説明

電子部品吸着装置、電子部品装着装置、及び、電子部品吸着方法

【課題】吸着口から吸入されるフラックスの量を十分に低減しながら、電子部品を揺動させることなく保持することが可能な電子部品吸着装置を提供すること。
【解決手段】この電子部品吸着装置100は、電子部品EDと接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面113aを有する。接触面には、吸着口116及び通気口117が形成される。更に、電子部品吸着装置は、吸着口から気体を流入させる吸入装置121を備える。加えて、電子部品吸着装置は、通気口から気体を流入又は流出させる気流生成装置122を備える。電子部品吸着装置は、吸入装置によって吸着口から気体を流入させることにより電子部品を接触面に吸着させる。これによれば、吸着口から吸入されるフラックスの量を十分に低減しながら、電子部品を揺動させることなく保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を吸着することにより電子部品を保持する電子部品吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を吸着することにより電子部品を保持する電子部品吸着装置が知られている。例えば、この電子部品吸着装置は、電子部品を基板に装着する際に、電子部品を基板上の所定の装着位置まで移動させるために用いられる。
【0003】
この種の電子部品吸着装置は、吸着ノズルを備える。吸着ノズルは、先細状に形成されている。吸着ノズルの先端には、吸着口が形成されている。電子部品吸着装置は、吸着口から気体を流入させる(吸入する)。これにより、電子部品吸着装置は、吸着ノズルの先端に電子部品を吸着させることができる。
【0004】
ところで、電子部品を基板に装着する際、基板の酸化物及び/又は汚れを除去すること、基板の再酸化を防止すること、並びに/若しくは、はんだの表面張力を低下させることにより濡れ性を向上させること、等を目的として、有機化合物を主成分とする溶剤(フラックス)を基板に塗布する場合がある。
【0005】
この場合、気化したフラックスが、吸着口から電子部品吸着装置内に吸入されることにより、電子部品吸着装置の内部にフラックスが付着する虞がある。例えば、吸着口から吸入された気体が通過する通路内の気圧を検出することによって、電子部品が吸着されているか否かを検出するように電子部品吸着装置が構成されている場合、その通路内にフラックスが付着することにより、気圧を高い精度にて検出することができなくなるという問題が生じる。
【0006】
これに対処するため、特許文献1に記載の電子部品吸着装置は、吸着ノズルに、吸着口に加えて、通気口が形成されている。通気口は、吸着口よりも吸着ノズルの基端側に配置されている。この電子部品吸着装置は、通気口から気体を流入又は流出させる(吸入する、又は、吹き出す)。これにより、吸着口の近傍に存在するフラックスを除去することができるので、吸着口から吸入されるフラックスの量を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−117871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記電子部品吸着装置においては、通気口と吸着口との間の距離が比較的長い。従って、通気口から気体を流入又は流出させても、吸着口の近傍に存在するフラックスを十分に除去することができず、吸着口から吸入されるフラックスの量を十分に低減することができない虞があった。
【0009】
また、上記電子部品吸着装置においては、電子部品を吸着させる先端の面積が比較的小さい。従って、電子部品が相対的に大きい場合、電子部品を吸着させている状態において通気口から気体を流入又は流出させると、その気流によって電子部品が揺動してしまう虞もあった。即ち、上記電子部品吸着装置においては、吸着口から吸入されるフラックスの量を十分に低減するとともに、電子部品を揺動させることなく保持することができないという問題があった。
【0010】
このため、本発明の目的は、上述した課題である「吸着口から吸入されるフラックスの量を十分に低減するとともに、電子部品を揺動させることなく保持することができないこと」を解決することが可能な電子部品吸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため本発明の一形態である電子部品吸着装置は、
電子部品と接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面を有し、
