説明

電気エネルギー貯蔵体用電極の被覆方法

本発明は、電気エネルギー貯蔵体用、特にリチウムイオン電池用の電極製造に際して、特定の溶剤及び/又は分散剤を用いて担体を被覆する方法に関し、その特徴は、前記溶剤及び/又は分散剤が、N−エチルピロリドンであるか、又はN−エチルピロリドンを含むことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギー貯蔵体用、特にリチウムイオン電池用の電極製造に際して、特別な溶剤及び/又は分散剤を用いながら担体を被覆するための方法に関する。
【0002】
電極、特にリチウムイオンバッテリー用の電極の製造に際しては、従来技術では湿式化学法により、活性材料、導電性添加剤、及び結合剤を含有する被覆組成物若しくは被覆分散液を、導電箔に被覆する。ここでは水がベースの、また有機溶剤がベースの系が、この分散液の製造に利用される。水ベースの系の場合には結合剤を分散させ、結合は個々の粒子間で行われる。
【0003】
有機溶剤ベースの系の場合にはこれと異なり、結合剤を完全に溶剤中に溶解させ、この溶剤中で結合剤が粒子を取り囲む。この被覆方法のためには、結合剤の完全な溶解が、分散液全体で保証されていなければならない。電極製造のために特に適切な有機溶剤としては、N−メチルピロリドン(NMP)が有用であると実証されている。
【0004】
通常は、分散液若しくは溶液の粘度の測定により、被覆組成物の品質を試験する。被覆組成物の粘度が、数時間にわたって変化しうることに注意すべきであり、このため当該組成物は、製造直後には使用できない。NMPを用いるさらなる問題は、NMPが毒性あり(胎児に有害/催奇性)と分類されていることである。よって、作業面、安全性、及び環境保護という理由から、このNMPの代替物を求める需要がある。さらなる需要は、この分散液を製造するための溶剤ベースの系であって、NMPの場合よりも少ない溶剤若しくは分散剤で間に合うものを提供することである。
【0005】
本発明の課題は、被覆法で活性材料、結合剤、及び添加剤を担体に施与する、電気エネルギー貯蔵体用、特にリチウムイオン電池用の電極製造に際して、活性材料及び添加剤の施与を、より少ない量の分散剤若しくは溶剤で可能にする、つまりいわゆる電極スラリーにおける固体含分をより高くする可能性を見出すことであった。分散剤若しくは溶剤は同時に、安全性、及び環境基準を満たし、その上、良好若しくはNMPに比して改善された貯蔵安定性を有するべきである。
【0006】
意外なことにこの課題は、湿式化学方法工程において電極製造の際に使用される被覆組成物中で、N−メチルピロリドン(NMP)の代わりに、溶剤及び/又は分散剤としてN−エチルピロリドン(NEP)を用いることによって解決される。
【0007】
よって本発明の対象は、電気エネルギー貯蔵体用の電極製造における担体の被覆方法であって、以下の工程a)及びb):
a)少なくとも1種の溶剤及び/又は分散剤と、さらに少なくとも1種のポリマー性結合剤とを含有する組成物を用意する工程、
b)前記組成物で前記担体を被覆する工程
を有するものであり、その特徴は、前記溶剤及び/又は分散剤が、N−エチルピロリドンであるか、又はN−エチルピロリドンを含むことである。
【0008】
つまり本発明による被覆方法は、非常に幅広い適用可能性を意図しており、担体は、少なくともN−エチルピロリドンとポリマー性結合剤とを含有する組成物で被覆される。被覆組成物は通常、溶剤及び/又は分散剤としてのN−エチルピロリドン、及びポリマー性結合剤の他に、さらに少なくとも1種のいわゆる活性材料、及び導電性添加剤を含む。被覆組成物で被覆された担体は、引き続き電極製造の際にさらに加工され、ここでこの電極は電気エネルギー貯蔵体を製造するために使用できる。電極製造には通常さらに、被覆された担体の乾燥工程が含まれる。この際にとりわけ、導電性で固体の、電気エネルギー貯蔵体の完成後には「活性な」層を形成しながら、溶剤及び/又は分散剤が除去される。通常、担体自体は導電性である(例えば慣用のリチウムイオン電池のように)。以下、使用する各成分と、本発明の様々な態様について、より詳細に説明する。
【0009】
