電気ケトル
【課題】電気ケトルにおいて、湯量の検出を可能とする。
【解決手段】液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、上記湯沸し器本体の傾き角から上記液体容器内の湯量を検知する湯量検知手段を設けた。
【解決手段】液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、上記湯沸し器本体の傾き角から上記液体容器内の湯量を検知する湯量検知手段を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、内容量を検知することができる電気ケトルの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、常時保温ヒータに通電して置くことが必要な電気ポットに代わって、お湯が必要な時にのみ、加熱手段に通電して簡易かつ速やかに湯沸しを行うことができるようにした電気ケトルが、省エネ性の高い湯沸し手段として重宝されている。
【0003】
このような電気ケトルは、液体容器および該液体容器を加熱する加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置されるようになっており、湯沸し器本体が載置された状態において、湯沸し器本体側の上記加熱手段の受電部に電源を供給する給電部を備えた電源台とからなっている(例えば特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−285170号公報
【特許文献2】特開2008−212316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、以上のような電気ケトルでは、一般に水が入れられる上記液体容器の内側部分に適正な湯沸しが可能な最大水位量を規定する満水位目盛が設けられており、通常は同満水位目盛までの水量での適切な湯沸しが行われ、沸とう検知用の温度センサ(バイメタル、サーミスタなど)により沸とうしたことが検知されると、上記電源台側給電部から上記湯沸し器本体側湯沸し加熱手段への通電をOFFにして、湯沸しを停止するようになっている(例えば上述の特許文献1の構成を参照)。
【0006】
しかし、最初は満水位状態にあったとしても、使用によって液体容器内の水量は次第に減少する。
【0007】
したがって、湯沸し後、一旦使用した後の液体容器内の残量は正確に分らず、仮に再度電源を入れて再加熱を行ったりすると、ケースによっては空炊きとなる恐れもある。
【0008】
また、逆に最初から水が入れすぎだった場合には、吹きこぼれを生じる。
【0009】
そこで、例えば上記湯沸し器本体側に電気ポットと同様の水量表示器を設けて、外部から水量を視認することができるようにしたものも提案されている(例えば上述の特許文献2の構成を参照)。
【0010】
しかし、このような構成を採用すると、湯沸し器本体の構造が著しく複雑になり、コストも高くなる。
【0011】
また、容器の一部を透明にすることも考えられるが、真空二重容器や内容器とは別に外カバーを設けるようにしたものの場合には、そのような構成を採用することができない。
【0012】
この出願の発明は、このような問題を解決するためになされたもので、給湯時には、湯沸し器本体がその時の湯の残量に応じた角度傾けられることに着目し、該湯沸器本体の傾き角から、その内容量を検知する検知手段を設けて、液体容器内の湯量を検知することにより、具体的に液体容器内の水量を把握することができるようにした電気ケトルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0014】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気ケトルは、液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、上記湯沸し器本体の傾き角から上記液体容器内の湯量を検知する湯量検知手段を設けたことを特徴としている。
【0015】
このような構成によると、上述した液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、透明窓を設けたり、複雑な水量表示管を設けることなく、液体容器中の湯量を適切に検出することができるようになる。
【0016】
したがって、真空二重容器や内容器とは別に外カバーがある場合にも、容易に水量の把握を実現することができる。
【0017】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項1の発明の構成において、湯量検知手段は、液体容器の湯注出口側から所定距離以上離れた周面位置に設けられた複数の温度検知手段よりなることを特徴としている。
【0018】
このような構成の場合、給湯時に湯沸し器本体が傾けられることによって、液体容器内の湯は、当該傾き角に応じて液体容器内周壁面の上方側から下方側に接する位置が変わる。
【0019】
その結果、当該液体容器外周面の温度も湯が接している位置では高いが、接しなくなった位置では低下する。
【0020】
したがって、この温度の低下を複数の温度検知手段で検知するようにすると、温度低下を検知する温度検知手段の数が多くなるほど、湯量が少なくなっていることが判定される。
【0021】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項1の発明の構成において、湯量検知手段は、湯沸し器本体の傾き角を検出する傾斜センサよりなることを特徴としている。
【0022】
このような構成によると、当該傾斜センサーが検出した傾斜角が、そのまま液体容器内の湯量を示すことになる。さらに、傾斜センサーを把手の上部付近に配置し、蓋検知機構として併用することもできる。
【0023】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項3の発明の構成において、傾斜センサは、湯沸し器本体の転倒をも検出するようにしたことを特徴としている。
【0024】
このような構成によると、単に液体容器内の湯量だけでなく、湯沸し器本体の転倒状態をも適切に検出してアラームを出すなど、ユーザーに報知することができる。
【0025】
したがって、安全性も高くなる。
【0026】
(5) 請求項5の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項3又は4の発明の構成において、温度検知手段と傾き角検知手段とを組み合わせ、それらの検出値から湯量を判定するようにしたことを特徴としている。
【0027】
このような構成によると、湯量自体を、より正確に判定することが可能となる。
【0028】
