説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】液晶表示パネルの一側部に回路基板を2つずつ実装するとき、回路基板が実装されていないタブを加熱したり、既に実装された回路基板を再び加圧加熱することのない実装装置を提供することにある。
【解決手段】ベース1の上面に駆動可能に設けられた下部可動部材12と、下部可動部材の上面に駆動可能に設けられた複数の下部シリンダ17と、下部可動部材と一体的に移動するとともに上下方向に移動可能に設けられ回路基板の長手方向中心に軸線が一致するよう位置決めされた下部シリンダによって上昇方向に駆動されて液晶表示パネルの側辺部に接続される複数の回路基板をそれぞれ支持する複数の下部加圧ツール19と、液晶表示パネルを下部加圧ツールに対して位置決めするテーブルユニットと、上下方向に駆動可能に設けられ下降方向に駆動されることで各下部加圧ツールによって支持された回路基板を同時に加圧して液晶表示パネルに実装する上部加圧ツール28を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板の側辺部に複数の電子部品を一列に実装するための電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶表示装置の組立工程では、図6(a)に示すように基板としての液晶表示パネル100の一側部に電子部品としての複数、たとえば4つの回路基板102をタブ(TAB:Tape Automated Bonding)103を介して接続するということが行われる。
【0003】
すなわち、図6(b)に示すように、上記液晶表示パネル100の一側部には複数のタブ103の一辺がテープ状の異方性導電部材104によって接続され、これらタブ103の他辺には、4つの上記回路基板102が同じくテープ状の異方性導電部材104によって接続される。
【0004】
複数のタブ103は一辺が上記液晶表示パネル100に仮圧着されてから、一括して本圧着される。タブ103の他辺に4つの回路基板102を実装する場合、1回目の実装工程では2つの回路基板102を同時に本圧着し、2回目の実装工程では残りの2つの回路基板102を同時に本圧着するということが行なわれている。すなわち、1回の実装工程で2枚の回路基板102を同時に実装することで、生産性の向上を図るようにしている。
【0005】
液晶表示パネル100の一側部に2枚の回路基板102を実装する実装装置は、図7(a)、(b)に示すように上記回路基板102a〜102dを支持するバックアップツール111を有する。このバックアップツール111の上方には2つの分割された加圧ツール112がそれぞれシリンダ113によって上下方向に駆動可能に設けられている。
【0006】
上記液晶表示パネル100は水平方向に駆動される図示しないテーブルに載置されていて、このテーブルによって上記液晶表示パネル100の一側部に接続されたタブ103が上記バックアップツール111上に予め位置決め載置された上記回路基板102a〜102dに対して重なるよう位置決めされる。そして、位置決め後に上記加圧ツール112が下降方向に駆動されると、上記回路基板102a〜102dに上記タブ103が接続される。つまり、液晶表示パネル100に回路基板102a〜102dが実装される。
【0007】
上記回路基板102a〜102dは種類によって長さ寸法や厚さ寸法が異なる。そのため、図7(a)、(b)に示すようにバックアップツール111は最も長さ寸法が長い回路基板102a〜102dの2枚分の長さと同等或いはそれ以上の長さに設定される。
【0008】
一方、加圧ツール112は回路基板102a〜102dの厚さが異なっても、これら回路基板102a〜102dを同時に同じ圧力で加圧できるよう上述したように2つに分割されている。分割された各加圧ツール112の長さ寸法は、最も長さ寸法が長い回路基板102a〜102dの1枚分の長さと同等或いはそれよりもわずかに長く設定されている。
【0009】
