説明

電子錠及び遊技機

【課題】扉が外部から不正に開けられないようにし、また扉の内方での配置スペースを大きくとらない配置構成にできる電子錠を提供する。
【解決手段】本体12の前面を開閉する前面扉13を、外部より送信部141を用いて内部の受信部23と無線で通信することにより電子ロック機構22を施錠または解錠する電子錠であって、先端部にロック爪32,39を有するロックレバーL2,L4を回動自由に支持するリンク機構26と、前記リンク機構26に駆動力を伝達させてリンク動作させることにより、前記ロックレバーL2,L4を一方に回動させてロックする施錠位置と他方に回動させてロック解除させる解錠位置とに回動させる駆動部25とを本体12側に構成し、前記ロックレバーL2,L4のロック爪32,39と対応して係合するロック係合部42を前面扉13側に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スロットマシン等の遊技機の扉を非接触に施錠または解錠する電子錠に関し、さらに詳しくは扉の開閉に対するセキュリティ性の高い電子錠及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりスロットマシン等の遊技機には、扉を本体側に施錠する防犯性の高い施錠装置が組込まれている。この種の施錠装置は、扉にシリンダ錠を備え、その内部に固定設置された受け金具に対し、軸を支点に傾動させて係止または離脱するように設けられたロック用の鉤部材を設けており、鍵をシリンダ錠に差込んで回した場合に施錠または解錠される構造に設計されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、不正に扉と本体との隙間から針金等を差込み、内部の鉤部材に直接力を加えて該鉤部材を傾動操作させれば合鍵を用いないで解錠されるおそれがある。ことに、鉤部材を上下に配置して構成していても、上下の鉤部材は合鍵の動きに連動して施錠または解錠動作される構成であるため、例えば下側の鉤部材が不正に傾動されると、その動きが連結杆を介して上側の鉤部材にも伝わってしまい、この結果、上下の鉤部材が共に受け金具から離脱されて扉が不正に開けられてしまう。よって、本来ならば合鍵を用いなければ解錠できないはずの施錠装置が、合鍵を用いることなく解錠されてしまう問題を有していた。
【0004】
このほか、防犯対策を備えた施錠装置として、係止爪やリンク構造により施錠する施錠機構は不変とし、錠シリンダ部(解錠ユニット)を差し替えることにより、防犯性を高めるという手法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
しかし、このような手法でも、合鍵を用いない外部からの不正行為に対しては対処できない問題を有していた。例えば、不正に外部から内部の係止爪に直接力を加えて、該係止爪の係合を強制的に外して扉を開けるという不正行為に対しては何ら防止できず、セキュリティ性が低いものであった。
【0006】
さらに、機器の防犯対策として、送信装置より送信された送信情報が内部の受信装置に受信されることで、内部のロック機構を施錠または解錠する電子錠を備えたドア用電子錠装置が知られている(例えば特許文献3参照)。
【0007】
ところが、この種のドア用電子錠装置のロック構造は、扉側にロック機構の主要部が備えられる構成のため、外表面に近い扉の内面側に構成されるロック機構に対して不正行為がされやすい配置構成である。このため、扉のロック機構(施錠機構)が破壊されやすく、またセキュリティ性を高めるために、ロック装置や扉の強度を増大させることが考えられるが、この場合は施錠装置が大型化して本体の内部スペースを狭めたり、コスト高を誘起したりする問題が発生する。
【0008】
【特許文献1】実開平2−3785号
【特許文献2】特開2005−095419号