吸着口及び通気口が上記接触面に形成され、
上記吸着口から気体を流入させる吸入手段と、
上記通気口から気体を流入又は流出させる気流生成手段と、
を備え、上記吸入手段によって上記吸着口から気体を流入させることにより上記電子部品を上記接触面に吸着させるように構成される。
【0012】
また、本発明の他の形態である電子部品装着装置は、
基板を保持する基板保持手段と、
電子部品を吸着することにより当該電子部品を保持する電子部品吸着手段と、
上記保持されている電子部品と、上記保持されている基板と、を相対移動させる相対移動手段と、
上記電子部品を上記基板に装着する装着手段と、
を備える。
【0013】
更に、上記電子部品吸着手段は、
上記電子部品と接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面を有するとともに吸着口及び通気口が当該接触面に形成される。
【0014】
加えて、上記電子部品吸着手段は、
上記吸着口から気体を流入させる吸入手段と、
上記通気口から気体を流入又は流出させる気流生成手段と、
を備え、上記吸入手段によって上記吸着口から気体を流入させることにより上記電子部品を上記接触面に吸着させるように構成される。
【0015】
また、本発明の他の形態である電子部品吸着方法は、
電子部品と接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面に形成された吸着口から気体を流入させる吸入工程と、
上記吸入工程に先立って、上記接触面に形成された通気口から気体を流入又は流出させる気流生成工程と、
を含み、上記吸入工程にて上記吸着口から気体を流入させることにより上記電子部品を上記接触面に吸着させるように構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上のように構成されることにより、吸着口から吸入されるフラックスの量を十分に低減しながら、電子部品を揺動させることなく保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子部品装着装置の概略構成を表す図である。
【図2】図1に示した接触面の正面図であって、電子部品が吸着されていない状態における正面図である。
【図3】図1に示した接触面の正面図であって、電子部品が吸着されている状態における正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る電子部品装着装置の作動の概略を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態の変形例に係る接触面の正面図であって、電子部品が吸着されていない状態における正面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る接触面の正面図であって、電子部品が吸着されている状態における正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電子部品装着装置の概略構成を表す図であって、第1の電子部品が接触面に吸着されている状態における図である。
【図8】図7に示した接触面の正面図であって、電子部品が吸着されていない状態における正面図である。
【図9】図7に示した接触面の正面図であって、第1の電子部品が吸着されている状態における正面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る電子部品装着装置の概略構成を表す図であって、第2の電子部品が接触面に吸着されている状態における図である。
【図11】図10に示した接触面の正面図であって、第2の電子部品が吸着されている状態における正面図である。
【図12】本発明の各実施形態の変形例に係る電子部品吸着装置の概略構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一形態である電子部品吸着装置は、
電子部品と接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面を有し、
吸着口及び通気口が上記接触面に形成され、
上記吸着口から気体を流入させる吸入手段と、
上記通気口から気体を流入又は流出させる気流生成手段と、
を備え、上記吸入手段によって上記吸着口から気体を流入させることにより上記電子部品を上記接触面に吸着させるように構成される。
【0019】
これによれば、通気口から気体を流入又は流出させることにより、吸着口の近傍に存在するフラックスを除去することができるので、吸着口から吸入されるフラックスの量を低減することができる。更に、上記構成においては、電子部品を吸着させる接触面の面積は、電子部品の面積よりも大きい。従って、通気口から気体を流入又は流出させた場合に、その気流によって電子部品が揺動することを防止することができる。