このような長さ寸法が設定されたバックアップツール111と加圧ツール112とで4枚の回路基板102a〜102dを、液晶表示パネル100に2枚ずつ、2回に分けて実装する場合、まず、1回目の実装では、図7(a)に示すように液晶表示パネル100の一側部に実装される1枚目の回路基板102aと2枚目の回路基板102bを、一対の加圧ツール112によってそれぞれ加圧できるよう、上記液晶表示パネル100をバックアップツール111に対して位置決めする。そして、一対の加圧ツール112を下降方向に駆動して2枚の回路基板102a,102bを同時に加圧して実装する。
【0010】
2回目の実装では、図7(b)に示すように3枚目の回路基板102cと4枚目の回路基板102dを、一対の加圧ツール112によって加圧できるよう、上記液晶表示パネル100をバックアップツール111に対して位置決めする。そして、一対の加圧ツール112を下降方向に駆動して2枚の回路基板102c,102dを同時に加圧して実装するようにしている。
【0011】
バックアップツールと加圧ツールを用いて基板に電子部品を実装する先行技術は特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開2002−319601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、加圧ツール112の長さが回路基板102の長さに比べて長い場合、1回目の実装で1番目の回路基板102aと2番目の回路基板102bとがそれぞれ一対の加圧ツール112によって同時に加圧されるよう、液晶表示パネル100をバックアップツール111に対して位置決めすると、液晶表示パネル100の3番目の回路基板102c(図7(a)に鎖線で示す)が実装される部分がバックアップツール111と一方の加圧ツール112との間に位置してしまう。
【0013】
そのため、1回目の実装時に上記液晶表示パネル100の3番目の回路基板102cが実装される部分に設けられたタブ103が一方の加圧ツール112によって加熱される。加圧ツール112は通常500℃程度の高温度に加熱されている。
【0014】
それによって、高温度に加熱されたタブ103は、2回目の実装で3番目の回路基板102cが接続される前に熱変形してしまうから、そのタブ103に2回目の実装で3番目の回路基板102cを精度よく、確実に接続することができなくなるということがある。
【0015】
2回目の実装時には1回目の実装時に実装された2番目の回路基板102bがバックアップツール111と他方の加圧ツール112との間に位置してしまう。そのため、1回目の実装時に加圧加熱された2番目の回路基板102bが高温度の加圧ツール112によって再度、加圧加熱されるから、その回路基板102b,102cが受ける熱影響が大きくなって損傷を招く虞がある。
【0016】
この発明は、基板の一側部に複数の電子部品を同時に、しかも複数回に分けて実装する際、最初の実装時に基板の次の実装時に電子部品が接続される部分が加圧加熱されたり、次の実装時に最初に実装された電子部品が再び加圧加熱されることがないようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、基板の側辺部に複数の電子部品を実装する実装装置であって、
ベースと、
このベースの上面に所定方向に沿って駆動可能に設けられた下部可動部材と、
この下部可動部材の上面に下部可動部材の駆動方向と同じ方向に駆動可能に設けられた複数の下部加圧手段と、
上記下部可動部材と一体的に移動するとともに上下方向に移動可能に設けられ上記電子部品の長手方向中心に軸線が一致するよう位置決めされた上記下部加圧手段によって上昇方向に駆動されて上記基板の側辺部に接続される複数の上記電子部品をそれぞれ支持する複数の下部加圧ツールと、
上記基板を保持して水平方向に駆動され上記基板の上記電子部品が実装される側辺部を上記下部加圧ツールに対して位置決めするテーブルユニットと、
上記複数の下部加圧ツールの上方に上下方向に駆動可能に設けられ下降方向に駆動されることで上記各下部加圧ツールによって支持された複数の電子部品を同時に加圧して上記基板に実装する上部加圧ツールと
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0018】
上記基板の側辺部に厚さの異なる複数の電子部品を同時に実装するとき、上記各下部加圧手段は、上記電子部品の厚さの違いによって生じる反力に応じて各電子部品を支持した各下部加圧ツールを下方へ変位させることが好ましい。
【0019】
