電子錠システム
【課題】電子錠システムにおいて、該システムを管理者に管理させ、セキュリティ性を高める。
【解決手段】電子錠システムは、ユーザ通信機2と、錠制御通信機4と、管理者により所有されるID変換通信機5と、を備える。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のアドレス1に格納されるID情報を、ID変更部48により変更された自身の新ID情報と照合し、これらが一致する場合、電子錠の開閉を行ない、これらが一致しない場合、自身の新ID情報をユーザ通信機2のアドレス2に書き込む。ID変換通信機5は、ユーザ通信機2のアドレス2に書き込まれた新ID情報を読み出すと共に、アドレス1に書き込み、ユーザ通信機2のID情報に新たに設定する。このように、管理者が所有するID変換通信機5によってユーザ通信機2のID情報が新たに設定されなければ、電子錠を開閉することができないので、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【解決手段】電子錠システムは、ユーザ通信機2と、錠制御通信機4と、管理者により所有されるID変換通信機5と、を備える。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のアドレス1に格納されるID情報を、ID変更部48により変更された自身の新ID情報と照合し、これらが一致する場合、電子錠の開閉を行ない、これらが一致しない場合、自身の新ID情報をユーザ通信機2のアドレス2に書き込む。ID変換通信機5は、ユーザ通信機2のアドレス2に書き込まれた新ID情報を読み出すと共に、アドレス1に書き込み、ユーザ通信機2のID情報に新たに設定する。このように、管理者が所有するID変換通信機5によってユーザ通信機2のID情報が新たに設定されなければ、電子錠を開閉することができないので、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に錠の開閉を制御する電子錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが使用する送信器と、電子錠ロック機構が接続される受信器とで構成される電子錠システムが広く利用されている。当該システムでは、受信器は送信器からの無線信号を受信し、この信号に基づいて電子錠ロック機構が電気的に制御され、電子錠の開閉制御が行なわれる。当該開閉制御により、錠の開け閉めが自動的に行なわれるか、又は手動による錠の開け閉めが可能になる。
【0003】
上記電子錠開閉制御を行なうための信号に暗証コードが用いられ、同一の暗証コードを有するユーザによる偶然のドアの開閉を防止し、セキュリティ性を向上させるキーレスエントリーシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このキーレスエントリーシステムは、自動車等の車両の鍵の開閉を制御するためシステムであり、操作スイッチが操作されるごとに暗証コードを含む送信コードを送信する送信器と、送信コードを受信し、送信コードの暗証コードが基準コードに符合することを条件に、当該送信コードに応じた動作信号を出力する受信器とを有する。送信器は、操作スイッチが操作されるごとに、所定の関数に従って暗証コードを算出して更新し、これを含む送信コードを送信する。受信器は、この送信コードの受信ごとに、送信器と同様の関数に従って基準コードを算出して更新する。受信器において暗証コードと基準コードとが一致しなかった場合、受信器はこの送信コードを一時的に記憶する。所定の時間内に、ユーザが正規のキーをドアのキーシリンダに挿入し、ドアロック状態が変化したときのみ、この送信コードの暗証コードが、一致した暗証コードとみなされ、基準コードとして受信器に再登録される。同一の暗証コードを有するユーザは、正規のキーを有しないので、偶然のドアの開閉が防止される。なお、暗証コードと基準コードとが一致しない場合には、ユーザが送信器の操作スイッチを空押しした場合が含まれる。
【特許文献1】特開2000−314242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ユーザの動作に応じて基準コードが再登録されるので、基準コードの設定を従業員等のユーザに許可せず、管理者のみに許可するパチンコ台等に、上記キーレスエントリーシステムを導入することができなかった。また、同一のキーを複数のユーザが所有し、この同一のキーによって開閉可能な複数の錠を備えるシステムにおいて、錠のそれぞれと接続された複数の受信器のうち1つの基準コードが変更された場合、同一のキーによる複数の錠の開閉ができなくなっていた。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであり、管理者によって管理されるセキュリティ性の高い電子錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、ID情報を有し、ユーザにより所有されるユーザ通信機と、前記ユーザ通信機と通信を行ない、電子錠の開閉を制御する錠制御通信機と、前記ユーザ通信機と通信を行ない、前記ユーザ通信機のID情報を変換し、管理者により所有されるID変換通信機と、を備える電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、ID情報を有すると共に、該ID情報を変更するID変更手段を備え、前記ユーザ通信機のID情報を読み出し、前記読み出したID情報と自身のID情報とを照合し、前記ユーザ通信機のID情報が前記ID変更手段により変更された自身の新ID情報と一致する場合、電子錠の開閉を行ない、これらが一致しない場合、自身の新ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、前記ID変換通信機は、前記錠制御通信機により前記ユーザ通信機に書き込まれた新ID情報を読み出すと共に、該ID情報を、電子錠の開閉制御のために前記錠制御通信機のID情報と照合される前記ユーザ通信機のID情報に新たに設定し、前記ユーザ通信機のID情報を変換するものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子錠システムにおいて、前記ユーザ通信機は、電子錠の開閉制御のために前記錠制御通信機のID情報と照合されるID情報が格納される第1アドレスと、前記第1アドレスに格納されたID情報と前記錠制御通信機のID情報とが一致しない場合、前記錠制御通信機のID情報が格納される第2アドレスとが割り当てられる記憶手段を有し、前記ID変換通信機は、ユーザが押下げ操作可能な操作手段と、情報を記憶するための記憶手段と、を有し、前記操作手段の押下げ操作が行なわれている間に前記ユーザ通信機と通信を行なうとき、前記ユーザ通信機の記憶手段の第2アドレスに格納されるID情報を読み出すと共に、自身の記憶手段に該ID情報を記憶させ、前記操作手段の押下げ操作が行なわれていない間に前記ユーザ通信機と通信を行なうとき、自身の記憶手段に記憶させたID情報を前記ユーザ通信機の記憶手段の第1アドレスに書き込むものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、擬似乱数を生成するためのソフトウェアを格納する記憶手段をさらに有し、前記ID変更手段は、前記錠制御通信機の電源がオンされたとき、前記ソフトウェアにより作成された擬似乱数に基づいて新ID情報を作成するものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、ユーザにより操作される操作手段と、擬似乱数を生成するためのソフトウェアを格納する記憶手段と、をさらに有し、前記ID変更手段は、ユーザが前記操作手段を操作したとき、前記ソフトウェアにより作成された擬似乱数に基づいて新ID情報を作成するものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、時間に応じてカウントを行ない、カウンタをインクリメントするカウント手段をさらに有し、前記ID変更手段は、前記錠制御通信機の電源がオンされ、前記錠制御通信機が最初に通信を行なったときの前記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成するものである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1、請求項2又は請求項5のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、時間に応じてカウントを行ない、カウンタをインクリメントするカウント手段と、ユーザにより操作される操作手段と、をさらに有し、前記ID変更手段は、ユーザが前記操作手段を操作したときの前記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成するものである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、複数台の前記錠制御通信機を通信可能に接続する通信手段をさらに備え、前記錠制御通信機は、複数台設けられると共に、前記通信手段により相互に通信可能に接続され、前記複数の錠制御通信機のうち1台がマスタ設定され、前記マスタ設定された錠制御通信機の前記ID変更手段が、該通信機のID情報を新ID情報に変更するとき、前記マスタ設定された錠制御通信機は、前記通信手段を介して、他の前記錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に設定するものである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1、請求項2、請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、複数台の前記錠制御通信機を通信可能に接続する通信手段をさらに備え、前記錠制御通信機は、複数台設けられると共に、前記通信手段により相互に通信可能に接続され、任意の前記錠制御通信機の前記ID変更手段が、該通信機のID情報を新ID情報に変更するとき、前記ID情報が変更された錠制御通信機は、前記通信手段を介して、他の前記錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に書き換えるものである。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、自身のID情報を前記ユーザ通信機に送信するとき、該ID情報を暗号化し、該ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、前記ID変換通信機は、前記ユーザ通信機に書き込まれたID情報を読み出し、該ID情報を復号化し、復号化したID情報を前記ユーザ通信機に書き込むものである。
【0015】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、自身の新ID情報を前記ユーザ通信機に送信するとき、変更前のID情報に基づいて新ID情報を暗号化し、該ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、前記ID変換通信機は、前記ユーザ通信機に書き込まれた新ID情報を読み出し、該ID情報を復号化し、復号化した新ID情報を前記ユーザ通信機に書き込むものである。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記ユーザ通信機の前記記憶手段と、前記ID変換通信機の前記記憶手段とは、揮発性のメモリを含むものである。
【0017】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機と前記ユーザ通信機との間の通信が人体通信により行なわれるものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、錠制御通信機のID情報とユーザ通信機のID情報とが一致しない場合、ID変換通信機によりユーザ通信機のID情報を新たに設定しなければ、電子錠を開閉することができないので、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、ID変換通信機は該システムの管理者により所有され、ユーザ通信機のID情報がユーザにより書き換えられることがないので、悪意あるユーザによるID情報の書き換えを防止でき、セキュリティ性を高めることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、ID変換通信機において、ユーザ通信機からのID情報読み出し動作と、ユーザ通信機へのID情報書き込み動作とを別々に行なうことができるので、複数台のユーザ通信機が設けられる場合、1台のユーザ通信機からID情報を読み出し、その後、当該情報を複数台のユーザ通信機に書き込むことができる。このため、複数台のユーザ通信機が設けられる場合に、ユーザ通信機のID情報を簡便に変更することが可能となる。
【0020】
請求項3の発明によれば、錠制御通信機の新ID情報は擬似乱数に基づいて作成されるので、ID情報の解読を困難にすることができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、錠制御通信機の電源がオンされたときに新ID情報が作成されるので、自動的にID情報を更新することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、錠制御通信機の新ID情報は擬似乱数に基づいて作成されるので、ID情報の解読を困難にすることができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、ユーザが操作手段を操作したときに新ID情報が作成されるので、任意のときに錠制御通信機のID情報を更新することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、錠制御通信機が、電源オン後に最初に通信を行なうときは不定であるため、電源オン時から通信時までの経過時間に応じて錠制御通信機の新ID情報を作成することにより、解読困難なID情報を作成することができる。このため、セキュリティ性を高めることができる。また、錠制御通信機が最初に通信を行なうとき新ID情報が作成されるので、自動的にID情報を更新することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、ユーザが操作手段を操作するときは不定であるため、特定のときから操作時までの経過時間に応じて錠制御通信機の新ID情報を作成することにより、解読困難なID情報を作成することができる。このため、セキュリティ性を高めることができる。また、ユーザが操作手段を操作したときに新ID情報が作成されるので、任意のときに錠制御通信機のID情報を更新することができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、マスタ設定された錠制御通信機のID情報が更新されたとき、他の錠制御通信機のID情報は、マスタ設定された錠制御通信機により、該通信機の新ID情報に設定される。このため、複数台の錠制御通信機のID情報を統一することができ、同一のユーザ通信機を使用して複数の電子錠を開閉することができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、ID情報が変更された任意の錠制御通信機は、他の錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に書き換えることができるので、複数台の錠制御通信機のID情報を統一することができる。このため、同一のユーザ通信機を使用して複数の電子錠を開閉することが可能となる。