ポリマー性結合剤が、良好な接着強度についての課題を解決し、層内部と担体の双方に対して良好な接着強度をもたらす。特に好ましくは、ポリビニリデンフルオリド−ホモポリマー(PVDF)を使用する。PVDFは、その電気化学的な安定性が原因で、好んで用いられる。なぜならばPVDFの供給源は、後に完成させる電気エネルギー貯蔵体の電解質中では僅かだからである。本発明による適用のための結合剤として適しているのはまた、様々なPVDFコポリマー、テフロン、ポリアミド、ポリニトリルなどである。好ましいポリマー性結合剤は、以下のものを含む群から選択できる:
ポリビニリデンフルオリド−ホモポリマー(PVDF);ポリビニリデンフルオリド−コポリマー(PVDFコポリマー)、例えばPVDFヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HFP)、PVDF−テトラフルオロエチレン(PVDF−TFE)、及びPVDF−クロロテトラフルオロエチレン(PVDF−CTFE);PVDFと1種又は複数種のPVDFコポリマーとの混合物;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリビニルクロリド(PVC);ポリビニルフルオリド(PVF);ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE);ポリクロロトリフルオロエチレン−エチレン(ECTFE);ポリテトラフルオロエチレン−エチレン(ETFE);ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン(FEP);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリエチレンオキシド(PEO);ポリプロピレンオキシド(PPO);ポリプロピレン(PP);ポリエチレン(PE);ポリイミド(PI);及びスチレンブタジエンゴム(SBR)。場合によってはまた、結合剤の混合物(例えばPVDFホモポリマーとPVDFコポリマーとを任意の比で含む混合物)も使用でき、又は架橋剤が架橋性であってもよい。
【0010】
上述のように、ここで記載した種類の被覆組成物は、溶剤及び/又は分散剤、ポリマー性結合剤の他に、さらに少なくとも1種のいわゆる活性材料を含有する。ここで「活性材料」とは、帯電粒子の搬入及び搬出を可逆的に可能にする材料であると、当業者には一般に理解される。機能を発揮する完成した電気エネルギー貯蔵体では、帯電粒子の搬入工程又は搬出工程の間に、貯蔵体の構造に応じて、蓄電流又は放電流を流すことができる。リチウムイオン電池の場合、この帯電粒子はリチウムイオンである。搬入工程及び搬出工程は、荷電又は放電の際に、カソード及びアノードでそれぞれ起こる。アノードとカソードを製造するためには、それぞれ様々な活性物質が用いられる。従って本発明による方法では、被覆組成物は通常さらに、帯電粒子の可逆的な搬入及び搬出を可能にする活性材料を含有し、当該材料は好適には、以下のものを含む群から選択されている:
黒鉛;非晶質の炭素、例えばハードカーボン、ソフトカーボン;リチウム貯蔵性金属及びリチウム貯蔵性合金、(例えばナノ結晶性若しくは非晶質のケイ素、及びケイ素−炭素複合材;スズ、アルミニウム、アンチモン);Li4Ti512、又はこれらの材料の混合物;LiMx2型のリチウム金属酸化物(例えばLiCoO2;LiNiO2;LiNi1-xCox2;LiNi0.85Co0.1Al0.052;Li1+x(NiyCo1-2yMny1-x2、0≦x≦0.17、0≦y≦0.5);ドープされた、又はドープされていないLiMn24スピネル;及びドープされた、又はドープされていないリチウム金属リン酸塩LiMPO4(例えばLiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiVPO4);並びに変換材料、例えばフッ化鉄(III)(FeF3)、又はこれらの材料の混合物。活性材料は、組成物中で分散されて分布している。ここでソフトカーボンとは、非黒鉛性の炭素と理解され、これは最大3200℃の高温でも黒鉛に変換されないものである。ハードカーボンとは、非黒鉛性の炭素と理解され、これは従来技術で実現された温度では、黒鉛に変換されないものである(例えばHandbook of Battery Materials, J. O. Besenhard, Wiley VCH、233p, 388p, 402p参照)。リチウム金属リン酸塩のためのドープ剤としては例えば、マグネシウム又はニオブが考慮される。
【0011】
