電子部品の接合方法及び接合構造体
【課題】従来の金属ナノペースト材料を用いた接合方法及び接合部構造では、加熱によ り接合部に発生したボイドによりポーラス状の接合部構造となるため、接合強度低下及 び熱ストレス等による接合部破壊に伴う信頼性低下が生じやすい。
【解決手段】回路形成体の電極上に金属ナノペースト材料により形成した接合材料積層 体を配置し、電子部品或いは回路形成体の電極間に予め接合強度補強用の樹脂を配置し て、一括して加熱処理することで、接合材料積層体内部に発生したボイド部へ樹脂を浸 透させるとともに電子部品全面に対しても樹脂を溶融・硬化して構成することで接合強 度の向上を図ることができる。
【解決手段】回路形成体の電極上に金属ナノペースト材料により形成した接合材料積層 体を配置し、電子部品或いは回路形成体の電極間に予め接合強度補強用の樹脂を配置し て、一括して加熱処理することで、接合材料積層体内部に発生したボイド部へ樹脂を浸 透させるとともに電子部品全面に対しても樹脂を溶融・硬化して構成することで接合強 度の向上を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックやポリイミド等の回路形成体上の電極に電子部品が搭載された接合構造体及び接合構造体の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子部品をセラミックやポリイミド基材等の基板上に実装する方法として、従来のはんだ接合や突起電極を用いた直接接合方法に代わり、近年金属ナノ粒子を接合材料として、加熱・焼成して接合する方法が注目されている。
【0003】
この技術では平均粒径100nm以下の、例えばAu、Ag、Cu等の金属微粒子(以下金属ナノ粒子と記載)と、この金属ナノ粒子の周囲に粒子の凝集防止を目的とした、有機化合物で被覆した分散剤と、溶剤中に金属ナノ粒子を分散させたペースト材料(以下金属ナノペースト材料と記載)を、2つの部材の接合部に介在させて加熱・焼成して接合させる。
【0004】
この金属ナノ粒子は、材料の微小化により、バルク材料に比べて表面活性度が高く融点が低いため、低温での金属間の結合が可能である。さらに結合してサイズが大きくなると、バルク材料同等の高い融点を有する性質を有する。従って、今後、電子部品の実装時の熱ストレス低減及び実装後の耐熱温度向上(例えば、Au材料の融点は約1300℃)が要求される幅広い製品への適用が期待される。
【0005】
金属ナノ粒子及び金属ナノペースト材料を接合材料として用いた、従来の電子部品の実装方法を図8に示す。図8(a1)、図8(b1)、図8(c1)は基板の平面図、図8(a2)、図8(b2)、図8(c2)は、夫々、図8(a1)、図8(b1)、図8(c1)に対応する断面図である。全面の箇所の例は、図8(a1)に示すC−C面である。
【0006】
まず、電極が形成された基材を用意し(図8(a1)と図8(a2))、次に電子部品上の電極に対応した位置に金属ナノ粒子を含んだ金属ナノペースト材料を用いて接合材料積層体9を形成する(図8(b1)と図8(b2))、次に電子部品3を前記基材上の接合材料積層体9に対向させて電子部品3を搭載し、熱等のエネルギーを与えることにより、金属ナノ粒子の周囲を被覆した分散剤や金属ナノペースト材料とするための溶剤を分解及び揮発して、金属ナノ粒子を含んだ前記接合材料積層体9を結合・硬化させて電子部品3上の電極と基材上の電極とを接合させる(図8(c1)と図8(c2))。
【0007】
また、従来の電子部品3の接合構造体の接合部構造は、図8(c2)に示すように、電子部品上の電極、接合部材、基板上の電極の順に層状に接続・構成されている。
【0008】
この金属ナノ粒子及び金属ナノペースト材料を用いた接合方法に関する技術としては、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。
【特許文献1】特開2005−136399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の電子部品の実装方法では以下に示す、金属ナノペースト材料固有の課題がある。
【0010】
図9(a)〜図9(d)に金属ナノペースト材料の熱処理の変化の様子を示す。金属ナノペースト材料には、金属ナノ粒子6と、溶剤8と、分散剤7が存在する。
【0011】
図9(a)から図9(d)へ向かって熱処理が進行する。図9(a)の第1段階では、金属ナノ粒子6に分散剤7がしっかり付着している。図9(b)の第2段階では、一部の分散剤7が、金属ナノ粒子6から離散している。図9(c)の第3段階では、分散剤7が、金属粒子から完全に離散し、金属ナノ粒子6同士が接触し、かつ、溶融している。図9(d)の第4段階では、金属結合が完成する。
【0012】
ここで、金属ナノペースト材料5を加熱・焼成して金属粒子を結合する際に、金属ナノペースト材料5に含まれる分散剤7や溶剤8の分解及び揮発により、その集合体(接合材料)の内部及びその外周表面上にボイド(空隙)10を発生し(図9(d)、図8(C2))、最終的に接合部に内在することとなり、接合強度低下及び信頼性低下に繋がる。図10に、実際の実装構造体の断面を示す。ボイド10が連続し、接続不良となる。
【0013】
さらに、これまでのバルク金属(突起電極)を用いた金属接合においては、電子部品を実装後に後入れで封止樹脂により補強する方法が採用される。しかしながら、金属ナノペースト材料5を用いた接合方法においては、金属ナノ粒子6自体が微粒子の為にそれらを積層した接合材料自体の厚みが従来と比較して低く、つまり回路形成体1と電子部品3間のギャップが狭くなるので、後入れの樹脂で電子部品3の内外に対して均一に封止することが困難となる課題を有する。
【0014】
また、図11に、従来のナノペーストを用いたときの電子部品3と回路形成体1との接続時の断面構造を示す。ナノペースト材料は、ポーラスなため、粘度が低く、電子部品の搭載時に接合材料である金属ナノペースト材料が押し広げられ、電極間で短絡を生じやすくなるという課題を有する。
【0015】
また、従来の電子部品の接合構造体においては、電子部品上の電極、接合部材、回路形成体上の電極の順に層状に接続されており、特に電子部品3と回路形成体1との熱膨張係数が異なる場合には、製品環境の熱ストレスにより、接合部が破壊され、断線が生じやすいという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は以下のように構成される。
【0017】
本発明における請求項1に記載の発明として、複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品を接続する接合材料と、
を備えた接合構造体において、
前記回路形成体と前記電子部品とを接続する電極間に配置された接合材料中に、接合強度補強用の樹脂を有していることを特徴とする接合構造体を用いる。
【0018】
本発明における請求項2に記載の発明として、請求項1の発明において、前記接合強度補強用の樹脂は、接合部である電極の隙間部、及び前記接合材料内部の空隙部に混在している接合構造体を用いる。
【0019】
本発明における請求項3に記載の発明として、請求項1または2の発明において、前記接合強度補強用の樹脂は、非導電性の性質を有する樹脂で構成される接合構造体を用いる。
【0020】
本発明における請求項4に記載の発明として、請求項1ないし3の発明において、前記接合強度補強用の樹脂は、熱硬化性或いは熱可塑性の性質を有する樹脂で構成される接合構造体を用いる。
【0021】
本発明における請求項5に記載の発明として、請求項1ないし4の発明において、
前記接合強度補強用の樹脂の厚さは、前記回路形成体の複数の電極と、前記接合材料とを
合算した厚さよりも薄い構造を有している接合構造体をもちいる。
【0022】
本発明における請求項6に記載の発明として、請求項1ないし5の発明において、
前記接合材料は、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を有機化合物から成る分散剤で被覆して、溶媒中に分散させてなる金属ナノペースト材料を用いて積層させた構造を有する接合構造体を用いる。
【0023】
本発明における請求項7に記載の発明として、請求項1の発明において、前記接合材料において、前記金属ナノペースト材料を積層した厚みは、10μm以下で構成された接合構造体を用いる。
【0024】
本発明における請求項8に記載の発明として
複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品とを接続する接合材料と、
を備えた電子部品の接合構造体の接合方法において、
複数の電極を有する前記回路形成体を準備し、
前記回路形成体の複数の電極上に、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を含有した金属ナノペースト材料を用いて接合材料としての積層体を形成し、
前記回路形成体の電極同士の間、或いは前記回路形成体の複数の電極に対抗する、電子部品上の電極同士の間に、前記接合補強用の樹脂を前記接合材料の高さよりも低く形成し、
前記積層体が流れ出ないように、前記回路形成体に前記電子部品を向かい合わせ、
加熱、加圧或いはそれらの組み合わせにより前記積層体を硬化する際に、金属ナノペースト材料中に含まれる分散剤が揮発した際に発生する前記積層体の空隙部に、前記接合補強用樹脂を溶融・硬化させて、混在させながら電子部品の実装を一括して行うことを特徴とする接合構造体の接合方法をもちいる。
【0025】
