説明

電子部品キャリアテープ

【課題】電子部品テープ保持リールに保持された残り電子部品数を容易に確認できる電子部品テープ保持リールを提供する。
【解決手段】電子部品テープ保持リールは、電子部品テープ2を保持する。電子部品テープ2上に形成された電子部品収納部4には、それぞれ電子部品が収納されている。電子部品テープ2には、透明なカバーテープ5が貼付されている。カバーテープ5には、電子部品テープ保持リールに保持された電子部品テープ2に、どれだけ電子部品が残っているかを示す電子部品残量表示6が印刷されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品テープ保持リールに関し、特に、リールに保持された残り電子部品数を目視にて確認できる電子部品テープ保持リールに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品をプリント回路基板に実装する電子部品実装搭載機器における部品供給方法には、電子部品をトレイ内に整列・収容して供給するトレイ方式、電子部品をスティック状ガイド内に一列に収容して供給するスティック方式、電子部品をカセット容器内に多数収容して供給するバルクカセット方式などがある。しかし、テープ状電子部品保持体にその長手方向に多数の電子部品を並べて収容し、このテープ状電子部品保持体の片面に透明カバーテープを配置して電子部品を保持したテープ状の電子部品テープ保持リールをリールに巻き回し、この電子部品テープ保持リールを電子部品供給装置のパーツカセットに装着したリール供給方式が最も広く利用されている(特許文献1)。このリール供給方式は、電子部品テープ保持リールの取り扱いが容易で、かつ電子部品供給動作の信頼性が高く、さらに電子部品実装動作の高速化が可能である。
【0003】
【特許文献1】特開平10-150293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電子部品の実装搭載する実装機器は電子部品を実装搭載した数値は通常の電子部品搭載機は自動的にカウントする機能を有しているが、残り部品をカウントする機能を有している実装機器は無い。実装搭載機は電子部品テープ保持体リールより供給した数値はカウントできるが、実態的には実装機による電子部品搭載ミスによる電子部品落下等にて部品数不一致が生ずる。電子部品テープ保持リールにこれから実装する電子部品の数値はその都度残り部品数をカウントしなければ明確な残り部品数は分からない。
【0005】
もちろん、事前にその電子部品テープ保持リールの残り電子部品数は分かっていなければならないが、その数値は、例えばいちいち電子部品の大きさ、形状等によりテープ状電子部品保持体に格納されている電子部品ピッチ数により、人手によって簡易カウンタ等で数値をカウントした残り部品数を確認しなければならないという問題が生じる。
【0006】
また、電子部品実装搭載機での搭載の際、製造工程内では電子部品搭載エラー等の要因で電子部品が欠損する場合が多く、正常在庫数と実在庫数の不一致が発生するという不具合が考えられる。
さらに、残りの電子部品の数量管理(いわゆる棚卸)についても、電子部品の種類が多数である場合(例えば、数千種類など)には、それぞれの種類の電子部品テープ保持リールが保持する残り電子部品数をそれぞれ数えて管理しなければならない。また正常在庫数と実在庫数の不一致是正の為に、例えば月1回の電子部品数を確認する為の棚卸作業も必要である。この棚卸作業は、現在電子部品保管庫に保管されている電子部品テープ保持リールだけにとどまらず、例えば今現在電子部品実装機器に装着されている電子部品テープ保持リールに残っている電子部品数、或いは保管庫より取り出され、且つ電子部品実装機に装着される前の前段取りにある電子部品テープ保持リールの残り部品数の確認も含まれる。
【0007】
本発明の目的は、電子部品テープ保持リールに保持された残り電子部品数を容易に確認できる電子部品テープ保持リールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、電子部品テープの電子部品収納部に収納された電子部品を保護するカバーテープに、電子部品の残りの数量を示す電子部品残量表示をインクジェット印刷する構成を採用した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品テープを保持する電子部品テープ保持リールを目視することで、そのリールに残された電子部品の残数を確認でき、人手による電子部品テープ保持リール内の残り電子部品数のカウンタによる数量確認が不要となるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態である電子部品テープ保持リール1を示す図である。電子部品テープ保持リール1は、電子部品テープ2を保持するリールである。電子部品テープ2上に形成された電子部品収納部4には、それぞれ電子部品3が収納されている。電子部品テープ2には、電子部品収納部4に収納された電子部品3が、電子部品収納部4から落下するのを防止するため、及び電子部品収納部4に収納された電子部品3を保護するために、透明なカバーテープ5が貼付されている。カバーテープ5には、電子部品テープ保持リール1に保持された電子部品テープ2に、どれだけ電子部品3が残っているかを示す電子部品残量表示6が印刷されている。
【0012】