【0020】
このように、上記構成によれば、吸着口から吸入されるフラックスの量を十分に低減しながら、電子部品を揺動させることなく保持することができる。
【0021】
この場合、上記通気口は、上記電子部品が上記接触面に吸着されている状態において、当該電子部品の周辺に位置するように形成されることが好適である。
【0022】
電子部品が接触面に吸着されている状態においては、電子部品と接触面との間の隙間をフラックスが通過することにより、フラックスが吸着口から吸入される。従って、上記構成のように、電子部品と接触面との間の隙間の近傍に通気口を配置することにより、吸着口から吸入されるフラックスの量を確実に低減することができる。
【0023】
この場合、上記通気口は、第1の通気口と第2の通気口とを含み、
上記第1の通気口は、上記電子部品としての第1の電子部品が上記接触面に吸着されている状態において、当該第1の電子部品の周辺に位置するように形成され、
上記第2の通気口は、上記第1の電子部品よりも大きい上記電子部品としての第2の電子部品が上記接触面に吸着されている状態において、当該第2の電子部品の周辺に位置するように形成されることが好適である。
【0024】
これによれば、第1の電子部品が吸着されている状態においては、第1の通気口が第1の電子部品と接触面との間の隙間の近傍に位置し、一方、第2の電子部品が吸着されている状態においては、第2の通気口が第2の電子部品と接触面との間の隙間の近傍に位置する。従って、大きさが異なる第1の電子部品及び第2の電子部品のいずれが吸着されている状態においても、吸着口から吸入されるフラックスの量を確実に低減することができる。
【0025】
この場合、上記電子部品吸着装置は、
上記気流生成手段が上記第1の通気口から気体を流入又は流出させる第1の状態と、当該気流生成手段が上記第2の通気口から気体を流入又は流出させる第2の状態と、に状態を切り替える切替手段を備えることが好適である。
【0026】
これによれば、例えば、気流生成手段として1つの吸入装置を用意することにより、電子部品の大きさに応じて、第1の通気口又は第2の通気口から気体を吸入することができる。これにより、2つの吸入装置を用意する場合と比較して、電子部品吸着装置の大きさを小さくすることができる。
【0027】
この場合、上記吸着口は、円形状に形成され、
上記通気口は、上記吸着口の中心を重心とする長方形の辺に沿うように形成されることが好適である。
【0028】
また、上記電子部品吸着装置の他の態様において、
上記吸着口は、円形状に形成され、
上記通気口は、上記吸着口の中心を重心とする長方形の各辺の中点を中心とする円形状に形成されることが好適である。
【0029】
また、本発明の他の形態である電子部品装着装置は、
基板を保持する基板保持手段と、
電子部品を吸着することにより当該電子部品を保持する電子部品吸着手段と、
上記保持されている電子部品と、上記保持されている基板と、を相対移動させる相対移動手段と、
上記電子部品を上記基板に装着する装着手段と、
を備える。
【0030】
更に、上記電子部品吸着手段は、
上記電子部品と接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面を有するとともに吸着口及び通気口が当該接触面に形成される。
【0031】
加えて、上記電子部品吸着手段は、
上記吸着口から気体を流入させる吸入手段と、
上記通気口から気体を流入又は流出させる気流生成手段と、
を備え、上記吸入手段によって上記吸着口から気体を流入させることにより上記電子部品を上記接触面に吸着させるように構成される。
【0032】
この場合、上記通気口は、上記電子部品が上記接触面に吸着されている状態において、当該電子部品の周辺に位置するように形成されることが好適である。
【0033】
この場合、上記通気口は、第1の通気口と第2の通気口とを含み、
上記第1の通気口は、上記電子部品としての第1の電子部品が上記接触面に吸着されている状態において、当該第1の電子部品の周辺に位置するように形成され、
上記第2の通気口は、上記第1の電子部品よりも大きい上記電子部品としての第2の電子部品が上記接触面に吸着されている状態において、当該第2の電子部品の周辺に位置するように形成されることが好適である。
【0034】
また、本発明の他の形態である電子部品吸着方法は、
電子部品と接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面に形成された吸着口から気体を流入させる吸入工程と、
