説明

電子部品の検査装置

【課題】BGAを用いた電子部品の接続箇所の検査を効率良く実施できるようにする。
【解決手段】電子部品1は、複数の接続端子を配列したBGAを用いて実装したCPU2を有する。CPU2の接続端子の検査は、全ての接続端子を複数のグループに分けて検査する。端子選択部23は、各グループから検査対象となる接続端子をターゲット端子として1つずつ選択する。モニタ部25で、各ターゲット端子と他の接続端子との短絡を各グループにおいて同時に検査する。各グループ内の全ての接続端子をターゲット端子に選択して検査を行ったら、処理を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップを表面実装する際には、ICチップを収納するパッケージに小さいボール状の半田電極を格子状に配列させたBGA(ball grid array)パッケージが用いられることがある。
【0003】
ここで、BGAに用いられる半田電極は微小であることから、半田電極を基板に接続した後で、半田電極が基板の電極に正しく接続されていることを検査する工程が設けられている。この検査工程は、全数検査であることが好ましいが、半田付けした箇所を直接に目視で確認することは困難である。さらに、X線を用いた検査では、製品の半田付け不良を確実に発見することが困難であった。このため、電気的な方法を用いて半田付けの不良、例えば短絡を検査する方法が検討されている。
【0004】
従来の電気的な検査方法としては、ICチップの接続端(半田電極)を1つずつ順番に選択し、他の接続端との間で短絡を調べるものがある。より詳細には、最初に1つの接続端を選択し、その接続端の論理レベルを「0」にセットする。さらに、選択した接続端に隣接する全ての接続端の論理レベルを「1」にセットする。選択した接続端と隣接する接続端の間に電圧を印加し、いずれかの接続端において電流上昇が検出された場合には、選択した接続端が他のいずれかの接続端と短絡していると判断する。そして、この検査を全ての接続端について順番に行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−228193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の検査方法では、全ての接続端を1つずつ選択して検査する必要があった。つまり、検査回数が接続端の数に相当するので、接続端の数が多い場合には検査に時間がかかった。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、BGAを用いた電子部品の接続箇所の検査を効率良く実施できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の一観点によれば、半田接合による接続端子を複数有する電子部品の前記接続端子間の短絡の有無を電圧レベルの変化によって検査する電子部品の検査装置において、隣接する複数の前記接続端子を1つのグループとし、全ての前記グループのそれぞれから検査対象となる前記接続端子をターゲット端子として1つずつ選択し、前記ターゲット端子と前記ターゲット端子に隣接する他の前記接続端子との間の短絡の有無を全ての前記グループに対して同時に調べる検査部を含むことを特徴とする電子部品の検査装置が提供される。
【0008】
本発明の別の観点によれば、前記検査部が、前記ターゲット端子を前記グループの各々から1つずつ選択する端子選択部と、前記ターゲット端子の入力レベル又は出力レベルを設定する検査条件設定部と、前記ターゲット端子と前記ターゲット端子に隣接する他の前
記接続端子との間の短絡を調べるモニタ部とを有し、前記ターゲット端子を前記グループ内で順番に変更しながら前記ターゲット端子とその周囲の前記接続端子との間の短絡の有無を調べるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の検査装置が提供される。
【0009】
本発明の別の観点によれば、前記端子選択部が、隣り合う2つの前記グループのそれぞれの前記ターゲット端子が隣り合う位置に配置されないように前記ターゲット端子を選択するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の検査装置が提供される。
【0010】
本発明の別の観点によれば、前記検査条件設定部が、前記ターゲット端子と前記ターゲット端子に隣接する他の前記接続端子の論理レベルを設定するように構成され、前記端子選択部は、前記グループを形成する前記接続端子を1回ずつ前記ターゲット端子として選択するように構成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検査装置が提供される。
