説明

電子部品実装構造体及びその製造方法

【課題】アライメントマークを、粒子含有フィルムを介して認識することができる電子部品実装構造体の製造方法及び該方法により製造された電子部品実装構造体の提供。
【解決手段】電子部品実装構造体の製造方法は、アライメントマーク31を有する基材上に粒子含有フィルムを配置するフィルム配置工程と、前記アライメントマーク31の直上領域における粒子含有フィルムを、押圧部材を用いて押圧して、前記粒子含有フィルムの厚みを薄くする押圧工程と、前記粒子含有フィルムの厚みの薄い部分が直上領域に形成されたアライメントマーク31の位置に基づいて電子部品の実装領域を画定する実装領域画定工程と、前記実装領域に電子部品を実装する電子部品実装工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装構造体の製造方法及び該方法により製造された電子部品実装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板等の配線基板上にICチップを直接実装する方法として、バインダー中に導電粒子を分散させた異方性導電フィルムを用いる方法が知られている。
前記異方性導電フィルムを用いた実装方法では、異方性導電フィルムを貼り付けた配線基板上にICチップを搭載した後に、前記ICチップを加圧・加熱して異方性導電フィルムを硬化させて熱圧着実装を行う。
【0003】
ICチップと配線基板との接続にあたっては、両者の位置合わせ(アライメント)を高精度に行う必要がある。即ち、ICチップ上のアライメントマークと、配線基板上のアライメントマークとを認識し、ICチップとそれを貼り付ける配線基板との位置合わせを精密かつ正確に行うことが重要となる。
ここで、アライメントマークの認識の観点から、図1に示すように、異方性導電フィルム10がアライメントマーク20に重ならないように、異方性導電フィルム10を各ICチップ30の大きさに合わせて配線基板に配置するか、または、図2に示すように、異方性導電フィルム10をICチップ30の幅に合わせて帯貼りしていた。そのため、異方性導電フィルムを個々の形状に合わせて貼り付ける必要があり、生産性が低く、また、高精度なフィルム貼付装置を必要としていた。
【0004】
また、配線基板上にICチップを直接実装するフリップチップ実装において、配線基板のアライメントマークを除いた部分に接着剤層を形成することが行われているが(例えば、特許文献1)、接着剤層を形成する工程が煩雑となり、コスト高となってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−294575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、アライメントマークを、粒子含有フィルムを介して認識することができる電子部品実装構造体の製造方法及び該方法により製造された電子部品実装構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> アライメントマークを有する基材上に粒子含有フィルムを配置するフィルム配置工程と、前記アライメントマークの直上領域における粒子含有フィルムを、押圧部材を用いて押圧して、前記粒子含有フィルムの厚みを薄くする押圧工程と、前記粒子含有フィルムの厚みの薄い部分が直上領域に形成されたアライメントマークの位置に基づいて電子部品の実装領域を画定する実装領域画定工程と、前記実装領域に電子部品を実装する電子部品実装工程と、を含むこと特徴とする電子部品実装構造体の製造方法である。
<2> 押圧部材が、半球状の押圧部を有する前記<1>に記載の電子部品実装構造体の製造方法である。
<3> 押圧部材が、アライメントマークを覆うようにして押圧可能である前記<1>から<2>のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法である。
<4> 押圧部材が、ポリテトラフルオロエチレンを含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法である。
<5> 粒子含有フィルムが熱硬化樹脂を含み、電子部品実装工程において、前記粒子含有フィルムを介して、基材と電子部品とを熱圧着する前記<1>から<4>のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法である。
<6> アライメントマークが実装領域内に位置する前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法である。
<7> 電子部品実装工程において、エラストマーを含む弾性ヘッドを用いる前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法によって製造されたことを特徴とする電子部品実装構造体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、アライメントマークを、粒子含有フィルムを介して認識することができる電子部品実装構造体の製造方法及び該方法により製造された電子部品実装構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、従来の配線基板における異方性導電フィルムの配置を示す図である(その1)。
【図2】図2は、従来の配線基板における異方性導電フィルムの配置を示す図である(その2)。
【図3】図3は、本発明の電子部品実装構造体の製造方法を説明するための図である(その1)。