【特許文献3】特開平9−177396号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこでこの発明は、扉が外部から不正に開けられないようにし、また扉のロック機能を高めたセキュリティ性の高い電子錠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、本体の前面を開閉する扉を、外部より送信装置を用いて内部の受信装置と無線で通信することにより扉のロック機構を施錠または解錠する電子錠であって、先端部にロック爪を有するロックレバーを回動自由に支持するリンク機構と、前記リンク機構に駆動力を伝達させてリンク動作させることにより、前記ロックレバーを一方に回動させてロックする施錠位置と他方に回動させてロック解除させる解錠位置とに回動させる駆動手段とを前記本体側に構成し、前記ロックレバーのロック爪と対応して係合するロック係合部を前記扉側に構成した電子錠であることを特徴とする。
【0011】
この電子錠は扉の外部から無線で通信して内部のロック機構を施錠または解錠するものであり、ICタグ、非接触式カード、リモートコントローラ等の送信装置を用いて遠隔位置から容易に操作することができる。この場合、ロック機構の主要部を本体側に配設し、ロック機構の一部を扉側に配設しているので、ロック機構の主要部は外部の扉側からは遠くなり、本体側で保護された状態に配設されて不正行為を防止するのに適した配置構成となる。このため、ロック機構に対する外部からの不正行為を困難にし、セキュリティ性が高い電子錠にすることができる。
【0012】
この発明の態様として、前記リンク機構は、前記駆動手段の駆動に連動して前記本体の内側壁に沿った方向に動く駆動リンクと、前記本体の前面に沿った方向にスライド許容されるスライドレバーと、前記スライドレバーの一端に枢着され、中間部を回動支点とする先端部にロック爪を備え、基端部が前記駆動リンクに連結され、該駆動リンクの動きに連動して先端部側を回動させる第1ロックレバーと、前記スライドレバーの他端に枢着され、基端部を回動支点に該スライドレバーのスライド動作に連動してロック爪が備えられた先端部側を回動させる第2ロックレバーとを設けて構成することができる。
【0013】
前記第1ロックレバーはスライドレバーを介さず、駆動リンクに連結されて駆動リンクの動きを直接受けて回動するリンク構成であるのに対し、前記第2ロックレバーは、第1ロックレバーの動きに連動してスライドするスライドレバーのスライドする動きに連動して回動するリンク構成である。よって、第1ロックレバーが回動しないと第2ロックレバーは回動しないことになる。
【0014】
この発明の態様として、前記駆動手段は、前記本体の内側壁に沿設される駆動モータと、前記駆動モータの回転軸上に備えられるウォームギアと、前記ウォームギアに噛合するウォームホイールとからなり、前記ウォームホイールを前記本体の開閉対応側の内側壁に平面対向する方向に設定して沿設することができる。
【0015】
この発明によると、駆動モータからの出力伝達部材として設けられるウォームホイールが、本体の開閉対応側の内側壁に沿った状態で回動する配置構成となるため、駆動手段を本体の内部空間の一方の内側壁に集約させて配置することができる。このため、本体の内部空間を大きく取らず、薄型の駆動手段として配置できる。
【0016】
この発明の態様として、前記駆動手段が前記ロックレバーを一方に回動させてロックする施錠位置または他方に回動させてロック解除する解錠位置に回動させたことを検知する検知手段を備えて構成することができる。
【0017】
この発明によると、ロックレバーの回動位置を検知手段で検知できるのでロックレバーが施錠位置か解錠位置かの位置情報を正確に取得できる。このため、ロックレバーのロック状態を正確に監視できるほか、ロックレバーを初期セットする場合は回動位置情報からロックレバーを正確に初期セットすることができる。
【0018】
このように構成された電子錠を遊技機に組込めば、扉に対する防犯性及び信頼性の高い遊技機を実現できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、ロック機構に対する外部からの不正行為を困難にし、セキュリティ性の高い電子錠を構築できる。
