電子部品装着機および電子部品装着システム
【課題】対向ツインヘッドタイプの電子部品装着機において、1つの基板に対して2台の装着ヘッドによって電子部品を装着する場合に、電子部品の装着時間を短縮する。
【解決手段】基板Sa上における電子部品Pの装着領域Aに基づいて、装着領域AにおけるY軸方向の中心位置OYを算出する。装着領域AにおけるY軸方向の中心位置OYを電子部品装着可能領域におけるY軸方向の中心位置(搬送基準中心)Y0に一致させるために、コンベア20aのY軸方向の移動距離LYa1を算出する。移動距離LYa1に基づいてコンベア20aを移動させた後に、一対の装着ヘッド51a,56aにより電子部品を基板Saに装着させる。
【解決手段】基板Sa上における電子部品Pの装着領域Aに基づいて、装着領域AにおけるY軸方向の中心位置OYを算出する。装着領域AにおけるY軸方向の中心位置OYを電子部品装着可能領域におけるY軸方向の中心位置(搬送基準中心)Y0に一致させるために、コンベア20aのY軸方向の移動距離LYa1を算出する。移動距離LYa1に基づいてコンベア20aを移動させた後に、一対の装着ヘッド51a,56aにより電子部品を基板Saに装着させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に装着する電子部品装着機、および、当該電子部品装着機を複数備える電子部品装着システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許第4523217号公報(特許文献1)には、基板を保持するコンベアを基板搬送方向に2台設け、それぞれのコンベアを基板搬送直交方向へ独立して動作可能であることが記載されている。そして、基板搬送直交方向の一方側である第一装着領域側において、それぞれのコンベアに対峙する第一部品供給ユニットをそれぞれ配置し、かつ、これらの第一部品供給ユニットから第一装着領域に移動された基板に対して電子部品を装着する第一装着ヘッドが設けられている。同様に、基板搬送直交方向の他方側である第二装着領域側において、それぞれのコンベアに対峙する第二部品供給ユニットをそれぞれ配置し、かつ、これらの第二部品供給ユニットから第二装着領域に移動された基板に対して電子部品を装着する第二装着ヘッドが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4523217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子部品装着機は、第一装着ヘッドは、第一装着領域に位置する基板のみに対して電子部品を装着し、第二装着ヘッドは、第二装着領域に位置する基板のみに対して電子部品を装着するものである。ところで、装着の高速化の要請により、1つの基板に対して、2台の装着ヘッドによって電子部品を装着することが行われている。ただし、改良の余地がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、対向ツインヘッドタイプの電子部品装着機において、1つの基板に対して2台の装着ヘッドによって電子部品を装着する場合に、電子部品の装着時間を短縮することができる電子部品装着機および電子部品装着システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記基板上における前記電子部品の装着領域に基づいて、前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置を算出する装着中心算出手段と、前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置を前記電子部品装着可能領域における前記搬送直交方向の中心位置に一致させるために、前記コンベアの前記搬送直交方向の第一移動距離を算出する第一移動距離算出手段と、前記第一移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段とを備える。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記装着中心算出手段により算出される前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置は、当該電子部品装着機により装着する複数の前記電子部品の前記搬送直交方向の座標の相加平均となる位置とすることである。
請求項3に係る発明は、前記装着中心算出手段により算出される前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置は、前記基板上における前記電子部品の装着領域の重心とすることである。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記電子部品装着機が、初期状態から前記第一移動距離だけ前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた状態を基準として、前記装着ヘッドにより前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得して当該電子部品を基板に装着した後に前記部品供給ユニットに戻ってくる動作を1回の往復動作と定義した場合に、一方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数と他方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数との差を算出する往復動作回数差算出手段と、前記往復動作回数の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の第二移動距離を算出する第二移動距離算出手段と、を備え、前記移動手段が、前記第一移動距離および前記第二移動距離に基づいて、前記コンベアを移動させることである。
【0009】
請求項5に係る発明は、前記電子部品装着機が、前記初期状態から前記第一移動距離と前記第二移動距離とを加算した距離だけ前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた状態において、それぞれの前記装着ヘッドを独立に移動させた場合に、それぞれの前記装着ヘッドにより装着すべき前記電子部品全てを前記基板に装着するために要する所要時間について前記装着ヘッド毎に算出する装着所要時間算出手段と、一方の前記装着ヘッドによる前記所要時間と他方の前記装着ヘッドにより前記所要時間との差を算出する所要時間差算出手段と、前記所要時間の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の第三移動距離を算出する第三移動距離算出手段と、を備え、前記移動手段が、前記第一移動距離、前記第二移動距離および前記第三移動距離に基づいて、前記コンベアを移動させることである。
【0010】
請求項6に係る発明は、基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記装着ヘッドにより前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得して当該電子部品を基板に装着した後に前記部品供給ユニットに戻ってくる動作を1回の往復動作と定義した場合に、一方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数と他方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数との差を算出する往復動作回数差算出手段と、前記往復動作回数の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の移動距離を算出する移動距離算出手段と、前記移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段とを備える。
【0011】
請求項7に係る発明は、基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、それぞれの前記装着ヘッドを独立に移動させた場合に、それぞれの前記装着ヘッドにより装着すべき前記電子部品全てを前記基板に装着するために要する所要時間について前記装着ヘッド毎に算出する装着所要時間算出手段と、一方の前記装着ヘッドによる前記所要時間と他方の前記装着ヘッドにより前記所要時間との差を算出する所要時間差算出手段と、前記所要時間の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の移動距離を算出する移動距離算出手段と、前記移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段とを備える。
【0012】
請求項8に係る発明は、複数の前記電子部品装着機を備え、何れかの前記電子部品装着機において、算出された前記移動距離が前記移動手段による前記コンベアの最大移動量を超えた場合に、当該電子部品装着機により装着する前記電子部品の一部を他の前記電子部品装着機により装着する前記電子部品として変更する処理を行う電子部品変更処理手段と、前記電子部品変更処理手段による変更処理の後に、それぞれの前記電部品装着機毎に前記装着ヘッドが前記電子回路部品を前記基板に装着する順序を最適化する最適化処理部とを備えることである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの移動距離の差を小さくすることができる。その結果、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。
請求項2に係る発明によれば、確実に、それぞれの装着ヘッドの移動距離の差を小さくすることができる。
請求項3に係る発明によれば、簡易的に装着領域の中心位置を算出でき、それぞれの装着ヘッドの移動距離の差を小さくすることができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。さらに、第一移動距離を考慮して第二移動距離を算出しているため、第二移動距離の算出時間を短縮できる。
請求項5に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。さらに、第一移動距離および第二移動距離を考慮して第三移動距離を算出しているため、第三移動距離の算出時間を短縮できる。
【0015】
請求項6に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。
請求項7に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。
請求項8に係る発明によれば、複数の電子部品装着機のそれぞれにおいて装着する電子部品について、より最適化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電子部品装着システムの平面図である。
【図2】電子部品装着機において基板を基板搬送直交方向へ移動させる機構を示す断面図である。
【図3】制御装置の機能ブロック図である。
【図4】第一実施形態:コンベア移動距離算出処理を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS1における装着中心OYaを示す図である。
【図6】第一実施形態の変形態様:装着中心OYaを示す図である。
【図7】第二実施形態:コンベア移動距離算出処理を示すフローチャートである。
【図8】最適化処理を示すフローチャートである。
【図9】図7のステップS11の往復動作回数Nr1,Nr2を説明する図である。