したがって、例えば初期水量を把握できた場合には、沸とうまでの所要時間の演算や空炊き検知、また最大容量以上(水の入れすぎ)を検知して通電不能とし、吹きこぼれを防止することもできる。
【発明の効果】
【0029】
以上の結果、本願発明によれば、従来のような透明窓や複雑な構造の水量表示管を設けることなく、簡単かつ正確に、しかも判りやすく水量を検出、表示することができるようになるので、水の入れすぎによる吹きこぼれの防止、湯量の減少による空炊き等をも確実に回避することができる。
【0030】
その結果、安全で省エネ性能の高い電気ケトルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る電気ケトルの外部構成を示す図である。
【図2】同電気ケトルの内部構成を示す中央縦断面図である。
【図3】同電気ケトルの給湯時の傾斜状態を示す説明用の断面図である。
【図4】同電気ケトルの制御システムのブロック図である。
【図5】本願発明の実施の形態2に係る電気ケトルの内部構成を示す中央断面図である。
【図6】同電気ケトルの本体側液体容器部分の背面図である。
【図7】同電気ケトルの給湯状態における説明図である。
【図8】同電気ケトルの制御システムのブロック図である。
【図9】本願発明の実施の形態3に係る電気ケトルの要部の構成を示す中央縦断面図である。
【図10】本願発明の実施の形態4に係る電気ケトルの内部構成を示す中央縦断面図である。
【図11】同電気ケトルの平面図である。
【図12】同電気ケトルの制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の電気ケトルの各実施の形態の構成について、詳細に説明する。
【0033】
<実施の形態1>
先ず図1および図2には、本願発明の実施の形態1にかかる電気ケトル本体の全体および要部の構成が、また図3には、同電気ケトルの給湯状態における構成が、さらに図4には同電気ケトルのマイコンによる制御回路部分の構成が、それぞれ示されている。
【0034】
(電気ケトル本体部の構成)
この実施の形態の電気ケトルは、先ず図1および図2に示すように、内側に貯湯用の液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記液体容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である平面C字形の湯沸しヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面コ字形の把手部11eとを備えて構成されている。
【0035】
容器本体1Aは、底部材1Bを備えた合成樹脂製の円筒状の外ケース16と、その上端側全周囲に設けられた合成樹脂製の環状の肩部材11とからなり、該肩部材11内側の容器係止部11fを介して、上記液体容器(内容器)3が支持されている。
【0036】
また、肩部材11の前端部には、湯注出口5の下部を形成する下口部11aが前方に突出して設けられており、同部分に注出湯温検知用のサーミスタTMOが設けられている。
【0037】
液体容器3は、例えば1枚板構造のステンレス製の有底円筒形状の筒体からなっており、その底部31の下面側外周に、上記湯沸しヒータ4が周方向に延びて設けられている。
【0038】
この場合、同湯沸しヒータ4は、中央部分がフラットな伝熱性の良いヒータプレート4aの外周に断面逆台形状の下方側に所定の高さを有する平面C字形のヒータ埋設用凸部4bを形成し、同ヒータ埋設用凸部4b内に埋め込む形で設置されている。そして、その両端側には、電源配線である電源リード線接続用の電源リード端子が、上記ヒータ埋設用凸部4bの両端から所定の長さ突出する形で設けられている(図示省略)。
【0039】
一方、上記ヒータプレート4の下面側には、上記ヒータ埋設用凸部4Aの内周側に位置して、受電用の棒状電極8、スリーブ状電極9、スリーブ状の挿脱用ガイド筒よりなる筒体状の受電カプラ10、マイコン制御ユニット50などを備えた第1の電源基板(詳細な構造は図示省略)が設けられている。
【0040】
この第1の電源基板の上記把手部11e側端部には、上記湯沸しヒータ4両端の電源リード端子とリード線を介して接続するための電源コネクタ端子が設けられている。そして、その内の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して、上記把手部11e内の配線空間を介して把手部11e上端側の操作スイッチ(電源スイッチ)7の開閉接点、沸騰検知センサ65のバイメタル開閉接点部とそれぞれ直列な関係で接続され、同バイメタルの開閉接点部分からは電源配線であるリード線を介して同じく把手部11e内の配線空間15a内をユーターンして上記湯沸しヒータ4の一端側電源リード端子に接続されている(図示省略)。
【0041】
また第1の電源基板側の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して上記湯沸しヒータ4の他端側電源リード端子に接続されている(図示省略)。
【0042】
(蓋体の構成)
次に蓋体2は、合成樹脂製の上板2aと、該上板2aに対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板2bと、その下方の内カバー2cとからなっており、上記肩部材11内側の開口部に対して上下方向に着脱自在に嵌合されている。
【0043】
上記上板2aおよび下板2b間の空間は、必要に応じて断熱材を充填した断熱構造体に形成されているとともに、下板2bの一部には、下方から上方に向けて凹んだ蒸気パイプの収納部が設けられている。そして、同収納部内に収納設置された蒸気パイプには、下方側内カバー2cの蒸気導入口部21aから上方側蒸気排出口21dに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路21b〜21cが形成されている。そして、同蒸気排出通路21b〜21c下部の蒸気導入口部21a内には、転倒止水弁22が設置されている。
【0044】
そして、それらの内の中間に位置する上記蒸気排出通路21b部分は、さらに把手部11eの取付部側バイメタル式の沸騰検知センサ65を設けた沸騰検知用の蒸気導入空間64c部分に蒸気を分流させるための蒸気分流通路64a,64bが背面方向から下方に向けて設けられている。
【0045】
そして、把手部11e取付部の下部側蒸気導入空間64cの例えば上壁面側に設けられた沸とう検知センサ65のバイメタル部分の作動により液体容器3内の湯の沸とう(それに対応した蒸気の放出)を検知して、上記湯沸しヒータ4への電源の供給を遮断する。
【0046】
一方、このようにして沸騰検知用の蒸気導入空間64cに蒸気を導入するようにすると、同部分に導入した蒸気を外部に排出することが必要であり、また該部分で結露水を生じることにもなるので、これを外部に排出することが必要になる。
【0047】