【実施例】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図1はスロットマシンの内部を開放して示す斜視図である。このスロットマシン11の内部を開閉する開閉構造は、箱形状を有する本体12の前面開口部を、該本体12の前面に取付けられて片開き式に開閉する前面扉13により開閉操作される。この前面扉13を開けた本体12側の内部空間の上部には、3列を1組として組込まれたリール部14を設置し、下部中央にメダルを取り込み及び払出処理するメダル払出装置15を設置し、その左側に電源装置16を設置し、右側にオーバフロータンク17を設置している。
【0021】
一方、前面扉13側には、遊技操作面としての前面に図示しない遊技操作部が備えられ、後面の上部より下部にかけてリール表示窓18と、メダルの適否を選別する投入メダル選別装置(メダルセレクタ)19と、メダル返却通路20等を有している。そして、本体12側の前記リール部14の外周面に備えられた絵柄14aを回転・停止させて遊技利用を行う。
【0022】
さらに、このスロットマシン11の本体12には電子錠を組込んで、前面扉13を非接触に開閉する施錠構造を有している。この施錠構造は前面扉13を本体12側で片開き式に支持する側とは反対側の本体の内側壁(図1の右側)21に、電子錠の主構成部である電子ロック機構22を備えている。また、該電子ロック機構22と対応する前面扉13には後述するロック係合部(図6参照)42を備えている。そして、前面扉13の後面上部に電子錠情報通信用のアンテナを備えた受信部23を備えている。
【0023】
図2は本体に取り付けられる電子ロック機構を示す斜視図である。この電子ロック機構22は、本体右側の内側壁21の上側に制御部24を配設し、その下側に駆動部25を配設し、本体右側の内側壁21の前部に縦方向に沿ってリンク機構26を配設している。
【0024】
前記制御部24は、送信部141(図14参照)から受信部23に電子錠情報が送信されたとき、その電子錠情報を照合し、有効と判定すれば、前記駆動部25に対して施錠または解錠する信号を出力する。
【0025】
図3は電子ロック機構の駆動部とリンク機構を内部側から見た斜視図、図4は電子ロック機構の駆動部とリンク機構を外部側から見た斜視図、図5は電子ロック機構の駆動部とリンク機構を外部側から見た分解斜視図である。前記駆動部25は、駆動モータMと、ウォームギアG1と、ウォームホイールG2と、第1検知センサS1と、第2検知センサS2とをベース27に搭載し、またこれらを箱形状のカバー28で覆って構成している。
【0026】
前記ベース27は平板状を有し、該ベース27の平板面を前記内側壁21に平面対応させた状態でビス止めして一体に取付けている。このベース27に前記駆動モータMの軸方向を上下方向に設定して固定し、該駆動モータMの上下方向に突出する回転軸29の上端部にウォームギアG1を固定し、下端部に保守用の手動操作円盤30を固定している。
【0027】
前記ウォームギアG1と噛合する対応位置には、ウォームホイールG2を対設させてウォームギアG1の駆動によりウォームホイールG2を正逆転自在に回動させる出力構造を有している。このウォームホイールG2には後述するリンク機構26が連結され、駆動モータMの出力がウォームギアG1及びウォームホイールG2を介してリンク機構26に伝達される。
【0028】
さらに、ウォームホイールG2には該ウォームホイールG2の軸心を中心とする扇形の第1検知片31aと第2検知片31bとを一体に取付けており、これらの両検知片31a,31bの回動軌跡上に、第1検知センサS1と第2検知センサS2が配設されている。そして、これら両検知センサS1,S2の検知信号によって、駆動モータMの出力が施錠動作を完了した位置か、解錠動作を完了した位置か、あるいはその途中の位置かを制御部24で判断する。
【0029】
この場合、駆動モータMの軸方向を上下方向に設定して内側壁21に沿わせた状態に配置する。また、駆動モータMより動力伝達される動力伝達部材においても内側壁21に沿わせた向きに配置して薄型化を図っている。具体的には、駆動モータMの駆動力を受けて連動して回転するウォームホイールG2と、駆動リンク片L1及び下ロックレバーL2が回転する方向を内側壁21と平行する向きに設定して沿設する。よって、これらの駆動伝達部材は内側壁21に沿って動くため薄型の構成部材となって配置でき、本体12の内部スペースを大きく取らない薄型の駆動部25として配置できる。