【図10】ΔNr、LYa2およびLmaxの関係を示す図である。
【図11】第三実施形態:コンベア移動距離算出処理を示すフローチャートである。
【図12】ΔTall、LYa3およびLmaxの関係を示す図である。
【図13】第四実施形態:コンベア移動距離算出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第一実施形態>
(電子部品装着システムの機械全体構成)
電子部品装着システムについて、図1を参照して説明する。電子部品装着システムは、基板Sa,Sbに複数の電子部品を装着された電子部品装着基板を生産するシステムである。図1においては、連続して配置された2台の電子部品装着機1a,1bを図示している。ここで、電子部品装着システム全体として見た場合に、基板Sa,SbはX軸プラス方向へ搬送される。つまり、第一電子部品装着機1aは、ロードコンベア2から基板Saを搬入し、第二電子部品装着機1bへ搬出する。第二電子部品装着機1bは、第一電子部品装着機1aから基板Sbを搬入し、アンロードコンベア3へ搬出する。なお、以下の説明および図面において、添字「a」は、第一電子部品装着機1aに関する構成を示し、添字「b」は、第二電子部品装着機1bに関する構成を示す。
【0018】
ここで、第一電子部品装着機1aと第二電子部品装着機1bとは、同一構成からなり、基板Sa,Sbに装着する電子部品Pが相違するのみである。そこで、第一電子部品装着機1aについて説明し、第二電子部品装着機1bについての説明を省略する。
【0019】
第一電子部品装着機1aは、対向ツインヘッドタイプの電子部品装着機である。この第一電子部品装着機1aは、基体10aと、コンベア20aと、一対の部品供給ユニット31a,36aと、XYロボット40aと、一対の装着ヘッド51a,56aとを備える。なお、以下において詳細な説明は省略するが、第二電子部品装着機1bは、基体10bと、コンベア20bと、一対の部品供給ユニット31b,36bと、XYロボット40bと、一対の装着ヘッド51b,56bとを備える。
【0020】
基体10aは、第一電子部品装着機1aのフレームを構成し、床上に固定される。そして、ロードコンベア2および第二電子部品装着機1bの基体10bと連結可能な構成とされている。基体10aは、その上面側に、基板搬送直交方向(以下、「Y軸方向」と称する)に延びるY軸レール11aを備えている。また、Y軸モータ(図示せず)およびY軸ボールねじ(図示せず)が固定されている。
【0021】
コンベア20aは、基体10aに対して基板Saを基板搬送方向(以下、「X軸方向」と称する)にロードコンベア2から第二電子部品装着機1bへ向かって搬送する。この搬送に際して、基板Saの基板搬送方向への搬送は、一対のガイドレール116a,117aに沿って搬送される。さらに、コンベア20aは、基板Saを保持した状態で電子部品の装着可能領域内において基体10aに対してY軸方向に移動可能となるように、基体10aに支持されている。
【0022】
一対の部品供給ユニット31a,36aは、Y軸方向にコンベア20aを挟んで両側に配置されている。一対の部品供給ユニット31a,36aは、それぞれ、基板Saに装着するための電子部品を複数収容しており、当該電子部品を供給することが可能である。部品供給ユニット31a,36aは、テープ型フィーダやトレイ型フィーダなど存在する。図1においては、テープフィーダを図示している。
【0023】
XYロボット40aは、装着ヘッド51a,56aをそれぞれ独立してX軸方向およびY軸方向に移動させることができるロボットである。XYロボット40aは、移動体をY軸方向に移動可能とする共通Y軸ロボット41aと、共通Y軸ロボット41aに対して移動体をX軸方向に移動可能とする第一X軸ロボット42aと、第一X軸ロボット42aとは独立して動作可能であり、共通Y軸ロボット41aに対して移動体をX軸方向に移動可能とする第二X軸ロボット43aとを備える。
【0024】
一対の装着ヘッド51a,56aは、それぞれ1または複数のノズル(図示せず)を備える。このノズルは、電子部品を例えば吸着によって保持することができる。そして、第一装着ヘッド51aは、第一X軸ロボット42aの移動体に設けられている。つまり、第一装着ヘッド51aは、コンベア20aのY軸プラス方向(図1の上方)に配置され、第一部品供給ユニット31aと基板Saとの間をX軸方向およびY軸方向に移動可能となる。そして、第一装着ヘッド51aは、第一部品供給ユニット31aから電子部品を取得し、電子部品装着可能領域内に停止されたコンベア20aによって保持された基板Saに対して電子部品を装着する。
【0025】
第二装着ヘッド56aは、第二X軸ロボット43aの移動体に設けられている。つまり、第二装着ヘッド56aは、コンベア20aのY軸マイナス方向(図1の下方)に配置され、第二部品供給ユニット36aと基板Saとの間をX軸方向およびY軸方向に移動可能となる。そして、第二装着ヘッド56aは、第二部品供給ユニット36aから電子部品を取得し、電子部品装着可能領域内に停止されたコンベア20aによって保持された基板Saに対して電子部品を装着する。つまり、第一装着ヘッド51aと第二装着ヘッド56aは、同一の基板Saに対してそれぞれ異なる電子部品を装着する。
【0026】
(電子部品装着機の動作の概要)
上述した第一電子部品装着機1aの動作の概要について図1を参照して説明する。ロードコンベア2から搬送されてきた基板Saをコンベア20aによって、X軸方向の所定位置に移動させて、基板Saを保持する。次に、基板Saを保持した状態で、コンベア20aをY軸方向の所定位置に移動させる。つまり、基板Saは、一対の部品供給ユニット31a,36aの何れか一方に近づくことになる。例えば、図1においては、第一電子部品装着機1aは、コンベア20aをY軸マイナス方向(図1の下方)に搬送基準中心Y0からLYa移動させており、第二電子部品装着機1bは、コンベア20bをY軸マイナス方向(図1の下方)に搬送基準中心Y0からLYb移動させている。
【0027】
その後に、XYロボット40aを移動させることで、一対の装着ヘッド51a,56aが一対の部品供給ユニット31a,36aから電子部品を取得して、コンベア20aに保持された基板Saに対して当該電子部品を装着する。
【0028】
(基板を基板搬送直交方向へ移動させる機構)
上記において、かつ図1において、コンベア20aをY軸方向に移動させることについて説明した。以下に、図2を参照して、コンベア20aをY軸方向に移動させる具体的な機構について説明する。なお、図示しないが、第二電子部品装着機1bのコンベア20bの機構は、第一電子部品装着機1aのコンベア20aの機構と同一である。
【0029】
コンベア20aは、コンベア基台111aと、このコンベア基台111aの上に基準支持部材112aと、コンベア基台111aの上に設置された案内レール113aに沿って基準支持部材112aに対して接近離間する方向(Y軸方向)に移動可能なスライダ114aに固定された可動支持部材115aを備えている。つまり、基準支持部材112aと可動支持部材115aとのY軸方向の離間距離が可変となる。
【0030】
さらに、両支持部材112a,115aの上端には、X軸方向(基板搬送方向)に沿って延在された第一ガイドレール116aと、第一ガイドレール116aに平行に対向する第二ガイドレール117aがそれぞれ設けられている。また、両支持部材112a,115aには、X軸方向に沿って延在された第一コンベアベルト118aと、第一コンベアベルト118aに平行に対向する第二コンベアベルト119aがそれぞれ設けられている。さらに、第一,第二ガイドレール116a,117a上には、基板Saを装着位置に保持する際の当て部材としての抑え板120a,121aが第一,第二ガイドレール116a,117aの長手方向に沿って設けられている。
【0031】
また、可動支持部材115aを案内レール113aに沿って移動させる支持部材駆動装置130aが設けられている。支持部材駆動装置130aは、両支持部材112a,115aにY軸回りに回転可能に支持されたボールねじ131aと、ボールねじ131aに螺合し可動支持部材115aに固定されたボールねじナット132aと、ボールねじ131aを回転駆動するモータ133aとを備えている。モータ133aの回転によって可動支持部材115aがY軸方向に移動する。このように、コンベア基台111a上において、モータ133aを回転駆動することによって、ガイドレール116a,117aの離間距離を自在に変更することができる。つまり、基板Saの幅に合わせて、ガイドレール116a,117aの離間距離を調整する。
【0032】
さらに、第一,第二コンベアベルト118a,119aによりX軸方向に搬送された基板Saを上昇させて抑え板120a,121aの下面に当接させて基板Saを保持するリフト部材141aが設けられている。さらに、昇降可能に設けられたバックアッププレート142aには、電子部品の装着時に基板Saをバックアップする多数のバックアップピン143aが植設されている。
【0033】
さらに、コンベア20aは、図1を用いて説明したように、基板Saを保持した状態で電子部品の装着可能領域内において基体10aに対してY軸方向に移動可能となるように、基体10aに支持されている。具体的には、コンベア基台111aを基体10a(図1に示す)に設けられた案内レール(図示せず)に沿って移動させるコンベア駆動装置150aが設けられている。
【0034】
コンベア駆動装置150aは、基体10aにY軸回りに回転可能に支持されたボールねじ151aと、ボールねじ151aに螺合しコンベア基台111aに固定されたボールねじナット152aと、ボールねじ151aを回転駆動するモータ153aとを備えている。モータ153aの回転によってコンベア基台111aが基体10aに対してY軸方向に移動する。このように、モータ153aを回転駆動することによって、基板SaのY軸方向位置を自在に変更することができる。
【0035】
(制御装置の機能ブロック構成)
上述した電子部品装着機1aを制御する制御装置200aの機能ブロックについて図3を参照して説明する。なお、図示しないが、第二電子部品装着機1bの制御装置200bは、第一電子部品装着機1aの制御装置200aと同一構成からなる。
【0036】
制御装置200aは、入力装置300aから入力された各種情報に基づいて、基板SaのX軸方向への搬送制御、コンベア20aのY軸方向の位置制御、それぞれの装着ヘッド51a,56aのXY位置制御、一対の部品供給ユニット31a,36aの部品供給制御、および、ガイドレール116a,117aの幅変更制御などを行う。
【0037】
この制御装置200aは、基板搬送制御部211aと、基板搬送駆動回路212aと、部品供給制御部221aと、部品供給駆動回路222aと、コンベア移動距離算出部231aと、コンベアY軸移動部241aと、コンベアY軸駆動回路242aと、装着ヘッド制御部251aと、装着ヘッド駆動回路252aと、レール幅制御部261aと、レール幅駆動回路262aとを備えている。
【0038】
基板搬送制御部211aは、入力装置300aからの情報に基づいて、基板SaのX軸方向位置を所望の位置とするように、基板搬送駆動回路212aを介して、コンベア搬送モータ410aを制御する。コンベア搬送モータ410aは、コンベアベルト118a,119aを駆動する。部品供給制御部221aは、入力装置300aからの情報に基づいて、例えばテープ型フィーダのテープの送り動作を所望の動作となるように、部品供給駆動回路222aを介して、部品供給モータ420aを制御する。
【0039】
コンベア移動距離算出部231aは、入力装置300aからの情報に基づいて、コンベア20aのY軸方向の移動距離を算出する。この算出方法については、後述する。コンベアY軸移動部241aは、算出されたY軸方向の移動距離に基づいて、コンベアY軸駆動回路242aを介して、コンベアY軸駆動モータ153a(図2にも示す)を制御する。