最初に2つの電子部品を実装してから、つぎに2つ或いは1つの電子部品を実装する場合、最初の2つの電子部品を実装するときには上記上部加圧ツールの長手方向の一端が上記基板に実装される2つ目と3つ目の電子部品の間に位置するよう上記基板が上記テーブルユニットによって位置決めされ、
つぎに2つ或いは1つの電子部品を実装するときには上記上部加圧ツールの長手方向の他端が上記基板に実装される2つ目と3つ目の電子部品の間に位置するよう上記基板が上記テーブルユニットによって位置決めされることが好ましい。
【0020】
上記下部加圧ツールは基板に実装される最も長い電子部品の長さ寸法と同等或いはそれよりもわずかに長く設定され、上記上部加圧ツールは基板に実装される最も長い電子部品の2つ分の長さ寸法と同等或いはそれよりもわずかに長く設定されていることが好ましい。
【0021】
上記下部可動部材には垂直ガイド部材が設けられ、この垂直ガイド部材に上記下部加圧ツールが上下方向に移動可能に支持されていることが好ましい。
【0022】
この発明は、基板の側辺部に下部加圧ツールによって支持された電子部品を、上部加圧ツールによって最初に2つ実装してから、つぎに2つ或いは1つの電子部品を実装する実装方法であって、
上記上部加圧ツールの長手方向の一端が上記基板に実装される2つ目と3つ目の電子部品の間に位置するよう上記基板を上記上部加圧ツールに対して位置決めする工程と、
位置決めされた上記上部加圧ツールによって2つの電子部品を同時に上記基板に実装する工程と、
上記上部加圧ツールの長手方向の他端が上記基板に実装される2つ目と3つ目の電子部品の間に位置するよう上記基板を上記上部加圧ツールに対して位置決めする工程と、
位置決めされた上記上部加圧ツールによって2つ或いは1つの電子部品を上記基板に実装する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、所定方向に駆動される下部可動部材の上面に複数の下部加圧手段を、下部可動部材と同方向に駆動可能に設け、各下部加圧手段に分割された下部加圧ツールをそれぞれ設け、この下部加圧ツールの上方に上部加圧ツールを上下方向に駆動可能に設けるようにした。
【0024】
そのため、上部加圧ツールに対して複数の下部加圧ツールの位置決めし、最初の実装時や次の実装時に不要な部分が上部加圧ツールによって加圧加熱されるのを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の一実施の形態を図1乃至図5を参照しながら説明する。
【0026】
図1はこの発明の実装装置の概略的構成図であって、この装置はベース1を備えている。このベース1にはテーブルユニット2が設けられている。このテーブルユニット2は上記ベース1上に矢印で示すX方向に沿って移動可能に設けられたXテーブル3を有する。このXテーブル3は上記ベース1の一端に設けられたX駆動源4によって上記X方向に駆動されるようになっている。
【0027】
上記Xテーブル3上にはYテーブル5がX方向と交差するY方向に沿って移動可能に設けられている。このYテーブル5は上記Xテーブル3の一側面に設けられた第1のY駆動源6によってY方向に駆動されるようになっている。
【0028】
上記Yテーブル5にはθテーブル7が水平面と直交する軸線を中心にして回転可能に設けられている。このθテーブル7は上記Yテーブル5の一側面に設けられたθ駆動源8によって回転方向に駆動されるようになっている。したがって、上記θテーブル7はX、Y及びθ方向に駆動可能となっている。
【0029】
上記θテーブル7には図6(a)、(b)に示すように一側部に複数のタブ103が異方性導電部材104によって接続固定された、基板としての液晶表示パネル100が供給載置される。この液晶表示パネル100はたとえば真空吸着などの手段によって上記θテーブル7に移動不能に保持固定される。なお、液晶表示パネル100は図1に示すようにタブ103が接続された一側部を含む周辺部全体をθテーブル7の外周面から外方へ突出させている。
【0030】
上記タブ103には電子部品としての回路基板102が後述するように圧着部11で接続固定、つまり実装される。この圧着部11はY方向に沿って細長い板状の下部可動部材12を有する。
【0031】