【0011】
本発明の別の観点によれば、前記端子選択部が、前記接続端子を2回ずつ前記ターゲット端子として選択するように構成され、前記検査条件設定部は、1回目に前記ターゲット端子に選択されたときの前記接続端子の論理レベルと、2回目に前記ターゲット端子に選択されたときの前記接続端子の論理レベルとを異ならせるように構成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の接続端子を1つのグループとし、各グループに対して同時に検査を行えるようになるので、接続端子を1つずつ選択して全数検査を行う場合に比べて、検査時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る電子部品の検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2は、CPUの接続端子の配置の一例を模式的に示す図である。
【図3】図3は、CPUの接続端子が4×4の配置である例を模式的に示す図である。
【図4】図4は、検査方法のフローチャートである。
【図5】図5は、検査の各ステップにおける論理レベルの設定値を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態の変形例を説明するための図である。
【図7】図7は、検査の各ステップにおける論理レベルの設定値を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について以下に詳細に説明する。
図1に本実施形態において検査対象となる電子部品と、電子部品の検査装置の概略構成を示す。
この実施の形態において、電子部品1は、CPU(Central Processing Unit)2を有し、CPU2の入力側には電気的又は電子的な回路3aが接続されている。回路3aは、カプラ4aを介して他の部品や回路に接続可能に構成されている。また、CPU2の出力側には電気的又は電子的な回路3bが接続されている。回路3bは、カプラ4bを介して他の部品や回路に接続可能に構成されている。このような電子部品1としては、例えば、自動車用のデバイスの制御に用いられるECU(Electronic control unit)などがあげられる。電子部品1は、BGAを用いて半導体素子などの接続端子5が接続される構成を含んでいれば良く、他の回路3a,3bやカプラ4a,4bは必須の構成要素ではない。また、電子部品1の用途も自動車用のデバイスに限定されない。また、電子部品1と他の
部品を接続する手段は、カプラ4a,4bに限定されない。
【0015】
ここで、図2にBGAの一例を示す。CPU2には、回路3などに電気的に接続される接続端子5が多数設けられている。これら接続端子5は、半田電極から形成されており、アレイ状に配列されることでBGAを形成している。そして、これら多数の接続端子5と、図示を省略する基板などの電極とを接合させることで、CPU2に電極を供給したり、必要な情報を入出力したりすることが可能になる。なお、図2の例では、接続端子5が「1」から「256」までの合計256個配列されているが、これ以外の数でも良い。また、接続端子5の配列も図2に限定されない。
【0016】
検査装置10は、電子部品1に接続させて使用され、電子部品1に信号を入力させることができる入力部11と、検査の制御を行う検査制御部12と、電子部品1から出力される信号を取り込む出力部13とを有する。入力部11は、差動増幅回路やスイッチなどを含み、電子部品1の入力用のカプラ4aを介して所定の回路3aに電圧を印加できるように構成されている。検査制御部12は、CPUやメモリ、その他の回路などから構成されており、公知の通信インターフェイスを用いて電子部品1のCPU2と直接に信号の転送が可能に構成されている。通信インターフェイスは、電子部品1が自動車用のECUの場合に、例えばCAN/IF(Controller Area Network Interface)を用いることができる。出力部13は、抵抗や差動増幅回路などを含み、電子部品1の出力用のカプラ4bを介して所定の回路3bからの信号を受け取り、所定の信号を生成するように構成されている。
【0017】
ここで、検査制御部12は、予め定められたグループに接続端子5を割り当てるグループ設定部21と、複数のグループに対して同時に接続端子5の検査を行う検査部22とに機能分割できる。さらに、検査部22は、グループ内の1つの接続端子5をターゲット端子として選択する端子選択部23と、各接続端子5の論理レベル及び入出力の設定を行う検査条件設定部24と、ターゲット端子とその周囲の接続端子5との間の短絡を調べるモニタ部25とに機能分割できる。
