説明

電子部品用硬化性トリアジン組成物、その製造方法及び硬化物

【課題】耐熱性、耐錫メッキ性に優れた硬化物を与える電子部品用封止材料または電子部品用ワニスを用途とする、熱または光で硬化可能なトリアジン化合物、組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)一般式(1)
【化1】


(式中の記号は明細書に記載の通り。)で示されるトリアジン化合物であって、n個存在するX1の一部または全てが熱または光で硬化可能な硬化性基を有するトリアジン化合物を含むことを特徴とする電子部品用封止材料及び/または電子部品用ワニスを用途とする硬化性トリアジン組成物、その製造方法及び硬化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱または光で硬化可能なトリアジン化合物を含む、電子部品用封止材料及び電子部品用ワニスを用途とする硬化性トリアジン組成物、その製造方法及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年電子部品の分野においては、従来必要とされている耐熱性、電気特性等に加え、鉛フリーハンダや錫メッキに耐える材料が求められている。
絶縁保護膜などの電子部品用封止材料としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物等の感光性プレポリマーに光重合開始剤、熱硬化性樹脂及び希釈剤等を配合した硬化性樹脂組成物が、従来のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂やメラミン樹脂の物性不足を補うものとして開示されている(特開2004-062057号公報:特許文献4)が、耐錫メッキ性に劣るという欠点を有していた。
【0003】
一方、構造中にトリアジン骨格を含むポリシアヌレート樹脂、ポリチオシアヌレート樹脂、ポリグアナミン樹脂等のトリアジン樹脂は、耐熱性、難燃性に優れた樹脂として知られており、そのような樹脂の例として、特開平10-287745号公報(特許文献1)にはポリシアヌレート樹脂及びポリグアナミン樹脂が、特開2002-47345号公報(特許文献2)にはポリチオシアヌレート樹脂が記載されている。しかし、これらのトリアジン樹脂は本発明で用いられるような硬化性基を有していない。
【0004】
また、特開昭60-91349号公報(特許文献3)には硬化性基としてアリル基を有するトリアジン樹脂が記載されており電子線で硬化する組成物が開示されているが、本発明のような熱または光で硬化可能なトリアジン化合物を含む、電子部品用封止材料及び電子部品用ワニスを用途とする硬化性トリアジン組成物は記載されていない。
【0005】
【特許文献1】特開平10−287745号公報
【特許文献2】特開2002−47345号公報
【特許文献3】特開昭60−91349号公報
【特許文献4】特開2004−062057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、耐熱性、電気特性、難燃性、耐錫メッキ性等が良好であり、特に耐熱性、耐錫メッキ性等に優れた硬化物を与え、電子部品用封止材料または電子部品用ワニスを用途とした、熱または光で硬化可能なトリアジン化合物、組成物及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
1. (A)一般式(1)
【化1】

[式中、R1はそれぞれ独立して2価の有機基を表わし、X1はそれぞれ独立して1価の有機基を表わし、X2は酸素原子、硫黄原子、または一般式(2)
【化2】

(式中、R2は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わす。)で示される基を表わし、nは2〜100の整数を表わす。]で示されるトリアジン化合物であって、n個存在するX1の一部または全てが熱または光で硬化可能な硬化性基を有するトリアジン化合物、及び硬化剤を含むことを特徴とする硬化性トリアジン組成物。
2. 一般式(3)
【化3】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わし、X3はハロゲン原子を表わす。)で示される1種または2種以上のジハロトリアジン化合物に、アルコール性水酸基、チオール基、アミノ基、モノ置換アミノ基、またはフェノール性水酸基を1分子に2以上有する化合物から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られたトリアジン化合物に硬化剤を配合させてなる前記1に記載の硬化性トリアジン組成物。
3. 一般式(4)
【化4】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わす。)で示される1種または2種以上のトリアジンジチオール化合物に一般式(5)
【化5】

(式中、R1は2価の有機基を表わし、X4はハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基を表わす。)で示される1種以上の化合物を反応させて得られたトリアジン化合物に硬化剤を配合させてなる前記1に記載の硬化性トリアジン組成物。
4. 一般式(4)
【化6】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わす。)で示される1種または2種以上のトリアジンジチオール化合物に2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物を1種以上反応させて得られたトリアジン化合物に硬化剤を配合させてなる前記1に記載の硬化性トリアジン組成物。
5. 一般式(1)中のn個のR1が下記式(6)〜(9)及び(55)〜(57)
【化7】

(式中、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、パーフルオロアルキル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基を表わす。)
【化8】

(式中、4個のR7はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わす。)
【化9】

(式中、4個のR30はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わす。)
【化10】

(式中、4個のR31はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わす。)
【化11】

(式中、4個のR32はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わす。)
で示される少なくとも一つから選択される基である前記1に記載の硬化性トリアジン組成物。
6. 一般式(1)中のn個のR1が下記式(58)〜(60)
【化12】

で示される少なくとも一つから選択される基である前記1に記載の硬化性トリアジン組成物。
7. 一部または全てのX1が、アリル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、チオール基、及びブロック化されていてもよいイソシアネート基から選ばれる1種以上を有する1価の有機基である前記1〜6のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
8. 一部または全てのX1がアリル基を有し、前記硬化剤として有機過酸化物を含む前記1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
9. 一部または全てのX1がビニル基または(メタ)アクリロイル基を有し、前記硬化剤としてアゾ化合物を含む前記1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
10. 一部または全てのX1がエポキシ基を有し、前記硬化剤としてアミン、カルボン酸または酸無水物の多官能化合物を含む前記1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
11. 一部または全てのX1がオキセタニル基を有し、前記硬化剤として式(49)
【化13】

(式中、[A]h+はオニウムイオン、[X]h-は陰イオン、hは整数を表わす。)
で示されるオニウム塩を含む前記1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
12. 一部または全てのX1がカルボキシル基または酸無水物基を有し、前記硬化剤としてエポキシ化合物、オキセタン化合物、アミン化合物またはイソシアネート化合物の多官能化合物を含む前記1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
13. 一部または全てのX1がアミノ基を有し、前記硬化剤としてエポキシ化合物、イソシアネート化合物、酸無水物またはα,β−不飽和カルボニル化合物の多官能化合物を含む前記1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
14. 一部または全てのX1がチオール基を有し、前記硬化剤としてポリエン化合物を含む前記1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
15. 一部または全てのX1がブロック化されていてもよいイソシアネート基を有し、前記硬化剤としてアミン化合物もしくはカルボン酸化合物の多官能化合物または酸無水物を含む前記1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
16. さらに溶媒を含む前記1〜15のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
17. 前記溶媒が、エーテル系溶媒、含硫黄系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒及び芳香族炭化水素系溶媒から選ばれた1種以上である前記16に記載の硬化性トリアジン組成物。
18. さらに有機または無機の微粒子を配合することを特徴とする前記16または17に記載の硬化性トリアジン組成物。
19. 前記有機または無機の微粒子が、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta25)、ジルコニア(ZrO2)、窒化珪素(Si34)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga23)、スピネル(MgO・Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al23/5SiO2)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、チタン酸アルミニウム(TiO2−Al23)、イットリア含有ジルコニア(Y23−ZrO2)、珪酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)、有機ベントナイト、カーボン(C)、ポリイミド樹脂若しくはその前駆体、ポリアミドイミド樹脂若しくはその前駆体、及びポリアミド樹脂から選ばれる1種以上である前記18に記載の硬化性トリアジン組成物。
20. 前記有機または無機の微粒子が平均粒子径50μm以下である前記19に記載の硬化性トリアジン組成物。
21. 25℃における粘度が0.5〜500Pa・sであり、かつチキソトロピー係数が1.1以上であることを特徴とする前記18〜20のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
22. 一般式(3)
【化14】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わし、X3はハロゲン原子を表わす。)で示される1種または2種以上のジハロトリアジン化合物に、アルコール性水酸基、チオール基、アミノ基、モノ置換アミノ基、またはフェノール性水酸基を1分子に2以上有する化合物から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られたトリアジン化合物に硬化剤を配合させることを特徴とする前記2に記載の硬化性トリアジン組成物の製造方法。
23. 一般式(4)
【化15】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わす。)で示される1種または2種以上のトリアジンジチオール化合物に一般式(5)
【化16】