上記下部可動部材12は上記ベース1の上面にY方向に沿って設けられた一対の第1のレール13に沿って移動可能となっている。上記下部可動部材12は、ベース1の側面に設けられた第2のY駆動源14によってY方向に沿って駆動されるようになっている。
【0032】
上記下部可動部材12の上面には第2のレール16がY方向に沿って設けられている。この第2のレール16には図2に示すように下部加圧手段としての一対の下部シリンダ17が軸線を垂直にし、上記第2のレール16に沿ってY方向に移動可能に設けられている。一対の下部シリンダ17は上記下部可動部材12のY方向に沿う両端に設けられた一対の第3のY駆動源18(図1に一方のみ図示)によってそれぞれ独立してY方向に沿って駆動されるようになっている。
なお、上記下部可動部材12と上記下部シリンダ17のY方向に沿う駆動はリニアモータによって行なうようにしてもよく、その駆動方式は限定されるものでない。
【0033】
一対の下部シリンダ17のロッド17aには下部加圧ツール19の長手方向中央部の下面が連結されている。この下部加圧ツール19は、基板としての液晶表示パネル100の側辺部にタブ103を介して接続される、最も長尺な電子部品としての回路基板102の長さ寸法と同等或いはそれよりもわずかに長く設定されている。
なお、最も長尺な回路基板102とは、この実装装置によって実装される複数種の回路基板のうちで最も長尺であるということである。
【0034】
下部加圧ツール19には第1のヒータ21が設けられている。下部加圧ツール19は上記第1のヒータ21によって約100℃に加熱されるようになっている。
上記下部可動部材12の上面には上記下部加圧ツール19の一側面と対向して垂直ガイド部材22が立設されている。この垂直ガイド部材22の上記下部加圧ツール19と対向する側面には第3のレール23が上下方向に沿って設けられていて、この第3のレール23に沿って上記下部加圧ツール19が上記下部シリンダ17によって上下方向に駆動されるようになっている。
なお、図1において、下部加圧ツール19は下部シリンダ17によって上昇限まで駆動された状態を示している。
【0035】
一対の上記下部加圧ツール19の上方には上部加圧手段としての上部シリンダ27のロッド27aに連結されて上下方向に駆動される上部加圧ツール28が配設されている。この上部加圧ツール28は、図2に示すように1つの下部加圧ツール19の長さ寸法よりも長く設定されているとともに、下端部には上部加圧ツール28を約500℃に加熱する第2のヒータ29が設けられている。
【0036】
したがって、後述するように一対の上記下部加圧ツール19の上端面にそれぞれ異方性導電部材104を介して回路基板102とタブ103を重ね合わせ、その重合部分を上記上部加圧ツール28で加圧しながら第1、第2のヒータ21,29の熱で加熱すれば、上記異方性導電部材104を溶融硬化させて回路基板102とタブ103を接続固定することができる。すなわち、液晶表示パネル100に対してタブ103を介して上記回路基板102を本圧着することができる。
【0037】
上記回路基板102は搬送手段を構成する搬送テーブル31によって上記下部加圧ツール19の上方に搬送されるようになっている。上記搬送テーブル31は図1に示すように、可動体32の上端面にX方向に沿う一端部を固定して設けられている。
【0038】
上記可動体32の下端面のX方向と交差するY方向の両端部には一対のスライダ34(1つのみ図示)が設けられ、このスライダ34はガイドレール35に移動可能に係合している。このガイドレール35は上記ベース1上に架台36を介してX方向に沿って設けられている。
【0039】
上記可動体32は図示しない駆動手段によって上記ガイドレール35に沿うX方向に往復駆動されるようになっている。可動体32をX方向に沿って往復駆動する駆動手段としては、駆動源によって回転駆動されるねじ軸やシリンダを用いてもよいが、この実施の形態ではガイドレール35に所定間隔で配置された多数の磁石と、上記スライダ34に設けられた電磁コイルとからなるリニアモータによって構成されている。
【0040】
上記搬送テーブル31には2枚の回路基板102(1枚のみ図示)がY方向に所定間隔で供給載置される。回路基板102は一端部を搬送テーブル31の先端面から突出させて供給され、その状態で幅方向の複数個所が複数の保持部材37(1つのみ図示)によって弾性的に押圧保持される。