【0026】
請求項9の発明によれば、錠制御通信機は、自身の新ID情報をユーザ通信機に送信するとき、該ID情報を暗号化するので、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性を高めることができる。
【0027】
請求項10の発明によれば、錠制御通信機は、自身の新ID情報をユーザ通信機に送信するとき、変更前のID情報に基づいて新ID情報を暗号化するので、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性を高めることができる。
【0028】
請求項11の発明によれば、ユーザ通信機の記憶手段と、ID変換通信機の記憶手段とは、揮発性のメモリを含むので、これらの通信機を分解してメモリを取り出す場合、メモリに電力が供給されなくなり、メモリに格納されたID情報は失われ、このID情報を読み出すことができなくなる。このため、これらの通信機が盗難に合った場合、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【0029】
請求項12の発明によれば、錠制御通信機とユーザ通信機との間の通信が人体通信により行なわれるので、頻繁に電子錠の開閉を行なう場合、これらの通信機に触れるだけで通信が可能になり、使い勝手を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の第1の実施形態に係る電子錠システムについて図1乃至図10を参照して説明する。
【0031】
図1は、電子錠システムの構成を示す。電子錠システム1は、ID情報を有し、ユーザにより所有されるユーザ通信機2と、ユーザ通信機2と双方向通信を行ない、電子錠3の開閉を制御する錠制御通信機4と、ユーザ通信機2と双方向通信を行ない、ユーザ通信機2のID情報を変換し、管理者により所有されるID変換通信機5と、を備える。
【0032】
ユーザ通信機2は、情報を記憶するための記憶部20(記憶手段)を有する。記憶部20は、ユーザ通信機2のID情報を記憶するためのRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む。
【0033】
電子錠3は、錠制御通信機4により開閉動作が電気的に制御される。この開閉動作の制御により、手動による電子錠3の開閉が可能になる。
【0034】
錠制御通信機4は、情報を記憶するための記憶部40(記憶手段)を有する。記憶部40は、錠制御通信機4のID情報を記憶するためのRAM等の揮発性メモリを含む。また、錠制御通信機4は、自身のID情報を変更するID変更部48(ID変更手段)を備える。ID変更部48は、錠制御通信機4の電源がオフされて、さらにオンされたとき、錠制御通信機4のID情報を変更する。さらに、錠制御通信機4は、ユーザ通信機2からID情報を読み出し、この読み出したID情報と自身のID情報を照合して、一致又は不一致の判定を下す。
【0035】
上記の各種通信機の記憶部20、40において、ID情報は揮発性メモリに記憶されるので、これら通信機が分解されてメモリが取り出される場合、メモリに電力が供給されなくなり、メモリに格納されたID情報は失われ、このID情報を読み出すことができなくなる。従って、ユーザ通信機2又は錠制御通信機4が盗難に合った場合、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【0036】
図2は、ユーザ通信機2の電気的構成を示す。ユーザ通信機2は、錠制御通信機4又はID変換通信機5と送受信するID情報を含む各種情報を記憶する記憶部20と、ユーザの人体又はID変換通信機5の電極と接触する2個の電極21、22と、送信する情報に基づいて電気信号を変調して変調信号を生成する変調部23と、変調部23からの変調信号に基づく電圧を電極21、22の間に印加する電圧印加部24と、を有する電気回路を備える。さらに、ユーザ通信機2は、電極21、22の間の電圧を検出する電圧検出部25と、検出した電圧信号を復調して、情報を抽出する復調部26と、各部を制御し、各種演算を行なう制御部27と、各部に電力を供給する電池(不図示)と、を有する電気回路を備える。
【0037】
制御部27は、CPU等を含む制御回路で構成される。また、制御部27は、錠制御通信機4又はID変換通信機5からの電気信号を電圧検出部25を介して受信したとき、上記の電池に変調部23及び電圧印加部24へ電力を供給させてもよい。このように電力供給を制限することにより、消費電力を低減することができる。
【0038】
図3(a)(b)は、ユーザ通信機2の概観を示す。上記の各部の電気回路は、筐体28に収納される。電極21、22は、筐体28表面に、ユーザの人体表面と接触可能に設けられる。例えば、電極21、22は腕と接触可能に設けられ、腕の長さ方向に離れて位置するように配設される。筐体28はバンド29に連結される。バンド29により筐体28を腕に固定することができる。
【0039】
図4(a)(b)は、電子錠3及び錠制御通信機4の構成を示す。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2と送受信するID情報を含む各種情報を記憶する記憶部40と、電子錠3の開閉のためにユーザが接触可能なタッチ電極41と、ユーザとの静電結合を確保するための結合電極42と、タッチ電極41と結合電極42との間の電圧を検出する電圧検出部43と、検出した電圧信号を復調して、情報を抽出する復調部44と、を有する電気回路を備える。さらに、錠制御通信機4は、送信する情報に基づいて電気信号を変調して変調信号を生成する変調部45と、変調部45からの変調信号に基づく電圧をタッチ電極41と結合電極42との間に印加する電圧印加部46と、各部を制御し、各種演算を行なう制御部47と、各部に電力を供給する電池(不図示)と、を有する電気回路を備える。制御部47は、CPU等を含む制御回路で構成され、錠制御通信機4のID情報を変更するためのID変更部48(ID変更手段)と、を有する。
【0040】
電子錠3は、ソレノイドで構成される錠開閉部30を内部に備え、さらに、ユーザが錠を開閉するためにつまんで回転させるつまみ部31を外部に備える。錠開閉部30は、錠制御通信機4の制御部47からの信号に基づいて、錠の開閉制御を行なう。この開閉制御により、ユーザがつまみ部31を回転させて錠を開閉させることが可能となる。
【0041】
電子錠3のつまみ部31は、錠制御通信機4のタッチ電極41を成す。ユーザがつまみ部31を触ったとき、ユーザ通信機2と錠制御通信機4とは、電極21、22と、ユーザの人体と、タッチ電極41とを介して、通信を行なう。制御部47は、ユーザ通信機2から受信した該通信機のID情報と、記憶部40に格納されたID情報とを照合し、これらは一致すると判定した場合、電子錠3の開錠制御を行なう。開錠制御により、ユーザがつまみ部31を回転させることが可能となる。一方、これらの情報が一致しない場合、ユーザがつまみ部31を回転させることはできない。
【0042】
このように、ユーザ通信機2と錠制御通信機4との間の通信は人体通信により行なわれるので、頻繁に電子錠3の開閉を行なう場合、これらの通信機に触れるだけで通信が可能になり、使い勝手を良くすることができる。
【0043】
錠制御通信機4の記憶部40は、ROM(Read Only Memory)を含み、このROMは、擬似乱数を生成するためのプログラム(ソフトウェア)と、ID情報を暗号化するためのプログラムと、を格納する。ID変更部48は、錠制御通信機4の電源がオンされたとき、乱数生成のためのプログラムにより作成された擬似乱数に基づいてID情報を更新し、新ID情報を作成する。このため、ID情報を解読困難なものにすることができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、錠制御通信機4の電源がオンされたときに新ID情報が作成されるので、自動的にID情報を更新することができる。
【0044】
制御部47は、ユーザ通信機2からID情報を読み出し、記憶部40に格納されたID情報とユーザ通信機2のID情報とを照合して、これらの情報の一致又は不一致を判定する。これらの情報が不一致である場合、制御部47は、記憶部40に格納されたID情報をユーザ通信機2に書き込む。ID情報書き込みの際、制御部47は、上記の暗号化のためのプログラムを用いてID情報を暗号化し、暗号化したID情報を出力する。
【0045】
図5は、ID変換通信機5の構成を示す。ID変換通信機5は、ユーザ通信機2の電極21、22と接触する5個の電極51、52と、電極51、52の間の電圧を検出する電圧検出部53と、検出した電圧信号を復調して、情報を抽出する復調部54と、を有する電気回路を備える。さらに、ID変換通信機5は、送信する情報に基づいて電気信号を変調して変調信号を生成する変調部55と、変調部55からの変調信号に基づく電圧を電極51、52の間に印加する電圧印加部56と、各部を制御し、各種演算を行なう制御部57と、各部に電力を供給する電池(不図示)とを有する電気回路を備える。
【0046】
制御部57は、CPU等を含む制御回路で構成され、ユーザ通信機2からのID情報の読み出し及びユーザ通信機2へのID情報書き込みが可能である。また、制御部57は、読み出したユーザ通信機2のID情報が暗号化されている場合、暗号化されたID情報を復号化する。
【0047】
図6(a)(b)(c)は、ID変換通信機5の概観を示し、同図(d)は、ID変換通信機5とユーザ通信機2とが電気的に接続されたときの様子を示す。上記の各部の電気回路は筐体58に収納される。筐体58の表面に、電極51、52と、ユーザ通信機2の電極21、22が電極51、52と接するようにユーザ通信機2を固定するためのガイド59と、が設けられる。ガイド59は、ユーザ通信機2の筐体28の形状に合わせて成形される。ユーザ通信機2の電極21、22と、ID変換通信機5の電極51、52とが接触することにより、これらの通信機は電気的に接続され、これらの間で通信を行なうことが可能となる。
【0048】
図7は、電子錠システム1における錠開閉制御時の各通信機の動作を時系列に示す。錠制御通信機4の記憶部40は、例えばIDxxという自身のID情報を記憶しているとする。ユーザが錠の開閉動作を開始した場合、ユーザが所持するユーザ通信機2と錠制御通信機4とが通信を開始する。
【0049】
(1)まず、錠制御通信機4は、ユーザ通信機2の記憶部20のアドレス1(#1)から、ユーザ通信機2のID情報を読み出す動作を行なう。(2)ユーザ通信機2は、例えばIDxxという自身のID情報を、錠制御通信機4にロードさせる。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のこのID情報と、自身のID情報を照合する。これらのID情報は、IDxxであり、一致するため、電子錠3の開閉が可能となる。なお、このアドレス1は、電子錠3を開閉制御するために錠制御通信機4のID情報と照合されるID情報が格納されるアドレスである。
【0050】
(3)錠制御通信機4の電源がOFFされて、さらにONされたとき、(4)錠制御通信機4のID変更部48は、錠制御通信機4のID情報を新ID情報に変更する。例えば、新ID情報をIDxyとすると、記憶部40に格納されるID情報は新ID情報IDxyに変更される。この新ID情報は、記憶部40に格納された、擬似乱数を生成するためのプログラムに基づいて作成される。
【0051】
錠制御通信機4のID情報更新後、ユーザが電子錠3の開閉するために、ユーザ通信機2と錠制御通信機4とを通信させたとする。(5)錠制御通信機4は、ユーザ通信機2の記憶部20のアドレス1から、ユーザ通信機2のID情報を読み出す動作を行なう。(6)ユーザ通信機2は、IDxxという自身のID情報を、錠制御通信機4にロードさせる。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のこのID情報と、自身のID情報を照合する。ユーザ通信機2のID情報はIDxxであり、錠制御通信機4のID情報はIDxyであるので、これらのID情報は一致しない。このため、認証エラーが発生し、電子錠3の開閉は許可されない。認証エラーが発生した場合、複数回、ID情報の読み出し動作及び照合動作を繰り返してもよい。
【0052】
(7)認証エラーが発生した場合、錠制御通信機4は、自身の新ID情報IDxyをユーザ通信機のアドレス2(#2)に自動的に書き込む。なお、このアドレス2は、アドレス1に格納されたID情報と錠制御通信機4のID情報とが一致しない場合、錠制御通信機4のID情報が格納されるアドレスである。
【0053】
(8)ID変換通信機5は、錠制御通信機4によりユーザ通信機2のアドレス2に書き込まれた新ID情報を読み出す。(9)ユーザ通信機2は、アドレス2に格納したID情報IDxyをID変換通信機5にロードさせる。(10)ID変換通信機5は、このID情報IDxyを、ユーザ通信機2のアドレス1に書き込み、電子錠の開閉制御のために錠制御通信機4のID情報と照合されるユーザ通信機2のID情報に新たに設定する。このようにして、ユーザ通信機2のID情報が変換される。
【0054】
ユーザ通信機2のID情報変換後、ユーザが電子錠3の開閉するために、ユーザ通信機2と錠制御通信機4とを通信させたとする。(11)錠制御通信機4は、ユーザ通信機2の記憶部20のアドレス1から、ユーザ通信機2のID情報を読み出す動作を行なう。(12)ユーザ通信機2は、自身のID情報IDxyを、錠制御通信機4にロードさせる。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のこのID情報と、自身のID情報を照合する。錠制御通信機4のID情報はIDxyであるため、これらの通信機のID情報は一致する。その結果、電子錠3の開閉が可能となる。
【0055】