【図4】図4は、本発明の電子部品実装構造体の製造方法を説明するための図である(その2)。
【図5】図5は、本発明の電子部品実装構造体の製造方法を説明するための図である(その3)。
【図6】図6は、本発明の電子部品実装構造体の製造方法に用いられるアライメントマークの例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の電子部品実装構造体の製造方法に用いられるアライメントマークの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(電子部品実装構造体及びその製造方法)
本発明の電子部品実装構造体の製造方法は、フィルム配置工程と、押圧工程と、実装領域画定工程と、電子部品実装工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
本発明の電子部品実装構造体は、本発明の電子部品実装構造体の製造方法により製造された電子部品実装構造体であって、アライメントマークを有する基材と、前記基材上に形成された粒子含有フィルムと、前記アライメントマークの位置に基づく実装領域に実装された電子部品とを有する。
【0011】
<フィルム配置工程>
前記フィルム配置工程は、アライメントマークを有する基材上に粒子含有フィルムを配置する工程である。
【0012】
<<アライメントマーク>>
前記アライメントマークとしては、基材と電子部品との位置合わせに使用可能なものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アライメントマークの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状、半球状、円錐状、角柱状、角錐状、+字状、などが挙げられる。これらの中でも、エッチング又はメッキによる形成のし易さの点で、円柱状が好ましい。
【0013】
前記アライメントマークの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、断面形状の最大長さ(例えば、円柱状である場合、円柱断面の円の直径)が0.05mm〜1mmであることが好ましく、0.1mm〜0.6mmであることがより好ましく、0.2mm〜0.5mmであることが特に好ましい。
前記最大長さが0.05mm未満であると、マークが読み取れないことがあり、1mmを超えると、アライメントマーク認識時に視野に収まらないことがある。一方、前記最大長さが前記特に好ましい範囲内であると、マーク読み取り性の点で有利である。
なお、最大長さは、アライメントマーク(アライメントマークが存在する領域)の直径又は対角線を意味する。
【0014】
前記アライメントマークの高さは基板上の回路の厚みと略同等である。
【0015】
前記アライメントマークの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コア材料としての銅にNi/Auメッキしたもの、コア材料としての銅にAuメッキしたもの、などが挙げられる。
【0016】
<<基材>>
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、
ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、セラミック基板、紙フェノール基板、PET基板などが挙げられる。
【0017】
<<粒子含有フィルム>>
前記粒子含有フィルムとしては、粒子を含有したフィルムである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、異方性導電フィルム(ACF)、シリカ粒子などを含む非導電性フィルム(NCF)などが挙げられる。
【0018】
−異方性導電フィルム(ACF)−
前記異方性導電フィルム(ACF)としては、導電性粒子と、バインダーとを少なくとも含むフィルムである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
−−導電性粒子−−
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、従来の異方性導電接着剤において用いられているものと同じ構成の数平均粒子径が1μm〜50μmの金属粒子又は金属被覆樹脂粒子を使用することができる。
前記金属粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ニッケル、コバルト、銅などが挙げられる。それらの表面酸化を防ぐ目的で、表面に金、パラジウムを施した粒子を用いてもよい。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
前記金属被覆樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ニッケル、コバルト、銅などの1種以上でメッキを施した真球状の粒子が挙げられる。同様に、最外表面に金、パラジウムを施した粒子を用いてもよい。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
【0020】
−−バインダー−−
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂等の熱硬化樹脂などが挙げられる。
【0021】
−非導電性フィルム(NCF)−
前記非導電性フィルム(NCF)としては、シリカ粒子などを含むものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ含有熱硬化性エポキシ樹脂フィルム、などが挙げられる。