【0030】
また、駆動部25の動力伝達部材としてウォームギアG1を採用することにより、該ウォームギアG1の噛合特性からウォームギアG1側からのみ回転し、他側からは回転力を受付けない。このため、外部から前面扉13をこじ開けようとするような不正な外力を加えても、ウォームギアG1は回転せず、その外力の伝達を阻止する不正対策に適した動力伝達構造となる。
【0031】
前記リンク機構26は、駆動リンク片L1と、下ロックレバーL2と、スライドレバーL3と、上ロックレバーL4とから構成される。
前記駆動リンク片L1は、長尺板状を有してウォームホイールG2と下ロックレバーL2との間を動力伝達可能に連結し、ウォームホイールG2の回転運動に該駆動リンク片L1が追従して回動し、この回動力を受けた下ロックレバーL2を回動させてロック・ロック解除させる役目を有している。
【0032】
前記下ロックレバーL2は、先端部に下面を切欠いたロック爪32を有し、基端部に前記駆動リンク片L1と回動自由に接続される枢着部33を有し、中間部に該下ロックレバーL2の回動支点となる支点ピン34を有している。そして、この支点ピン34を前記ベース27の前部側に枢着させて、駆動リンク片L1からの回転伝達力を下ロックレバーL2が受けたとき、該下ロックレバーL2は支点ピン34を回動支点に回動する。その回動領域は下ロックレバーL2がロック対応する位置となる水平位置と、先端のロック爪32が斜め上向きに傾斜したロック解除位置となる傾斜位置との間で回動させる。
【0033】
前記スライドレバーL3は、高さ方向に細長く延びる長尺板にて形成され、該スライドレバーL3の下端部と前記下ロックレバーL2の中間部とが交差する逆T字形の位置を枢支ピン35によって枢着している。よって、このスライドレバーL3は下ロックレバーL2からの回動力を受けて上下方向にスライドする構成を有している。
【0034】
このスライドレバーL3のスライドに際して、前記ベース27の前端側には上下方向にコ型状の空間部が形成された下部ガイドレール36を有し、ここにスライドレバーL3の下部側が上下方向にスライドガイドされる。また、該スライドレバーL3の下部を枢支する枢支ピン35が、前記ベース27の前部側に縦長に開口されている昇降ガイド孔37にガイドさせて、該スライドレバーL3を枢支ピン35の上下動ストロークだけ上下動許容している。さらに、スライドレバーL3の上部側は内側壁21に固定されている縦長の本体ガイドフレーム(図5参照)38によって上下方向がガイドされている。
【0035】
前記上ロックレバーL4は、先端部に下面を切欠いたロック爪39を有し、基端部に前記スライドレバーL3の上端部と回動自由に接続される枢着部40を有し、中間部に該上ロックレバーL4の回動支点となる支点ピン41を有している。そして、この支点ピン41を前記本体ガイドフレーム38の上部に枢着させて、スライドレバーL3からの上下動による伝達力を該上ロックレバーL4が受けたとき、該上ロックレバーL4は支点ピン41を回動支点に回動する。その回動領域も前記下ロックレバーL2と同様に、該上ロックレバーL4がロック対応する位置となる水平位置と、先端のロック爪39が斜め上向きに傾斜したロック解除位置となる傾斜位置との間で回動させる。
【0036】
この場合、上ロックレバーL4は、駆動リンク片L1と下ロックレバーL2とを経由した回動力を受けて上下動するスライドレバーL3の動きに追従して回動するリンク構成であるのに対し、下ロックレバーL2は駆動リンク片L1からの動きを直接受けて回動するリンク構成である。よって、両ロックレバーL2,L4の動きは同一の駆動源でありながら、スライドレバーL3の上下でロックする上下のロック爪39,32をロック動作させるリンク機構26を有している。
【0037】