上記吸入工程に先立って、上記接触面に形成された通気口から気体を流入又は流出させる気流生成工程と、
を含み、上記吸入工程にて上記吸着口から気体を流入させることにより上記電子部品を上記接触面に吸着させるように構成される。
【0035】
この場合、上記通気口は、上記電子部品が上記接触面に吸着されている状態において、当該電子部品の周辺に位置するように形成されることが好適である。
【0036】
この場合、上記通気口は、第1の通気口と第2の通気口とを含み、
上記第1の通気口は、上記電子部品としての第1の電子部品が上記接触面に吸着されている状態において、当該第1の電子部品の周辺に位置するように形成され、
上記第2の通気口は、上記第1の電子部品よりも大きい上記電子部品としての第2の電子部品が上記接触面に吸着されている状態において、当該第2の電子部品の周辺に位置するように形成されることが好適である。
【0037】
上述した構成を有する、電子部品装着装置、又は、電子部品吸着方法、の発明であっても、上記電子部品吸着装置と同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することができる。
【0038】
以下、本発明に係る、電子部品吸着装置、電子部品装着装置、及び、電子部品吸着方法、の各実施形態について図1〜図12を参照しながら説明する。
【0039】
<第1実施形態>
(構成)
図1に示したように、第1実施形態に係る電子部品装着装置1は、テーブル部(基板保持手段)11と、テーブル駆動部12と、ヘッド部13と、ヘッド駆動部14と、ヘッド加熱部15と、を備える。
【0040】
テーブル部11は、水平面を構成する頂面を有する部材である。テーブル部11は、頂面に基板SBを載せることにより、基板SBを保持する。テーブル部11は、基板SBを加熱可能に構成されている。
テーブル駆動部12は、テーブル部11を水平方向に駆動する。
【0041】
ヘッド部13は、水平面を構成する底面13aを有する部材である。ヘッド部13は、底面13aがテーブル部11の頂面と対向するように配置されている。底面13aは、接触面とも呼ばれる。接触面13aの面積は、電子部品EDよりも大きい。接触面13aは、電子部品EDと接触するための平面である。
【0042】
接触面13aには、接触面13aの正面図である図2に示したように、吸着口16と、通気口17と、が形成されている。吸着口16は、円形状に形成されている。また、通気口17は、吸着口16の中心を重心とする長方形(本例では、正方形)の辺に沿うように形成されている。
【0043】
この長方形の1辺の長さは、図3に示したように、長方形(本例では、正方形)状の電子部品EDの1辺の長さよりも長い。本例では、電子部品EDは、半導体チップ(例えば、IC(Integrated Circuit)チップ等)である。即ち、通気口17は、電子部品EDが接触面13aに吸着されている状態において、電子部品EDの周辺(電子部品EDの外縁の近傍、電子部品EDよりも所定の距離だけ外側)に位置するように形成されている。
【0044】
また、ヘッド部13には、吸着用連通路18と、通気用連通路19と、が形成されている。
吸着用連通路18は、吸着口16と第1の吸入装置21とを連通する。第1の吸入装置21は、気体を吸入する装置(例えば、真空ポンプ等)である。
【0045】
また、通気用連通路19は、通気口17と第2の吸入装置22とを連通する。第2の吸入装置22は、気体を吸入する装置(例えば、真空ポンプ等)である。第2の吸入装置22には、回収装置23が接続されている。回収装置23は、第2の吸入装置22により吸入された気体に含まれるフラックスを回収し、回収したフラックスを収容する装置である。
【0046】
このように、吸着用連通路18及び第1の吸入装置21は、吸着口16から気体を流入させる吸入手段を構成している。また、通気用連通路19及び第2の吸入装置22は、通気口17から気体を流入させる気流生成手段を構成している。
【0047】
このような構成により、電子部品装着装置1は、第1の吸入装置21によって吸着口16から気体を流入させる(第1の吸入装置21が気体を吸入する)ことにより電子部品EDを接触面13aに吸着させる。これにより、電子部品装着装置1は、電子部品EDを保持する。
【0048】
ヘッド駆動部14は、ヘッド部13を鉛直方向(水平方向に直交する方向)に駆動する。
即ち、電子部品装着装置1は、電子部品EDを接触面13aに吸着させている状態において、ヘッド駆動部14によりヘッド部13を駆動するとともにテーブル駆動部12によりテーブル部11を駆動することによって、保持されている電子部品EDと、保持されている基板SBと、を相対移動させる。即ち、テーブル駆動部12及びヘッド駆動部14は、相対移動手段を構成している。
