説明

電子部品モジュール

【課題】小型で、特性の良いシールドケースを有する電子部品モジュールを提供する。
【解決手段】基板と、基板上に設置された2以上の電極端子を有するチップ部品と、前記チップ部品を覆うように前記基板と接続され、接地されるシールドケースと、を有し、前記チップ部品の電極端子のうち、接地される一方の電極端子は、前記シールドケースと接続され、他方の電極端子は、前記基板と接続されるものであることを特徴とする電子部品モジュールを提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等を構成するものとして電子部品モジュールがあるが、このような電子部品モジュールは、表面実装等されるものであるため、表面実装モジュールとも称され、特に高周波に対応するためシールドケースが設けられたものがある。このようなシールドケースに覆われた電子部品モジュールでは、外部との電磁波の干渉が抑制されるとともに、物理的な衝撃から内部の電子部品を保護することができるといった特徴を有している。
【0003】
図1及び図2に基づき従来からある電子部品モジュールの構造について説明する。この電子部品モジュールは、基板110上にIC(Integrated Circuit)等の半導体部品111及びチップコンデンサー等のチップ部品112が搭載されており、これら半導体部品111及びチップ部品112の全体を覆うようにシールドケース113が設けられている。シールドケース113は基板110とハンダ等により接続されている。半導体部品111には電極端子111aが設けられており、基板110に設けられている不図示の電極端子と接続されている。また、チップ部品112には、2つの電極端子112a及び112bが設けられており、電極端子112a及び112bは、ともに基板110に設けられた不図示の電極端子と接続されている。尚、図1はシールドケース113を透過した状態における電子部品モジュールの斜視図であり、図2は、断面図である。
【0004】
特許文献1には、このようなシールドケースが設けられた電子部品モジュールにおいて、シールドケースの脱落等を防止した構造のものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−148595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した電子部品モジュールにおいては、携帯電話等の電子機器等にも使用されるため、より一層の小型化が求められており、また、高周波における特性の良いものが求められており、更には、衝撃等により破損等が生じにくい構造のものが求められている。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、小型化可能で、高周波における特性が良く、破損等が生じにくい構造の電子部品モジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板と、基板上に設置された2以上の電極端子を有するチップ部品と、前記チップ部品を覆うように前記基板と接続され、接地されるシールドケースと、を有し、前記チップ部品の電極端子のうち、接地される一方の電極端子は、前記シールドケースと接続され、他方の電極端子は、前記基板と接続されるものであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記基板上には、半導体素子が搭載されるものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記チップ部品は2以上用いられており、前記2以上のチップ部品の大きさは略同じ大きさであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記チップ部品は、コンデンサ、インダクタ、抵抗、バリスタまたはダイオードのうち、いずれか1つまたは2以上であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記チップ部品の前記一方の電極端子とシールドケースとはハンダにより接続されており、また、前記チップ部品の前記他方の電極端子と基板とはハンダにより接続されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記基板において、前記チップ部品の他方の電極端子と接続される部分には、凹部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記シールドケースにおいて、前記チップ部品と接続されていない領域において、基板側に凹んだ形状の凹部を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記チップ部品に代えて、2本のリード端子を有するリード部品を用いたものであって、前記リード端子のうち、接地される一方のリード端子は、前記シールドケースと接続され、他方のリード端子は、前記基板と接続されるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小型化可能で、高周波における特性が良く、破損等が生じにくい構造の電子部品モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の電子部品モジュールの透過斜視図
【図2】従来の電子部品モジュールの断面図
【図3】本実施の形態における電子部品モジュールの透過斜視図
【図4】本実施の形態における電子部品モジュールの断面図
【図5】本実施の形態における他の電子部品モジュールの断面図(1)
【図6】本実施の形態における他の電子部品モジュールの断面図(2)
【図7】本実施の形態における他の電子部品モジュールの断面図(3)
【図8】基板20の説明図
【図9】本実施の形態における他の電子部品モジュールの断面図(4)
【図10】本実施の形態における他の電子部品モジュールの断面図(5)
【図11】本実施の形態における電子部品モジュールの製造方法の工程図(1)
【図12】本実施の形態における電子部品モジュールの製造方法の工程図(2)
【図13】本実施の形態における電子部品モジュールの製造方法の工程図(3)
【図14】本実施の形態における電子部品モジュールの製造方法の工程図(4)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0019】
(電子部品モジュール)
