電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュール
【課題】電子モジュール内に収納する電子部品の垂直方向伝導面と鉛直面とが一致する場合に、部品接触面にサーマルグリスを塗布してもグリスの流出を抑えることのできる電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールを提供する。
【解決手段】底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケース1と、モジュールケース1に収納された電子部品5と、モジュールケース1の底面部2及び側面部3上に固定され、底面部2と側面部3とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部7を有する板で構成され、電子部品5とモジュールケース1との間に介在し、電子部品5が発する熱をモジュールケース1へ伝導させる取り付け補助板6とを備え、取り付け補助板6と底面部2との間に第1のサーマルグリス層8を有し、取り付け補助板6と側面部3との間に、屈曲部7によって第1のサーマルグリス層8と隔絶された第2のサーマルグリス層9を有する。
【解決手段】底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケース1と、モジュールケース1に収納された電子部品5と、モジュールケース1の底面部2及び側面部3上に固定され、底面部2と側面部3とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部7を有する板で構成され、電子部品5とモジュールケース1との間に介在し、電子部品5が発する熱をモジュールケース1へ伝導させる取り付け補助板6とを備え、取り付け補助板6と底面部2との間に第1のサーマルグリス層8を有し、取り付け補助板6と側面部3との間に、屈曲部7によって第1のサーマルグリス層8と隔絶された第2のサーマルグリス層9を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モジュールケース内に収納された電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品の放熱構造としては、電子部品を取り付ける他部品に電子部品が発する熱を伝導させて逃がすのが代表的な放熱方法の一つであるが、電子モジュールに実装される電子部品の発熱密度はその性能向上に伴い大きくなる傾向であり、適切な放熱を行わないと性能の低下や劣化に繋がる。よって、伝導面積を増やして放熱性能を向上させることが考えられるが、高密度実装、小型化が求められている状況では電子モジュールの平面方向に伝導面積を増すこと、追加部品を使用して平面方向以外の伝導面を設けることは困難である。そのため以下のような電子部品自体に垂直方向の伝導面を設けて他部品に接触させ伝導面積を増す従来技術が存在する。
【0003】
従来、電子部品などの発熱部品の放熱構造は、発熱部品をL字形(L字状)の放熱板の一片をねじによって基板に取り付け、他片をねじによってケース本体の側板に取り付けるものがある(例えば、特許文献1の図22参照)。また、特許文献1の図11には、ケースに設けた弾性押圧片を電子部品で変形させ、押圧力で押圧片を電子部品垂直に密着させ部品点数を増やさずに伝導面積を増し、良好な放熱を行う技術が開示されている。この開示された技術は、追加部品を必要とせず、電子部品の放熱を良好に行うことができるというて点で、電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの高密度実装の実行や小型化に寄与している。
【0004】
上記のような従来技術である部品の接触面を通した伝導での放熱において、その表面状態が放熱性能に影響することは周知の事実である。すなわち、部品表面には微小な凹凸が存在しこれらが接触するとその間に熱伝導性の悪い空気が含まれ放熱性が悪くなり、発熱部品の発熱密度が高い場合に所望の放熱効果が得られない。このため接触面に熱伝導性の高いサーマルグリスを塗布して凹凸間に空気が存在しないサーマルグリス層を形成することが行われる(例えば、特許文献2の図3参照)。なお、本願では、サーマルグリス(サーマルグリース)、サーマルペースト、シリコングリス、ヒートシンクコンパウンドなどのペースト状の熱伝導性物質を総称してサーマルグリス(放熱グリス)と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−167318号公報(第11図及び第22図)
【特許文献2】特開2011−35320号公報(第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の電子部品の放熱構造において、鉛直面にサーマルグリスを塗布した場合、サーマルグリスには流動性があり、塗布面が鉛直面であるために、時間経過によりグリスが流出してしまい放熱効果が悪化する。そのため、電子部品の放熱構造において、電子部品自体に設けた垂直方向の伝導面と鉛直面が一致する場合にサーマルグリスを使用すると、所望の放熱効果が徐々に減退していくという課題がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、電子モジュール内に収納する電子部品の垂直方向伝導面(例えば、特許文献1における「L字形(L字状)の放熱板の他片が取り付けられたケース本体の側板の面」)と鉛直面とが一致する場合であっても、部品接触面にサーマルグリスを塗布してもグリスが流出する可能性を大幅に減少し得る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る電子部品の放熱構造は、底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケースと、このモジュールケースに収納された電子部品と、前記モジュールケースの底面部及び側面部上に固定され、前記底面部と前記側面部とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部を有する板で構成され、前記電子部品と前記モジュールケースとの間に介在し、前記電子部品が発する熱を前記モジュールケースへ伝導させる取り付け補助板と、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部と連続する側方部側が閉鎖され、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部に対して反対側の端部側が開放された前記取り付け補助板と前記側面部との間に形成された空間である孔部とを備え、前記取り付け補助板と前記底面部との間に第1のサーマルグリス層を有し、前記孔部に充填された第2のサーマルグリス層を有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記孔部が、前記第1のサーマルグリス層と前記第2のサーマルグリス層とを隔てる隔壁を有し、この隔壁は前記モジュールケースへの前記取り付け補助板の固定により形成されるものである請求項1に記載のものである。
【0010】
請求項3の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記孔部が、前記取り付け補助板における前記側面部と対向する部分に形成された窪みと前記側面部とにより形成されるものである請求項1又は2に記載のものである。
【0011】
請求項4の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記孔部が、前記側面部における前記取り付け補助板と対向する部分に形成された窪みと前記取り付け補助板とにより形成されるものである請求項1〜3のいずれかに記載のものである。
【0012】
請求項5の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記孔部が、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部に対して反対側の端部側が開放された形状が細長いスリット状である請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0013】
請求項6の発明に係る電子部品の放熱構造は、底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケースと、このモジュールケースに収納された電子部品と、前記モジュールケースの底面部及び側面部上に固定され、前記底面部と前記側面部とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部を有する板で構成され、前記電子部品と前記モジュールケースとの間に介在し、前記電子部品が発する熱を前記モジュールケースへ伝導させる取り付け補助板とを備え、前記取り付け補助板と前記底面部との間に第1のサーマルグリス層を有し、前記取り付け補助板と前記側面部との間に、前記屈曲部によって前記第1のサーマルグリス層と隔絶された第2のサーマルグリス層を有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項7の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記電子部品の筐体と前記取り付け補助板とが、一体である請求項1〜6のいずれかに記載のものである。
【0015】
請求項8の発明に係る電子モジュールは、請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品の放熱構造を有する電子モジュールであって、前記モジュールケースの底面部及び側面部から構成される凹部を覆う蓋部を備え、前記モジュールケース内に前記凹部が並列に複数配置され、この複数配置された凹部ごとの前記電子部品間が、前記側面部及び前記蓋部によって電磁遮蔽されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、請求項1〜7に係る発明によれば、第2のサーマルグリス層が鉛直面に沿って延在させた場合でも、時間経過によるサーマルグリスの流出がない電子部品の放熱構造を得ることができる。
【0017】
請求項8に係る発明によれば、第2のサーマルグリス層が鉛直面に沿って延在させた場合でも、時間経過によるサーマルグリスの流出がない電子モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの詳細図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板の構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板の構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板の構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及びモジュールケースの構成図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造におけるモジュールケースへの取り付け補助板の取り付け手順説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板の構成図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及びモジュールケースの構成図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの構成図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの詳細図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及びモジュールケースの構成図である。
【図13】この発明の実施の形態3に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及びモジュールケースの構成図である。
【図14】この発明の実施の形態1〜4に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及び電子部品の構成図である。
【図15】この発明の実施の形態1〜4に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及び電子部品の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜9を用いて説明する。図1(a)は図1(c)の一点鎖線AAから矢印方向に見た電子モジュールの断面図、図1(b)は電子モジュールの側面図、図1(c)は電子モジュールの平面図(蓋部の一部を透視した図)、図2(a)は図1(a)の一点鎖線円Bを拡大した電子モジュール(電子部品の放熱構造)の断面図、図2(b)は図2(a)に対応する電子モジュール(電子部品の放熱構造)の平面図(蓋部を透視した図)、図3(a)は取り付け補助板の側面図、図3(b)は図3(a)のL1方向から見た取り付け補助板の平面図、図3(c)は図3(a)のL2方向から見た取り付け補助板の側面図、図4(a)は取り付け補助板の側面図、図4(b)は図4(a)のL1方向から見た取り付け補助板の平面図、図4(c)は図4(a)のL2方向から見た取り付け補助板の側面図、図5(a)は取り付け補助板の側面図、図5(b)は図5(a)のL1方向から見た取り付け補助板の平面図、図5(c)は図5(a)のL2方向から見た取り付け補助板の側面図、図6(a)は図1(c)の一点鎖線A’A’から矢印方向に見た電子モジュールの断面図(一部)、図6(b)は図6(a)のL方向から見た取り付け補助板の平面図(電子部品省略)である。
【0020】
ここで、図7(a)〜(f)は図1(c)の一点鎖線A’A’による電子モジュール(電子部品、電子部品の放熱構造)の断面図に相当する部分を用いたモジュールケースへの取り付け補助板の取り付け手順説明図、図7(a)は取り付け補助板の断面図、図7(b)は電子部品及び取り付け補助板の断面図、図7(c)は電子部品及び取り付け補助板(サーマルグリス塗布後)の断面図、図7(c)〜(d)は電子部品及び取り付け補助板並びにモジュールケースの断面図、図8(a)は取り付け補助板の側面図、図8(b)は図8(a)のL1方向から見た取り付け補助板の平面図、図8(c)は図8(a)のL2方向から見た取り付け補助板の側面図、図9(a)は図1(c)の一点鎖線A’A’から矢印方向に見た電子モジュールの断面図(一部)、図9(b)は図9(a)のL方向から見た取り付け補助板の平面図(電子部品省略)である。