(式中、R1は2価の有機基を表わし、X4はハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基を表わす。)で示される1種以上の化合物を反応させて得られた硬化性トリアジン化合物に硬化剤を配合させることを特徴とする前記3に記載の硬化性トリアジン組成物の製造方法。
24. 一般式(4)
【化17】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わす。)で示される1種または2種以上のトリアジンジチオール化合物に2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物を1種以上反応させて得られた硬化性トリアジン化合物に硬化剤を配合させることを特徴とする前記4に記載の硬化性トリアジン組成物の製造方法。
25. (A)一般式(1)
【化18】

[式中、R1はそれぞれ独立に2価の有機基を表わし、X1はそれぞれ独立に1価の有機基を表わし、X2は酸素原子、硫黄原子、または一般式(2)
【化19】

(式中、R2は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わす。)で示される基を表わし、nは2〜100の整数を表わす。]で示され、n個存在するX1の一部または全てが熱または光で硬化可能な硬化性基を有するトリアジン化合物において、R1で表される2価の有機基が下記式(58)、(59)または(60)
【化20】

で表される有機基であり、
1で表される1価の有機基がエチレン性炭素−炭素二重結合を有する有機基であり、X2が酸素原子または硫黄原子であることを特徴とするトリアジン化合物。
26. 前記1〜21のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物を硬化してなる硬化物。
27. 前記1〜21のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物を含む電子部品用封止材料。
28. 前記1〜21のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物を含む電子部品用ワニス。
【発明の効果】
【0008】
本発明の硬化性トリアジン組成物は、耐熱性、電気特性、難燃性、耐錫メッキ性等が良好であり、特に耐熱性、耐錫メッキ性等に優れた硬化物を与え、電子部品用封止材料または電子部品用ワニスとして好ましく用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のトリアジン組成物は(A)一般式(1)
【化21】

で示されるトリアジン化合物及び(B)硬化剤を含有する。
【0010】
前記一般式(1)において、R1は2価の有機基を表わす。好ましいR1の例としては、炭素数1〜12のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、下記式(6)〜(46)で示される基が挙げられる。
【0011】
【化22】

(式中、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、パーフルオロアルキル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基を表わす。)
【0012】
【化23】

(式中、R7は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0013】
【化24】

(式中、R8及びR9はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わし、k、mはそれぞれ0または整数を表わし、1≦k+m≦18である。)
【0014】
【化25】

(式中、pは1〜50の整数を表わす。)
【化26】

(式中、qは1〜50の整数を表わす。)
【化27】

(式中、rは1〜50の整数を表わす。)
【0015】
【化28】

(式中、R10は2価の有機基を表わし、好ましいR10の例としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アラルキレン基または前記式(10)〜(17)で示される基が挙げられる。sは1〜50の整数を表わす。)
【化29】

(式中、R11、R12は2価の有機基を表わし、好ましいR11、R12の例としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アラルキレン基または式(10)〜(17)で示される基が挙げられる。tは1〜50の整数を表わす。)
【0016】
【化30】

(式中、uは1〜50の整数を表わす。)
【化31】

(式中、vは1〜50の整数を表わす。)
【0017】
【化32】

(式中、w、xはそれぞれ0または整数を表わし、1≦w+x≦50である。)
【化33】

(式中、yは1〜50の整数を表わす。)
【0018】
【化34】

(式中、zは1〜50の整数を表わす。)
【0019】
【化35】

【0020】
【化36】

(式中、R13は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0021】
【化37】

(式中、aは1〜5の整数を表わす。)
【0022】
【化38】

(式中、R14は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【化39】

(式中、R15は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0023】
【化40】

(式中、R16は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【化41】

(式中、R17は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0024】
【化42】

(式中、R18、R19、R20はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わし、b、cは0または整数を表わし、2≦b+c≦20である。)
【化43】

(式中、R21は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよく、dは1〜50の整数を表わす。)
【0025】
【化44】

(式中、R22は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよく、eは1〜50の整数を表わす。)
【化45】

(式中、R23は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよく、fは1〜50の整数を表わす。)
【0026】
【化46】

(式中、R24は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよく、R25は炭素数1〜12のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アラルキレン基または前記式(10)〜(17)で示される基を表わし、gは1〜50の整数を表わす。)
【化47】

(式中、R26は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよく、uは1〜50の整数を表わす。)
【0027】
【化48】

(式中、R27は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよく、vは1〜50の整数を表わす。)
【化49】

(式中、R28は水素原子またはメチル基を表わし、互いに同一でも異なっていてもよく、w、xはそれぞれ0または整数を表わし、1≦w+x≦50である。)
【0028】
【化50】

(式中、R29は2価の有機基を表わし、好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基または前記式(10)〜(33)で示される基である。)
一般式(1)中にn個存在するこれらの置換基(R1の具体例)は、単一でもよく、また2種類以上の組み合わせでもよい。
【0029】
前記一般式(1)において、X1は1価の有機基を表わし、その一部または全部は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む基である。好ましい硬化性基の例としては、アリル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、チオール基、ブロック化されていてもよいイソシアネート基等が挙げられる。アリル基を含む好ましい具体的なX1の例としては、アリロキシ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基、アリロキシアルキル基等が挙げられる。ビニル基を含む好ましい具体的なX1の例としては、(2−ビニルオキシ)エチルオキシ基、(4−ビニルオキシ)シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を含む好ましい具体的なX1の例としては、2−(メタ)アクリロイルエチルオキシ基が挙げられる。エポキシ基を含む好ましい具体的なX1の例としては、グリシジルオキシ基が挙げられる。オキセタニル基を含む好ましい具体的なX1の例としては(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ基が挙げられる。カルボキシル基を含む具体的な好ましいX1の例としては、1−カルボキシ−3−メチルプロピルアミノ基、1−カルボキシエチルアミノ基、2−カルボキシエチルアミノ基、1,2−ジカルボキシエチルアミノ基、[1−カルボキシ−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]アミノ基、(カルボキシメチル)アミノ基、2−(3−カルボキシプロパノイロキシ)エチルオキシ基、2−(3−カルボキシ−2−プロペノイロキシ)エチルオキシ基、2−(2−カルボキシベンゾイロキシ)エチルオキシ基、2−(2,4−ジカルボキシベンゾイロキシ)エチルオキシ基、2−(2,5−ジカルボキシベンゾイロキシ)エチルオキシ基が挙げられる。酸無水物基を含む好ましい具体的なX1の例としては、2−[2,4,5−トリカルボキシ−4,5−アンヒドロベンゾイロキシ]エチルオキシ基が挙げられる。アミノ基を含む好ましい具体的なX1の例としては、(2−アミノエチル)アミノ基、(4−アミノフェニル)アミノ基、(3−アミノフェニル)アミノ基が挙げられる。チオール基を含む具体的な好ましいX1の例としては、(2−メルカプトエチル)チオ基が挙げられる。
【0030】
ブロック化されていてもよいイソシアネート基を含む好ましい具体的なX1の例としては、下記式(47)で示されるイソシアネート化合物及びそのブロック化物が挙げられる。
【化51】

【0031】
これらのX1は単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、X1の一部は硬化性基を有しない基でもよい。そのような好ましいX1の例としては、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、ベンジルオキシ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、チオフェノキシ基等が挙げられる。これらは単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0032】
本発明の硬化性トリアジン組成物において、前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物に含まれる全てのX1のうち、硬化性基を有するX1は5モル%以上であることが望ましい。X1が5モル%未満では硬化性が低下する。
【0033】
前記一般式(1)中、X2は酸素原子、硫黄原子、または一般式(2)
【化52】

で示される基を表わす。一般式(2)中、R2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わす。好ましいR2の例としてはメチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
前記一般式(1)において、nは2〜100までの整数を表わし、好ましくは2〜50、さらに好ましくは5〜30である。nが1では一般式(1)で示されるトリアジン化合物を硬化して得られる硬化物の架橋密度が低く、耐熱性等の特性が低下し、100を超えるものは製造が困難である。
【0035】
前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物は、例えば、一般式(3)
【化53】

