説明

電子部品

【課題】半導体素子がパッケージにより封入され、パッケージから多数のリードが突出する電子部品のリードの表面から発生するウィスカを抑制する電子部品を提供する。
【解決手段】半導体素子がフラットパッケージ、アウトラインパッケージ、インラインパッケージ等のパッケージにより封入され、前記パッケージから多数のリード3が突出される電子部品において、前記リードの表面のエッジ3cの全部あるいは一部を曲線状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子がパッケージにより封入され、パッケージから多数のリードが突出する電子部品のリードの表面から発生するウィスカを抑制する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ウィスカは、電子部品のリードの金属表面から成長するひげ状の結晶であり、電子産業では、以前から電子部品のSnめっきから発生するSnウィスカが大きな問題となっていた。Snウィスカは時間と共に成長し、短絡を引き起こす可能性がある。
近年、環境問題による半田合金のPbフリー化が進み、半田付部のSn濃度が高くなることにより、半田付部からのSnウィスカの発生も懸念されている。
ウィスカは、めっきのSn自身の酸化による内部応力によって引き起こされる可能性が高く、特に、リードの表面のエッジ部から発生することが多い。
詳しい原因はわかっていないが、従来のリードの表面のエッジ形状は角状であり、内部応力が集中するからであると推察されている。
図3に示されるようにフラットパッケージ、アウトラインパッケージ、インラインパッケージ等を有する電子部品1は、半導体素子がパッケージ2により封入され、外部に多数のリード3が突出される。
図3、図4(a)およびリード3の横断面図である図4(b)に示されるようにリード3の表面のエッジ3aの形状の全部は角状に形成され、基板上に半田付により接合される。
従来、特開2004−200249号公報(特許文献1)にて、ウィスカの発生を抑制するために外部端子の表面に形成したPbフリーのSn系合金めっき層から成る接続用導電層を溶融させる際に、加熱処理によって電子部品の内部まで熱的影響を与えることがないようにする電子部品及びその製造方法並びに製造装置が提案されている。
この従来の電子部品及びその製造方法並びに製造装置は、リードの表面に形成した接続用導電層を構成するSn−Bi合金めっき層を、Sn−Bi合金めっき層の融点以上である220〜280℃に加熱したフッ素系不活性化学液内に0.2〜5秒間のごく短時間浸漬することで溶融させるものである。
【特許文献1】特開2004−200249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、半導体素子がパッケージにより封入され、パッケージから多数のリードが突出する電子部品のリードの表面から発生するウィスカを抑制する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の電子部品は、半導体素子がパッケージ2により封入され、パッケージ2から多数のリード3が突出する電子部品1において、
前記リード3の表面のエッジ3bの形状の全部が、図1(a)(b)に示されるように曲線状である。
あるいは、前記リード3の表面のエッジ3cの一部が、図2(a)(b)に示されるように曲線状である。
さらに、前記パッケージは、フラットパッケージ、アウトラインパッケージ、インラインパッケージである。
ここで、フラットパッケージ、アウトラインパッケージ、インラインパッケージとは、QFP(Quad
Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、SOJ(Small
Outline J−leaded Package)、DIP(Dual Inline Package)、およびZIP(Zig−Zag In−line Package)等をいう。
【発明の効果】
【0005】
本発明の電子部品によれば、半導体素子がパッケージにより封入され、パッケージから多数のリードが突出する電子部品において、前記リードの表面のエッジの形状の全部あるいは一部が曲線状である。
このため、リードの表面のSnの酸化による応力を緩和させ、基板への半田付後、リードの表面から発生するウィスカが抑制される。
ここで、パッケージは、フラットパッケージ、アウトラインパッケージ、インラインパッケージ等であり、このパッケージを有する電子部品のリードの表面のエッジ形状は角状で、最もウィスカの発生が懸念されるが、ウィスカの発生が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明を、その実施例に基づいて説明する。
本発明の電子部品は、半導体素子がパッケージ2により封入され、パッケージ2から多数のリード3が突出する電子部品1である。
パッケージ2は、フラットパッケージ、アウトラインパッケージ、インラインパッケージで、QFP(Quad
Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、SOJ(Small
Outline J−leaded Package)、DIP(Dual Inline Package)、およびZIP(Zig−Zag In−line Package)等をいう。
リードの表面のエッジ形状が異なる電子部品を用意し、本試験で用いた電子部品は、一般的に最も多く利用されているQFPを用いることとした。
リード3の表面のエッジ3bの形状の全部が、図1(a)(b)に示されるように曲線状である実施例およびリード3の表面のエッジ3cの一部が、図2(a)(b)に示されるように曲線状である実施例にてウィスカ発生試験を実施した。
従来例である比較例は、図4(a)およびリード3の横断面図である図4(b)に示されるようにリード3の表面のエッジ3aの形状の全部は角状に形成される。
以上の実施例及び比較例のQFPを用意し、鉛フリーはんだであるSn−3.0Ag−0.5Cu(SAC305)、Sn−3.5Ag(SA35)、およびSn−3.5Ag−0.7Cu(SAC357)を用いてはんだ付実装し、評価用試験片を作製した。
作製した評価用基板を高温高湿環境下(80℃・90%)にて500時間放置し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、リードの表面を観察し、リードの表面から発生しているウィスカの発生状態を確認した。
この結果を表1にウィスカの状態写真を図5(a)(b)(c)に示す。
【0007】
【表1】

