説明

電子部品の清掃装置及び清掃方法

【課題】TCPの粘着テープが貼着される端部を静電気の蓄積を招くことなく清掃することができるようにしたことにある。
【解決手段】シート状の基部及びこの基部に素子が設けられ金型によって基部が打ち抜かれて成形されたTCPを清掃する電子部品の清掃装置であって、
上記清掃装置37は、支持体38と、導電性材料によって形成され支持体にアースされた状態で回転可能に支持される軸体43と、軸体を回転駆動する駆動源と、軸体に設けられ軸体が駆動源によって回転駆動されることでTCP3の基部3aのICチップ3bが設けられていない部分を清掃する帯電防止構造の第1の清掃部46を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はたとえば基板としての液晶表示装置のパネルに実装される電子部品としてのTCP(Tape Carrier Package)を実装前に清掃する電子部品の清掃装置及び清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板としての液晶表示装置のパネルを製造する場合、そのパネルに電子部品としてのTCPを実装装置によって実装するということが行われる。上記実装装置は箱型状の装置本体を有する。この装置本体内にはキャリアテープから上記TCPを打ち抜く打ち抜き装置が設けられている。打ち抜き装置の金型によって打ち抜かれたTCPは受け渡し手段を構成する受け体によって受け取られる。
【0003】
上記受け体は打ち抜かれたTCPを所定の位置まで搬送し、その位置で所定角度ずつ間欠的に回転駆動されるインデックステーブルに設けられた複数の保持ヘッドに受け渡されて吸着保持される。保持ヘッドは上下方向に駆動可能に設けられている。
【0004】
インデックステーブルの保持ヘッドに受け渡されたTCPは、このインデックステーブルの間欠回転に応じて上記TCPの端子部を清掃装置で清掃した後、実装位置に位置決めされる。その実装位置にはTCPが実装される基板がテーブル装置によって位置決めされて待機している。
【0005】
そして、インデックステーブルの間欠回転によってTCPを保持した上記保持ヘッドが実装位置に位置決めされると、その保持ヘッドは下方向に駆動される。それによって、保持ヘッドに保持された上記TCPが基板の側辺部に実装されるようになっている。
【0006】
上記TCPは、樹脂などによって形成されたテープ状のキャリアテープを上記打ち抜き装置の金型によって打ち抜くことで成形される。すなわち、上記キャリアテープにはICチップなどの素子が所定間隔で実装されていて、上記キャリアテープの上記素子が実装された部分を上記打ち抜き装置の金型によって打ち抜く。それによって、上記キャリアテープのうち抜かれた部分が基部となり、この基部の所定方向の中央部に上記素子が設けられた上記TCPが成形される。
【0007】
このようにして成形されたTCPは、上記打ち抜き装置による打ち抜かれたときに、上記基部などに打ち抜きかすが付着していることがあるため、パネルに実装される前に清掃して打ち抜きかすを除去するようにしている。
【0008】
従来、上記清掃装置は回転駆動される清掃ブラシを有し、この清掃ブラシによって上記TCPの全体、つまり基部及びこの基部に設けられた素子をブラッシングして清掃するということが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−340993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、TCPを清掃ブラシでブラッシングすると、ブラッシング時に静電気が生じることが避けられない。そして、ブラッシング時に生じた静電気は清掃ブラシのブラシ毛などに蓄積され、その静電気量が所定量に達すると、TCPに対して放電するということがあり、放電時の静電気量によってはTCPの素子に形成された電子回路が破壊されるということがあった。
【0011】