で示されるジハロトリアジン化合物に、アルコール性水酸基、チオール基、アミノ基、モノ置換アミノ基、またはフェノール性水酸基を1分子に2以上有する化合物、例えばジオール化合物、ジチオール化合物、ジアミン化合物、2官能のフェノール化合物、または2官能のチオフェノール化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下「ジオール化合物等」と略記する。)を反応させて得られる。
前記一般式(3)中、X1は前記一般式(1)中のX1と同様の基を表わす。また、X3はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表わし、原料の入手性等から塩素原子が好ましい。
【0036】
前記一般式(3)で示されるジハロトリアジン化合物は、例えば、塩化シアヌル等のハロゲン化シアヌルにアルコール化合物、チオール化合物、アミン化合物、フェノール化合物、チオフェノール化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下「アルコール化合物等」と略記する。)を反応させて得られる。
【0037】
前記ハロゲン化シアヌルとの反応に用いることのできる好ましいアルコール化合物の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、グリシドール、エチレングリコール、エチレングリコールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが挙げられる。
【0038】
前記ハロゲン化シアヌルとの反応に用いることのできる好ましいチオール化合物の例としては、1,2−プロパンジチオールが挙げられる。
前記ハロゲン化シアヌルとの反応に用いることのできる好ましいアミン化合物の例としては、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジアリルアミン、アリルメチルアミン、N−メチルアニリン、バリン、アラニン、β−アラニン、アスパラギン酸、グリシン等が挙げられる。
【0039】
前記ハロゲン化シアヌルとの反応に用いることのできる好ましいフェノール化合物の例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−メトキシフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、4−ヒドロキシビフェニル、2−ヒドロキシビフェニルが挙げられる。
【0040】
前記ハロゲン化シアヌルとの反応に用いることのできる好ましいチオフェノール化合物の例としては、チオフェノールが挙げられる。
前記ハロゲン化シアヌルとアルコール化合物等との反応は、塩基を用いて効率的に行うことができる。このとき、アルコール化合物等は、反応収率、経済性等の点から、ハロゲン化シアヌル1モルに対して1.0〜20モル使用することが好ましい。
【0041】
前記反応に用いることのできる好ましい塩基の例としては、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ、フッ化アルカリ、水素化アルカリ、アルカリ金属等の無機塩基や、ピリジン及びその誘導体、脂肪族3級アミン等の有機塩基が挙げられる。水酸化アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、炭酸アルカリとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられ、水素化アルカリとしては、例えば水素化ナトリウムが挙げられ、アルカリ金属としては例えば金属ナトリウムが挙げられ、脂肪族3級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミンが挙げられる。塩基は、反応速度及び経済性の観点から、ハロゲン化シアヌル1モルに対して1価の塩基は0.5〜30モル、2価の塩基は0.25〜15モル、より好ましくは1価の塩基は1.0〜20モル、2価の塩基は0.5〜10モル使用することが好ましい。また、水酸化アルカリや炭酸アルカリを水溶液として反応系に加えることもできる。このとき、水酸化アルカリまたは炭酸アルカリの濃度は10〜70質量%であることが好ましい。
【0042】
前記反応の反応温度は反応速度及び副反応防止の点から、−20〜150℃であることが好ましく、塩基を添加する場合、この温度範囲を維持できるような速度で塩基を添加することが好ましい。反応圧力は特に制限されず、常圧、加圧、減圧のいずれの条件でもよい。反応時間は通常1〜30時間である。なお、ハロゲン化シアヌルは一度に全量を仕込んでもよく、数回に分けて反応混合物に逐次添加してもよい。この際も、上記の反応温度範囲を超えないように添加することが好ましい。
【0043】
前記反応は無溶媒下で行うこともできるが、適当な反応溶媒中で行うことが好ましい。好ましい反応溶媒の例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン炭化水素溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。これら溶媒は単独または2種類以上を組み合わせて使用される。反応効率、経済性等の点からその使用量(全量)はハロゲン化シアヌル1モルに対して300mL〜10Lであることが好ましい。
【0044】
前記反応において、塩基として無機塩基の水溶液を用い、反応溶媒としてこの無機塩基の水溶液と混合しないものを用いる場合は、反応を促進させるために相間移動触媒を使用することも好ましい。このとき用いる好ましい相間移動触媒の例としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウム硫酸塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロミド、セチルトリブチルホスホニウムブロミド等の第四級ホスホニウム塩、15−クラウン−5,18−クラウン−6、ベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル、クリプタンド[2,2,2]等のクリプタンドが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
前記反応を行う際、必要に応じて重合禁止剤を添加することもできる。好ましい重合禁止剤の例としては、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系化合物、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール系化合物、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール等の高分子フェノール系化合物、フェノチアジン、ジラウリル 3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3'−チオジプロピオネート等の硫黄系化合物、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト等のリン系化合物が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
このようにして得られたジハロトリアジン化合物は、そのまま用いてもよく、また、必要に応じて酸無水物変性、酸クロライド変性、ジイソシアネート変性、エピクロルヒドリン変性及び続く脱塩酸反応、オレフィンの酸化エポキシ化等を行った後用いてもよい。
【0047】
このとき用いる好ましい酸無水物の例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、無水フタル酸等のジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビスフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2',3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テロラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノ)フェニル}プロパン二無水物、4,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス{エキソービシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物}スルホン、ビシクロ[2.2.2]−オクト(7)−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等の酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
また、好ましい酸クロライドの例としては、無水トリメリット酸クロライド等が挙げられる。
【0048】
また、好ましいジイソシアネート化合物の例としては、ジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、3,2'−または3,3'−または4,2'−または4,3'−または5,2'−または5,3'−または6,2'−または6,3'−ジメチルジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、3,2'−または3,3'−または4,2'−または4,3'−または5,2'−または5,3'−または6,2'−または6,3'−ジエチルジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、3,2'−または3,3'−または4,2'−または4,3'−または5,2'−または5,3'−または6,2'−または6,3'−ジメトキシジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4'−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4'−[2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
【0049】
前記ジハロトリアジン化合物との反応に用いることのできるジオール化合物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、2,3−ジヒドロキシノルボルナン、2,5−ジヒドロキシノルボルナン、2,6−ジヒドロキシノルボルナン、2,7−ジヒドロキシノルボルナン、ジヒドロキシジシクロペンタジエン、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)シクロヘキシル]プロパン等の脂肪族系グリコールエーテル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、下記一般式(48)
【化54】