本発明における請求項9に記載の発明として複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品とを接続する接合材料と、を備えた電子部品の接合構造体の接合方法において、複数の電極を有する前記回路形成体を準備し、前記回路形成体の複数の電極上に、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を含有した金属ナノペースト材料を用いて接合材料としての積層体を形成し、前記回路形成体の電極同士の間、或いは前記回路形成体の複数の電極に対抗する、電子部品上の電極同士の間に、前記接合補強用の樹脂を前記接合材料の高さよりも低く形成し、前記積層体が流れ出ないように、前記回路形成体に前記電子部品を向かい合わせ、加熱、加圧或いはそれらの組み合わせにより前記積層体を硬化すると共に、前記接合補強用樹脂を溶融・硬化させて、接合部の隙間部に配置させながら電子部品の実装を一括して行うことを特徴とする接合構造体の接合方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる接合構造体およびその接合方法によれば、金属ナノペースト材料を用いた接合方法において、接合時に発生するボイド(空隙)による接合構造体の接合強度低下の抑制および製品環境の熱ストレスを緩和し、高い信頼性で電子部品を接合するとともに、電子部品を接合する際の接合材料の押し広がりによる金属ナノ粒子による電極間の短絡を防ぐことができる接合構造体及びその接合方法を提供することができる。また、同時に低背化する接合構造体における安定した補強構造を構成することができる。これら効果により接合構造体の信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1(a)と図1(b)を用いて本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の構成を説明する。図1(a)は、断面図を示し、図1(b)は、そのBB´面での断面図である。
【0030】
第1実施形態にかかる接合構造体18は、以下のように構成されている。基材となる回路形成体1と、回路形成体1上に形成された複数の電極2と、回路形成体上に形成された複数の電極2にそれぞれ対向して配置された複数の電極を有する電子部品3と、回路形成体1上の電極2及び電子部品上の電極4の両者を接合する。有機化合物で構成された分散剤でコーティングした金属ナノ粒子及び接合材料をペースト或いはインク状にするための溶剤とを含有した金属ナノペースト材料を積層して構成された接合材料積層体9と、接合材料積層体9により構成される接合部内部及び接合部以外のスペースに充填された接合強度補強用の樹脂11とを備えている。
【0031】
回路形成体1はセラミックやポリイミド基板で構成され、回路形成体1上に配置される複数の電極は、例えば厚さ2〜3μm程度の電極(例えば、Ni/Au=1μm/1μmの電極構成)で構成されている。
【0032】
電子部品3上に配置される複数の電極は、例えば厚さ2〜3μm程度の電極(例えば、Ni/Au=1μm/1μmの電極構成)で構成されている。
【0033】
接合材料積層体9は、例えば、100nm以下の金属ナノ粒子6を含有した金属ナノペースト材料を積層して構成され、その厚みは、例えば5μm以下の厚みで構成され、この接合材料積層体9を介して電気的な接続を行うものである。
【0034】
金属ナノペースト材料に関して、金属ナノ粒子の材料としては、銀、銅、金、ニッケル、亜鉛、ビスマスからなる群から選択される、少なくとも1種類以上の金属材料で形成され、平均粒子径が1〜100nmの範囲で選択される金属ナノ粒子で構成される。さらに、この金属ナノ粒子の金属表面には、材料供給時に粒子同士の凝集を防止する為に、たとえばアミン化合物などの有機化合物による表面被覆層(分散剤)を設けている超微粒子として形成される。
【0035】
さらに、この金属ナノ粒子をインクジェット装置などで供給するために、また、加熱した際にこのアミン化合物などの被覆分子の溶出、離脱が可能な、高沸点の一種以上の有機溶剤を含んでなる分散溶媒中に均一に分散させることでアミン化合物一種類以上が、その総和として0.1から60質量部の範囲で含有される。
【0036】
さらに、溶剤によりペースト状にする際のこの表面被覆(分散剤)を有する金属ナノ粒子の含有量としては5wt%程度とした。この含有量については何に分散するのかによってその重量比は異なる。
【0037】
接合強度補強用の樹脂11は、非導電性の性質を有し、電子部品3と回路形成体1との間に配置されており、さらに、接合材料積層体9の内部に存在するボイド(空隙)10内に存在するように構成されている。
【0038】
非導電性の性質を有する樹脂11は、例えば、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂で構成され、接着性、絶縁性、熱伝導性、低線膨張性、低弾性、耐マイグレーション性、耐熱性などの面で機能的に優れた樹脂であることが望ましい。
【0039】
さらに具体的には、例えば、エポキシ系の熱硬化性樹脂を一例としてあげると、液状エポキシ樹脂を主成分とし、樹脂を硬化させる硬化剤、イオンマイグレーション等の発生を抑制するイオン交換体、カップリング剤、などからなる。また、場合によっては、シリカやアルミナ材料からなる無機フィラーを添加して、材料の粘度を調整したり、熱伝導性を向上させる手段をとることもできる。
【0040】
本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18によれば、図1(a)に示すように回路形成体1と電子部品3を接続する電極間に配置された接合材料積層体9との間に、接合強度補強用の樹脂11を有している。
【0041】
ここで、この接合強度補強用の樹脂11の第1の構成としては、図2に示すように回路形成体1上の電極2と電子部品3上の電極4間で、接合材料積層体9間に位置する。
【0042】
したがって本発明の構造によれば、実装した電子部品3と回路形成体1の密着強度を補強して接合強度を向上することができるとともに、製品環境による熱ストレスが接合部に生じても、挿入した樹脂11によりストレスを緩和し、接合部の破壊による断線を防ぐことができる。
【0043】
また、樹脂11が接合材料積層体9間に存在することから、電子部品3を回路形成体1上に搭載する際に金属ナノ粒子6を含有する金属ナノペースト材料5が押し広がり、隣接する電極同士の短絡を防ぐことができる。このようにして電極間の接合信頼性を向上することができる。
【0044】
さらに、接合領域に樹脂層が形成された構造の場合には、何も存在しない空気層よりも樹脂の熱伝導率が大きいために放熱性を高めることができる効果もある。さらに図示はしないが、更に樹脂内部に、例えばシリカやアルミナのような熱伝導性の高い絶縁性の微粒子を存在させることにより放熱性をより一層高めることができる。
【0045】
次に、上記接合強度補強用の樹脂11の第二の構成について説明する。図3に示すように回路形成体上の電極2と電子部品3上の電極4との間に、金属ナノ粒子6の積層体により構成された接合材料積層体9内部に存在するボイド(空隙)部10にも、接合強度補強用の樹脂11が位置する構成である。
【0046】
本発明の構造によれば、回路形成体1上に電子部品3を搭載し、加熱・焼成及び加圧した際に、金属ナノペースト材料5に含まれる金属ナノ粒子6に被覆した分散剤7及び溶剤8が分解・揮発することによって生じる接合部内部のボイド(空隙)10に接合強度補強用の樹脂11を浸透させることで、接合部の接合強度をより強固なものとし、且つ製品環境による熱ストレスが接合材料積層体9に生じても、挿入した樹脂11によりストレスを緩和し、接合部の破壊による断線を防ぐことができる。
【0047】
例えば、Auバルク状態の接合強度に対して、ボイド10が30から50%存在する場合には、約1/3から1/2の接合強度となるが、本発明に記載した構造では、ボイド(空隙)10によるポーラス状の接合材料積層体9に接合強度補強用の樹脂11を浸透させることで接合強度を約10から30%向上することができる。また、接合材料積層体9以外の電子部品3と回路形成体1の間にも接合強度補強用の樹脂11が充填されることになるので(本発明第1の構成)、さらに接合構造体18の接合強度向上を図ることができる。
【0048】
また、一般的に電子部品3から発生した熱は接合部及びその周辺から熱を逃がすことになるが、より影響度の高い、電子部品上の電極4及び接合部を介して回路形成体1の電極側へ逃がす直接的な熱パスの経路となる接合部に、従来例図10のように、ボイド(空隙)10が存在する場合には、熱抵抗が高くなるために効率的な放熱構造とはなっていない。本発明の構造によれば、接合部のボイド(空隙)10部に樹脂層が浸透して混在した構造の場合には、放熱性を高めることができる効果もある。さらに図示はしないが、更に樹脂内部に電気伝導性に影響の無い範囲で、例えばシリカやアルミナのような熱伝導性の高い絶縁性の微粒子を存在させることにより放熱性をより一層高めることができる。
【0049】
上記では、各部材の材質や寸法、或いは接合プロセスについて例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々な態様で変形が可能である。
【0050】
次に、図4及び図5を用いて、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の電極接合方法について説明する。図4(a)から図4(f)は、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の電極接合方法の手順を示す断面図である。図5は、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の電極接合方法のフローチャートである。
【0051】
まず、セラミック基板或いはポリイミド基板等の回路形成体1を準備し(図4(a)、図5のS1工程)、次に回路形成体1上の電極2上に、平均粒径100nm以下の金属ナノ粒子6(一例として金属の組成をAuとする)を含有した金属ナノペースト材料5を充填・積層する(図5のS2−1工程)。引き続き金属ナノペースト材料5を乾燥させて溶剤8の大半を揮発する(図4(b)、図5のS2−2工程)。ここで、金属ナノペースト材料5とは、平均粒径が100nm程度のAuから成る金属ナノ粒子6からなり、その粒子の外周を分散剤7(有機保護膜)によってコーティングした状態で溶剤8に分散されたペースト状の材料である。これを加熱することで、ある温度になると分散剤7(有機保護膜)や溶剤8が分解・揮発して、Auの金属ナノ粒子6の表面が現れ、互いに焼結する原理を利用して接合材として機能させたものである。