【0018】
次に、検査装置10を用いた電子部品1の検査方法について説明する。なお、以下の説明では、理解を容易にするために、図3に示すように接続端子5が4×4に配列された例を参照して説明する。また、検査工程の前に実装工程を行い、電子部品1にCPU2の接続端子5を半田接合させておく。
【0019】
最初に、電子部品1の入力側のカプラ4aに検査装置10の入力部11を接続する。電子部品1の出力側のカプラ4bには、検査装置10の出力部13を接続する。さらに、検査制御部12とCPU2とを通信ケーブルで接続する。
【0020】
検査にあたって、検査装置10は、図4に示すようなフローに従って検査を実施する。すなわち、最初にグループの設定を行い(ステップS101)、各グループ内の接続端子5から検査対象となるターゲット端子を選択する(ステップS102)。さらに、各接続端子5の論理レベルを設定し(ステップS103)、その後にターゲット端子と他の接続端子5との間の短絡をチェックする(ステップS104)。グループ内の全ての接続端子5を一回ずつターゲット端子として選択していない場合は(ステップS105でNo)、ターゲット端子の情報を更新し(ステップS106)、別のターゲット端子についてステップS102からステップS104までの処理を実施する。そして、グループ内の全ての接続端子5をターゲット端子として選択して検査を実施したら(ステップS105でYes)、ここでの処理を終了する。
【0021】
まず、ステップS101では、CPU2の接続端子5の配列に基づいて予め定められた
グループ分けに従って、グループ設定部21が複数の接続端子5をグループ分けする。1つのグループに含まれる接続端子5の数は、任意に選択できるが、全ての接続端子5がいずれかのグループに含まれるようにする。以下、図3を参照して、1つのグループに4つの接続端子5が2×2の配列で選択される場合について説明する。この場合、左上に第1のグループ41が形成され、左下に第2のグループ42が形成される。さらに、右上に第3のグループ43が形成され、右下に第4のグループ44が形成される。なお、このようなグループ分けの情報は、予め制御装置41に検査制御部12のメモリなどに登録されているものを用いることができる。また、作業者がグループを特定する情報を入力することで、グループ分けを行っても良い。グループの設定は、登録された情報又は入力された情報に基づいて行われ、全ての接続端子5がいずれかのグループに属することになる。
【0022】
以下、各グループ41〜44内の接続端子5を区別する場合は、第1のグループ41内で左上に配置される接続端子5を接続端子51A、左下の接続端子5を接続端子51B、右上の接続端子5を接続端子51C、右下の接続端子5を接続端子51Dとする。同様に、第2のグループ42では、左上、左下、右上、右下のそれぞれを接続端子52A、接続端子52B、接続端子52C、接続端子52Dとする。第3のグループ43では、左上、左下、右上、右下のそれぞれを接続端子53A、接続端子53B、接続端子53C、接続端子53Dとする。第4のグループ44では、左上、左下、右上、右下のそれぞれを接続端子54A、接続端子54B、接続端子54C、接続端子54Dとする。
【0023】
なお、グループ設定部21により設定されるグループ41〜44の数は、全接続端子5の数が4の倍数の場合にはCPU2の全接続端子5の数の1/4になる。全接続端子5の数が4の倍数でない場合には、全接続端子5の数の1/4に相当するグループと、接続端子5の数が4つに満たないグループが1つ形成される。つまり、全接続端子5の数がM個の場合、グループの数は、M/4個、又は(M/4)+1個になる。
【0024】
次に、ステップS102で、端子選択部23が各グループ41〜44の中から検査の対象になる接続端子5を1つずつ選択し、これをターゲット端子とする。つまり、端子選択部23によって、全ての接続端子5の中から、グループの数だけターゲット端子が選択される。
【0025】