(式中、R8及びR9はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わし、k、mは0または整数を表わし、2≦k+m≦20である。)
で示される化合物等の芳香族系グリコールエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール、(水添)ポリブタジエンジオール等の高分子量ジオールが挙げられる。
【0050】
前記ジハロトリアジン化合物との反応に用いることのできるジチオール化合物の例としては、1,2−エタンジチオール等が挙げられる。
前記ジハロトリアジン化合物との反応に用いることのできるジアミン化合物としては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びこれらのジアミンのN,N'−ジメチル体、ジエチル体、ジフェニル体、ジベンジル体等の脂肪族ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、及びそのN,N'−ジメチル体、ジエチル体、ジフェニル体、並びにジベンジル体等のキシリレンジアミン類、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、1,3−ジ(4−ピペリジル)プロパン等のピペラジン類、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4'−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4'−ジアミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,4'−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、3,3'−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,4'−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン及びそのN,N'−ジメチル体、ジエチル体、ジフェニル体、ジベンジル体等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0051】
前記ジハロトリアジン化合物と反応させることのできる好ましい2官能フェノール化合物の例としては、ヒドロキノン、カテコール、レソルシノール、1,2−ジヒドロキシシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,2'−ビフェノール、4,4'−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、2,2−ビス[(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル]プロパン、2−フェニルー2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンが挙げられる。
【0052】
前記ジハロトリアジン化合物と反応させることのできる好ましい2官能チオフェノール類の例としては、4−t−ブチル−1,2−ジメルカプトベンゼン、4,4'−チオジベンゼンチオールが挙げられる。
また、モノエタノールアミンやm−アミノフェノールのような水酸基とアミノ基の両方を有する化合物を用いることもできる。
【0053】
前記ジハロトリアジン化合物とジオール化合物等との反応は、ジハロトリアジン化合物1モルに対し、ジオール化合物等の合計を0.5〜1.5モル、より好ましくは0.8〜1.2モルとして行うことが好ましい。ジオール化合物等の合計が0.5モル未満、または1.5モルを超える範囲では、得られるトリアジン化合物の分子量が上がらず、これを配合して得られた硬化性トリアジン組成物の硬化物の可撓性等の特性が低下する。
【0054】
前記ジハロトリアジン化合物とジオール化合物等との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。好ましい有機溶媒の例としては前記ハロゲン化シアヌルとアルコール化合物等との反応に用いることができるものとして例示したものが挙げられる。用いる有機溶媒の量は反応速度や経済的な観点から、ジハロトリアジン化合物1モルに対し、0.1〜10L、より好ましくは0.5〜5Lとすることが好ましい。
【0055】
前記ジハロトリアジン化合物とジオール化合物等との反応は、酸受容剤として塩基の存在下に行うことが好ましい。好ましい酸受容剤の例としては、前記ハロゲン化シアヌルとアルコール等との反応において用いることができるものとして例示した塩基並びにそれらの水溶液が挙げられる。
用いる酸受容剤の量は反応速度、経済性等の点から、ジハロトリアジン1モルに対して1価の酸受容剤は2〜20モル、2価の酸受容剤は1〜10モルとすることが好ましい。
【0056】
前記ジハロトリアジン化合物とジオール化合物等との反応において、酸受容剤としてアルカリ水溶液を用いて行う場合には、反応系中に相間移動触媒を添加してもよい。好ましい相間移動触媒の例としては前記ハロゲン化シアヌルと、アルコール等との反応に用いることができるものとして例示したものが挙げられる。これら触媒の使用量は、反応速度や経済性等の点から前記ジハロトリアジン化合物に対して1〜100モル%とすることが好ましい。
【0057】
前記ジハロトリアジン化合物とジオール化合物等との反応は、0〜200℃の範囲内で、かつジハロトリアジン化合物中の硬化性基が充分安定な温度以下で行うことが好ましい。温度が0℃以下では反応の進行が遅く、温度が200℃を超えると、生成したトリアジン化合物の加水分解が起こるおそれがある。また、ジハロトリアジン化合物中の硬化性基が充分安定な温度を超えると、反応系がゲル化するおそれがある。従って、上限温度はどの官能基を用いるかについても考慮して決める必要がある。
【0058】
前記ジハロトリアジン化合物とジオール化合物等との反応を行う際、必要に応じて重合禁止剤を添加することもできる。好ましい重合禁止剤の例としては、前記ジハロトリアジン化合物とアルコール等との反応において用いることのできるものとして例示したものが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0059】
また、前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物は以下の方法でも得ることができる。すなわち、塩化シアヌル等のハロゲン化シアヌルに、アルコール性水酸基、チオール基、アミノ基、モノ置換アミノ基、またはフェノール性水酸基を1分子に2以上有する化合物、例えばジオール化合物、ジチオール化合物、ジアミン化合物、2官能のフェノール化合物、または2官能のチオフェノール化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下「ジオール化合物等」と略記する。)を反応させた後、アルコール化合物、チオール化合物、アミン化合物、フェノール化合物、チオフェノール化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下「アルコール化合物等」と略記する。)を反応させて得られる。
このとき用いることのできる好ましいジオール化合物等の例としては、前記ジハロトリアジン化合物と反応させて前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物を得るために用いることのできるものとして例示したものが挙げられる。
【0060】
前記ハロゲン化シアヌルとジオール化合物等との反応は、ジハロトリアジン化合物1モルに対し、ジオール化合物等の合計を0.8〜1.2モルとして行うことが好ましい。ジオール化合物等の合計が0.8モル未満または1.2モルを超える範囲では、得られるトリアジン化合物の分子量が上がらず、これを配合して得られた硬化性トリアジン組成物の硬化物の可撓性等の特性が低下することがある。
【0061】
前記ハロゲン化シアヌルとジオール化合物等との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。好ましい有機溶媒の例としては前記ハロゲン化シアヌルとアルコール化合物等との反応に用いることができるものとして例示したものが挙げられる。用いる有機溶媒の量は反応速度や経済的な観点から、ハロゲン化シアヌル1モルに対し、0.5〜10Lとすることが好ましい。
【0062】
前記ハロゲン化シアヌルとジオール化合物等との反応は、酸受容剤の存在下に行うことが好ましい。好ましい酸受容剤の例としては、前記ハロゲン化シアヌルとアルコール等との反応において用いることができるものとして例示したもの並びにそれらの水溶液が挙げられる。
用いる酸受容剤の量は反応速度、経済性等の点から、ハロゲン化シアヌル1モルに対して1価の酸受容剤は2〜20モル、2価の酸受容剤は1〜10モルとすることが好ましい。
【0063】
前記ハロゲン化シアヌルとジオール化合物等との反応において、酸受容剤としてアルカリ水溶液を用いて行う場合には、反応系中に相間移動触媒を添加してもよい。好ましい相間移動触媒の例としては、前記ハロゲン化シアヌルとアルコール等との反応に用いることができるものとして例示したものが挙げられる。これら触媒の使用量は、反応速度や経済性等の点から前記ジハロトリアジン化合物に対して1〜100モル%とすることが好ましい。
【0064】
前記ハロゲン化シアヌルとジオール化合物等との反応は、0〜150℃の範囲内で行うことが好ましい。温度が0℃以下では反応の進行が遅く、温度が150℃を超えると生成したトリアジン化合物の加水分解やゲル化が起こるおそれがある。
【0065】
前記ハロゲン化シアヌルとジオール化合物等との反応を行う際、必要に応じて重合禁止剤を添加することもできる。好ましい重合禁止剤の例としては、前記ハロゲン化シアヌルとアルコール等との反応において用いることのできるものとして例示したものが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0066】
前記ハロゲン化シアヌルにジオール化合物等を反応させた後、反応させる好ましいアルコール化合物等の例としては、前記ハロゲン化シアヌルと反応させて前記一般式(3)で示されるジハロトリアジン化合物を製造するために用いることのできるものとして例示したものが挙げられる。このとき、アルコール化合物等は、ハロゲン化シアヌルとジオール化合物等との反応系に直接加えても、一度生成物を取り出した後に改めて反応させてもよい。また、反応収率、経済性等の観点から、ハロゲン化シアヌル1モルに対し、アルコール化合物等の合計を1〜5モルとして行うことが好ましい。
【0067】
前記ハロゲン化シアヌルにジオール化合物等を反応させた後、アルコール化合物等を反応させる際は、有機溶媒中で行うことが好ましい。好ましい有機溶媒の例としては前記ハロゲン化シアヌルとアルコール化合物等との反応に用いることができるものとして例示したものが挙げられる。用いる有機溶媒の量は反応速度や経済的な観点から、ハロゲン化シアヌル1モルに対し、0.2〜10Lとすることが好ましい。
【0068】
前記ハロゲン化シアヌルにジオール化合物等を反応させた後、アルコール化合物等を反応させる際は、酸受容剤の存在下に行うことが好ましい。好ましい酸受容剤の例としては、前記ハロゲン化シアヌルとアルコール等との反応において用いることができるものとして例示したもの並びにそれらの水溶液が挙げられる。
用いる酸受容剤の量は反応速度、経済性等の点から、ハロゲン化シアヌル1モルに対して1価の酸受容剤は1〜20モル、2価の酸受容剤は0.5〜10モルとすることが好ましい。
【0069】
前記ハロゲン化シアヌルにジオール化合物等を反応させた後、アルコール化合物等を反応させる際、酸受容剤としてアルカリ水溶液を用いる場合には、反応系中に相間移動触媒を添加してもよい。好ましい相間移動触媒の例としては前記ハロゲン化シアヌルとアルコール等との反応に用いることができるものとして例示したものが挙げられる。これら触媒の使用量は、反応速度や経済性等の点からハロゲン化シアヌルに対して1〜100モル%とすることが好ましい。
【0070】
前記ハロゲン化シアヌルにジオール化合物等を反応させた後、アルコール化合物等を反応させる際は、0〜200℃の範囲内で行うことが好ましい。温度が0℃以下では反応の進行が遅く、温度が200℃を超えると生成したトリアジン化合物の加水分解が起こるおそれがある。また、ジハロトリアジン化合物中の硬化性基が充分安定な温度を超えると反応系がゲル化するおそれがある。
【0071】
前記ハロゲン化シアヌルにジオール化合物等を反応させた後、アルコール化合物等を反応させる際は、必要に応じて重合禁止剤を添加することもできる。好ましい重合禁止剤の例としては、前記ジハロトリアジン化合物とアルコール等との反応において用いることのできるものとして例示したものが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0072】
前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物は以下の方法でも得ることができる。すなわち、一般式(4)
【化55】