【0040】
装着ヘッド制御部251aは、入力装置300aからの情報およびコンベアY軸移動部241aにより算出されたコンベア20aのY軸方向の移動距離に基づいて、装着ヘッド駆動回路252aを介して、XYZ軸モータ440aを制御する。レール幅制御部261aは、入力装置300aからの情報に基づいて、レール幅駆動回路262aを介して、レール幅駆動モータ133a(図2にも示す)を制御する。
【0041】
(コンベア移動距離算出処理)
上述したように、図3におけるコンベア移動距離算出部231aにおいて、コンベア20aのY軸方向の移動距離LYa,LYbを算出する。この算出方法について、図4および図5を参照して説明する。なお、以下の説明においては、Y軸方向の移動距離LYaの算出について説明する。
【0042】
図4に示すように、基板Sa上における電子部品Pの装着領域のY軸方向の装着中心OYを算出する(ステップS1)。本実施形態における装着中心OYは、第一電子部品装着機1aにより装着する複数の電子部品PのY軸方向座標Y(1)〜Y(n)の相加平均となる位置である。ここで、図5に、それぞれの電子部品PのY軸方向座標Y(1)〜Y(n)について図示する。また、相加平均は、式(1)に従って算出される。
【0043】
【数1】
【0044】
続いて、式(1)に従って算出されたY軸方向の装着中心OYaに基づいて、式(2)に従って移動距離LYa1を算出する(ステップS2)。
【0045】
【数2】
【0046】
図5においては、移動距離LYa1は、搬送基準中心Y0より少しY軸プラス方向に位置している。続いて、算出した移動距離LYa1は、移動距離LYaとして記憶する(ステップS3)。つまり、当該移動距離LYaだけ、コンベア20aをY軸方向に移動する。そうすると、Y軸方向の装着中心OYaが、搬送基準中心Y0(装着可能領域のY軸衷心)に一致することになる。
【0047】
つまり、Y軸方向の装着中心OYaが搬送基準中心Y0に一致する状態となるようにコンベア20aをY軸方向へ移動した後に、一対の装着ヘッド51a,56aにより電子部品Pを装着する。従って、それぞれの装着ヘッド51a,56aの移動距離の差を小さくすることができる。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。
【0048】
<第一実施形態の変形態様>
上記実施形態において、Y軸方向の装着中心OYaは相加平均により算出した。この他の実施形態について、図6を参照して説明する。図6に示すように、Y軸方向の装着中心OYaは、基板Sa上における複数の電子部品Pの装着領域Aの重心GのY軸座標値とする。ここで、複数の電子部品Pの装着領域Aは、例えば矩形状とする。つまり、当該重心Gとは、矩形状の対角を結ぶ線分の交点となる。
【0049】
そして、このY軸方向の装着中心OYaと上述した式(2)に基づいて移動距離LYa1を算出する。つまり、電子部品Pの装着領域Aの重心GのY軸座標値が、搬送基準中心Y0に一致する状態となるようにコンベア20aをY軸方向へ移動した後に、一対の装着ヘッド51a,56aにより電子部品Pを装着する。従って、それぞれの装着ヘッド51a,56aの移動距離の差を小さくすることができる。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。
【0050】
<第二実施形態>
次に、第一実施形態の図3に示すコンベア移動距離算出部231aにおけるコンベア移動距離算出処理の第二実施形態について、図7〜図10を参照して説明する。図7に示すように、第一装着ヘッド51aの往復動作回数Nr1および第二装着ヘッド56aの往復動作回数Nr2を算出する(ステップS11)。1回の往復動作とは、装着ヘッド51a,56aにより部品供給ユニット31a,36aから電子部品Pを取得して当該電子部品Pを基板Saに装着した後に、部品供給ユニット31a,36aに戻ってくる動作である。例えば、図9において、Nr1(1),Nr1(2),・・・,Nr1(n)のそれぞれは、第一装着ヘッド51aによる1回の往復動作である。また、図9において、Nr2(1),Nr2(2),・・・,Nr2(n)のそれぞれは、第二装着ヘッド56aによる1回の往復動作である。
【0051】
ここで、1回の往復動作において、装着ヘッド51a,56aが基板Saに装着する電子部品Pの数は、1個の場合もあるが、複数の場合もある。1回の往復動作において複数の電子部品Pを装着する場合には、装着ヘッド51a,56aとして複数の電子部品Pを一度に吸着することができるタイプが用いられる。この往復動作回数Nr1,Nr2は、装着ヘッド51a,56aが装着できる電子部品の数、および、装着すべき電子部品の種類などによって変化する。
【0052】
続いて、それぞれの装着ヘッド51a,56aの往復動作回数Nr1,Nr2の差ΔNr(=Nr1−Nr2)を算出する(ステップS12)。続いて、算出された往復動作回数差ΔNrに基づいて、移動距離LYa2を算出する(ステップS13)。往復動作回数差ΔNrと移動距離LYa2との関係は、図10に示す関係となる。つまり、往復動作回数差ΔNrが大きいほど、移動距離LYa2が大きくなる関係となる。
【0053】
続いて、算出された移動距離LYa2の絶対値が、コンベア20aの最大移動量Lmaxより大きいか否かを判定する(ステップS14)。そして、移動距離LYa2の絶対値が最大移動量Lmax以下であれば(ステップS14:No)、当該移動距離LYa2を、移動距離LYaとして記憶する(ステップS15)。そして、当該処理を終了する。つまり、当該移動距離LYaだけ、コンベア20aをY軸方向に移動する。そうすると、一対の装着ヘッド51a,56aのうち往復動作回数が多い方に、その差ΔNrに応じた移動距離だけコンベア20aが移動する。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。
【0054】
ここで、ステップS14において、算出された移動距離LYa2の絶対値が最大移動量Lmaxより大きい場合には(ステップS14:Yes)、当該第一電子部品装着機1aによる装着対象の電子部品Pの変更処理を行う(ステップS16)。つまり、第一電子部品装着機1aにより装着する電子部品の一部を他の電子部品装着機(例えば、第二電子部品装着機1b)により装着する電子部品として変更する。
【0055】
続いて、それぞれの電子部品装着機1a,1bにより装着すべき電子部品の種類および順序、並びに、どの電子部品を一対の装着ヘッド51a,56aのうちどちらの装着ヘッドに装着させるかなどについての最適化処理が完了したか否かを判定する(ステップS17)。最適化処理が完了していなければ、完了するまで待機する。一方、最適化処理が完了したのであれば、ステップS11に戻り処理を繰り返す。つまり、装着すべき電子部品を変更することで、移動距離LYa2が最大移動量Lmax以下となるようにした上で、コンベア20aをY軸方向に移動させることとなる。
【0056】
ここで、最適化処理について、図8を参照して説明する。最適化処理は、複数の電子部品装着機1a,1bの機械情報、基板Sに装着すべき電子部品の情報などについて取得する(ステップS21)。続いて、当該情報に基づいて、それぞれの電子部品装着機1a,1bにより装着すべき電子部品の種類および順序、並びに、どの電子部品を一対の装着ヘッド51a,56aのうちどちらの装着ヘッドに装着させるかなどについての最適化処理を実行する(ステップS22)。続いて、電子部品の割り当て変更が有るか否かを判定する(ステップS23)。
【0057】
この電子部品の割り当て変更とは、図7のステップS16において行われた処理に相当する。つまり、図7のステップS16における処理が実行されると、図8の最適化処理においては、電子部品の割り当てが変更されたものと認識される。そして、図8のステップS23において、電子部品の割り当て変更が有る場合には、変更された状態において、再びステップS21に戻り処理を繰り返す。一方、変更がなければ、最適化処理を終了する。
【0058】
上記において、算出されたY軸方向の移動距離LYa2がコンベア20aの最大移動量Lmaxより大きい場合には、装着すべき電子部品を変更した上で、再びY軸方向の移動距離LYa2を算出するものとした。この他に、Y軸方向の移動距離LYa2がコンベア20aの最大移動量Lmaxより大きい場合には、最大移動量Lmaxを移動距離LYaとして記憶するようにしてもよい。
【0059】
<第三実施形態>
次に、第一実施形態の図3に示すコンベア移動距離算出部231aにおけるコンベア移動距離算出処理の第三実施形態について、図11および図12を参照して説明する。図11に示すように、第一装着ヘッド51aを独立に移動させた場合に、第一装着ヘッド51aにより装着すべき電子部品Pの全てを基板Saに装着するために要する所要時間(以下、「装着所要時間」と称する)T1allを算出する(ステップS31)。また、第二装着ヘッド56aを独立に移動させた場合に、第二装着ヘッド56aにより装着すべき電子部品Pの全てを基板Saに装着するために要する所要時間T2allを算出する(ステップS31)。
【0060】
続いて、それぞれの装着ヘッド51a,56aの装着所要時間T1all,T2allの差ΔTall(=T1all−T2all)を算出する(ステップS32)。続いて、算出された装着所要時間差ΔTallに基づいて、移動距離LYa3を算出する(ステップS33)。装着所要時間差ΔTallと移動距離LYa3との関係は、図12に示す関係となる。つまり、装着所要時間差ΔTallが大きいほど、移動距離LYa3が大きくなる関係となる。
【0061】
続いて、算出された移動距離LYa3の絶対値が、コンベア20aの最大移動量Lmaxより大きいか否かを判定する(ステップS34)。そして、移動距離LYa3の絶対値が最大移動量Lmax以下であれば(ステップS34:No)、当該移動距離LYa3を、移動距離LYaとして記憶する(ステップS35)。そして、当該処理を終了する。つまり、当該移動距離LYaだけ、コンベア20aをY軸方向に移動する。そうすると、一対の装着ヘッド51a,56aのうち装着所要時間が長い方に、その差ΔTallに応じた移動距離だけコンベア20aが移動する。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。
【0062】
ここで、ステップS34において、算出された移動距離LYa3の絶対値が最大移動量Lmaxより大きい場合には(ステップS34:Yes)、当該第一電子部品装着機1aによる装着対象の電子部品Pの変更処理を行う(ステップS36)。つまり、第一電子部品装着機1aにより装着する電子部品の一部を他の電子部品装着機(例えば、第二電子部品装着機1b)により装着する電子部品として変更する。
【0063】
続いて、それぞれの電子部品装着機1a,1bにより装着すべき電子部品の種類および順序、並びに、どの電子部品を一対の装着ヘッド51a,56aのうちどちらの装着ヘッドに装着させるかなどについての最適化処理が完了したか否かを判定する(ステップS37)。最適化処理は、上記実施形態にて説明したとおりである。そして、最適化処理が完了していなければ、完了するまで待機する。一方、最適化処理が完了したのであれば、ステップS31に戻り処理を繰り返す。つまり、装着すべき電子部品を変更することで、移動距離LYa3が最大移動量Lmax以下となるようにした上で、コンベア20aをY軸方向に移動させることとなる。
【0064】
<第四実施形態>