【0049】
ヘッド加熱部15は、電子部品EDが接触面13aに吸着されている状態において、電子部品EDを加熱可能に構成されている。
【0050】
電子部品装着装置1は、電子部品EDを基板SBに押圧するとともに、ヘッド加熱部15によって電子部品EDを加熱し且つテーブル部11によって基板SBを加熱することにより、電子部品EDを基板SBに装着する。即ち、テーブル部11、テーブル駆動部12、ヘッド駆動部14及びヘッド加熱部15は、装着手段を構成している。
【0051】
なお、ヘッド部13、吸着口16、通気口17、吸着用連通路18、通気用連通路19、第1の吸入装置21及び第2の吸入装置22は、電子部品吸着装置(電子部品吸着手段)を構成している。
【0052】
(作動)
次に、上記のように構成された電子部品装着装置1の作動について、図4に示したフローチャートを参照しながら説明する。
【0053】
先ず、電子部品装着装置1は、基板SBをテーブル部11の頂面に保持している状態において、第2の吸入装置22の作動を開始させることにより、通気口17から気体を吸入する(ステップ405、気流生成工程)。これにより、加熱されることによって気化したフラックスは、通気口17から吸入される。
【0054】
次いで、電子部品装着装置1は、テーブル部11による基板SBの加熱を開始する(ステップ410)。そして、電子部品装着装置1は、第1の吸入装置21の作動を開始させることにより、吸着口16から気体を吸入する(ステップ415、吸入工程)。これにより、電子部品(チップ)EDが接触面13aに吸着される(ステップ420)。
【0055】
この状態においては、電子部品装着装置1は、チップEDと接触面13aとの間の隙間の近傍に配置された通気口17から気体を吸入している。従って、吸着口16から吸入されるフラックスの量を確実に低減することができる。更に、接触面13aの面積がチップEDの面積よりも大きいので、通気口17から気体を流入させても、その気流によってチップEDが揺動することを防止することができる。
【0056】
そして、電子部品装着装置1は、テーブル駆動部12によりテーブル部11を水平方向に移動させる(ステップ425)。これにより、電子部品装着装置1は、チップEDを基板SB上の所定の装着位置まで移動させる。
【0057】
そして、電子部品装着装置1は、ヘッド駆動部14によりヘッド部13を、鉛直方向のうちの、ヘッド部13とテーブル部11との間の距離を短くする方向(下方)へ、予め設定された距離だけ移動させる(下降させる、ステップ430)。
【0058】
次いで、電子部品装着装置1は、チップEDと基板SBとが接触したか否かを判定する(ステップ435)。そして、チップEDと基板SBとが接触していない場合、電子部品装着装置1は、ステップ430へ戻り、再び、ヘッド部13を下降させる。
【0059】
一方、チップEDと基板SBとが接触している場合、電子部品装着装置1は、ヘッド加熱部15によるチップEDの加熱を開始する(ステップ440)。更に、電子部品装着装置1は、所定の加圧時間だけ待機することにより、チップEDを基板SBへ押圧(加圧)する(ステップ445)。これにより、チップEDは、基板SBに装着(固定)される。
【0060】
次いで、電子部品装着装置1は、第1の吸入装置21の作動を終了させることにより、吸着口16からの気体の吸入を終了する(ステップ450)。そして、電子部品装着装置1は、ヘッド駆動部14によりヘッド部13を、鉛直方向のうちの、ヘッド部13とテーブル部11との間の距離を長くする方向(上方)へ、予め設定された距離だけ移動させる(上昇させる、ステップ455)。
【0061】
次いで、電子部品装着装置1は、ヘッド加熱部15によるチップEDの加熱、及び、テーブル部11による基板SBの加熱、の両方を終了する(ステップ460)。そして、電子部品装着装置1は、第2の吸入装置22の作動を終了させることにより、通気口17からの気体の吸入を終了する(ステップ465)。
【0062】
以上、説明したように、本発明による電子部品装着装置の第1実施形態によれば、通気口17から気体を流入させることにより、吸着口16の近傍に存在するフラックスを除去することができるので、吸着口16から吸入されるフラックスの量を低減することができる。
【0063】
更に、上記第1実施形態においては、電子部品EDを吸着させる接触面13aの面積は、電子部品EDの面積よりも大きい。従って、通気口17から気体を流入させた場合に、その気流によって電子部品EDが揺動することを防止することができる。