この発明は、電子部品を清掃装置によって清掃する際、清掃装置に静電気が蓄積されて電子部品の基部に設けられた素子が静電気によって破壊されることがないようにした電子部品の清掃装置及び清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、シート状の基部及びこの基部に素子が設けられ金型によって上記基部が打ち抜かれて成形された電子部品を清掃する電子部品の清掃装置であって、
上記清掃装置は、
支持体と、
導電性材料によって形成され上記支持体にアースされた状態で回転可能に支持される軸体と、
この軸体を回転駆動する駆動手段と、
上記軸体に設けられこの軸体が上記駆動手段によって回転駆動されることで上記電子部品の上記基部の上記素子が設けられていない部分を清掃する帯電防止構造の第1の清掃部と
を具備したことを特徴とする電子部品の清掃装置にある。
【0013】
上記電子部品の上記基部の上記素子が設けられた部分は上記軸体に設けられた帯電防止構造の第2の清掃部によって清掃されることが好ましい。
【0014】
上記第1の清掃部は、上記軸体に設けられこの軸体と電気的に導通した導電性材料によって形成されたローラ部と、このローラ部の外周面に設けられ上記基部を清掃するとともに、清掃時に生じる静電気を上記ローラ部に逃がす布地によって構成されていることが好ましい。
【0015】
上記第2の清掃部は、ブラシ毛によって形成されていて、このブラシ毛は上記素子を清掃したときに生じる静電気を上記軸体に逃がすようになっていることが好ましい。
【0016】
この発明は、シート状の基部及びこの基部に素子が設けられ金型によって上記基部が打ち抜かれて成形された電子部品を清掃装置によって清掃する電子部品の清掃方法であって、
上記電子部品の上記基部と上記素子との少なくとも上記基部を上記清掃装置の清掃部によって清掃する工程と、
上記電子部品を上記清掃部によって清掃したときに生じる静電気を上記清掃装置を通じて外部に逃がす工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の清掃方法にある。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、電子部品を清掃装置の清掃部によって清掃したときに生じる静電気を、上記清掃装置を通じて逃がすようにしたから、電子部品の清掃時に生じた静電気が蓄積されて放電され、電子部品の素子が破壊されるということを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の第1の実施の形態の実装装置の概略的構成図。
【図2】インデックステーブルと実装ポジションのパネルテーブルを示す平面図。
【図3】清掃ポジションに設けられる清掃装置の側面図。
【図4】基部及びこの基部に実装されたICチップからなるTCPの斜視図。
【図5】図3に示す清掃装置の支持体及びこの支持体に支持された清掃体を示す断面図。
【図6】この発明の第2の実施の形態を示す清掃装置の支持体及びこの支持体に支持された清掃体を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5はこの発明の第1の実施の形態を示し、図1は電子部品の実装装置の全体構成を示す概略図である。この実装装置は基板としてのたとえば液晶表示装置用のパネル1を搬送する第1の搬送手段であるパネルテーブル2と、電子部品としてのTCP3を搬送する第2の搬送手段としてのインデックステーブル4を有する。
【0020】
上記パネルテーブル2はベース5上にX方向(図1の紙面に直交する方向)に沿って移動可能に設けられたXテーブル6を有する。このXテーブル6は、上記ベース5に設けられた第1のX駆動源7によって上記ベース5上をX方向に沿って駆動されるようになっている。
【0021】
上記Xテーブル6にはX方向と直交するY方向(矢印で示す)に沿って移動可能なYテーブル8が設けられている。このYテーブル8は上記Xテーブル6に設けられた第1のY駆動源9によって図2に矢印で示すY方向に沿って駆動される。上記Yテーブル8にはθテーブル10が回転方向に移動可能に設けられ、上記Yテーブル8に設けられたθ駆動源10aによって回転方向に駆動されるようになっている。
【0022】