このように、錠制御通信機4のID情報とユーザ通信機2のID情報とが一致しない場合、ID変換通信機5によりユーザ通信機のID情報を新たに設定しなければ、電子錠3を開閉することができないので、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、ID変換通信機5は該システムの管理者により所有され、ユーザ通信機のID情報がユーザにより書き換えられることがないので、悪意あるユーザによるID情報の書き換えを防止でき、セキュリティ性を高めることができる。
【0056】
図8は、電子錠システム1の錠開閉制御の動作手順を示す。特に、錠制御通信機4のID情報が更新された後の錠開閉制御の動作手順を示す。
【0057】
錠制御通信機4のID情報が更新されたとする。ID情報の更新時に、ID変更部48により新ID情報が生成され、旧ID情報が新ID情報に変更される(S101)。ユーザがユーザ通信機2を用いて電子錠3を開錠する動作を開始したとき、錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のアドレス1からID情報を読み出す動作を開始し、ユーザ通信機2と通信を始める(S102)。この通信が成功し、錠制御通信機4がユーザ通信機2のID情報を取得できた場合(S103でYes)、錠制御通信機4は、自身のID情報とユーザ通信機2のID情報とを照合する(S104)。通信が成功しなかった場合(S103でNo)、錠制御通信機4に設けられたLED(不図示)が点滅し、エラーの発生をユーザに報知する。その後、再びS102の動作が行なわれる。
【0058】
照合の結果、これらのID情報が一致した場合(S105でYes)、電子錠3は開錠制御される(S106)。開錠制御により、ユーザが電子錠3のつまみ部31を回転させることが可能となり、電子錠3が取り付けられた扉等を開けることができる。電子錠3が開錠制御された後、ユーザが扉等を開けず(S107でNo)、所定の時間が経過した場合(S108でYes)、電子錠3は自動的に施錠され、再度電子錠3の開閉動作が行なわれる場合、S102の動作が再び行なわれる(S109)。所定の時間が経過しない間(S108でNo)、電子錠3は開錠された状態で待機する。一方、電子錠3が開錠された後、ユーザが扉等を開け(S107でYes)、次にユーザが扉等を閉じた場合(S110でYes)、電子錠3は自動的に施錠される(S109)。ユーザが扉等を開けた後、扉を閉じない間(S110でNo)、電子錠3は開錠された状態で待機する。
【0059】
照合の結果、これらのID情報が一致しない場合(S105でNo)、錠制御通信機4は、自身のID情報を、ユーザ通信機2のアドレス2へ書き込むために通信を開始する(S111)。この通信が成功しない場合(S112でNo)、上記のLEDが点滅し、エラーの発生をユーザに報知し、繰り返し書き込み動作が行なわれる。この通信が成功してID情報の書き込みが完了したとき(S112でYes)、上記のLEDは点灯し、成功をユーザに通知する。
【0060】
ID情報書き込み完了後に、管理者が、所持するID変換通信機5とユーザ通信機2とを通信させたとする。ID変換通信機5は、ユーザ通信機2のアドレス2からID情報を読み出す動作を開始する(S113)。この通信が成功し、ID情報を取得できた場合(S114でYes)、ID変換通信機5は、このID情報をユーザ通信機2のアドレス1に書き込む動作を開始する(S115)。アドレス1は、電子錠3の開閉制御のために、錠制御通信機4と照合されるID情報が格納されるアドレスである。上記の通信が成功し、ID情報がユーザ通信機2に書き込まれたとき(S116でYes)、ID変換通信機5に設けられたLED(不図示)が点灯し、通信の成功が管理者に通知される(S117)。ユーザ通信機2のアドレス1へのID情報の書き込み後に、再度、ユーザが電子錠3の開閉動作を行なう場合、S102の動作が再び行なわれる。ID変換通信機5によるID情報の読み出し又は書き込みが成功しなかった場合(S114でNo、S116でNo)、上記のLEDが点滅し、エラーが管理者に通知される(S118)。その後、S113の動作が再び行なわれる。
【0061】
図9は、上記の錠開閉制御における、ユーザ通信機2へのID情報書き込み動作(図8のS111に対応)の内容と、書き込まれたID情報の読み出し動作(図8のS115に対応)の内容とを詳細に示す。錠制御通信機4の制御部47は、自身のID情報をユーザ通信機2に送信するとき、このID情報を暗号化し(S201)、このID情報をユーザ通信機2のアドレス2に書き込む(S202)。この暗号化は、例えばID変更部48による変更前のID情報に基づいて行なわれる。このように、ID情報が暗号化されるので、ユーザ通信機2が盗難に合った場合等に、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性を高めることができる。
【0062】
錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のアドレス1のID情報と自身のID情報とが一致しない場合に、自身のID情報をユーザ通信機2のアドレス2に書き込む。アドレス1には、錠制御通信機4のID情報と照合されるID情報が格納される。ID情報の不一致は、例えば、錠制御通信機4のID情報がID変更部48により更新された場合に生じる。ID情報が一致しない場合、錠制御通信機4のID情報とユーザ通信機2のID情報とを一致させるため、アドレス2のID情報をアドレス1に書き込む必要が生じる。そこで、ID変換通信機5の制御部57は、暗号化されたID情報をユーザ通信機2のアドレス2から読み出し(S203)、このID情報を復号化する(S204)。さらに、制御部57は、復号化したID情報をユーザ通信機2のアドレス1に書き込む(S205)。
【0063】
図10は、複数台の錠制御通信機4が電子錠システム1に設けられる場合に該通信機のID情報を統一する方法を示す。電子錠システム1は、複数台の錠制御通信機4を通信可能に接続する通信線7(通信手段)をさらに備える。通信線7は、例えば、LAN(Local Area Network)、無線LAN、錠制御通信機4に電力を供給する電力線又はRS−485から成る。
【0064】
複数台の錠制御通信機4は、通信線7により相互に通信可能に接続され、これらのうち1台がマスタ設定される。マスタ設定は、例えば、マスタ端子が設けられた複数台の錠制御通信機4のうち1台のマスタ端子に、通信線7を接続することにより行なわれる。マスタ端子に通信線7が接続された錠制御通信機4の制御部47は、この接続を検知し、自身がマスタ設定されたことを認識する。
【0065】
マスタ設定された錠制御通信機4の電源がONされたとき、(1)この通信機のID変更部48のみが、該通信機のID情報を新ID情報に変更する。ここで新ID情報がIDxxに設定されたとする。(2)ID情報設定後、マスタ設定された錠制御通信機4の制御部47は、通信線7を介して、他の前記錠制御通信機4にID情報をIDxxに設定するように指示する指示信号を送信する。(3)この指示信号を受信した錠制御通信機4の制御部47は、自身のID情報を新ID情報IDxxに設定する。このようにして、マスタ設定された錠制御通信機4により、他の錠制御通信機4のID情報は設定される。
【0066】
上記のような構成により、マスタ設定された錠制御通信機4のみが新ID情報の作成を行ない、そのID情報が通信線7により他の錠制御通信機4に転送され、全ての錠制御通信機4のID情報を統一することができる。その結果、同一のユーザ通信機を使用して複数の電子錠を開閉することが可能となる。
【0067】
次に、本発明の第2の実施形態に係る電子錠システムについて図11乃至図13を参照して説明する。本実施形態の電子錠システムは、上記実施形態と比較して、ID変換通信機5が記憶部及びスイッチ部をさらに備える点で異なる。
【0068】
図11は、ID変換通信機5の構成を示す。本実施形態のID変換通信機5は、上記実施形態のID変換通信機5と比較して(図5参照)、ユーザ通信機2と送受信するID情報を含む各種情報を記憶する記憶部50(記憶手段)と、ユーザが押下げ操作可能なスイッチ部60(操作手段)と、をさらに備える点で異なる。
【0069】
記憶部50は、ユーザ通信機2から読み出したID情報を一時的に記憶するためのRAM等の揮発性メモリを含む。制御部57は、ユーザ通信機2から読み出したID情報を記憶部50に格納し、さらに記憶部50に格納したID情報を読み出して、ユーザ通信機2に書き込むことが可能である。このように、ID情報は揮発性メモリに記憶されるので、これら通信機が分解されてメモリが取り出される場合、メモリに電力が供給されなくなり、メモリに格納されたID情報は失われ、このID情報を読み出すことができなくなる。従って、ID変換通信機5が盗難に合った場合、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【0070】
また、記憶部50は、ROM(Read Only Memory)を含み、このROMは、暗号化されたID情報を復号化するためのプログラムを格納する。制御部57は、ユーザ通信機2から読み出したID情報が暗号化されている場合に、このプログラムを用いてID情報の復号化を行なう。
【0071】
スイッチ部60は、スイッチ、ボタン又はキーを含む。制御部57は、このスイッチ、ボタン又はキーがユーザにより押下げられ、スイッチ部60が操作されている間にユーザ通信機2と通信を行なうとき、ユーザ通信機2のアドレス2のID情報を読み出すと共に、記憶部50に該ID情報を記憶させる。スイッチ部60が操作されていない間にユーザ通信機2と通信を行なうとき、記憶部50に記憶させたID情報をユーザ通信機2のアドレス1に書き込む。
【0072】
図12(a)(b)(c)は、ID変換通信機5の概観を示し、同図(d)は、ID変換通信機5とユーザ通信機2とが電気的に接続されたときの様子を示す。記憶部50を構成する各種メモリは筐体58に収納される。スイッチ部60は、筐体58の表面に、ユーザが押下げ可能に設けられる。スイッチ部60は、上面、側面及び底面のうちいずれかの面に配置される。
【0073】
図13は、電子錠システム1における各通信機の錠開閉制御時の動作を、特に認証エラーが発生した時の動作を時系列に示す。ユーザ通信機2のアドレス1に格納されたID情報と、錠制御通信機4の記憶部40に格納されたID情報とが異なる場合、認証エラーが発生する。ここで、アドレス1に格納されたID情報をIDxxとし、錠制御通信機4のID情報をIDxyとする。IDxxとIDxyは、異なるID情報とする。
【0074】
(1)認証エラーが発生した場合、錠制御通信機4は、自身の新ID情報IDxyをユーザ通信機のアドレス2(#2)に自動的に書き込む。
【0075】
ユーザがID変換通信機5のスイッチ部60を操作し、ボタンを押下げている間に、ユーザ通信機2とID変換通信機5とが通信を行なったとする。ボタンが押下げられている間に、(2)ID変換通信機5は、錠制御通信機4によりユーザ通信機2のアドレス2に書き込まれたID情報を読み出す動作を開始する。(3)ユーザ通信機2は、アドレス2に格納したID情報IDxyをID変換通信機5にロードさせ、ID変換通信機5の記憶部50はIDxyを記憶する。
【0076】
アドレス2からID情報を読み出した後、ユーザがボタンの押下げを止め、スイッチ部60の操作を止めたとする。ID変換通信機5は、スイッチ部60が操作されていない間にユーザ通信機2と通信を行なうとき、(4)記憶部50に記憶させたID情報をユーザ通信機2のアドレス1に書き込み、電子錠の開閉制御のために錠制御通信機4のID情報と照合されるユーザ通信機2のID情報に新たに設定する。このように、ID変換通信機5における、ユーザ通信機2からのID情報読み出し動作と、ユーザ通信機2へのID情報書き込み動作とは、スイッチ部60の操作に応じて別々に行なわれる。このID情報書き込み動作によりユーザ通信機2のID情報が変換される。
【0077】
ユーザ通信機2のID情報変換後、ユーザが電子錠3の開閉するために、ユーザ通信機2と錠制御通信機4とを通信させたとする。(5)錠制御通信機4は、ユーザ通信機2の記憶部20のアドレス1(#1)から、ユーザ通信機2のID情報を読み出す動作を行なう。(6)ユーザ通信機2は、自身のID情報IDxyを、錠制御通信機4にロードさせる。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のこのID情報と、自身のID情報を照合する。錠制御通信機4のID情報はIDxyであるため、これらの通信機のID情報は一致する。その結果、電子錠3の開閉が可能となる。
【0078】
このように、ID変換通信機5において、ユーザ通信機2からのID情報読み出し動作と、ユーザ通信機2へのID情報書き込み動作とを別々に行なうことができるので、複数台のユーザ通信機2が設けられる場合、1台のユーザ通信機2からID情報を読み出し、その後、当該情報を複数台のユーザ通信機2に書き込むことができる。このため、複数台のユーザ通信機2が設けられる場合に、ユーザ通信機2のID情報を簡便に変更することが可能となる。
【0079】
次に、本発明の第3の実施形態に係る電子錠システムについて図14乃至図16を参照して説明する。本実施形態の電子錠システムは、上記実施形態と比較して、錠制御通信機4が、ID情報を更新するためにユーザが操作するスイッチ部をさらに備える点で異なる。
【0080】
図14は、錠制御通信機4の電気的構成を示す。本実施形態の錠制御通信機4は、上記実施形態の錠制御通信機4と比較して(図4(a)参照)、ID情報を更新するためにユーザにより操作されるスイッチ部49(操作手段)をさらに備える点で異なる。
【0081】
記憶部40は、ROM(Read Only Memory)を含み、このROMは、擬似乱数を生成するための乱数生成プログラム(ソフトウェア)を格納する。スイッチ部49は、スイッチ、ボタン又はキーを含み、ユーザの操作に基づき、上記のプログラムを用いて新ID情報を作成するように制御部47に指示する。
【0082】
制御部47のID変更部48は、スイッチ部49からの指示に基づき、上記のプログラムにより作成された擬似乱数に基づいてID情報を更新し、新ID情報を作成する。このため、ID情報を解読困難なものにすることができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、ユーザがスイッチ部49を操作したときに新ID情報が作成されるので、任意のときに錠制御通信機のID情報を更新することができる。
【0083】
図15は、ID情報更新時の錠制御通信機4の動作を示す。ここで、錠制御通信機4のID情報をIDxxとする。(1)ユーザが錠制御通信機4のスイッチ部49を操作したとき、(2)制御部47は、乱数生成のためのプログラムを実行し、ID変更部48は、このプログラムにより生成された擬似乱数に基づいて、ID情報を新ID情報に更新する。例えば、新ID情報をIDxyとすると、記憶部40に格納されるID情報は新ID情報IDxyに変更される。