【0021】
図1〜9において、導電性のモジュールケース1は底面部2、この底面部2と交差する側面部(電磁遮蔽壁)3を有する。また、モジュールケース1の底面部2及び側面部3から構成される凹部4を覆う蓋部(電磁遮蔽蓋)4fを備えている。図1では、モジュールケース1内に凹部4が並列に複数配置され、この複数配置された凹部4ごとの電子部品5(つまり、発熱部品である電子部品5がモジュールケース1に収納されている)などから構成される電子回路4c間が、側面部(電磁遮蔽壁)3及一枚の蓋部4f(厳密には、底面部2も含む)によって電磁遮蔽されている。換言すると、全ての凹部4に対して蓋をするように、凹部4が並列に複数並んだ配列方向に亘って、モジュールケース1上に蓋部4fが延在している。また、凹部4は、対向する側面部3と底面部2から構成されているが、モジュールケース1において、最外殻の側面部3はモジュールケース1の外壁(外壁面)を兼ねている。このモジュールケース1の外壁は、蓋部4fがモジュールケース1を封止することで、電磁遮蔽とともに外部環境とモジュールケース1の内部とを遮断している。電子回路4cは、図中では点線で囲われた部分である。電子回路4c又は複数の電子回路4cの一方はモジュールケース1内に配置された基板(プリント基板)4sに接続され、他方は、コネクタ4iに接続されている。また、基板(プリント基板)4sの一方は、前述のとおり、電子回路4cに接続され、他方は、コネクタ4o及び端子4tに接続されている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0022】
図1〜9において、取り付け補助板6は、電子部品5が載置(固定)されるものであって、モジュールケース1の底面部2及び側面部3上に固定され、底面部2と側面部3とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部7を有する板である。なお、取り付け補助板6は電子部品5とモジュールケース1との間に介在し、電子部品5が発する熱をモジュールケース1へ伝導させるものである。また、取り付け補助板6における底面部2と対向する部分を補助板(底面)6hとし、取り付け補助板6における側面部3と対向する部分を補助板(側面)6vとする。第1のサーマルグリス層8は、ペースト状のサーマルグリス8から構成されており、取り付け補助板6と底面部2との間に形成されている。第2のサーマルグリス層9は、ペースト状のサーマルグリス9から構成されており、取り付け補助板6と側面部3との間に、屈曲部7によって第1のサーマルグリス層8と隔絶されて形成されている。サーマルグリス8とサーマルグリス9とは同じものであっても異なるものであってもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0023】
図1〜9において、孔部10は取り付け補助板5の側面部3に固定された側における屈曲部7と連続する側方部側が閉鎖され、取り付け補助板5の側面部3に固定された側における屈曲部7に対して反対側の端部側が開放された取り付け補助板5と側面部3との間に形成されたポケット状の空間である。第2のサーマルグリス層9は孔部10に充填されている。孔部10は、取り付け補助板6における側面部と対向する部分に形成された窪み10aと側面部3とにより形成されるものである。取り付け補助板6をモジュールケース1への取り付け(固定)は、補助板(底面)6hを底面部2へ「ねじ11」で固定し(ボルトでもよい)、補助板(側面)6vを側面部3へ「ボルト12」で固定することで行っているが(ねじでもよい)、図1〜9の図中で、ねじ11、ボルト12の図示を省略しているものがある。締結手段(取り付け/固定手段)は、ねじ11やボルト12に制限されない。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0024】
図1(c)は、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの全体構成を示している。図1(c)では、蓋部4fを部分的に透視したものである。具体的には、基板4sの一部以外のモジュールケース1形状やモジュールケース1に収納されているものを透視した状態となっている。電子モジュールはモジュールケース1に任意の2組以上の電子回路4c(図1は4組)、基板4sが実装される構造であり、電子部品5は電子回路4cの構成部品で発熱する。電子回路4c間には電気的干渉を避けるため電波を遮断する電磁遮蔽壁(側面部)3を設けている。詳しくは、モジュールケース1内に凹部4が並列に4つ配置され、この4つ配置された凹部4ごとの電子部品5(電子回路4c)間が、側面部3及び蓋部4fによって電磁遮蔽されている。
【0025】
図1(b)は、電子モジュールの側面図であり、電子回路4cと接続され、コネクタ4iが図示されている(4組)。コネクタ4iを介して電子回路4cは外部と信号のやり取りを行う。なお、各電子回路4cにおける処理と基板4sでの処理は相互関係があるものである。基板4sは、コネクタ4o及び端子4tを介して外部と信号のやり取りを行う。また、図1(a)からは、電子部品5,取り付け補助基板6,ねじ11,ボルト12の位置関係が分かる。さらに、図1(a)〜(c)から、実施の形態1に係る電子モジュールのモジュールケースは平板(カード)状であることが分かる。
【0026】
実施の形態1に係る電子部品の放熱構造に関する以下の説明は、4つの凹部4に収納された電子部品5も、L字状の取り付け補助板6の方向が異なる以外は同様の構成となっているので、実施の形態1に係る電子モジュール(モジュールケース1)における一つの凹部4に収納された電子部品5に関して行う。加えて、本願に係る電子部品の放熱構造(及びこれを有する電子モジュール)のサーマルグリス9の保持機能を最大限に発揮できる配置である底面部2を平面方向(水平方向)に配置し、側面部3を垂直方向(鉛直方向)にした場合を用いて説明するが、常にこの姿勢(配置)を維持する必要はない。つまり、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)は、第2のサーマルグリス層9が鉛直面に沿って延在させた場合でも、時間経過によるサーマルグリス9の孔部10からの流出がないものである。
【0027】
図2を用いて、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造を具体的に説明する。図2(a)(b)は、電子部品5の取り付け詳細を示したものである。電子部品5は、平面方向取り付け面(底面部)2に加えて垂直方向取り付け面(側面部)3に取り付け補助板6を介して、設置されている。取り付け補助板6は、平面方向取り付け面2にはモジュールケース1にねじ11により密着させ固定、垂直方向取り付け面3には垂直方向取り付け面(側面部、電磁遮蔽壁)3にボルト12により密着させ固定する。放熱性を向上させるため、平面方向取り付け面2とモジュールケース1の間、垂直方向取り付け面3と電磁遮蔽壁3の間には、それぞれサーマルグリス8、サーマルグリス9を塗布して、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9を形成している。
【0028】
図2(a)の記載のように、第1のサーマルグリス層8の配置から、サーマルグリス8の塗布の際に生じた余剰部分や塗布後の流失があった場合でもモジュールケース1の凹部4の底面部2にサーマルグリス8が留まることが分かる。図2(b)の記載のように、サーマルグリス8は、モジュールケース1の底面部2に取り付け補助板2の取り付けた際に、取り付け補助板2(主に補助板6h)から、一部はみ出してもよい。図2(a)(b)の記載のように、第2のサーマルグリス層9の配置から、サーマルグリス9の塗布の際に生じた余剰部分があった場合でも、孔部10の開口から流失部分がはみ出してくるだけであるので、拭き取ることで容易に余剰部分を除去することができる。
【0029】
また、図2(b)に記載のように、モジュールケース1の底面部2及び側面部3から構成される凹部4を覆う蓋部4fと取り付け補助板6とを非接触にすることで、孔部10の開口から覗くサーマルグリス9が蓋部4fに付着する可能性が低くなり、蓋部4fの内面(凹部4に向かった方の面)側をサーマルグリス9で汚したくない場合に有効である。さらに、孔部10内に第2のサーマルグリス層9が保持されるので、鉛直面と一致する補助板6v(窪み10a)には所望のサーマルグリス塗布厚さに等しい第2のサーマルグリス層9が設けられ、塗布したグリスを保持することができる。これにより、実施の形態1に係る電子部品の放熱構想は、追加部品を必要とせずに放熱面積を増し良好な放熱を行うことができる可能性が高まった放熱構造及びサーマルグリス8及びサーマルグリス9の流出を抑えた放熱構造を容易に得ることができる。
【0030】
つまり、孔部10は、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9とを隔てる隔壁を有していることになり、その隔壁はモジュールケース1への取り付け補助板6の固定により形成されるものであることが分かる。ここで、図3〜6を用いて、孔部10における隔壁の機能を有している部分の詳細説明を行う。図3〜5は、取り付け補助板6の詳細構造を示したものである。図3は、ねじ11及びボルト12(ねじやボルトを通す穴も含む)を省略したものであり、図4及び5は、ボルト12を図示したものである(ねじ11は省略)。図3の孔部10には、取り付け補助板6における側面部3と対向する部分に形成された窪み10aがある。取り付け補助板6を側面部3に固定されることで、モジュールケース1の側面部3、取り付け補助板6の屈曲部7及び補助板6v(窪み10a)の側方部分により、取り付け補助板6の側面部3に固定された側における屈曲部7に対して反対側の端部側が細長いスリット状に開放された形状の開口を除き、窪み10aが封鎖される。
【0031】
図4及び5は、図3で省略したボルト12を図示したものである。第2のサーマルグリス層9からのサーマルグリス9の流失が問題とならない場合やボルト12の穴にサーマルグリス9の流失対策が施されている場合は、図4に記載のように、ボルト12を孔部10(窪み10a)内に通してもよい。逆に、そうで無い場合は、図5に記載のような取り付け補助板6の補助板6v(窪み10a)の側方部分に、ボルト12が配置される形状を取る必要がある。図5(b)(c)では、ボルト12を通すためのリブを孔部10(窪み10a)内に突出させている。なお、ボルト12が孔部10にはみ出さずに、配置できる程度の厚みが、補助板6v(窪み10a)の側方部分にあれば、ボルト12を通すためのリブは必要ない。ボルト12を通すためのリブがある場合は、孔部10の容積を大きくすることができる。実施の形態1に係る電子部品の放熱構造が、このような構造となっているために、図6に示すように、サーマルグリス9が孔部10に留まり、第2のサーマルグリス層9を維持している。
【0032】
図6(b)では電子部品5は図示を省略されているが、図6(a)から電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、補助板6hと補助板6vとに固定され、L字状の屈曲部7の隅部分に配置されていることが分かる。これにより、電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、取り付け補助板6を介して、底面部2と側面部3とに固定され、底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分に配置されていることが分かる。
【0033】
・電子部品載置(固定)工程
次に、図7を用いて、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)の組立手順(一例であり、工程の順序を制限するものではない)を説明する。図7(a)に図示された取り付け補助板6へ電子部品5を載置(固定)する。載置(固定)方法は、一般的な手法を用いればよい。載置による電子部品5と取り付け補助板6との配置の詳細は図7(b)に示すとおりである。具体的には、前述のとおり、電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、補助板6hと補助板6vとに固定され、L字状の屈曲部7の隅部分に配置されることになる。なお、電子部品5は、その筐体内にICチップや高周波素子などの発熱素子が収納されている構造であるが、電子部品5の筐体を取り付け補助板6と一体化させた場合は、電子部品載置工程は、取り付け補助板6の補助板(底面)6h上に発熱素子を載置する工程といえる。電子部品5の筐体を取り付け補助板6と一体化させた場合の詳細は、後述の実施の形態4で説明する。
【0034】
・サーマルグリス塗布工程
電子部品5の取り付け補助板6への電子部品載置工程の後に、図7(c)に示すように、取り付け補助板6の補助板6hと補助板6vとに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布する。塗布面は、それぞれ、電子部品5が載置された面と反対側の補助板(底面)6hと補助板(側面)6vとである。但し、補助板(側面)6vに関しては窪み10aが塗布面の主体となる。この主体となる塗布面の全面にサーマルグリス9を塗布してもよいが、サーマルグリス塗布工程後に行う取り付け補助板載置工程で、取り付け補助板6をモジュールケース1の側面部3(凹部4)に取り付けた際に、孔部10にサーマルグリス9が充填され、第2のサーマルグリス層9が形成できる量のサーマルグリス9が、主体となる塗布面に塗布されておれば、主体となる塗布面の全面にサーマルグリス9を塗布する必要はない。
【0035】