【0052】
また、金属ナノペースト材料5の充填及び積層方法については、例えばインクジェット装置12を用いれば、回路形成体上の電極2上に位置補正をした状態で、非接触でペーストを微量供給することが可能であり、この工程を何度か繰り返すことで、本発明にかかる接合材料積層体9を形成することができる。その厚みは例えば3〜5μmである。ここでは、インクジェット方法による積層方法の一例を述べたが、ペーストの粘度を調整することで、他の種々の方法が活用できることから、本発明はこれに限定されるものではなく、種々な態様で変形が可能である。
【0053】
一方、接合強度補強用の樹脂11供給工程については、以下の通りである。
【0054】
まず、電子部品3を準備し(図4(c)、図5のS3工程)、次に電子部品3上の隣り合う電極4同士の間に、先入れ可能な熱硬化性或いは熱可塑性の性質を有する樹脂11を供給する(図4(d)、図5のS4工程)。その供給方法はナノペーストと同様に、インクジェット装置12であることが好ましい。
【0055】
また、その供給する樹脂11の高さであるが、回路形成体1上の電極2と、接合材料積層体9とを合算した厚さよりも低いことが好ましい。厚みが低過ぎると、内部まで十分に樹脂が行き渡らず、強度が不足してしまう可能性があり、逆に厚過ぎると電子部品3を搭載する際に、電極間が接触せずに接続不良の原因となったり、部品搭載時に位置ずれを生じる可能性があるためである。
【0056】
さらに樹脂11の種類については、ここでは一例として熱可塑性樹脂を適用した例を取って説明している。熱可塑性樹脂の場合は、図4(d)で一度、熱を加えて樹脂11を溶融して常温状態で硬化する性質を有するので、形状作成を制御し易く、電子部品3搭載が簡便となる。熱硬化性樹脂を用いた場合には、形状作成の制御という意味では熱可塑性樹脂と比較すると劣るが、一度熱を加える必要が無いため工程が簡便となる。つまり接合方法のプロセスとしては変わるが、最終的な接合構造体18としては変わらないので、ここでは一例として熱可塑性樹脂を用いた例で以下説明することとする。
【0057】
次に図4(a)〜(d)で準備した回路形成体1及び電子部品3の部材を、電子部品3を反転させて、各々の電極同士が対向するように位置合わせを行い、回路形成体1に電子部品3を搭載する(図4(e)、図5のS5工程)。
【0058】
次に熱や電磁波等のエネルギーにより、接合部材積層体を焼成・硬化して回路形成体上の電極2と電子部品3上の対向する電極同士を接合することが可能となる(図4(f)、図5のS6工程)。
【0059】
本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の接合方法によれば、回路形成体1と電子部品3を接続する電極間に配置された接合材料積層体9との間に、接合強度補強用の樹脂11を介在させて、Auナノペーストにコーティングされた分散剤7が分解・揮発するのとほぼ同じタイミングで樹脂が溶融するように一括して加熱・焼成を制御することで、図4(f)及び図2に示すように回路形成体上の電極2と電子部品上の電極4間に、金属ナノ粒子6の積層体により構成された接合材料を介した電子部品3内側に形成された接合部以外の空間層となる隙間部に配置された状態を形成して、実装した電子部品3と回路形成体1の密着強度を補強して接合強度を向上することができるとともに、製品環境による熱ストレスが接合部に生じても、挿入した樹脂によりストレスを緩和し、接合部の破壊による断線を防ぐことができる。
【0060】
また、樹脂が接合部間に存在することから、電子部品3を回路形成体1上に搭載する際や、或いは加熱・焼成の際に金属ナノペースト材料5が押し広がることによる、隣接する電極同士の短絡を防ぐことができる。このようにして電極間の接合信頼性を向上することができる。
【0061】
さらに、接合領域に樹脂層が形成された構造の場合には、何も存在しない空気層よりも樹脂の熱伝導率が大きいために放熱性を高めることができる効果もある。さらに図示はしないが、更に樹脂内部に、例えばシリカやアルミナのような熱伝導性の高い絶縁性の微粒子を存在させることにより放熱性をより一層高めることができる。
【0062】
また、接合強度補強用の樹脂11の第二の構成として、図3に示すように回路形成体上の電極2と電子部品上の電極4との間に、金属ナノ粒子6の積層体により構成された接合材料積層体9を介した電子部品3内側に形成された接合部内部の空隙部10に混在して形成するように加熱・焼成を制御することで、回路形成体1上に電子部品3を搭載し、加熱・焼成及び加圧した際に、金属ナノペースト材料5に含まれる金属ナノ粒子6に被覆した分散剤7及び溶剤8が分解・揮発することによって生じる接合部内部の空隙部10に接合強度補強用の樹脂11を浸透させることで、接合部の接合強度をより強固なものとし、且つ製品環境による熱ストレスが接合部に生じても、挿入した樹脂によりストレスを緩和し、接合部の破壊による断線を防ぐことができる。
【0063】
また、一般的に電子部品3から発生した熱は接合部及びその周辺から熱を逃がすことになるが、より影響度の高い、電子部品上の電極4及び接合部を介して回路形成体1の電極側へ逃がす直接的な熱パスの経路となる接合部に空隙部10が存在する場合には、熱抵抗が高くなるために効率的な放熱構造とはなっていない。本発明の接合方法による電極接合構造によれば、接合部の空隙部10に樹脂層が浸透して混在した構造の場合には、放熱性を高めることができる効果もある。さらに図示はしないが、樹脂内部に電気伝導性に影響の無い範囲で、例えばシリカやアルミナのような熱伝導性の高い絶縁性の微粒子を存在させることにより放熱性をより一層高めることができる。
【0064】
具体的には、接合材料としてAu材料を用いた時のバルク状態の熱伝導率λは、293(W/(m・K))であるが、接合材料積層体9に空隙部10が存在する場合の熱伝導率λは低下する。空隙部10が空気層の場合、その熱伝導率λは、0.025(W/(m・K))であるが、空隙部10に樹脂11が入れば、その熱伝導率λは、0.2から0.3(W/(m・K))であり、1ケタ高い熱伝導率であり、接合材料積層体9全体の熱伝導率が改善される。このことで、電子部品3の熱を回路形成体1へ逃がすことがよりできる。
【0065】
また、空隙部10の存在で、接合材料積層体9の電気抵抗率が高く、電流を流すことで接合材料積層体9自体で熱も発生しやすくなるが、空隙部10の樹脂11の存在で、より熱を逃がすことができる。
【0066】
さらに、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の接合方法によれば、予め、電子部品3或いは回路形成体1の電極間に樹脂を先入れして溶融させることにより、金属ナノペースト材料5を用いた場合の特有の接合構造体18と成り得る、接合部ギャップが非常に狭い接合部への補強構造の製造が簡便に実現することができる。
【0067】
このような接合方法を適用することで、例えばLED素子15のように電子部品3の上面側が発光部であり、且つ低背化された接合構造体18の接合及び補強方法としてその効果は大きい。
【0068】
以上にように、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の接合方法によれば、金属ナノペースト材料5を用いた場合の接合方法の特有の課題である、加熱・焼成の際の空隙部10の発生による接合強度低下及びそれに伴う信頼性低下を解決できるとともに、金属ナノペースト材料5を用いることによる接合構造体18が低背化した際の補強構造が同時に実現することができるため、その効果は大きい。
【0069】
(第2実施形態)
次に、本発明の実施形態を適用した具体例について、LED素子の実装を一例に挙げて説明する。ここでは、図6(a)と図6(b)を参照しながら説明する。
【0070】
図6(a)はLED素子15を用いた接合構造体18の断面図、図6(b)は図6(a)に示すB−B´断面図を表わしている。
【0071】
まず、各構成要素の具体的構成について説明する。図6(a)と図6(b)において、LED素子15は発光層を含む発光結晶を積層して形成された発光素子部と、電気的な接続を行うP電極16とN電極17の2極の電極とで構成される。発光素子部の厚さは200μm以下の薄型化された素子である。電極構成については、LED素子15の発光素子部に近い側に1μm以下の下地層を形成した後、Au材質による厚さ2μmの電極(接合される箇所)が形成されている。
【0072】
一方、回路形成体については、基材をセラミック基板13とし、LED素子15が実装される側の電極については、1μm以下の下地層を形成した後、順にNi層1μm、Au電極層1μm(接合される箇所)が形成され、基板の総厚としては300μmである。
【0073】
尚、LED素子15の実装においては、上記で記載したように2つの電極しか存在しない為、狭ピッチ接合の必要はなく、比較的広い面積で接合材料を配置することができる。したがって、金属ナノペースト材料5により接合材料積層体9を形成する際には幾何学的に規則的にドッド形状にして配置することが好ましい。そうすることで、発光部から発生する熱を効率的に基板側へ放熱することができる。
【0074】
次にその接合方法について図7(a)〜図7(f)を用いて説明する。図7(a)〜図7(f)に示すように(詳細については図4及び図5を用いた接合方法の説明を参照)、まず、セラミック基板上の電極14上に、平均粒径10nm程度のAuナノ粒子に分散剤7をコーティングして、且つ溶剤8を混ぜてペースト状にしたAuナノペーストをインクジェット装置12を用いて、上記したように幾何学的に規則的にドッド形状にして配置する。また、その厚みはAuナノペーストの供給を複数回繰り返すことによって5μmとした。さらに、Auナノペースト内の溶剤8を揮発させて形状の安定化を図る目的で、常温で約1時間放置して乾燥させた(図7(a)と図7(b))。
【0075】
