説明

電子部品の製造方法及び配線基板

【課題】信頼性の高い電子部品を製造する方法、及び、信頼性の高い電子部品を製造することを可能にする配線基板を提供する。
【解決手段】電子部品の製造方法は、ベース基板10と、ベース基板10に形成された配線パターン20とを有する配線基板100を用意する工程と、配線基板100を切断する工程とを含む。配線パターン20は、複数の配線24を有する。配線24は、第1の部分25と、第1の部分25よりも幅及び厚みの少なくとも一方が小さい第2の部分27とを有する。配線基板100を切断する工程で、配線24の第2の部分27を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造方法及び配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
配線パターンを切断して電子部品を製造する方法が知られている。配線パターンを切断した場合にも、切断領域付近で、配線パターンの絶縁信頼性を確保することができれば、信頼性の高い電子部品を製造することができる。
【特許文献1】特開平10−311983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、信頼性の高い電子部品を製造する方法、及び、信頼性の高い電子部品を製造することを可能にする配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る電子部品の製造方法は、ベース基板と、前記ベース基板に形成された配線パターンとを有する配線基板を用意する工程と、
前記配線基板を切断する工程と、
を含み、
前記配線パターンは、複数の配線を有し、
それぞれの前記複数の配線は、第1の部分と、前記第1の部分よりも幅及び厚みの少なくとも一方が小さい第2の部分とを有し、
前記配線基板を切断する工程で、前記配線の前記第2の部分を切断する。本発明によると、切断工程時に絶縁信頼性が低下することを防止することができるため、信頼性の高い電子部品を製造することが可能になる。
(2)この電子部品の製造方法において、
前記配線基板を、せん断加工によって切断してもよい。
(3)本発明に係る配線基板は、ベース基板と、
前記ベース基板上に形成された配線パターンと、
を含み、
前記配線パターンは、複数の配線を含み、
それぞれの前記複数の配線は、第1の部分と、前記第1の部分よりも幅及び厚みの少なくとも一方が小さい第2の部分とを有する。本発明によると、切断工程時に、絶縁信頼性が低下しにくい配線基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0006】
図1(A)〜図3は、本発明を適用した実施の形態に係る電子部品の製造方法について説明するための図である。
【0007】
本実施の形態に係る電子部品の製造方法は、図1(A)及び図1(B)に示す配線基板100を用意することを含む。なお、図1(A)は、配線基板100の上視図である。また、図1(B)は、図1(A)のIB−IB線断面の一部拡大図である。以下、配線基板100の構成について説明する。
【0008】
配線基板100は、図1(A)及び図1(B)に示すように、ベース基板10を有する。ベース基板10の材料や構造は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの基板を利用してもよい。ベース基板10の材料は特に限定されず、有機系又は無機系のいずれの材料であってもよく、これらの複合構造からなるものであってもよい。ベース基板10として、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板又はフィルムを使用してもよい。あるいは、ベース基板10としてポリイミド樹脂からなるフレキシブル基板を使用してもよい。フレキシブル基板としてFPC(Flexible Printed Circuit)技術で使用されるテープを使用してもよい。また、無機系の材料から形成されたベース基板10として、例えばセラミックス基板やガラス基板が挙げられる。
【0009】
配線基板100は、図1(A)及び図1(B)に示すように、ベース基板10に形成された配線パターン20を有する。配線パターン20の材料についても、特に限定されるものではない。例えば、配線パターン20は、銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン(Ti−W)のうちのいずれかを積層して形成されていてもよい。また、配線パターン20は、ベース基板10の表面に形成されていてもよい。あるいは、配線パターン20は、ベース基板10の内部(層間)に形成されていてもよい。
【0010】
配線パターン20は、図1(A)に示すように、複数の配線24を有する。配線24は、配線パターン20を構成するいずれかの導電線であってもよい。配線24は、図1(A)に示すように、ベース基板10の表面に形成されていてもよい。ただし、配線24は、ベース基板10の内側に形成されていてもよい。配線24は、配線パターン20のうち、特に狭ピッチの領域のみに配置されていてもよい。
【0011】
配線24は、第1の部分25と第2の部分27とを有する。第2の部分27は、図1(A)に示すように、第1の部分25よりも幅が小さくなっている。また、本実施の形態では、図1(B)に示すように、第2の部分27は、第1の部分25よりも厚みが小さくなっている。すなわち、第2の部分27は、第1の部分25よりも、断面積が小さくなっていると言ってもよい。
【0012】
なお、配線パターン20は、配線26をさらに有していてもよい。配線26は、幅及び厚みが一定の配線であってもよい。配線26は、配線パターン20のうち、配線のピッチが粗い部分に配置されていてもよい。あるいは、配線26は、後述する切断工程で、切断されない領域に配置されていてもよい。
【0013】
配線基板100には、図1(A)に示すように、半導体チップ30が搭載されていてもよい。半導体チップ30は、配線パターン20と電気的に接続されていてもよい。また、配線基板100には、レジスト層32が形成されていてもよい。レジスト層32は、配線パターン20を保護する役割を担う部材であってもよい。
【0014】
本実施の形態に係る電子部品の製造方法は、配線基板100を切断することを含む。本工程では、配線24の第2の部分27を切断する。言い換えると、本工程では、配線24を、第2の部分27で切断する。本工程では、例えば、図2(A)に示す仮想直線Lに沿って、配線基板100を切断してもよい。配線基板100を切断する方法は特に限定されないが、例えばせん断加工を適用してもよい。ただし、配線基板100を切断する方法はこれに限られず、レーザーや、カッターを利用して切断工程を行ってもよい。本工程によって、図2(B)に示す、電子部品1を製造してもよい。そして、図3には、電子部品1を有する電子モジュール1000を示す。電子モジュール1000は、例えば、表示デバイスであってもよい。表示デバイスは、例えば液晶表示デバイスやEL(Electrical Luminescence)表示デバイスであってもよい。
