説明

電子部品測定装置及びその制御方法

【課題】稼働停止時には搬送部材の貫通孔内から電子部品を全て排出することができ、かつ、不良品の発生を抑えることのできる電子部品搬送装置及びその制御方法を得る。
【解決手段】電子部品搬送装置の稼働を停止させる際には、貫通孔3内の負圧状態を停止し、圧縮空気噴出し機構10の噴出口11から、電子部品搬送装置の稼働時より強い圧縮空気を噴き出す。これにより、貫通孔3の案内部材5側の開口部にエアーカーテンが生じ、電子部品30が貫通孔3内に入るのを防止する。噴出口11の位置より搬送方向Xの下流側に位置する貫通孔3内に残った残留電子部品30は、測定区間まで搬送されて測定されるとともに排出区間において排出機構によって排出され、その後、搬送部材2の回転が停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品搬送装置、特に、コンデンサなどの電子部品を搬送しつつその特性を測定して良品/不良品を選別する電子部品搬送装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品搬送装置として、従来、特許文献1に記載のものが知られている。この電子部品搬送装置は、概略、複数の貫通孔を設けた板状の搬送部材と、電子部品を貫通孔に案内する案内部材と、搬送部材を回転駆動させる駆動機構と、貫通孔内を負圧にして電子部品を貫通孔内に引き込む吸引機構と、搬送部材に近接して設けられた測定端子と、搬送部材に近接して設けられた排出機構と、案内部材の出口に近接して設けられ、搬送部材の上面に圧縮空気を噴き出すための噴出口を有する圧縮空気噴出し機構とを備えている。ここに、圧縮空気噴出し機構は、搬送部材表面に静電気などで付着している電子部品を搬送部材から払い落とすために使用されている。
【0003】
しかしながら、この電子部品搬送装置において、稼働を停止する場合、搬送部材の貫通孔内から電子部品を全て排出してから搬送部材の回転を停止しようとしても、電子部品が貫通孔内に取り込まれ続けるため、搬送部材の貫通孔内に電子部品が残った状態となる。そのため、メンテナンス時に測定端子清掃の邪魔になったり、測定端子下にある電子部品に端子痕が付いたり、圧電効果によってコンデンサの容量が変化したりする。また、電子部品をそのまま放置し続ければ、特性が変化して不良品となるおそれがある。
【特許文献1】特表2000−501174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、稼働停止時には搬送部材の貫通孔内から電子部品を全て排出することができ、かつ、不良品の発生を抑えることのできる電子部品搬送装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明に係る電子部品搬送装置は、
搬送面を有する搬送テーブルと、前記搬送テーブル上に取り付けられ、複数の貫通孔を設けた板状の搬送部材と、電子部品を前記貫通孔に案内する案内部材と、前記搬送部材を移動させる駆動機構と、前記貫通孔内を負圧にする吸引機構と、前記搬送部材に近接して設けられた測定部と、前記搬送部材に近接して設けられた排出機構と、前記案内部材の出口に近接して設けられ、前記搬送部材の上面に圧縮空気を噴き出すための噴出口を有する圧縮空気噴出し機構と、を備えた電子部品搬送装置であって、
前記搬送部材を停止させるに際して、前記吸引機構の動作を停止させ、前記圧縮空気噴出し機構の前記噴出口から電子部品が前記貫通孔に入るのを防止する圧縮空気を噴き出し、噴出口の位置より搬送方向下流側に位置する貫通孔内の残留電子部品を前記測定部を経て前記排出機構まで搬送して排出した後、搬送部材を停止させること、
を特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る電子部品搬送装置の制御方法は、
搬送面を有する搬送テーブルと、前記搬送テーブル上に取り付けられ、複数の貫通孔を設けた板状の搬送部材と、電子部品を前記貫通孔に案内する案内部材と、前記搬送部材を移動させる駆動機構と、前記貫通孔内を負圧にする吸引機構と、前記搬送部材に近接して設けられた測定部と、前記搬送部材に近接して設けられた排出機構と、前記案内部材の出口に近接して設けられ、前記搬送部材の上面に圧縮空気を噴き出すための噴出口を有する圧縮空気噴出し機構と、を備えた電子部品搬送装置の制御方法であって、