ここに記載した種類の被覆組成物は通常、さらに少なくとも1種の導電性添加剤を含有する。
【0012】
この添加剤の役割は、被覆の導電性、よって電気化学的反応(つまり帯電粒子の搬入及び搬出)を改善することである。特に好ましくは、カーボンブラック(Carbon Blacks)を、導電性材料として使用する。カーボンブラックは、炭素を含有する微粒子状の固体であり、たいていは球形状で、一次粒子の大きさが10〜300nm(ASTM D 3849準拠のTEM評価により測定)であり、これは鎖状、一部は塊状のアグリゲートへと成長する。本発明による適用のための導電性材料として適しているのはまた、レーザー回折で測定されるd50が1〜8μm、好適には2〜6μmの、微粒子状黒鉛である。場合によっては導電性材料の混合物も使用でき、例えばカーボンブラックと黒鉛を任意の比で含む混合物が使用できる。さらには、導電性添加剤として炭素繊維が使用できる。
【0013】
担体そのものは、ここで記載された被覆法、及び溶剤及び/又は分散剤としてNEPを用いる本発明による使用にとっては、それ自体重要ではない。しかしながら通常、担体は導電性である。とりわけ、ここで好ましくは考慮される慣用のリチウムイオン電池では、担体は通常、アルミニウム製(陽極)又は銅製(陰極)の導電箔である。陰極はまた、アルミニウム製であってよい。適切なレドックス電位を有する他の導電性金属は基本的に適しているものの、コスト的な理由から、通常は使用しない。
【0014】
よって本発明によれば、担体は板状の導電性材料から成るか、又は板状の導電性材料を、例えば化合物材料の範疇で有する。担体は好適にはアルミニウム若しくは銅から成るか、及び/又はこれらの金属箔から成る。これらの箔を有する積層体も、担体として考えられる。この担体はまた、多孔質担体、織布、フリース、又は相応する金属から得られるストレッチメタルであってよく、またこれらの金属で被覆されたポリマーシート、穴あきシート、多孔質担体、織布、又はフリースであり得る。
【0015】
本発明により使用される被覆組成物は通常、それぞれ組成物に対して、N−エチルピロリドンを30〜80質量%、好適には40〜70質量%の割合で、及び好適には、ポリマー性結合剤を0.5〜8質量%、好適には1.0〜5.0質量%の割合で、及び/又は活性材料を20〜70質量%、好適には30〜60質量%の割合で、及び/又は導電性添加剤を0〜5質量%、好適には0.2〜3質量%の割合で、含有する。
【0016】
出来上がった組成物はその粘度が、112s-1の剪断速度で20℃で測定して、1000〜7000mPas、好適には2000〜5000mPasであるのが望ましかった。本発明の範囲において粘度値の測定は、Karlsruhe在のThermo Haake GmbH社のRheometers (Modell RS 600)を用いて、直径が35mmのプレート/プレート測定装置で行う。粘度は、1〜500s-1の剪断速度で記録する。測定値の記録は、RheoWinというソフトウェアで行う。
【0017】
本発明による被覆方法によれば、製造される電極は、アノード又はカソードであり得る。このような電極の製造に際して、使用される組成物は通常、溶剤及び/又は分散剤(ここではNEP)の他に、結合剤、また上述のいわゆる活性剤も含有する。このような組成物はまた、「電極スラリー」、「アノードスラリー」、又は「カソードスラリー」とも呼ばれ、その名称により製造可能な電極が表されている。
【0018】
本発明の1つの実施態様では、製造する電極はアノードである。この場合に組成物、つまり「アノードスラリー」は活性材料を含有し、当該活性材料は好適には、以下のものを含む群から選択されている:
黒鉛;非晶質の炭素、例えばハードカーボン、ソフトカーボン;リチウム貯蔵性金属及びリチウム貯蔵性合金(例えばナノ結晶性の、また非晶質のケイ素、及びケイ素−炭素複合材;スズ、アルミニウム、アンチモン);及びLi4Ti512、又はこれらの材料の混合物。
【0019】
本発明の1つの実施態様では、製造する電極はカソードである。この場合に組成物、つまり「カソードスラリー」は活性材料を含有し、当該活性材料は好適には、以下のものを含む群から選択されている:
LiMx2型のリチウム金属酸化物(例えば、LiCoO2;LiNiO2;LiNi1-xCox2;LiNi0.85Co0.1Al0.052;Li1+x(NiyCo1-2yMny1-x2)、0≦x≦0.17、0≦y≦0.5);ドープされた、又はドープされていないLiMn24スピネル;及びドープされた、又はドープされていないリチウム金属リン酸塩LiMPO4(例えばLiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiVPO4);並びに変換材料、例えばフッ化鉄(III)(FeF3)、又はこれらの材料の混合物。
【0020】
本発明の対象はまた、上記方法により製造された被覆担体である(ただし、電気エネルギー貯蔵体用電極の製造に適した担体に限る)。これに応じて製造された電極も、同様に本発明に含まれている。
【0021】
本発明の対象はさらに、溶剤及び/又は分散剤として少なくともN−エチルピロリドン、及びさらに少なくとも1種のポリマー性結合剤、帯電粒子の搬入及び搬出を可能にする活性材料、また任意で少なくとも1種の導電性添加剤を含有する組成物である。この種の好ましい組成物は、それぞれ組成物に対して、N−エチルピロリドンを30〜80質量%、好適には40〜70質量%の割合で、ポリマー性結合剤を0.5〜8質量%、好適には1.0〜5.0質量%の割合で、活性材料を20〜70質量%、好適には30〜60質量%の割合で、及び任意で導電性添加剤を0〜5質量%、好適には0.2〜3質量%の割合で、含有する。
【0022】
N−エチルピロリドンを、電気エネルギー貯蔵体用電極の製造に用いること、またN−エチルピロリドンを、電気エネルギー貯蔵体用電極の製造に際して担体被覆のために使用する組成物の製造に用いることも、同様に本発明の範囲に含まれる。
【0023】
N−エチルピロリドンは、N−メチルピロリドンに、多くの化学的、物理的特性の点でよく似ている。しかしながらN−エチルピロリドンは、より沸点と引火点が高く(NMP:沸点202℃、引火点91℃;NEP:沸点208〜210℃、引火点93℃)、このことには、作業性と貯蔵安全性の観点で、一定の利点がある。
【0024】
本発明によればさらにとりわけ、N−エチルピロリドンを溶剤及び/又は分散剤として用いることにより、活性材料、及び任意で添加剤を、より僅かな量の分散剤で担体に塗布できる。つまり、分散剤としてN−メチルピロリドンを用いるよりも、組成物中で高い固体含分が達成できる。
【0025】
図1は、電極スラリーの粘度指数ηをグラフで示したものである(固体含分50%、20℃、剪断速度γが横軸)。固体含分の組成は、黒鉛(d50=16.8μm、BET比表面積2.5m2/g)91.5質量%、PVDF(Solvay Solef 1013)8%、及びカーボンブラック(Timcal, Super P)0.5%である。
【0026】
図2は、9.1質量%のPVDFホモポリマー溶液(PVDFホモポリマー:メルトフロー指数(MFI)=1.5〜3.5g/10分)の粘度指数ηをグラフで示したものである(NEP又はNMP中で、20℃、剪断速度γが横軸)。
【0027】
図3は、異なるバインダー系を示す:a)は、水ベースの系、b)は、溶剤ベースの系である。
【0028】
本発明による電極スラリー(NMP若しくはNEP、PVDF、黒鉛、及び導電性カーボンブラックから成るもの)の製造に際して、NEPベースの分散液が、剪断速度の上昇につれて、NMPベースの分散液に比べて、著しい粘度の低下を示すことが確認された(図1)。通常の被覆法で基準となるのは、約112s-1という剪断速度である。この剪断速度では、NEPベースの電極スラリーが低い粘度で存在するため、この場合より高い固体含分が可能になり、これによって分散剤の量を減らすことが可能になる。このような電極スラリー製造のためには、結合剤のPVDFが、使用される溶剤にしばしば予備溶解される。NEPを溶剤として用いる場合には、NMPを溶剤として用いるのに比べて、明らかに貯蔵安定性が改善されることがわかる。貯蔵安定性の基準としては、貯蔵時間の増加に伴う、使用溶剤の粘度上昇の程度が考慮される。時間に伴う粘度の上昇が少ないほど、貯蔵安定性は高い(図2)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】電極スラリーの粘度指数ηを示すグラフである。
【図2】9.1質量%のPVDFホモポリマー溶液の粘度指数ηを示すグラフである。
【図3】異なるバインダー系を示しており、a)は水ベースの系、b)は溶剤ベースの系である。
【0030】
実施例