【0015】
本実施の形態に係る電子部品の製造方法によると、信頼性の高い電子部品を効率よく製造することが可能になる。以下、その効果について説明する。
【0016】
電子部品を製造する工程で、配線基板を切断することが知られている。このときに、配線が切断される。信頼性の高い電子部品を製造するためには、配線の切断領域の周辺で、隣り合う配線同士の電気的な絶縁信頼性を確保することが重要である。
【0017】
配線基板を切断する方法として、せん断加工が知られているが、これによると、配線の切断部周辺が、幅方向に広がることがあった。すなわち、切断部周辺において、配線間の間隔が狭くなることがあった。あるいは、カッターを利用した切断方法によると、隣り合う2つの配線間に切断バリが発生することがあった。また、レーザーを利用した切断方法でも、配線を構成していた導電体を含む導電性の微粒子が、隣り合う2つの配線間に再付着することがある。これらの現象が発生すると、隣り合う2つの配線間の電気的な絶縁信頼性を低下させる原因になる。
【0018】
ところで、本実施の形態に係る電子部品の製造方法では、配線24を、第2の部分27で切断する。そして、配線24の第2の部分27は、第1の部分25よりも、幅及び高さが小さい領域である。
【0019】
第2の部分27が第1の部分25よりも幅が狭いことから、隣り合う2つの第2の部分27の間隔は、第1の部分25よりも広くなっている。そのため、第2の部分27の幅が広がった場合や、隣り合う2つの第2の部分27の間でバリが発生した場合、あるいは、隣り合う2つの第2の部分27の間に導電性の微粒子が付着した場合にも、隣り合う2つの第2の部分27の絶縁信頼性を確保することができる。
【0020】
また、第2の部分27が第1の部分25よりも高さが低いことから、第2の部分27では、切断工程時に幅が広くなりにくく、また、バリが発生しにくくなる。また、レーザーを利用して第2の部分27を切断する場合には、効率よく切断工程を行うことができる。
【0021】
このことから、配線24を第2の部分27で切断すれば、切断領域で配線24間の電気的なショートが発生しにくい、信頼性の高い電子部品を製造することができる。
【0022】
なお、配線24は、切断領域以外の領域(第1の部分25)で、切断領域(第2の部分27)よりも幅及び厚みが大きくなっている。このことから、配線基板100によると、配線24の電気的な信頼性を確保しつつ、切断による絶縁抵抗の低下を防止することが可能になる。
【0023】
(変形例)
本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0024】
図4(A)及び図4(B)に示す例では、配線基板101は、配線50を有する。配線50は、第1の部分52と、第1の部分52よりも幅が狭い第2の部分54とを含む。そして、第1及び第2の部分52,54では、厚みは同じになっている。なお、図4(A)は配線基板101の上視図であり、図4(B)は、図4(A)のIVB−IVB線断面の一部拡大図である。
【0025】
図5(A)及び図5(B)に示す例では、配線基板102は、配線60を有する。配線60は、第1の部分62と、第1の部分62よりも厚みが薄い第2の部分64とを含む。そして、第1及び第2の部分62,64では、幅は同じになっている。なお、図5(A)は配線基板101の上視図であり、図5(B)は、図5(A)のVB−VB線断面の一部拡大図である。
【0026】
これらの配線基板を利用した場合にも、配線50,60を、それぞれ、第2の部分54,64で切断することで、信頼性の高い電子部品を製造することが可能になる。
【0027】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1(A)及び図1(B)は、本発明を適用した実施の形態に係る電子部品の製造方法を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明を適用した実施の形態に係る電子部品の製造方法を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明を適用した実施の形態に係る電子部品の製造方法を説明するための図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、本発明を適用した実施の形態の変形例に係る電子部品の製造方法を説明するための図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、本発明を適用した実施の形態の変形例に係る電子部品の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1…電子部品、 10…ベース基板、 20…配線パターン、 24…配線、 25…第1の部分、 26…配線、 27…第2の部分、 30…半導体チップ、 32…レジスト層、 50…配線、 52…第1の部分、 54…第2の部分、 60…配線、 62…第1の部分、 64…第2の部分、 100…配線基板、 101…配線基板、 102…配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、前記ベース基板に形成された配線パターンとを有する配線基板を用意する工程と、
前記配線基板を切断する工程と、
を含み、
前記配線パターンは、複数の配線を有し、
それぞれの前記複数の配線は、第1の部分と、前記第1の部分よりも幅及び厚みの少なくとも一方が小さい第2の部分とを有し、
前記配線基板を切断する工程で、前記配線の前記第2の部分を切断する電子部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の電子部品の製造方法において、
前記配線基板を、せん断加工によって切断する電子部品の製造方法。
【請求項3】
ベース基板と、
前記ベース基板上に形成された配線パターンと、
を含み、
前記配線パターンは、複数の配線を含み、
それぞれの前記複数の配線は、第1の部分と、前記第1の部分よりも幅及び厚みの少なくとも一方が小さい第2の部分とを有する配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−142177(P2007−142177A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334305(P2005−334305)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】