【0084】
図16は、複数台の錠制御通信機4が電子錠システム1に設けられる場合に該通信機のID情報を統一する方法を示す。複数台の錠制御通信機4は、通信線7を介して互いに通信可能である。
【0085】
(1)ユーザが任意の錠制御通信機4のスイッチ部49を操作したとする。操作前のこの通信機のID情報はIDxxであったとする。(2)スイッチ部49の操作に基づき、この通信機のID変更部48が、該通信機のID情報を新ID情報に変更する。ここで新ID情報がIDxyに設定されたとする。(3)ID情報設定後、スイッチ部49を操作された錠制御通信機4の制御部47は、通信線7を介して、他の前記錠制御通信機4にID情報をIDxyに書き換えるように指示する指示信号を送信する。(4)この指示信号を受信した錠制御通信機4の制御部47は、自身のID情報を新ID情報IDxyに変更する。このようにして、ユーザの操作によりID情報が変更された錠制御通信機4は、通信線7を介して、他の錠制御通信機4のID情報を、自身の新ID情報に書き換える。
【0086】
上記のような構成により、ユーザが1台の錠制御通信機4のID情報を更新した場合、そのID情報が通信線7により他の錠制御通信機4に転送され、全ての錠制御通信機4のID情報を統一することができる。その結果、同一のユーザ通信機を使用して複数の電子錠を開閉することが可能となる。
【0087】
次に、本発明の第4の実施形態について図17及び図18を参照して説明する。本実施形態の電子錠システムは、上記実施形態と比較して、錠制御通信機4が、時間に応じてカウントを行なうカウント部をさらに有する点で異なる。
【0088】
図17は、錠制御通信機4の電気的構成を示す。本実施形態の錠制御通信機4は、上記実施形態の錠制御通信機4と比較して(図4(a)及び図14参照)、特定のときからの経過時間に応じてカウントを行なうカウント部70を有する点で異なる。
【0089】
カウント部70は、制御部47内に設けられ、時間を計測するタイマと、タイマにより計測された時間に応じてカウントを行なうカウンタと、を備える。タイマは、例えば錠制御通信機4の電源がオンされたときからの経過時間を計測し、カウンタは規定の時間が経過するごとにインクリメントされる。
【0090】
ID変更部48は、上記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成する。例えば、錠制御通信機4が、電源オン後に最初にユーザ通信機2と通信したときのカウンタの値に基づいて、新ID情報を作成する。
【0091】
図18は、ID変更部48による錠制御通信機4のID情報更新の手順を示す。錠制御通信機4の電源オン時に、カウント部70のカウンタの値は0にされる(S301)、その後、規定時間の経過に応じてカウンタの値がインクリメントされる(S301)。錠制御通信機4が、電源オン後に、ユーザ通信機2と最初の通信を開始し、ユーザ通信機2からID情報を読み出す動作を開始し(S303)、この通信が成功した場合(S504でYes)、ID変更部48は、カウンタの値に応じて新ID情報を生成する。旧ID情報は新ID情報に変更され、ID情報は更新される(S505)。上記の通信が失敗した場合(S504でNo)、S302の動作が再度行なわれる。
【0092】
このように、電源オン時から錠制御通信機4の最初の通信時までの、不定な経過時間に応じて、錠制御通信機4の新ID情報を作成することにより、解読困難なID情報を作成することができる。その結果、セキュリティ性を高めることができる。また、錠制御通信機4が最初に通信を行なうとき新ID情報が作成されるので、自動的にID情報を更新することができる。
【0093】
次に、本発明の第5の実施形態について図19を参照して説明する。本実施形態の電子錠システムは、上記実施形態と比較して、錠制御通信機4が、ID情報を更新するためにユーザが操作するスイッチ部と、時間に応じてカウントを行なうカウント部と、をさらに備える点で異なる。
【0094】
図19は、錠制御通信機4の電気的構成を示す。本実施形態の錠制御通信機4は、上記実施形態の錠制御通信機4と比較して(図4(a)、図14及び図17参照)、ID情報を更新するためにユーザが操作するスイッチ部49と、特定のときからの経過時間に応じてカウントを行なうカウント部70と、を有する点で異なる。
【0095】
スイッチ部49は、スイッチ、ボタン又はキーを含み、ユーザの操作に基づき、制御部47のID変更部48にID情報を作成する指示する指示信号を出力する。
【0096】
カウント部70は、制御部47内に設けられ、時間を計測するタイマと、タイマにより計測された時間に応じてカウントを行なうカウンタと、を備える。タイマは、例えば錠制御通信機4の電源がオンされたときからの経過時間を計測し、カウンタは規定の時間が経過するごとにインクリメントされる。
【0097】
ID変更部48は、スイッチ部49から指示信号に基づき、指示信号を受信したときの上記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成する。ユーザがスイッチ部49を操作するときは不定であるため、例えば錠制御通信機4の電源オン時からスイッチ部49の操作時までの経過時間に応じて錠制御通信機4の新ID情報を作成することにより、解読困難なID情報を作成することができる。このため、セキュリティ性を高めることができる。また、ユーザがスイッチ部49を操作したときに新ID情報が作成されるので、任意のときに錠制御通信機4のID情報を更新することができる。
【0098】
本発明は、例えば、管理者によるパチンコ台等の管理のためのセキュリティシステムに有効である。また、本発明は、上記のような実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、錠開閉制御により、電子錠3の開閉が自動的に行なわれてもよい。また、ID変換通信機5の電極51、52のうちいずれか一方がタッチ電極で、他方が結合電極であっても構わない。また、ユーザ通信機2、錠制御通信機4及びID変換通信機5の間の通信は、赤外線通信、無線通信、非接触タグ等による通信であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子錠システムの電気的構成を示すブロック図。
【図2】上記電子錠システムのユーザ通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図3】(a)は上記ユーザ通信機を示す正面図、(b)その背面図。
【図4】(a)は上記電子錠システムの電子錠及び錠制御通信機の電気的構成を示す図、(b)は上記電子錠を示す図。
【図5】上記電子錠システムのID変換通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図6】(a)は上記ID変換通信機を示す正面図、(b)はその側面図、(c)はその平面図、(d)上記ID変換通信機と上記ユーザ通信機とが電気的に接続されたときの様子を示す図。
【図7】上記電子錠システムにおける錠開閉制御時の各通信機の動作を示す図。
【図8】上記電子錠システムの錠開閉制御の動作手順を示すフローチャート。
【図9】上記錠開閉制御における、ユーザ通信機へのID情報書き込み動作と、書き込まれたID情報の読み出し動作の詳細な手順を示すフローチャート。
【図10】上記電子錠システムにおいて、相互に通信可能に接続された複数の錠制御通信機を示すブロック図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る電子錠システムを構成するID変換通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図12】(a)は上記ID変換通信機を示す正面図、(b)はその側面図、(c)はその平面図、(d)上記ID変換通信機と上記ユーザ通信機とが電気的に接続されたときの様子を示す図。
【図13】上記電子錠システムにおける各通信機の錠開閉制御時の動作を示す図。
【図14】本発明の第3の実施形態の電子錠システムを構成する錠制御通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図15】上記錠制御通信機のID情報更新時の動作を示す図。
【図16】上記電子錠システムにおいて、相互に通信可能に接続された複数の錠制御通信機を示すブロック図。
【図17】本発明の第4の実施形態の電子錠システムを構成する錠制御通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図18】上記錠制御通信機のID情報更新手順を示すフローチャート。
【図19】本発明の第5の実施形態の電子錠システムを構成する錠制御通信機の電気的構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0100】
1 電子錠システム
2 ユーザ通信機
3 電子錠
4 錠制御通信機
5 ID変換通信機
7 通信線(通信手段)
20、40、50 記憶部(記憶手段)
27、47、57 制御部
48 ID変更部(ID変更手段)
49 スイッチ部(操作手段)
60 スイッチ部(操作手段)
70 カウント部(カウント手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に錠の開閉を制御する電子錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが使用する送信器と、電子錠ロック機構が接続される受信器とで構成される電子錠システムが広く利用されている。当該システムでは、受信器は送信器からの無線信号を受信し、この信号に基づいて電子錠ロック機構が電気的に制御され、電子錠の開閉制御が行なわれる。当該開閉制御により、錠の開け閉めが自動的に行なわれるか、又は手動による錠の開け閉めが可能になる。
【0003】
上記電子錠開閉制御を行なうための信号に暗証コードが用いられ、同一の暗証コードを有するユーザによる偶然のドアの開閉を防止し、セキュリティ性を向上させるキーレスエントリーシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このキーレスエントリーシステムは、自動車等の車両の鍵の開閉を制御するためシステムであり、操作スイッチが操作されるごとに暗証コードを含む送信コードを送信する送信器と、送信コードを受信し、送信コードの暗証コードが基準コードに符合することを条件に、当該送信コードに応じた動作信号を出力する受信器とを有する。送信器は、操作スイッチが操作されるごとに、所定の関数に従って暗証コードを算出して更新し、これを含む送信コードを送信する。受信器は、この送信コードの受信ごとに、送信器と同様の関数に従って基準コードを算出して更新する。受信器において暗証コードと基準コードとが一致しなかった場合、受信器はこの送信コードを一時的に記憶する。所定の時間内に、ユーザが正規のキーをドアのキーシリンダに挿入し、ドアロック状態が変化したときのみ、この送信コードの暗証コードが、一致した暗証コードとみなされ、基準コードとして受信器に再登録される。同一の暗証コードを有するユーザは、正規のキーを有しないので、偶然のドアの開閉が防止される。なお、暗証コードと基準コードとが一致しない場合には、ユーザが送信器の操作スイッチを空押しした場合が含まれる。
【特許文献1】特開2000−314242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ユーザの動作に応じて基準コードが再登録されるので、基準コードの設定を従業員等のユーザに許可せず、管理者のみに許可するパチンコ台等に、上記キーレスエントリーシステムを導入することができなかった。また、同一のキーを複数のユーザが所有し、この同一のキーによって開閉可能な複数の錠を備えるシステムにおいて、錠のそれぞれと接続された複数の受信器のうち1つの基準コードが変更された場合、同一のキーによる複数の錠の開閉ができなくなっていた。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであり、管理者によって管理されるセキュリティ性の高い電子錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、ID情報を有し、ユーザにより所有されるユーザ通信機と、前記ユーザ通信機と通信を行ない、電子錠の開閉を制御する錠制御通信機と、前記ユーザ通信機と通信を行ない、前記ユーザ通信機のID情報を変換し、管理者により所有されるID変換通信機と、を備える電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、ID情報を有すると共に、該ID情報を変更するID変更手段を備え、前記ユーザ通信機のID情報を読み出し、前記読み出したID情報と自身のID情報とを照合し、前記ユーザ通信機のID情報が前記ID変更手段により変更された自身の新ID情報と一致する場合、電子錠の開閉を行ない、これらが一致しない場合、自身の新ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、前記ID変換通信機は、前記錠制御通信機により前記ユーザ通信機に書き込まれた新ID情報を読み出すと共に、該ID情報を、電子錠の開閉制御のために前記錠制御通信機のID情報と照合される前記ユーザ通信機のID情報に新たに設定し、前記ユーザ通信機のID情報を変換するものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子錠システムにおいて、前記ユーザ通信機は、電子錠の開閉制御のために前記錠制御通信機のID情報と照合されるID情報が格納される第1アドレスと、前記第1アドレスに格納されたID情報と前記錠制御通信機のID情報とが一致しない場合、前記錠制御通信機のID情報が格納される第2アドレスとが割り当てられる記憶手段を有し、前記ID変換通信機は、ユーザが押下げ操作可能な操作手段と、情報を記憶するための記憶手段と、を有し、前記操作手段の押下げ操作が行なわれている間に前記ユーザ通信機と通信を行なうとき、前記ユーザ通信機の記憶手段の第2アドレスに格納されるID情報を読み出すと共に、自身の記憶手段に該ID情報を記憶させ、前記操作手段の押下げ操作が行なわれていない間に前記ユーザ通信機と通信を行なうとき、自身の記憶手段に記憶させたID情報を前記ユーザ通信機の記憶手段の第1アドレスに書き込むものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、擬似乱数を生成するためのソフトウェアを格納する記憶手段をさらに有し、前記ID変更手段は、前記錠制御通信機の電源がオンされたとき、前記ソフトウェアにより作成された擬似乱数に基づいて新ID情報を作成するものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、ユーザにより操作される操作手段