なお、取り付け補助板6をモジュールケース1(凹部4)へ固定する際に補助板(底面)6hと補助板(側面)6v(特に、窪み10a)に対応する部分であれば、モジュールケース1(凹部4)の底面部2と側面部3とに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布してもよい。もちろん、側面部3における窪み10aに対応する部分と窪み10aとの両方にサーマルグリス9を塗布してもよい。同じく、補助板(底面)6hと底面部2との両方にサーマルグリス8を塗布してもよい。
【0036】
・取り付け補助板載置(固定)工程
サーマルグリス塗布工程の後に、図7(d)及び図7(e)に示すように、取り付け補助板6をモジュールケース1(凹部4)へ固定する。取り付け補助板6の補助板6hと補助板6vとが、それぞれ、モジュールケース1(凹部4)の底面部2と側面部3とに固定され、取り付け補助板6の屈曲部7が底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分に固定されるように、取り付け補助板6を凹部4に配置してねじ11及びボルト12(図示は省略)により、取り付け補助板6をモジュールケース1(凹部4)へ固定する。その際に、図7(e)のように、孔部10の開口からサーマルグリス9がはみ出した場合、その部分は余剰部分(はみ出し部分)となるので拭き取ることにより、図7(f)に示すような実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールを得ることができる。なお、孔部10以外の補助板6vと側面部3との間にサーマルグリス9が一部はみ出してもよい。また、第2のサーマルグリス層9は、図7(f)に示すように、孔部10の開口(補助板6vの端部(頂点部))までサーマルグリス9を充填したものである必要ない。
【0037】
実施の形態1に係る実施の形態1に係る電子部品の放熱構造に使用する取り付け補助板6の窪み部10aの形状は、図3〜5に記載のコ字状のものやU字状のものでなくともよい。つまり、孔部10(窪み10aと側面部3とにより構成されるもの)は、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9とを隔てる隔壁が、モジュールケース1への取り付け補助板6の固定により形成されるものであればよい。図8は、取り付け補助板6の詳細構造の変形例を示したものである。
【0038】
図8は、ねじ11及びボルト12(ねじやボルトを通す穴も含む)を省略したものである。図8の孔部10には、取り付け補助板6における側面部3と対向する部分に形成された窪み10aがあり、この窪み部10aは、先に述べた孔部10の開口(細長いスリット状に開放された形状の開口)の方向へ向かうにつれて、テーパ状に広がっていく形状を有するものである。取り付け補助板6を側面部3に固定されることで、モジュールケース1の側面部3、取り付け補助板6の屈曲部7及び補助板6v(窪み10a)の側方部分により、取り付け補助板6の側面部3に固定された側における屈曲部7に対して反対側の端部側が開口(細長いスリット状に開放された形状の開口)を除き、窪み10aが封鎖される。
【0039】
実施の形態1(変形例)に係る電子部品の放熱構造が、このような構造となっているために、図9に示すように、サーマルグリス9が孔部10に留まり、第2のサーマルグリス層9を維持している。図8及び9に記載の窪み部10aでは、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)の組立手順で説明した取り付け補助板載置工程にて、底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分へ、取り付け補助板6の屈曲部7を位置合わせしてから、補助板(側面)6vを側面部3に押した場合でも、孔部10からサーマルグリス9が勢いよく飛び出す可能性が低い。これは、窪み部10aが、孔部10の開口(細長いスリット状に開放された形状の開口)の方向へ向かうにつれて、テーパ状に広がっていく形状を有するものであるためである。
【0040】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図10〜12を用いて説明する。図10(a)は図10(c)の一点鎖線CCから矢印方向に見た電子モジュールの断面図、図10(b)は電子モジュールの側面図、図10(c)は電子モジュールの平面図(蓋部の一部を透視した図)、図11(a)は図10(a)を拡大した電子モジュール(電子部品の放熱構造)の断面図、図11(b)は図11(a)に対応する電子モジュール(電子部品の放熱構造)の平面図(蓋部を透視した図)、図12(a)は図10(c)の一点鎖線C’C’から矢印方向に見た電子モジュールの断面図(一部)、図12(b)は図12(a)のL方向から見た取り付け補助板の平面図(電子部品省略)である。図10〜12において、孔部10は、側面部3における取り付け補助板6と対向する部分に形成された窪み10bと取り付け補助板6とにより形成される。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0041】
実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールがモジュールケース1には、複数の凹部4が形成され、孔部10の窪み10aが補助板(側面)6vに形成されていたが、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、モジュールケース1には、一つの凹部4が形成され、孔部10の窪み10bがモジュールケース1の側面部3に形成されるものである。もちろん、実施の形態1及び2を組み合わせて、モジュールケース1に複数の凹部4が形成し、孔部10の窪み10bがモジュールケース1の側面部3に形成してもよいし、モジュールケース1に一つの凹部4が形成し、孔部10の窪み10aが補助板(側面)6vに形成してもよい。
【0042】
図10は、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールを示している。電子回路4cが単独で存在した場合でも、電子部品5のモジュールケース壁面(側面部(電磁遮蔽壁)3)に固定することで実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールと同様の効果を得ることができる。
【0043】
図10(c)は、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの全体構成を示している。図10(c)では、蓋部4fを部分的に透視したものである。具体的には、基板4sの一部以外のモジュールケース1形状やモジュールケース1に収納されているものを透視した状態となっている。電子モジュールはモジュールケース1に一つの電子回路4c、基板4sが実装される構造である。電子回路4c間には電気的干渉を避けるため電波を遮断するモジュールケース壁面である電磁遮蔽壁(側面部)3を設けている。図10(b)は、電子モジュールの側面図であり、電子回路4cと接続され、コネクタ4iが図示されている。コネクタ4iを介して電子回路4cは外部と信号のやり取りを行う。なお、電子回路4cにおける処理と基板4sでの処理は相互関係があるものである。基板4sは、コネクタ4o及び端子4tを介して外部と信号のやり取りを行う。また、図10(a)からは、電子部品5,取り付け補助基板6,ねじ11,ボルト12の位置関係が分かる。
【0044】
図11を用いて、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造を具体的に説明する。図11(a)(b)は、電子部品5の取り付け詳細を示したものである。電子部品5は、平面方向取り付け面(底面部)2に加えて垂直方向取り付け面(側面部)3に取り付け補助板6を介して、設置されている。取り付け補助板6は、平面方向取り付け面2にはモジュールケース1にねじ11により密着させ固定、垂直方向取り付け面3には垂直方向取り付け面(側面部、電磁遮蔽壁)3にボルト12により密着させ固定する。放熱性を向上させるため、平面方向取り付け面2とモジュールケース1の間、垂直方向取り付け面3と電磁遮蔽壁3の間には、それぞれサーマルグリス8、サーマルグリス9を塗布して、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9を形成している。
【0045】
図11(a)の記載のように、第1のサーマルグリス層8の配置から、サーマルグリス8の塗布の際に生じた余剰部分や塗布後の流失があった場合でもモジュールケース1の凹部4の底面部2にサーマルグリス8が留まることが分かる。図11(b)の記載のように、サーマルグリス8は、モジュールケース1の底面部2に取り付け補助板2の取り付けた際に、取り付け補助板2(主に補助板6h)から、一部はみ出してもよい。図11(a)(b)の記載のように、第2のサーマルグリス層9の配置から、サーマルグリス9の塗布の際に生じた余剰部分があった場合でも、孔部10の開口から流失部分がはみ出してくるだけであるので、拭き取ることで容易に余剰部分を除去することができる。
【0046】
また、図11(b)に記載のように、モジュールケース1の底面部2及び側面部3から構成される凹部4を覆う蓋部4fと取り付け補助板6とを非接触にすることで、孔部10の開口から覗くサーマルグリス9が蓋部4fに付着する可能性が低くなり、蓋部4fの内面(凹部4に向かった方の面)側をサーマルグリス9で汚したくない場合に有効である。但し、側面部3における窪み部10bの上側の端部(蓋部4f側の端部)にサーマルグリス9を塗布すると、蓋部4fの内面(凹部4に向かった方の面)を汚す可能性はある。さらに、孔部10内に第2のサーマルグリス層9が保持されるので、鉛直面と一致する補助板6vに対向する側面部3(窪み10b)には所望のサーマルグリス塗布厚さに等しい第2のサーマルグリス層9が設けられ、塗布したグリスを保持することができる。これにより、実施の形態2に係る電子部品の放熱構想は、追加部品を必要とせずに放熱面積を増し良好な放熱を行うことができる可能性が高まった放熱構造及びサーマルグリス8及びサーマルグリス9の流出を抑えた放熱構造を容易に得ることができる。
【0047】
つまり、孔部10は、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9とを隔てる隔壁を有していることになり、その隔壁はモジュールケース1への取り付け補助板6の固定により形成されるものであることが分かる。ここで、図12などを用いて、孔部10における隔壁の機能を有している部分の詳細説明を行う。孔部10には、取り付け補助板6における側面部3と対向する部分に形成された窪み10bがある。取り付け補助板6を側面部3に固定されることで、取り付け補助板6の補助板(側面)6v、取り付け補助板6の屈曲部7、モジュールケース1の側面部3(窪み10b)の側方部分により、取り付け補助板6の側面部3に固定された側における屈曲部7に対して反対側の端部側が細長いスリット状に開放された形状の開口を除き、窪み10bが封鎖される。
【0048】
実施の形態2に係る電子部品の放熱構造が、このような構造となっているために、図12に示すように、サーマルグリス9が孔部10に留まり、第2のサーマルグリス層9を維持している。図12(b)では電子部品5は図示を省略されているが、図12(a)から電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、補助板6hと補助板6vとに固定され、L字状の屈曲部7の隅部分に配置されていることが分かる。これにより、電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、取り付け補助板6を介して、底面部2と側面部3とに固定され、底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分に配置されていることが分かる。
【0049】
実施の形態2に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)では、取り付け補助板6が強度や厚みの面から窪み10aが形成できない場合であっても、比較的、肉厚が厚い側面部(電磁遮蔽壁)3に窪み10bを形成することで、サーマルグリス9を充填する孔部10を形成することができるので、第2のサーマルグリス層を得ることができる。
【0050】
・サーマルグリス塗布工程(実施の形態2)
ここで、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造(及びこれを有する電子モジュール)におけるサーマルグリス塗布工程を説明する。電子部品5の取り付け補助板6への電子部品載置工程の後に、取り付け補助板6の補助板6hと側面部3とに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布する。塗布面は、それぞれ、電子部品5が載置された面と反対側の補助板(底面)6hと側面部3である。但し、側面部3に関しては窪み10bが塗布面の主体となる。この主体となる塗布面の全面にサーマルグリス9を塗布してもよいが、サーマルグリス塗布工程後に行う取り付け補助板載置工程で、取り付け補助板6をモジュールケース1の側面部3(凹部4)に取り付けた際に、孔部10にサーマルグリス9が充填され、第2のサーマルグリス層9が形成できる量のサーマルグリス9が、主体となる塗布面に塗布されておれば、主体となる塗布面の全面にサーマルグリス9を塗布する必要はない。
【0051】
なお、取り付け補助板6をモジュールケース1(凹部4)へ固定する際に補助板(底面)6hと側面部3(特に、窪み10b)に対応する部分であれば、モジュールケース1(凹部4)の底面部2と取り付け補助板6の補助板(側面)6vとに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布してもよい。もちろん、補助板(側面)6vにおける窪み10bに対応する部分と窪み10bとの両方にサーマルグリス9を塗布してもよい。同じく、補助板(底面)6hと底面部2との両方にサーマルグリス8を塗布してもよい。
【0052】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図13を用いて説明する。図13(a)は電子モジュールの断面図(一部)であり、実施の形態2における図10(c)の一点鎖線C’C’から矢印方向に見た電子モジュールの断面図(一部)に相当する。図13(b)は図13(a)のL方向から見た取り付け補助板の平面図(電子部品省略)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0053】