【0064】
このように、上記第1実施形態によれば、吸着口16から吸入されるフラックスの量を十分に低減しながら、電子部品EDを揺動させることなく保持することができる。
【0065】
更に、上記第1実施形態によれば、電子部品EDと接触面13aとの間の隙間の近傍に通気口17が配置されている。これにより、吸着口16から吸入されるフラックスの量を確実に低減することができる。
【0066】
なお、上記第1実施形態の変形例に係る接触面13aには、接触面13aの正面図である図5に示したように、通気口17に代えて、4つの通気口31が形成されている。各通気口31は、吸着口16の中心を重心とする長方形(本例では、正方形)の各辺の中点を中心とする円形状に形成されている。即ち、各通気口31は、図6に示したように、電子部品EDが接触面13aに吸着されている状態において、電子部品EDの周辺(電子部品EDの外縁の近傍、電子部品EDよりも所定の距離だけ外側)に位置するように形成されている。
この変形例によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電子部品装着装置について説明する。第2実施形態に係る電子部品装着装置は、上記第1実施形態に係る電子部品装着装置に対して、電子部品の大きさに応じて、異なる位置に配置された通気口から気体を流入する点において相違している。従って、以下、かかる相違点を中心として説明する。
【0068】
この第2実施形態に係る電子部品装着装置1において、接触面13aには、図7に示したように、第1の通気口としての通気口17に加えて、第2の通気口としての通気口41が形成されている。
【0069】
通気口17は、図8に示したように、吸着口16の中心を重心とする長方形(本例では、正方形)の辺に沿うように形成されている。この長方形の1辺の長さは、図9に示したように、長方形(本例では、正方形)状の第1の電子部品ED1の1辺の長さよりも長い。即ち、通気口17は、第1の電子部品ED1が接触面13aに吸着されている状態において、第1の電子部品ED1の周辺(第1の電子部品ED1の外縁の近傍、第1の電子部品ED1よりも所定の距離だけ外側)に位置するように形成されている。
【0070】
また、通気口41は、図8に示したように、吸着口16の中心を重心とする長方形(本例では、正方形)の辺に沿うように形成されている。通気口41は、通気口17よりも所定の距離だけ外側に位置するように形成されている。即ち、通気口41により形成される長方形の1辺の長さは、図10及び図11に示したように、長方形(本例では、正方形)状の第2の電子部品ED2の1辺の長さよりも長い。なお、第2の電子部品ED2の1辺の長さは、第1の電子部品ED1の1辺の長さよりも長い。
【0071】
即ち、通気口41は、第1の電子部品ED1よりも大きい電子部品としての第2の電子部品ED2が接触面13aに吸着されている状態において、第2の電子部品ED2の周辺(第2の電子部品ED2の外縁の近傍、第2の電子部品ED2よりも所定の距離だけ外側)に位置するように形成されている。
【0072】
また、ヘッド部13には、吸着用連通路18及び通気用連通路19に加えて、通気用連通路42が形成されている。
通気用連通路19は、通気口17と切替装置43とを連通する。また、通気用連通路42は、通気口41と切替装置43とを連通する。
【0073】
切替装置43は、第2の吸入装置22と接続されている。切替装置43は、通気用連通路19と第2の吸入装置22とを連通し且つ通気用連通路42と第2の吸入装置22とを遮断する第1の状態と、通気用連通路19と第2の吸入装置22とを遮断し且つ通気用連通路42と第2の吸入装置22とを連通する第2の状態と、に状態を切り替え可能に構成されている。
【0074】
即ち、切替装置43は、第2の吸入装置22が通気口17から気体を流入させる第1の状態と、第2の吸入装置22が通気口41から気体を流入させる第2の状態と、に状態を切り替え可能に構成されている、と言うことができる。
【0075】
電子部品装着装置1は、第1の電子部品ED1を基板SBに装着する場合、切替装置43の状態を第1の状態に設定する。一方、電子部品装着装置1は、第2の電子部品ED2を基板SBに装着する場合、切替装置43の状態を第2の状態に設定する。
【0076】
これによれば、電子部品装着装置1は、第1の電子部品ED1が接触面13aに吸着されている状態においては、第1の通気口17から気体を流入させる。一方、電子部品装着装置1は、第2の電子部品ED2が接触面13aに吸着されている状態においては、第2の通気口41から気体を流入させる。
【0077】