そして、上記θテーブル10の上面に上記パネル1が供給され、たとえば真空吸着などの手段によって保持される。それによって、上記パネル1は上記パネルテーブル2によってXY及びθ方向に対して位置決め可能となっている。なお、θテーブル10はパネル1よりも小さく形成されている。そのため、パネル1は周辺部をθテーブル10の周辺部から外方へ突出させている。
【0023】
上記インデックステーブル4は、中心に回転軸11が設けられ、この回転軸11は駆動手段としての第1の回転駆動源12によって図2に矢印Rで示す時計方向に所定角度ずつ間欠的に回転駆動されるようになっている。この実施の形態では、上記インデックステーブル4は90度の回転角度で間欠駆動されるようになっている。
【0024】
上記インデックステーブル4の上面には、90度間隔で4つの支持体13が設けられている。図1では2つの支持体13だけを図示し、他の支持体13を省略している。この支持体13は側面形状がL字状をなしていて、その垂直面には可動体14がリニアガイド15によって垂直方向に移動可能に支持されている。
【0025】
図1に示すように、上記支持体13の上端にはブラケット16が設けられ、このブラケット16には実装駆動源としての実装シリンダ17が軸線を垂直にし、かつロッド17aの先端を上記可動体14の上端に連結して設けられている。なお、図2においては上記実装シリンダ17の図示を省略している。
【0026】
各可動体14の下端面には実装手段としての吸着ヘッド18が設けられている。この吸着ヘッド18は、図2にAで示す受け取りポジションで後述する部品供給部21から供給されたTCP3を吸着保持し、上記パネル1に実装するようになっている。なお、インデックステーブル4は上述した受け取りポジションAの他に、B〜Dで示す3つのポジション、つまり合計で4つのポジションを有する。
【0027】
Bは受け取りポジションAで吸着ヘッド18に供給されたTCP3の端子部を後述する清掃装置37によって清掃する清掃ポジション、Cは清掃されたTCP3の幅方向一端部に形成された端子部に図示しない離型テープに貼着された状態で所定長さに切断された異方性導電部材からなる粘着テープ19(図4に示す)を貼着してから、その粘着テープ19から上記離型テープを剥離する貼着剥離ポジション、Dは端子部に粘着テープ19が貼着されたTCP3をパネル1の側辺部の上面に上記粘着テープ19によって実装するための実装ポジションである。
【0028】
なお、図2ではインデックステーブル4に対するパネルテーブル2と部品供給部21の関係を示すため、便宜上、インデックステーブル4及びこのインデックステーブル4の周方向に対して90度の間隔で配置された受け取りポジションAと実装ポジションDを示している。
【0029】
上記部品供給部21は、図1に示すようにキャリアテープ22から上記TCP3を打ち抜く金型23を有する。この金型23は上下方向に駆動される上型23aと、この上型23aに対向して固定的に配置された下型23bとを有し、上型23aにはポンチ24が設けられ、下型23bには上型23aが下降したときに上記ポンチ24が入り込む貫通孔25が設けられている。
【0030】
上記キャリアテープ22は上型23aと下型23bとの間に通され、上型23aが下降することで上記TCP3が打ち抜かれ、上昇したときに+Yで示す矢印方向に所定ピッチで送られて新たにTCP3が打ち抜き可能な状態となる。
【0031】
上記キャリアテープ22から打ち抜かれたTCP3は、図4に示すように矩形テープ状の基部3aと、この基部3aの下面の幅方向の中央部分に実装された素子としてのICチップ3bからなる。
【0032】
なお、TCP3の基部3aの幅方向両端部には図示しない端子が設けられ、一方の端子に上記貼着剥離ポジションCで所定長さの粘着テープ19が貼着され、その部分が上記パネル1の側辺部に貼着される。上記基部3aの幅方向他端部は別工程において、図示しない回路基板に、この回路基板の側辺部に予め貼着された粘着テープによって接続されるようになっている。
【0033】