実施の形態1では、孔部10が取り付け補助板6における側面部3と対向する部分に形成された窪み10aと側面部3とにより形成されるものを説明し、実施の形態2では、孔部10が側面部3における取り付け補助板6と対向する部分に形成された窪み10bと取り付け補助板6とにより形成されるもの説明したが、本願に係る電子部品の放熱構造及びこれを用いた電子モジュールは、これらに限るものではない。具体的には、この実施の形態3において説明を行う。
【0054】
実施の形態3に係る電子部品の放熱構造及びこれを用いた電子モジュールは、図13に示すように、孔部10が窪み10a及び窪み10bの両方を、それぞれ、取り付け補助板6及びモジュールケース1(側面部3)に形成することで構成されている。このような構造となっているために、図13に示すように、サーマルグリス9が孔部10に留まり、第2のサーマルグリス層9を維持している。図13(b)では電子部品5は図示を省略されているが、図13(a)から電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、補助板6hと補助板6vとに固定され、L字状の屈曲部7の隅部分に配置されていることが分かる。これにより、電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、取り付け補助板6を介して、底面部2と側面部3とに固定され、底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分に配置されていることが分かる。
【0055】
実施の形態3に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)では、例えば、設計済みの側面部(電磁遮蔽壁)3に形成された窪み10bでは、所望とする厚みの第2のサーマルグリス層9に対して、薄い厚みの第2のサーマルグリス層9しか得られない場合であっても、比較的、後加工が容易な取り付け補助板6に窪み10aを形成することで、サーマルグリス9を充填する孔部10の厚み・形状を変更することができる。
【0056】
なお、実施の形態3に係る電子モジュールにおいても、図示は省略するが、実施の形態1及び2に係る電子モジュールと同様に、モジュールケース1に複数の凹部4が形成してもよいし、モジュールケース1に一つの凹部4が形成してもよい。さらに、図13においては、取り付け補助板載置工程に対向した窪み10aと窪み10bとの窪み形状(外形)は同じものとなっているが、窪み10aと窪み10bとの窪み形状(外形)が同じものでなくともよい。
【0057】
・サーマルグリス塗布工程(実施の形態3)
ここで、実施の形態3に係る電子部品の放熱構造(及びこれを有する電子モジュール)におけるサーマルグリス塗布工程を説明する。電子部品5の取り付け補助板6への電子部品載置工程の後に、取り付け補助板6の補助板6hと補助板6vとに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布する。塗布面は、それぞれ、電子部品5が載置された面と反対側の補助板(底面)6hと窪み10aである。
但し、窪み10aの全面にサーマルグリス9を塗布してもよいが、サーマルグリス塗布工程後に行う取り付け補助板載置工程で、取り付け補助板6をモジュールケース1の側面部3(凹部4)に取り付けた際に、孔部10にサーマルグリス9が充填され、第2のサーマルグリス層9が形成できる量のサーマルグリス9が、窪み10aに塗布されておれば、窪み10aの全面にサーマルグリス9を塗布する必要はない。
【0058】
なお、モジュールケース1(凹部4)の底面部2と窪み10bとに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布してもよい。もちろん、窪み10aと窪み10bとの両方にサーマルグリス9を塗布してもよい。同じく、補助板(底面)6hと底面部2との両方にサーマルグリス8を塗布してもよい。
【0059】
本願に係る発明は、追加部品を必要とせずに電子部品の伝導面積を増し部品接触面のサーマルグリスの流出を抑えるために、鉛直面と一致する電子部品の垂直面に垂直方向取付板を設けると共に部品接触面にグリス層を設けグリスの流出を抑えることで、電子部品の高密度実装、小型化を阻害せず良好な放熱を維持する放熱構造が可能となる。
【0060】
さらに、実施の形態1〜3におけるサーマルグリス塗布工程では、サーマルグリス8とサーマルグリス9との両方を塗布していたが、サーマルグリス8の塗布をサーマルグリス塗布工程で行い(第1のサーマルグリス塗布(充填)工程)、取り付け補助板載置工程により形成された孔部10に、サーマルグリス9を注入(充填)してもよい(第2のサーマルグリス塗布(充填)工程)。このようにすることで、取り付け補助板載置(固定)工程における孔部10からのサーマルグリス9の余剰部分(はみ出し部分)を少なくすること、又は、無くすことができる。また、第2のサーマルグリス塗布(充填)工程を行うことで、孔部10へ充填するサーマルグリス9は、垂直面に塗布することが困難な粘度のものでも使用することができる。
【0061】
実施の形態3にて、これまで説明した以外の実施の形態3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関する事項は、実施の形態1及び2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関する事項と同様であり、相互に置換できる。
【0062】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について図14及び図15を用いて説明する。なお、図14(a)(b)及び図15(a)(b)は、実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及び電子部品の構成図(代表として、窪み10aを有するものを記載している)であり、図14(c)及び図15(c)は、実施の形態4に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及び電子部品の構成図である。詳しくは、図14(a)及び図15(a)は取り付け補助板の側面図(電子部品載置済み)、図14(b)及び図15(b)は取り付け補助板の側面図(電子部品を透視した図)、図14(c)及び図15(c)は取り付け補助板の側面図(電子部品を透視した図)である。
【0063】
図14(a)(b)において、電子部品5は、その筐体内にICチップや高周波素子などの発熱素子5iが基板(プリント基板)5sに形成されて収納されている構造である。図15(a)(b)において、電子部品5は、その筐体内にHPA(High Power Amplifier)などのアンプ素子5hなどの発熱素子が収納されている構造である。基板(プリント基板)5sは、取り付け補助板6の補助板(底面)6h上に発熱素子5i載置するために、補助板(底面)6hと発熱素子5iとの間に介在するものである。また、電子部品5の筐体は、側壁5vと蓋部5cから構成されている。側壁5vが蓋部5cを支持している。図14(c)において、側壁6cと突起6dとが、取り付け補助板6に一体で形成されており、側壁6cと突起6dとが、側壁5vの代わりとなっており、蓋部5cを支持している。図15(c)において、側壁6cと段差6eとが、取り付け補助板6に一体で形成されており、側壁6cと段差6eとが、側壁5vの代わりとなっており、蓋部5cを支持している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0064】
実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、電子部品5は、その筐体内にICチップや高周波素子などの発熱素子が収納されている構造であったが(図14(a)(b))、実施の形態4に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、電子部品5の筐体を取り付け補助板6と一体化させた構造である。取り付け補助板6における補助板6h上に側壁6cを一体で形成し、取り付け補助板6における補助板6vに突起6dを一体で形成することで、側壁5vがない分、発熱素子5i(基板5s)を取り付け補助板6における屈曲部7に近づけることができるので、実施の形態4に電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールは、電子部品5の放熱の効果が、より上がる。
【0065】
同じく、実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、電子部品5は、その筐体内にICチップや高周波素子などの発熱素子が収納されている構造であったが(図15(a)(b))、実施の形態4に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、電子部品5の筐体を取り付け補助板6と一体化させた構造である。取り付け補助板6における補助板6h上に側壁6cを一体で形成し、取り付け補助板6における補助板6vに段差6eを一体で形成することで、側壁5vがない分、アンプ素子5hを取り付け補助板6における屈曲部7に近づけることができるので、実施の形態4に電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールは、電子部品5の放熱の効果が、より上がる。
【0066】
実施の形態4において、電子部品載置工程は、取り付け補助板6における補助板6h上に発熱素子5i又はアンプ素子5h(発熱素子)を載置する工程といえる。詳しくは、発熱素子5iが形成された基板5sを補助板6hにおける側壁6cと補助板6v(突起6d)で覆われた領域に載置して、蓋部5cを側壁6cと突起6dとに被せる。若しくは、アンプ素子5h(発熱素子)を補助板6hにおける側壁6cと補助板6v(段差6e)で覆われた領域に載置して、蓋部5cを側壁6cと段差6eとに被せる。この蓋部5cによる封止は、取り付け補助板載置工程の後でもよい。なお、蓋部5cによる封止が取り付け補助板載置工程の後でもよいことは、実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでも同様である。
【0067】
実施の形態4に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールにおいては、図14(c)に記載の突起6dと図15(c)に記載の段差6eとを相互に置換してもよいことはいうまでもなく、さらに、実施の形態4にて、これまで説明した以外の実施の形態4に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関する事項は、実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関する事項と同様であり、相互に置換できる。
【符号の説明】
【0068】
1・・モジュールケース、2・・底面部、3・・側面部(電磁遮蔽壁)、4・・凹部、4c・・電子回路、4s・・基板(プリント基板)、4i・・コネクタ、4o・・コネクタ、4t・・端子、4f・・蓋部(電磁遮蔽蓋)、5・・電子部品(発熱部品)、5i・・発熱素子、5s・・基板(プリント基板)、5v・・側壁、5c・・蓋部、5h・・アンプ素子、6・・取り付け補助板、6h・・補助板(底面)、6v・・補助板(側面)、6c・・側壁、6d・・突起、6e・・段差、7・・屈曲部、8・・第1のサーマルグリス層(サーマルグリス)、9・・第2のサーマルグリス層(サーマルグリス)、10・・孔部、10a・・窪み、10b・・窪み、11・・ねじ、12・・ボルト。
【技術分野】
【0001】
この発明は、モジュールケース内に収納された電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品の放熱構造としては、電子部品を取り付ける他部品に電子部品が発する熱を伝導させて逃がすのが代表的な放熱方法の一つであるが、電子モジュールに実装される電子部品の発熱密度はその性能向上に伴い大きくなる傾向であり、適切な放熱を行わないと性能の低下や劣化に繋がる。よって、伝導面積を増やして放熱性能を向上させることが考えられるが、高密度実装、小型化が求められている状況では電子モジュールの平面方向に伝導面積を増すこと、追加部品を使用して平面方向以外の伝導面を設けることは困難である。そのため以下のような電子部品自体に垂直方向の伝導面を設けて他部品に接触させ伝導面積を増す従来技術が存在する。
【0003】
従来、電子部品などの発熱部品の放熱構造は、発熱部品をL字形(L字状)の放熱板の一片をねじによって基板に取り付け、他片をねじによってケース本体の側板に取り付けるものがある(例えば、特許文献1の図22参照)。また、特許文献1の図11には、ケースに設けた弾性押圧片を電子部品で変形させ、押圧力で押圧片を電子部品垂直に密着させ部品点数を増やさずに伝導面積を増し、良好な放熱を行う技術が開示されている。この開示された技術は、追加部品を必要とせず、電子部品の放熱を良好に行うことができるというて点で、電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの高密度実装の実行や小型化に寄与している。
【0004】
上記のような従来技術である部品の接触面を通した伝導での放熱において、その表面状態が放熱性能に影響することは周知の事実である。すなわち、部品表面には微小な凹凸が存在しこれらが接触するとその間に熱伝導性の悪い空気が含まれ放熱性が悪くなり、発熱部品の発熱密度が高い場合に所望の放熱効果が得られない。このため接触面に熱伝導性の高いサーマルグリスを塗布して凹凸間に空気が存在しないサーマルグリス層を形成することが行われる(例えば、特許文献2の図3参照)。なお、本願では、サーマルグリス(サーマルグリース)、サーマルペースト、シリコングリス、ヒートシンクコンパウンドなどのペースト状の熱伝導性物質を総称してサーマルグリス(放熱グリス)と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−167318号公報(第11図及び第22図)