【0022】
−シリカ粒子−
前記シリカ粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、数平均粒子径が0.01μm〜0.5μmのシリカ粒子が好ましい。
【0023】
<押圧工程>
前記押圧工程は、前記アライメントマークの直上領域における粒子含有フィルムを、押圧部材を用いて押圧して、前記粒子含有フィルムの厚みを薄くする工程である。
なお、前記押圧工程では、複数のアライメントマークの直上領域における粒子含有フィルムを、複数の押圧部材を用いて、一括して押圧してもよい。
【0024】
<<押圧>>
前記押圧における押圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1MPa〜100MPaが好ましく、5MPa〜75MPaがより好ましく、10MPa〜50MPaが特に好ましい。
前記押圧力が1MPa未満であると、押圧の効果が得られないことがあり、100MPaを超えると、基板を損傷することがある。一方、前記押圧力が前記特に好ましい範囲内であると、圧力と読み取り性のバランスの点で有利である。
前記押圧における押圧時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01秒間〜3秒間が好ましく、0.05秒間〜2秒間がより好ましく、0.1秒間〜1秒間が特に好ましい。
前記押圧時間が0.01秒間未満であると、押圧の効果が得られないことがあり、3秒間を超えると、生産性が低下することがある。一方、前記押圧時間が前記特に好ましい範囲内であると、生産性と読み取り性のバランスの点の点で有利である。
【0025】
アライメントマークの直上領域における粒子含有フィルムを押圧すると、該押圧により粒子が押しのけられるため(粒子が押圧方向と同一方向に移動せず、押圧方向と略垂直な方向に移動する)、押圧により薄くなった粒子含有フィルム部分においても、押圧前の粒子含有フィルムにおける粒子密度とほぼ同等な粒子密度で粒子が存在する。よって、粒子含有フィルムが薄くなったことで、アライメントマークの認識がしやすくなり、後述するパターン認識一致度が向上するものと考えられる。
【0026】
<<直上領域>>
前記直上領域とは、前記アライメントマークが形成された基材の直交方向から視たときのアライメントマークの頂部の上に位置する領域(図3における領域A)の少なくとも一部を含む領域である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記アライメントマークが形成された基材の直交方向から視たときのアライメントの重心部(中心部)の上に位置する領域を含むことが好ましく、前記アライメントマークが形成された基材の直交方向から視たときのアライメントマークの頂部の上に位置する領域(図3における領域A)を全て含む領域であることがより好ましい。前記アライメントマークが形成された基材の直交方向から視たときのアライメントマークの頂部の上に位置する領域(図3における領域A)を全て含む領域の粒子含有フィルムの厚みを薄くするために、アライメントマークを覆うようにして押圧可能な押圧部材が使用される。
【0027】
<<押圧部材>>
前記押圧部材としては、粒子含有フィルムを押圧可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記押圧部材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状、円柱の一方の底面に半球が形成された形状、などが挙げられる。これらの中でも、入射光を散乱させ、「てかり」を抑制して、後述するパターン認識一致度を向上させることができる点で、円柱の一方の底面に半球が形成された形状が好ましい。
前記押圧部材の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アライメントマークを覆うようにして押圧可能な大きさが好ましい。
前記押圧部材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子含有フィルムにおけるバインダー(接着剤成分)付着防止の点で、ポリテトラフルオロエチレンが表面にコーティングされたものが好ましい。
また、前記押圧部材は、各アライメントマーク間の高さの差を吸収可能なバネ機構、粒子含有フィルムの厚みを薄くし易くする(凹部を形成し易くする)加熱機構を備えることが好ましい。
【0028】
<実装領域画定工程>
前記実装領域画定工程は、前記粒子含有フィルムの厚みの薄い部分が直上領域に形成されたアライメントマークの位置に基づいて電子部品の実装領域を画定する工程である。
【0029】
<<前記アライメントマークの認識方法>>
前記アライメントマークの認識方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、特開2008−101962号公報に示されるように、従来から用いられている方法、例えば、アライメントマークに向けて光を照射し、前記アライメントマークにおいて反射した光を検出する方法、などが挙げられる。
例えば、図6及び7に示すような丸型アライメントマーク及び十字型アライメントマークがIC、基板に配置される。ここで、アライメントマークの中央の「+」は、位置合わせための中心座標Cを意味し、この中心座標Cに対応するようにアライメントマーク(+の外周)が設定される。カメラ外周のアライメントマーク(円又は十字)を読み取ると、自ずと中心座標Cが導き出されアライメントすることができる。中心座標Cに合うようにアライメントマークを設定する。