これにより、大きさが異なる第1の電子部品ED1及び第2の電子部品ED2のいずれが吸着されている状態においても、電子部品と接触面13aとの間の隙間の近傍に位置する通気口から気体を吸入することができる。この結果、吸着口16から吸入されるフラックスの量を確実に低減することができる。
【0078】
更に、上記第2実施形態によれば、1つの吸入装置(本例では、第2の吸入装置22)を用意することにより、電子部品の大きさに応じて、第1の通気口17又は第2の通気口41から気体を吸入することができる。これにより、第1の通気口17から気体を吸入するための吸入装置と第2の通気口41から気体を吸入するための吸入装置とからなる2つの吸入装置を用意する場合と比較して、電子部品吸着装置の大きさを小さくすることができる。
【0079】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態は、1つの電子部品EDを基板SBに装着する毎に、通気口17,31,41からの気体の吸入を一旦終了するように構成されていたが、複数の電子部品EDが基板SBに装着されるまで、通気口17,31,41からの気体の吸入を継続するように構成されていてもよい。
【0080】
また、上記各実施形態は、通気口17,31,41から気体を吸入する(流入させる)ように構成されていたが、通気口17,31,41から気体を吹き出す(流出させる)ように構成されていてもよい。この構成によっても、電子部品EDと接触面13aとの間の隙間の近傍に存在するフラックスを除去することができるので、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0081】
また、図12に示したように、上記各実施形態の変形例に係る電子部品吸着装置100は、電子部品EDと接触し且つ電子部品EDよりも面積が大きい平面である接触面113aを有する。
【0082】
接触面113aには、吸着口116及び通気口117が形成される。更に、電子部品吸着装置100は、吸着口116から気体を流入させる吸入装置121を備える。加えて、電子部品吸着装置100は、通気口117から気体を流入又は流出させる気流生成装置122を備える。電子部品吸着装置100は、吸入装置121によって吸着口116から気体を流入させることにより電子部品EDを接触面113aに吸着させる。
この変形例によっても、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
また、上記実施形態の他の変形例として、上述した実施形態及び変形例の任意の組み合わせが採用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、電子部品を吸着することにより電子部品を保持する電子部品吸着装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 電子部品装着装置
11 テーブル部
12 テーブル駆動部
13 ヘッド部
13a 接触面
14 ヘッド駆動部
15 ヘッド加熱部
16 吸着口
17 通気口
18 吸着用連通路
19 通気用連通路
21 第1の吸入装置
22 第2の吸入装置
23 回収装置
31 通気口
41 通気口
42 通気用連通路
43 切替装置
100 電子部品吸着装置
113a 接触面
116 吸着口
117 通気口
121 吸入装置
122 気流生成装置
ED 電子部品(チップ)
ED1 第1の電子部品
ED2 第2の電子部品
SB 基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面を有し、
吸着口及び通気口が前記接触面に形成され、
前記吸着口から気体を流入させる吸入手段と、
前記通気口から気体を流入又は流出させる気流生成手段と、
を備え、前記吸入手段によって前記吸着口から気体を流入させることにより前記電子部品を前記接触面に吸着させるように構成された電子部品吸着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品吸着装置であって、
前記通気口は、前記電子部品が前記接触面に吸着されている状態において、当該電子部品の周辺に位置するように形成された電子部品吸着装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子部品吸着装置であって、
前記通気口は、第1の通気口と第2の通気口とを含み、
前記第1の通気口は、前記電子部品としての第1の電子部品が前記接触面に吸着されている状態において、当該第1の電子部品の周辺に位置するように形成され、