ここで、端子選択部23は、隣り合うグループ41〜44の間で2つのターゲット端子が隣接して配置されないようにターゲット端子を選択する。例えば、図5(a)に示すように、端子選択部23は、最初の検査時に各グループ41〜44のそれぞれの左上の接続端子51A,52A,53A,54Aをターゲット端子として選択する。これにより、1つのターゲット端子51A〜54Aの周囲は、上下左右斜めも含めて、ターゲット端子51A〜54Aとして選択されていない接続端子5(以下、非ターゲット端子ともいう)のみになる。例えば、第4のグループ44の場合は、ターゲット端子54Aの周りは、同じグループ44の他の非ターゲット端子54B,54C,54Dと、第1のグループ41の非ターゲット端子51D、第2にグループ42の非ターゲット端子52C,52D、第3のグループ43の非ターゲット端子53B,53Dの合計8つが配置される。
【0026】
次に、ステップS103で検査条件設定部24が、CPU2との間で通信を行って各接続端子5の入出力の設定と、論理レベルの設定とをそれぞれ行う。例えば、図5(a)に示すように、検査条件設定部24は、各グループ41〜44の全てのターゲット端子51A〜54Aを入力端子又は出力端子として設定し、その論理レベルを第1の論理レベル、例えばH(high)レベルにセットする。また、各グループ41〜44の全ての非ターゲット端子51B〜54Dを入力端子として設定し、その論理レベルを第2の論理レベルにセットする。第2の論理レベルは、第1の論理レベルとは反対のレベル、この場合はL(Low)にセットする。
【0027】
この後、ステップS104でモニタ部25が入力部11に対して指令を出力し、入力端子として設定された接続端子5、この場合は非ターゲット端子51B〜54Dに所定の電圧が印加されるように入力部11を制御する。さらに、モニタ部25がCPU2と通信して入力端子として設定された接続端子5に所定の電圧が印加されるようにCPU2を制御する。そして、モニタ部25は、出力端子として設定された接続端子5、この場合はターゲット端子51A〜54Aの出力信号の電圧レベルをCPU2から直接に、又は出力部13を介して取り込んで、1回目の検査を実施する。
【0028】
ここで、ターゲット端子51A〜54Aと非ターゲット端子51B〜54Dが短絡していなければ、非ターゲット端子51B〜54Dの電圧レベルはLレベルのままである。これに対し、いずれかのターゲット端子51A〜54Aと、いずれかの非ターゲット端子51B〜54Dの間に短絡が生じていると、非ターゲット端子51B〜54Dの電圧レベルがLレベルから変化し、例えばターゲット端子51A〜54Aの電圧レベルであるHレベルに変化する。したがって、非ターゲット端子51B〜54Dの電圧レベルが設定値であるLレベルと異なる場合には、モニタ部25はその非ターゲット端子51B〜54Dがいずれかのターゲット端子51A〜54Aとの間で短絡していると判定する。なお、短絡は、最も近くに配置されているターゲット端子51A〜54Aとの間に生じていると考えられるが、この段階では短絡の有無だけを確認する。このように、1回目の検査によって、各グループ41〜44の1番目のターゲット端子51A〜54Aのそれぞれについての検査が一括して行われる。
【0029】
次に、端子選択部23は、全ての接続端子51A〜54Dがターゲット端子として選択されたか否かを調べる(ステップS105)。この場合は、1番目の接続端子5をターゲット端子として選択しただけであるので(ステップS105でNo)、ステップS106に進む。そして、端子選択部23が、ターゲット端子の情報を更新し、2番目のターゲット端子を選択するように設定を変更したら、ステップS102に戻って、端子選択部23が各グループ41〜44のそれぞれの2番目の接続端子5をターゲット端子に設定する。
【0030】
2番目のターゲット端子は、1番目のターゲット端子51A〜54Aとは異なる接続端子51B〜54Bの中から選択される。このときも、端子選択部23は、隣り合う2つのグループ41〜44の間で2つのターゲット端子51B〜54Bが隣接して配置されないようにターゲット端子を選択する。例えば、図5(b)に示すように、端子選択部23は、各グループ41〜44の1番目のターゲット端子51Aの下側の接続端子51B,52B,53B,54Bをターゲット端子として選択する。これにより、各ターゲット端子51B〜54Bの周囲は、非ターゲット端子51A〜54A,51C〜54Dのみになる。
【0031】
そして、検査条件設定部24が各ターゲット端子51B〜54BをHレベルにセットし、各非ターゲット端子51A〜54A,51C〜54Dを第2のLレベルにセットする(ステップS103)。続いて、モニタ部25が、前記と同様にして端子間の電圧レベルの変化を調べることにより2回目の検査を実施する(ステップS104)。非ターゲット端子51A〜54A,51C〜54Dの電圧レベルが設定値であるLレベルと異なる場合には、その非ターゲット端子51A〜54A,51C〜54Dがいずれかのターゲット端子51B〜54Bとの間で短絡が生じていると判定する。