前記搬送部材を停止させるに際して、前記吸引機構の動作を停止させ、前記圧縮空気噴出し機構の前記噴出口から電子部品が前記貫通孔に入るのを防止する圧縮空気を噴き出し、噴出口の位置より搬送方向下流側に位置する貫通孔内の残留電子部品を前記測定部を経て前記排出機構まで搬送して排出した後、搬送部材を停止させること、
を特徴とする。
【0007】
本発明においては、電子部品搬送装置の稼働を停止させる際には、吸引機構の動作を停止し、圧縮空気噴出し機構の噴出口から電子部品搬送装置の稼働時より強い(少なくとも電子部品が貫通孔に入るのを防止する強さの)圧縮空気を噴き出す。これにより、貫通孔の開口部にエアーカーテンが生じ、電子部品が貫通孔内に入るのを防止する。あるいは、この圧縮空気によってサクション効果(負圧)がもたらされ、既に貫通孔内にある電子部品が貫通孔内から引き出され、電子部品が供給されなくなる。噴出口の位置から搬送方向下流側に位置する貫通孔内の残留電子部品は、測定部を経て排出機構によって排出され、貫通孔内にある電子部品が全て排出されると搬送部材の移動が停止する。なお、残留電子部品を測定部で測定するようにしてもよい。
【0008】
本発明に係る電子部品搬送装置においては、搬送テーブルはその搬送面が上向きに40〜90°傾斜しており、搬送部材は円盤状をなし、駆動機構によって回転駆動されるように構成してもよい。また、案内部材は時計文字盤上で5時から10時に相当する領域内で搬送部材の貫通孔に電子部品を供給することが好ましい。さらに、案内部材は圧縮空気噴出し機構にて搬送部材から払い落とされた電子部品を受け取る位置に設置されていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送部材の貫通孔内から電子部品を全て排出してから搬送部材の移動を停止するので、電子部品は測定端子によって端子痕が付いたり、また、そのまま放置し続けて特性の変化が生じるなどのおそれがなくなる。この結果、電子部品の不良品発生率を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子部品搬送装置及びその制御方法の実施例について添付図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施例、図1〜図4参照)
図1及び図2に示すように、第1実施例である電子部品搬送装置は、概略、搬送面1aを有する搬送テーブル1と、搬送テーブル1上に取り付けられ、複数の貫通孔3を設けた円盤状の搬送部材2と、電子部品30を貫通孔3に案内する案内部材5と、搬送部材2を回転駆動させる図示しない駆動機構と、貫通孔3内を負圧にする図示しない吸引機構と、搬送部材2に近接して設けられた複数の測定端子部7と、搬送部材2に近接して設けられた図示しない排出機構と、案内部材5の出口に近接して設けられ、搬送部材2の上面に圧縮空気を噴き出すための噴出口11を有する圧縮空気噴出し機構10とを備えている。
【0012】
搬送テーブル1は、本第1実施例において搬送面1aがほぼ90°に直立されており、上向きに40〜90°に傾斜していればよい。搬送部材2は、電子部品30の両端部に設けた外部電極30aが搬送部材2の表裏側に位置するように、電子部品30をその長辺方向に収容すること(図3参照)ができる貫通孔3を複数有している。電子部品30は、貫通孔3の底部(図3の右側)より吸引機構にて真空吸引することにより、貫通孔3内に取り込まれる。搬送部材2は矢印X方向への間欠的な回転によって貫通孔3に収容した電子部品30を次々に搬送する。
【0013】
案内部材5は、トンネル上の周知の機構からなり、搬送部材2上に時計文字盤上で5時から9時に相当する領域にわたって設けられている。なお、案内部材5を設ける領域は5時から10時に相当する領域内であればよい。電子部品30は案内部材5の6時相当領域に滞留し、そこから貫通孔3内に振り込まれる。また、排出機構は搬送テーブル1の搬送面1aに圧縮空気噴出口を有している。
【0014】
なお、吸引機構、駆動機構及び排出機構のそれぞれはこの種の電子部品搬送装置として従来から周知の構成を備えており、その説明は省略する。
【0015】