で示されるトリアジンジチオール化合物に、一般式(5)
【化56】

で示される化合物または2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物を反応させて得ることができる。
【0073】
一般式(4)中のX1は、前記一般式(1)におけるX1と同様の基を表わす。
前記一般式(4)で示されるトリアジンジチオール化合物は、例えば前記一般式(3)で示されるジハロトリアジン化合物に水硫化アルカリまたは硫化アルカリを反応させて得ることができる。
【0074】
前記ジハロトリアジン化合物と水硫化アルカリまたは硫化アルカリとの反応は、有機溶媒中で行われることが好ましい。この時用いることのできる好ましい有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン等のアミド系溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができ、前記ジハロトリアジン化合物1モルに対して0.1〜5L用いることが好ましい。
【0075】
前記ハロトリアジン化合物と水硫化アルカリまたは硫化アルカリとの反応において、水硫化アルカリまたは硫化アルカリは、前記ジハロトリアジン化合物1モルに対して、反応収率や経済性の点から2〜10モル用いることが好ましい。また、反応効率の点から水硫化アルカリまたは硫化アルカリは水に溶解して加えることが好ましい。このとき、水硫化アルカリまたは硫化アルカリの濃度は10〜70質量%とすることが好ましい。
【0076】
前記ジハロトリアジン化合物と、水硫化アルカリまたは硫化アルカリとの反応において、反応温度は−20〜50℃とすることが好ましい。
前記ジハロトリアジン化合物と、水硫化アルカリまたは硫化アルカリとの反応において、必要に応じて重合禁止剤を加えることもできる。好ましい重合禁止剤の例としては、前記ジハロトリアジン化合物とアルコール化合物等との反応に用いることができるものとして例示したものが挙げられる。
【0077】
前記一般式(5)中、R1は前記一般式(1)中のR1と同様の基を表わす。
前記一般式(5)中、X4はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基を表わし、好ましくは臭素原子、メタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基である。
【0078】
前記一般式(5)で示される好ましい具体的な化合物の例としては、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモブタン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,10−ジブロモデカン、1,4−ジクロロベンゼン、p,p'−ジブロモビフェニル、並びに前記ジハロトリアジン化合物と反応させて、前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物を製造するために用いることのできる好ましいジオール化合物として例示したもののメタンスルホニル酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステルが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0079】
前記一般式(4)で示されるトリアジンジチオール化合物と反応させる好ましい2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物の例としては、ビスマレイミド、並びに前記ジハロトリアジン化合物と反応させて、前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物を製造するために用いることのできる好ましいジオールとして例示したものの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0080】
前記トリアジンジチオール化合物と、前記一般式(5)で示される化合物またはα,β−不飽和カルボニル化合物との反応において、前記一般式(5)で示される化合物またはα,β−不飽和カルボニル化合物は、トリアジンジチオール化合物1モルに対し、0.5〜1.5モルとすることが好ましい。前記一般式(5)で示される化合物またはα,β−不飽和カルボニル化合物が0.5モル未満または1.5モルを超える範囲では、得られるトリアジン化合物の分子量が上がらず、これを配合して得られた硬化性トリアジン組成物の、硬化物の可撓性等の特性が低下する。
【0081】
前記トリアジンジチオール化合物と前記一般式(5)で示される化合物または2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。好ましい有機溶媒の例としては、ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル等の芳香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。用いる有機溶媒の量は反応速度や経済性の点から、前記一般式(4)で示されるトリアジンジチオール化合物1モルに対し、0.5〜10Lとすることが好ましい。
【0082】
前記トリアジンジチオール化合物と前記一般式(5)で示される化合物または2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物との反応は、塩基触媒の存在下に行うことが好ましい。好ましい塩基触媒の例としては、前記ハロゲン化シアヌルとアルコール等との反応に用いることができるものとして例示したものが挙げられる。その使用量は反応速度や副反応防止、経済性等の点からトリアジンジチオール 1モルに対して1価の塩基は1ミリモル〜5モル、2価の塩基は0.5ミリモル〜2.5モルとすることが好ましい。
【0083】
前記トリアジンジチオール化合物と、前記一般式(5)で示される化合物または2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物との反応を、有機溶媒と水との2相系で行う場合には、反応系中に相間移動触媒を添加してもよい。好ましい相間移動触媒の例としては、前記ジハロトリアジン化合物とジオール化合物等との反応において用いることができるものとして例示したものが挙げられる。
【0084】
前記トリアジンジチオール化合物と、前記一般式(5)で示される化合物または2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物との反応は、0〜200℃の範囲内で、かつ前記トリアジンジチオール化合物中の硬化性基が充分安定な温度以下で行うことが好ましい。温度が0℃未満では反応の進行が遅く、温度が200℃を超えるとトリアジン樹脂の加水分解が起こるおそれがある。また、前記トリアジンジチオール化合物中の硬化性基が充分安定な温度を超えると、反応系がゲル化するおそれがある。例えば、硬化性基がアリル基の場合は200℃以下、アクリロイル基の場合は150℃以下の反応温度で行なうのが好ましい。
【0085】
前記トリアジンジチオール化合物と、前記一般式(5)で示される化合物または2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物との反応を行うとき、必要に応じて重合禁止剤を加えることもできる。好ましい重合禁止剤の例としては、前記ハロゲン化シアヌルとアルコール等との反応に用いることのできるものとして例示したものが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0086】
本発明において、前記一般式(3)で示されるジハロトリアジン化合物とジオール化合物等との反応、あるいは前記一般式(4)で示されるトリアジンジチオール化合物と、前記一般式(5)で示される化合物またはα,β−不飽和化合物との反応によって得られた、前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物は、必要に応じて酸無水物変性、酸クロライド変性、ジイソシアネート変性、エピクロルヒドリン変性及び続く脱塩酸反応、オレフィンの酸化エポキシ化等を行った後に用いることもできる。
このとき用いることのできる酸無水物酸クロライド及びジイソシアネートは、前記ジハロトリアジン化合物の変性に用いることのできるものとして例示したものが挙げられる。
【0087】
本発明において、前記一般式(1)で示され、n個の一部または全てのX1に熱または光で硬化可能な硬化性基を含むトリアジン化合物は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0088】
本発明において、(B)成分である硬化剤の例と好ましい使用量は以下の通りである。
(a)硬化性基がアリル基である場合
硬化剤として、熱ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
好ましい熱ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α'−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシアセテート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物が挙げられる。
これらは、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して0.1〜10質量部用いるのが好ましい。
【0089】
(b)硬化性基がビニル基または(メタ)アクリロイル基である場合
硬化剤として、熱ラジカル重合開始剤または光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
好ましい熱ラジカル重合開始剤としては、(a)に例示した有機過酸化物、または1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジンー2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2'−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ化合物が挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの熱ラジカル重合開始剤は、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部用いることが好ましい。
【0090】
また、好ましい光ラジカル重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−フェニル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾイン系開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系開始剤、α−アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4',4''−ジエチルイソフタロフェノン等のケトン系開始剤、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−イミダゾール等のイミダゾール系開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系開始剤、カルバゾール系開始剤、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄−ヘキサフルオロホスフェート等のルイス酸のオニウム塩が挙げられる。
これらの光重合開始剤は(A)のトリアジン化合物100質量部に対して0.01〜20質量部用いることが好ましい。
【0091】
(c)硬化性基がエポキシ基である場合
硬化剤として、多官能のアミン、カルボン酸、酸無水物等、エポキシ基と反応する官能基を持つ化合物、特に酸無水物を用いることが好ましい。
好ましいアミンの例としては、前記一般式(3)で示されるジハロトリアジン化合物と反応させて、前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物を製造するために用いることのできるジアミン化合物として例示したもののほか、ジエチレントリアミン等のトリアミン化合物、トリエチレンテトラミン等のテトラアミン化合物、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のメラミン類が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
また、カルボン酸の例としては、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸化合物、トリメリット酸、トリメシン酸のようなトリカルボン酸、ピロメリット酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ビスフェニルテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,2',3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノ)フェニル}プロパン、4,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート)、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート)、エチレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、ビス{エキソービシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸}スルホン、ビシクロ[2.2.2]−オクト(7)−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、ポリアクリル酸のような2つ以上のカルボキシル基を有する樹脂が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
さらに、酸無水物の例としては前記一般式(3)で示されるジハロトリアジン化合物の変性に用いることのできるものとして例示したものが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの硬化剤は、(A)のトリアジン化合物100質量部に対し、5〜200質量部用いることが好ましい。
【0094】
また、硬化剤として酸無水物を用いる場合には、硬化促進剤を添加することが好ましい。
好ましい硬化促進剤としては、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のアミン系化合物及びその塩化合物、トリフェニルホスフィン、トリス−(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン系化合物及びその塩化合物、有機金属塩が挙げられる。
これらの硬化促進剤は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して0〜20質量部用いることが好ましい。
【0095】
(d)硬化性基がオキセタニル基である場合
硬化剤として、光カチオン重合開始剤または熱カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、式(49)
【化57】