【0032】
ここまでの処理で、各グループ41〜44において2番目の接続端子5までの検査が終了したので、ステップS105から進むステップS106で再びターゲット端子の情報を更新し、前記の処理を繰り返す。すなわち、端子選択部23は、3番目のターゲット端子を選択する(ステップS102)。図5(c)に示すように、3番目のターゲット端子には、右上の接続端子51C,52C,53C,54Cが選択される。各ターゲット端子5
1C〜54CがHレベルにセットされ、各非ターゲット端子51A〜54B,51C〜54DがLレベルにセットされる(ステップS103)。そして、ターゲット端子51C〜54Cを基準にして短絡の有無を調べる(ステップS104)。
続いて、端子選択部23は、4番目のターゲット端子を選択する(ステップS102)。図5(d)に示すように、4番目のターゲット端子には、右下の接続端子51D,52D,53D,54Dが選択される。各ターゲット端子51D〜54DがHレベルにセットされ、各非ターゲット端子51A〜54CがLレベルにセットされる(ステップS103)。そして、ターゲット端子51D〜54Dを基準にして短絡の有無を調べる(ステップS104)。
【0033】
以上の4回の検査で各グループ41〜44内の全ての接続端子5がターゲット端子として1回ずつ選択されたので(ステップS105でYes)、検査装置10はここでの処理を終了する。いずれかの接続端子5に短絡が生じていたら、他の検査装置による詳細な検査や短絡の修正を行う工程などが実施される。短絡が検出されなかった場合には、電子部品1は次の工程に搬送される。
【0034】
ここで、ターゲット端子を選択する順番は前記の例に限定されない。例えば、端子選択部23は、1番目のターゲット端子として左上の接続端子51A〜54A以外の接続端子51B〜54Dを選択しても良い。また、2番目以降のターゲット端子を図5以外の順番で選択しても良い。さらに、グループ41〜44ごとにターゲット端子として選択する接続端子5の順番を異ならせても良い。しかしながら、図5に示すように各グループ41〜44において同じ位置に配置されている接続端子5をターゲット端子に選択すると、ターゲット端子の周囲を確実に非ターゲット端子で囲むことができるので、検査を効率的に行える。なお、ターゲット端子を選択する順番を予め定めたデータを作成しておき、このデータに従って端子選択部23がターゲット端子の選択を行うと検査を効率良く行える。
【0035】
また、検査条件設定部24は、ターゲット端子をLレベルに設定し、非ターゲット端子をHレベルに設定しても良い。ターゲット端子と非ターゲット端子の間で論理レベルを異ならせれば、短絡の有無の検査ができるからである。
【0036】
以上、説明したように、この検査装置10では、接続端子5を複数のグループに分け、各グループについて同時に検査を実施するようにしたので、1回の検査でグループの数に相当する接続端子5について短絡の有無を調べることができる。このため、各グループ41〜44に含まれる接続端子5の最大数に相当する検査回数で検査を終了することができる。短絡は、隣り合う2つの接続端子51A〜54Dの間で生じる可能性が高いので、ターゲット端子が連続して配置されないように選択することで、全ての接続端子5の短絡の有無を少ない検査回数で調べることができる。この結果、接続端子を1つずつ検査する場合に比べて検査時間を短縮できる。さらに、各グループ内でターゲット端子を順番に選択しながら検査を行うので、全ての接続端子5を漏れなく検査できる。
【0037】
なお、2つのターゲット端子が斜めも含めて周囲の他の接続端子5と連続して配置されることがないようにグループを形成するためには、1つのグループを形成する接続端子5の数が、4個、6個、9個等であることが好ましい。この場合、検査回数は、1つのグループに含まれる接続端子5の数、前記の例ではそれぞれ4回、6回、9回などになる。
【0038】
次に、この実施の形態の変形例について説明する。
この変形例では、非ターゲット端子の論理レベルとして、回路の設計上定められているレベルを使用する。そして、検査装置10は、各グループの接続端子5を2回ずつターゲット端子として選択することで端子間の短絡の有無を検査する。つまり、図4に示すフローチャートのステップS105で、端子選択部23は、グループ内の全ての接続端子5を
2回ずつ選択したか否かを判断する。なお、グループの設定(ステップS101)や、ターゲット端子の選択(ステップS102)、短絡チェック(ステップS103)は前記と同様に行う。論理レベルのセット(ステップS103)は、ターゲット端子の論理レベルの設定のみを行う。