図6は前面扉側に備えられるロック係合部を示す要部拡大斜視図である。該前面扉13側に備えられるロック係合部42は、前記縦長の本体ガイドフレーム38と対応する前面扉13側に同じく縦長の扉フレーム43を配設し、この扉フレーム43の上部と下部に各ロック係合部44,45を構成するものであって、該扉フレーム43の上部に上ロックレバーL4と対応してロックする上ロック係合部44を配設し、該扉フレーム43の下部に下ロックレバーL2と対応してロックする下ロック係合部45を配設している。
【0038】
そして、前面扉13の開閉に際して、上下の位置でロック係合部44,45にロック・ロック解除する両ロックレバーL2,L4の動きは、駆動モータMからの駆動力を受けた際に同期して回動し、両ロックレバーL2,L4が同時にロック動作またはロック解除動作を行う。
【0039】
図7は上ロックレバーのロック状態を示す要部斜視図、図8は上ロックレバーのロック解除状態を示す要部斜視図である。上ロック係合部44は、コ型状に突出する固定係合部46を上ロックレバーL4が対応する扉フレーム43の高さ位置に配設し、この固定係合部46のコ型空間部に、該固定係合部46よりやや小さいコ型状の可動係合部47を上下方向にスライド許容して配置し、該可動係合部47の上端部をロック爪係合用に固定係合部46より上方に突出させている。
【0040】
そして、この突出した可動係合部47の上端部に上ロックレバーL4のロック爪39が上方より係合してロックされる。このロック爪39が係合する可動係合部47に対しては滑らかな可動係合作用を得るため、上部が扉フレーム43の連結片43aに連結され、下部が可動係合部47の連結片47aに連結されて上下方向に伸縮許容するコイル状のスプリング48が取付けられている。
【0041】
そして、ロック爪39が係合されていない場合は、スプリング48が無負荷の状態に有り、ロック爪39と可動係合部47との係合時に該可動係合部47が下向きの負荷を受けた場合に、該可動係合部47が下向きにスライド退避するように該スプリング48の収縮力に抗して係合代分を下動させ、可動係合部47を緩やかに下動させる。
【0042】
さらに、扉フレーム43には上部開閉対応面に扉検知片49を突出しており、この扉検知片49が本体ガイドフレーム38に取付けられている光電検知用の扉上部検知センサS3によって検知されることにより前面扉上部での開閉動作が検知される。
【0043】
また、扉フレーム43には上部に高さ位置合せ用の水平な開閉案内板50を有しており、この開閉案内板50の下面と対応する本体ガイドフレーム38にはプラスチックベアリング51が取付けられており、前面扉13の開閉時に開閉案内板50の下面とプラスチックベアリング51の上面とが対応して前面扉13は高さ位置合せしながら円滑に開閉操作される。
【0044】
さらに、ロック爪39の三角にとがった先端の傾斜部分に沿って側面に折れ曲がって一の字に傾斜突片52を突出させている。この傾斜突片52は、可動係合部47の受け側となる上端面47bとの接触時に傾斜接触面積を広くとって受け側の摩耗を防ぐ役目を有すると共に、上ロックレバーL4が可動係合部47より離脱して後退したときに、本体ガイドフレーム38の戻り規制突片53(図8参照)に該傾斜突片52を係止させて、上ロックレバーL4をロック解除待機位置に待機させる役目を有している。
【0045】
また、上ロックレバーL4をスライドレバーL3に枢支させる枢支ピン41は、本体ガイドフレーム38に縦長に開口されている昇降ガイド孔54の上下間を移動する。
【0046】
図9は下ロックレバーのロック状態を示す要部斜視図、図10は下ロックレバーのロック解除状態を示す要部斜視図である。下ロック係合部45は、下ロックレバーL2と対応する扉フレーム43の高さ位置に配設され、前記上ロック係合部44と同じロック係合構造を有するものである。よって、前記上ロック係合部44と同じロック係合作用を行うため、同じ説明については同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0047】
前述の上ロックレバーL4のロック爪39が可動係合部47にロックする時に該可動係合部47が下動対応してロック動作し、この上部でのロック動作と同様に下部においても下ロックレバーL2のロック爪32に可動係合部47が可動対応して同様にロック動作し、これらのロック動作上ロック係合部44と下ロック係合部45とで個別に行われるため、上下で独立したロック動作となり、電子ロック機構22に対する扉外部からの不正行為を、より困難にすることができる。