なお、回路基板102の一端部の上面には幅方向全長にわたってテープ状の異方性導電部材104が予め貼着されている。
【0041】
上記保持部材37は弾性を備えた帯板によって先端部が下方に向かって屈曲形成されていて、その先端部が上記回路基板102の上面を弾性的に押圧するとともに、後端は上記可動体32の側面に設けられた第1のZシリンダ39のロッド39aに連結固定されている。
【0042】
したがって、上記第1のZシリンダ39のロッド39aが突出方向に駆動されれば、上記保持部材37は図1に鎖線で示すように上昇して先端部が搬送テーブル31上の回路基板102から離反し、この回路基板102の保持状態が解除される。それによって、回路基板102を上記搬送テーブル31に対して着脱することができるようになっている。
【0043】
上記下部可動部材12には、上記下部加圧ツール19の他側面側に軸線を垂直にして複数の第2のZシリンダ41(1つのみ図示)が搬送テーブル31の他端、つまり下部加圧ツール19側の先端面に開放して形成された複数の凹部31aと対応する間隔で設けられている。この第2のZシリンダ41のロッド41aには受け部材42が上面を水平にして取り付けられている。この受け部材42は矩形状で、上記搬送テーブル31に形成された凹部31a内に入り込む大きさに形成されている。
【0044】
つぎに、上記構成の実装装置によって液晶表示パネル100の一側部に4つの回路基板102を2つずつ、2回にわたって実装する場合について図3乃至図5を参照しながら説明する。
【0045】
まず、図3(a)に示すように、液晶表示パネル100に最初に実装される2つの回路基板102を、図示しないロボットなどによって搬送テーブル31にY方向に沿って所定間隔で供給して保持部材37によって保持する。ついで、可動体32をガイドレール35に沿って下部加圧ツール19に接近する方向へ駆動して搬送テーブル31に保持された回路基板102を受け部材42の上面に位置決めする。
【0046】
つぎに、回路基板102を搬送テーブル31に保持した保持部材37を第1のZシリンダ39によって上昇させ、この回路基板102の保持状態を解除したならば、図4(b)に示すように上記搬送テーブル31を後退させる。
【0047】
受け部材42が回路基板102を受けると、図3(c)に示すように受け部材42が第2のZシリンダ41によって下降させられ、上記回路基板102の異方性導電部材104が貼着された一端部が下部加圧ツール19の上面に載置される。このとき、下部加圧ツール19は下部シリンダ17によって上昇限まで駆動されている。
【0048】
つぎに、図4(a)に示すように、テーブルユニット2が下部加圧ツール19に接近するX方向に駆動され、液晶表示パネル100の一側に一端部が接続されたタブ103の他端部が上記回路基板102の上記下部可動部材12上に位置決めされた一端部の上面に重合される。
【0049】
このように、回路基板102に対して液晶表示パネル100のタブ103が位置決めされると、図4(b)に示すように上部シリンダ27が作動して上部加圧ツール28が下降方向に駆動され。それによって、2つの上記回路基板102が同時に加圧加熱されるから、これら回路基板102がタブ103に対して接続される。つまり、上記液晶表示パネル100のタブ103に上記回路基板102が接続されることになる。
【0050】
このようにして、液晶表示パネル100の一側部に1つ目と2つ目の回路基板102を接続したならば、液晶表示パネル100をY方向に所定距離移動させ、この液晶表示パネル100の一側部に上述した手順で3つ目と4つ目の回路基板102を接続する。
【0051】
図5(a)に示すように、液晶表示パネル100の一側部に、1回目の実装時によって1つ目と2つ目の回路基板102a,102bを実装するとき、上記上部加圧ツール28の長手方向の一端28aが上記液晶表示パネル100に実装される2番目の回路基板102bと3番目の回路基板102cの間に位置するよう、上記液晶表示パネル100をYテーブル5によってY方向に対して位置決めする。
【0052】