そこで、上述した把手部11eに対応する容器本体1A側筒状の外ケース16の側壁部内側には、例えば図2に示すように、上記蒸気導入空間64c底部から把手部11e下端の蒸気および結露水排出口64eに到る蒸気等排出ダクトが設けられており、同蒸気等排出ダクト内の蒸気等排出通路64dを介して、蒸気および生じた結露水が把手部11eの下部から背面方向に向けて排出されるようになっている。
【0048】
一方、把手部11eの下部は、容器本体1Aの底部材1B側まで延びて連結されている。
【0049】
また、符号18は、湯の注出状態をロック・アンロックする機械式のロック・アンロックスイッチであり、同ロック・アンロックスイッチ18が付勢スプリング18bの反発力に抗して下方側に押し下げられると、弁体部材18aが所定ストローク下方に押し下げられ、蓋体2側と容器本体1Aの湯注出口5側との間の湯注出通路5aを開放し、液体容器3内の湯の注出を可能とする。
【0050】
また、上記把手基部11d部分には、容器本体1Aの傾き角θを検出する傾きセンサーGSが設けられている。この傾きセンサーGSには、例えば加速度センサー、圧電振動ジャイロなどが採用される。
【0051】
(電源台の構成)
他方、符号20は卓上型円形の電源台であり、その中央部上面側には、上記容器本体1A側スリーブ構造の受電カプラ10内に嵌合される同じくスリーブ構造の給電プラグ20dが所定の高さ突出して設けられている一方、裏面側にはAC電源コード(図示省略)の巻回収納部20aが設けられている。
【0052】
給電プラグ20dは、上記受電カプラ10のスリーブ状のガイド筒に対応して、その内側に摺動可能に嵌合されるガイド筒30aと、該ガイド筒30aの内周側にあって、上記スリーブ状電極9の内側にブラシ構造の電極を介して嵌合接触するスリーブ状電極30bと、該スリーブ状電極30bの内側にあって、上記受電カプラ10側の棒状電極8が挿入される軸筒状電極30cとからなっており、上記電源コード収納部20a内のAC電源コードが延設されてAC電源に接続されると、上記電源台20側給電プラグ20dを介して上記容器本体1A側受電カプラ10にAC電源が供給され、さらに同受電カプラ10を介して上述の底部材側湯沸しヒータ用第1の電源基板の電源回路に電源が供給される。
【0053】
その結果、同電源回路を介して、さらに把手部11e側操作スイッチ(電源スイッチ)7、湯沸しヒータ4、沸騰検知センサ65などに電源が供給されることになる。
【0054】
以上のように、この実施の形態では、湯注出口5を形成する下口部11a部分に注出湯温検知用のサーミスタTMO、把手基部11d部分に容器本体1Aの傾き角を検出する傾きセンサーGSを備えて構成されており、給湯時において、例えば図3に示すように、容器本体1Aを傾けて湯を注出すると、その時の湯が湯注出口5に到達した時の湯注出口5部分における温度の変化(急上昇)が、まずサーミスタTMOによって検出されるとともに、同温度変化時の容器本体1Aの傾き角θが傾きセンサーGSによって検出される。
【0055】
そして、これらのサーミスタTMOと傾きセンサーGSの各検出値は、例えば図4に示すように、第1の電源基板上のマイコン制御ユニット50に入力される。
【0056】
マイコン制御ユニット50内には、上記液体容器3の直径および深さ、規定された最大水位量MLを前提として、その時の液体容器3の傾斜角(図3の前傾傾斜角)θによつて同液体容器3内の湯量を特定するためのデータマップを具備しており、上記入力された容器本体1A(液体容器3)の傾き角θnをパラメータとして対応する湯量を読み出す。
【0057】
そして、この読み出された湯量データは、上述のように容器本体1Aの正面に設けられている水量表示部60に入力されて水量が表示される。
【0058】
また、この時の湯量が所定量以下の場合には、例えばブザー54を駆動して湯量が所定量以下であることを示す警報を出す。これにより、再加熱時などの空炊きが回避される。
【0059】
<実施の形態2>
次に図5および図6には、本願発明の実施の形態2にかかる電気ケトルの全体および要部の構成が、また図7には、同電気ケトルの給湯状態における構成が、さらに図8には同電気ケトルのマイコンによる制御回路部分の構成が、それぞれ示されている。
【0060】
この実施の形態の電気ケトルは、例えば図5に示すように、内側に貯湯用の液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記液体容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である平面C字形の湯沸しヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面コ字形の把手部11eとを備えて構成されている。
【0061】
これらの構成は、基本的に上述した実施の形態1のものと同様である。
【0062】
しかし、この実施の形態の場合には、上述した把手基部11d下方側の傾きセンサーGSに代えて、第1〜第3の複数のサーミスタTM1〜TM3により、容器本体1Aの傾きに応じた湯量を検出判定するように構成されていることが特徴である。
【0063】
すなわち、この実施の形態の電気ケトル1では、例えば図6に示すように、液体容器3の湯注出口5と対向する反対方向の背面側には、上方側から下方側に第1,第2,第3の3つのサーミスタが同一直線上に位置して配設されている。
【0064】
この場合、最上方側の第1のサーミスタTM1は、例えば液体容器3内の最大水位目盛MLを基準として、それよりも若干低目の位置に設けられており、第2,第3のサーミスタTM2,TM3はそれから下方側に略等間隔で設けられている。
【0065】
そして、この場合にも、例えば図7のように、上記容器本体1Aを前傾させて給湯操作がなされると、最初の湯が湯注出口5に到達した時点で湯温検知用のサーミスタTMOが急激な温度の上昇を検知する。
【0066】
そこで、この時の上記背面側第1〜第3のサーミスタTM1〜TM3の温度の変化を見ると、その時の水位から液体容器3内の湯の量(残量)を、例えば3段階(大・中・少)で判定することができる。
【0067】
例えば、(1)第1のサーミスタTM1のみの検出温度が低くて、第2,第3のサーミスタTM2,TM3の検出温度が高い場合は大量、(2)第1,第2のサーミスタTM1,TM2の検出温度が低くて、第3のサーミスタTM3のみの検出温度が高い場合は中量、(3)第1〜第3のサーミスタTM1〜TM3の全ての検出温度が低い場合(図7の状態)は少量と判定される。
【0068】
これら判定動作も、例えば図8に示すように、前述した第1の電源基板上のマイコン制御ユニット50によってなされ、上記実施の形態1の場合と同様に、判定結果が残存水量として水量表示部60に表示されるとともに、少量の場合にはブザー54で警報される。
【0069】
(変形例)