【0048】
さらに、扉フレーム43には下部開閉対応面に扉検知片55(図6参照)を突出しており、前面扉13を閉鎖した時に該扉検知片55が、本体ガイドフレーム38側に取付けられている光電検知用の扉下部検知センサS4によって検知される。これにより、前面扉下部での開閉動作が検知される。また、扉フレーム43の下部開閉対応面には前面扉13を開く時に、前面扉13を開方向に押し出す押出棒56が備えられている。
【0049】
図11は電子ロック機構がロックしている時の検知状態を示す要部側面図、図12は電子ロック機構がロック解除途中である時の検知状態を示す要部側面図、図13は電子ロック機構がロック解除完了した時の検知状態を示す要部側面図である。上ロックレバーL4と共に下ロックレバーL2が前面扉13をロックしている状態では、図11に示すように、第1検知センサS1の光軸が第1検知片31aにより遮光され、第2検知センサS2の光軸が第2検知片31bにより遮光された両遮光状態にある。そして、下ロックレバーL2がロック解除され始めるロック解除途中時では、図12に示すように、第1検知センサS1が第1検知片31aを検知しない透光状態と、第2検知センサS2の光軸が第2検知片31bにより遮光された遮光状態との片遮光状態にある。さらに、下ロックレバーL2が完全にロック解除されたロック解除完了時では、図13に示すように、第1検知センサS1が第1検知片31aを検知せず、第2検知センサS2も第2検知片31bを検知しなくなった両透光状態にある。
【0050】
図14は電子錠の制御回路ブロック図である。この電子錠の制御部24は無線により通信されるICタグや非接触式カード等の送信部(無線通信媒体)141から送信された信号を、受信部23のアンテナを介して受信し、この受信した信号の適否を制御部24が判定し、適正な信号と判定した場合は駆動モータMを駆動してウォームギアG1及びウォームホイールG2を回転させて駆動出力し、このとき回転されたウォームホイールG2の回転位置を第1検知センサS1及び第2検知センサS2で検知することにより、各ロックレバーL2,L4が回動されてロック動作またはロック解除動作したことを確認する。また、扉上部検知センサS3及び扉下部検知センサS4の検知信号によって前面扉13が本体12より開閉操作されたことを確認する。
【0051】
このように構成された電子ロック機構22は、駆動部25やリンク機構26のロック動作する主要部を本体12側に配設し、電子ロック機構22の固定部であるロック係合部42を前面扉13側に配設しているので、電子ロック機構22の主要部は外部の前面扉13側からは遠くなり、本体12側の内部で保護された状態にあり、外部からの不正行為を防止するのに適した配置構成となる。このため、電子ロック機構22に対する外部からの不正行為を困難にし、セキュリティ性の高い電子錠を構築できる。
【0052】
次に、電子ロック機構22の施錠位置出し動作を図15のフローチャートを参照して説明する。
遊技ホールの営業開始時等にスロットマシン11の電源をONした場合(ステップn1)、この電源ONに基づいて制御部24は駆動モータMを駆動し、ウォームギアG1及びウォームホイールG2を回転させる(ステップn2)。
【0053】
このとき、ウォームギアG1及びウォームホイールG2を回転させる方向は、スロットマシン11の電源をONしたときの第1検知センサS1と第2検知センサS2の検知状態によって決まる。
例えば、第1検知センサS1が第1検知片31aを検知していて、第2検知センサS2が第2検知片31bを検知していていれば、ウォームギアG1及びウォームホイールG2を正回転させる。このウォームホイールG2が回転したとき、制御部24は該ウォームホイールG2と一体に回転する第1検知片31aと第2検知片31bが、第1検知センサS1と第2検知センサS2との双方を共に遮光する位置まで駆動モータMを出力させる (ステップn3)。
【0054】