電子部品残量表示6は、図示しないインクジェットプリンタによって印刷されている。また、電子部品残量表示6は、電子部品テープ2の電子部品収納部4に収納されたすべての電子部品3に対応して印刷されてもよいし、部品の大きさや、1本の電子部品テープ2に収容されている部品の数に応じて、5個おき、10個おき、20個おき等に印刷されてもよい。さらに、電子部品残量表示6は、最初の電子部品3に対応する表示が「1」で、最後の電子部品3に対応する表示がその部品数「n」(つまりカウントアップ)、または最初の電子部品3に対応する表示がその部品数「n」で、最後の電子部品3に対応する表示が「1」(つまりカウントダウン)のどちらを印刷してもよいし、その両方を印刷しても良い。なお、電子部品残量表示6は、数字に限らず、英数字、記号、カラーコードなどを用いてもよく、これらを適宜組み合わせても良い。
【0013】
図2は、電子部品テープ2のカバーテープ5に、電子部品残量表示6が印刷されている様子を示す図である。図2(a)は、電子部品3が4mmピッチで電子部品テープ2に収納されている場合であって、電子部品10個おきの位置に電子部品残量表示6が印刷されている場合を示す。また、図2(b)は、電子部品3が16mmピッチで電子部品テープ2に収納されている場合であって、全ての部品に対応する位置に電子部品残量表示6が印刷されている場合を示す。図2(a)、図2(b)ともに、電子部品残量表示6がカウントアップ表示されている場合を示しているが、上述したようにこれに限らず、カウントダウン表示でも良い。
【0014】
本実施形態についてさらに説明する。
【0015】
透明なカバーテープ5上の電子部品3と電子部品3の間に具体的な残り電子部品数をインクジェットプリンタにより印字する構成でも良い。もちろん、それは具体的な数値のみでなく、色や印等によって示すことも可能であり、その数値・印等を機械的に読み取り処理してもよい。つまり、電子部品3の残数を読み取る読取装置(読み取り部(例えばスキャナなど)を備えたパーソナルコンピュータ)によって読み取り、電子部品の残数を管理する構成でもよい。
【0016】
電子部品テープ保持リール1に保持された電子部品テープ2の透明なカバーテープ5は極めて薄いテープ(一般的に50ミクロン程度)であり、かつ部品形状により平坦でないために、カバーテープ5にインクを吹き付けて電子部品残量表示6を印刷するインクジェットプリンタ(またはインクジェットマーカー)が適している。例えば他の方式であるレーザ印字では、レーザを照射してカバーテープ5(またはカバーテープ5のフィルム表面)を削り取ることによる効果を利用して数値やマーク・印を印刷して表示するものであり、フィルムを傷つけたり穴が開いたりして、電子部品テープ保持リール1内の電子部品3そのものをレーザで傷つけたり破損したりするおそれが生ずる。
【0017】
また、電子部品テープ保持リール1の材質はプラスチックばかりでなく紙製のテープも考えられる。よって、レーザ照射方式では透明カバーテープ5の表面凹凸や厚みの変化により調整を行うなど多大な工数を要し、その結果としてテープや部品を傷つけ、破損させることも考えられ、満足な印刷(表示)を得られない場合もある。
本実施形態によれば、公知のコンピュータ等の装置を用いなくとも、目視にて確認出来るため、電子部品の残数を計数する特別な読み取り装置(コンピュータなど)が無くても、目視にて電子部品の残数を確認することができる。
【0018】
また本実施形態によれば、電子部品の部品棚卸の所要時間を短縮できる。さらに、インクジェットプリンタを用いて印刷する方が、レーザプリンタを用いて印刷するよりも安価である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態である電子部品テープ保持リール1を示す図である。
【図2】電子部品テープ2に貼り付けられたカバーテープ5に、電子部品残量表示6を印刷した例を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1:電子部品テープ保持リール、2:電子部品テープ、3:電子部品、4:電子部品収容部、5:カバーテープ、6:電子部品残量表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収納する電子部品収納部と、
該電子部品収納部に収納された前記電子部品を保護するカバーテープを備える電子部品テープにおいて、
前記カバーテープには、前記電子部品テープが保持する電子部品の残りの数量を示す電子部品残量表示がインクジェット印刷されていることを特徴とする電子部品テープ。
【請求項2】
前記電子部品残量表示は、前記電子部品収納部に収納された電子部品の所定個数ごとに、前記カバーテープに印刷されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品テープ。
【請求項3】
請求項1または2記載の電子部品テープを保持する電子部品テープ保持リール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−56332(P2008−56332A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238443(P2006−238443)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】