なお、以上の構成では、第1〜第3のサーミスタTM1〜TM3の湯温(壁温)検出(入力)タイミングを湯注出口5側のサーミスタTMOの温度変化を基準として取るようにしたが、そのようなタイミングを取らない場合には、上記注出湯温検知用のサーミスタTMOは不要である。
【0070】
また、以上の構成における第1〜第3のサーミスタTM1〜TM3は、もっと数を増やしても良く、そのようにすると、傾斜状態でない、通常の状態においても、湯量を判定することが可能となる。
【0071】
<実施の形態3>
次に図9には、本願発明の実施の形態3にかかる電気ケトルの液体容器部分の構成が示されている。
【0072】
上記実施の形態2の場合、前述した実施の形態1のような傾きセンサーGSによる傾き角そのものの検出ではなく、液体容器3の背面側に第1〜第3の複数のサーミスタTM1〜TM3を設けて湯温を拾うようにしているので、液体容器3が、例えば図9のような内筒3aおよび外筒3bよりなる真空二重容器である場合には、そのままでは湯温(壁温)の変化を拾うことができず何らかの対策が必要となる。
【0073】
この実施の形態は、そのような観点から構成されたもので、例えば図9に示すように、液体容器3が内筒3aと外筒3bとの真空二重壁よりなる場合には、外筒3b側のサーミスタ設置部のみを部分的に逆円錐形状に凹ませて外筒3bの一部を内筒3aに接触するようにする。そして、そのようにした凹部内に第1,第2,第3の各サーミスタTM1,TM2,TM3を設置する。
【0074】
このようにすると、液体容器3が断熱性の高い真空二重容器の場合であっても、その断熱機能を低下させることなく、上記実施の形態2の構成を採用して、液体容器3内の湯量を判定することができる。
【0075】
<実施の形態4>
さらに図10および図11には、本願発明の実施の形態4にかかる電気ケトルの全体および要部の構成が、また図12には、同電気ケトルのマイコンによる制御回路部分の構成が、それぞれ示されている。
【0076】
この実施の形態の電気ケトルも、例えば図10に示すように、内側に貯湯用の液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記液体容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である平面C字形の湯沸しヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面コ字形の把手部11eとを備えて構成されており、基本的な構成は上述の実施の形態1のものと同様である。
【0077】
そして、この実施の形態の場合にも、湯注出口5の下口部11a部分には注出湯温検知用のサーミスタTMO、把手基部11d部分下方に第1の傾きセンサーGS1がそれぞれ設けられているが、この実施の形態では、さらに図11に示すように、左右方向L−Rの一側側肩部材11部分にも第2の傾きセンサーGS2が設けられていて、前後方向F−Rだけでなく、左右方向L−Rの傾きの有無、大きさをも判定することができるようになっている。
【0078】
また、液体容器3の下部には、液体容器3内の湯の温度を検出する内部温度検知用サーミスタTMが設けられている。
【0079】
これら各センサGS1,GS2,TMの出力は、沸とう検知センサ65の沸とう検知出力とともに、例えば図12のブロック図に示すように、上記実施の形態1と同様のマイコン制御ユニット50に入力される。
【0080】
また、マイコン制御ユニット50の電源回路には、上述の操作スイッチ(電源スイッチ)7を介して、AC−DC変換回路51が接続されており、さらに操作スイッチ(電源スイッチ)7には、電源台20から取り外された時の単独動作用の充電電池52も接続されている。
【0081】
充電電池52は、またAC電源ON時に、AC−DC変換回路51によって充電されるようになっている。
【0082】
このような構成の場合、まず上述した容器本体(湯沸し器本体)1Aが電源台20上に載置され、かつ操作スイッチ(電源スイッチ)7がON操作されると、上記AC−DC変換回路51を通して上記マイコン制御ユニット50に動作電源が供給されるとともに、充電電池52が充電される。
【0083】
これにより、上記第1,第2の傾きセンサーGS1,GS2も動作して、容器本体1Aの前後および(又は)左右方向の傾き状態(傾き角)を検出し、マイコン制御ユニット50に入力する。
【0084】
また、マイコン制御ユニット50には、上記操作スイッチ(電源スイッチ)7のON操作に対応して、上記内部温度検知用サーミスタTMの検出温度が入力される。
【0085】
そして、該初期検出温度を所定のメモリに記憶させて置く。
【0086】
このようにして、湯沸しが開始され、やがて沸とうが始まると、沸とう動作フラグを立てて沸とう中であることを示すとともに、沸とう動作を監視する。
【0087】
次に、上記内部温度検知用サーミスタTMにより該沸とう動作中および沸とう動作後の液体容器3内の内部温度を検出し、上記メモリ中に記憶されている初期検出温度と比較する。
【0088】
この時、上記第1,第2の傾きセンサーGS1,GS2の何れかにより、所定値以上の傾き角があることが検出され、かつ初期検出温度との間で例えば10℃以上の温度差がある時は、異常(電気ケトルが転倒状態)であると判定し、湯沸しヒータ4をOFFにするとともにブザー54を駆動してアラームを発生させる。
【0089】
この結果、ユーザーは、早期に適切な対応を取ることができる。
【0090】
これらの警報制御動作は、上記のように容器本体1A側の電源基板15a上に充電電池があることから、仮に容器本体1Aが電源台20側から取り外された場合にも行うことができる。
【符号の説明】
【0091】
1は電気ケトル、1Aは容器本体、1Bは底部材、2は蓋体、3は液体容器、4は湯沸しヒータ、20は電源台、20dは給電プラグ、50はマイコン制御ユニット、GS,GS1,GS2は傾きセンサー、TMOは注出湯温検知用サーミスタ、TM1〜TM3は第1〜第3のサーミスタである。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、内容量を検知することができる電気ケトルの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、常時保温ヒータに通電して置くことが必要な電気ポットに代わって、お湯が必要な時にのみ、加熱手段に通電して簡易かつ速やかに湯沸しを行うことができるようにした電気ケトルが、省エネ性の高い湯沸し手段として重宝されている。
【0003】
このような電気ケトルは、液体容器および該液体容器を加熱する加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置されるようになっており、湯沸し器本体が載置された状態において、湯沸し器本体側の上記加熱手段の受電部に電源を供給する給電部を備えた電源台とからなっている(例えば特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−285170号公報