と、擬似乱数を生成するためのソフトウェアを格納する記憶手段と、をさらに有し、前記ID変更手段は、ユーザが前記操作手段を操作したとき、前記ソフトウェアにより作成された擬似乱数に基づいて新ID情報を作成するものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、時間に応じてカウントを行ない、カウンタをインクリメントするカウント手段をさらに有し、前記ID変更手段は、前記錠制御通信機の電源がオンされ、前記錠制御通信機が最初に通信を行なったときの前記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成するものである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1、請求項2又は請求項5のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、時間に応じてカウントを行ない、カウンタをインクリメントするカウント手段と、ユーザにより操作される操作手段と、をさらに有し、前記ID変更手段は、ユーザが前記操作手段を操作したときの前記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成するものである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、複数台の前記錠制御通信機を通信可能に接続する通信手段をさらに備え、前記錠制御通信機は、複数台設けられると共に、前記通信手段により相互に通信可能に接続され、前記複数の錠制御通信機のうち1台がマスタ設定され、前記マスタ設定された錠制御通信機の前記ID変更手段が、該通信機のID情報を新ID情報に変更するとき、前記マスタ設定された錠制御通信機は、前記通信手段を介して、他の前記錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に設定するものである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1、請求項2、請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、複数台の前記錠制御通信機を通信可能に接続する通信手段をさらに備え、前記錠制御通信機は、複数台設けられると共に、前記通信手段により相互に通信可能に接続され、任意の前記錠制御通信機の前記ID変更手段が、該通信機のID情報を新ID情報に変更するとき、前記ID情報が変更された錠制御通信機は、前記通信手段を介して、他の前記錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に書き換えるものである。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、自身のID情報を前記ユーザ通信機に送信するとき、該ID情報を暗号化し、該ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、前記ID変換通信機は、前記ユーザ通信機に書き込まれたID情報を読み出し、該ID情報を復号化し、復号化したID情報を前記ユーザ通信機に書き込むものである。
【0015】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機は、自身の新ID情報を前記ユーザ通信機に送信するとき、変更前のID情報に基づいて新ID情報を暗号化し、該ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、前記ID変換通信機は、前記ユーザ通信機に書き込まれた新ID情報を読み出し、該ID情報を復号化し、復号化した新ID情報を前記ユーザ通信機に書き込むものである。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記ユーザ通信機の前記記憶手段と、前記ID変換通信機の前記記憶手段とは、揮発性のメモリを含むものである。
【0017】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電子錠システムにおいて、前記錠制御通信機と前記ユーザ通信機との間の通信が人体通信により行なわれるものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、錠制御通信機のID情報とユーザ通信機のID情報とが一致しない場合、ID変換通信機によりユーザ通信機のID情報を新たに設定しなければ、電子錠を開閉することができないので、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、ID変換通信機は該システムの管理者により所有され、ユーザ通信機のID情報がユーザにより書き換えられることがないので、悪意あるユーザによるID情報の書き換えを防止でき、セキュリティ性を高めることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、ID変換通信機において、ユーザ通信機からのID情報読み出し動作と、ユーザ通信機へのID情報書き込み動作とを別々に行なうことができるので、複数台のユーザ通信機が設けられる場合、1台のユーザ通信機からID情報を読み出し、その後、当該情報を複数台のユーザ通信機に書き込むことができる。このため、複数台のユーザ通信機が設けられる場合に、ユーザ通信機のID情報を簡便に変更することが可能となる。
【0020】
請求項3の発明によれば、錠制御通信機の新ID情報は擬似乱数に基づいて作成されるので、ID情報の解読を困難にすることができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、錠制御通信機の電源がオンされたときに新ID情報が作成されるので、自動的にID情報を更新することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、錠制御通信機の新ID情報は擬似乱数に基づいて作成されるので、ID情報の解読を困難にすることができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、ユーザが操作手段を操作したときに新ID情報が作成されるので、任意のときに錠制御通信機のID情報を更新することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、錠制御通信機が、電源オン後に最初に通信を行なうときは不定であるため、電源オン時から通信時までの経過時間に応じて錠制御通信機の新ID情報を作成することにより、解読困難なID情報を作成することができる。このため、セキュリティ性を高めることができる。また、錠制御通信機が最初に通信を行なうとき新ID情報が作成されるので、自動的にID情報を更新することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、ユーザが操作手段を操作するときは不定であるため、特定のときから操作時までの経過時間に応じて錠制御通信機の新ID情報を作成することにより、解読困難なID情報を作成することができる。このため、セキュリティ性を高めることができる。また、ユーザが操作手段を操作したときに新ID情報が作成されるので、任意のときに錠制御通信機のID情報を更新することができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、マスタ設定された錠制御通信機のID情報が更新されたとき、他の錠制御通信機のID情報は、マスタ設定された錠制御通信機により、該通信機の新ID情報に設定される。このため、複数台の錠制御通信機のID情報を統一することができ、同一のユーザ通信機を使用して複数の電子錠を開閉することができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、ID情報が変更された任意の錠制御通信機は、他の錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に書き換えることができるので、複数台の錠制御通信機のID情報を統一することができる。このため、同一のユーザ通信機を使用して複数の電子錠を開閉することが可能となる。
【0026】
請求項9の発明によれば、錠制御通信機は、自身の新ID情報をユーザ通信機に送信するとき、該ID情報を暗号化するので、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性を高めることができる。
【0027】
請求項10の発明によれば、錠制御通信機は、自身の新ID情報をユーザ通信機に送信するとき、変更前のID情報に基づいて新ID情報を暗号化するので、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性を高めることができる。
【0028】
請求項11の発明によれば、ユーザ通信機の記憶手段と、ID変換通信機の記憶手段とは、揮発性のメモリを含むので、これらの通信機を分解してメモリを取り出す場合、メモリに電力が供給されなくなり、メモリに格納されたID情報は失われ、このID情報を読み出すことができなくなる。このため、これらの通信機が盗難に合った場合、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【0029】
請求項12の発明によれば、錠制御通信機とユーザ通信機との間の通信が人体通信により行なわれるので、頻繁に電子錠の開閉を行なう場合、これらの通信機に触れるだけで通信が可能になり、使い勝手を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の第1の実施形態に係る電子錠システムについて図1乃至図10を参照して説明する。
【0031】
図1は、電子錠システムの構成を示す。電子錠システム1は、ID情報を有し、ユーザにより所有されるユーザ通信機2と、ユーザ通信機2と双方向通信を行ない、電子錠3の開閉を制御する錠制御通信機4と、ユーザ通信機2と双方向通信を行ない、ユーザ通信機2のID情報を変換し、管理者により所有されるID変換通信機5と、を備える。
【0032】
ユーザ通信機2は、情報を記憶するための記憶部20(記憶手段)を有する。記憶部20は、ユーザ通信機2のID情報を記憶するためのRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む。
【0033】
電子錠3は、錠制御通信機4により開閉動作が電気的に制御される。この開閉動作の制御により、手動による電子錠3の開閉が可能になる。
【0034】
錠制御通信機4は、情報を記憶するための記憶部40(記憶手段)を有する。記憶部40は、錠制御通信機4のID情報を記憶するためのRAM等の揮発性メモリを含む。また、錠制御通信機4は、自身のID情報を変更するID変更部48(ID変更手段)を備える。ID変更部48は、錠制御通信機4の電源がオフされて、さらにオンされたとき、錠制御通信機4のID情報を変更する。さらに、錠制御通信機4は、ユーザ通信機2からID情報を読み出し、この読み出したID情報と自身のID情報を照合して、一致又は不一致の判定を下す。
【0035】
上記の各種通信機の記憶部20、40において、ID情報は揮発性メモリに記憶されるので、これら通信機が分解されてメモリが取り出される場合、メモリに電力が供給されなくなり、メモリに格納されたID情報は失われ、このID情報を読み出すことができなくなる。従って、ユーザ通信機2又は錠制御通信機4が盗難に合った場合、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【0036】
図2は、ユーザ通信機2の電気的構成を示す。ユーザ通信機2は、錠制御通信機4又はID変換通信機5と送受信するID情報を含む各種情報を記憶する記憶部20と、ユーザの人体又はID変換通信機5の電極と接触する2個の電極21、22と、送信する情報に基づいて電気信号を変調して変調信号を生成する変調部23と、変調部23からの変調信号に基づく電圧を電極21、22の間に印加する電圧印加部24と、を有する電気回路を備える。さらに、ユーザ通信機2は、電極21、22の間の電圧を検出する電圧検出部25と、検出した電圧信号を復調して、情報を抽出する復調部26と、各部を制御し、各種演算を行なう制御部27と、各部に電力を供給する電池(不図示)と、を有する電気回路を備える。
【0037】
制御部27は、CPU等を含む制御回路で構成される。また、制御部27は、錠制御通信機4又はID変換通信機5からの電気信号を電圧検出部25を介して受信したとき、上記の電池に変調部23及び電圧印加部24へ電力を供給させてもよい。このように電力供給を制限することにより、消費電力を低減することができる。
【0038】
図3(a)(b)は、ユーザ通信機2の概観を示す。上記の各部の電気回路は、筐体28に収納される。電極21、22は、筐体28表面に、ユーザの人体表面と接触可能に設けられる。例えば、電極21、22は腕と接触可能に設けられ、腕の長さ方向に離れて位置するように配設される。筐体28はバンド29に連結される。バンド29により筐体28を腕に固定することができる。
【0039】
図4(a)(b)は、電子錠3及び錠制御通信機4の構成を示す。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2と送受信するID情報を含む各種情報を記憶する記憶部40と、電子錠3の開閉のためにユーザが接触可能なタッチ電極41と、ユーザとの静電結合を確保するための結合電極42と、タッチ電極41と結合電極42との間の電圧を検出する電圧検出部43と、検出した電圧信号を復調して、情報を抽出する復調部44と、を有する電気回路を備える。さらに、錠制御通信機4は、送信する情報に基づいて電気信号を変調して変調信号を生成する変調部45と、変調部45からの変調信号に基づく電圧をタッチ電極41と結合電極42との間に印加する電圧印加部46と、各部を制御し、各種演算を行なう制御部47と、各部に電力を供給する電池(不図示)と、を有する電気回路を備える。制御部47は、CPU等を含む制御回路で構成され、錠制御通信機4のID情報を変更するためのID変更部48(ID変更手段)と、を有する。
【0040】
電子錠3は、ソレノイドで構成される錠開閉部30を内部に備え、さらに、ユーザが錠を開閉するためにつまんで回転させるつまみ部31を外部に備える。錠開閉部30は、錠制御通信機4の制御部47からの信号に基づいて、錠の開閉制御を行なう。この開閉制御により、ユーザがつまみ部31を回転させて錠を開閉させることが可能となる。
【0041】