で示されるオニウム塩を用いることが好ましい。
【0096】
前記式(49)中、[A]h+はジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス〔4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル〕スルフィド、η5−2,4−(シクロペンタジェニル)〔1,2,3,4,5,6−η−(メチルエチル)ベンゼン〕−鉄(1+)等のオニウムイオンを表わし、[X]h-は、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサクロロアンチモネート等のハロゲン化錯体、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラ(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラ(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラ(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(パーフルオロフェニル)ボレート、テトラ(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート等の芳香族陰イオン、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロトルエンスルホン酸イオン等の陰イオンを表わす。
【0097】
これらの光カチオン重合開始剤は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して0.1〜10質量部用いることが好ましい。
【0098】
熱カチオン重合開始剤としては、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等の金属キレート化合物またはジアルキルベンジルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−2−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム等のスルホニウム塩化合物を用いることが好ましい。
【0099】
また、カルボン酸や酸無水物等、オキセタン環に付加する官能基を持った化合物を用いることもできる。好ましいカルボン酸及び酸無水物の例としては、(c)で例示したものが挙げられる。このときカルボン酸または酸無水物は(A)のトリアジン化合物100質量部に対して、5〜200質量部用いることが好ましい。
【0100】
さらに、カルボン酸または酸無水物を硬化剤として用いる場合には硬化促進剤を用いることが好ましい。好ましい硬化促進剤としては、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド等のオニウム塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のアミン類、クラウンエーテル錯体、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。このとき、硬化促進剤の量は、樹脂(A)のトリアジン化合物100質量部に対して0.1〜20質量部用いることが好ましい。
【0101】
(e)硬化性基がカルボキシル基または酸無水物基である場合
硬化剤として、多官能のエポキシ化合物、オキセタン化合物、アミン化合物、イソシアネート化合物等、カルボキシル基または酸無水物基と反応する官能基を持った化合物を用いることが好ましい。
【0102】
エポキシ化合物としては、種々のエポキシ樹脂を用いることができる。具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル類、トリグリシジルシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン環を有するエポキシ樹脂類、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0103】
これらのエポキシ化合物は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して合計で5〜200質量部用いることが好ましい。
また硬化剤としてエポキシ化合物を用いる場合には、硬化促進剤として、(c)で硬化促進剤として例示したもの等を(A)のトリアジン化合物100質量部に対して0.1〜20質量部併用することが好ましい。
【0104】
オキセタン化合物の例としては、下記式(50)〜(54)で示される化合物が挙げられる。
【化58】