【特許文献2】特開2008−212316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、以上のような電気ケトルでは、一般に水が入れられる上記液体容器の内側部分に適正な湯沸しが可能な最大水位量を規定する満水位目盛が設けられており、通常は同満水位目盛までの水量での適切な湯沸しが行われ、沸とう検知用の温度センサ(バイメタル、サーミスタなど)により沸とうしたことが検知されると、上記電源台側給電部から上記湯沸し器本体側湯沸し加熱手段への通電をOFFにして、湯沸しを停止するようになっている(例えば上述の特許文献1の構成を参照)。
【0006】
しかし、最初は満水位状態にあったとしても、使用によって液体容器内の水量は次第に減少する。
【0007】
したがって、湯沸し後、一旦使用した後の液体容器内の残量は正確に分らず、仮に再度電源を入れて再加熱を行ったりすると、ケースによっては空炊きとなる恐れもある。
【0008】
また、逆に最初から水が入れすぎだった場合には、吹きこぼれを生じる。
【0009】
そこで、例えば上記湯沸し器本体側に電気ポットと同様の水量表示器を設けて、外部から水量を視認することができるようにしたものも提案されている(例えば上述の特許文献2の構成を参照)。
【0010】
しかし、このような構成を採用すると、湯沸し器本体の構造が著しく複雑になり、コストも高くなる。
【0011】
また、容器の一部を透明にすることも考えられるが、真空二重容器や内容器とは別に外カバーを設けるようにしたものの場合には、そのような構成を採用することができない。
【0012】
この出願の発明は、このような問題を解決するためになされたもので、給湯時には、湯沸し器本体がその時の湯の残量に応じた角度傾けられることに着目し、該湯沸器本体の傾き角から、その内容量を検知する検知手段を設けて、液体容器内の湯量を検知することにより、具体的に液体容器内の水量を把握することができるようにした電気ケトルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0014】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気ケトルは、液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、上記湯沸し器本体の傾き角から上記液体容器内の湯量を検知する湯量検知手段を設けたことを特徴としている。
【0015】
このような構成によると、上述した液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、透明窓を設けたり、複雑な水量表示管を設けることなく、液体容器中の湯量を適切に検出することができるようになる。
【0016】
したがって、真空二重容器や内容器とは別に外カバーがある場合にも、容易に水量の把握を実現することができる。
【0017】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項1の発明の構成において、湯量検知手段は、液体容器の湯注出口側から所定距離以上離れた周面位置に設けられた複数の温度検知手段よりなることを特徴としている。
【0018】
このような構成の場合、給湯時に湯沸し器本体が傾けられることによって、液体容器内の湯は、当該傾き角に応じて液体容器内周壁面の上方側から下方側に接する位置が変わる。
【0019】
その結果、当該液体容器外周面の温度も湯が接している位置では高いが、接しなくなった位置では低下する。
【0020】
したがって、この温度の低下を複数の温度検知手段で検知するようにすると、温度低下を検知する温度検知手段の数が多くなるほど、湯量が少なくなっていることが判定される。
【0021】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項1の発明の構成において、湯量検知手段は、湯沸し器本体の傾き角を検出する傾斜センサよりなることを特徴としている。
【0022】
このような構成によると、当該傾斜センサーが検出した傾斜角が、そのまま液体容器内の湯量を示すことになる。さらに、傾斜センサーを把手の上部付近に配置し、蓋検知機構として併用することもできる。
【0023】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項3の発明の構成において、傾斜センサは、湯沸し器本体の転倒をも検出するようにしたことを特徴としている。
【0024】
このような構成によると、単に液体容器内の湯量だけでなく、湯沸し器本体の転倒状態をも適切に検出してアラームを出すなど、ユーザーに報知することができる。
【0025】
したがって、安全性も高くなる。
【0026】
(5) 請求項5の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項3又は4の発明の構成において、温度検知手段と傾き角検知手段とを組み合わせ、それらの検出値から湯量を判定するようにしたことを特徴としている。
【0027】
このような構成によると、湯量自体を、より正確に判定することが可能となる。
【0028】
したがって、例えば初期水量を把握できた場合には、沸とうまでの所要時間の演算や空炊き検知、また最大容量以上(水の入れすぎ)を検知して通電不能とし、吹きこぼれを防止することもできる。
【発明の効果】
【0029】
以上の結果、本願発明によれば、従来のような透明窓や複雑な構造の水量表示管を設けることなく、簡単かつ正確に、しかも判りやすく水量を検出、表示することができるようになるので、水の入れすぎによる吹きこぼれの防止、湯量の減少による空炊き等をも確実に回避することができる。
【0030】
その結果、安全で省エネ性能の高い電気ケトルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る電気ケトルの外部構成を示す図である。
【図2】同電気ケトルの内部構成を示す中央縦断面図である。
【図3】同電気ケトルの給湯時の傾斜状態を示す説明用の断面図である。
【図4】同電気ケトルの制御システムのブロック図である。
【図5】本願発明の実施の形態2に係る電気ケトルの内部構成を示す中央断面図である。
【図6】同電気ケトルの本体側液体容器部分の背面図である。
【図7】同電気ケトルの給湯状態における説明図である。
【図8】同電気ケトルの制御システムのブロック図である。
【図9】本願発明の実施の形態3に係る電気ケトルの要部の構成を示す中央縦断面図である。
【図10】本願発明の実施の形態4に係る電気ケトルの内部構成を示す中央縦断面図である。
【図11】同電気ケトルの平面図である。