【特許文献2】特開2011−35320号公報(第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の電子部品の放熱構造において、鉛直面にサーマルグリスを塗布した場合、サーマルグリスには流動性があり、塗布面が鉛直面であるために、時間経過によりグリスが流出してしまい放熱効果が悪化する。そのため、電子部品の放熱構造において、電子部品自体に設けた垂直方向の伝導面と鉛直面が一致する場合にサーマルグリスを使用すると、所望の放熱効果が徐々に減退していくという課題がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、電子モジュール内に収納する電子部品の垂直方向伝導面(例えば、特許文献1における「L字形(L字状)の放熱板の他片が取り付けられたケース本体の側板の面」)と鉛直面とが一致する場合であっても、部品接触面にサーマルグリスを塗布してもグリスが流出する可能性を大幅に減少し得る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る電子部品の放熱構造は、底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケースと、このモジュールケースに収納された電子部品と、前記モジュールケースの底面部及び側面部上に固定され、前記底面部と前記側面部とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部を有する板で構成され、前記電子部品と前記モジュールケースとの間に介在し、前記電子部品が発する熱を前記モジュールケースへ伝導させる取り付け補助板と、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部と連続する側方部側が閉鎖され、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部に対して反対側の端部側が開放された前記取り付け補助板と前記側面部との間に形成された空間である孔部とを備え、前記取り付け補助板と前記底面部との間に第1のサーマルグリス層を有し、前記孔部に充填された第2のサーマルグリス層を有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記孔部が、前記第1のサーマルグリス層と前記第2のサーマルグリス層とを隔てる隔壁を有し、この隔壁は前記モジュールケースへの前記取り付け補助板の固定により形成されるものである請求項1に記載のものである。
【0010】
請求項3の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記孔部が、前記取り付け補助板における前記側面部と対向する部分に形成された窪みと前記側面部とにより形成されるものである請求項1又は2に記載のものである。
【0011】
請求項4の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記孔部が、前記側面部における前記取り付け補助板と対向する部分に形成された窪みと前記取り付け補助板とにより形成されるものである請求項1〜3のいずれかに記載のものである。
【0012】
請求項5の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記孔部が、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部に対して反対側の端部側が開放された形状が細長いスリット状である請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0013】
請求項6の発明に係る電子部品の放熱構造は、底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケースと、このモジュールケースに収納された電子部品と、前記モジュールケースの底面部及び側面部上に固定され、前記底面部と前記側面部とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部を有する板で構成され、前記電子部品と前記モジュールケースとの間に介在し、前記電子部品が発する熱を前記モジュールケースへ伝導させる取り付け補助板とを備え、前記取り付け補助板と前記底面部との間に第1のサーマルグリス層を有し、前記取り付け補助板と前記側面部との間に、前記屈曲部によって前記第1のサーマルグリス層と隔絶された第2のサーマルグリス層を有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項7の発明に係る電子部品の放熱構造は、前記電子部品の筐体と前記取り付け補助板とが、一体である請求項1〜6のいずれかに記載のものである。
【0015】
請求項8の発明に係る電子モジュールは、請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品の放熱構造を有する電子モジュールであって、前記モジュールケースの底面部及び側面部から構成される凹部を覆う蓋部を備え、前記モジュールケース内に前記凹部が並列に複数配置され、この複数配置された凹部ごとの前記電子部品間が、前記側面部及び前記蓋部によって電磁遮蔽されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、請求項1〜7に係る発明によれば、第2のサーマルグリス層が鉛直面に沿って延在させた場合でも、時間経過によるサーマルグリスの流出がない電子部品の放熱構造を得ることができる。
【0017】
請求項8に係る発明によれば、第2のサーマルグリス層が鉛直面に沿って延在させた場合でも、時間経過によるサーマルグリスの流出がない電子モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの詳細図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板の構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板の構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板の構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及びモジュールケースの構成図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造におけるモジュールケースへの取り付け補助板の取り付け手順説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板の構成図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及びモジュールケースの構成図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの構成図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの詳細図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及びモジュールケースの構成図である。
【図13】この発明の実施の形態3に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及びモジュールケースの構成図である。
【図14】この発明の実施の形態1〜4に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及び電子部品の構成図である。
【図15】この発明の実施の形態1〜4に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及び電子部品の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜9を用いて説明する。図1(a)は図1(c)の一点鎖線AAから矢印方向に見た電子モジュールの断面図、図1(b)は電子モジュールの側面図、図1(c)は電子モジュールの平面図(蓋部の一部を透視した図)、図2(a)は図1(a)の一点鎖線円Bを拡大した電子モジュール(電子部品の放熱構造)の断面図、図2(b)は図2(a)に対応する電子モジュール(電子部品の放熱構造)の平面図(蓋部を透視した図)、図3(a)は取り付け補助板の側面図、図3(b)は図3(a)のL1方向から見た取り付け補助板の平面図、図3(c)は図3(a)のL2方向から見た取り付け補助板の側面図、図4(a)は取り付け補助板の側面図、図4(b)は図4(a)のL1方向から見た取り付け補助板の平面図、図4(c)は図4(a)のL2方向から見た取り付け補助板の側面図、図5(a)は取り付け補助板の側面図、図5(b)は図5(a)のL1方向から見た取り付け補助板の平面図、図5(c)は図5(a)のL2方向から見た取り付け補助板の側面図、図6(a)は図1(c)の一点鎖線A’A’から矢印方向に見た電子モジュールの断面図(一部)、図6(b)は図6(a)のL方向から見た取り付け補助板の平面図(電子部品省略)である。
【0020】
ここで、図7(a)〜(f)は図1(c)の一点鎖線A’A’による電子モジュール(電子部品、電子部品の放熱構造)の断面図に相当する部分を用いたモジュールケースへの取り付け補助板の取り付け手順説明図、図7(a)は取り付け補助板の断面図、図7(b)は電子部品及び取り付け補助板の断面図、図7(c)は電子部品及び取り付け補助板(サーマルグリス塗布後)の断面図、図7(c)〜(d)は電子部品及び取り付け補助板並びにモジュールケースの断面図、図8(a)は取り付け補助板の側面図、図8(b)は図8(a)のL1方向から見た取り付け補助板の平面図、図8(c)は図8(a)のL2方向から見た取り付け補助板の側面図、図9(a)は図1(c)の一点鎖線A’A’から矢印方向に見た電子モジュールの断面図(一部)、図9(b)は図9(a)のL方向から見た取り付け補助板の平面図(電子部品省略)である。
【0021】
図1〜9において、導電性のモジュールケース1は底面部2、この底面部2と交差する側面部(電磁遮蔽壁)3を有する。また、モジュールケース1の底面部2及び側面部3から構成される凹部4を覆う蓋部(電磁遮蔽蓋)4fを備えている。図1では、モジュールケース1内に凹部4が並列に複数配置され、この複数配置された凹部4ごとの電子部品5(つまり、発熱部品である電子部品5がモジュールケース1に収納されている)などから構成される電子回路4c間が、側面部(電磁遮蔽壁)3及一枚の蓋部4f(厳密には、底面部2も含む)によって電磁遮蔽されている。換言すると、全ての凹部4に対して蓋をするように、凹部4が並列に複数並んだ配列方向に亘って、モジュールケース1上に蓋部4fが延在している。また、凹部4は、対向する側面部3と底面部2から構成されているが、モジュールケース1において、最外殻の側面部3はモジュールケース1の外壁(外壁面)を兼ねている。このモジュールケース1の外壁は、蓋部4fがモジュールケース1を封止することで、電磁遮蔽とともに外部環境とモジュールケース1の内部とを遮断している。電子回路4cは、図中では点線で囲われた部分である。電子回路4c又は複数の電子回路4cの一方はモジュールケース1内に配置された基板(プリント基板)4sに接続され、他方は、コネクタ4iに接続されている。また、基板(プリント基板)4sの一方は、前述のとおり、電子回路4cに接続され、他方は、コネクタ4o及び端子4tに接続されている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0022】
図1〜9において、取り付け補助板6は、電子部品5が載置(固定)されるものであって、モジュールケース1の底面部2及び側面部3上に固定され、底面部2と側面部3とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部7を有する板である。なお、取り付け補助板6は電子部品5とモジュールケース1との間に介在し、電子部品5が発する熱をモジュールケース1へ伝導させるものである。また、取り付け補助板6における底面部2と対向する部分を補助板(底面)6hとし、取り付け補助板6における側面部3と対向する部分を補助板(側面)6vとする。第1のサーマルグリス層8は、ペースト状のサーマルグリス8から構成されており、取り付け補助板6と底面部2との間に形成されている。第2のサーマルグリス層9は、ペースト状のサーマルグリス9から構成されており、取り付け補助板6と側面部3との間に、屈曲部7によって第1のサーマルグリス層8と隔絶されて形成されている。サーマルグリス8とサーマルグリス9とは同じものであっても異なるものであってもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0023】
図1〜9において、孔部10は取り付け補助板5の側面部3に固定された側における屈曲部7と連続する側方部側が閉鎖され、取り付け補助板5の側面部3に固定された側における屈曲部7に対して反対側の端部側が開放された取り付け補助板5と側面部3との間に形成されたポケット状の空間である。第2のサーマルグリス層9は孔部10に充填されている。孔部10は、取り付け補助板6における側面部と対向する部分に形成された窪み10aと側面部3とにより形成されるものである。取り付け補助板6をモジュールケース1への取り付け(固定)は、補助板(底面)6hを底面部2へ「ねじ11」で固定し(ボルトでもよい)、補助板(側面)6vを側面部3へ「ボルト12」で固定することで行っているが(ねじでもよい)、図1〜9の図中で、ねじ11、ボルト12の図示を省略しているものがある。締結手段(取り付け/固定手段)は、ねじ11やボルト12に制限されない。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0024】
図1(c)は、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの全体構成を示している。図1(c)では、蓋部4fを部分的に透視したものである。具体的には、基板4sの一部以外のモジュールケース1形状やモジュールケース1に収納されているものを透視した状態となっている。電子モジュールはモジュールケース1に任意の2組以上の電子回路4c(図1は4組)、基板4sが実装される構造であり、電子部品5は電子回路4cの構成部品で発熱する。電子回路4c間には電気的干渉を避けるため電波を遮断する電磁遮蔽壁(側面部)3を設けている。詳しくは、モジュールケース1内に凹部4が並列に4つ配置され、この4つ配置された凹部4ごとの電子部品5(電子回路4c)間が、側面部3及び蓋部4fによって電磁遮蔽されている。