それと同時に下部可動部材12を図5(a)に矢印で示すY方向に駆動し、一対の下部加圧ツール19をそれぞれ1番目の回路基板102aと2番目の回路基板102bを支持できる位置に位置決めする。すなわち、一対の下部加圧ツール19の離間対向する一端部が1番目の回路基板102aと2番目の回路基板102bの離間対向する一端部に対応するよう上記一対の下部加圧ツール19を位置決めする。
【0053】
さらに、各下部加圧ツール19を支持する下部シリンダ17を同じくY方向に駆動し、各下部シリンダ17のロッド17aの軸線Oが1番目の回路基板102と2番目の回路基板102の長手方向の中央に一致するよう位置決めする。
【0054】
このように位置決めされた状態で、上部加圧ツール28を下降させて一対の回路基板102a,102bを同時に加圧加熱すれば、上部加圧ツール28の一端28aが液晶表示パネル100の3つ目の回路基板102c(図5(a)に鎖線で示す)が実装される部分に突出することがない。
【0055】
それによって、上記上部加圧ツール28によって液晶表示パネル100の3つ目の回路基板102cが接続される部分に設けられたタブ103が高温で加圧加熱されることがないから、そのタブ103に3つ目の回路基板102cが実装される前に熱変形することがない。
【0056】
一対の下部加圧ツール19を支持した各下部シリンダ17は、そのロッド17aの軸線Oを回路基板102の長手方向中央に一致するようY方向に位置決めされている。そのため、上部加圧ツール28を下降させて2つの回路基板102a,102bを同時に加圧したとき、各下部シリンダ17のロッド17aに対応する各回路基板102a,102bの長手方向中央が加圧され、各下部加圧ツール19が偏加重を受けることがない。それによって、各下部加圧ツール19は長手方向に対して傾くことがないから、各回路基板102a,102bの加圧を均一に行なうことができる。
【0057】
1つ目と2つ目の回路基板102a,102bの品種が異なることで、これらの厚さが異なる場合がある。そのような場合、上部加圧ツール28が下降して1つ目と2つ目の回路基板102a,102bを同時に加圧すると、これら回路基板102a,102bの厚さの差に応じて各回路基板102a,102bを支持した一対の下部シリンダ17のロッド17aが変位する。
つまり、下部シリンダ17がエアシリンダであれば、下部加圧ツール19に加わる圧力に応じて空気を圧縮してロッド17aが変位する。
【0058】
厚さの厚い回路基板102aを支持した一方の下部加圧ツール19が厚さの薄い回路基板102bを支持した他方の下部加圧ツール19よりも下方への変位量が大きくなる。それによって、1つ目と2つ目の回路基板102a,102bの厚さが異なっていても、これら回路基板102を同時に、しかも確実に加圧してタブ103に接続することができる。
【0059】
液晶表示パネル100の一側部に、2回目の実装時によって3つ目と4つ目の回路基板102c,102dを実装するとき、図5(b)に示すように上記上部加圧ツール28の長手方向の他端28bが上記液晶表示パネル100に実装される2番目の回路基板102bと3番目の回路基板102cの間に位置するよう、テーブルユニット2のYテーブル5を駆動して上記液晶表示パネル100をY方向に対して位置決めする。
【0060】
それと同時に下部可動部材12をY方向に駆動し、一対の下部加圧ツール19をそれぞれ3番目の回路基板102cと4番目の回路基板102dを支持できる位置に位置決めする。すなわち、一対の下部加圧ツール19の離間対向する一端部が3番目の回路基板102cと4番目の回路基板102dの離間対向する一端部に対応するよう上記一対の下部加圧ツール19を位置決めする。
【0061】
さらに、各下部加圧ツール19を支持する下部シリンダ17をY方向に駆動し、各下部シリンダ17のロッド17aの軸線Oが1番目の回路基板102と2番目の回路基板102の長手方向の中央に一致するよう位置決めする。
【0062】
このように位置決めされた状態で、上部加圧ツール28を下降させて一対の回路基板102を同時に加圧加熱すれば、上部加圧ツール28の他端28bが液晶表示パネル100のすでに実装された2つ目の回路基板102b側に突出することがないから、上記上部加圧ツール28によって2つ目の回路基板102bが再び高温で加圧加熱されることがない。
【0063】