電子錠3のつまみ部31は、錠制御通信機4のタッチ電極41を成す。ユーザがつまみ部31を触ったとき、ユーザ通信機2と錠制御通信機4とは、電極21、22と、ユーザの人体と、タッチ電極41とを介して、通信を行なう。制御部47は、ユーザ通信機2から受信した該通信機のID情報と、記憶部40に格納されたID情報とを照合し、これらは一致すると判定した場合、電子錠3の開錠制御を行なう。開錠制御により、ユーザがつまみ部31を回転させることが可能となる。一方、これらの情報が一致しない場合、ユーザがつまみ部31を回転させることはできない。
【0042】
このように、ユーザ通信機2と錠制御通信機4との間の通信は人体通信により行なわれるので、頻繁に電子錠3の開閉を行なう場合、これらの通信機に触れるだけで通信が可能になり、使い勝手を良くすることができる。
【0043】
錠制御通信機4の記憶部40は、ROM(Read Only Memory)を含み、このROMは、擬似乱数を生成するためのプログラム(ソフトウェア)と、ID情報を暗号化するためのプログラムと、を格納する。ID変更部48は、錠制御通信機4の電源がオンされたとき、乱数生成のためのプログラムにより作成された擬似乱数に基づいてID情報を更新し、新ID情報を作成する。このため、ID情報を解読困難なものにすることができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、錠制御通信機4の電源がオンされたときに新ID情報が作成されるので、自動的にID情報を更新することができる。
【0044】
制御部47は、ユーザ通信機2からID情報を読み出し、記憶部40に格納されたID情報とユーザ通信機2のID情報とを照合して、これらの情報の一致又は不一致を判定する。これらの情報が不一致である場合、制御部47は、記憶部40に格納されたID情報をユーザ通信機2に書き込む。ID情報書き込みの際、制御部47は、上記の暗号化のためのプログラムを用いてID情報を暗号化し、暗号化したID情報を出力する。
【0045】
図5は、ID変換通信機5の構成を示す。ID変換通信機5は、ユーザ通信機2の電極21、22と接触する5個の電極51、52と、電極51、52の間の電圧を検出する電圧検出部53と、検出した電圧信号を復調して、情報を抽出する復調部54と、を有する電気回路を備える。さらに、ID変換通信機5は、送信する情報に基づいて電気信号を変調して変調信号を生成する変調部55と、変調部55からの変調信号に基づく電圧を電極51、52の間に印加する電圧印加部56と、各部を制御し、各種演算を行なう制御部57と、各部に電力を供給する電池(不図示)とを有する電気回路を備える。
【0046】
制御部57は、CPU等を含む制御回路で構成され、ユーザ通信機2からのID情報の読み出し及びユーザ通信機2へのID情報書き込みが可能である。また、制御部57は、読み出したユーザ通信機2のID情報が暗号化されている場合、暗号化されたID情報を復号化する。
【0047】
図6(a)(b)(c)は、ID変換通信機5の概観を示し、同図(d)は、ID変換通信機5とユーザ通信機2とが電気的に接続されたときの様子を示す。上記の各部の電気回路は筐体58に収納される。筐体58の表面に、電極51、52と、ユーザ通信機2の電極21、22が電極51、52と接するようにユーザ通信機2を固定するためのガイド59と、が設けられる。ガイド59は、ユーザ通信機2の筐体28の形状に合わせて成形される。ユーザ通信機2の電極21、22と、ID変換通信機5の電極51、52とが接触することにより、これらの通信機は電気的に接続され、これらの間で通信を行なうことが可能となる。
【0048】
図7は、電子錠システム1における錠開閉制御時の各通信機の動作を時系列に示す。錠制御通信機4の記憶部40は、例えばIDxxという自身のID情報を記憶しているとする。ユーザが錠の開閉動作を開始した場合、ユーザが所持するユーザ通信機2と錠制御通信機4とが通信を開始する。
【0049】
(1)まず、錠制御通信機4は、ユーザ通信機2の記憶部20のアドレス1(#1)から、ユーザ通信機2のID情報を読み出す動作を行なう。(2)ユーザ通信機2は、例えばIDxxという自身のID情報を、錠制御通信機4にロードさせる。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のこのID情報と、自身のID情報を照合する。これらのID情報は、IDxxであり、一致するため、電子錠3の開閉が可能となる。なお、このアドレス1は、電子錠3を開閉制御するために錠制御通信機4のID情報と照合されるID情報が格納されるアドレスである。
【0050】
(3)錠制御通信機4の電源がOFFされて、さらにONされたとき、(4)錠制御通信機4のID変更部48は、錠制御通信機4のID情報を新ID情報に変更する。例えば、新ID情報をIDxyとすると、記憶部40に格納されるID情報は新ID情報IDxyに変更される。この新ID情報は、記憶部40に格納された、擬似乱数を生成するためのプログラムに基づいて作成される。
【0051】
錠制御通信機4のID情報更新後、ユーザが電子錠3の開閉するために、ユーザ通信機2と錠制御通信機4とを通信させたとする。(5)錠制御通信機4は、ユーザ通信機2の記憶部20のアドレス1から、ユーザ通信機2のID情報を読み出す動作を行なう。(6)ユーザ通信機2は、IDxxという自身のID情報を、錠制御通信機4にロードさせる。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のこのID情報と、自身のID情報を照合する。ユーザ通信機2のID情報はIDxxであり、錠制御通信機4のID情報はIDxyであるので、これらのID情報は一致しない。このため、認証エラーが発生し、電子錠3の開閉は許可されない。認証エラーが発生した場合、複数回、ID情報の読み出し動作及び照合動作を繰り返してもよい。
【0052】
(7)認証エラーが発生した場合、錠制御通信機4は、自身の新ID情報IDxyをユーザ通信機のアドレス2(#2)に自動的に書き込む。なお、このアドレス2は、アドレス1に格納されたID情報と錠制御通信機4のID情報とが一致しない場合、錠制御通信機4のID情報が格納されるアドレスである。
【0053】
(8)ID変換通信機5は、錠制御通信機4によりユーザ通信機2のアドレス2に書き込まれた新ID情報を読み出す。(9)ユーザ通信機2は、アドレス2に格納したID情報IDxyをID変換通信機5にロードさせる。(10)ID変換通信機5は、このID情報IDxyを、ユーザ通信機2のアドレス1に書き込み、電子錠の開閉制御のために錠制御通信機4のID情報と照合されるユーザ通信機2のID情報に新たに設定する。このようにして、ユーザ通信機2のID情報が変換される。
【0054】
ユーザ通信機2のID情報変換後、ユーザが電子錠3の開閉するために、ユーザ通信機2と錠制御通信機4とを通信させたとする。(11)錠制御通信機4は、ユーザ通信機2の記憶部20のアドレス1から、ユーザ通信機2のID情報を読み出す動作を行なう。(12)ユーザ通信機2は、自身のID情報IDxyを、錠制御通信機4にロードさせる。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のこのID情報と、自身のID情報を照合する。錠制御通信機4のID情報はIDxyであるため、これらの通信機のID情報は一致する。その結果、電子錠3の開閉が可能となる。
【0055】
このように、錠制御通信機4のID情報とユーザ通信機2のID情報とが一致しない場合、ID変換通信機5によりユーザ通信機のID情報を新たに設定しなければ、電子錠3を開閉することができないので、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、ID変換通信機5は該システムの管理者により所有され、ユーザ通信機のID情報がユーザにより書き換えられることがないので、悪意あるユーザによるID情報の書き換えを防止でき、セキュリティ性を高めることができる。
【0056】
図8は、電子錠システム1の錠開閉制御の動作手順を示す。特に、錠制御通信機4のID情報が更新された後の錠開閉制御の動作手順を示す。
【0057】
錠制御通信機4のID情報が更新されたとする。ID情報の更新時に、ID変更部48により新ID情報が生成され、旧ID情報が新ID情報に変更される(S101)。ユーザがユーザ通信機2を用いて電子錠3を開錠する動作を開始したとき、錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のアドレス1からID情報を読み出す動作を開始し、ユーザ通信機2と通信を始める(S102)。この通信が成功し、錠制御通信機4がユーザ通信機2のID情報を取得できた場合(S103でYes)、錠制御通信機4は、自身のID情報とユーザ通信機2のID情報とを照合する(S104)。通信が成功しなかった場合(S103でNo)、錠制御通信機4に設けられたLED(不図示)が点滅し、エラーの発生をユーザに報知する。その後、再びS102の動作が行なわれる。
【0058】
照合の結果、これらのID情報が一致した場合(S105でYes)、電子錠3は開錠制御される(S106)。開錠制御により、ユーザが電子錠3のつまみ部31を回転させることが可能となり、電子錠3が取り付けられた扉等を開けることができる。電子錠3が開錠制御された後、ユーザが扉等を開けず(S107でNo)、所定の時間が経過した場合(S108でYes)、電子錠3は自動的に施錠され、再度電子錠3の開閉動作が行なわれる場合、S102の動作が再び行なわれる(S109)。所定の時間が経過しない間(S108でNo)、電子錠3は開錠された状態で待機する。一方、電子錠3が開錠された後、ユーザが扉等を開け(S107でYes)、次にユーザが扉等を閉じた場合(S110でYes)、電子錠3は自動的に施錠される(S109)。ユーザが扉等を開けた後、扉を閉じない間(S110でNo)、電子錠3は開錠された状態で待機する。
【0059】
照合の結果、これらのID情報が一致しない場合(S105でNo)、錠制御通信機4は、自身のID情報を、ユーザ通信機2のアドレス2へ書き込むために通信を開始する(S111)。この通信が成功しない場合(S112でNo)、上記のLEDが点滅し、エラーの発生をユーザに報知し、繰り返し書き込み動作が行なわれる。この通信が成功してID情報の書き込みが完了したとき(S112でYes)、上記のLEDは点灯し、成功をユーザに通知する。
【0060】
ID情報書き込み完了後に、管理者が、所持するID変換通信機5とユーザ通信機2とを通信させたとする。ID変換通信機5は、ユーザ通信機2のアドレス2からID情報を読み出す動作を開始する(S113)。この通信が成功し、ID情報を取得できた場合(S114でYes)、ID変換通信機5は、このID情報をユーザ通信機2のアドレス1に書き込む動作を開始する(S115)。アドレス1は、電子錠3の開閉制御のために、錠制御通信機4と照合されるID情報が格納されるアドレスである。上記の通信が成功し、ID情報がユーザ通信機2に書き込まれたとき(S116でYes)、ID変換通信機5に設けられたLED(不図示)が点灯し、通信の成功が管理者に通知される(S117)。ユーザ通信機2のアドレス1へのID情報の書き込み後に、再度、ユーザが電子錠3の開閉動作を行なう場合、S102の動作が再び行なわれる。ID変換通信機5によるID情報の読み出し又は書き込みが成功しなかった場合(S114でNo、S116でNo)、上記のLEDが点滅し、エラーが管理者に通知される(S118)。その後、S113の動作が再び行なわれる。
【0061】
図9は、上記の錠開閉制御における、ユーザ通信機2へのID情報書き込み動作(図8のS111に対応)の内容と、書き込まれたID情報の読み出し動作(図8のS115に対応)の内容とを詳細に示す。錠制御通信機4の制御部47は、自身のID情報をユーザ通信機2に送信するとき、このID情報を暗号化し(S201)、このID情報をユーザ通信機2のアドレス2に書き込む(S202)。この暗号化は、例えばID変更部48による変更前のID情報に基づいて行なわれる。このように、ID情報が暗号化されるので、ユーザ通信機2が盗難に合った場合等に、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性を高めることができる。
【0062】
錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のアドレス1のID情報と自身のID情報とが一致しない場合に、自身のID情報をユーザ通信機2のアドレス2に書き込む。アドレス1には、錠制御通信機4のID情報と照合されるID情報が格納される。ID情報の不一致は、例えば、錠制御通信機4のID情報がID変更部48により更新された場合に生じる。ID情報が一致しない場合、錠制御通信機4のID情報とユーザ通信機2のID情報とを一致させるため、アドレス2のID情報をアドレス1に書き込む必要が生じる。そこで、ID変換通信機5の制御部57は、暗号化されたID情報をユーザ通信機2のアドレス2から読み出し(S203)、このID情報を復号化する(S204)。さらに、制御部57は、復号化したID情報をユーザ通信機2のアドレス1に書き込む(S205)。
【0063】
図10は、複数台の錠制御通信機4が電子錠システム1に設けられる場合に該通信機のID情報を統一する方法を示す。電子錠システム1は、複数台の錠制御通信機4を通信可能に接続する通信線7(通信手段)をさらに備える。通信線7は、例えば、LAN(Local Area Network)、無線LAN、錠制御通信機4に電力を供給する電力線又はRS−485から成る。
【0064】
複数台の錠制御通信機4は、通信線7により相互に通信可能に接続され、これらのうち1台がマスタ設定される。マスタ設定は、例えば、マスタ端子が設けられた複数台の錠制御通信機4のうち1台のマスタ端子に、通信線7を接続することにより行なわれる。マスタ端子に通信線7が接続された錠制御通信機4の制御部47は、この接続を検知し、自身がマスタ設定されたことを認識する。
【0065】
マスタ設定された錠制御通信機4の電源がONされたとき、(1)この通信機のID変更部48のみが、該通信機のID情報を新ID情報に変更する。ここで新ID情報がIDxxに設定されたとする。(2)ID情報設定後、マスタ設定された錠制御通信機4の制御部47は、通信線7を介して、他の前記錠制御通信機4にID情報をIDxxに設定するように指示する指示信号を送信する。(3)この指示信号を受信した錠制御通信機4の制御部47は、自身のID情報を新ID情報IDxxに設定する。このようにして、マスタ設定された錠制御通信機4により、他の錠制御通信機4のID情報は設定される。
【0066】
上記のような構成により、マスタ設定された錠制御通信機4のみが新ID情報の作成を行ない、そのID情報が通信線7により他の錠制御通信機4に転送され、全ての錠制御通信機4のID情報を統一することができる。その結果、同一のユーザ通信機を使用して複数の電子錠を開閉することが可能となる。
【0067】