【0025】
図1(b)は、電子モジュールの側面図であり、電子回路4cと接続され、コネクタ4iが図示されている(4組)。コネクタ4iを介して電子回路4cは外部と信号のやり取りを行う。なお、各電子回路4cにおける処理と基板4sでの処理は相互関係があるものである。基板4sは、コネクタ4o及び端子4tを介して外部と信号のやり取りを行う。また、図1(a)からは、電子部品5,取り付け補助基板6,ねじ11,ボルト12の位置関係が分かる。さらに、図1(a)〜(c)から、実施の形態1に係る電子モジュールのモジュールケースは平板(カード)状であることが分かる。
【0026】
実施の形態1に係る電子部品の放熱構造に関する以下の説明は、4つの凹部4に収納された電子部品5も、L字状の取り付け補助板6の方向が異なる以外は同様の構成となっているので、実施の形態1に係る電子モジュール(モジュールケース1)における一つの凹部4に収納された電子部品5に関して行う。加えて、本願に係る電子部品の放熱構造(及びこれを有する電子モジュール)のサーマルグリス9の保持機能を最大限に発揮できる配置である底面部2を平面方向(水平方向)に配置し、側面部3を垂直方向(鉛直方向)にした場合を用いて説明するが、常にこの姿勢(配置)を維持する必要はない。つまり、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)は、第2のサーマルグリス層9が鉛直面に沿って延在させた場合でも、時間経過によるサーマルグリス9の孔部10からの流出がないものである。
【0027】
図2を用いて、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造を具体的に説明する。図2(a)(b)は、電子部品5の取り付け詳細を示したものである。電子部品5は、平面方向取り付け面(底面部)2に加えて垂直方向取り付け面(側面部)3に取り付け補助板6を介して、設置されている。取り付け補助板6は、平面方向取り付け面2にはモジュールケース1にねじ11により密着させ固定、垂直方向取り付け面3には垂直方向取り付け面(側面部、電磁遮蔽壁)3にボルト12により密着させ固定する。放熱性を向上させるため、平面方向取り付け面2とモジュールケース1の間、垂直方向取り付け面3と電磁遮蔽壁3の間には、それぞれサーマルグリス8、サーマルグリス9を塗布して、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9を形成している。
【0028】
図2(a)の記載のように、第1のサーマルグリス層8の配置から、サーマルグリス8の塗布の際に生じた余剰部分や塗布後の流失があった場合でもモジュールケース1の凹部4の底面部2にサーマルグリス8が留まることが分かる。図2(b)の記載のように、サーマルグリス8は、モジュールケース1の底面部2に取り付け補助板2の取り付けた際に、取り付け補助板2(主に補助板6h)から、一部はみ出してもよい。図2(a)(b)の記載のように、第2のサーマルグリス層9の配置から、サーマルグリス9の塗布の際に生じた余剰部分があった場合でも、孔部10の開口から流失部分がはみ出してくるだけであるので、拭き取ることで容易に余剰部分を除去することができる。
【0029】
また、図2(b)に記載のように、モジュールケース1の底面部2及び側面部3から構成される凹部4を覆う蓋部4fと取り付け補助板6とを非接触にすることで、孔部10の開口から覗くサーマルグリス9が蓋部4fに付着する可能性が低くなり、蓋部4fの内面(凹部4に向かった方の面)側をサーマルグリス9で汚したくない場合に有効である。さらに、孔部10内に第2のサーマルグリス層9が保持されるので、鉛直面と一致する補助板6v(窪み10a)には所望のサーマルグリス塗布厚さに等しい第2のサーマルグリス層9が設けられ、塗布したグリスを保持することができる。これにより、実施の形態1に係る電子部品の放熱構想は、追加部品を必要とせずに放熱面積を増し良好な放熱を行うことができる可能性が高まった放熱構造及びサーマルグリス8及びサーマルグリス9の流出を抑えた放熱構造を容易に得ることができる。
【0030】
つまり、孔部10は、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9とを隔てる隔壁を有していることになり、その隔壁はモジュールケース1への取り付け補助板6の固定により形成されるものであることが分かる。ここで、図3〜6を用いて、孔部10における隔壁の機能を有している部分の詳細説明を行う。図3〜5は、取り付け補助板6の詳細構造を示したものである。図3は、ねじ11及びボルト12(ねじやボルトを通す穴も含む)を省略したものであり、図4及び5は、ボルト12を図示したものである(ねじ11は省略)。図3の孔部10には、取り付け補助板6における側面部3と対向する部分に形成された窪み10aがある。取り付け補助板6を側面部3に固定されることで、モジュールケース1の側面部3、取り付け補助板6の屈曲部7及び補助板6v(窪み10a)の側方部分により、取り付け補助板6の側面部3に固定された側における屈曲部7に対して反対側の端部側が細長いスリット状に開放された形状の開口を除き、窪み10aが封鎖される。
【0031】
図4及び5は、図3で省略したボルト12を図示したものである。第2のサーマルグリス層9からのサーマルグリス9の流失が問題とならない場合やボルト12の穴にサーマルグリス9の流失対策が施されている場合は、図4に記載のように、ボルト12を孔部10(窪み10a)内に通してもよい。逆に、そうで無い場合は、図5に記載のような取り付け補助板6の補助板6v(窪み10a)の側方部分に、ボルト12が配置される形状を取る必要がある。図5(b)(c)では、ボルト12を通すためのリブを孔部10(窪み10a)内に突出させている。なお、ボルト12が孔部10にはみ出さずに、配置できる程度の厚みが、補助板6v(窪み10a)の側方部分にあれば、ボルト12を通すためのリブは必要ない。ボルト12を通すためのリブがある場合は、孔部10の容積を大きくすることができる。実施の形態1に係る電子部品の放熱構造が、このような構造となっているために、図6に示すように、サーマルグリス9が孔部10に留まり、第2のサーマルグリス層9を維持している。
【0032】
図6(b)では電子部品5は図示を省略されているが、図6(a)から電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、補助板6hと補助板6vとに固定され、L字状の屈曲部7の隅部分に配置されていることが分かる。これにより、電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、取り付け補助板6を介して、底面部2と側面部3とに固定され、底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分に配置されていることが分かる。
【0033】
・電子部品載置(固定)工程
次に、図7を用いて、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)の組立手順(一例であり、工程の順序を制限するものではない)を説明する。図7(a)に図示された取り付け補助板6へ電子部品5を載置(固定)する。載置(固定)方法は、一般的な手法を用いればよい。載置による電子部品5と取り付け補助板6との配置の詳細は図7(b)に示すとおりである。具体的には、前述のとおり、電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、補助板6hと補助板6vとに固定され、L字状の屈曲部7の隅部分に配置されることになる。なお、電子部品5は、その筐体内にICチップや高周波素子などの発熱素子が収納されている構造であるが、電子部品5の筐体を取り付け補助板6と一体化させた場合は、電子部品載置工程は、取り付け補助板6の補助板(底面)6h上に発熱素子を載置する工程といえる。電子部品5の筐体を取り付け補助板6と一体化させた場合の詳細は、後述の実施の形態4で説明する。
【0034】
・サーマルグリス塗布工程
電子部品5の取り付け補助板6への電子部品載置工程の後に、図7(c)に示すように、取り付け補助板6の補助板6hと補助板6vとに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布する。塗布面は、それぞれ、電子部品5が載置された面と反対側の補助板(底面)6hと補助板(側面)6vとである。但し、補助板(側面)6vに関しては窪み10aが塗布面の主体となる。この主体となる塗布面の全面にサーマルグリス9を塗布してもよいが、サーマルグリス塗布工程後に行う取り付け補助板載置工程で、取り付け補助板6をモジュールケース1の側面部3(凹部4)に取り付けた際に、孔部10にサーマルグリス9が充填され、第2のサーマルグリス層9が形成できる量のサーマルグリス9が、主体となる塗布面に塗布されておれば、主体となる塗布面の全面にサーマルグリス9を塗布する必要はない。
【0035】
なお、取り付け補助板6をモジュールケース1(凹部4)へ固定する際に補助板(底面)6hと補助板(側面)6v(特に、窪み10a)に対応する部分であれば、モジュールケース1(凹部4)の底面部2と側面部3とに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布してもよい。もちろん、側面部3における窪み10aに対応する部分と窪み10aとの両方にサーマルグリス9を塗布してもよい。同じく、補助板(底面)6hと底面部2との両方にサーマルグリス8を塗布してもよい。
【0036】
・取り付け補助板載置(固定)工程
サーマルグリス塗布工程の後に、図7(d)及び図7(e)に示すように、取り付け補助板6をモジュールケース1(凹部4)へ固定する。取り付け補助板6の補助板6hと補助板6vとが、それぞれ、モジュールケース1(凹部4)の底面部2と側面部3とに固定され、取り付け補助板6の屈曲部7が底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分に固定されるように、取り付け補助板6を凹部4に配置してねじ11及びボルト12(図示は省略)により、取り付け補助板6をモジュールケース1(凹部4)へ固定する。その際に、図7(e)のように、孔部10の開口からサーマルグリス9がはみ出した場合、その部分は余剰部分(はみ出し部分)となるので拭き取ることにより、図7(f)に示すような実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールを得ることができる。なお、孔部10以外の補助板6vと側面部3との間にサーマルグリス9が一部はみ出してもよい。また、第2のサーマルグリス層9は、図7(f)に示すように、孔部10の開口(補助板6vの端部(頂点部))までサーマルグリス9を充填したものである必要ない。
【0037】
実施の形態1に係る実施の形態1に係る電子部品の放熱構造に使用する取り付け補助板6の窪み部10aの形状は、図3〜5に記載のコ字状のものやU字状のものでなくともよい。つまり、孔部10(窪み10aと側面部3とにより構成されるもの)は、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9とを隔てる隔壁が、モジュールケース1への取り付け補助板6の固定により形成されるものであればよい。図8は、取り付け補助板6の詳細構造の変形例を示したものである。
【0038】
図8は、ねじ11及びボルト12(ねじやボルトを通す穴も含む)を省略したものである。図8の孔部10には、取り付け補助板6における側面部3と対向する部分に形成された窪み10aがあり、この窪み部10aは、先に述べた孔部10の開口(細長いスリット状に開放された形状の開口)の方向へ向かうにつれて、テーパ状に広がっていく形状を有するものである。取り付け補助板6を側面部3に固定されることで、モジュールケース1の側面部3、取り付け補助板6の屈曲部7及び補助板6v(窪み10a)の側方部分により、取り付け補助板6の側面部3に固定された側における屈曲部7に対して反対側の端部側が開口(細長いスリット状に開放された形状の開口)を除き、窪み10aが封鎖される。
【0039】
実施の形態1(変形例)に係る電子部品の放熱構造が、このような構造となっているために、図9に示すように、サーマルグリス9が孔部10に留まり、第2のサーマルグリス層9を維持している。図8及び9に記載の窪み部10aでは、実施の形態1に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)の組立手順で説明した取り付け補助板載置工程にて、底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分へ、取り付け補助板6の屈曲部7を位置合わせしてから、補助板(側面)6vを側面部3に押した場合でも、孔部10からサーマルグリス9が勢いよく飛び出す可能性が低い。これは、窪み部10aが、孔部10の開口(細長いスリット状に開放された形状の開口)の方向へ向かうにつれて、テーパ状に広がっていく形状を有するものであるためである。
【0040】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図10〜12を用いて説明する。図10(a)は図10(c)の一点鎖線CCから矢印方向に見た電子モジュールの断面図、図10(b)は電子モジュールの側面図、図10(c)は電子モジュールの平面図(蓋部の一部を透視した図)、図11(a)は図10(a)を拡大した電子モジュール(電子部品の放熱構造)の断面図、図11(b)は図11(a)に対応する電子モジュール(電子部品の放熱構造)の平面図(蓋部を透視した図)、図12(a)は図10(c)の一点鎖線C’C’から矢印方向に見た電子モジュールの断面図(一部)、図12(b)は図12(a)のL方向から見た取り付け補助板の平面図(電子部品省略)である。図10〜12において、孔部10は、側面部3における取り付け補助板6と対向する部分に形成された窪み10bと取り付け補助板6とにより形成される。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0041】