【0039】
ここで、検査対象の一例を図6に示す。図6の各グループ41〜44において、左上と右上の接続端子51A〜54A,51C〜54Cは通常状態の設定がLレベルになっている。左下と右下の接続端子51B〜54B,51D〜54Dは通常状態の設定がHレベルになっている。そして、各グループ41〜44に4つの接続端子5が含まれることから、検査装置10は4×2=8回の検査を実施する。ターゲット端子を選択する順番は、図5の例と同様にする。つまり、1回目〜4回の検査は、左上、左下、右上、右下の順番にターゲット端子として選択して行う。そして、5回目〜8回目の検査も同様に、左上、左下、右上、右下の順番にターゲット端子として選択して行う。なお、接続端子5の数や、配置、グループの数、ターゲット端子を選択する順番はこれに限定されない。
【0040】
図7(a)に示すように、1回目の検査では、端子選択部23が左上の接続端子5をターゲット端子51A,52A,53A,54Dとして選択し、検査条件設定部24がその論理レベルをHレベルにセットする。ターゲット端子51A〜54Dと非ターゲット端子52A〜54Dの間に短絡が生じている場合には、いずれかの接続端子5の論理レベルが変化する。例えば、ターゲット端子51Aとその下の非ターゲット端子51Bの間では、論理レベルが共にHレベルなので変化は生じない。右下のターゲット端子51Dについても同様である。これに対し、ターゲット端子51Aと右上の非ターゲット端子51Cの間では論理レベルが異なるので、短絡している場合にはいずれかの端子の論理レベルが変化する。このため、モニタ部25は、接続端子5の論理レベルを監視し、論理レベルが変化したものがあれば短絡が生じていると判断する。
【0041】
次に、図7(b)に示すように、2回目の検査では、各グループ41〜44の左下の続端子51B〜54Bをターゲット端子に選択し、その論理レベルをHレベルにセットして短絡の有無を調べる。ターゲット端子51B〜54Bと論理レベルの設定値が異なる非ターゲット端子51A〜54Aとの間で短絡の有無を調べることができる。同様に、非ターゲット端子51C〜54Cの間でも短絡の有無を調べることができる。なお、ターゲット端子51B〜54Bと論理レベルの設定値が同じ非ターゲット端子51D〜54Dとの間では短絡は調べられない。
【0042】
さらに、図7(c)に示すように、3回目の検査では、各グループ41〜44の右上の続端子51C〜54Cをターゲット端子に選択し、その論理レベルをHレベルにセットして短絡の有無を調べる。ターゲット端子51C〜54Cと論理レベルの設定値が異なる非ターゲット端子51A〜54Aとの間で短絡の有無を調べることができる。なお、ターゲット端子51C〜54Cと論理レベルの設定値が同じ非ターゲット端子51B〜54Bとの間、及び非ターゲット端子51D〜54Dとの間では短絡は調べられない。
同様に、図7(d)に示すように、4回目の検査では、各グループ41〜44の右下の続端子51D〜54Dをターゲット端子に選択し、その論理レベルをHレベルにセットして短絡の有無を調べる。ターゲット端子51D〜54Dと論理レベルの設定値が異なる非ターゲット端子51A〜54Aとの間で短絡の有無を調べることができる。同様に、非ターゲット端子51C〜54Cとの間でも短絡の有無を調べることができる。ターゲット端子51D〜54Dと論理レベルの設定値が同じ非ターゲット端子51B〜54Bとの間では短絡は調べられない。
【0043】
次に、5回目から8回目のチェックを行う。このとき、端子選択部23は、1回目から4回目までと同じ順番でターゲット端子を選択し、かつその論理レベルを1〜4回目まで
の論理レベルとは異なる値に設定する。すなわち、5回目の検査では、ターゲット端子51A〜54Aを選択し、その論理レベルを図7(a)の括弧内に示すように、Lレベルにセットする。これにより、1回目では検査できなかった、非ターゲット端子51B〜54Bの論理レベル、及び非ターゲット端子51D〜54Dの論理レベルと、ターゲット端子の論理レベルを異ならせることができるので、これらの端子間の電圧変化を調べれば短絡の有無を検査できる。
【0044】
同様に、6回目の検査では、ターゲット端子51B〜54Bを選択し、その論理レベルを図7(b)の括弧内に示すように、Lレベルにセットする。ターゲット端子51B〜54Bの論理レベルの設定値と、2回目では検査できなかった非ターゲット端子51D〜54Dとの間の論理レベルの設定値とが異なるので、これらの端子間の短絡の有無を検査できる。