次にLED素子15の電極上の、セラミック基板13側に配置したAuナノペーストを配置した位置を避ける位置に、接合強度補強用の熱硬化性樹脂を、インクジェット装置12を用いて供給・配置した。また、その厚みは、セラミック基板13の電極厚みとAuナノペースト積層体厚みとを合算した厚み以下とした(図7(c)〜(d))。
【0076】
次に、半導体素子実装が可能なマウンタ(実装機)にてLED素子15の位置補正を実施して、セラミック基板13上の適切な位置且つセラミック基板13の電極上のAuナノペーストとLED素子15の電極上の熱硬化性樹脂が干渉しないようにLED素子15を搭載する(図7(e))。
【0077】
次に、張り合わされたセラミック基板13及びLED素子15を、真空硬化炉などの熱供給装置を用いて徐々に加熱する(例えば、Auナノ粒子焼結温度を200℃とする)。
【0078】
ここで本発明にかかる、加熱過程について説明する。まず、Auナノ粒子にコーティングされた有機化合物で構成された分散剤7が分解・揮発するタイミングを、熱硬化性樹脂が軟化・溶融する温度(例えば130℃)と同程度となるように調整しておく。
【0079】
通常、加熱段階において、上記した、ある一定の温度に達するとAuナノ粒子の外周にコーティングした分散剤7が分解・揮発する。このように熱により温められると、接合部の体積が収縮すると同時に揮発した分だけ気体が発生する為に、Auナノ粒子により構成された接合材料積層体9内部に空隙、つまり空隙部10が発生することとなる。この空隙部10により接合部材内部はポーラス状態となり、結果的に接合後の接合強度が低下する原因となる。したがって、本発明で記載したように、分散剤7の分解・揮発が開始されるタイミングとほぼ同じタイミングで接合強度補強用の熱硬化性樹脂が軟化・溶融して、ポーラス上の接合材料積層体9内部に浸透することによって、接合強度の低下を防止することができる(図3)。
【0080】
また、同時にゼラミックス基板13とLED素子15の間で、接合材料積層体9以外の何も介在しない箇所(空気層)にも熱硬化性樹脂が介在することが可能なので、LED素子15全体の接合面に対して、接合強度の向上を図ることができる(図2)。
【0081】
さらに、温度上昇に伴い、熱硬化性樹脂の硬化が開始され(例えば180℃)、最終的にはAuナノ粒子焼結温度に達した際に接合が完了することとなる(図7(f))。
【0082】
また、この接合方法においては、従来の接合後に実施する後入れの接合強度補強用の樹脂11の注入及び硬化させる方法と比較すると、一括で接合部の焼成・結合と、補強用樹脂の硬化が実施できるので、工程数を減らすことができる。また、予め内部に補強用樹脂を配置しているので、後入れ方法のように一方向から樹脂を供給して浸透させる方法と比べて、塗りムラによる接合強度バラツキを抑制できる。また、特に低背化且つLED素子15のような部品上面の発光面に対して補強用樹脂の這い上がりを抑止しなければならない場合、従来の電子部品3サイドからの塗布供給方法と比較して有効な手段である。
【0083】
さらに、補強用の樹脂11を構成しない場合のLED素子15の接合構造体18と比較して、接合部内部の空気層より熱伝導率が数倍〜数十倍高い樹脂が内在するのでLED素子15から発する熱を効率的にセラミック基板13側へ放熱することができる。
【0084】
以上のような接合方法によって、金属ナノペースト材料5を用いた接合において、接合構造体18の接合信頼性向上すると同時に上記した種々の効果を得ることができる。
【0085】
上記実施形態においては、Auナノペーストにて形成された夫々の電極を加熱工程により、接合が行なわれるような場合について説明したが、接合方法はこのような場合にのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、加熱工程と同時に加圧工程を付与して夫々の電極を押圧して、その形状を変形させて、Auナノペーストと電極を当接させることで、接合を行なうような場合であっても良いし、超音波振動の付与をする超音波接合を適用した接合方法であっても良い。
【0086】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明にかかる接合構造体およびその接合方法によれば、接合部の狭ピッチ化及び薄型化・低背化に伴う接合構造体の接合信頼性向上が必要なLED素子の実装やシステムLSIの実装等の幅広い半導体製品に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】(a)本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体の断面図、(b)は(a)におけるB−B´平面図
【図2】本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体における接合部周辺の構成を示した断面図
【図3】本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体における接合部内部の構成を示した断面図
【図4】本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体における接合方法の手順を示す断面図
【図5】本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体における接合方法のフローチャート
【図6】(a)本発明における、セラミック基板とLED素子の接合構造体の断面図(b)は(a)におけるB−B´平面図
【図7】(a)〜(f)は、本発明における、セラミック基板とLED素子の接合構造体における接合方法の手順を示す断面図
【図8】(a1)から(c1)従来の回路形成体と電子部品の接合構造体の接合方法を示す平面図、(a2)〜(c2)は、(a1)〜(c1)のそれぞれの断面図
【図9】(a)〜(d)は、金属ナノペースト材料結合及びボイド発生のメカニズムを示す図
【図10】従来の回路形成体と電子部品の接合構造体において、接合部内部に存在するボイド例を示す断面図
【図11】従来の回路形成体と電子部品の接合構造体において、接合部間の短絡例を示す断面図
【符号の説明】
【0089】
1 回路形成体
2 電極
3 電子部品
4 電極
5 金属ナノペースト材料
6 金属ナノ粒子
7 分散剤
8 溶剤
9 接合材料積層体
10 ボイド(空隙)
11 樹脂
12 インクジェット装置
13 セラミック基板
14 電極
15 LED素子
16 P電極
17 N電極
18 接合構造体
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックやポリイミド等の回路形成体上の電極に電子部品が搭載された接合構造体及び接合構造体の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子部品をセラミックやポリイミド基材等の基板上に実装する方法として、従来のはんだ接合や突起電極を用いた直接接合方法に代わり、近年金属ナノ粒子を接合材料として、加熱・焼成して接合する方法が注目されている。
【0003】
この技術では平均粒径100nm以下の、例えばAu、Ag、Cu等の金属微粒子(以下金属ナノ粒子と記載)と、この金属ナノ粒子の周囲に粒子の凝集防止を目的とした、有機化合物で被覆した分散剤と、溶剤中に金属ナノ粒子を分散させたペースト材料(以下金属ナノペースト材料と記載)を、2つの部材の接合部に介在させて加熱・焼成して接合させる。
【0004】
この金属ナノ粒子は、材料の微小化により、バルク材料に比べて表面活性度が高く融点が低いため、低温での金属間の結合が可能である。さらに結合してサイズが大きくなると、バルク材料同等の高い融点を有する性質を有する。従って、今後、電子部品の実装時の熱ストレス低減及び実装後の耐熱温度向上(例えば、Au材料の融点は約1300℃)が要求される幅広い製品への適用が期待される。
【0005】
金属ナノ粒子及び金属ナノペースト材料を接合材料として用いた、従来の電子部品の実装方法を図8に示す。図8(a1)、図8(b1)、図8(c1)は基板の平面図、図8(a2)、図8(b2)、図8(c2)は、夫々、図8(a1)、図8(b1)、図8(c1)に対応する断面図である。全面の箇所の例は、図8(a1)に示すC−C面である。
【0006】
まず、電極が形成された基材を用意し(図8(a1)と図8(a2))、次に電子部品上の電極に対応した位置に金属ナノ粒子を含んだ金属ナノペースト材料を用いて接合材料積層体9を形成する(図8(b1)と図8(b2))、次に電子部品3を前記基材上の接合材料積層体9に対向させて電子部品3を搭載し、熱等のエネルギーを与えることにより、金属ナノ粒子の周囲を被覆した分散剤や金属ナノペースト材料とするための溶剤を分解及び揮発して、金属ナノ粒子を含んだ前記接合材料積層体9を結合・硬化させて電子部品3上の電極と基材上の電極とを接合させる(図8(c1)と図8(c2))。
【0007】
また、従来の電子部品3の接合構造体の接合部構造は、図8(c2)に示すように、電子部品上の電極、接合部材、基板上の電極の順に層状に接続・構成されている。
【0008】
この金属ナノ粒子及び金属ナノペースト材料を用いた接合方法に関する技術としては、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。
【特許文献1】特開2005−136399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の電子部品の実装方法では以下に示す、金属ナノペースト材料固有の課題がある。
【0010】
図9(a)〜図9(d)に金属ナノペースト材料の熱処理の変化の様子を示す。金属ナノペースト材料には、金属ナノ粒子6と、溶剤8と、分散剤7が存在する。
【0011】
図9(a)から図9(d)へ向かって熱処理が進行する。図9(a)の第1段階では、金属ナノ粒子6に分散剤7がしっかり付着している。図9(b)の第2段階では、一部の分散剤7が、金属ナノ粒子6から離散している。図9(c)の第3段階では、分散剤7が、金属粒子から完全に離散し、金属ナノ粒子6同士が接触し、かつ、溶融している。図9(d)の第4段階では、金属結合が完成する。