【図12】同電気ケトルの制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の電気ケトルの各実施の形態の構成について、詳細に説明する。
【0033】
<実施の形態1>
先ず図1および図2には、本願発明の実施の形態1にかかる電気ケトル本体の全体および要部の構成が、また図3には、同電気ケトルの給湯状態における構成が、さらに図4には同電気ケトルのマイコンによる制御回路部分の構成が、それぞれ示されている。
【0034】
(電気ケトル本体部の構成)
この実施の形態の電気ケトルは、先ず図1および図2に示すように、内側に貯湯用の液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記液体容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である平面C字形の湯沸しヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面コ字形の把手部11eとを備えて構成されている。
【0035】
容器本体1Aは、底部材1Bを備えた合成樹脂製の円筒状の外ケース16と、その上端側全周囲に設けられた合成樹脂製の環状の肩部材11とからなり、該肩部材11内側の容器係止部11fを介して、上記液体容器(内容器)3が支持されている。
【0036】
また、肩部材11の前端部には、湯注出口5の下部を形成する下口部11aが前方に突出して設けられており、同部分に注出湯温検知用のサーミスタTMOが設けられている。
【0037】
液体容器3は、例えば1枚板構造のステンレス製の有底円筒形状の筒体からなっており、その底部31の下面側外周に、上記湯沸しヒータ4が周方向に延びて設けられている。
【0038】
この場合、同湯沸しヒータ4は、中央部分がフラットな伝熱性の良いヒータプレート4aの外周に断面逆台形状の下方側に所定の高さを有する平面C字形のヒータ埋設用凸部4bを形成し、同ヒータ埋設用凸部4b内に埋め込む形で設置されている。そして、その両端側には、電源配線である電源リード線接続用の電源リード端子が、上記ヒータ埋設用凸部4bの両端から所定の長さ突出する形で設けられている(図示省略)。
【0039】
一方、上記ヒータプレート4の下面側には、上記ヒータ埋設用凸部4Aの内周側に位置して、受電用の棒状電極8、スリーブ状電極9、スリーブ状の挿脱用ガイド筒よりなる筒体状の受電カプラ10、マイコン制御ユニット50などを備えた第1の電源基板(詳細な構造は図示省略)が設けられている。
【0040】
この第1の電源基板の上記把手部11e側端部には、上記湯沸しヒータ4両端の電源リード端子とリード線を介して接続するための電源コネクタ端子が設けられている。そして、その内の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して、上記把手部11e内の配線空間を介して把手部11e上端側の操作スイッチ(電源スイッチ)7の開閉接点、沸騰検知センサ65のバイメタル開閉接点部とそれぞれ直列な関係で接続され、同バイメタルの開閉接点部分からは電源配線であるリード線を介して同じく把手部11e内の配線空間15a内をユーターンして上記湯沸しヒータ4の一端側電源リード端子に接続されている(図示省略)。
【0041】
また第1の電源基板側の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して上記湯沸しヒータ4の他端側電源リード端子に接続されている(図示省略)。
【0042】
(蓋体の構成)
次に蓋体2は、合成樹脂製の上板2aと、該上板2aに対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板2bと、その下方の内カバー2cとからなっており、上記肩部材11内側の開口部に対して上下方向に着脱自在に嵌合されている。
【0043】
上記上板2aおよび下板2b間の空間は、必要に応じて断熱材を充填した断熱構造体に形成されているとともに、下板2bの一部には、下方から上方に向けて凹んだ蒸気パイプの収納部が設けられている。そして、同収納部内に収納設置された蒸気パイプには、下方側内カバー2cの蒸気導入口部21aから上方側蒸気排出口21dに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路21b〜21cが形成されている。そして、同蒸気排出通路21b〜21c下部の蒸気導入口部21a内には、転倒止水弁22が設置されている。
【0044】
そして、それらの内の中間に位置する上記蒸気排出通路21b部分は、さらに把手部11eの取付部側バイメタル式の沸騰検知センサ65を設けた沸騰検知用の蒸気導入空間64c部分に蒸気を分流させるための蒸気分流通路64a,64bが背面方向から下方に向けて設けられている。
【0045】
そして、把手部11e取付部の下部側蒸気導入空間64cの例えば上壁面側に設けられた沸とう検知センサ65のバイメタル部分の作動により液体容器3内の湯の沸とう(それに対応した蒸気の放出)を検知して、上記湯沸しヒータ4への電源の供給を遮断する。
【0046】
一方、このようにして沸騰検知用の蒸気導入空間64cに蒸気を導入するようにすると、同部分に導入した蒸気を外部に排出することが必要であり、また該部分で結露水を生じることにもなるので、これを外部に排出することが必要になる。
【0047】
そこで、上述した把手部11eに対応する容器本体1A側筒状の外ケース16の側壁部内側には、例えば図2に示すように、上記蒸気導入空間64c底部から把手部11e下端の蒸気および結露水排出口64eに到る蒸気等排出ダクトが設けられており、同蒸気等排出ダクト内の蒸気等排出通路64dを介して、蒸気および生じた結露水が把手部11eの下部から背面方向に向けて排出されるようになっている。
【0048】
一方、把手部11eの下部は、容器本体1Aの底部材1B側まで延びて連結されている。
【0049】
また、符号18は、湯の注出状態をロック・アンロックする機械式のロック・アンロックスイッチであり、同ロック・アンロックスイッチ18が付勢スプリング18bの反発力に抗して下方側に押し下げられると、弁体部材18aが所定ストローク下方に押し下げられ、蓋体2側と容器本体1Aの湯注出口5側との間の湯注出通路5aを開放し、液体容器3内の湯の注出を可能とする。
【0050】
また、上記把手基部11d部分には、容器本体1Aの傾き角θを検出する傾きセンサーGSが設けられている。この傾きセンサーGSには、例えば加速度センサー、圧電振動ジャイロなどが採用される。
【0051】
(電源台の構成)
他方、符号20は卓上型円形の電源台であり、その中央部上面側には、上記容器本体1A側スリーブ構造の受電カプラ10内に嵌合される同じくスリーブ構造の給電プラグ20dが所定の高さ突出して設けられている一方、裏面側にはAC電源コード(図示省略)の巻回収納部20aが設けられている。