次に、第一実施形態の図3に示すコンベア移動距離算出部231aにおけるコンベア移動距離算出処理の第四実施形態について、図13を参照して説明する。図13に示すように、基板Sa上における電子部品Pの装着領域のY軸方向の装着中心OYを算出する(ステップS41)。本実施形態における装着中心OYは、第一実施形態にて説明したY軸方向座標Y(1)〜Y(n)の相加平均となる位置としてもよいし、第一実施形態の変形態様にて説明した装着領域Aの重心GのY軸座標値としてもよい。
【0065】
続いて、算出されたY軸方向の装着中心OYaに基づいて、上述した式(2)に従って第一移動距離LYa1を算出する(ステップS42)。続いて、コンベア20aを、初期状態(例えば、基板SaのY軸中心が搬送基準中心Y0に一致する状態)から第一移動距離LYa1だけY軸方向に移動させた状態において、第一装着ヘッド51aの往復動作回数Nr1および第二装着ヘッド56aの往復動作回数Nr2を算出する(ステップS43)。
【0066】
続いて、それぞれの装着ヘッド51a,56aの往復動作回数Nr1,Nr2の差ΔNr(=Nr1−Nr2)を算出する(ステップS44)。続いて、算出された往復動作回数差ΔNrに基づいて、第二移動距離LYa2を算出する(ステップS13)。往復動作回数差ΔNrと第二移動距離LYa2との関係は、図10に示す関係となる。
【0067】
続いて、コンベア20aを、初期状態から第一移動距離LYa1と第二移動距離LYa2の合計値(LYa1+LYa2)だけY軸方向に移動させた状態において、それぞれの装着ヘッド51a,56aによる装着所要時間T1all,T2allを算出する(ステップS46)。続いて、それぞれの装着ヘッド51a,56aの装着所要時間T1all,T2allの差ΔTall(=T1all−T2all)を算出する(ステップS47)。続いて、算出された装着所要時間差ΔTallに基づいて、第三移動距離LYa3を算出する(ステップS47)。装着所要時間差ΔTallと第三移動距離LYa3との関係は、図12に示す関係となる。
【0068】
続いて、第一移動距離LYa1と第二移動距離LYa2と第三移動距離LYa3の合計値(LYa1+LYa2+LYa3)を算出する(ステップS49)。続いて、算出された移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)の絶対値が、コンベア20aの最大移動量Lmaxより大きいか否かを判定する(ステップS50)。そして、移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)の絶対値が最大移動量Lmax以下であれば(ステップS50:No)、当該移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)を、移動距離LYaとして記憶する(ステップS51)。そして、当該処理を終了する。つまり、当該移動距離LYaだけ、コンベア20aをY軸方向に移動する。そうすると、最終的には、一対の装着ヘッド51a,56aのうち装着所要時間がほぼ同程度となるように、コンベア20aをY軸方向に移動させる。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。さらに、上記のような処理を行うことで、第一移動距離LYa1を考慮して第二移動距離LYa2を算出し、第一移動距離LYa1および第二移動距離LYa2を考慮して第三移動距離LYa3を算出しているため、第二移動距離LYa2および第三移動距離LYa3の算出時間を短縮できる。
【0069】
ここで、ステップS50において、算出された移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)の絶対値が最大移動量Lmaxより大きい場合には(ステップS50:Yes)、当該第一電子部品装着機1aによる装着対象の電子部品Pの変更処理を行う(ステップS52)。つまり、第一電子部品装着機1aにより装着する電子部品の一部を他の電子部品装着機(例えば、第二電子部品装着機1b)により装着する電子部品として変更する。
【0070】
続いて、それぞれの電子部品装着機1a,1bにより装着すべき電子部品の種類および順序、並びに、どの電子部品を一対の装着ヘッド51a,56aのうちどちらの装着ヘッドに装着させるかなどについての最適化処理が完了したか否かを判定する(ステップS53)。最適化処理は、上記実施形態にて説明したとおりである。そして、最適化処理が完了していなければ、完了するまで待機する。一方、最適化処理が完了したのであれば、ステップS41に戻り処理を繰り返す。つまり、装着すべき電子部品を変更することで、移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)が最大移動量Lmax以下となるようにした上で、コンベア20aをY軸方向に移動させることとなる。
【符号の説明】
【0071】
1a,1b:電子部品装着機
20a,20b:コンベア
31a,31b,36a,36b:部品供給ユニット
51a,51b,56a,56b:装着ヘッド
Sa,Sb:基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に装着する電子部品装着機、および、当該電子部品装着機を複数備える電子部品装着システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許第4523217号公報(特許文献1)には、基板を保持するコンベアを基板搬送方向に2台設け、それぞれのコンベアを基板搬送直交方向へ独立して動作可能であることが記載されている。そして、基板搬送直交方向の一方側である第一装着領域側において、それぞれのコンベアに対峙する第一部品供給ユニットをそれぞれ配置し、かつ、これらの第一部品供給ユニットから第一装着領域に移動された基板に対して電子部品を装着する第一装着ヘッドが設けられている。同様に、基板搬送直交方向の他方側である第二装着領域側において、それぞれのコンベアに対峙する第二部品供給ユニットをそれぞれ配置し、かつ、これらの第二部品供給ユニットから第二装着領域に移動された基板に対して電子部品を装着する第二装着ヘッドが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4523217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子部品装着機は、第一装着ヘッドは、第一装着領域に位置する基板のみに対して電子部品を装着し、第二装着ヘッドは、第二装着領域に位置する基板のみに対して電子部品を装着するものである。ところで、装着の高速化の要請により、1つの基板に対して、2台の装着ヘッドによって電子部品を装着することが行われている。ただし、改良の余地がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、対向ツインヘッドタイプの電子部品装着機において、1つの基板に対して2台の装着ヘッドによって電子部品を装着する場合に、電子部品の装着時間を短縮することができる電子部品装着機および電子部品装着システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記基板上における前記電子部品の装着領域に基づいて、前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置を算出する装着中心算出手段と、前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置を前記電子部品装着可能領域における前記搬送直交方向の中心位置に一致させるために、前記コンベアの前記搬送直交方向の第一移動距離を算出する第一移動距離算出手段と、前記第一移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段とを備える。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記装着中心算出手段により算出される前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置は、当該電子部品装着機により装着する複数の前記電子部品の前記搬送直交方向の座標の相加平均となる位置とすることである。
請求項3に係る発明は、前記装着中心算出手段により算出される前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置は、前記基板上における前記電子部品の装着領域の重心とすることである。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記電子部品装着機が、初期状態から前記第一移動距離だけ前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた状態を基準として、前記装着ヘッドにより前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得して当該電子部品を基板に装着した後に前記部品供給ユニットに戻ってくる動作を1回の往復動作と定義した場合に、一方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数と他方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数との差を算出する往復動作回数差算出手段と、前記往復動作回数の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の第二移動距離を算出する第二移動距離算出手段と、を備え、前記移動手段が、前記第一移動距離および前記第二移動距離に基づいて、前記コンベアを移動させることである。
【0009】
請求項5に係る発明は、前記電子部品装着機が、前記初期状態から前記第一移動距離と前記第二移動距離とを加算した距離だけ前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた状態において、それぞれの前記装着ヘッドを独立に移動させた場合に、それぞれの前記装着ヘッドにより装着すべき前記電子部品全てを前記基板に装着するために要する所要時間について前記装着ヘッド毎に算出する装着所要時間算出手段と、一方の前記装着ヘッドによる前記所要時間と他方の前記装着ヘッドにより前記所要時間との差を算出する所要時間差算出手段と、前記所要時間の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の第三移動距離を算出する第三移動距離算出手段と、を備え、前記移動手段が、前記第一移動距離、前記第二移動距離および前記第三移動距離に基づいて、前記コンベアを移動させることである。
【0010】
請求項6に係る発明は、基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記装着ヘッドにより前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得して当該電子部品を基板に装着した後に前記部品供給ユニットに戻ってくる動作を1回の往復動作と定義した場合に、一方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数と他方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数との差を算出する往復動作回数差算出手段と、前記往復動作回数の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の移動距離を算出する移動距離算出手段と、前記移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段とを備える。