【0012】
ここで、金属ナノペースト材料5を加熱・焼成して金属粒子を結合する際に、金属ナノペースト材料5に含まれる分散剤7や溶剤8の分解及び揮発により、その集合体(接合材料)の内部及びその外周表面上にボイド(空隙)10を発生し(図9(d)、図8(C2))、最終的に接合部に内在することとなり、接合強度低下及び信頼性低下に繋がる。図10に、実際の実装構造体の断面を示す。ボイド10が連続し、接続不良となる。
【0013】
さらに、これまでのバルク金属(突起電極)を用いた金属接合においては、電子部品を実装後に後入れで封止樹脂により補強する方法が採用される。しかしながら、金属ナノペースト材料5を用いた接合方法においては、金属ナノ粒子6自体が微粒子の為にそれらを積層した接合材料自体の厚みが従来と比較して低く、つまり回路形成体1と電子部品3間のギャップが狭くなるので、後入れの樹脂で電子部品3の内外に対して均一に封止することが困難となる課題を有する。
【0014】
また、図11に、従来のナノペーストを用いたときの電子部品3と回路形成体1との接続時の断面構造を示す。ナノペースト材料は、ポーラスなため、粘度が低く、電子部品の搭載時に接合材料である金属ナノペースト材料が押し広げられ、電極間で短絡を生じやすくなるという課題を有する。
【0015】
また、従来の電子部品の接合構造体においては、電子部品上の電極、接合部材、回路形成体上の電極の順に層状に接続されており、特に電子部品3と回路形成体1との熱膨張係数が異なる場合には、製品環境の熱ストレスにより、接合部が破壊され、断線が生じやすいという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は以下のように構成される。
【0017】
本発明における請求項1に記載の発明として、複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品を接続する接合材料と、
を備えた接合構造体において、
前記回路形成体と前記電子部品とを接続する電極間に配置された接合材料中に、接合強度補強用の樹脂を有していることを特徴とする接合構造体を用いる。
【0018】
本発明における請求項2に記載の発明として、請求項1の発明において、前記接合強度補強用の樹脂は、接合部である電極の隙間部、及び前記接合材料内部の空隙部に混在している接合構造体を用いる。
【0019】
本発明における請求項3に記載の発明として、請求項1または2の発明において、前記接合強度補強用の樹脂は、非導電性の性質を有する樹脂で構成される接合構造体を用いる。
【0020】
本発明における請求項4に記載の発明として、請求項1ないし3の発明において、前記接合強度補強用の樹脂は、熱硬化性或いは熱可塑性の性質を有する樹脂で構成される接合構造体を用いる。
【0021】
本発明における請求項5に記載の発明として、請求項1ないし4の発明において、
前記接合強度補強用の樹脂の厚さは、前記回路形成体の複数の電極と、前記接合材料とを
合算した厚さよりも薄い構造を有している接合構造体をもちいる。
【0022】
本発明における請求項6に記載の発明として、請求項1ないし5の発明において、
前記接合材料は、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を有機化合物から成る分散剤で被覆して、溶媒中に分散させてなる金属ナノペースト材料を用いて積層させた構造を有する接合構造体を用いる。
【0023】
本発明における請求項7に記載の発明として、請求項1の発明において、前記接合材料において、前記金属ナノペースト材料を積層した厚みは、10μm以下で構成された接合構造体を用いる。
【0024】
本発明における請求項8に記載の発明として
複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品とを接続する接合材料と、
を備えた電子部品の接合構造体の接合方法において、
複数の電極を有する前記回路形成体を準備し、
前記回路形成体の複数の電極上に、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を含有した金属ナノペースト材料を用いて接合材料としての積層体を形成し、
前記回路形成体の電極同士の間、或いは前記回路形成体の複数の電極に対抗する、電子部品上の電極同士の間に、前記接合補強用の樹脂を前記接合材料の高さよりも低く形成し、
前記積層体が流れ出ないように、前記回路形成体に前記電子部品を向かい合わせ、
加熱、加圧或いはそれらの組み合わせにより前記積層体を硬化する際に、金属ナノペースト材料中に含まれる分散剤が揮発した際に発生する前記積層体の空隙部に、前記接合補強用樹脂を溶融・硬化させて、混在させながら電子部品の実装を一括して行うことを特徴とする接合構造体の接合方法をもちいる。
【0025】
本発明における請求項9に記載の発明として複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品とを接続する接合材料と、を備えた電子部品の接合構造体の接合方法において、複数の電極を有する前記回路形成体を準備し、前記回路形成体の複数の電極上に、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を含有した金属ナノペースト材料を用いて接合材料としての積層体を形成し、前記回路形成体の電極同士の間、或いは前記回路形成体の複数の電極に対抗する、電子部品上の電極同士の間に、前記接合補強用の樹脂を前記接合材料の高さよりも低く形成し、前記積層体が流れ出ないように、前記回路形成体に前記電子部品を向かい合わせ、加熱、加圧或いはそれらの組み合わせにより前記積層体を硬化すると共に、前記接合補強用樹脂を溶融・硬化させて、接合部の隙間部に配置させながら電子部品の実装を一括して行うことを特徴とする接合構造体の接合方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる接合構造体およびその接合方法によれば、金属ナノペースト材料を用いた接合方法において、接合時に発生するボイド(空隙)による接合構造体の接合強度低下の抑制および製品環境の熱ストレスを緩和し、高い信頼性で電子部品を接合するとともに、電子部品を接合する際の接合材料の押し広がりによる金属ナノ粒子による電極間の短絡を防ぐことができる接合構造体及びその接合方法を提供することができる。また、同時に低背化する接合構造体における安定した補強構造を構成することができる。これら効果により接合構造体の信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1(a)と図1(b)を用いて本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の構成を説明する。図1(a)は、断面図を示し、図1(b)は、そのBB´面での断面図である。
【0030】
第1実施形態にかかる接合構造体18は、以下のように構成されている。基材となる回路形成体1と、回路形成体1上に形成された複数の電極2と、回路形成体上に形成された複数の電極2にそれぞれ対向して配置された複数の電極を有する電子部品3と、回路形成体1上の電極2及び電子部品上の電極4の両者を接合する。有機化合物で構成された分散剤でコーティングした金属ナノ粒子及び接合材料をペースト或いはインク状にするための溶剤とを含有した金属ナノペースト材料を積層して構成された接合材料積層体9と、接合材料積層体9により構成される接合部内部及び接合部以外のスペースに充填された接合強度補強用の樹脂11とを備えている。
【0031】
回路形成体1はセラミックやポリイミド基板で構成され、回路形成体1上に配置される複数の電極は、例えば厚さ2〜3μm程度の電極(例えば、Ni/Au=1μm/1μmの電極構成)で構成されている。
【0032】
電子部品3上に配置される複数の電極は、例えば厚さ2〜3μm程度の電極(例えば、Ni/Au=1μm/1μmの電極構成)で構成されている。
【0033】
接合材料積層体9は、例えば、100nm以下の金属ナノ粒子6を含有した金属ナノペースト材料を積層して構成され、その厚みは、例えば5μm以下の厚みで構成され、この接合材料積層体9を介して電気的な接続を行うものである。
【0034】
金属ナノペースト材料に関して、金属ナノ粒子の材料としては、銀、銅、金、ニッケル、亜鉛、ビスマスからなる群から選択される、少なくとも1種類以上の金属材料で形成され、平均粒子径が1〜100nmの範囲で選択される金属ナノ粒子で構成される。さらに、この金属ナノ粒子の金属表面には、材料供給時に粒子同士の凝集を防止する為に、たとえばアミン化合物などの有機化合物による表面被覆層(分散剤)を設けている超微粒子として形成される。
【0035】
さらに、この金属ナノ粒子をインクジェット装置などで供給するために、また、加熱した際にこのアミン化合物などの被覆分子の溶出、離脱が可能な、高沸点の一種以上の有機溶剤を含んでなる分散溶媒中に均一に分散させることでアミン化合物一種類以上が、その総和として0.1から60質量部の範囲で含有される。
【0036】
さらに、溶剤によりペースト状にする際のこの表面被覆(分散剤)を有する金属ナノ粒子の含有量としては5wt%程度とした。この含有量については何に分散するのかによってその重量比は異なる。
【0037】
接合強度補強用の樹脂11は、非導電性の性質を有し、電子部品3と回路形成体1との間に配置されており、さらに、接合材料積層体9の内部に存在するボイド(空隙)10内に存在するように構成されている。
【0038】
非導電性の性質を有する樹脂11は、例えば、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂で構成され、接着性、絶縁性、熱伝導性、低線膨張性、低弾性、耐マイグレーション性、耐熱性などの面で機能的に優れた樹脂であることが望ましい。
【0039】