実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールがモジュールケース1には、複数の凹部4が形成され、孔部10の窪み10aが補助板(側面)6vに形成されていたが、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、モジュールケース1には、一つの凹部4が形成され、孔部10の窪み10bがモジュールケース1の側面部3に形成されるものである。もちろん、実施の形態1及び2を組み合わせて、モジュールケース1に複数の凹部4が形成し、孔部10の窪み10bがモジュールケース1の側面部3に形成してもよいし、モジュールケース1に一つの凹部4が形成し、孔部10の窪み10aが補助板(側面)6vに形成してもよい。
【0042】
図10は、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールを示している。電子回路4cが単独で存在した場合でも、電子部品5のモジュールケース壁面(側面部(電磁遮蔽壁)3)に固定することで実施の形態1に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールと同様の効果を得ることができる。
【0043】
図10(c)は、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールの全体構成を示している。図10(c)では、蓋部4fを部分的に透視したものである。具体的には、基板4sの一部以外のモジュールケース1形状やモジュールケース1に収納されているものを透視した状態となっている。電子モジュールはモジュールケース1に一つの電子回路4c、基板4sが実装される構造である。電子回路4c間には電気的干渉を避けるため電波を遮断するモジュールケース壁面である電磁遮蔽壁(側面部)3を設けている。図10(b)は、電子モジュールの側面図であり、電子回路4cと接続され、コネクタ4iが図示されている。コネクタ4iを介して電子回路4cは外部と信号のやり取りを行う。なお、電子回路4cにおける処理と基板4sでの処理は相互関係があるものである。基板4sは、コネクタ4o及び端子4tを介して外部と信号のやり取りを行う。また、図10(a)からは、電子部品5,取り付け補助基板6,ねじ11,ボルト12の位置関係が分かる。
【0044】
図11を用いて、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造を具体的に説明する。図11(a)(b)は、電子部品5の取り付け詳細を示したものである。電子部品5は、平面方向取り付け面(底面部)2に加えて垂直方向取り付け面(側面部)3に取り付け補助板6を介して、設置されている。取り付け補助板6は、平面方向取り付け面2にはモジュールケース1にねじ11により密着させ固定、垂直方向取り付け面3には垂直方向取り付け面(側面部、電磁遮蔽壁)3にボルト12により密着させ固定する。放熱性を向上させるため、平面方向取り付け面2とモジュールケース1の間、垂直方向取り付け面3と電磁遮蔽壁3の間には、それぞれサーマルグリス8、サーマルグリス9を塗布して、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9を形成している。
【0045】
図11(a)の記載のように、第1のサーマルグリス層8の配置から、サーマルグリス8の塗布の際に生じた余剰部分や塗布後の流失があった場合でもモジュールケース1の凹部4の底面部2にサーマルグリス8が留まることが分かる。図11(b)の記載のように、サーマルグリス8は、モジュールケース1の底面部2に取り付け補助板2の取り付けた際に、取り付け補助板2(主に補助板6h)から、一部はみ出してもよい。図11(a)(b)の記載のように、第2のサーマルグリス層9の配置から、サーマルグリス9の塗布の際に生じた余剰部分があった場合でも、孔部10の開口から流失部分がはみ出してくるだけであるので、拭き取ることで容易に余剰部分を除去することができる。
【0046】
また、図11(b)に記載のように、モジュールケース1の底面部2及び側面部3から構成される凹部4を覆う蓋部4fと取り付け補助板6とを非接触にすることで、孔部10の開口から覗くサーマルグリス9が蓋部4fに付着する可能性が低くなり、蓋部4fの内面(凹部4に向かった方の面)側をサーマルグリス9で汚したくない場合に有効である。但し、側面部3における窪み部10bの上側の端部(蓋部4f側の端部)にサーマルグリス9を塗布すると、蓋部4fの内面(凹部4に向かった方の面)を汚す可能性はある。さらに、孔部10内に第2のサーマルグリス層9が保持されるので、鉛直面と一致する補助板6vに対向する側面部3(窪み10b)には所望のサーマルグリス塗布厚さに等しい第2のサーマルグリス層9が設けられ、塗布したグリスを保持することができる。これにより、実施の形態2に係る電子部品の放熱構想は、追加部品を必要とせずに放熱面積を増し良好な放熱を行うことができる可能性が高まった放熱構造及びサーマルグリス8及びサーマルグリス9の流出を抑えた放熱構造を容易に得ることができる。
【0047】
つまり、孔部10は、第1のサーマルグリス層8と第2のサーマルグリス層9とを隔てる隔壁を有していることになり、その隔壁はモジュールケース1への取り付け補助板6の固定により形成されるものであることが分かる。ここで、図12などを用いて、孔部10における隔壁の機能を有している部分の詳細説明を行う。孔部10には、取り付け補助板6における側面部3と対向する部分に形成された窪み10bがある。取り付け補助板6を側面部3に固定されることで、取り付け補助板6の補助板(側面)6v、取り付け補助板6の屈曲部7、モジュールケース1の側面部3(窪み10b)の側方部分により、取り付け補助板6の側面部3に固定された側における屈曲部7に対して反対側の端部側が細長いスリット状に開放された形状の開口を除き、窪み10bが封鎖される。
【0048】
実施の形態2に係る電子部品の放熱構造が、このような構造となっているために、図12に示すように、サーマルグリス9が孔部10に留まり、第2のサーマルグリス層9を維持している。図12(b)では電子部品5は図示を省略されているが、図12(a)から電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、補助板6hと補助板6vとに固定され、L字状の屈曲部7の隅部分に配置されていることが分かる。これにより、電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、取り付け補助板6を介して、底面部2と側面部3とに固定され、底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分に配置されていることが分かる。
【0049】
実施の形態2に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)では、取り付け補助板6が強度や厚みの面から窪み10aが形成できない場合であっても、比較的、肉厚が厚い側面部(電磁遮蔽壁)3に窪み10bを形成することで、サーマルグリス9を充填する孔部10を形成することができるので、第2のサーマルグリス層を得ることができる。
【0050】
・サーマルグリス塗布工程(実施の形態2)
ここで、実施の形態2に係る電子部品の放熱構造(及びこれを有する電子モジュール)におけるサーマルグリス塗布工程を説明する。電子部品5の取り付け補助板6への電子部品載置工程の後に、取り付け補助板6の補助板6hと側面部3とに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布する。塗布面は、それぞれ、電子部品5が載置された面と反対側の補助板(底面)6hと側面部3である。但し、側面部3に関しては窪み10bが塗布面の主体となる。この主体となる塗布面の全面にサーマルグリス9を塗布してもよいが、サーマルグリス塗布工程後に行う取り付け補助板載置工程で、取り付け補助板6をモジュールケース1の側面部3(凹部4)に取り付けた際に、孔部10にサーマルグリス9が充填され、第2のサーマルグリス層9が形成できる量のサーマルグリス9が、主体となる塗布面に塗布されておれば、主体となる塗布面の全面にサーマルグリス9を塗布する必要はない。
【0051】
なお、取り付け補助板6をモジュールケース1(凹部4)へ固定する際に補助板(底面)6hと側面部3(特に、窪み10b)に対応する部分であれば、モジュールケース1(凹部4)の底面部2と取り付け補助板6の補助板(側面)6vとに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布してもよい。もちろん、補助板(側面)6vにおける窪み10bに対応する部分と窪み10bとの両方にサーマルグリス9を塗布してもよい。同じく、補助板(底面)6hと底面部2との両方にサーマルグリス8を塗布してもよい。
【0052】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図13を用いて説明する。図13(a)は電子モジュールの断面図(一部)であり、実施の形態2における図10(c)の一点鎖線C’C’から矢印方向に見た電子モジュールの断面図(一部)に相当する。図13(b)は図13(a)のL方向から見た取り付け補助板の平面図(電子部品省略)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0053】
実施の形態1では、孔部10が取り付け補助板6における側面部3と対向する部分に形成された窪み10aと側面部3とにより形成されるものを説明し、実施の形態2では、孔部10が側面部3における取り付け補助板6と対向する部分に形成された窪み10bと取り付け補助板6とにより形成されるもの説明したが、本願に係る電子部品の放熱構造及びこれを用いた電子モジュールは、これらに限るものではない。具体的には、この実施の形態3において説明を行う。
【0054】
実施の形態3に係る電子部品の放熱構造及びこれを用いた電子モジュールは、図13に示すように、孔部10が窪み10a及び窪み10bの両方を、それぞれ、取り付け補助板6及びモジュールケース1(側面部3)に形成することで構成されている。このような構造となっているために、図13に示すように、サーマルグリス9が孔部10に留まり、第2のサーマルグリス層9を維持している。図13(b)では電子部品5は図示を省略されているが、図13(a)から電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、補助板6hと補助板6vとに固定され、L字状の屈曲部7の隅部分に配置されていることが分かる。これにより、電子部品5の底面と側面(一つの側面)とが、それぞれ、取り付け補助板6を介して、底面部2と側面部3とに固定され、底面部2と側面部3とにより形成されたモジュールケース1(凹部4)のL字状の屈曲部分の隅部分に配置されていることが分かる。
【0055】
実施の形態3に係る電子部品の放熱構造(電子モジュール)では、例えば、設計済みの側面部(電磁遮蔽壁)3に形成された窪み10bでは、所望とする厚みの第2のサーマルグリス層9に対して、薄い厚みの第2のサーマルグリス層9しか得られない場合であっても、比較的、後加工が容易な取り付け補助板6に窪み10aを形成することで、サーマルグリス9を充填する孔部10の厚み・形状を変更することができる。
【0056】
なお、実施の形態3に係る電子モジュールにおいても、図示は省略するが、実施の形態1及び2に係る電子モジュールと同様に、モジュールケース1に複数の凹部4が形成してもよいし、モジュールケース1に一つの凹部4が形成してもよい。さらに、図13においては、取り付け補助板載置工程に対向した窪み10aと窪み10bとの窪み形状(外形)は同じものとなっているが、窪み10aと窪み10bとの窪み形状(外形)が同じものでなくともよい。
【0057】
・サーマルグリス塗布工程(実施の形態3)
ここで、実施の形態3に係る電子部品の放熱構造(及びこれを有する電子モジュール)におけるサーマルグリス塗布工程を説明する。電子部品5の取り付け補助板6への電子部品載置工程の後に、取り付け補助板6の補助板6hと補助板6vとに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布する。塗布面は、それぞれ、電子部品5が載置された面と反対側の補助板(底面)6hと窪み10aである。
但し、窪み10aの全面にサーマルグリス9を塗布してもよいが、サーマルグリス塗布工程後に行う取り付け補助板載置工程で、取り付け補助板6をモジュールケース1の側面部3(凹部4)に取り付けた際に、孔部10にサーマルグリス9が充填され、第2のサーマルグリス層9が形成できる量のサーマルグリス9が、窪み10aに塗布されておれば、窪み10aの全面にサーマルグリス9を塗布する必要はない。
【0058】
なお、モジュールケース1(凹部4)の底面部2と窪み10bとに、それぞれペースト状のサーマルグリス8とペースト状のサーマルグリス9とを塗布してもよい。もちろん、窪み10aと窪み10bとの両方にサーマルグリス9を塗布してもよい。同じく、補助板(底面)6hと底面部2との両方にサーマルグリス8を塗布してもよい。
【0059】
本願に係る発明は、追加部品を必要とせずに電子部品の伝導面積を増し部品接触面のサーマルグリスの流出を抑えるために、鉛直面と一致する電子部品の垂直面に垂直方向取付板を設けると共に部品接触面にグリス層を設けグリスの流出を抑えることで、電子部品の高密度実装、小型化を阻害せず良好な放熱を維持する放熱構造が可能となる。
【0060】
さらに、実施の形態1〜3におけるサーマルグリス塗布工程では、サーマルグリス8とサーマルグリス9との両方を塗布していたが、サーマルグリス8の塗布をサーマルグリス塗布工程で行い(第1のサーマルグリス塗布(充填)工程)、取り付け補助板載置工程により形成された孔部10に、サーマルグリス9を注入(充填)してもよい(第2のサーマルグリス塗布(充填)工程)。このようにすることで、取り付け補助板載置(固定)工程における孔部10からのサーマルグリス9の余剰部分(はみ出し部分)を少なくすること、又は、無くすことができる。また、第2のサーマルグリス塗布(充填)工程を行うことで、孔部10へ充填するサーマルグリス9は、垂直面に塗布することが困難な粘度のものでも使用することができる。