上記下型23bの下方には受け具26が配置されている。この受け具26はXテーブル27に設けられたZθ駆動源28によって上下方向となるZ方向及び回転方向となるθ方向に駆動されるようになっている。上記Xテーブル27はYテーブル29に上記Y方向と直交するX方向に沿って移動可能に設けられている。このYテーブル29には上記Xテーブル27をX方向に沿って駆動する第2のX駆動源31が設けられている。
【0034】
上記Yテーブル29は図1に矢印で示すY方向に沿って配置されたベース32にY方向に沿って移動可能に設けられている。このベース32の一端には上記Yテーブル29をY方向に沿って駆動する第2のY駆動源33が設けられている。上記ベース32の他端は上記インデックステーブル4の受け取りポジションAの下方に位置している。
【0035】
上記金型23によってキャリアテープ22から打ち抜かれたTCP3を受け具26が受けて下降すると、Yテーブル29が第2のY駆動源33によってベース32の一端から他端へ駆動される。それによって、TCP3を保持した受け具26が図1に鎖線で示すようにインデックステーブル4の受け取りポジションAの下方に位置決めされる。
【0036】
受け具26が受け取りポジションAの下方に位置決めされると、上記受け具26が上昇方向に駆動され、可動体14の下端に設けられた吸着ヘッド18によって上記受け具26に保持されたTCP3の上面を吸着する。
【0037】
吸着ヘッド18が受け取りポジションAでTCP3を吸着すると、インデックステーブル4が90度回転駆動され、その吸着ヘッド18が清掃ポジションBに位置決めされる。清掃ポジションBでは上記清掃装置37によって吸着ヘッド18に吸着保持されたTCP3の下面の端子が設けられた幅方向の両端部が清掃される。それによって、TCP3が上記金型23によって打ち抜かれたときに生じてそのTCP3の端子部に付着した打ち抜きかすなどの汚れが除去される。
【0038】
清掃ポジションBでTCP3の汚れが除去されると、インデックステーブル4は90度回転駆動されて上記TCP3は貼着剥離ポジションCに位置決めされる。貼着剥離ポジションCでは、上記TCP3の幅方向一端部の端子部の箇所に所定長さに切断された粘着テープ19が図4に示すように貼着される。
【0039】
粘着テープ19が貼着されたTCP3はインデックステーブル4が90度回転駆動されることで実装ポジションDに位置決めされる。TCP3が実装ポジションDに位置決めされると、TCP3を吸着保持した吸着ヘッド18が設けられた可動体14が実装シリンダ17によって下方へ押圧駆動される。
【0040】
上記実装ポジションDにはパネル1がパネルテーブル2によって位置決めされている。したがって、上記吸着ヘッド18に吸着保持されたTCP3の幅方向の一端部は上記パネル1の側辺部の所定の位置に上記粘着テープ19を介して実装されることになる。
【0041】
上記清掃装置37は、図3と図5に示すように上面が開放した容器状の支持体38を有する。この支持体38は図3に示す上下駆動シリンダ39によって上下駆動される載置板41上に設けられている。
【0042】
上記支持体38の幅方向両端の端板間には清掃体42が回転可能に支持されている。図5に示すように、上記清掃体42は金属などの導電材料によって形成された軸体43を有する。この軸体43は両端部が上記支持体38の端板に設けられた軸受44に回転可能に支持されている。上記軸受44は上記軸体43と電気的に接続されていて、この軸受44は導線45によってアースされている。
【0043】
上記軸体43には金属などの導電材料によって形成された一対のローラ部44aがスペーサ44bを介して所定間隔で設けられている。このローラ部44aの外周面には上記TCP3を清掃するための第1の清掃部46が設けられている。この第1の清掃部46は、毛足の長さが1mm程度の、たとえばビロード状のラビングクロスなどのブラシとしての布地がなどによって形成されている。上記布地は上記ローラ部44aの外周面に導電性の両面テープによって貼着されている。
【0044】
上記第1の清掃部46の布地の毛足を1mm程度に短くしたことで、布地によるTCP3の基部3aの清掃効率を高めることができ、しかも清掃時における静電気の発生を抑制することができる。
【0045】