7回目の検査では、ターゲット端子51C〜54Cを選択し、その論理レベルを図7(b)の括弧内に示すように、Lレベルにセットする。3回目には検査できなかった、非ターゲット端子51B〜54Bとの間で短絡の有無を調べることができる。同様に、非ターゲット端子51D〜54Dとの間でも短絡の有無を調べることができる。
8回目の検査では、ターゲット端子51D〜54Dを選択し、その論理レベルを図7(d)の括弧内に示すように、Lレベルにセットする。4回目には検査できなかった、非ターゲット端子51B〜54Bとの間の短絡の有無を調べることができる。
【0045】
このように、各グループ41〜44内の各接続端子5を2回ずつターゲット端子として選択しながら検査を行うことにより、検査漏れを生じることなく短絡の有無を調べることができる。この場合の測定回数は、1つのグループ内の接続端子5の数をRとしたときに、2×R回になる。なお、グループ分けの効果と、ターゲット端子を順番に選択することによる効果は、前記と同様である。
【0046】
検査装置10は、各接続端子5の電圧レベルの変化を調べても良いが、短絡がない場合の各接続端子5の論理レベルのリストを予め作成しておき、このリストと実測データを比較することで短絡の有無を判定するように構成しても良い。また、この検査装置10及び検査方法は、1つの接続端子5の論理レベルを変化させると、他の接続端子5の論理レベルが変化するCPU2についても有効である。
【0047】
なお、本発明は、前記の実施の形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で広く応用することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 電子部品
2 CPU
5,51A〜51D,52A〜52D,53A〜53D,54A〜54D 接続端子
10 検査装置
21 グループ設定部
22 検査部
23 端子選択部
24 検査条件設定部
25 モニタ部
41 第1のグループ
42 第2のグループ
43 第3のグループ
44 第4のグループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田接合による接続端子を複数有する電子部品の前記接続端子間の短絡の有無を電圧レベルの変化によって検査する電子部品の検査装置において、
隣接する複数の前記接続端子を1つのグループとし、全ての前記グループのそれぞれから検査対象となる前記接続端子をターゲット端子として1つずつ選択し、前記ターゲット端子と前記ターゲット端子に隣接する他の前記接続端子との間の短絡の有無を全ての前記グループに対して同時に調べる検査部を含むことを特徴とする電子部品の検査装置。
【請求項2】
前記検査部は、前記ターゲット端子を前記グループの各々から1つずつ選択する端子選択部と、前記ターゲット端子の入力レベル又は出力レベルを設定する検査条件設定部と、前記ターゲット端子と前記ターゲット端子に隣接する他の前記接続端子との間の短絡を調べるモニタ部とを有し、前記ターゲット端子を前記グループ内で順番に変更しながら前記ターゲット端子とその周囲の前記接続端子との間の短絡の有無を調べるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の検査装置。
【請求項3】
前記端子選択部は、隣り合う2つの前記グループのそれぞれの前記ターゲット端子が隣り合う位置に配置されないように前記ターゲット端子を選択するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査条件設定部は、前記ターゲット端子と前記ターゲット端子に隣接する他の前記接続端子の論理レベルを設定するように構成され、前記端子選択部は、前記グループを形成する前記接続端子を1回ずつ前記ターゲット端子として選択するように構成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記端子選択部は、前記接続端子を2回ずつ前記ターゲット端子として選択するように構成され、前記検査条件設定部は、1回目に前記ターゲット端子に選択されたときの前記接続端子の論理レベルと、2回目に前記ターゲット端子に選択されたときの前記接続端子の論理レベルとを異ならせるように構成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−17571(P2011−17571A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161412(P2009−161412)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】