【0052】
給電プラグ20dは、上記受電カプラ10のスリーブ状のガイド筒に対応して、その内側に摺動可能に嵌合されるガイド筒30aと、該ガイド筒30aの内周側にあって、上記スリーブ状電極9の内側にブラシ構造の電極を介して嵌合接触するスリーブ状電極30bと、該スリーブ状電極30bの内側にあって、上記受電カプラ10側の棒状電極8が挿入される軸筒状電極30cとからなっており、上記電源コード収納部20a内のAC電源コードが延設されてAC電源に接続されると、上記電源台20側給電プラグ20dを介して上記容器本体1A側受電カプラ10にAC電源が供給され、さらに同受電カプラ10を介して上述の底部材側湯沸しヒータ用第1の電源基板の電源回路に電源が供給される。
【0053】
その結果、同電源回路を介して、さらに把手部11e側操作スイッチ(電源スイッチ)7、湯沸しヒータ4、沸騰検知センサ65などに電源が供給されることになる。
【0054】
以上のように、この実施の形態では、湯注出口5を形成する下口部11a部分に注出湯温検知用のサーミスタTMO、把手基部11d部分に容器本体1Aの傾き角を検出する傾きセンサーGSを備えて構成されており、給湯時において、例えば図3に示すように、容器本体1Aを傾けて湯を注出すると、その時の湯が湯注出口5に到達した時の湯注出口5部分における温度の変化(急上昇)が、まずサーミスタTMOによって検出されるとともに、同温度変化時の容器本体1Aの傾き角θが傾きセンサーGSによって検出される。
【0055】
そして、これらのサーミスタTMOと傾きセンサーGSの各検出値は、例えば図4に示すように、第1の電源基板上のマイコン制御ユニット50に入力される。
【0056】
マイコン制御ユニット50内には、上記液体容器3の直径および深さ、規定された最大水位量MLを前提として、その時の液体容器3の傾斜角(図3の前傾傾斜角)θによつて同液体容器3内の湯量を特定するためのデータマップを具備しており、上記入力された容器本体1A(液体容器3)の傾き角θnをパラメータとして対応する湯量を読み出す。
【0057】
そして、この読み出された湯量データは、上述のように容器本体1Aの正面に設けられている水量表示部60に入力されて水量が表示される。
【0058】
また、この時の湯量が所定量以下の場合には、例えばブザー54を駆動して湯量が所定量以下であることを示す警報を出す。これにより、再加熱時などの空炊きが回避される。
【0059】
<実施の形態2>
次に図5および図6には、本願発明の実施の形態2にかかる電気ケトルの全体および要部の構成が、また図7には、同電気ケトルの給湯状態における構成が、さらに図8には同電気ケトルのマイコンによる制御回路部分の構成が、それぞれ示されている。
【0060】
この実施の形態の電気ケトルは、例えば図5に示すように、内側に貯湯用の液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記液体容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である平面C字形の湯沸しヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面コ字形の把手部11eとを備えて構成されている。
【0061】
これらの構成は、基本的に上述した実施の形態1のものと同様である。
【0062】
しかし、この実施の形態の場合には、上述した把手基部11d下方側の傾きセンサーGSに代えて、第1〜第3の複数のサーミスタTM1〜TM3により、容器本体1Aの傾きに応じた湯量を検出判定するように構成されていることが特徴である。
【0063】
すなわち、この実施の形態の電気ケトル1では、例えば図6に示すように、液体容器3の湯注出口5と対向する反対方向の背面側には、上方側から下方側に第1,第2,第3の3つのサーミスタが同一直線上に位置して配設されている。
【0064】
この場合、最上方側の第1のサーミスタTM1は、例えば液体容器3内の最大水位目盛MLを基準として、それよりも若干低目の位置に設けられており、第2,第3のサーミスタTM2,TM3はそれから下方側に略等間隔で設けられている。
【0065】
そして、この場合にも、例えば図7のように、上記容器本体1Aを前傾させて給湯操作がなされると、最初の湯が湯注出口5に到達した時点で湯温検知用のサーミスタTMOが急激な温度の上昇を検知する。
【0066】
そこで、この時の上記背面側第1〜第3のサーミスタTM1〜TM3の温度の変化を見ると、その時の水位から液体容器3内の湯の量(残量)を、例えば3段階(大・中・少)で判定することができる。
【0067】
例えば、(1)第1のサーミスタTM1のみの検出温度が低くて、第2,第3のサーミスタTM2,TM3の検出温度が高い場合は大量、(2)第1,第2のサーミスタTM1,TM2の検出温度が低くて、第3のサーミスタTM3のみの検出温度が高い場合は中量、(3)第1〜第3のサーミスタTM1〜TM3の全ての検出温度が低い場合(図7の状態)は少量と判定される。
【0068】
これら判定動作も、例えば図8に示すように、前述した第1の電源基板上のマイコン制御ユニット50によってなされ、上記実施の形態1の場合と同様に、判定結果が残存水量として水量表示部60に表示されるとともに、少量の場合にはブザー54で警報される。
【0069】
(変形例)
なお、以上の構成では、第1〜第3のサーミスタTM1〜TM3の湯温(壁温)検出(入力)タイミングを湯注出口5側のサーミスタTMOの温度変化を基準として取るようにしたが、そのようなタイミングを取らない場合には、上記注出湯温検知用のサーミスタTMOは不要である。
【0070】
また、以上の構成における第1〜第3のサーミスタTM1〜TM3は、もっと数を増やしても良く、そのようにすると、傾斜状態でない、通常の状態においても、湯量を判定することが可能となる。
【0071】
<実施の形態3>
次に図9には、本願発明の実施の形態3にかかる電気ケトルの液体容器部分の構成が示されている。
【0072】
上記実施の形態2の場合、前述した実施の形態1のような傾きセンサーGSによる傾き角そのものの検出ではなく、液体容器3の背面側に第1〜第3の複数のサーミスタTM1〜TM3を設けて湯温を拾うようにしているので、液体容器3が、例えば図9のような内筒3aおよび外筒3bよりなる真空二重容器である場合には、そのままでは湯温(壁温)の変化を拾うことができず何らかの対策が必要となる。
【0073】
この実施の形態は、そのような観点から構成されたもので、例えば図9に示すように、液体容器3が内筒3aと外筒3bとの真空二重壁よりなる場合には、外筒3b側のサーミスタ設置部のみを部分的に逆円錐形状に凹ませて外筒3bの一部を内筒3aに接触するようにする。そして、そのようにした凹部内に第1,第2,第3の各サーミスタTM1,TM2,TM3を設置する。