次に、本発明の第2の実施形態に係る電子錠システムについて図11乃至図13を参照して説明する。本実施形態の電子錠システムは、上記実施形態と比較して、ID変換通信機5が記憶部及びスイッチ部をさらに備える点で異なる。
【0068】
図11は、ID変換通信機5の構成を示す。本実施形態のID変換通信機5は、上記実施形態のID変換通信機5と比較して(図5参照)、ユーザ通信機2と送受信するID情報を含む各種情報を記憶する記憶部50(記憶手段)と、ユーザが押下げ操作可能なスイッチ部60(操作手段)と、をさらに備える点で異なる。
【0069】
記憶部50は、ユーザ通信機2から読み出したID情報を一時的に記憶するためのRAM等の揮発性メモリを含む。制御部57は、ユーザ通信機2から読み出したID情報を記憶部50に格納し、さらに記憶部50に格納したID情報を読み出して、ユーザ通信機2に書き込むことが可能である。このように、ID情報は揮発性メモリに記憶されるので、これら通信機が分解されてメモリが取り出される場合、メモリに電力が供給されなくなり、メモリに格納されたID情報は失われ、このID情報を読み出すことができなくなる。従って、ID変換通信機5が盗難に合った場合、ID情報の漏洩を防ぐことができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【0070】
また、記憶部50は、ROM(Read Only Memory)を含み、このROMは、暗号化されたID情報を復号化するためのプログラムを格納する。制御部57は、ユーザ通信機2から読み出したID情報が暗号化されている場合に、このプログラムを用いてID情報の復号化を行なう。
【0071】
スイッチ部60は、スイッチ、ボタン又はキーを含む。制御部57は、このスイッチ、ボタン又はキーがユーザにより押下げられ、スイッチ部60が操作されている間にユーザ通信機2と通信を行なうとき、ユーザ通信機2のアドレス2のID情報を読み出すと共に、記憶部50に該ID情報を記憶させる。スイッチ部60が操作されていない間にユーザ通信機2と通信を行なうとき、記憶部50に記憶させたID情報をユーザ通信機2のアドレス1に書き込む。
【0072】
図12(a)(b)(c)は、ID変換通信機5の概観を示し、同図(d)は、ID変換通信機5とユーザ通信機2とが電気的に接続されたときの様子を示す。記憶部50を構成する各種メモリは筐体58に収納される。スイッチ部60は、筐体58の表面に、ユーザが押下げ可能に設けられる。スイッチ部60は、上面、側面及び底面のうちいずれかの面に配置される。
【0073】
図13は、電子錠システム1における各通信機の錠開閉制御時の動作を、特に認証エラーが発生した時の動作を時系列に示す。ユーザ通信機2のアドレス1に格納されたID情報と、錠制御通信機4の記憶部40に格納されたID情報とが異なる場合、認証エラーが発生する。ここで、アドレス1に格納されたID情報をIDxxとし、錠制御通信機4のID情報をIDxyとする。IDxxとIDxyは、異なるID情報とする。
【0074】
(1)認証エラーが発生した場合、錠制御通信機4は、自身の新ID情報IDxyをユーザ通信機のアドレス2(#2)に自動的に書き込む。
【0075】
ユーザがID変換通信機5のスイッチ部60を操作し、ボタンを押下げている間に、ユーザ通信機2とID変換通信機5とが通信を行なったとする。ボタンが押下げられている間に、(2)ID変換通信機5は、錠制御通信機4によりユーザ通信機2のアドレス2に書き込まれたID情報を読み出す動作を開始する。(3)ユーザ通信機2は、アドレス2に格納したID情報IDxyをID変換通信機5にロードさせ、ID変換通信機5の記憶部50はIDxyを記憶する。
【0076】
アドレス2からID情報を読み出した後、ユーザがボタンの押下げを止め、スイッチ部60の操作を止めたとする。ID変換通信機5は、スイッチ部60が操作されていない間にユーザ通信機2と通信を行なうとき、(4)記憶部50に記憶させたID情報をユーザ通信機2のアドレス1に書き込み、電子錠の開閉制御のために錠制御通信機4のID情報と照合されるユーザ通信機2のID情報に新たに設定する。このように、ID変換通信機5における、ユーザ通信機2からのID情報読み出し動作と、ユーザ通信機2へのID情報書き込み動作とは、スイッチ部60の操作に応じて別々に行なわれる。このID情報書き込み動作によりユーザ通信機2のID情報が変換される。
【0077】
ユーザ通信機2のID情報変換後、ユーザが電子錠3の開閉するために、ユーザ通信機2と錠制御通信機4とを通信させたとする。(5)錠制御通信機4は、ユーザ通信機2の記憶部20のアドレス1(#1)から、ユーザ通信機2のID情報を読み出す動作を行なう。(6)ユーザ通信機2は、自身のID情報IDxyを、錠制御通信機4にロードさせる。錠制御通信機4は、ユーザ通信機2のこのID情報と、自身のID情報を照合する。錠制御通信機4のID情報はIDxyであるため、これらの通信機のID情報は一致する。その結果、電子錠3の開閉が可能となる。
【0078】
このように、ID変換通信機5において、ユーザ通信機2からのID情報読み出し動作と、ユーザ通信機2へのID情報書き込み動作とを別々に行なうことができるので、複数台のユーザ通信機2が設けられる場合、1台のユーザ通信機2からID情報を読み出し、その後、当該情報を複数台のユーザ通信機2に書き込むことができる。このため、複数台のユーザ通信機2が設けられる場合に、ユーザ通信機2のID情報を簡便に変更することが可能となる。
【0079】
次に、本発明の第3の実施形態に係る電子錠システムについて図14乃至図16を参照して説明する。本実施形態の電子錠システムは、上記実施形態と比較して、錠制御通信機4が、ID情報を更新するためにユーザが操作するスイッチ部をさらに備える点で異なる。
【0080】
図14は、錠制御通信機4の電気的構成を示す。本実施形態の錠制御通信機4は、上記実施形態の錠制御通信機4と比較して(図4(a)参照)、ID情報を更新するためにユーザにより操作されるスイッチ部49(操作手段)をさらに備える点で異なる。
【0081】
記憶部40は、ROM(Read Only Memory)を含み、このROMは、擬似乱数を生成するための乱数生成プログラム(ソフトウェア)を格納する。スイッチ部49は、スイッチ、ボタン又はキーを含み、ユーザの操作に基づき、上記のプログラムを用いて新ID情報を作成するように制御部47に指示する。
【0082】
制御部47のID変更部48は、スイッチ部49からの指示に基づき、上記のプログラムにより作成された擬似乱数に基づいてID情報を更新し、新ID情報を作成する。このため、ID情報を解読困難なものにすることができ、セキュリティ性の向上を図ることができる。また、ユーザがスイッチ部49を操作したときに新ID情報が作成されるので、任意のときに錠制御通信機のID情報を更新することができる。
【0083】
図15は、ID情報更新時の錠制御通信機4の動作を示す。ここで、錠制御通信機4のID情報をIDxxとする。(1)ユーザが錠制御通信機4のスイッチ部49を操作したとき、(2)制御部47は、乱数生成のためのプログラムを実行し、ID変更部48は、このプログラムにより生成された擬似乱数に基づいて、ID情報を新ID情報に更新する。例えば、新ID情報をIDxyとすると、記憶部40に格納されるID情報は新ID情報IDxyに変更される。
【0084】
図16は、複数台の錠制御通信機4が電子錠システム1に設けられる場合に該通信機のID情報を統一する方法を示す。複数台の錠制御通信機4は、通信線7を介して互いに通信可能である。
【0085】
(1)ユーザが任意の錠制御通信機4のスイッチ部49を操作したとする。操作前のこの通信機のID情報はIDxxであったとする。(2)スイッチ部49の操作に基づき、この通信機のID変更部48が、該通信機のID情報を新ID情報に変更する。ここで新ID情報がIDxyに設定されたとする。(3)ID情報設定後、スイッチ部49を操作された錠制御通信機4の制御部47は、通信線7を介して、他の前記錠制御通信機4にID情報をIDxyに書き換えるように指示する指示信号を送信する。(4)この指示信号を受信した錠制御通信機4の制御部47は、自身のID情報を新ID情報IDxyに変更する。このようにして、ユーザの操作によりID情報が変更された錠制御通信機4は、通信線7を介して、他の錠制御通信機4のID情報を、自身の新ID情報に書き換える。
【0086】
上記のような構成により、ユーザが1台の錠制御通信機4のID情報を更新した場合、そのID情報が通信線7により他の錠制御通信機4に転送され、全ての錠制御通信機4のID情報を統一することができる。その結果、同一のユーザ通信機を使用して複数の電子錠を開閉することが可能となる。
【0087】
次に、本発明の第4の実施形態について図17及び図18を参照して説明する。本実施形態の電子錠システムは、上記実施形態と比較して、錠制御通信機4が、時間に応じてカウントを行なうカウント部をさらに有する点で異なる。
【0088】
図17は、錠制御通信機4の電気的構成を示す。本実施形態の錠制御通信機4は、上記実施形態の錠制御通信機4と比較して(図4(a)及び図14参照)、特定のときからの経過時間に応じてカウントを行なうカウント部70を有する点で異なる。
【0089】
カウント部70は、制御部47内に設けられ、時間を計測するタイマと、タイマにより計測された時間に応じてカウントを行なうカウンタと、を備える。タイマは、例えば錠制御通信機4の電源がオンされたときからの経過時間を計測し、カウンタは規定の時間が経過するごとにインクリメントされる。
【0090】
ID変更部48は、上記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成する。例えば、錠制御通信機4が、電源オン後に最初にユーザ通信機2と通信したときのカウンタの値に基づいて、新ID情報を作成する。
【0091】
図18は、ID変更部48による錠制御通信機4のID情報更新の手順を示す。錠制御通信機4の電源オン時に、カウント部70のカウンタの値は0にされる(S301)、その後、規定時間の経過に応じてカウンタの値がインクリメントされる(S301)。錠制御通信機4が、電源オン後に、ユーザ通信機2と最初の通信を開始し、ユーザ通信機2からID情報を読み出す動作を開始し(S303)、この通信が成功した場合(S504でYes)、ID変更部48は、カウンタの値に応じて新ID情報を生成する。旧ID情報は新ID情報に変更され、ID情報は更新される(S505)。上記の通信が失敗した場合(S504でNo)、S302の動作が再度行なわれる。
【0092】
このように、電源オン時から錠制御通信機4の最初の通信時までの、不定な経過時間に応じて、錠制御通信機4の新ID情報を作成することにより、解読困難なID情報を作成することができる。その結果、セキュリティ性を高めることができる。また、錠制御通信機4が最初に通信を行なうとき新ID情報が作成されるので、自動的にID情報を更新することができる。
【0093】
次に、本発明の第5の実施形態について図19を参照して説明する。本実施形態の電子錠システムは、上記実施形態と比較して、錠制御通信機4が、ID情報を更新するためにユーザが操作するスイッチ部と、時間に応じてカウントを行なうカウント部と、をさらに備える点で異なる。
【0094】
図19は、錠制御通信機4の電気的構成を示す。本実施形態の錠制御通信機4は、上記実施形態の錠制御通信機4と比較して(図4(a)、図14及び図17参照)、ID情報を更新するためにユーザが操作するスイッチ部49と、特定のときからの経過時間に応じてカウントを行なうカウント部70と、を有する点で異なる。
【0095】
スイッチ部49は、スイッチ、ボタン又はキーを含み、ユーザの操作に基づき、制御部47のID変更部48にID情報を作成する指示する指示信号を出力する。
【0096】
カウント部70は、制御部47内に設けられ、時間を計測するタイマと、タイマにより計測された時間に応じてカウントを行なうカウンタと、を備える。タイマは、例えば錠制御通信機4の電源がオンされたときからの経過時間を計測し、カウンタは規定の時間が経過するごとにインクリメントされる。
【0097】
ID変更部48は、スイッチ部49から指示信号に基づき、指示信号を受信したときの上記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成する。ユーザがスイッチ部49を操作するときは不定であるため、例えば錠制御通信機4の電源オン時からスイッチ部49の操作時までの経過時間に応じて錠制御通信機4の新ID情報を作成することにより、解読困難なID情報を作成することができる。このため、セキュリティ性を高めることができる。また、ユーザがスイッチ部49を操作したときに新ID情報が作成されるので、任意のときに錠制御通信機4のID情報を更新することができる。
【0098】
本発明は、例えば、管理者によるパチンコ台等の管理のためのセキュリティシステムに有効である。また、本発明は、上記のような実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、錠開閉制御により、電子錠3の開閉が自動的に行なわれてもよい。また、ID変換通信機5の電極51、52のうちいずれか一方がタッチ電極で、他方が結合電極であっても構わない。また、ユーザ通信機2、錠制御通信機4及びID変換通信機5の間の通信は、赤外線通信、無線通信、非接触タグ等による通信であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子錠システムの電気的構成を示すブロック図。
【図2】上記電子錠システムのユーザ通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図3】(a)は上記ユーザ通信機を示す正面図、(b)その背面図。
【図4】(a)は上記電子錠システムの電子錠及び錠制御通信機の電気的構成を示す図、(b)は上記電子錠を示す図。
【図5】上記電子錠システムのID変換通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図6】(a)は上記ID変換通信機を示す正面図、(b)はその側面図、(c)はその平面図、(d)上記ID変換通信機と上記ユーザ通信機とが電気的に接続されたときの様子を示す図。
【図7】上記電子錠システムにおける錠開閉制御時の各通信機の動作を示す図。
【図8】上記電子錠システムの錠開閉制御の動作手順を示すフローチャート。
【図9】上記錠開閉制御における、ユーザ通信機へのID情報書き込み動作と、書き込まれたID情報の読み出し動作の詳細な手順を示すフローチャート。
【図10】上記電子錠システムにおいて、相互に通信可能に接続された複数の錠制御通信機を示すブロック図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る電子錠システムを構成するID変換通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図12】(a)は上記ID変換通信機を示す正面図、(b)はその側面図、(c)はその平面図、(d)上記ID変換通信機と上記ユーザ通信機とが電気的に接続されたときの様子を示す図。
