説明

電子部品ユニット

【解決手段】ターミナルベースにターミナルをインサート成形し、このターミナルに電子部品を接合し、前記ターミナルベース及び電子部品をユニット本体にインサート成形した電子部品ユニットである。
【効果】樹脂成形によってターミナル21の密閉性を維持することができ、従来必要としたポッティング処理及びグロメットの部品は不要となるため、生産コストは低額化し、更に、密閉性は向上する。この場合、前記ターミナルベース20の成形材料と前記ユニット本体の成形材料とを同一にすれば、成形の際の熱膨張による歪は発生せず、機密性は更に向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子部品ユニットに関し、例えば、電子部品を用いたスイッチユニット、同センサーユニットとして使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電子部品ユニット50にあっては、図6に示すように、基板61に電子部品(素子)を接合した状態でケーシング62に収容し、ポッティング63などで基板61を固めるとともハーネス64,64,…の部分についてはグロメット65等を用いて密封性を確保していた。
【0003】
【特許文献1】特開2004−254397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポッティング63には、材料の配合、充填、硬化といった工程が増えるため、設備に手間がかかるとともに生産コストが高額化せざるを得ず、また、グロメット65とハーネス64,64,…との間に隙間が発生しやすく、この隙間を介して水・油が浸入しやすいという不都合を有した。
【0005】
この発明の課題はこれらの不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記不都合を解消するために、この発明に係る電子部品ユニットにおいては、ターミナルベースにターミナルをインサート成形し、このターミナルに電子部品を接合し、前記ターミナルベース及び電子部品をユニット本体にインサート成形したものである。
【0007】
この場合、前記ターミナルベースの成形材料と前記ユニット本体の成形材料とを同一にすることができる。
【0008】
また、前記ユニット本体を成形するにあたって、前記ターミナルベースの前記ターミナルの露出面を残して枠状成形し、その後、この前記ターミナルの露出面を被覆成形することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る電子部品ユニットは上記のように構成されているため、即ち、ターミナルベースにターミナルをインサート成形し、このターミナルに電子部品を接合し、前記ターミナルベース及び電子部品をユニット本体にインサート成形したものであるため、樹脂成形によってターミナルの密閉性を維持することができるものである。
【0010】
よって、この電子部品ユニットを使用すれば、従来必要としたポッティング処理及びグロメットの部品は不要となるため、生産コストは低額化し、更に、密閉性は向上する。
【0011】
この場合、前記ターミナルベースの成形材料と前記ユニット本体の成形材料とを同一にすれば、成形の際の熱膨張による歪は発生せず、機密性は更に向上する。
【0012】
また、前記ユニット本体を成形するにあたって、前記ターミナルベースの前記ターミナルの露出面を残して枠状成形し、その後、この前記ターミナルの露出面を被覆成形すれば、枠状成形後にターミナルに素子を接合できるため、
枠状成形物をリフロー実装が出来、通常の基板実装と同等の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明に係る、この発明に係る電子部品ユニットは実施するにあたって下記の構成に最も主要な特徴を有する。
【0014】
ターミナルベースにターミナルをインサート成形する。
【0015】
このターミナルに電子部品を接合し、前記ターミナルベース及び電子部品をユニット本体にインサート成形する。
【0016】
前記ターミナルベースの成形材料と前記ユニット本体の成形材料とは同一であり、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)を使用する。
【0017】
前記ユニット本体の成形は二段階で行う。第一に、前記ターミナルベースの前記ターミナルの露出面を残して枠状成形する。第二に、この前記ターミナルの露出面に素子を半田付けした後被覆成形する。
【0018】
ターミナルベース及びユニット本体の樹脂成型の材料としては、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)を使用する。
【実施例】
【0019】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明に係る電子部品ユニットの斜視図、図2は同ユニット本体を除いた状態の斜視図、図3はターミナルベースとターミナルの分解斜視図、図4はユニット本体の枠状成型した状態の斜視図、図5は同素子を接合した状態の斜視図、図6は図1に相当する従来例の図である。
【0020】
図1において、Aはこの発明に係る電子部品ユニットである。この電子部品ユニットAは、樹脂(PPS)製ユニット本体10に後記ターミナルベース(ホールIC30組み付け後のもの)20をインサート成形したものである。
【0021】
図2及び図3において、20はターミナルベースであり、ポリフェニレンサルファイド(PPS)(樹脂材料)によってモールド成形されている。このターミナルベース20にはターミナル21がインサート成形されている。22はターミナル21の主要部であり、前記ターミナルベース20の表面に露出している。23は同接続端子であり、前記ターミナルベース20から突出している。24は同連結部であり、前記ターミナル21,21,…の先端に形成され、垂直方向に延びている。この連結部24,24,…にはホールIC30がリード31,31,…を介してカシメ結合されている。
【0022】
図4及び図5に基づいて、前記ホールIC30の組み付けられたターミナルベース20を、前記ユニット本体10にインサート成形する工程を説明する。
【0023】
第一工程として、図4に示すように、前記ターミナルベース20における前記ターミナル21の露出面を残して枠状成形する。そして、図5に示すように、この前記ターミナル21の露出した主要部22に素子32を半田付け(フロー半田)した後、第二工程として、前記露出面を被覆成形し、図1の状態とする。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明に係る電子部品ユニットは、二重インサート成形によってターミナルの密閉性を維持することができるため、従来必要としたポッティング処理及びグロメットの部品は不要となるため、生産コストは低額化し、更に、密閉性は向上する。よって、産業上の利用可能性は高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1はこの発明に係る電子部品ユニットの斜視図である。
【図2】図2は同ユニット本体を除いた状態の斜視図である。
【図3】図3はターミナルベースとターミナルの分解斜視図である。
【図4】図4はユニット本体の枠状成形した状態の斜視図である。
【図5】図5は同素子を接合した状態の斜視図である。
【図6】図6は図1に相当する従来例の図である。
【符号の説明】
【0026】
A … 電子部品ユニット
10 … ユニット本体
20 … ターミナルベース
30 … ホールIC
21 … ターミナル
22 … ターミナルの主要部
23 … 接続端子
24 … 連結部
30 … ホールIC
31 … リード
32 … 素子
50 … 電子部品ユニット(従来)
61 … 基板
62 … ケーシング
63 … ポッティング
64 … ハーネス
65 … グロメット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナルベースにターミナルをインサート成形し、このターミナルに電子部品を接合し、前記ターミナルベース及び電子部品をユニット本体にインサート成形したことを特徴とする電子部品ユニット。
【請求項2】
前記ターミナルベースの成形材料と前記ユニット本体の成形材料とを同一にしたことを特徴とする請求項1の電子部品ユニット。
【請求項3】
前記ユニット本体を成形するにあたって、前記ターミナルベースの前記ターミナルの露出面を残して枠状成形し、その後、この前記ターミナルの露出面を被覆成形したことを特徴とする請求項1又は請求項2の電子部品ユニット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−248510(P2012−248510A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121622(P2011−121622)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(596177630)株式会社日本ロック (21)
【Fターム(参考)】