また、上記布地が上記ローラ部44aの外周面に導電性の両面テープによって貼着され、しかも布地の体積(毛足部分の容量)に対してローラ部44aの体積が十分に大きい。そのため、TCP3の基部3aを布地によって清掃することで静電気が発生しても、その静電気は直ちに導電性の両面テープを介してローラ部44aにアースされるから、TCP3のICチップ3bが静電気の影響を受けることがない。
【0046】
上記布地は上記ローラ部44aの外周面に導電性の両面テープによって貼着されているため、上記布地が磨耗した場合には上記布地を上記ローラ部44aから剥がして新しいものに容易に交換することができる。
【0047】
そのため、TCP3を清掃することで発生する静電気を、上記布地、導電性の両面テープ及びローラ部44aを通じて常に良好にアースできる状態に維持することができるから、そのことによってもTCP3の清掃時にICチップ3bが静電気によって破壊されるのを確実に防止することができる。
【0048】
図5に示すように、一対のローラ部44aの対向する端面の間隔W1は、上記TCP3の基部3aの幅寸法W2よりも小さく、しかも基部3aの幅方向中央部に設けられたICチップ3bの長さ寸法よりも大きな間隔、つまり上記第1の清掃部46がICチップ3bに接触することのない間隔に設定されている。
【0049】
図3に示すように、上記載置板41の上面の、上記支持体38の側方には駆動源47が配置されている。この駆動源47によって回転駆動される駆動プーリ48と、上記軸体43の一端に嵌着固定された従動プーリ49とにはベルト51が張設されている。
【0050】
したがって、上記駆動源47が作動すれば、上記清掃体42の軸体43が回転駆動されるから、その状態で上下駆動シリンダ39を作動させて支持体38を上昇させれば、上記清掃体42の上記軸体43に所定間隔で設けられた一対の第1の清掃部46を形成する布地によって上記吸着ヘッド18に吸着保持された上記TCP3の下面の端子が設けられた幅方向の両端部が擦られて清掃される。
【0051】
このように、パネル1に実装されるTCP3は、このTCP3に粘着テープ19を貼着する貼着剥離ポジションCの前の工程の清掃ポジションBで、清掃装置37の清掃体42に所定間隔で設けられた一対の第1の清掃部46によってICチップ3bが設けられた幅方向の中央部を除く両端部、つまり上記貼着剥離ポジションCで粘着テープ19が貼着される幅方向の一端部と次工程で回路基板に貼着された粘着テープに貼着される他端部の部分が清掃される。
【0052】
そのため、キャリアテープ22から金型23によって打ち抜き成形されたTCP3の幅方向の一端部と他端部に打ち抜きかすが付着していても、その打ち抜きかすが上記清掃装置37によって清掃除去されてから粘着テープ19が貼着されてたり、回路基板に貼着された粘着テープに貼着されることになるから、上記TCP3の両端部と各粘着テープ19との貼着を、粘着テープ19の捲くれなどの貼着不良を招くことなく確実に行うことが可能となる。
【0053】
上記清掃体42に設けられた一対の第1の清掃部46は導電材料によって形成された一対のローラ部44aの外周面に設けられ、このローラ部44aは、導線45によってアースされた軸体43に設けられている。
【0054】
そのため、一対の上記第1の清掃部46によってTCP3の幅方向両端部を擦って清掃することで上記第1の清掃部46の布地と基部3aとの間に静電気が生じても、その静電気は上記ローラ部44a、軸体43及び上記導線45を通じて清掃装置37から放散される。
【0055】
上記第1の清掃部46によってTCP3を清掃したときに生じる静電気が清掃装置37から放散されれば、清掃装置37の第1の清掃部46の布地による清掃が繰り返して行われても、清掃時に生じた静電気が第1の清掃部46に蓄積され、その蓄積量が増大してTCP3に対して放電されるということがないから、清掃時にTCP3が静電気によって破壊されるのを確実に防止することができる。
【0056】
しかも、上記第1の清掃部46の布地はTCP3の幅方向両端部の下面を擦って清掃するものの、ICチップ3bが設けられた幅方向中央部分を擦ることがないから、上記ICチップ3cが磨耗するのを防ぐことができる。