そして、これら両検知センサS1,S2が共に遮光されると、制御部24は電子ロック機構22がロック動作を完了し、前面扉13が閉鎖された状態であると判断し、駆動モータMの出力を停止させる(ステップn4)。これにより、制御部24は電子ロック機構22の施錠位置出しが完了したと判断することができ、電源ONに伴い自動的に電子ロック機構22の初期設定が完了する(ステップn5)。
【0055】
ところで、このような施錠位置出し動作に伴ってロックされる電子ロック機構22のロック状態では、上ロックレバーL4との間で上下動しながら係合する可動係合部47との上部係合作用と、下ロックレバーL2との間で上下動しながら係合する可動係合部47との下部係合作用とにより、上下で独立してロックされる構成を有しているため、ロック性能を高めることができる。
【0056】
ことに、駆動部25からリンク機構26への動力伝達に際しては、駆動モータMからウォームギアG1及びウォームホイールG2を介してリンク機構26へと動力伝達するため、このウォームギアG1とウォームホイールG2との噛合特性の性質から可逆伝達阻止機能が働いて、出力側から逆向きの外力が加わっても阻止することができる。よって、前面扉13を不正に開操作しようと試みられても、その強制的な不正を阻止する不正対策に優れたロック構造が得られる。
【0057】
次に、電子ロック機構22の解錠処理動作を図16のフローチャートを参照して説明する。
送信部141から受信部23に解錠信号が送信されると(ステップn11)、その信号は受信部23で受信され、制御部24で予め登録された登録済の信号であるか否かを照合し、適正と確認すると、制御部24は駆動モータMを正転させてウォームギアG1及びウォームホイールG2を正回転させる(ステップn12)。これに基づいて制御部24は第1検知センサS1と第2検知センサS2とが遮光状態から両透光状態になるまで駆動出力する(ステップn13)。
【0058】
そして、制御部24が両検知センサS1,S2からの透光信号と、上扉開閉検知センサS3及び下扉開閉検知センサS4からの透光信号を検知確認すれば(ステップn14)、電子ロック機構22のロックが解錠されて、前面扉13が本体12より開操作されていると判断することができる。その後、制御部24は次に前面扉13が開操作されるのに備えて、駆動モータMを逆回転させて下ロックレバーL2及び上ロックレバーL4をロック係合可能な水平状態のロック位置に戻して直ちにロックできるようにする(ステップn15)。そして、両検知センサS1,S2が遮光されると、両ロックレバーL2,L4がロック位置に待機されたと確認することができ(ステップn16)、電子ロック機構22による前面扉13の解錠動作が完了する(ステップn17)。
【0059】
上述のように、電子ロック機構の主要部を本体側に配置して、外部の前面扉側からは遠くなる位置関係にあるため、外部から電子ロック機構に対する不正行為を困難にしてセキュリティ性の高い電子錠を構築できる。また、電子ロック機構の主要部を本体側に配置する際も、本体側の内側壁に沿設される配置構成のため薄型化が図れ、本体の内部スペースを狭めない利点を有している。
【0060】
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明の扉は、実施例の前面扉13に対応し、
以下同様に、
ロック機構は、電子ロック機構22に対応し、
送信装置は、送信部141に対応し、
受信装置は、受信部23に対応し、
第1ロックレバーは、下ロックレバーL2に対応し、
第2ロックレバーは、上ロックレバーL4に対応し、
駆動手段は、駆動部25に対応し、
ロック係合部は、ロック係合部42及び上ロック係合部44と下ロック係合部45に対応し、
検知手段は、第1検知センサS1と第2検知センサS2に対応し、
遊技機は、スロットマシン11に対応するも、この発明は請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、上述の一実施例の構成のみに限定されるものではない。例えば、スロットマシン11に限らず、パチンコ機などの他の遊技機にも適用できるほか、自動販売機などの本体と扉からなる開閉構造を有するものであれば何れの構造物にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】スロットマシンの内部を開放して示す斜視図。