しかも、1回目の実装時と同様、下部シリンダ17が軸線Oを回路基板102の長手方向の中央に一致させて位置決めされている。そのため、上部加圧ツール28を下降させて2つの回路基板102c,102dを同時に加圧したとき、各下部シリンダ17のロッド17aに対応する各回路基板102a,102bの長手方向中央が加圧され、各下部加圧ツール19が偏加重を受けることがない。
【0064】
それによって、各下部シリンダ17によって支持されたそれぞれの下部加圧ツール19は長手方向に対して傾くことがないばかりか、3つ目の回路基板102cと4つ目の回路基板102dとの厚さが異なっていても、各回路基板102c,102dを一対の下部加圧ツール19と1つの上部加圧ツール28によって確実に加圧することができる。
【0065】
また、1回の実装工程で、2つの回路基板102を同時に接続するようにしたから、回路基板102を1つずつ接続する場合に比べて生産性の向上を図ることができる。
さらに、下部シリンダ17を下部可動部材12上でY方向に駆動して位置決めできるから、液晶表示パネル100の一側部に接続される4つの回路基板102の長さ寸法が異なる場合であっても、下部シリンダ17の軸線Oが回路基板102の長手方向の中央に一致するよう位置決めすることができる。
【0066】
それによって、長さの異なる回路基板102であっても、上部加圧ツール28によって加圧加熱するときに、上記回路基板102を下部加圧ツール19によって確実に支持することができる。
【0067】
上記上部加圧ツール28の一端28a又は他端28bを2番目と3番目の回路基板102c,102dの間に位置さえるようにした。そのため、回路基板102a〜102dは高温度に加熱された上部加圧ツール28によって1度だけしか加圧加熱されないから、各回路基板102a〜102dが繰り返して熱影響を受けて損傷するのが防止される。
【0068】
上記一実施の形態では1回目の実装工程と2回目の実装工程を同じ実装装置で行う場合について説明したが、1回目の実装工程と2回目の実装工程を別の実装装置で行うようにしてもよい。そのようにすれば、各実装装置の稼働率を向上させ、生産性を高めることができる。
【0069】
また、下部加圧ツールを2つに分割して下部シリンダによって上下動可能に支持し、上部加圧ツールを1つにしたが、上部加圧ツールを2つにし、下部加圧ツールを1つにしてもよい。
【0070】
その場合、下部加圧ツールはベース上にY方向に駆動可能に設ける。一方、上部加圧ツールはそれぞれ上部シリンダによって上下方向に駆動可能に設けるとともに、各上部シリンダを上部加圧ツールに対してY方向に駆動可能に設け、上部シリンダの軸線を、回路基板長手方向の中心に一致させることができるようにする。
【0071】
そのような構成によれば、上記一実施の形態と同様、1回目の実装工程で、液晶表示パネルの2回目に回路基板が実装される部分を加圧したり、2回目の実装工程で1回目の実装工程で実装された回路基板を再び加圧するのを防止することができる。
【0072】
上記一実施の形態では液晶表示パネルの一側部に4つの回路基板を2回の実装工程で接続する場合について説明したが、最初の実装工程では2つの回路基板を接続し、次の実装工程では1つの回路基板を接続する場合であっても、上記一実施の形態と同様にして行なうことができる。
【0073】
また、1回の実装で2つの回路基板を同時に実装する場合についで説明したが、3つ或いはそれ以上の回路基板を同時に実装する場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】この発明の一実施の形態を示す実装装置の概略的構成を示す図。
【図2】下部加圧ツールと上部加圧ツールの配置状態を示す説明図。
【図3】(a)〜(c)は回路基板をバックアップツールに対して位置決めする順序を示す説明図。
【図4】(a),(b)は位置決めされた回路基板とタブとを接続する説明図。
【図5】(a)は1つ目と2つ目の回路基板を実装するときの下部加圧ツールと上部加圧ツールとを位置決めした状態を示す説明図、(b)は3つ目と4つ目の回路基板を実装するときの下部加圧ツールと上部加圧ツールとを位置決めした状態を示す説明図。
【図6】(a)は一側部に4つの回路基板が接続された液晶表示パネルの平面図、(b)は液晶表示パネルと回路基板の接続状態を示す側面図。