前記第2の通気口は、前記第1の電子部品よりも大きい前記電子部品としての第2の電子部品が前記接触面に吸着されている状態において、当該第2の電子部品の周辺に位置するように形成された電子部品吸着装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子部品吸着装置であって、
前記気流生成手段が前記第1の通気口から気体を流入又は流出させる第1の状態と、当該気流生成手段が前記第2の通気口から気体を流入又は流出させる第2の状態と、に状態を切り替える切替手段を備える電子部品吸着装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電子部品吸着装置であって、
前記吸着口は、円形状に形成され、
前記通気口は、前記吸着口の中心を重心とする長方形の辺に沿うように形成された電子部品吸着装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電子部品吸着装置であって、
前記吸着口は、円形状に形成され、
前記通気口は、前記吸着口の中心を重心とする長方形の各辺の中点を中心とする円形状に形成された電子部品吸着装置。
【請求項7】
基板を保持する基板保持手段と、
電子部品を吸着することにより当該電子部品を保持する電子部品吸着手段と、
前記保持されている電子部品と、前記保持されている基板と、を相対移動させる相対移動手段と、
前記電子部品を前記基板に装着する装着手段と、
を備えるとともに、
前記電子部品吸着手段は、
前記電子部品と接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面を有するとともに吸着口及び通気口が当該接触面に形成され、且つ、
前記吸着口から気体を流入させる吸入手段と、
前記通気口から気体を流入又は流出させる気流生成手段と、
を備え、前記吸入手段によって前記吸着口から気体を流入させることにより前記電子部品を前記接触面に吸着させるように構成された電子部品装着装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電子部品装着装置であって、
前記通気口は、前記電子部品が前記接触面に吸着されている状態において、当該電子部品の周辺に位置するように形成された電子部品装着装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の電子部品装着装置であって、
前記通気口は、第1の通気口と第2の通気口とを含み、
前記第1の通気口は、前記電子部品としての第1の電子部品が前記接触面に吸着されている状態において、当該第1の電子部品の周辺に位置するように形成され、
前記第2の通気口は、前記第1の電子部品よりも大きい前記電子部品としての第2の電子部品が前記接触面に吸着されている状態において、当該第2の電子部品の周辺に位置するように形成された電子部品装着装置。
【請求項10】
電子部品と接触し且つ当該電子部品よりも面積が大きい平面である接触面に形成された吸着口から気体を流入させる吸入工程と、
前記吸入工程に先立って、前記接触面に形成された通気口から気体を流入又は流出させる気流生成工程と、
を含み、前記吸入工程にて前記吸着口から気体を流入させることにより前記電子部品を前記接触面に吸着させるように構成された電子部品吸着方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電子部品吸着方法であって、
前記通気口は、前記電子部品が前記接触面に吸着されている状態において、当該電子部品の周辺に位置するように形成された電子部品吸着方法。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の電子部品吸着方法であって、
前記通気口は、第1の通気口と第2の通気口とを含み、
前記第1の通気口は、前記電子部品としての第1の電子部品が前記接触面に吸着されている状態において、当該第1の電子部品の周辺に位置するように形成され、
前記第2の通気口は、前記第1の電子部品よりも大きい前記電子部品としての第2の電子部品が前記接触面に吸着されている状態において、当該第2の電子部品の周辺に位置するように形成された電子部品吸着方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−205998(P2010−205998A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50848(P2009−50848)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】