図3及び図4に基づき本実施の形態における電子部品モジュールについて説明する。本実施の形態における電子部品モジュールは、基板10上に半導体素子11及びチップ部品12が設置されており、さらに、半導体素子11及びチップ部品12の全体を覆うような形状のシールドケース13が設けられている。尚、図3は本実施の形態の電子部品モジュールにおいて、シールドケース13を透過した状態における斜視図であり、図4は、断面図である。また、電極端子同士の接続に用いられているハンダは不図示である。
【0020】
基板10は、ガラスエポキシ、セラミックス等の絶縁体からなるプリント基板であり、半導体素子11及びチップ部品12が搭載される表面には、所定の形状の配線及び電極端子が設けられている。また、基板10の裏面には電極端子が設けられており、本実施の形態における電子部品モジュールを他のプリント基板等に搭載することができるように形成されている。
【0021】
半導体素子11は、IC等の半導体材料により形成される電子部品であり、例えば、2.4GHz等の高周波において動作するものであり、一方の側に電極端子11aが設けられている。この電極端子11aは、基板10に設けられた不図示の電極端子とハンダ等により電気的に接続されている。
【0022】
チップ部品12は、チップコンデンサー、チップインダクタ、チップ抵抗等の電子部品であり、2つの電極端子12a及び12bを有している。この2つの電極端子12a及び12bのうち、電極端子12bは接地(GND)されるものであり、電極端子12bはハンダ等によりシールドケース13と電気的に接続されている。また、電極端子12aは、基板10に設けられた不図示の電極端子とハンダ等により電気的に接続されている。
【0023】
シールドケース13は、電磁波の漏れ等を防止するために設けられており、洋白等の金属材料により形成されている。シールドケース13は、電磁波の伝播を遮ることができるものであれば、どのような材料であっても用いることは可能であるが、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等を含む金属材料であることが好ましい。尚、シールドケース13は、基板10とハンダ等により接続され接地されている。
【0024】
本実施の形態における電子部品モジュールでは、チップ部品12の一方の電極端子12aは基板10に設けられた不図示の電極端子と接続されており、他方の電極端子12bはシールドケース13の内側と接続されている。従って、シールドケース13の高さを、チップ部品12の高さまで薄くすることができる。また、チップ部品12を立てた状態で配置されるため、基板10及びシールドケース13の面積を狭くすることができる。これにより、電子部品モジュール全体の大きさを小さくすることができ、小型化することが可能となる。
【0025】
言い換えれば、図1及び図2に示す従来の電子部品モジュールでは、チップ部品112の電極端子112a及び112bは、基板110に接続されるため、シールドケース113は、チップ部品112と接触等しないように十分な高さで形成する必要があった。また、チップ部品112は基板110に対し横になった状態で配置されるため、基板110及びシールドケース113を所定の面積以上で形成する必要があった。しかしながら、本実施の形態における電子部品モジュールでは、チップ部品12を基板10に対し立てた状態で接続されているため、シールドケース13の高さを低くすることができ、また、シールドケース13及び基板10の面積も狭くすることができる。よって、電子部品モジュールの小型化することが可能となるのである。
【0026】
また、本実施の形態における電子部品モジュールでは、チップ部品12の接地される電極端子12bは、シールドケース13に接続されている。シールドケース13は接地されているため、GND(接地)ラインとしての機能も有しているが、シールドケース13は、基板10に形成されたGNDラインよりも面積は広く厚い。従って、シールドケース13は、接地電位が安定しており、電圧変動も少なく、シールドケース13をGNDラインとして用いることにより、電子部品モジュールとしての特性を向上させることができる。即ち、本実施の形態における電子部品モジュールでは、GNDラインにおける電位変動に起因するノイズの発生を低減させることができるため、特性を向上させることができる。
【0027】
更に、本実施の形態における電子部品モジュールでは、シールドケース13は、ハンダ等により基板10と接続されているのみならず、チップ部品12とも接続されている。このため、電子部品モジュールの物理的な強度は高く、衝撃等により、シールドケース13が基板10より剥がれてしまうこと、また、シールドケース13が変形してしまうこと等による不良が発生する可能性を極めて低くすることができる。
【0028】
尚、チップ部品12については、規格が定められており、複数のチップ部品を用いる場合には、同じ規格のチップ部品12を用いることにより、基板10とシールドケース13の上面との間隔を一定の間隔に保つことができる。具体的に、チップ部品12の規格としては、0.4mm×0.2mm、0.6mm×0.3mm、1.0mm×0.5mm、1.6mm×0.8mm、2.0mm×1.25mm、3.2mm×1.6mm等があるが、本実施の形態における電子部品モジュールでは、チップ部品12は、これらのいずれかの規格のものに揃えられている。即ち、チップ部品12は、同じ大きさのものが用いられている。
【0029】
次に、本実施の形態における他の構造の電子部品モジュールについて説明する。
【0030】
図5は、チップ部品12を基板10の表面に対して斜めに設置した構造の電子部品モジュールである。チップ部品12は、基板10に対して傾いた状態で、電極端子12aと基板10に設けられた不図示の電極端子とがハンダ14により接続されており、シールドケース13に対して傾いた状態で、電極端子12bとシールドケース13とがハンダ15により接続されている。このようにチップ部品12が傾いた状態であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0031】
図6は、チップ部品12に代えて、バリスタやダイオード等の2端子部品22を用いた構造の電子部品モジュールである。2端子部品22を用いた場合においても、チップ部品12を用いた場合と同様の効果を得ることができる。この場合、2端子部品22の2つの電極端子22a、22bのうち、接地される一方の電極端子22bは、シールドケース13とハンダ等により接続され、他方の電極端子22aは基板10における不図示の電極端子とハンダ等により接続される。
【0032】