【図7】(a)は従来の実装方式によって1つ目と2つ目の回路基板を実装するときの説明図、(b)は同じく3つ目と4つ目の回路基板を実装するときの説明図。
【符号の説明】
【0075】
1…ベース、2…テーブルユニット、5…Yテーブル、11…圧着部、12…下部可動部材、17…下部シリンダ(下部加圧手段)、19…下部加圧ツール、27…上部シリンダ、28…上部加圧ツール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の側辺部に複数の電子部品を実装する実装装置であって、
ベースと、
このベースの上面に所定方向に沿って駆動可能に設けられた下部可動部材と、
この下部可動部材の上面に下部可動部材の駆動方向と同じ方向に駆動可能に設けられた複数の下部加圧手段と、
上記下部可動部材と一体的に移動するとともに上下方向に移動可能に設けられ上記電子部品の長手方向中心に軸線が一致するよう位置決めされた上記下部加圧手段によって上昇方向に駆動されて上記基板の側辺部に接続される複数の上記電子部品をそれぞれ支持する複数の下部加圧ツールと、
上記基板を保持して水平方向に駆動され上記基板の上記電子部品が実装される側辺部を上記下部加圧ツールに対して位置決めするテーブルユニットと、
上記複数の下部加圧ツールの上方に上下方向に駆動可能に設けられ下降方向に駆動されることで上記各下部加圧ツールによって支持された複数の電子部品を同時に加圧して上記基板に実装する上部加圧ツールと
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記基板の側辺部に厚さの異なる複数の電子部品を同時に実装するとき、上記各下部加圧手段は、上記電子部品の厚さの違いによって生じる反力に応じて各電子部品を支持した各下部加圧ツールを下方へ変位させることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
最初に2つの電子部品を実装してから、つぎに2つ或いは1つの電子部品を実装する場合、最初の2つの電子部品を実装するときには上記上部加圧ツールの長手方向の一端が上記基板に実装される2つ目と3つ目の電子部品の間に位置するよう上記基板が上記テーブルユニットによって位置決めされ、
つぎに2つ或いは1つの電子部品を実装するときには上記上部加圧ツールの長手方向の他端が上記基板に実装される2つ目と3つ目の電子部品の間に位置するよう上記基板が上記テーブルユニットによって位置決めされることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
上記下部加圧ツールは基板に実装される最も長い電子部品の長さ寸法と同等或いはそれよりもわずかに長く設定され、上記上部加圧ツールは基板に実装される最も長い電子部品の2つ分の長さ寸法と同等或いはそれよりもわずかに長く設定されていることを特徴とする請求項3記載の電子部品の実装装置。
【請求項5】
上記下部可動部材には垂直ガイド部材が設けられ、この垂直ガイド部材に上記下部加圧ツールが上下方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項6】
基板の側辺部に下部加圧ツールによって支持された電子部品を、上部加圧ツールによって最初に2つ実装してから、つぎに2つ或いは1つの電子部品を実装する実装方法であって、
上記上部加圧ツールの長手方向の一端が上記基板に実装される2つ目と3つ目の電子部品の間に位置するよう上記基板を上記上部加圧ツールに対して位置決めする工程と、
位置決めされた上記上部加圧ツールによって2つの電子部品を同時に上記基板に実装する工程と、
上記上部加圧ツールの長手方向の他端が上記基板に実装される2つ目と3つ目の電子部品の間に位置するよう上記基板を上記上部加圧ツールに対して位置決めする工程と、
位置決めされた上記上部加圧ツールによって2つ或いは1つの電子部品を上記基板に実装する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−71164(P2009−71164A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239649(P2007−239649)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】