【0074】
このようにすると、液体容器3が断熱性の高い真空二重容器の場合であっても、その断熱機能を低下させることなく、上記実施の形態2の構成を採用して、液体容器3内の湯量を判定することができる。
【0075】
<実施の形態4>
さらに図10および図11には、本願発明の実施の形態4にかかる電気ケトルの全体および要部の構成が、また図12には、同電気ケトルのマイコンによる制御回路部分の構成が、それぞれ示されている。
【0076】
この実施の形態の電気ケトルも、例えば図10に示すように、内側に貯湯用の液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記液体容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である平面C字形の湯沸しヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面コ字形の把手部11eとを備えて構成されており、基本的な構成は上述の実施の形態1のものと同様である。
【0077】
そして、この実施の形態の場合にも、湯注出口5の下口部11a部分には注出湯温検知用のサーミスタTMO、把手基部11d部分下方に第1の傾きセンサーGS1がそれぞれ設けられているが、この実施の形態では、さらに図11に示すように、左右方向L−Rの一側側肩部材11部分にも第2の傾きセンサーGS2が設けられていて、前後方向F−Rだけでなく、左右方向L−Rの傾きの有無、大きさをも判定することができるようになっている。
【0078】
また、液体容器3の下部には、液体容器3内の湯の温度を検出する内部温度検知用サーミスタTMが設けられている。
【0079】
これら各センサGS1,GS2,TMの出力は、沸とう検知センサ65の沸とう検知出力とともに、例えば図12のブロック図に示すように、上記実施の形態1と同様のマイコン制御ユニット50に入力される。
【0080】
また、マイコン制御ユニット50の電源回路には、上述の操作スイッチ(電源スイッチ)7を介して、AC−DC変換回路51が接続されており、さらに操作スイッチ(電源スイッチ)7には、電源台20から取り外された時の単独動作用の充電電池52も接続されている。
【0081】
充電電池52は、またAC電源ON時に、AC−DC変換回路51によって充電されるようになっている。
【0082】
このような構成の場合、まず上述した容器本体(湯沸し器本体)1Aが電源台20上に載置され、かつ操作スイッチ(電源スイッチ)7がON操作されると、上記AC−DC変換回路51を通して上記マイコン制御ユニット50に動作電源が供給されるとともに、充電電池52が充電される。
【0083】
これにより、上記第1,第2の傾きセンサーGS1,GS2も動作して、容器本体1Aの前後および(又は)左右方向の傾き状態(傾き角)を検出し、マイコン制御ユニット50に入力する。
【0084】
また、マイコン制御ユニット50には、上記操作スイッチ(電源スイッチ)7のON操作に対応して、上記内部温度検知用サーミスタTMの検出温度が入力される。
【0085】
そして、該初期検出温度を所定のメモリに記憶させて置く。
【0086】
このようにして、湯沸しが開始され、やがて沸とうが始まると、沸とう動作フラグを立てて沸とう中であることを示すとともに、沸とう動作を監視する。
【0087】
次に、上記内部温度検知用サーミスタTMにより該沸とう動作中および沸とう動作後の液体容器3内の内部温度を検出し、上記メモリ中に記憶されている初期検出温度と比較する。
【0088】
この時、上記第1,第2の傾きセンサーGS1,GS2の何れかにより、所定値以上の傾き角があることが検出され、かつ初期検出温度との間で例えば10℃以上の温度差がある時は、異常(電気ケトルが転倒状態)であると判定し、湯沸しヒータ4をOFFにするとともにブザー54を駆動してアラームを発生させる。
【0089】
この結果、ユーザーは、早期に適切な対応を取ることができる。
【0090】
これらの警報制御動作は、上記のように容器本体1A側の電源基板15a上に充電電池があることから、仮に容器本体1Aが電源台20側から取り外された場合にも行うことができる。
【符号の説明】
【0091】
1は電気ケトル、1Aは容器本体、1Bは底部材、2は蓋体、3は液体容器、4は湯沸しヒータ、20は電源台、20dは給電プラグ、50はマイコン制御ユニット、GS,GS1,GS2は傾きセンサー、TMOは注出湯温検知用サーミスタ、TM1〜TM3は第1〜第3のサーミスタである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、上記湯沸し器本体の傾き角から上記液体容器内の湯量を検知する湯量検知手段を設けたことを特徴とする電気ケトル。
【請求項2】
湯量検知手段は、液体容器の湯注出口側から所定距離以上離れた周面位置に設けられた複数の温度検知手段よりなることを特徴とする請求項1記載の電気ケトル。
【請求項3】
湯量検知手段は、湯沸し器本体の傾き角を検出する傾斜センサよりなることを特徴とする請求項1記載の電気ケトル。
【請求項4】
傾斜センサは、湯沸し器本体の転倒をも検出するようにしたことを特徴とする請求項3記載の電気ケトル。
【請求項5】
温度検知手段と傾き角検知手段とを組み合わせ、それらの検出値から湯量を判定するようにしたことを特徴とする請求項3又は4記載の電気ケトル。
【請求項1】
液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、上記湯沸し器本体の傾き角から上記液体容器内の湯量を検知する湯量検知手段を設けたことを特徴とする電気ケトル。
【請求項2】
湯量検知手段は、液体容器の湯注出口側から所定距離以上離れた周面位置に設けられた複数の温度検知手段よりなることを特徴とする請求項1記載の電気ケトル。
【請求項3】
湯量検知手段は、湯沸し器本体の傾き角を検出する傾斜センサよりなることを特徴とする請求項1記載の電気ケトル。
【請求項4】
傾斜センサは、湯沸し器本体の転倒をも検出するようにしたことを特徴とする請求項3記載の電気ケトル。
【請求項5】
温度検知手段と傾き角検知手段とを組み合わせ、それらの検出値から湯量を判定するようにしたことを特徴とする請求項3又は4記載の電気ケトル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−139461(P2012−139461A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−958(P2011−958)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
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