図7は、基板20に凹部20aを設け、チップ部品12を凹部20aに埋め込むようにハンダ等により接続した構造の電子部品モジュールである。図8に示すように、基板20には、凹部20aが設けられており、凹部20aの底面には、金メッキ層20b及びハンダ層20cが形成されており、チップ部品12における電極端子12aと電気的に接続することができるように形成されている。このように、基板20の凹部20aにチップ部品12を埋め込んだ構造とすることにより、シールドケース13の高さをより一層低くすることができ、より一層の小型化が可能となる。尚、基板20については、上記以外は基板10と同様である。
【0033】
図9は、シールドケース23に基板10側に凹んだ形状の凹部23aを設けた構造のものである。シールドケース23に凹部23aを設けることにより、電子部品モジュールの占める体積を小さくすることができ、より一層小型化させることができる。尚、シールドケース23については、上記以外の構成材料等についてはシールドケース13の場合と同様である。
【0034】
図10は、チップ部品12に代えてリード端子を有するリード部品32を用いた構造の電子部品モジュールである。リード部品32としては、チップ部品12及び2端子部品22と同様に、コンデンサ、インダクタ、抵抗、バリスタ、ダイオード等が挙げられる。この電子部品モジュールでは、基板10側にハンダ等からなる電極端子30aを設け、シールドケース13側にもハンダ等からなる電極端子30bを設け、リード部品32における一方のリード端子32aと電極端子30aとを電気的に接続し、他方のリード端子32bと電極端子30bとを電気的に接続する。これによりリード部品からなるコンデンサ等を用いた場合においても、電子部品モジュールを小型化させることができる。尚、リード端子32aと電極端子30aとの接続部分、また、リード端子32bと電極端子30bとの接続部分は、更に接続強度を補強するため不図示の樹脂材料等を用いて固定してもよい。
【0035】
(電子部品モジュールの製造方法)
次に、本実施の形態における電子部品モジュールの製造方法について説明する。
【0036】
最初に、図11に示すように、基板10の表面において、チップ部品12の電極端子12a及び半導体素子11の電極端子11aと接続される位置にスクリーン印刷等の方法によりハンダペースト14aを印刷する。
【0037】
次に、図12に示すように、ハンダペースト14a上の所定の位置にチップ部品12及び半導体素子11を載置する。この際、ハンダペースト14aとチップ部品12の電極端子12aとが接するように、また、ハンダペースト14aと半導体素子11の電極端子11aとが接するように載置する。
【0038】
次に、図13に示すように、シールドケース13の内側において、チップ部品12の電極端子12bと接続される位置にスポットによりハンダペースト15aをのせる。この際、基板10と接続されるシールドケース13の端部にもハンダペースト16aをのせる。
【0039】
次に、図14に示すように、基板10上の所定の位置にシールドケース13を載置する。これにより、シールドケース13に設けられたハンダペースト15aとチップ部品12の電極端子12bとは接した状態となる。また、シールドケース13は、ハンダペースト16aを介し基板10と接している。
【0040】
この後、リフローすることにより、ハンダペースト14a、15a、16aが溶けて、ハンダ接続がなされる。以上により、本実施の形態における電子部品モジュールを製造することができる。
【0041】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0042】
10 基板
11 半導体素子
11a 電極端子
12 チップ部品
12a 電極端子
12b 電極端子
13 シールドケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
基板上に設置された2以上の電極端子を有するチップ部品と、
前記チップ部品を覆うように前記基板と接続され、接地されるシールドケースと、を有し、
前記チップ部品の電極端子のうち、接地される一方の電極端子は、前記シールドケースと接続され、他方の電極端子は、前記基板と接続されるものであることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項2】
前記基板上には、半導体素子が搭載されるものであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品モジュール。
【請求項3】
前記チップ部品は2以上用いられており、前記2以上のチップ部品の大きさは略同じ大きさであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品モジュール。
【請求項4】
前記チップ部品は、コンデンサ、インダクタ、抵抗、バリスタまたはダイオードのうち、いずれか1つまたは2以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子部品モジュール。
【請求項5】
前記チップ部品の前記一方の電極端子とシールドケースとはハンダにより接続されており、また、前記チップ部品の前記他方の電極端子と基板とはハンダにより接続されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子部品モジュール。
【請求項6】
前記基板において、前記チップ部品の他方の電極端子と接続される部分には、凹部が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子部品モジュール。
【請求項7】
前記シールドケースにおいて、前記チップ部品と接続されていない領域において、基板側に凹んだ形状の凹部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子部品モジュール。
【請求項8】
前記チップ部品に代えて、2本のリード端子を有するリード部品を用いたものであって、前記リード端子のうち、接地される一方のリード端子は、前記シールドケースと接続され、他方のリード端子は、前記基板と接続されるものであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電子部品モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−142470(P2012−142470A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161(P2011−161)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】