次に、以上の構成からなる電子部品搬送装置の制御方法について説明する。まず、電子部品搬送装置の稼働時には、貫通孔3内を負圧にするとともに、搬送部材2を駆動機構によって矢印X方向に回転駆動する。案内部材5によって貫通孔3の開口部にまで運ばれた電子部品30は、負圧によって貫通孔3内に取り込まれる。電子部品30を取り込んだ貫通孔3は、圧縮空気噴出し機構10を経て測定区間Aまで間欠的に搬送される。
【0016】
このとき、圧縮空気噴出し機構10は、図3に示すように、噴出口11からエアーを噴き出すことによって搬送部材2の表面に静電気などで付着している電子部品30を搬送部材2から払い落とす。案内部材5の上部は圧縮空気噴出し機構10の噴出口11に近接して開口しており、払い落とされた電子部品30は案内部材5に戻される。噴出口11からのエアー圧が弱いと十分な払い落とし効果が得られず、強いと案内部材5上で電子部品30が攪拌され、電子部品30どうしが衝突し、クラックが入ったり、案内部材5から溢れてしまうことがあるので、エアー圧は適度の圧力に設定される。
【0017】
測定区間Aに搬送された電子部品30は、所定の位置にて測定端子部7を構成する個々の接触端子(図示せず)によって電子部品30の電気特性が測定された後、排出区間Bに搬送され、そこで良品/不良品を分けて排出機構によって排出される。
【0018】
次に、電子部品搬送装置の稼働を停止させる際には、貫通孔3内を負圧にする動作を停止し、図4に示すように、圧縮空気噴出し機構10の噴出口11から、電子部品搬送装置の稼働時より強い圧縮空気を噴き出す。これにより、貫通孔3の開口部にエアーカーテンが生じ、電子部品30が貫通孔3内に入るのを防止する。また、この圧縮空気によってサクション効果(負圧)がもたらされ、既に貫通孔3内にある電子部品30が貫通孔3内から引き出される。稼動停止時において噴出口11から噴き出される圧縮空気は、少なくとも電子部品30が貫通孔3に入るのを防止する強さであればよい。あるいは、貫通孔3に入っている電子部品30を取り出す強さの圧縮空気であってもよく、この場合には、既に貫通孔3に入っている電子部品30を取り出してしまうので、以下に説明する搬送部材2の移動距離が短くて済み、早く停止動作を終えることができる。
【0019】
圧縮空気噴出し機構10の噴出口11の位置より搬送方向Xの下流側に位置する貫通孔3内に残った電子部品30は、測定区間Aまで搬送されて特性を測定された後、排出区間Bにおいて排出機構によって排出される。貫通孔3内にある電子部品30が全て排出されると、搬送部材2の回転が停止する。なお、残留電子部品30については、測定することなく測定区間Aを通過させ、排出区間Bで排出してもよい。
【0020】
このように、搬送部材2の貫通孔3内から電子部品30を全て排出してから搬送部材2が停止するので、測定端子部7の接触端子によって電子部品30に端子痕が付いたり、また、そのまま貫通孔3内に電子部品30を放置し続けて電子部品特性の変化が生じるなどのおそれがなくなる。この結果、電子部品30の不良品発生率が改善される。
【0021】
(第2実施例、図5及び図6参照)
次に、本発明の第2実施例である電子部品搬送装置を図5及び図6を参照して説明する。この搬送装置は、圧縮空気噴出し機構10の直下に搬送部材2とほぼ直交する水平方向に延在する案内部材5’を設けたものである。この案内部材5’は振動などの作用により電子部品30を矢印Y方向に移動させて貫通孔3内に振り込む。
【0022】
本第2実施例において、案内部材5’以外の構成は前記第1実施例と同様であり、図5及び図6には図1〜図4と同じ部材、部分には共通した符号を付し、重複した説明は省略する。また、図5において搬送部材2の貫通口は図示を省略している。
【0023】
なお、本発明に係る電子部品搬送装置及びその制御方法は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】電子部品搬送装置の第1実施例を示す概略構成図。
【図2】図1に示した圧縮空気噴出し機構近傍の拡大斜視図。
【図3】本発明に係る電子部品搬送装置の制御方法を説明するための断面模式図。
【図4】図3に続く電子部品搬送装置の制御方法を説明するための断面模式図。
【図5】電子部品搬送装置の第2実施例を示す概略構成図。
【図6】図5のC−C断面図。
【符号の説明】
【0025】
1…搬送テーブル
1a…搬送面
