱板の下面の凹凸部を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態である電子部品の冷却構造を説明するための断面斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態である電子部品の冷却構造を説明するための断面斜視図である。
【図6】排出口の変形例を示す断面斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態である電子部品の冷却構造を説明するための要部断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態である電子部品の冷却構造を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 回路基板
2 デバイス
3,13 放熱板
4 凹部
5 凸部
6,16 流路
7 気体
8,18 吸入口
9,19 排出口
20 放熱シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に実装されたデバイスの上部に放熱板を配置し、前記デバイスの上部に位置する前記放熱板の上面より下方位置に冷却用の気体を案内する吸入口を前記放熱板に設けたことを特徴とする電子部品の冷却構造。
【請求項2】
前記吸入口から前記放熱板の上面より下方位置に案内されて前記デバイスを冷却した後の前記気体を外部に排出する排出口を前記放熱板に設けたことを特徴とする請求項1に記載した電子部品の冷却構造。
【請求項3】
前記デバイスの上面を前記放熱板の下面に接触させると共に、該接触部位での前記放熱板の壁部内に前記冷却用気体の流路を前記吸入口に連通させて設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載した電子部品の冷却構造。
【請求項4】
前記放熱板の下面に前記デバイスの上面が接触する凹部及び凸部の内の少なくとも一方を設けたことを特徴とする請求項3に記載した電子部品の冷却構造。
【請求項5】
前記デバイスの上面と前記放熱板と下面とが放熱シートを介して接触することを特徴とする請求項3又は4に記載した電子部品の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−108407(P2006−108407A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293346(P2004−293346)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】