【0061】
実施の形態3にて、これまで説明した以外の実施の形態3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関する事項は、実施の形態1及び2に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関する事項と同様であり、相互に置換できる。
【0062】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について図14及び図15を用いて説明する。なお、図14(a)(b)及び図15(a)(b)は、実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及び電子部品の構成図(代表として、窪み10aを有するものを記載している)であり、図14(c)及び図15(c)は、実施の形態4に係る電子部品の放熱構造における取り付け補助板及び電子部品の構成図である。詳しくは、図14(a)及び図15(a)は取り付け補助板の側面図(電子部品載置済み)、図14(b)及び図15(b)は取り付け補助板の側面図(電子部品を透視した図)、図14(c)及び図15(c)は取り付け補助板の側面図(電子部品を透視した図)である。
【0063】
図14(a)(b)において、電子部品5は、その筐体内にICチップや高周波素子などの発熱素子5iが基板(プリント基板)5sに形成されて収納されている構造である。図15(a)(b)において、電子部品5は、その筐体内にHPA(High Power Amplifier)などのアンプ素子5hなどの発熱素子が収納されている構造である。基板(プリント基板)5sは、取り付け補助板6の補助板(底面)6h上に発熱素子5i載置するために、補助板(底面)6hと発熱素子5iとの間に介在するものである。また、電子部品5の筐体は、側壁5vと蓋部5cから構成されている。側壁5vが蓋部5cを支持している。図14(c)において、側壁6cと突起6dとが、取り付け補助板6に一体で形成されており、側壁6cと突起6dとが、側壁5vの代わりとなっており、蓋部5cを支持している。図15(c)において、側壁6cと段差6eとが、取り付け補助板6に一体で形成されており、側壁6cと段差6eとが、側壁5vの代わりとなっており、蓋部5cを支持している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0064】
実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、電子部品5は、その筐体内にICチップや高周波素子などの発熱素子が収納されている構造であったが(図14(a)(b))、実施の形態4に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、電子部品5の筐体を取り付け補助板6と一体化させた構造である。取り付け補助板6における補助板6h上に側壁6cを一体で形成し、取り付け補助板6における補助板6vに突起6dを一体で形成することで、側壁5vがない分、発熱素子5i(基板5s)を取り付け補助板6における屈曲部7に近づけることができるので、実施の形態4に電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールは、電子部品5の放熱の効果が、より上がる。
【0065】
同じく、実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、電子部品5は、その筐体内にICチップや高周波素子などの発熱素子が収納されている構造であったが(図15(a)(b))、実施の形態4に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでは、電子部品5の筐体を取り付け補助板6と一体化させた構造である。取り付け補助板6における補助板6h上に側壁6cを一体で形成し、取り付け補助板6における補助板6vに段差6eを一体で形成することで、側壁5vがない分、アンプ素子5hを取り付け補助板6における屈曲部7に近づけることができるので、実施の形態4に電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールは、電子部品5の放熱の効果が、より上がる。
【0066】
実施の形態4において、電子部品載置工程は、取り付け補助板6における補助板6h上に発熱素子5i又はアンプ素子5h(発熱素子)を載置する工程といえる。詳しくは、発熱素子5iが形成された基板5sを補助板6hにおける側壁6cと補助板6v(突起6d)で覆われた領域に載置して、蓋部5cを側壁6cと突起6dとに被せる。若しくは、アンプ素子5h(発熱素子)を補助板6hにおける側壁6cと補助板6v(段差6e)で覆われた領域に載置して、蓋部5cを側壁6cと段差6eとに被せる。この蓋部5cによる封止は、取り付け補助板載置工程の後でもよい。なお、蓋部5cによる封止が取り付け補助板載置工程の後でもよいことは、実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールでも同様である。
【0067】
実施の形態4に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールにおいては、図14(c)に記載の突起6dと図15(c)に記載の段差6eとを相互に置換してもよいことはいうまでもなく、さらに、実施の形態4にて、これまで説明した以外の実施の形態4に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関する事項は、実施の形態1〜3に係る電子部品の放熱構造及びこれを有する電子モジュールに関する事項と同様であり、相互に置換できる。
【符号の説明】
【0068】
1・・モジュールケース、2・・底面部、3・・側面部(電磁遮蔽壁)、4・・凹部、4c・・電子回路、4s・・基板(プリント基板)、4i・・コネクタ、4o・・コネクタ、4t・・端子、4f・・蓋部(電磁遮蔽蓋)、5・・電子部品(発熱部品)、5i・・発熱素子、5s・・基板(プリント基板)、5v・・側壁、5c・・蓋部、5h・・アンプ素子、6・・取り付け補助板、6h・・補助板(底面)、6v・・補助板(側面)、6c・・側壁、6d・・突起、6e・・段差、7・・屈曲部、8・・第1のサーマルグリス層(サーマルグリス)、9・・第2のサーマルグリス層(サーマルグリス)、10・・孔部、10a・・窪み、10b・・窪み、11・・ねじ、12・・ボルト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケースと、このモジュールケースに収納された電子部品と、前記モジュールケースの底面部及び側面部上に固定され、前記底面部と前記側面部とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部を有する板で構成され、前記電子部品と前記モジュールケースとの間に介在し、前記電子部品が発する熱を前記モジュールケースへ伝導させる取り付け補助板と、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部と連続する側方部側が閉鎖され、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部に対して反対側の端部側が開放された前記取り付け補助板と前記側面部との間に形成された空間である孔部とを備え、前記取り付け補助板と前記底面部との間に第1のサーマルグリス層を有し、前記孔部に充填された第2のサーマルグリス層を有することを特徴とする電子部品の放熱構造。
【請求項2】
前記孔部は、前記第1のサーマルグリス層と前記第2のサーマルグリス層とを隔てる隔壁を有し、この隔壁は前記モジュールケースへの前記取り付け補助板の固定により形成されるものである請求項1に記載の電子部品の放熱構造。
【請求項3】
前記孔部は、前記取り付け補助板における前記側面部と対向する部分に形成された窪みと前記側面部とにより形成されるものである請求項1又は2に記載の電子部品の放熱構造。
【請求項4】
前記孔部は、前記側面部における前記取り付け補助板と対向する部分に形成された窪みと前記取り付け補助板とにより形成されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品の放熱構造。
【請求項5】
前記孔部は、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部に対して反対側の端部側が開放された形状が細長いスリット状である請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品の放熱構造。
【請求項6】
底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケースと、このモジュールケースに収納された電子部品と、前記モジュールケースの底面部及び側面部上に固定され、前記底面部と前記側面部とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部を有する板で構成され、前記電子部品と前記モジュールケースとの間に介在し、前記電子部品が発する熱を前記モジュールケースへ伝導させる取り付け補助板とを備え、前記取り付け補助板と前記底面部との間に第1のサーマルグリス層を有し、前記取り付け補助板と前記側面部との間に、前記屈曲部によって前記第1のサーマルグリス層と隔絶された第2のサーマルグリス層を有することを特徴とする電子部品の放熱構造。
【請求項7】
前記電子部品の筐体と前記取り付け補助板とは、一体である請求項1〜6のいずれかに記載の電子部品の放熱構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品の放熱構造を有する電子モジュールであって、前記モジュールケースの底面部及び側面部から構成される凹部を覆う蓋部を備え、前記モジュールケース内に前記凹部が並列に複数配置され、この複数配置された凹部ごとの前記電子部品間が、前記側面部及び前記蓋部によって電磁遮蔽されたことを特徴とする電子モジュール。
【請求項1】
底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケースと、このモジュールケースに収納された電子部品と、前記モジュールケースの底面部及び側面部上に固定され、前記底面部と前記側面部とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部を有する板で構成され、前記電子部品と前記モジュールケースとの間に介在し、前記電子部品が発する熱を前記モジュールケースへ伝導させる取り付け補助板と、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部と連続する側方部側が閉鎖され、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部に対して反対側の端部側が開放された前記取り付け補助板と前記側面部との間に形成された空間である孔部とを備え、前記取り付け補助板と前記底面部との間に第1のサーマルグリス層を有し、前記孔部に充填された第2のサーマルグリス層を有することを特徴とする電子部品の放熱構造。
【請求項2】
前記孔部は、前記第1のサーマルグリス層と前記第2のサーマルグリス層とを隔てる隔壁を有し、この隔壁は前記モジュールケースへの前記取り付け補助板の固定により形成されるものである請求項1に記載の電子部品の放熱構造。
【請求項3】
前記孔部は、前記取り付け補助板における前記側面部と対向する部分に形成された窪みと前記側面部とにより形成されるものである請求項1又は2に記載の電子部品の放熱構造。
【請求項4】
前記孔部は、前記側面部における前記取り付け補助板と対向する部分に形成された窪みと前記取り付け補助板とにより形成されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品の放熱構造。
【請求項5】
前記孔部は、前記取り付け補助板の前記側面部に固定された側における前記屈曲部に対して反対側の端部側が開放された形状が細長いスリット状である請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品の放熱構造。
【請求項6】
底面部、この底面部と交差する側面部を有するモジュールケースと、このモジュールケースに収納された電子部品と、前記モジュールケースの底面部及び側面部上に固定され、前記底面部と前記側面部とが交差する隅部分に接触するL字状の屈曲部を有する板で構成され、前記電子部品と前記モジュールケースとの間に介在し、前記電子部品が発する熱を前記モジュールケースへ伝導させる取り付け補助板とを備え、前記取り付け補助板と前記底面部との間に第1のサーマルグリス層を有し、前記取り付け補助板と前記側面部との間に、前記屈曲部によって前記第1のサーマルグリス層と隔絶された第2のサーマルグリス層を有することを特徴とする電子部品の放熱構造。
【請求項7】
前記電子部品の筐体と前記取り付け補助板とは、一体である請求項1〜6のいずれかに記載の電子部品の放熱構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品の放熱構造を有する電子モジュールであって、前記モジュールケースの底面部及び側面部から構成される凹部を覆う蓋部を備え、前記モジュールケース内に前記凹部が並列に複数配置され、この複数配置された凹部ごとの前記電子部品間が、前記側面部及び前記蓋部によって電磁遮蔽されたことを特徴とする電子モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−89672(P2013−89672A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226795(P2011−226795)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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