さらに具体的には、例えば、エポキシ系の熱硬化性樹脂を一例としてあげると、液状エポキシ樹脂を主成分とし、樹脂を硬化させる硬化剤、イオンマイグレーション等の発生を抑制するイオン交換体、カップリング剤、などからなる。また、場合によっては、シリカやアルミナ材料からなる無機フィラーを添加して、材料の粘度を調整したり、熱伝導性を向上させる手段をとることもできる。
【0040】
本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18によれば、図1(a)に示すように回路形成体1と電子部品3を接続する電極間に配置された接合材料積層体9との間に、接合強度補強用の樹脂11を有している。
【0041】
ここで、この接合強度補強用の樹脂11の第1の構成としては、図2に示すように回路形成体1上の電極2と電子部品3上の電極4間で、接合材料積層体9間に位置する。
【0042】
したがって本発明の構造によれば、実装した電子部品3と回路形成体1の密着強度を補強して接合強度を向上することができるとともに、製品環境による熱ストレスが接合部に生じても、挿入した樹脂11によりストレスを緩和し、接合部の破壊による断線を防ぐことができる。
【0043】
また、樹脂11が接合材料積層体9間に存在することから、電子部品3を回路形成体1上に搭載する際に金属ナノ粒子6を含有する金属ナノペースト材料5が押し広がり、隣接する電極同士の短絡を防ぐことができる。このようにして電極間の接合信頼性を向上することができる。
【0044】
さらに、接合領域に樹脂層が形成された構造の場合には、何も存在しない空気層よりも樹脂の熱伝導率が大きいために放熱性を高めることができる効果もある。さらに図示はしないが、更に樹脂内部に、例えばシリカやアルミナのような熱伝導性の高い絶縁性の微粒子を存在させることにより放熱性をより一層高めることができる。
【0045】
次に、上記接合強度補強用の樹脂11の第二の構成について説明する。図3に示すように回路形成体上の電極2と電子部品3上の電極4との間に、金属ナノ粒子6の積層体により構成された接合材料積層体9内部に存在するボイド(空隙)部10にも、接合強度補強用の樹脂11が位置する構成である。
【0046】
本発明の構造によれば、回路形成体1上に電子部品3を搭載し、加熱・焼成及び加圧した際に、金属ナノペースト材料5に含まれる金属ナノ粒子6に被覆した分散剤7及び溶剤8が分解・揮発することによって生じる接合部内部のボイド(空隙)10に接合強度補強用の樹脂11を浸透させることで、接合部の接合強度をより強固なものとし、且つ製品環境による熱ストレスが接合材料積層体9に生じても、挿入した樹脂11によりストレスを緩和し、接合部の破壊による断線を防ぐことができる。
【0047】
例えば、Auバルク状態の接合強度に対して、ボイド10が30から50%存在する場合には、約1/3から1/2の接合強度となるが、本発明に記載した構造では、ボイド(空隙)10によるポーラス状の接合材料積層体9に接合強度補強用の樹脂11を浸透させることで接合強度を約10から30%向上することができる。また、接合材料積層体9以外の電子部品3と回路形成体1の間にも接合強度補強用の樹脂11が充填されることになるので(本発明第1の構成)、さらに接合構造体18の接合強度向上を図ることができる。
【0048】
また、一般的に電子部品3から発生した熱は接合部及びその周辺から熱を逃がすことになるが、より影響度の高い、電子部品上の電極4及び接合部を介して回路形成体1の電極側へ逃がす直接的な熱パスの経路となる接合部に、従来例図10のように、ボイド(空隙)10が存在する場合には、熱抵抗が高くなるために効率的な放熱構造とはなっていない。本発明の構造によれば、接合部のボイド(空隙)10部に樹脂層が浸透して混在した構造の場合には、放熱性を高めることができる効果もある。さらに図示はしないが、更に樹脂内部に電気伝導性に影響の無い範囲で、例えばシリカやアルミナのような熱伝導性の高い絶縁性の微粒子を存在させることにより放熱性をより一層高めることができる。
【0049】
上記では、各部材の材質や寸法、或いは接合プロセスについて例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々な態様で変形が可能である。
【0050】
次に、図4及び図5を用いて、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の電極接合方法について説明する。図4(a)から図4(f)は、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の電極接合方法の手順を示す断面図である。図5は、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の電極接合方法のフローチャートである。
【0051】
まず、セラミック基板或いはポリイミド基板等の回路形成体1を準備し(図4(a)、図5のS1工程)、次に回路形成体1上の電極2上に、平均粒径100nm以下の金属ナノ粒子6(一例として金属の組成をAuとする)を含有した金属ナノペースト材料5を充填・積層する(図5のS2−1工程)。引き続き金属ナノペースト材料5を乾燥させて溶剤8の大半を揮発する(図4(b)、図5のS2−2工程)。ここで、金属ナノペースト材料5とは、平均粒径が100nm程度のAuから成る金属ナノ粒子6からなり、その粒子の外周を分散剤7(有機保護膜)によってコーティングした状態で溶剤8に分散されたペースト状の材料である。これを加熱することで、ある温度になると分散剤7(有機保護膜)や溶剤8が分解・揮発して、Auの金属ナノ粒子6の表面が現れ、互いに焼結する原理を利用して接合材として機能させたものである。
【0052】
また、金属ナノペースト材料5の充填及び積層方法については、例えばインクジェット装置12を用いれば、回路形成体上の電極2上に位置補正をした状態で、非接触でペーストを微量供給することが可能であり、この工程を何度か繰り返すことで、本発明にかかる接合材料積層体9を形成することができる。その厚みは例えば3〜5μmである。ここでは、インクジェット方法による積層方法の一例を述べたが、ペーストの粘度を調整することで、他の種々の方法が活用できることから、本発明はこれに限定されるものではなく、種々な態様で変形が可能である。
【0053】
一方、接合強度補強用の樹脂11供給工程については、以下の通りである。
【0054】
まず、電子部品3を準備し(図4(c)、図5のS3工程)、次に電子部品3上の隣り合う電極4同士の間に、先入れ可能な熱硬化性或いは熱可塑性の性質を有する樹脂11を供給する(図4(d)、図5のS4工程)。その供給方法はナノペーストと同様に、インクジェット装置12であることが好ましい。
【0055】
また、その供給する樹脂11の高さであるが、回路形成体1上の電極2と、接合材料積層体9とを合算した厚さよりも低いことが好ましい。厚みが低過ぎると、内部まで十分に樹脂が行き渡らず、強度が不足してしまう可能性があり、逆に厚過ぎると電子部品3を搭載する際に、電極間が接触せずに接続不良の原因となったり、部品搭載時に位置ずれを生じる可能性があるためである。
【0056】
さらに樹脂11の種類については、ここでは一例として熱可塑性樹脂を適用した例を取って説明している。熱可塑性樹脂の場合は、図4(d)で一度、熱を加えて樹脂11を溶融して常温状態で硬化する性質を有するので、形状作成を制御し易く、電子部品3搭載が簡便となる。熱硬化性樹脂を用いた場合には、形状作成の制御という意味では熱可塑性樹脂と比較すると劣るが、一度熱を加える必要が無いため工程が簡便となる。つまり接合方法のプロセスとしては変わるが、最終的な接合構造体18としては変わらないので、ここでは一例として熱可塑性樹脂を用いた例で以下説明することとする。
【0057】
次に図4(a)〜(d)で準備した回路形成体1及び電子部品3の部材を、電子部品3を反転させて、各々の電極同士が対向するように位置合わせを行い、回路形成体1に電子部品3を搭載する(図4(e)、図5のS5工程)。
【0058】
次に熱や電磁波等のエネルギーにより、接合部材積層体を焼成・硬化して回路形成体上の電極2と電子部品3上の対向する電極同士を接合することが可能となる(図4(f)、図5のS6工程)。
【0059】
本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の接合方法によれば、回路形成体1と電子部品3を接続する電極間に配置された接合材料積層体9との間に、接合強度補強用の樹脂11を介在させて、Auナノペーストにコーティングされた分散剤7が分解・揮発するのとほぼ同じタイミングで樹脂が溶融するように一括して加熱・焼成を制御することで、図4(f)及び図2に示すように回路形成体上の電極2と電子部品上の電極4間に、金属ナノ粒子6の積層体により構成された接合材料を介した電子部品3内側に形成された接合部以外の空間層となる隙間部に配置された状態を形成して、実装した電子部品3と回路形成体1の密着強度を補強して接合強度を向上することができるとともに、製品環境による熱ストレスが接合部に生じても、挿入した樹脂によりストレスを緩和し、接合部の破壊による断線を防ぐことができる。
【0060】
また、樹脂が接合部間に存在することから、電子部品3を回路形成体1上に搭載する際や、或いは加熱・焼成の際に金属ナノペースト材料5が押し広がることによる、隣接する電極同士の短絡を防ぐことができる。このようにして電極間の接合信頼性を向上することができる。
【0061】
さらに、接合領域に樹脂層が形成された構造の場合には、何も存在しない空気層よりも樹脂の熱伝導率が大きいために放熱性を高めることができる効果もある。さらに図示はしないが、更に樹脂内部に、例えばシリカやアルミナのような熱伝導性の高い絶縁性の微粒子を存在させることにより放熱性をより一層高めることができる。
【0062】