【図2】本体に取付けられる電子ロック機構の主要部を示す斜視図。
【図3】電子ロック機構の駆動部とリンク機構とを内部側から見た斜視図。
【図4】電子ロック機構の駆動部とリンク機構とを外部側から見た斜視図。
【図5】電子ロック機構の駆動部とリンク機構を示す分解斜視図。
【図6】ロック係合部側を一部省略して示す要部拡大斜視図。
【図7】上ロックレバーのロック状態を示す要部斜視図。
【図8】上ロックレバーのロック解除状態を示す要部斜視図。
【図9】下ロックレバーのロック状態を示す要部斜視図。
【図10】下ロックレバーのロック解除状態を示す要部斜視図。
【図11】電子ロック機構がロック時の検知状態を示す要部側面図。
【図12】電子ロック機構がロック解除途中である時の検知状態を示す要部側面図。
【図13】電子ロック機構がロック解除完了した時の検知状態を示す要部側面図。
【図14】電子錠の制御回路ブロック図。
【図15】電子ロック機構の施錠位置出し動作を示すフローチャート。
【図16】電子ロック機構の解錠処理動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0062】
11…スロットマシン
12…本体
13…前面扉
21…内側壁
22…電子ロック機構
25…駆動部
26…リンク機構
32,39…ロック爪
42,44,45…ロック係合部
L1…駆動リンク
L2,L4…ロックレバー
L3…スライドレバー
S1,S2…検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の前面を開閉する扉を、外部より送信装置を用いて内部の受信装置と無線で通信することにより扉のロック機構を施錠または解錠する電子錠であって、
先端部にロック爪を有するロックレバーを回動自由に支持するリンク機構と、
前記リンク機構に駆動力を伝達させてリンク動作させることにより、前記ロックレバーを一方に回動させてロックする施錠位置と他方に回動させてロック解除させる解錠位置とに回動させる駆動手段とを前記本体側に構成し、
前記ロックレバーのロック爪と対応して係合するロック係合部を前記扉側に構成した
電子錠。
【請求項2】
前記リンク機構は、
前記駆動手段の駆動に連動して前記本体の内側壁に沿った方向に動く駆動リンクと、
前記本体の前面に沿った方向にスライド許容されるスライドレバーと、
前記スライドレバーの一端に枢着され、中間部を回動支点とする先端部にロック爪を備え、基端部が前記駆動リンクに連結され、該駆動リンクの動きに連動して先端部側を回動させる第1ロックレバーと、
前記スライドレバーの他端に枢着され、基端部を回動支点に該スライドレバーのスライド動作に連動してロック爪が備えられた先端部側を回動させる第2ロックレバーとを設けてなる
請求項1に記載の電子錠。
【請求項3】
前記駆動手段は、
前記本体の内側壁に沿設される駆動モータと、
前記駆動モータの回転軸上に備えられるウォームギアと、
前記ウォームギアに噛合するウォームホイールとからなり、
前記ウォームホイールを前記本体の開閉対応側の内側壁に平面対向する方向に設定して沿設した
請求項1または2に記載の電子錠。
【請求項4】
前記駆動手段が前記ロックレバーを一方に回動させてロックする施錠位置または他方に回動させてロック解除する解錠位置に回動させたことを検知する検知手段を備えた
請求項1、2または3に記載の電子錠。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1つに記載の電子錠を備えた遊技機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−261155(P2008−261155A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104927(P2007−104927)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】