【0011】
請求項7に係る発明は、基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、それぞれの前記装着ヘッドを独立に移動させた場合に、それぞれの前記装着ヘッドにより装着すべき前記電子部品全てを前記基板に装着するために要する所要時間について前記装着ヘッド毎に算出する装着所要時間算出手段と、一方の前記装着ヘッドによる前記所要時間と他方の前記装着ヘッドにより前記所要時間との差を算出する所要時間差算出手段と、前記所要時間の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の移動距離を算出する移動距離算出手段と、前記移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段とを備える。
【0012】
請求項8に係る発明は、複数の前記電子部品装着機を備え、何れかの前記電子部品装着機において、算出された前記移動距離が前記移動手段による前記コンベアの最大移動量を超えた場合に、当該電子部品装着機により装着する前記電子部品の一部を他の前記電子部品装着機により装着する前記電子部品として変更する処理を行う電子部品変更処理手段と、前記電子部品変更処理手段による変更処理の後に、それぞれの前記電部品装着機毎に前記装着ヘッドが前記電子回路部品を前記基板に装着する順序を最適化する最適化処理部とを備えることである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの移動距離の差を小さくすることができる。その結果、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。
請求項2に係る発明によれば、確実に、それぞれの装着ヘッドの移動距離の差を小さくすることができる。
請求項3に係る発明によれば、簡易的に装着領域の中心位置を算出でき、それぞれの装着ヘッドの移動距離の差を小さくすることができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。さらに、第一移動距離を考慮して第二移動距離を算出しているため、第二移動距離の算出時間を短縮できる。
請求項5に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。さらに、第一移動距離および第二移動距離を考慮して第三移動距離を算出しているため、第三移動距離の算出時間を短縮できる。
【0015】
請求項6に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。
請求項7に係る発明によれば、それぞれの装着ヘッドの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品の装着時間を短縮できる。
請求項8に係る発明によれば、複数の電子部品装着機のそれぞれにおいて装着する電子部品について、より最適化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電子部品装着システムの平面図である。
【図2】電子部品装着機において基板を基板搬送直交方向へ移動させる機構を示す断面図である。
【図3】制御装置の機能ブロック図である。
【図4】第一実施形態:コンベア移動距離算出処理を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS1における装着中心OYaを示す図である。
【図6】第一実施形態の変形態様:装着中心OYaを示す図である。
【図7】第二実施形態:コンベア移動距離算出処理を示すフローチャートである。
【図8】最適化処理を示すフローチャートである。
【図9】図7のステップS11の往復動作回数Nr1,Nr2を説明する図である。
【図10】ΔNr、LYa2およびLmaxの関係を示す図である。
【図11】第三実施形態:コンベア移動距離算出処理を示すフローチャートである。
【図12】ΔTall、LYa3およびLmaxの関係を示す図である。
【図13】第四実施形態:コンベア移動距離算出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第一実施形態>
(電子部品装着システムの機械全体構成)
電子部品装着システムについて、図1を参照して説明する。電子部品装着システムは、基板Sa,Sbに複数の電子部品を装着された電子部品装着基板を生産するシステムである。図1においては、連続して配置された2台の電子部品装着機1a,1bを図示している。ここで、電子部品装着システム全体として見た場合に、基板Sa,SbはX軸プラス方向へ搬送される。つまり、第一電子部品装着機1aは、ロードコンベア2から基板Saを搬入し、第二電子部品装着機1bへ搬出する。第二電子部品装着機1bは、第一電子部品装着機1aから基板Sbを搬入し、アンロードコンベア3へ搬出する。なお、以下の説明および図面において、添字「a」は、第一電子部品装着機1aに関する構成を示し、添字「b」は、第二電子部品装着機1bに関する構成を示す。
【0018】
ここで、第一電子部品装着機1aと第二電子部品装着機1bとは、同一構成からなり、基板Sa,Sbに装着する電子部品Pが相違するのみである。そこで、第一電子部品装着機1aについて説明し、第二電子部品装着機1bについての説明を省略する。
【0019】
第一電子部品装着機1aは、対向ツインヘッドタイプの電子部品装着機である。この第一電子部品装着機1aは、基体10aと、コンベア20aと、一対の部品供給ユニット31a,36aと、XYロボット40aと、一対の装着ヘッド51a,56aとを備える。なお、以下において詳細な説明は省略するが、第二電子部品装着機1bは、基体10bと、コンベア20bと、一対の部品供給ユニット31b,36bと、XYロボット40bと、一対の装着ヘッド51b,56bとを備える。
【0020】
基体10aは、第一電子部品装着機1aのフレームを構成し、床上に固定される。そして、ロードコンベア2および第二電子部品装着機1bの基体10bと連結可能な構成とされている。基体10aは、その上面側に、基板搬送直交方向(以下、「Y軸方向」と称する)に延びるY軸レール11aを備えている。また、Y軸モータ(図示せず)およびY軸ボールねじ(図示せず)が固定されている。
【0021】
コンベア20aは、基体10aに対して基板Saを基板搬送方向(以下、「X軸方向」と称する)にロードコンベア2から第二電子部品装着機1bへ向かって搬送する。この搬送に際して、基板Saの基板搬送方向への搬送は、一対のガイドレール116a,117aに沿って搬送される。さらに、コンベア20aは、基板Saを保持した状態で電子部品の装着可能領域内において基体10aに対してY軸方向に移動可能となるように、基体10aに支持されている。
【0022】
一対の部品供給ユニット31a,36aは、Y軸方向にコンベア20aを挟んで両側に配置されている。一対の部品供給ユニット31a,36aは、それぞれ、基板Saに装着するための電子部品を複数収容しており、当該電子部品を供給することが可能である。部品供給ユニット31a,36aは、テープ型フィーダやトレイ型フィーダなど存在する。図1においては、テープフィーダを図示している。
【0023】
XYロボット40aは、装着ヘッド51a,56aをそれぞれ独立してX軸方向およびY軸方向に移動させることができるロボットである。XYロボット40aは、移動体をY軸方向に移動可能とする共通Y軸ロボット41aと、共通Y軸ロボット41aに対して移動体をX軸方向に移動可能とする第一X軸ロボット42aと、第一X軸ロボット42aとは独立して動作可能であり、共通Y軸ロボット41aに対して移動体をX軸方向に移動可能とする第二X軸ロボット43aとを備える。
【0024】
一対の装着ヘッド51a,56aは、それぞれ1または複数のノズル(図示せず)を備える。このノズルは、電子部品を例えば吸着によって保持することができる。そして、第一装着ヘッド51aは、第一X軸ロボット42aの移動体に設けられている。つまり、第一装着ヘッド51aは、コンベア20aのY軸プラス方向(図1の上方)に配置され、第一部品供給ユニット31aと基板Saとの間をX軸方向およびY軸方向に移動可能となる。そして、第一装着ヘッド51aは、第一部品供給ユニット31aから電子部品を取得し、電子部品装着可能領域内に停止されたコンベア20aによって保持された基板Saに対して電子部品を装着する。
【0025】
第二装着ヘッド56aは、第二X軸ロボット43aの移動体に設けられている。つまり、第二装着ヘッド56aは、コンベア20aのY軸マイナス方向(図1の下方)に配置され、第二部品供給ユニット36aと基板Saとの間をX軸方向およびY軸方向に移動可能となる。そして、第二装着ヘッド56aは、第二部品供給ユニット36aから電子部品を取得し、電子部品装着可能領域内に停止されたコンベア20aによって保持された基板Saに対して電子部品を装着する。つまり、第一装着ヘッド51aと第二装着ヘッド56aは、同一の基板Saに対してそれぞれ異なる電子部品を装着する。
【0026】
(電子部品装着機の動作の概要)
上述した第一電子部品装着機1aの動作の概要について図1を参照して説明する。ロードコンベア2から搬送されてきた基板Saをコンベア20aによって、X軸方向の所定位置に移動させて、基板Saを保持する。次に、基板Saを保持した状態で、コンベア20aをY軸方向の所定位置に移動させる。つまり、基板Saは、一対の部品供給ユニット31a,36aの何れか一方に近づくことになる。例えば、図1においては、第一電子部品装着機1aは、コンベア20aをY軸マイナス方向(図1の下方)に搬送基準中心Y0からLYa移動させており、第二電子部品装着機1bは、コンベア20bをY軸マイナス方向(図1の下方)に搬送基準中心Y0からLYb移動させている。
【0027】
その後に、XYロボット40aを移動させることで、一対の装着ヘッド51a,56aが一対の部品供給ユニット31a,36aから電子部品を取得して、コンベア20aに保持された基板Saに対して当該電子部品を装着する。
【0028】
(基板を基板搬送直交方向へ移動させる機構)
上記において、かつ図1において、コンベア20aをY軸方向に移動させることについて説明した。以下に、図2を参照して、コンベア20aをY軸方向に移動させる具体的な機構について説明する。なお、図示しないが、第二電子部品装着機1bのコンベア20bの機構は、第一電子部品装着機1aのコンベア20aの機構と同一である。
【0029】
コンベア20aは、コンベア基台111aと、このコンベア基台111aの上に基準支持部材112aと、コンベア基台111aの上に設置された案内レール113aに沿って基準支持部材112aに対して接近離間する方向(Y軸方向)に移動可能なスライダ114aに固定された可動支持部材115aを備えている。つまり、基準支持部材112aと可動支持部材115aとのY軸方向の離間距離が可変となる。
【0030】
さらに、両支持部材112a,115aの上端には、X軸方向(基板搬送方向)に沿って延在された第一ガイドレール116aと、第一ガイドレール116aに平行に対向する第二ガイドレール117aがそれぞれ設けられている。また、両支持部材112a,115aには、X軸方向に沿って延在された第一コンベアベルト118aと、第一コンベアベルト118aに平行に対向する第二コンベアベルト119aがそれぞれ設けられている。さらに、第一,第二ガイドレール116a,117a上には、基板Saを装着位置に保持する際の当て部材としての抑え板120a,121aが第一,第二ガイドレール116a,117aの長手方向に沿って設けられている。
【0031】