また、接合強度補強用の樹脂11の第二の構成として、図3に示すように回路形成体上の電極2と電子部品上の電極4との間に、金属ナノ粒子6の積層体により構成された接合材料積層体9を介した電子部品3内側に形成された接合部内部の空隙部10に混在して形成するように加熱・焼成を制御することで、回路形成体1上に電子部品3を搭載し、加熱・焼成及び加圧した際に、金属ナノペースト材料5に含まれる金属ナノ粒子6に被覆した分散剤7及び溶剤8が分解・揮発することによって生じる接合部内部の空隙部10に接合強度補強用の樹脂11を浸透させることで、接合部の接合強度をより強固なものとし、且つ製品環境による熱ストレスが接合部に生じても、挿入した樹脂によりストレスを緩和し、接合部の破壊による断線を防ぐことができる。
【0063】
また、一般的に電子部品3から発生した熱は接合部及びその周辺から熱を逃がすことになるが、より影響度の高い、電子部品上の電極4及び接合部を介して回路形成体1の電極側へ逃がす直接的な熱パスの経路となる接合部に空隙部10が存在する場合には、熱抵抗が高くなるために効率的な放熱構造とはなっていない。本発明の接合方法による電極接合構造によれば、接合部の空隙部10に樹脂層が浸透して混在した構造の場合には、放熱性を高めることができる効果もある。さらに図示はしないが、樹脂内部に電気伝導性に影響の無い範囲で、例えばシリカやアルミナのような熱伝導性の高い絶縁性の微粒子を存在させることにより放熱性をより一層高めることができる。
【0064】
具体的には、接合材料としてAu材料を用いた時のバルク状態の熱伝導率λは、293(W/(m・K))であるが、接合材料積層体9に空隙部10が存在する場合の熱伝導率λは低下する。空隙部10が空気層の場合、その熱伝導率λは、0.025(W/(m・K))であるが、空隙部10に樹脂11が入れば、その熱伝導率λは、0.2から0.3(W/(m・K))であり、1ケタ高い熱伝導率であり、接合材料積層体9全体の熱伝導率が改善される。このことで、電子部品3の熱を回路形成体1へ逃がすことがよりできる。
【0065】
また、空隙部10の存在で、接合材料積層体9の電気抵抗率が高く、電流を流すことで接合材料積層体9自体で熱も発生しやすくなるが、空隙部10の樹脂11の存在で、より熱を逃がすことができる。
【0066】
さらに、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の接合方法によれば、予め、電子部品3或いは回路形成体1の電極間に樹脂を先入れして溶融させることにより、金属ナノペースト材料5を用いた場合の特有の接合構造体18と成り得る、接合部ギャップが非常に狭い接合部への補強構造の製造が簡便に実現することができる。
【0067】
このような接合方法を適用することで、例えばLED素子15のように電子部品3の上面側が発光部であり、且つ低背化された接合構造体18の接合及び補強方法としてその効果は大きい。
【0068】
以上にように、本発明の第1実施形態にかかる接合構造体18の接合方法によれば、金属ナノペースト材料5を用いた場合の接合方法の特有の課題である、加熱・焼成の際の空隙部10の発生による接合強度低下及びそれに伴う信頼性低下を解決できるとともに、金属ナノペースト材料5を用いることによる接合構造体18が低背化した際の補強構造が同時に実現することができるため、その効果は大きい。
【0069】
(第2実施形態)
次に、本発明の実施形態を適用した具体例について、LED素子の実装を一例に挙げて説明する。ここでは、図6(a)と図6(b)を参照しながら説明する。
【0070】
図6(a)はLED素子15を用いた接合構造体18の断面図、図6(b)は図6(a)に示すB−B´断面図を表わしている。
【0071】
まず、各構成要素の具体的構成について説明する。図6(a)と図6(b)において、LED素子15は発光層を含む発光結晶を積層して形成された発光素子部と、電気的な接続を行うP電極16とN電極17の2極の電極とで構成される。発光素子部の厚さは200μm以下の薄型化された素子である。電極構成については、LED素子15の発光素子部に近い側に1μm以下の下地層を形成した後、Au材質による厚さ2μmの電極(接合される箇所)が形成されている。
【0072】
一方、回路形成体については、基材をセラミック基板13とし、LED素子15が実装される側の電極については、1μm以下の下地層を形成した後、順にNi層1μm、Au電極層1μm(接合される箇所)が形成され、基板の総厚としては300μmである。
【0073】
尚、LED素子15の実装においては、上記で記載したように2つの電極しか存在しない為、狭ピッチ接合の必要はなく、比較的広い面積で接合材料を配置することができる。したがって、金属ナノペースト材料5により接合材料積層体9を形成する際には幾何学的に規則的にドッド形状にして配置することが好ましい。そうすることで、発光部から発生する熱を効率的に基板側へ放熱することができる。
【0074】
次にその接合方法について図7(a)〜図7(f)を用いて説明する。図7(a)〜図7(f)に示すように(詳細については図4及び図5を用いた接合方法の説明を参照)、まず、セラミック基板上の電極14上に、平均粒径10nm程度のAuナノ粒子に分散剤7をコーティングして、且つ溶剤8を混ぜてペースト状にしたAuナノペーストをインクジェット装置12を用いて、上記したように幾何学的に規則的にドッド形状にして配置する。また、その厚みはAuナノペーストの供給を複数回繰り返すことによって5μmとした。さらに、Auナノペースト内の溶剤8を揮発させて形状の安定化を図る目的で、常温で約1時間放置して乾燥させた(図7(a)と図7(b))。
【0075】
次にLED素子15の電極上の、セラミック基板13側に配置したAuナノペーストを配置した位置を避ける位置に、接合強度補強用の熱硬化性樹脂を、インクジェット装置12を用いて供給・配置した。また、その厚みは、セラミック基板13の電極厚みとAuナノペースト積層体厚みとを合算した厚み以下とした(図7(c)〜(d))。
【0076】
次に、半導体素子実装が可能なマウンタ(実装機)にてLED素子15の位置補正を実施して、セラミック基板13上の適切な位置且つセラミック基板13の電極上のAuナノペーストとLED素子15の電極上の熱硬化性樹脂が干渉しないようにLED素子15を搭載する(図7(e))。
【0077】
次に、張り合わされたセラミック基板13及びLED素子15を、真空硬化炉などの熱供給装置を用いて徐々に加熱する(例えば、Auナノ粒子焼結温度を200℃とする)。
【0078】
ここで本発明にかかる、加熱過程について説明する。まず、Auナノ粒子にコーティングされた有機化合物で構成された分散剤7が分解・揮発するタイミングを、熱硬化性樹脂が軟化・溶融する温度(例えば130℃)と同程度となるように調整しておく。
【0079】
通常、加熱段階において、上記した、ある一定の温度に達するとAuナノ粒子の外周にコーティングした分散剤7が分解・揮発する。このように熱により温められると、接合部の体積が収縮すると同時に揮発した分だけ気体が発生する為に、Auナノ粒子により構成された接合材料積層体9内部に空隙、つまり空隙部10が発生することとなる。この空隙部10により接合部材内部はポーラス状態となり、結果的に接合後の接合強度が低下する原因となる。したがって、本発明で記載したように、分散剤7の分解・揮発が開始されるタイミングとほぼ同じタイミングで接合強度補強用の熱硬化性樹脂が軟化・溶融して、ポーラス上の接合材料積層体9内部に浸透することによって、接合強度の低下を防止することができる(図3)。
【0080】
また、同時にゼラミックス基板13とLED素子15の間で、接合材料積層体9以外の何も介在しない箇所(空気層)にも熱硬化性樹脂が介在することが可能なので、LED素子15全体の接合面に対して、接合強度の向上を図ることができる(図2)。
【0081】
さらに、温度上昇に伴い、熱硬化性樹脂の硬化が開始され(例えば180℃)、最終的にはAuナノ粒子焼結温度に達した際に接合が完了することとなる(図7(f))。
【0082】
また、この接合方法においては、従来の接合後に実施する後入れの接合強度補強用の樹脂11の注入及び硬化させる方法と比較すると、一括で接合部の焼成・結合と、補強用樹脂の硬化が実施できるので、工程数を減らすことができる。また、予め内部に補強用樹脂を配置しているので、後入れ方法のように一方向から樹脂を供給して浸透させる方法と比べて、塗りムラによる接合強度バラツキを抑制できる。また、特に低背化且つLED素子15のような部品上面の発光面に対して補強用樹脂の這い上がりを抑止しなければならない場合、従来の電子部品3サイドからの塗布供給方法と比較して有効な手段である。
【0083】
さらに、補強用の樹脂11を構成しない場合のLED素子15の接合構造体18と比較して、接合部内部の空気層より熱伝導率が数倍〜数十倍高い樹脂が内在するのでLED素子15から発する熱を効率的にセラミック基板13側へ放熱することができる。
【0084】
以上のような接合方法によって、金属ナノペースト材料5を用いた接合において、接合構造体18の接合信頼性向上すると同時に上記した種々の効果を得ることができる。
【0085】
上記実施形態においては、Auナノペーストにて形成された夫々の電極を加熱工程により、接合が行なわれるような場合について説明したが、接合方法はこのような場合にのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、加熱工程と同時に加圧工程を付与して夫々の電極を押圧して、その形状を変形させて、Auナノペーストと電極を当接させることで、接合を行なうような場合であっても良いし、超音波振動の付与をする超音波接合を適用した接合方法であっても良い。
【0086】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明にかかる接合構造体およびその接合方法によれば、接合部の狭ピッチ化及び薄型化・低背化に伴う接合構造体の接合信頼性向上が必要なLED素子の実装やシステムLSIの実装等の幅広い半導体製品に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】(a)本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体の断面図、(b)は(a)におけるB−B´平面図