150mlのガラスビーカーにNMP又はNEPを装入し、PVDFをその中に15分で少しずつ、直径42mmの歯付回転盤(溶解撹拌機R1303型、IKA社)を用いて、750回転/分の回転数で撹拌しながら添加した。9.1質量%のPVDF含分(125.0gの溶剤中で12.5g)で添加を止め、1.5時間、さらに撹拌した(750回転/分)。引き続き、その粘度を時間軸で測定した。
【表1】

【0031】
NMPを用いた溶液の場合、その粘度は時間の経過と共に、NEP溶液の場合よりもずっと激しく上昇したことがわかる。
【0032】
さらに、NEP溶液は既に約16時間後にその粘度が一定であるのに対して、NMP溶液の場合には、粘度が5日後でもさらに上昇したことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵体用の電極製造に際して、担体を被覆するための方法であって、以下の工程a)及びb):
a)少なくとも1種の溶剤及び/又は分散剤と、さらに少なくとも1種のポリマー性結合剤とを含有する組成物を用意する工程、
b)前記組成物で前記担体を被覆する工程、
を有する、前記方法において、
前記溶剤及び/又は分散剤が、N−エチルピロリドンであるか、又はN−エチルピロリドンを含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記ポリマー性結合剤が、以下のものを含む群:
ポリビニリデンフルオリド−ホモポリマー(PVDF);ポリビニリデンフルオリド−コポリマー(PVDFコポリマー)、例えばPVDFヘキサフルオロプロペン(PVDF−HFP)、PVDF−テトラフルオロエチレン(PVDF−TFE)、及びPVDF−クロロテトラフルオロエチレン(PVDF−CTFE);PVDFと1種又は複数種のPVDFコポリマーとの混合物;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリビニルクロリド(PVC);ポリビニルフルオリド(PVF);ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE);ポリクロロトリフルオロエチレン−エチレン(ECTFE);ポリテトラフルオロエチレン−エチレン(ETFE);ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン(FEP);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリエチレンオキシド(PEO);ポリプロピレンオキシド(PPO);ポリプロピレン(PP);ポリエチレン(PE);ポリイミド(PI);及びスチレンブタジエンゴム(SBR)
から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が分散液であり、かつさらに帯電粒子の搬入と搬出を可能にする活性材料を含有し、当該活性材料が、好適には以下のものを含む群:
黒鉛;非晶質の炭素;リチウム貯蔵性金属及びリチウム貯蔵性合金(これには、ナノ結晶性若しくは非晶質のケイ素、及びケイ素−炭素複合材、スズ、アルミニウム、及びアンチモンが含まれる);Li4Ti512、又はこれらの混合物;LiMx2型のリチウム金属酸化物(これにはLiCoO2;LiNiO2;LiNi1-xCox2;LiNi0.85Co0.1Al0.052;Li1+x(NiyCo1-2yMny1-x2、0≦x≦0.17、0≦y≦0.5が含まれる);ドープされた、又はドープされていないLiMn24スピネル;及びドープされた、又はドープされていないリチウム金属リン酸塩LiMPO4(これにはLiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiVPO4が含まれる);並びに変換材料、例えばフッ化鉄(III)(FeF3)、又はこれらの混合物
から選択されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、さらに少なくとも1種の導電性添加剤を含有し、前記導電性添加剤が好適には、以下のものを含む群:
d50が1μm〜8μmの微粒子状黒鉛;一次粒子が10〜80nmのカーボンブラック;及び炭素繊維;又はこれらの任意の混合物