【0057】
また、第1の清掃部46は毛足の長さが1mm程度の短い布地を用いるようにしたため、清掃時に発生する静電気の蓄積量が少なく、しかも布地に発生した静電気は布地に比べて体積の大きい導電性のローラ部44aに迅速にアースされるから、TCP3の基部3aを清掃することで発生する静電気によってICチップ3bのICチップ3cが破壊されるのを確実に防止することができる。
【0058】
図6はこの発明の第2の実施の形態を示す。図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一記号を付して説明を省略する。
この第2の実施の形態では、軸体43に所定間隔で設けられた一対のローラ部44aの間に、第2の清掃部54を設けるようにした。この第2の清掃部54は、先端が上記第1の清掃部46のローラ部44aの外周面に設けられた布地とほぼ同じ高さになる毛足長さのブラシ毛54aによって形成されている。
【0059】
上記第2の清掃部54の各ブラシ毛54aはカーボンなどの導電性材料によって表面が被覆されたり、含有されることで導電処理がなされていて、基端は上記清掃体42の軸体43と電気的に導通するよう金属などの導電性材料によって形成された筒状のスペーサ44bの外周面に、たとえば植設したり、ブラシ毛54aの基端部を保持する金属製の保持部材(図示せず)を用いるなどして保持固定されている。
【0060】
このような構成によれば、一対の第1の清掃部46によってTCP3の幅方向の両端部を清掃するとき、第2の清掃部54のブラシ毛54aによって上記TCP3の基部3aの幅方向中央部分がブラッシングされて清掃されることになる。
【0061】
つまり、TCP3は粘着テープ19が貼着される幅方向の両端部が清掃されるだけでなく、ICチップ3bが実装された幅方向の中央部もブラシ毛54aによって清掃されることになる。
【0062】
したがって、基部3aの下面全体が清掃されることになるから、清掃体42に第1の清掃部46だけが設けられている場合に比べてTCP3をより一層、確実に清掃することができる。
【0063】
しかも、第2の清掃部54のブラシ毛54aが基部3aの幅方向中央部をブラッシングによって清掃することで静電気が発生しても、その静電気はブラシ毛54a、スペーサ44b及び軸体43を通じて導線45から放散される。そのため、第1の清掃部46と同様、清掃時の静電気が第2の清掃部54のブラシ毛54aに蓄積され、TCP3に放電されてそのTCP3を破壊するのを防止することができる。
【0064】
さらに、第2の清掃部54のブラシ毛54aは、その毛足が第1の清掃部46の布地の毛足に比べて十分に長いから、上記ブラシ毛54aによってICチップ3bが擦られても、そのICチップ3bが磨耗するということがほとんどない。つまり、ブラシ毛54aは柔らかいため、ICチップ3bを強く擦って磨耗させるということがない。
【0065】
上記第2の清掃部54のブラシ毛54aを第1の清掃部46の布地の毛足に比べて十分に長くしたから、上記ブラシ毛54aがTCP3を強く擦ることがない。そのため、第2の清掃部54がTCP3を清掃することによって発生する静電気量が抑制される。
【0066】
しかも、上記ブラシ毛54aは導電性を有するから、清掃によって発生する静電気はブラシ毛54aからスペーサ44b及び軸体43を通じてアースされる。そのため、第2の清掃部54によるTCP3の清掃によって静電気が発生しても、その静電気によってTCP3のICチップ3bが破壊されるということもない。
【0067】
なお、上記各実施の形態ではインデックステーブルを用いてTCPをパネルに実装する実装装置に用いられる清掃装置を例に挙げて説明したが、この発明の清掃装置はインデックステーブルを用いずにパネルなどの基板にTCPを実装する実装装置であっても適用することができる。すなわち、基板に実装される電子部品を、基板に実装する前に清掃する必要がある実装装置であれば、適用することができる。
【0068】
また、電子部品として上記第1、第2の実施の形態では基部3aの幅方向中央部分にICチップ3bが実装されているTCP3を例に挙げて説明したが、基部3aの下面の幅方向一端部に素子としてのICチップ3bが設けられ、他端部に端子が形成されている構成のTCP3であってもよい。