【図13】上記電子錠システムにおける各通信機の錠開閉制御時の動作を示す図。
【図14】本発明の第3の実施形態の電子錠システムを構成する錠制御通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図15】上記錠制御通信機のID情報更新時の動作を示す図。
【図16】上記電子錠システムにおいて、相互に通信可能に接続された複数の錠制御通信機を示すブロック図。
【図17】本発明の第4の実施形態の電子錠システムを構成する錠制御通信機の電気的構成を示すブロック図。
【図18】上記錠制御通信機のID情報更新手順を示すフローチャート。
【図19】本発明の第5の実施形態の電子錠システムを構成する錠制御通信機の電気的構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0100】
1 電子錠システム
2 ユーザ通信機
3 電子錠
4 錠制御通信機
5 ID変換通信機
7 通信線(通信手段)
20、40、50 記憶部(記憶手段)
27、47、57 制御部
48 ID変更部(ID変更手段)
49 スイッチ部(操作手段)
60 スイッチ部(操作手段)
70 カウント部(カウント手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ID情報を有し、ユーザにより所有されるユーザ通信機と、
前記ユーザ通信機と通信を行ない、電子錠の開閉を制御する錠制御通信機と、
前記ユーザ通信機と通信を行ない、前記ユーザ通信機のID情報を変換し、管理者により所有されるID変換通信機と、を備える電子錠システムにおいて、
前記錠制御通信機は、ID情報を有すると共に、該ID情報を変更するID変更手段を備え、前記ユーザ通信機のID情報を読み出し、前記読み出したID情報と自身のID情報とを照合し、前記ユーザ通信機のID情報が前記ID変更手段により変更された自身の新ID情報と一致する場合、電子錠の開閉を行ない、これらが一致しない場合、自身の新ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、
前記ID変換通信機は、前記錠制御通信機により前記ユーザ通信機に書き込まれた新ID情報を読み出すと共に、該ID情報を、電子錠の開閉制御のために前記錠制御通信機のID情報と照合される前記ユーザ通信機のID情報に新たに設定し、前記ユーザ通信機のID情報を変換することを特徴とする電子錠システム。
【請求項2】
前記ユーザ通信機は、電子錠の開閉制御のために前記錠制御通信機のID情報と照合されるID情報が格納される第1アドレスと、前記第1アドレスに格納されたID情報と前記錠制御通信機のID情報とが一致しない場合、前記錠制御通信機のID情報が格納される第2アドレスとが割り当てられる記憶手段を有し、
前記ID変換通信機は、ユーザが押下げ操作可能な操作手段と、情報を記憶するための記憶手段と、を有し、前記操作手段の押下げ操作が行なわれている間に前記ユーザ通信機と通信を行なうとき、前記ユーザ通信機の記憶手段の第2アドレスに格納されるID情報を読み出すと共に、自身の記憶手段に該ID情報を記憶させ、前記操作手段の押下げ操作が行なわれていない間に前記ユーザ通信機と通信を行なうとき、自身の記憶手段に記憶させたID情報を前記ユーザ通信機の記憶手段の第1アドレスに書き込むことを特徴とする請求項1に記載の電子錠システム。
【請求項3】
前記錠制御通信機は、擬似乱数を生成するためのソフトウェアを格納する記憶手段をさらに有し、
前記ID変更手段は、前記錠制御通信機の電源がオンされたとき、前記ソフトウェアにより作成された擬似乱数に基づいて新ID情報を作成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子錠システム。
【請求項4】
前記錠制御通信機は、ユーザにより操作される操作手段と、擬似乱数を生成するためのソフトウェアを格納する記憶手段と、をさらに有し、
前記ID変更手段は、ユーザが前記操作手段を操作したとき、前記ソフトウェアにより作成された擬似乱数に基づいて新ID情報を作成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項5】
前記錠制御通信機は、時間に応じてカウントを行ない、カウンタをインクリメントするカウント手段をさらに有し、
前記ID変更手段は、前記錠制御通信機の電源がオンされ、前記錠制御通信機が最初に通信を行なったときの前記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子錠システム。
【請求項6】
前記錠制御通信機は、時間に応じてカウントを行ない、カウンタをインクリメントするカウント手段と、ユーザにより操作される操作手段と、をさらに有し、
前記ID変更手段は、ユーザが前記操作手段を操作したときの前記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項5のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項7】
複数台の前記錠制御通信機を通信可能に接続する通信手段をさらに備え、
前記錠制御通信機は、複数台設けられると共に、前記通信手段により相互に通信可能に接続され、
前記複数の錠制御通信機のうち1台がマスタ設定され、
前記マスタ設定された錠制御通信機の前記ID変更手段が、該通信機のID情報を新ID情報に変更するとき、前記マスタ設定された錠制御通信機は、前記通信手段を介して、他の前記錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項8】
複数台の前記錠制御通信機を通信可能に接続する通信手段をさらに備え、
前記錠制御通信機は、複数台設けられると共に、前記通信手段により相互に通信可能に接続され、任意の前記錠制御通信機の前記ID変更手段が、該通信機のID情報を新ID情報に変更するとき、前記ID情報が変更された錠制御通信機は、前記通信手段を介して、他の前記錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に書き換えることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項9】
前記錠制御通信機は、自身のID情報を前記ユーザ通信機に送信するとき、該ID情報を暗号化し、該ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、
前記ID変換通信機は、前記ユーザ通信機に書き込まれたID情報を読み出し、該ID情報を復号化し、復号化したID情報を前記ユーザ通信機に書き込むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項10】
前記錠制御通信機は、自身の新ID情報を前記ユーザ通信機に送信するとき、変更前のID情報に基づいて新ID情報を暗号化し、該ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、
前記ID変換通信機は、前記ユーザ通信機に書き込まれた新ID情報を読み出し、該ID情報を復号化し、復号化した新ID情報を前記ユーザ通信機に書き込むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項11】
前記ユーザ通信機の前記記憶手段と、前記ID変換通信機の前記記憶手段とは、揮発性のメモリを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項12】
前記錠制御通信機と前記ユーザ通信機との間の通信が人体通信により行なわれることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項1】
ID情報を有し、ユーザにより所有されるユーザ通信機と、
前記ユーザ通信機と通信を行ない、電子錠の開閉を制御する錠制御通信機と、
前記ユーザ通信機と通信を行ない、前記ユーザ通信機のID情報を変換し、管理者により所有されるID変換通信機と、を備える電子錠システムにおいて、
前記錠制御通信機は、ID情報を有すると共に、該ID情報を変更するID変更手段を備え、前記ユーザ通信機のID情報を読み出し、前記読み出したID情報と自身のID情報とを照合し、前記ユーザ通信機のID情報が前記ID変更手段により変更された自身の新ID情報と一致する場合、電子錠の開閉を行ない、これらが一致しない場合、自身の新ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、
前記ID変換通信機は、前記錠制御通信機により前記ユーザ通信機に書き込まれた新ID情報を読み出すと共に、該ID情報を、電子錠の開閉制御のために前記錠制御通信機のID情報と照合される前記ユーザ通信機のID情報に新たに設定し、前記ユーザ通信機のID情報を変換することを特徴とする電子錠システム。
【請求項2】
前記ユーザ通信機は、電子錠の開閉制御のために前記錠制御通信機のID情報と照合されるID情報が格納される第1アドレスと、前記第1アドレスに格納されたID情報と前記錠制御通信機のID情報とが一致しない場合、前記錠制御通信機のID情報が格納される第2アドレスとが割り当てられる記憶手段を有し、
前記ID変換通信機は、ユーザが押下げ操作可能な操作手段と、情報を記憶するための記憶手段と、を有し、前記操作手段の押下げ操作が行なわれている間に前記ユーザ通信機と通信を行なうとき、前記ユーザ通信機の記憶手段の第2アドレスに格納されるID情報を読み出すと共に、自身の記憶手段に該ID情報を記憶させ、前記操作手段の押下げ操作が行なわれていない間に前記ユーザ通信機と通信を行なうとき、自身の記憶手段に記憶させたID情報を前記ユーザ通信機の記憶手段の第1アドレスに書き込むことを特徴とする請求項1に記載の電子錠システム。
【請求項3】
前記錠制御通信機は、擬似乱数を生成するためのソフトウェアを格納する記憶手段をさらに有し、
前記ID変更手段は、前記錠制御通信機の電源がオンされたとき、前記ソフトウェアにより作成された擬似乱数に基づいて新ID情報を作成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子錠システム。
【請求項4】
前記錠制御通信機は、ユーザにより操作される操作手段と、擬似乱数を生成するためのソフトウェアを格納する記憶手段と、をさらに有し、
前記ID変更手段は、ユーザが前記操作手段を操作したとき、前記ソフトウェアにより作成された擬似乱数に基づいて新ID情報を作成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項5】
前記錠制御通信機は、時間に応じてカウントを行ない、カウンタをインクリメントするカウント手段をさらに有し、
前記ID変更手段は、前記錠制御通信機の電源がオンされ、前記錠制御通信機が最初に通信を行なったときの前記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子錠システム。
【請求項6】
前記錠制御通信機は、時間に応じてカウントを行ない、カウンタをインクリメントするカウント手段と、ユーザにより操作される操作手段と、をさらに有し、
前記ID変更手段は、ユーザが前記操作手段を操作したときの前記カウンタの値に基づいて新ID情報を作成することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項5のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項7】
複数台の前記錠制御通信機を通信可能に接続する通信手段をさらに備え、
前記錠制御通信機は、複数台設けられると共に、前記通信手段により相互に通信可能に接続され、
前記複数の錠制御通信機のうち1台がマスタ設定され、
前記マスタ設定された錠制御通信機の前記ID変更手段が、該通信機のID情報を新ID情報に変更するとき、前記マスタ設定された錠制御通信機は、前記通信手段を介して、他の前記錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項8】
複数台の前記錠制御通信機を通信可能に接続する通信手段をさらに備え、
前記錠制御通信機は、複数台設けられると共に、前記通信手段により相互に通信可能に接続され、任意の前記錠制御通信機の前記ID変更手段が、該通信機のID情報を新ID情報に変更するとき、前記ID情報が変更された錠制御通信機は、前記通信手段を介して、他の前記錠制御通信機のID情報を、自身の新ID情報に書き換えることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項9】
前記錠制御通信機は、自身のID情報を前記ユーザ通信機に送信するとき、該ID情報を暗号化し、該ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、
前記ID変換通信機は、前記ユーザ通信機に書き込まれたID情報を読み出し、該ID情報を復号化し、復号化したID情報を前記ユーザ通信機に書き込むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項10】
前記錠制御通信機は、自身の新ID情報を前記ユーザ通信機に送信するとき、変更前のID情報に基づいて新ID情報を暗号化し、該ID情報を前記ユーザ通信機に書き込み、
前記ID変換通信機は、前記ユーザ通信機に書き込まれた新ID情報を読み出し、該ID情報を復号化し、復号化した新ID情報を前記ユーザ通信機に書き込むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項11】
前記ユーザ通信機の前記記憶手段と、前記ID変換通信機の前記記憶手段とは、揮発性のメモリを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の電子錠システム。
【請求項12】
前記錠制御通信機と前記ユーザ通信機との間の通信が人体通信により行なわれることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電子錠システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−224571(P2007−224571A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45874(P2006−45874)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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