2…搬送部材
3…貫通孔
5,5’…案内部材
7…測定端子部
10…圧縮空気噴出し機構
11…噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面を有する搬送テーブルと、前記搬送テーブル上に取り付けられ、複数の貫通孔を設けた板状の搬送部材と、電子部品を前記貫通孔に案内する案内部材と、前記搬送部材を移動させる駆動機構と、前記貫通孔内を負圧にする吸引機構と、前記搬送部材に近接して設けられた測定部と、前記搬送部材に近接して設けられた排出機構と、前記案内部材の出口に近接して設けられ、前記搬送部材の上面に圧縮空気を噴き出すための噴出口を有する圧縮空気噴出し機構と、を備えた電子部品搬送装置であって、
前記搬送部材を停止させるに際して、前記吸引機構の動作を停止させ、前記圧縮空気噴出し機構の前記噴出口から電子部品が前記貫通孔に入るのを防止する圧縮空気を噴き出し、噴出口の位置より搬送方向下流側に位置する貫通孔内の残留電子部品を前記測定部を経て前記排出機構まで搬送して排出した後、搬送部材を停止させること、
を特徴とする電子部品搬送装置。
【請求項2】
前記搬送テーブルはその搬送面が上向きに40〜90°傾斜しており、
前記搬送部材は円盤状をなし、前記駆動機構によって回転駆動されること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品搬送装置。
【請求項3】
前記案内部材は時計文字盤上で5時から10時に相当する領域内で前記搬送部材の貫通孔に電子部品を供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品搬送装置。
【請求項4】
前記案内部材は前記圧縮空気噴出し機構にて前記搬送部材から払い落とされた電子部品を受け取る位置に設置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品搬送装置。
【請求項5】
前記搬送部材を停止させるに際して、前記圧縮空気噴出し機構の前記噴出口から前記貫通孔に入っている電子部品を取り出す強さの圧縮空気を噴き出すことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子部品搬送装置。
【請求項6】
搬送面を有する搬送テーブルと、前記搬送テーブル上に取り付けられ、複数の貫通孔を設けた板状の搬送部材と、電子部品を前記貫通孔に案内する案内部材と、前記搬送部材を移動させる駆動機構と、前記貫通孔内を負圧にする吸引機構と、前記搬送部材に近接して設けられた測定部と、前記搬送部材に近接して設けられた排出機構と、前記案内部材の出口に近接して設けられ、前記搬送部材の上面に圧縮空気を噴き出すための噴出口を有する圧縮空気噴出し機構と、を備えた電子部品搬送装置の制御方法であって、
前記搬送部材を停止させるに際して、前記吸引機構の動作を停止させ、前記圧縮空気噴出し機構の前記噴出口から電子部品が前記貫通孔に入るのを防止する圧縮空気を噴き出し、噴出口の位置より搬送方向下流側に位置する貫通孔内の残留電子部品を前記測定部を経て前記排出機構まで搬送して排出した後、搬送部材を停止させること、
を特徴とする電子部品搬送装置の制御方法。
【請求項7】
前記残留電子部品を前記測定部で測定することを特徴とする請求項6に記載の電子部品搬送装置の制御方法。
【請求項8】
前記搬送部材を停止させるに際して、前記圧縮空気噴出し機構の前記噴出口から前記貫通孔に入っている電子部品を取り出す強さの圧縮空気を噴き出すことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電子部品搬送装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−153477(P2007−153477A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347910(P2005−347910)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【特許番号】特許第3928654号(P3928654)
【特許公報発行日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】