また、可動支持部材115aを案内レール113aに沿って移動させる支持部材駆動装置130aが設けられている。支持部材駆動装置130aは、両支持部材112a,115aにY軸回りに回転可能に支持されたボールねじ131aと、ボールねじ131aに螺合し可動支持部材115aに固定されたボールねじナット132aと、ボールねじ131aを回転駆動するモータ133aとを備えている。モータ133aの回転によって可動支持部材115aがY軸方向に移動する。このように、コンベア基台111a上において、モータ133aを回転駆動することによって、ガイドレール116a,117aの離間距離を自在に変更することができる。つまり、基板Saの幅に合わせて、ガイドレール116a,117aの離間距離を調整する。
【0032】
さらに、第一,第二コンベアベルト118a,119aによりX軸方向に搬送された基板Saを上昇させて抑え板120a,121aの下面に当接させて基板Saを保持するリフト部材141aが設けられている。さらに、昇降可能に設けられたバックアッププレート142aには、電子部品の装着時に基板Saをバックアップする多数のバックアップピン143aが植設されている。
【0033】
さらに、コンベア20aは、図1を用いて説明したように、基板Saを保持した状態で電子部品の装着可能領域内において基体10aに対してY軸方向に移動可能となるように、基体10aに支持されている。具体的には、コンベア基台111aを基体10a(図1に示す)に設けられた案内レール(図示せず)に沿って移動させるコンベア駆動装置150aが設けられている。
【0034】
コンベア駆動装置150aは、基体10aにY軸回りに回転可能に支持されたボールねじ151aと、ボールねじ151aに螺合しコンベア基台111aに固定されたボールねじナット152aと、ボールねじ151aを回転駆動するモータ153aとを備えている。モータ153aの回転によってコンベア基台111aが基体10aに対してY軸方向に移動する。このように、モータ153aを回転駆動することによって、基板SaのY軸方向位置を自在に変更することができる。
【0035】
(制御装置の機能ブロック構成)
上述した電子部品装着機1aを制御する制御装置200aの機能ブロックについて図3を参照して説明する。なお、図示しないが、第二電子部品装着機1bの制御装置200bは、第一電子部品装着機1aの制御装置200aと同一構成からなる。
【0036】
制御装置200aは、入力装置300aから入力された各種情報に基づいて、基板SaのX軸方向への搬送制御、コンベア20aのY軸方向の位置制御、それぞれの装着ヘッド51a,56aのXY位置制御、一対の部品供給ユニット31a,36aの部品供給制御、および、ガイドレール116a,117aの幅変更制御などを行う。
【0037】
この制御装置200aは、基板搬送制御部211aと、基板搬送駆動回路212aと、部品供給制御部221aと、部品供給駆動回路222aと、コンベア移動距離算出部231aと、コンベアY軸移動部241aと、コンベアY軸駆動回路242aと、装着ヘッド制御部251aと、装着ヘッド駆動回路252aと、レール幅制御部261aと、レール幅駆動回路262aとを備えている。
【0038】
基板搬送制御部211aは、入力装置300aからの情報に基づいて、基板SaのX軸方向位置を所望の位置とするように、基板搬送駆動回路212aを介して、コンベア搬送モータ410aを制御する。コンベア搬送モータ410aは、コンベアベルト118a,119aを駆動する。部品供給制御部221aは、入力装置300aからの情報に基づいて、例えばテープ型フィーダのテープの送り動作を所望の動作となるように、部品供給駆動回路222aを介して、部品供給モータ420aを制御する。
【0039】
コンベア移動距離算出部231aは、入力装置300aからの情報に基づいて、コンベア20aのY軸方向の移動距離を算出する。この算出方法については、後述する。コンベアY軸移動部241aは、算出されたY軸方向の移動距離に基づいて、コンベアY軸駆動回路242aを介して、コンベアY軸駆動モータ153a(図2にも示す)を制御する。
【0040】
装着ヘッド制御部251aは、入力装置300aからの情報およびコンベアY軸移動部241aにより算出されたコンベア20aのY軸方向の移動距離に基づいて、装着ヘッド駆動回路252aを介して、XYZ軸モータ440aを制御する。レール幅制御部261aは、入力装置300aからの情報に基づいて、レール幅駆動回路262aを介して、レール幅駆動モータ133a(図2にも示す)を制御する。
【0041】
(コンベア移動距離算出処理)
上述したように、図3におけるコンベア移動距離算出部231aにおいて、コンベア20aのY軸方向の移動距離LYa,LYbを算出する。この算出方法について、図4および図5を参照して説明する。なお、以下の説明においては、Y軸方向の移動距離LYaの算出について説明する。
【0042】
図4に示すように、基板Sa上における電子部品Pの装着領域のY軸方向の装着中心OYを算出する(ステップS1)。本実施形態における装着中心OYは、第一電子部品装着機1aにより装着する複数の電子部品PのY軸方向座標Y(1)〜Y(n)の相加平均となる位置である。ここで、図5に、それぞれの電子部品PのY軸方向座標Y(1)〜Y(n)について図示する。また、相加平均は、式(1)に従って算出される。
【0043】
【数1】
【0044】
続いて、式(1)に従って算出されたY軸方向の装着中心OYaに基づいて、式(2)に従って移動距離LYa1を算出する(ステップS2)。
【0045】
【数2】
【0046】
図5においては、移動距離LYa1は、搬送基準中心Y0より少しY軸プラス方向に位置している。続いて、算出した移動距離LYa1は、移動距離LYaとして記憶する(ステップS3)。つまり、当該移動距離LYaだけ、コンベア20aをY軸方向に移動する。そうすると、Y軸方向の装着中心OYaが、搬送基準中心Y0(装着可能領域のY軸衷心)に一致することになる。
【0047】
つまり、Y軸方向の装着中心OYaが搬送基準中心Y0に一致する状態となるようにコンベア20aをY軸方向へ移動した後に、一対の装着ヘッド51a,56aにより電子部品Pを装着する。従って、それぞれの装着ヘッド51a,56aの移動距離の差を小さくすることができる。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。
【0048】
<第一実施形態の変形態様>
上記実施形態において、Y軸方向の装着中心OYaは相加平均により算出した。この他の実施形態について、図6を参照して説明する。図6に示すように、Y軸方向の装着中心OYaは、基板Sa上における複数の電子部品Pの装着領域Aの重心GのY軸座標値とする。ここで、複数の電子部品Pの装着領域Aは、例えば矩形状とする。つまり、当該重心Gとは、矩形状の対角を結ぶ線分の交点となる。
【0049】
そして、このY軸方向の装着中心OYaと上述した式(2)に基づいて移動距離LYa1を算出する。つまり、電子部品Pの装着領域Aの重心GのY軸座標値が、搬送基準中心Y0に一致する状態となるようにコンベア20aをY軸方向へ移動した後に、一対の装着ヘッド51a,56aにより電子部品Pを装着する。従って、それぞれの装着ヘッド51a,56aの移動距離の差を小さくすることができる。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。
【0050】
<第二実施形態>
次に、第一実施形態の図3に示すコンベア移動距離算出部231aにおけるコンベア移動距離算出処理の第二実施形態について、図7〜図10を参照して説明する。図7に示すように、第一装着ヘッド51aの往復動作回数Nr1および第二装着ヘッド56aの往復動作回数Nr2を算出する(ステップS11)。1回の往復動作とは、装着ヘッド51a,56aにより部品供給ユニット31a,36aから電子部品Pを取得して当該電子部品Pを基板Saに装着した後に、部品供給ユニット31a,36aに戻ってくる動作である。例えば、図9において、Nr1(1),Nr1(2),・・・,Nr1(n)のそれぞれは、第一装着ヘッド51aによる1回の往復動作である。また、図9において、Nr2(1),Nr2(2),・・・,Nr2(n)のそれぞれは、第二装着ヘッド56aによる1回の往復動作である。
【0051】
ここで、1回の往復動作において、装着ヘッド51a,56aが基板Saに装着する電子部品Pの数は、1個の場合もあるが、複数の場合もある。1回の往復動作において複数の電子部品Pを装着する場合には、装着ヘッド51a,56aとして複数の電子部品Pを一度に吸着することができるタイプが用いられる。この往復動作回数Nr1,Nr2は、装着ヘッド51a,56aが装着できる電子部品の数、および、装着すべき電子部品の種類などによって変化する。
【0052】
続いて、それぞれの装着ヘッド51a,56aの往復動作回数Nr1,Nr2の差ΔNr(=Nr1−Nr2)を算出する(ステップS12)。続いて、算出された往復動作回数差ΔNrに基づいて、移動距離LYa2を算出する(ステップS13)。往復動作回数差ΔNrと移動距離LYa2との関係は、図10に示す関係となる。つまり、往復動作回数差ΔNrが大きいほど、移動距離LYa2が大きくなる関係となる。
【0053】
続いて、算出された移動距離LYa2の絶対値が、コンベア20aの最大移動量Lmaxより大きいか否かを判定する(ステップS14)。そして、移動距離LYa2の絶対値が最大移動量Lmax以下であれば(ステップS14:No)、当該移動距離LYa2を、移動距離LYaとして記憶する(ステップS15)。そして、当該処理を終了する。つまり、当該移動距離LYaだけ、コンベア20aをY軸方向に移動する。そうすると、一対の装着ヘッド51a,56aのうち往復動作回数が多い方に、その差ΔNrに応じた移動距離だけコンベア20aが移動する。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。
【0054】
ここで、ステップS14において、算出された移動距離LYa2の絶対値が最大移動量Lmaxより大きい場合には(ステップS14:Yes)、当該第一電子部品装着機1aによる装着対象の電子部品Pの変更処理を行う(ステップS16)。つまり、第一電子部品装着機1aにより装着する電子部品の一部を他の電子部品装着機(例えば、第二電子部品装着機1b)により装着する電子部品として変更する。
【0055】
続いて、それぞれの電子部品装着機1a,1bにより装着すべき電子部品の種類および順序、並びに、どの電子部品を一対の装着ヘッド51a,56aのうちどちらの装着ヘッドに装着させるかなどについての最適化処理が完了したか否かを判定する(ステップS17)。最適化処理が完了していなければ、完了するまで待機する。一方、最適化処理が完了したのであれば、ステップS11に戻り処理を繰り返す。つまり、装着すべき電子部品を変更することで、移動距離LYa2が最大移動量Lmax以下となるようにした上で、コンベア20aをY軸方向に移動させることとなる。
【0056】
ここで、最適化処理について、図8を参照して説明する。最適化処理は、複数の電子部品装着機1a,1bの機械情報、基板Sに装着すべき電子部品の情報などについて取得する(ステップS21)。続いて、当該情報に基づいて、それぞれの電子部品装着機1a,1bにより装着すべき電子部品の種類および順序、並びに、どの電子部品を一対の装着ヘッド51a,56aのうちどちらの装着ヘッドに装着させるかなどについての最適化処理を実行する(ステップS22)。続いて、電子部品の割り当て変更が有るか否かを判定する(ステップS23)。
【0057】