【0030】
<<電子機器>>
前記電子機器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ICチップなどが挙げられる。
【0031】
<<実装領域>>
前記実装領域としては、アライメントマークの位置に基づくものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アライメントマークが内部に位置する実装領域(図5)が好ましい。これにより、実装基板を小型化することができる。
【0032】
<電子部品実装工程>
前記電子部品実装工程は、前記実装領域に電子部品を実装する工程である。例えば、微粒子含有フィルムが熱硬化樹脂を含む場合、粒子含有フィルムを介して、基材と電子部品とを熱圧着することにより、前記実装領域に電子部品が実装される。
【0033】
<<熱圧着>>
前記熱圧着における圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1MPa〜10MPaが好ましく、0.5MPa〜7MPaがより好ましく、1MPa〜5MPaが特に好ましい。
前記圧力が0.1MPa未満であると、押圧不足により導通が得られないことがあり、10MPaを超えると、スプリングバックにより導通が得られないことがある。一方、前記圧力が前記特に好ましい範囲内であると、導通の安定性の点で有利である。
前記熱圧着における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90℃〜280℃が好ましく、100℃〜240℃がより好ましく、110℃〜200℃が特に好ましい。
前記加熱温度が90℃未満であると、硬化に時間を要することがあり、280℃を超えると、残留応力が大きくなることがある。一方、前記加熱温度が前記特に好ましい範囲内であると、接続信頼性の点で有利である。
前記熱圧着における熱圧着時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3秒間〜300秒間が好ましく、4秒間〜60秒間がより好ましく、5秒間〜30秒間が特に好ましい。
前記熱圧着時間が3秒間未満であると、充分に樹脂が硬化しないことがあり、300秒間を超えると、生産性が低下することがある。一方、前記熱圧着時間が前記特に好ましい範囲内であると、生産性と接続信頼性の点で有利である。
また、前記熱圧着において、弾性ヘッドを用いることが好ましい。
【0034】
−弾性ヘッド−
前記弾性ヘッドとしては、エラストマーを含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、天然ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び耐圧性の点から、シリコーンゴムが好ましい。
【0035】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
図3及び図4に示すように、TEG基板34(商品名:MCL−E−679F、日立化成工業社製)上に、縦8mm、横8mmのピッチで形成されたアライメントマーク31(コア:銅、Ni/Auメッキ)、断面が直径0.3mmの円形状の円柱形状)上に、異方性導電フィルム32(商品名:FP5530、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製、厚み:40μm)を貼り付け、円柱形状(底面:直径2mm、高さ:20mm、先端形状が平坦)の金属棒40を用いて、押圧力20MPa、押圧時間1秒間で押圧して凹部(厚みが薄い部分)33を形成し、フリップチップボンダー(商品名:FB30T−M、パナソニック製)を用いて凹部33が直上領域に形成されたアライメントマークの位置に基づいて画定された実装領域にICチップ41を実装して、電子部品実装構造体を作製した。表面粗さ測定機(商品名:SE3500、小坂研究所社製)を用いて、アライメントマーク31上の異方性導電フィルム32の厚みt(μm)(測定位置によって厚さが変化する場合は最小値)を測定し、フリップチップボンダー(商品名:FB30T−M、パナソニック製)を用いてアライメントマーク31のパターン認識一致度数Aを測定し、分光測色計(商品名:CM−3600d、コニカミノルタ製)を用いて光透過率(%)を測定した。
また、図5に示すように、ICチップ41の実装領域内に縦5.5mm、横5.5mmのピッチで形成されたアライメントマーク51(コア:銅、Ni/Auメッキ)、断面が直径0.1 mmの円形状の円柱形状)に対しても、アライメントマーク31の場合と同様に、異方性導電フィルム32を貼り付け、金属棒40を用いて押圧して凹部33を形成して、電子部品実装構造体を作製し、パターン認識一致度数Bを測定した。
なお、前記パターン認識一致度数A及びBは、フリップチップボンダー(商品名:FB30T−M、パナソニック社製)を用いて正規化相関を用いて算出した絶対評価(絶対値である。
また、前記光透過率は、アライメントマーク31、51上の異方性導電フィルム32の厚みの測定結果を用いて、該測定された厚みの異方性導電フィルムの光透過率を算出したものである。よって、異方性導電フィルム32を貼り付ける前の光透過率は、100%となる。
【0038】
(実施例2)