【0069】
その場合、上記第1の実施の形態のようにTCP3の基部3aだけを清掃する清掃体42としては、軸体43に基部3aの幅方向他端部だけを清掃する1つの第1の清掃部46を設けた構成とすればよい。
【0070】
また、上記第1の実施の形態のようにTCP3の基部3aだけでなく、ICチップ3bも清掃する場合には、軸体43に基部3aの幅方向他端部を清掃する1つの第1の清掃部46と、この第1の清掃部46に並んで基部3aのICチップ3bが実装された幅方向一端部を清掃する第2の清掃部54が設けられた構成とすればよい。
【0071】
なお、上記各実施の形態では、図4に示すようにTCP3は基部3aの幅方向の両端部に端子が設けられている場合を例に挙げて説明したが、上記端子が幅方向と交差する方向の両端部の長手方向に沿って設けられている場合であってもよい。
【0072】
このような構成のTCP3を上記各実施の形態に示された清掃体42で清掃するようにしても、清掃時に発生する静電気を確実にアースすることができるばかりか、端子部に打ち抜きかすが付着していても、そのうち抜きかすを清掃除去することができるから、上記端子部に沿って貼着された粘着テープのめくれなどの貼着不良が生じるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0073】
3…TCP(電子部品)、37…清掃装置、38…支持体、42…清掃体、43…軸体、44a…ローラ部、45…導線、46…第1の清掃部、47…駆動源(駆動手段)、54…第2の清掃部、54a…ブラシ毛。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基部及びこの基部に素子が設けられ金型によって上記基部が打ち抜かれて成形された電子部品を清掃する電子部品の清掃装置であって、
上記清掃装置は、
支持体と、
導電性材料によって形成され上記支持体にアースされた状態で回転可能に支持される軸体と、
この軸体を回転駆動する駆動手段と、
上記軸体に設けられこの軸体が上記駆動手段によって回転駆動されることで上記電子部品の上記基部の上記素子が設けられていない部分を清掃する帯電防止構造の第1の清掃部と
を具備したことを特徴とする電子部品の清掃装置。
【請求項2】
上記電子部品の上記基部の上記素子が設けられた部分は上記軸体に設けられた帯電防止構造の第2の清掃部によって清掃されることを特徴とする特徴とする請求項1記載の電子部品の清掃装置。
【請求項3】
上記第1の清掃部は、上記軸体に設けられこの軸体と電気的に導通した導電性材料によって形成されたローラ部と、このローラ部の外周面に設けられ上記基部を清掃するとともに、清掃時に生じる静電気を上記ローラ部に逃がす布地によって構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子部品の清掃装置。
【請求項4】
上記第2の清掃部は、ブラシ毛によって形成されていて、このブラシ毛は上記素子を清掃したときに生じる静電気を上記軸体に逃がすようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子部品の清掃装置。
【請求項5】
シート状の基部及びこの基部に素子が設けられ金型によって上記基部が打ち抜かれて成形された電子部品を清掃装置によって清掃する電子部品の清掃方法であって、
上記電子部品の上記基部と上記素子との少なくとも上記基部を上記清掃装置の清掃部によって清掃する工程と、
上記電子部品を上記清掃部によって清掃したときに生じる静電気を上記清掃装置を通じて外部に逃がす工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−222286(P2012−222286A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89210(P2011−89210)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】