【図2】本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体における接合部周辺の構成を示した断面図
【図3】本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体における接合部内部の構成を示した断面図
【図4】本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体における接合方法の手順を示す断面図
【図5】本発明における、回路形成体と電子部品の接合構造体における接合方法のフローチャート
【図6】(a)本発明における、セラミック基板とLED素子の接合構造体の断面図(b)は(a)におけるB−B´平面図
【図7】(a)〜(f)は、本発明における、セラミック基板とLED素子の接合構造体における接合方法の手順を示す断面図
【図8】(a1)から(c1)従来の回路形成体と電子部品の接合構造体の接合方法を示す平面図、(a2)〜(c2)は、(a1)〜(c1)のそれぞれの断面図
【図9】(a)〜(d)は、金属ナノペースト材料結合及びボイド発生のメカニズムを示す図
【図10】従来の回路形成体と電子部品の接合構造体において、接合部内部に存在するボイド例を示す断面図
【図11】従来の回路形成体と電子部品の接合構造体において、接合部間の短絡例を示す断面図
【符号の説明】
【0089】
1 回路形成体
2 電極
3 電子部品
4 電極
5 金属ナノペースト材料
6 金属ナノ粒子
7 分散剤
8 溶剤
9 接合材料積層体
10 ボイド(空隙)
11 樹脂
12 インクジェット装置
13 セラミック基板
14 電極
15 LED素子
16 P電極
17 N電極
18 接合構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品を接続する接合材料と、
を備えた接合構造体において、
前記回路形成体と前記電子部品とを接続する電極間に配置された接合材料中に、接合強度補強用の樹脂を有していることを特徴とする接合構造体。
【請求項2】
前記接合強度補強用の樹脂は、接合部である電極の間、及び前記接合材料内部の空隙部に混在していることを特徴とする請求項1に記載の接合構造体。
【請求項3】
前記接合強度補強用の樹脂は、非導電性の性質を有する樹脂で構成されることを特徴とする請求項1から請求項2に記載の接合構造体。
【請求項4】
前記接合強度補強用の樹脂は、熱硬化性或いは熱可塑性の性質を有する樹脂で構成されることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の接合構造体。
【請求項5】
前記接合強度補強用の樹脂の厚さは、前記回路形成体の複数の電極と、前記接合材料とを
合算した厚さよりも薄い構造を有していることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の接合構造体。
【請求項6】
前記接合材料は、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を有機化合物から成る分散剤で被覆して、溶媒中に分散させてなる金属ナノペースト材料を用いて積層させた構造を有することを特徴とする請求項1から請求項5に記載の接合構造体。
【請求項7】
前記接合材料において、前記金属ナノペースト材料を積層した厚みは、10μm以下で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の接合構造体。
【請求項8】
複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品とを接続する接合材料と、
を備えた電子部品の接合構造体の接合方法において、
複数の電極を有する前記回路形成体を準備し、
前記回路形成体の複数の電極上に、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を含有した金属ナノペースト材料を用いて接合材料としての積層体を形成し、
前記回路形成体の電極同士の間、或いは前記回路形成体の複数の電極に対抗する、電子部品上の電極同士の間に、前記接合補強用の樹脂を前記接合材料の高さよりも低く形成し、
前記積層体が流れ出ないように、前記回路形成体に前記電子部品を向かい合わせ、
加熱、加圧或いはそれらの組み合わせにより前記積層体を硬化する際に、金属ナノペースト材料中に含まれる分散剤が揮発した際に発生する前記積層体の空隙部に、前記接合補強用樹脂を溶融・硬化させて、混在させながら電子部品の実装を一括して行うことを特徴とする接合構造体の接合方法。
【請求項9】
複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品とを接続する接合材料と、
を備えた電子部品の接合構造体の接合方法において、
複数の電極を有する前記回路形成体を準備し、
前記回路形成体の複数の電極上に、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を含有した金属ナノペースト材料を用いて接合材料としての積層体を形成し、
前記回路形成体の電極同士の間、或いは前記回路形成体の複数の電極に対抗する、電子部品上の電極同士の間に、前記接合補強用の樹脂を前記接合材料の高さよりも低く形成し、
前記積層体が流れ出ないように、前記回路形成体に前記電子部品を向かい合わせ、
加熱、加圧或いはそれらの組み合わせにより前記積層体を硬化すると共に、
前記接合補強用樹脂を溶融・硬化させて、接合部の隙間部に配置させながら電子部品の実装を一括して行うことを特徴とする接合構造体の接合方法。
【請求項1】
複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品を接続する接合材料と、
を備えた接合構造体において、
前記回路形成体と前記電子部品とを接続する電極間に配置された接合材料中に、接合強度補強用の樹脂を有していることを特徴とする接合構造体。
【請求項2】
前記接合強度補強用の樹脂は、接合部である電極の間、及び前記接合材料内部の空隙部に混在していることを特徴とする請求項1に記載の接合構造体。
【請求項3】
前記接合強度補強用の樹脂は、非導電性の性質を有する樹脂で構成されることを特徴とする請求項1から請求項2に記載の接合構造体。
【請求項4】
前記接合強度補強用の樹脂は、熱硬化性或いは熱可塑性の性質を有する樹脂で構成されることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の接合構造体。
【請求項5】
前記接合強度補強用の樹脂の厚さは、前記回路形成体の複数の電極と、前記接合材料とを
合算した厚さよりも薄い構造を有していることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の接合構造体。
【請求項6】
前記接合材料は、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を有機化合物から成る分散剤で被覆して、溶媒中に分散させてなる金属ナノペースト材料を用いて積層させた構造を有することを特徴とする請求項1から請求項5に記載の接合構造体。
【請求項7】
前記接合材料において、前記金属ナノペースト材料を積層した厚みは、10μm以下で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の接合構造体。
【請求項8】
複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品とを接続する接合材料と、
を備えた電子部品の接合構造体の接合方法において、
複数の電極を有する前記回路形成体を準備し、
前記回路形成体の複数の電極上に、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を含有した金属ナノペースト材料を用いて接合材料としての積層体を形成し、
前記回路形成体の電極同士の間、或いは前記回路形成体の複数の電極に対抗する、電子部品上の電極同士の間に、前記接合補強用の樹脂を前記接合材料の高さよりも低く形成し、
前記積層体が流れ出ないように、前記回路形成体に前記電子部品を向かい合わせ、
加熱、加圧或いはそれらの組み合わせにより前記積層体を硬化する際に、金属ナノペースト材料中に含まれる分散剤が揮発した際に発生する前記積層体の空隙部に、前記接合補強用樹脂を溶融・硬化させて、混在させながら電子部品の実装を一括して行うことを特徴とする接合構造体の接合方法。
【請求項9】
複数の電極を有する回路形成体と、
上記回路形成体の複数の電極に各々対向して配置された複数の電極を有する電子部品と、
上記回路形成体と上記電子部品とを接続する接合材料と、
を備えた電子部品の接合構造体の接合方法において、
複数の電極を有する前記回路形成体を準備し、
前記回路形成体の複数の電極上に、平均直径が100nm以下の金属からなる超微粒子を含有した金属ナノペースト材料を用いて接合材料としての積層体を形成し、
前記回路形成体の電極同士の間、或いは前記回路形成体の複数の電極に対抗する、電子部品上の電極同士の間に、前記接合補強用の樹脂を前記接合材料の高さよりも低く形成し、
前記積層体が流れ出ないように、前記回路形成体に前記電子部品を向かい合わせ、
加熱、加圧或いはそれらの組み合わせにより前記積層体を硬化すると共に、
前記接合補強用樹脂を溶融・硬化させて、接合部の隙間部に配置させながら電子部品の実装を一括して行うことを特徴とする接合構造体の接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−130162(P2009−130162A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304065(P2007−304065)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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