実施例1において、円柱形状(底面:直径2mm、高さ:20mm、先端形状が平坦)の金属棒を、円柱形状(底面:直径2mm、高さ:20mm)と半球(直径2mm)とを組み合わせた形状(先端形状が半球状)の金属棒に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子部品実装構造体を作製し、異方性導電フィルムの厚みt(μm)、パターン認識一致度数A及びB(%)、光透過率(%)を測定した。
【0039】
(比較例1)
実施例1において、金属棒による押圧を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、電子部品実装構造体を作製し、異方性導電フィルムの厚みt(μm)、パターン認識一致度数A及びB(%)、光透過率(%)を測定した。
【0040】
【表1】

【0041】
以上より、実施例1及び2でのパターン認識一致度が許容範囲内(70%以上)であることから、アライメントマーク31、51上の異方性導電フィルム32を金属棒40で押圧することにより、フリップチップボンダー(商品名:FB30T−M、パナソニック製)により、アライメントマーク31、51を認識可能であることが判った。
実施例1及び2のように、アライメントマークの直上領域における粒子含有フィルムを押圧すると、該押圧により粒子が押しのけられるため(粒子が押圧方向と同一方向に移動せず、押圧方向と略垂直な方向に移動する)、押圧により薄くなった粒子含有フィルム部分においても、押圧前の粒子含有フィルムにおける粒子密度とほぼ同等な粒子密度で粒子が存在する。よって、粒子含有フィルムが薄くなったことで、アライメントマークの認識がしやすくなり、パターン認識一致度A、Bが向上しているものと考えられる。
また、アライメントマーク31、51を覆う形で、異方性導電フィルム32を基板34の全面に貼り付けが可能となるため、高精度なフィルム貼付け装置を必要とせず、また、接着シート貼付け回数を減らすことができ、もって工程の短縮を図ることができる。
また、図5に示すように、ICチップ41の実装領域内にアライメントマーク51を設置することも可能となり、基板を小型化することができる。
また、先端形状が平坦の金属棒を用いて異方性導電フィルムを押圧した実施例1と、先端形状が半球状の金属棒を用いて異方性導電フィルムを押圧した実施例2とを比較した場合、アライメントマーク上の異方性導電フィルムの厚みtがそれぞれ10μmであっても、実施例2の方が良好なパターン認識一致度(%)を示している。これは、先端形状が半球状の金属棒を用いることにより、形成された凹部の形状が半球状となり、入射光を散乱させて、「てかり」を抑制することができ、パターン認識一致度(%)が向上したものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の電子部品実装構造体の製造方法は、例えば、半導体装置などの製造に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0043】
10 異方性導電フィルム
20 アライメントマーク
30 ICチップ
31 アライメントマーク
32 異方性導電フィルム
33 凹部
34 基板
40 金属棒
41 ICチップ
51 アライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アライメントマークを有する基材上に粒子含有フィルムを配置するフィルム配置工程と、
前記アライメントマークの直上領域における粒子含有フィルムを、押圧部材を用いて押圧して、前記粒子含有フィルムの厚みを薄くする押圧工程と、
前記粒子含有フィルムの厚みの薄い部分が直上領域に形成されたアライメントマークの位置に基づいて電子部品の実装領域を画定する実装領域画定工程と、
前記実装領域に電子部品を実装する電子部品実装工程と、
を含むこと特徴とする電子部品実装構造体の製造方法。
【請求項2】
押圧部材が、半球状の押圧部を有する請求項1に記載の電子部品実装構造体の製造方法。
【請求項3】
押圧部材が、アライメントマークを覆うようにして押圧可能である請求項1から2のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法。
【請求項4】
押圧部材が、ポリテトラフルオロエチレンを含む請求項1から3のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法。
【請求項5】
粒子含有フィルムが熱硬化樹脂を含み、
電子部品実装工程において、前記粒子含有フィルムを介して、基材と電子部品とを熱圧着する請求項1から4のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法。
【請求項6】
アライメントマークが実装領域内に位置する請求項1から5のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法。
【請求項7】
電子部品実装工程において、エラストマーを含む弾性ヘッドを用いる請求項1から6のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の電子部品実装構造体の製造方法によって製造されたことを特徴とする電子部品実装構造体。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−199546(P2010−199546A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−267658(P2009−267658)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】