この電子部品の割り当て変更とは、図7のステップS16において行われた処理に相当する。つまり、図7のステップS16における処理が実行されると、図8の最適化処理においては、電子部品の割り当てが変更されたものと認識される。そして、図8のステップS23において、電子部品の割り当て変更が有る場合には、変更された状態において、再びステップS21に戻り処理を繰り返す。一方、変更がなければ、最適化処理を終了する。
【0058】
上記において、算出されたY軸方向の移動距離LYa2がコンベア20aの最大移動量Lmaxより大きい場合には、装着すべき電子部品を変更した上で、再びY軸方向の移動距離LYa2を算出するものとした。この他に、Y軸方向の移動距離LYa2がコンベア20aの最大移動量Lmaxより大きい場合には、最大移動量Lmaxを移動距離LYaとして記憶するようにしてもよい。
【0059】
<第三実施形態>
次に、第一実施形態の図3に示すコンベア移動距離算出部231aにおけるコンベア移動距離算出処理の第三実施形態について、図11および図12を参照して説明する。図11に示すように、第一装着ヘッド51aを独立に移動させた場合に、第一装着ヘッド51aにより装着すべき電子部品Pの全てを基板Saに装着するために要する所要時間(以下、「装着所要時間」と称する)T1allを算出する(ステップS31)。また、第二装着ヘッド56aを独立に移動させた場合に、第二装着ヘッド56aにより装着すべき電子部品Pの全てを基板Saに装着するために要する所要時間T2allを算出する(ステップS31)。
【0060】
続いて、それぞれの装着ヘッド51a,56aの装着所要時間T1all,T2allの差ΔTall(=T1all−T2all)を算出する(ステップS32)。続いて、算出された装着所要時間差ΔTallに基づいて、移動距離LYa3を算出する(ステップS33)。装着所要時間差ΔTallと移動距離LYa3との関係は、図12に示す関係となる。つまり、装着所要時間差ΔTallが大きいほど、移動距離LYa3が大きくなる関係となる。
【0061】
続いて、算出された移動距離LYa3の絶対値が、コンベア20aの最大移動量Lmaxより大きいか否かを判定する(ステップS34)。そして、移動距離LYa3の絶対値が最大移動量Lmax以下であれば(ステップS34:No)、当該移動距離LYa3を、移動距離LYaとして記憶する(ステップS35)。そして、当該処理を終了する。つまり、当該移動距離LYaだけ、コンベア20aをY軸方向に移動する。そうすると、一対の装着ヘッド51a,56aのうち装着所要時間が長い方に、その差ΔTallに応じた移動距離だけコンベア20aが移動する。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。
【0062】
ここで、ステップS34において、算出された移動距離LYa3の絶対値が最大移動量Lmaxより大きい場合には(ステップS34:Yes)、当該第一電子部品装着機1aによる装着対象の電子部品Pの変更処理を行う(ステップS36)。つまり、第一電子部品装着機1aにより装着する電子部品の一部を他の電子部品装着機(例えば、第二電子部品装着機1b)により装着する電子部品として変更する。
【0063】
続いて、それぞれの電子部品装着機1a,1bにより装着すべき電子部品の種類および順序、並びに、どの電子部品を一対の装着ヘッド51a,56aのうちどちらの装着ヘッドに装着させるかなどについての最適化処理が完了したか否かを判定する(ステップS37)。最適化処理は、上記実施形態にて説明したとおりである。そして、最適化処理が完了していなければ、完了するまで待機する。一方、最適化処理が完了したのであれば、ステップS31に戻り処理を繰り返す。つまり、装着すべき電子部品を変更することで、移動距離LYa3が最大移動量Lmax以下となるようにした上で、コンベア20aをY軸方向に移動させることとなる。
【0064】
<第四実施形態>
次に、第一実施形態の図3に示すコンベア移動距離算出部231aにおけるコンベア移動距離算出処理の第四実施形態について、図13を参照して説明する。図13に示すように、基板Sa上における電子部品Pの装着領域のY軸方向の装着中心OYを算出する(ステップS41)。本実施形態における装着中心OYは、第一実施形態にて説明したY軸方向座標Y(1)〜Y(n)の相加平均となる位置としてもよいし、第一実施形態の変形態様にて説明した装着領域Aの重心GのY軸座標値としてもよい。
【0065】
続いて、算出されたY軸方向の装着中心OYaに基づいて、上述した式(2)に従って第一移動距離LYa1を算出する(ステップS42)。続いて、コンベア20aを、初期状態(例えば、基板SaのY軸中心が搬送基準中心Y0に一致する状態)から第一移動距離LYa1だけY軸方向に移動させた状態において、第一装着ヘッド51aの往復動作回数Nr1および第二装着ヘッド56aの往復動作回数Nr2を算出する(ステップS43)。
【0066】
続いて、それぞれの装着ヘッド51a,56aの往復動作回数Nr1,Nr2の差ΔNr(=Nr1−Nr2)を算出する(ステップS44)。続いて、算出された往復動作回数差ΔNrに基づいて、第二移動距離LYa2を算出する(ステップS13)。往復動作回数差ΔNrと第二移動距離LYa2との関係は、図10に示す関係となる。
【0067】
続いて、コンベア20aを、初期状態から第一移動距離LYa1と第二移動距離LYa2の合計値(LYa1+LYa2)だけY軸方向に移動させた状態において、それぞれの装着ヘッド51a,56aによる装着所要時間T1all,T2allを算出する(ステップS46)。続いて、それぞれの装着ヘッド51a,56aの装着所要時間T1all,T2allの差ΔTall(=T1all−T2all)を算出する(ステップS47)。続いて、算出された装着所要時間差ΔTallに基づいて、第三移動距離LYa3を算出する(ステップS47)。装着所要時間差ΔTallと第三移動距離LYa3との関係は、図12に示す関係となる。
【0068】
続いて、第一移動距離LYa1と第二移動距離LYa2と第三移動距離LYa3の合計値(LYa1+LYa2+LYa3)を算出する(ステップS49)。続いて、算出された移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)の絶対値が、コンベア20aの最大移動量Lmaxより大きいか否かを判定する(ステップS50)。そして、移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)の絶対値が最大移動量Lmax以下であれば(ステップS50:No)、当該移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)を、移動距離LYaとして記憶する(ステップS51)。そして、当該処理を終了する。つまり、当該移動距離LYaだけ、コンベア20aをY軸方向に移動する。そうすると、最終的には、一対の装着ヘッド51a,56aのうち装着所要時間がほぼ同程度となるように、コンベア20aをY軸方向に移動させる。その結果、それぞれの装着ヘッド51a,56aの負荷の均一化を図ることができる。従って、電子部品Pの装着時間を短縮できる。さらに、上記のような処理を行うことで、第一移動距離LYa1を考慮して第二移動距離LYa2を算出し、第一移動距離LYa1および第二移動距離LYa2を考慮して第三移動距離LYa3を算出しているため、第二移動距離LYa2および第三移動距離LYa3の算出時間を短縮できる。
【0069】
ここで、ステップS50において、算出された移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)の絶対値が最大移動量Lmaxより大きい場合には(ステップS50:Yes)、当該第一電子部品装着機1aによる装着対象の電子部品Pの変更処理を行う(ステップS52)。つまり、第一電子部品装着機1aにより装着する電子部品の一部を他の電子部品装着機(例えば、第二電子部品装着機1b)により装着する電子部品として変更する。
【0070】
続いて、それぞれの電子部品装着機1a,1bにより装着すべき電子部品の種類および順序、並びに、どの電子部品を一対の装着ヘッド51a,56aのうちどちらの装着ヘッドに装着させるかなどについての最適化処理が完了したか否かを判定する(ステップS53)。最適化処理は、上記実施形態にて説明したとおりである。そして、最適化処理が完了していなければ、完了するまで待機する。一方、最適化処理が完了したのであれば、ステップS41に戻り処理を繰り返す。つまり、装着すべき電子部品を変更することで、移動距離合計値(LYa1+LYa2+LYa3)が最大移動量Lmax以下となるようにした上で、コンベア20aをY軸方向に移動させることとなる。
【符号の説明】
【0071】
1a,1b:電子部品装着機
20a,20b:コンベア
31a,31b,36a,36b:部品供給ユニット
51a,51b,56a,56b:装着ヘッド
Sa,Sb:基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、
前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記基板上における前記電子部品の装着領域に基づいて、前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置を算出する装着中心算出手段と、
前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置を前記電子部品装着可能領域における前記搬送直交方向の中心位置に一致させるために、前記コンベアの前記搬送直交方向の第一移動距離を算出する第一移動距離算出手段と、
前記第一移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段と、
を備える電子部品装着機。
【請求項2】
請求項1において、
前記装着中心算出手段により算出される前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置は、当該電子部品装着機により装着する複数の前記電子部品の前記搬送直交方向の座標の相加平均となる位置とする電子部品装着機。
【請求項3】
請求項1において、
前記装着中心算出手段により算出される前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置は、前記基板上における前記電子部品の装着領域の重心とする電子部品装着機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記電子部品装着機は、
初期状態から前記第一移動距離だけ前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた状態を基準として、前記装着ヘッドにより前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得して当該電子部品を基板に装着した後に前記部品供給ユニットに戻ってくる動作を1回の往復動作と定義した場合に、一方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数と他方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数との差を算出する往復動作回数差算出手段と、
前記往復動作回数の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の第二移動距離を算出する第二移動距離算出手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記第一移動距離および前記第二移動距離に基づいて、前記コンベアを移動させる電子部品装着機。
【請求項5】
請求項4において、
前記電子部品装着機は、