【0105】
【化59】

(式中、iは1〜3の整数を表わす。)
【化60】

【0106】
これらのオキセタン化合物は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して合計で5〜200質量部用いることが好ましい。
また、オキセタン化合物を硬化剤として用いる場合には硬化促進剤を用いることが好ましい。好ましい硬化促進剤の例としては、(d)で硬化促進剤として例示したものが挙げられ、(A)のトリアジン化合物に対して0.1〜20質量部用いることが好ましい。
【0107】
アミン化合物の例としては、(c)で用いることのできるアミン化合物として例示したものが挙げられる。これらのアミン化合物は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して合計で5〜200質量部用いることが好ましい。
【0108】
イソシアネート化合物の例としては、前記一般式(3)で示されるジハロトリアジン化合物の変性に用いることができるものとして例示したジイソシアネート化合物が挙げられる。
これらのイソシアネート化合物は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して合計で5〜200質量部用いることが好ましい。
【0109】
(f)硬化性基がアミノ基である場合
硬化剤として、多官能のエポキシ化合物、イソシアネート化合物、酸無水物、α,β−不飽和カルボニル化合物等、アミノ基と反応する官能基を持った化合物を用いることが好ましい。
【0110】
エポキシ化合物の例としては、(d)で用いることができるものとして例示したものが挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して5〜200質量部用いることが好ましい。
【0111】
イソシアネート化合物の例としては、前記式(3)で示されるジハロトリアジン化合物を変性するのに用いることのできるものとして、例示したものが挙げられる。これらのイソシアネート化合物は、単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して5〜200質量部用いることが好ましい。
【0112】
酸無水物の例としては、(c)で用いることができるものとして例示したものが挙げられる。これらの酸無水物は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して5〜200質量部用いることが好ましい。
【0113】
α,β−不飽和カルボニル化合物の例としては、前記一般式(4)で示されるトリアジンジチオール化合物と反応させて前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物を製造するときに用いることができるものとして例示したもののほか、アルキル変性ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらのα,β−不飽和カルボニル化合物は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して合計で5〜200質量部用いることが好ましい。
【0114】
(g)硬化性基がチオール基である場合
硬化剤として、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム等のポリエン化合物を用いることが好ましい。これらのポリエン化合物は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して合計で5〜200質量部用いることが好ましい。
【0115】
(h)硬化性基が(ブロック化された)イソシアネート基である場合
硬化剤として、多官能のアミン化合物、カルボン酸化合物等活性プロトンを持った化合物または酸無水物を用いることが好ましい。
【0116】
好ましいアミン化合物としては、(c)で用いることができるものとして例示したものが挙げられる。これらのアミン化合物は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して合計で5〜200質量部用いることが好ましい。
【0117】
カルボン酸化合物、酸無水物の例としてはいずれも(c)で用いることができるものとして例示したものが挙げられる。これらのカルボン酸化合物または酸無水物は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができ、(A)のトリアジン化合物100質量部に対して合計で5〜200質量部用いることが好ましい。
【0118】
本発明の硬化性トリアジン組成物には、(A)前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物、(B)硬化剤の他、必要に応じて難燃剤、反応性希釈剤等の成分を配合することもできる。
このとき、難燃剤としては、リン系難燃剤、メラミン等のトリアジン化合物または水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤等、非ハロゲン系の難燃剤を用いることが特に好ましい。
【0119】
本発明において電子部品用ワニスを用途とする場合にはさらに溶媒を配合させてワニス化を行う。ワニス化のための好ましい溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール ジエチルエーテル、トリエチレングリコール ジメチルエーテル、トリエチレングリコール ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン等の含硫黄系溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられ、特に好ましくはエーテル系溶媒、含硫黄系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は(A)のトリアジン化合物硬化剤の他、必要に応じて難燃剤、反応性希釈剤の総計100質量部に対し、20〜400質量部とすることが好ましい。
【0120】
本発明における(D)成分として用いられる無機及び/または有機微粒子は、(C)成分である前記のワニス化された組成物に分散してペーストを形成するものであれば、特に制限はない。このような無機の微粒子としては、例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta25)、ジルコニア(ZrO2)、窒化珪素(Si34)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga23)、スピネル(MgO・Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al23/5SiO2)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、チタン酸アルミニウム(TiO2−Al23)、イットリア含有ジルコニア(Y23−ZrO2)、珪酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)。有機ベントナイト、カーボン(C)等を使用することができ、これらの1種または2種以上を使用することもできる。
【0121】
また本発明で用いられる有機の微粒子としては、前記のワニス化された組成物に分散してペーストを形成するものであれば、特に制限はない。このような有機の微粒子としては、アミド結合、イミド結合、エステル結合またはエーテル結合を有する耐熱性樹脂の微粒子が好ましい。該耐熱性樹脂としては、耐熱性と機械特性の観点から好ましくはポリイミド樹脂若しくはその前駆体、ポリアミドイミド樹脂若しくはその前駆体、またはポリアミド樹脂の微粒子が用いられる。
【0122】
本発明のチキソトロピー性を有する硬化性トリアジン樹脂組成物において、有機の微粒子は溶剤に不溶なものが使用されるが、全体としては、加熱乾燥前には本発明の(A)前記一般式(1)で示される硬化性トリアジン化合物及び(B)硬化剤を含むワニスに対して有機の微粒子は不均一層として存在し、加熱硬化後には前記硬化性トリジン化合物及び有機の微粒子を含む均一層が形成されるように配合したものが好ましく用いられる。
【0123】
本発明における無機及び/または有機の微粒子としては、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒子径をもつものが好ましく用いられる。平均粒子径が50μmを超えると後述するチキソトロピー係数が1.1以上のペーストが得られにくくなり、最大粒子径が100μmを超えると塗膜の外観、密着性が不十分となる傾向がある。
本発明のワニスに無機及び/または有機の微粒子を分散させる方法としては、通常、塗料分野で行われているロール練り、ミキサー混合等が適用され、十分な分散が行われる方法であれば良い。
【0124】
本発明のチキソトロピー性を有する電子部品用樹脂組成物において、回転型粘度計での粘度が25℃で0.5〜500Pa・s、チキソトロピー係数が1.1以上であるのが好ましい。
ここで、ペーストの粘度は、E型粘度計((株)東京計器製 EHD−R、ローターNo.7)を用いて測定した回転数5rpmの粘度として表される。またペーストのチキソトロピ−係数(TI値)は同様に測定した回転数0.5rpmと5rpmのペーストのみかけ粘度、η0.5とη5の比η0.5/η5として表される。
【0125】
粘度が0.5Pa・s未満であると、印刷後の流れ出しが大きくなるとともに膜厚が薄膜化する傾向がある。粘度が500Pa・sを超えると樹脂組成物の基材への転写性が低下するとともに印刷膜中のボイド及びピンホールが増加する傾向がある。またチキソトロピー係数が1.1未満であると、ペーストの糸引きが増加するとともに印刷後のペーストの流れ出しが大きくなり、膜厚も薄膜化する傾向がある。
【0126】
本発明の電子部品用樹脂組成物において、(D)成分として用いる無機及び/または有機微粒子の配合量は、(C)成分のワニス100質量部に対して1〜90質量部の範囲とすることが好ましい。これよりも少ない場合、樹脂組成物の粘度及びチキソトロピー係数が低くなり、糸引きが増加するとともに印刷後の流れ出しが大きくなり、膜厚も薄膜化する傾向がある。また、これより多い場合、樹脂組成物の粘度及びチキソトロピー係数が高くなり、基材への転写性が低下するとともに印刷膜中のボイド及びピンホールが増加する傾向がある。
【実施例】
【0127】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0128】
実施例1
(1−1)トリアジン化合物の合成
回転子、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた200mLの四つ口フラスコに、ビスフェノールF(o,m,p−置換混合体、本州化学工業(株)製)10.0g(50ミリモル)、N−メチルピロリドン(和光純薬工業(株)製)100mLを仕込み、溶解させた。25℃にて炭酸カリウム(純正化学工業(株)製)27.6g(200ミリモル)を加え、30分間撹拌した。0℃にて2−アリルオキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン 10.3g(50ミリモル)を滴下し、25℃で48時間反応させた。反応液を水2Lに滴下し、得られた沈殿をろ別後、水中で60℃にて7時間撹拌させ、取り込まれている溶媒を除去した。さらに真空乾燥機にて70℃で8時間乾燥させ、白色粉末状の樹脂を15.5g得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記す)により分子量を測定したところ、数平均分子量(ポリスチレン換算)が4700であった。
この粉末状の樹脂を、そのまま熱重量分析(TGA法)にかけたところ、5%重量減少温度は320℃であった。
(1−2)硬化性トリアジン組成物の作成
(1−1)で得られた粉末状の樹脂100質量部に対して、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名:パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)2質量部を加え、これをγ−ブチロラクトンに溶解させて不揮発分25質量%の硬化性トリアジン樹脂組成物を得た。
(1−3)硬化性トリアジン組成物の塗工と硬化
酸性脱脂剤(AC-401)に25℃で1分間浸漬させ、イオン交換水で洗浄後、70℃で3分間乾燥させたユピセルN グレードSE1310(宇部興産(株)製 片面銅積層板)上に、(1−2)で得られた硬化性トリアジン樹脂組成物をバーコーターを用いて塗布した。得られた塗布基板を80℃で30分間乾燥させた後、160℃で1時間加熱硬化を行った。
(1−4)硬化物の評価
(1−3)で得られた硬化膜つき基板をイオン交換水ですすぎ、ICP クリーン91(奥野製薬工業(株)製)に30℃で1分間浸漬させて酸脱脂を行い、イオン交換水で洗浄した後、10質量%硫酸に30℃で1分間浸漬させて酸洗を行い、イオン交換水で洗浄した。基板の水をよく切ってから、70℃に温めたTINPOSIT LT−34(錫メッキ液、ローム&ハース社製)に3分間浸漬させ、さらに70℃のイオン交換水に3分間浸漬させた。次に、120℃で100分間、ボックスオーブン中で熱処理を行った。得られたメッキ済み基板では、メッキのもぐりこみが僅かに見られたが、硬化膜や銅箔の変色は見られなかった。
【0129】
実施例2
(2−1)トリアジン化合物の合成
上記(1−1)に記載のビスフェノールF(o,m,p−置換混合体、本州化学工業(株)製)の代わりにビスフェノールF(p,p'−体、本州化学工業(株)製)を用い、(1−1)と同様に合成を行い、白色粉末状の樹脂を15.8g得た。GPCにより分子量を測定したところ、数平均分子量(ポリスチレン換算)が3600であった。
得られた粉末状樹脂を1H−NMR及び13C−NMR(共に、溶媒は重クロロホルム、測定器はJEOL(日本電子(株))製AL-400)を用いて解析した結果をそれぞれ図1、図2に示す。これらの解析から、得られた樹脂は、一般式(1)においてX1がアリロキシ基、X2が酸素原子、R1が(59)式で表される有機基、nが11のトリアジン化合物であることが確認できた。
また得られた粉末状の樹脂を、そのまま熱重量分析(TGA法)にかけたところ、5%重量減少温度は315℃であった。
(2−2)硬化性トリアジン組成物の作成
(2−1)で得られた粉末状の樹脂を用いて上記(1−2)と同様に調整を行い、不揮発分20質量%の硬化性トリアジン樹脂組成物を得た。
(2−3)硬化性トリアジン組成物の塗工と硬化
(2−2)で得られた硬化性トリアジン組成物を用いて上記(1−3)と同様に塗工及び硬化処理を行なった。
(2−4)硬化物の評価
(2−3)で得られた硬化膜つき基板を用い、上記(1−4)と同様に硬化物の評価を行なった。ここで得られたメッキ済み基板では、メッキのもぐりこみが僅かに見られたが、硬化膜や銅箔の変色は見られなかった。
【0130】
実施例3
(3−1)トリアジン化合物の合成
上記(1−1)に記載のビスフェノールF(o,m,p−置換混合体、本州化学工業(株)製)の代わりに4,4'−ジヒドロキシフェニルエーテル(商品名:SPECIANOL DPE−H、大日本インキ化学工業(株)製)10.1g(50ミリモル)を用い、(1−1)と同様に合成を行い、白色粉末状の樹脂を15.8g得た。GPCにより分子量を測定したところ、数平均分子量(ポリスチレン換算)が2500であった。
この粉末状の樹脂を、そのまま熱重量分析(TGA法)にかけたところ、5%重量減少温度は289℃であった。
(3−2)硬化性トリアジン組成物の作成
(3−1)で得られた粉末状の樹脂を用いて上記(1−2)と同様に調整を行い、不揮発分20質量%の硬化性トリアジン樹脂組成物を得た。
(3−3)硬化性トリアジン組成物の塗工と硬化
(3−2)で得られた硬化性トリアジン組成物を用いて上記(1−3)と同様に塗工及び硬化処理を行なった。
(3−4)硬化物の評価
(2−3)で得られた硬化膜つき基板を用い、上記(1−4)と同様に硬化物の評価を行なった。ここで得られたメッキ済み基板では、メッキのもぐりこみ及び硬化膜や銅箔の変色は僅かに見られた程度であった。
【0131】
比較例
撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、合成溶媒としてカルビトールアセテート 600g、ポリマーポリオールとしてポリカプロラクトンジオール(商品名:PLACCEL212、ダイセル化学工業(株)製、分子量1250)375.0g(=0.3モル)、カルボキシル基を有するジヒドロキシル化合物としてジメチロールプロピオン酸 40.2g(=0.3モル)、ポリイソシアナートしてイソホロンジイソシアナート 155.4g(=0.7モル)及びヒドロキシル基を有するアクリレートとして2−ヒドロキシエチルアクリレート 23.8g(=0.2モル)、さらにp−メトキシフェノール及びジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエンを各々0.1gずつ投入した。撹拌しながら60℃まで加熱して停止し、ジブチル錫ジラウレート 0.16gを添加した。反応容器内の温度が低下し始めたら再度加熱して80℃で撹拌を続け、赤外線吸収スペクトルでイソシアナート基の吸収スペクトル(2280cm-1)が消失したことを確認して反応を終了し、粘稠液体のウレタンアクリレート化合物を得た。得られたウレタンアクリレートの数平均分子量は25,000、酸価は40mgKOH/g、固形分濃度は50質量%であった。
このウレタンアクリレートとエポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)を、エポキシ基/カルボキシル基=1.1当量になるように配合し、さらにメラミン(日産化学工業(株)製)をエポキシ樹脂100質量部に対して8質量部加え、硬化性樹脂組成物を得た。
この硬化性樹脂組成物を用いて実施例1の(1−3)と同様の操作で硬化膜つき基板を得、(1−4)と同様に錫メッキ性の評価を行った。その結果、メッキのもぐりこみが明確に観察され、硬化膜の剥がれが顕著に見られた。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明より得られる硬化性トリアジン組成物は、耐熱性、耐錫メッキ性等に優れた硬化物を与え、電子部品用封止材料及び/または電子部品用ワニスとして好ましく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】実施例2で得られた粉末状樹脂の1H−NMR(溶媒;重クロロホルム)の解析結果を示すチャートである。
【図2】実施例2で得られた粉末状樹脂の13C−NMR(溶媒;重クロロホルム)の解析結果を示すチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1)
【化1】