から選択されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記担体が、板状の導電性材料を有するか、又は板状の導電性材料から成り(当該導電性材料にはアルミニウム、銅、これらの金属から得られる箔を有する積層体、多孔質担体、織布、フリース、又はこれらの各金属から得られるストレッチメタル、及びこれらの金属で被覆されたポリマーシート、穴あきシート、多孔質担体、織布、又はフリースが含まれる)、ここで前記担体が、好適にはアルミニウム若しくは銅を含むか、又はアルミニウム若しくは銅から成る、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、それぞれ前記組成物に対して、N−エチルピロリドンを30〜80質量%の割合で、好ましくはポリマー性結合剤を0.5〜8質量%の割合で、かつ/又は活性材料を20〜70質量%の割合で、かつ/又は導電性添加剤を0〜5質量%の割合で含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物の粘度が、112s-1の剪断速度で20℃で測定して、1,000〜7,000mPasの範囲である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
製造する電極がアノードであり、当該電極は活性材料を含有し、当該活性材料が、以下のものを含む群:
黒鉛;非晶質の炭素;リチウム貯蔵性金属及びリチウム貯蔵性合金(これには、ナノ結晶性若しくは非晶質のケイ素、及びケイ素−炭素複合材、スズ、アルミニウム、及びアンチモンが含まれる);及びLi4Ti512、又はこれらの混合物
から選択されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
製造する電極がカソードであり、当該電極は活性材料を含有し、当該活性材料が、以下のものを含む群:
LiMx2型のリチウム金属酸化物(これにはLiCoO2;LiNiO2;LiNi1-xCox2;LiNi0.85Co0.1Al0.052;Li1+x(NiyCo1-2yMny1-x2、0≦x≦0.17、0≦y≦0.5が含まれる);ドープされた、又はドープされていないLiMn24スピネル;及びドープされた、又はドープされていないリチウム金属リン酸塩LiMPO4(これにはLiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiVPO4が含まれる);並びに変換材料、例えばフッ化鉄(III)(FeF3)、又はこれらの混合物
から選択されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法により製造される、被覆された担体。
【請求項11】
方法工程として、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法を有する方法により製造された電極。
【請求項12】
少なくとも1種の溶剤及び/又は分散剤、少なくとも1種のポリマー性結合剤、帯電粒子の搬入と搬出を可能にする活性材料、並びに任意で、少なくとも1種の導電性添加剤を含有する組成物において、
前記溶剤及び/又は分散剤が、N−エチル−ピロリドンであることを特徴とする、前記組成物。
【請求項13】
それぞれ前記組成物に対して、N−エチルピロリドンの割合が30〜80質量%であり、ポリマー性結合剤の割合が0.5〜8質量%であり、活性材料の割合が20〜70質量%であり、任意の導電性添加剤の割合が0〜5質量%である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
N−エチルピロリドンを、電気エネルギー貯蔵体用電極を製造する際に用いる使用。
【請求項15】
電気エネルギー貯蔵体用電極の製造に際して、担体を被覆するために用いる組成物を製造するための、N−エチルピロリドンの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−500556(P2013−500556A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522047(P2012−522047)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057163
【国際公開番号】WO2011/012343
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】