前記初期状態から前記第一移動距離と前記第二移動距離とを加算した距離だけ前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた状態において、それぞれの前記装着ヘッドを独立に移動させた場合に、それぞれの前記装着ヘッドにより装着すべき前記電子部品全てを前記基板に装着するために要する所要時間について前記装着ヘッド毎に算出する装着所要時間算出手段と、
一方の前記装着ヘッドによる前記所要時間と他方の前記装着ヘッドにより前記所要時間との差を算出する所要時間差算出手段と、
前記所要時間の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の第三移動距離を算出する第三移動距離算出手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記第一移動距離、前記第二移動距離および前記第三移動距離に基づいて、前記コンベアを移動させる電子部品装着機。
【請求項6】
基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、
前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記装着ヘッドにより前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得して当該電子部品を基板に装着した後に前記部品供給ユニットに戻ってくる動作を1回の往復動作と定義した場合に、一方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数と他方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数との差を算出する往復動作回数差算出手段と、
前記往復動作回数の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の移動距離を算出する移動距離算出手段と、
前記移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段と、
を備える電子部品装着機。
【請求項7】
基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、
前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
それぞれの前記装着ヘッドを独立に移動させた場合に、それぞれの前記装着ヘッドにより装着すべき前記電子部品全てを前記基板に装着するために要する所要時間について前記装着ヘッド毎に算出する装着所要時間算出手段と、
一方の前記装着ヘッドによる前記所要時間と他方の前記装着ヘッドにより前記所要時間との差を算出する所要時間差算出手段と、
前記所要時間の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の移動距離を算出する移動距離算出手段と、
前記移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段と、
を備える電子部品装着機。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項において、
複数の前記電子部品装着機を備え、
何れかの前記電子部品装着機において、算出された前記移動距離が前記移動手段による前記コンベアの最大移動量を超えた場合に、当該電子部品装着機により装着する前記電子部品の一部を他の前記電子部品装着機により装着する前記電子部品として変更する処理を行う電子部品変更処理手段と、
前記電子部品変更処理手段による変更処理の後に、それぞれの前記電部品装着機毎に前記装着ヘッドが前記電子回路部品を前記基板に装着する順序を最適化する最適化処理部と、
を備える電子部品装着システム。
【請求項1】
基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、
前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記基板上における前記電子部品の装着領域に基づいて、前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置を算出する装着中心算出手段と、
前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置を前記電子部品装着可能領域における前記搬送直交方向の中心位置に一致させるために、前記コンベアの前記搬送直交方向の第一移動距離を算出する第一移動距離算出手段と、
前記第一移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段と、
を備える電子部品装着機。
【請求項2】
請求項1において、
前記装着中心算出手段により算出される前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置は、当該電子部品装着機により装着する複数の前記電子部品の前記搬送直交方向の座標の相加平均となる位置とする電子部品装着機。
【請求項3】
請求項1において、
前記装着中心算出手段により算出される前記装着領域における前記搬送直交方向の中心位置は、前記基板上における前記電子部品の装着領域の重心とする電子部品装着機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記電子部品装着機は、
初期状態から前記第一移動距離だけ前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた状態を基準として、前記装着ヘッドにより前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得して当該電子部品を基板に装着した後に前記部品供給ユニットに戻ってくる動作を1回の往復動作と定義した場合に、一方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数と他方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数との差を算出する往復動作回数差算出手段と、
前記往復動作回数の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の第二移動距離を算出する第二移動距離算出手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記第一移動距離および前記第二移動距離に基づいて、前記コンベアを移動させる電子部品装着機。
【請求項5】
請求項4において、
前記電子部品装着機は、
前記初期状態から前記第一移動距離と前記第二移動距離とを加算した距離だけ前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた状態において、それぞれの前記装着ヘッドを独立に移動させた場合に、それぞれの前記装着ヘッドにより装着すべき前記電子部品全てを前記基板に装着するために要する所要時間について前記装着ヘッド毎に算出する装着所要時間算出手段と、
一方の前記装着ヘッドによる前記所要時間と他方の前記装着ヘッドにより前記所要時間との差を算出する所要時間差算出手段と、
前記所要時間の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の第三移動距離を算出する第三移動距離算出手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記第一移動距離、前記第二移動距離および前記第三移動距離に基づいて、前記コンベアを移動させる電子部品装着機。
【請求項6】
基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、
前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記装着ヘッドにより前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得して当該電子部品を基板に装着した後に前記部品供給ユニットに戻ってくる動作を1回の往復動作と定義した場合に、一方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数と他方の前記装着ヘッドによる前記往復動作の回数との差を算出する往復動作回数差算出手段と、
前記往復動作回数の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の移動距離を算出する移動距離算出手段と、
前記移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段と、
を備える電子部品装着機。
【請求項7】
基板を搬送方向に搬送すると共に、前記基板を保持した状態で電子部品装着可能領域内において搬送直交方向に移動可能なコンベアと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、電子部品を供給する一対の部品供給ユニットと、
前記搬送直交方向に前記コンベアを挟んで両側にそれぞれ配置され、それぞれの前記部品供給ユニットから前記電子部品を取得し、前記電子部品装着可能領域内に停止された前記コンベアによって保持された前記基板に対して前記電子部品を装着する一対の装着ヘッドと、
前記コンベアおよび前記一対の装着ヘッドの動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
それぞれの前記装着ヘッドを独立に移動させた場合に、それぞれの前記装着ヘッドにより装着すべき前記電子部品全てを前記基板に装着するために要する所要時間について前記装着ヘッド毎に算出する装着所要時間算出手段と、
一方の前記装着ヘッドによる前記所要時間と他方の前記装着ヘッドにより前記所要時間との差を算出する所要時間差算出手段と、
前記所要時間の差に応じた前記コンベアの前記搬送直交方向の移動距離を算出する移動距離算出手段と、
前記移動距離に基づいて前記コンベアを移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記コンベアを前記搬送直交方向に移動させた後に、前記一対の装着ヘッドにより前記電子部品を前記基板に装着させる装着ヘッド制御手段と、
を備える電子部品装着機。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項において、
複数の前記電子部品装着機を備え、
何れかの前記電子部品装着機において、算出された前記移動距離が前記移動手段による前記コンベアの最大移動量を超えた場合に、当該電子部品装着機により装着する前記電子部品の一部を他の前記電子部品装着機により装着する前記電子部品として変更する処理を行う電子部品変更処理手段と、
前記電子部品変更処理手段による変更処理の後に、それぞれの前記電部品装着機毎に前記装着ヘッドが前記電子回路部品を前記基板に装着する順序を最適化する最適化処理部と、
を備える電子部品装着システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−199368(P2012−199368A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62202(P2011−62202)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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