[式中、R1はそれぞれ独立して2価の有機基を表わし、X1はそれぞれ独立して1価の有機基を表わし、X2は酸素原子、硫黄原子、または一般式(2)
【化2】

(式中、R2は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わす。)で示される基を表わし、nは2〜100の整数を表わす。]で示されるトリアジン化合物であって、n個存在するX1の一部または全てが熱または光で硬化可能な硬化性基を有するトリアジン化合物、及び硬化剤を含むことを特徴とする硬化性トリアジン組成物。
【請求項2】
一般式(3)
【化3】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わし、X3はハロゲン原子を表わす。)で示される1種または2種以上のジハロトリアジン化合物に、アルコール性水酸基、チオール基、アミノ基、モノ置換アミノ基、またはフェノール性水酸基を1分子に2以上有する化合物から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られたトリアジン化合物に硬化剤を配合させてなる請求項1に記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項3】
一般式(4)
【化4】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わす。)で示される1種または2種以上のトリアジンジチオール化合物に一般式(5)
【化5】

(式中、R1は2価の有機基を表わし、X4はハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基を表わす。)で示される1種以上の化合物を反応させて得られたトリアジン化合物に硬化剤を配合させてなる請求項1に記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項4】
一般式(4)
【化6】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わす。)で示される1種または2種以上のトリアジンジチオール化合物に2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物を1種以上反応させて得られたトリアジン化合物に硬化剤を配合させてなる請求項1に記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項5】
一般式(1)中のn個のR1が下記式(6)〜(9)及び(55)〜(57)
【化7】

(式中、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル基、パーフルオロアルキル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基を表わす。)
【化8】

(式中、4個のR7はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わす。)
【化9】

(式中、4個のR30はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わす。)
【化10】

(式中、4個のR31はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わす。)
【化11】

(式中、4個のR32はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わす。)
で示される少なくとも一つから選択される基である請求項1に記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項6】
一般式(1)中のn個のR1が下記式(58)〜(60)
【化12】

で示される少なくとも一つから選択される基である請求項1に記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項7】
一部または全てのX1が、アリル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、チオール基、及びブロック化されていてもよいイソシアネート基から選ばれる1種以上を有する1価の有機基である請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項8】
一部または全てのX1がアリル基を有し、前記硬化剤として有機過酸化物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項9】
一部または全てのX1がビニル基または(メタ)アクリロイル基を有し、前記硬化剤としてアゾ化合物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項10】
一部または全てのX1がエポキシ基を有し、前記硬化剤としてアミン、カルボン酸または酸無水物の多官能化合物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項11】
一部または全てのX1がオキセタニル基を有し、前記硬化剤として式(49)
【化13】

(式中、[A]h+はオニウムイオン、[X]h-は陰イオン、hは整数を表わす。)
で示されるオニウム塩を含む請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項12】
一部または全てのX1がカルボキシル基または酸無水物基を有し、前記硬化剤としてエポキシ化合物、オキセタン化合物、アミン化合物またはイソシアネート化合物の多官能化合物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項13】
一部または全てのX1がアミノ基を有し、前記硬化剤としてエポキシ化合物、イソシアネート化合物、酸無水物またはα,β−不飽和カルボニル化合物の多官能化合物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項14】
一部または全てのX1がチオール基を有し、前記硬化剤としてポリエン化合物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項15】
一部または全てのX1がブロック化されていてもよいイソシアネート基を有し、前記硬化剤としてアミン化合物もしくはカルボン酸化合物の多官能化合物または酸無水物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項16】
さらに溶媒を含む請求項1〜15のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項17】
前記溶媒が、エーテル系溶媒、含硫黄系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒及び芳香族炭化水素系溶媒から選ばれた1種以上である請求項16に記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項18】
さらに有機または無機の微粒子を配合することを特徴とする請求項16または17に記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項19】
前記有機または無機の微粒子が、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta25)、ジルコニア(ZrO2)、窒化珪素(Si34)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga23)、スピネル(MgO・Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al23/5SiO2)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、チタン酸アルミニウム(TiO2−Al23)、イットリア含有ジルコニア(Y23−ZrO2)、珪酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)、有機ベントナイト、カーボン(C)、ポリイミド樹脂若しくはその前駆体、ポリアミドイミド樹脂若しくはその前駆体、及びポリアミド樹脂から選ばれる1種以上である請求項18に記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項20】
前記有機または無機の微粒子が平均粒子径50μm以下である請求項19に記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項21】
25℃における粘度が0.5〜500Pa・sであり、かつチキソトロピー係数が1.1以上であることを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物。
【請求項22】
一般式(3)
【化14】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わし、X3はハロゲン原子を表わす。)で示される1種または2種以上のジハロトリアジン化合物に、アルコール性水酸基、チオール基、アミノ基、モノ置換アミノ基、またはフェノール性水酸基を1分子に2以上有する化合物から選ばれる1種以上の化合物を反応させて得られたトリアジン化合物に硬化剤を配合させることを特徴とする請求項2に記載の硬化性トリアジン組成物の製造方法。
【請求項23】
一般式(4)
【化15】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わす。)で示される1種または2種以上のトリアジンジチオール化合物に一般式(5)
【化16】

(式中、R1は2価の有機基を表わし、X4はハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基を表わす。)で示される1種以上の化合物を反応させて得られた硬化性トリアジン化合物に硬化剤を配合させることを特徴とする請求項3に記載の硬化性トリアジン組成物の製造方法。
【請求項24】
一般式(4)
【化17】

(式中、X1は熱または光で硬化可能な硬化性基を含む1価の有機基を表わす。)で示される1種または2種以上のトリアジンジチオール化合物に2官能のα,β−不飽和カルボニル化合物を1種以上反応させて得られた硬化性トリアジン化合物に硬化剤を配合させることを特徴とする請求項4に記載の硬化性トリアジン組成物の製造方法。
【請求項25】
(A)一般式(1)
【化18】

[式中、R1はそれぞれ独立に2価の有機基を表わし、X1はそれぞれ独立に1価の有機基を表わし、X2は酸素原子、硫黄原子、または一般式(2)
【化19】

(式中、R2は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表わす。)で示される基を表わし、nは2〜100の整数を表わす。]で示され、n個存在するX1の一部または全てが熱または光で硬化可能な硬化性基を有するトリアジン化合物において、R1で表される2価の有機基が下記式(58)、(59)または(60)
【化20】

で表される有機基であり、
1で表される1価の有機基がエチレン性炭素−炭素二重結合を有する有機基であり、X2が酸素原子または硫黄原子であることを特徴とするトリアジン化合物。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項27】
請求項1〜21のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物を含む電子部品用封止材料。
【請求項28】
請求項1〜21のいずれかに記載の硬化性トリアジン組成物を含む電子部品用ワニス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−70248(P2006−70248A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214071(P2005−214071)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】