【0008】
エッジ形状を曲線状にしたQFPのリード3の表面は、はんだ付後の高温高湿放置後も滑らかであり、ウィスカの発生は確認できなかった(図5(d)参照)。
一方で、エッジ形状が角状であるQFPのリード3の表面は、半田付後の高温高湿放置後では、凹凸であり、エッジ部から形状の異なる様々なウィスカ発生が確認できる(図5(a)(b)(c)参照)。
リード3の表面のエッジ形状を変化させることで、Snの酸化による内部応力が変化し、ウィスカの発生にも相違が認められたものと推察される。
以上の結果、リード3の表面のエッジ形状を曲線状にした本発明の実施例の電子部品は、リード3の表面が角状である従来例である比較例の電子部品と比較して、リード3の表面からのウィスカの発生を大きく抑制できることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】本発明の実施例のエッジの形状の全部が曲線状であるリードの斜視図である。
【図1b】図1(a)のリードの横断面図である。
【図2a】本発明の実施例のエッジの形状の一部が曲線状であるリードの斜視図である。
【図2b】図2(a)のリードの横断面図である。
【図3】半導体素子がパッケージにより封入され、パッケージから多数のリードが突出する電子部品の外観図である。
【図4a】従来例のリードの斜視図である。
【図4b】図4(a)のリードの横断面図である。
【図5a】図4(a)(b)の従来例のSAC305を用いて実装したエッジ形状が角状であるリードの表面のエッジから発生したウィスカの状態写真である。
【図5b】図4(a)(b)の従来例のSA35を用いて実装したエッジ形状が角状であるリードの表面のエッジから発生したウィスカの状態写真である。
【図5c】図4(a)(b)の従来例のSAC357を用いて実装したエッジ形状が角状であるリードの表面のエッジから発生したウィスカの状態写真である。
【図5d】本発明の実施例のSAC305を用いて実装したエッジ形状が曲線状であるリードの表面の状態写真である。
【符号の説明】
【0010】
1 電子部品
2 パッケージ
3 リード
3a,3b,3c エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子がパッケージにより封入され、前記パッケージから多数のリードが突出する電子部品において、
前記リードの表面のエッジの全部あるいは一部が曲線状であることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記パッケージは、フラットパッケージ、アウトラインパッケージ、インラインパッケージである請求項1記載の電子部品。


【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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