説明

電気コネクタ

【課題】実装される回路基板上の回路を保護する保護回路を有し、その保護回路の形成の自由度が高く、多極のコンタクトを有しても大きな実装面積を要しない電気コネクタを提供する。
【解決手段】回路基板上に実装され、ハウジング3と、回路基板に接続されると共に、相手コネクタの相手コンタクトに接触し、ハウジング3に取り付けられる複数のコンタクト10と、ハウジング3に内蔵される半導体素子30とを有し、半導体素子30に備えられた過電圧保護素子を介してコンタクト10が接地されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関し、特に、半導体素子を内蔵した電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路基板上に実装されるコネクタを介して接続される相手コネクタから過電流が流れてきた場合に、回路基板上の回路の破壊を防止するために、コネクタと回路基板上の回路との間に回路保護素子が設けられることがある。しかし、この回路保護素子が回路基板上に実装されると、他の電子回路や素子を回路基板上に実装するスペースが確保しづらくなるので、回路基板の高密度実装化には課題を残していた。
【0003】
そこで、特許文献1及び特許文献2には、回路保護素子を内蔵した電気コネクタが開示されている。特許文献1に開示された電気コネクタは、その電気コネクタが実装される回路基板上の回路を過電流による破壊から保護することを目的とした電気コネクタである。この電気コネクタは、図6に示すように、ハウジング(図示せず)内に設けられたブスバー123、コンタクト片125A,125B、及び過電流保護素子124とを具備している。ブスバー123は、ハウジング内において分岐端子部123A1〜123A4,123B1〜123B4を有する。コンタクト片125A1〜125A4,125B1〜125B4は、相手コネクタの相手コンタクトと接触するコンタクト片である。過電流保護素子124は、分岐端子部123A,123B及びコンタクト片125A,125B間に配置される。
【0004】
また、特許文献2に開示されたコネクタ型半導体素子は、図7に示すように、第1リード211及び端子(コネクタ217)にそれぞれ半田付けされた半導体チップ214を外囲器221で封止してなる。そして、コネクタ217に設けられた1対のコネクタ爪218間に第2リード212が挿入接続されることによって、半導体チップ214を介して第1リード211と第2リード212とが接続されている。
【特許文献1】特開平11−185885号公報
【特許文献2】特開2001−339028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された電気コネクタは、複数のコンタクト片125A,125Bが互いに絶縁されていないため、これらを共通の機能で使用する用途に限定されてしまい、回路形成の自由度が低い。すなわち、複数のコンタクト片125A,125Bが回路としてつながっているので、全て同じ電圧であり、電力の分岐等、過電流保護に特化した電気コネクタとしての用途しかない。また、特許文献2に開示されたコネクタ型半導体素子は、1対のコネクタ爪218間に第2リード212を挿入接続する構造であるので、多極の回路を小型のコネクタ内に収容するスペースが確保できない。
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路基板上の回路を保護する保護回路の自由度が高く、多極のコンタクトを有しても回路基板上の高集積化を実現する電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本発明のうち請求項1に係る電気コネクタは、回路基板上に実装された電気コネクタであって、ハウジングと、前記回路基板に接続されると共に、相手コネクタの相手コンタクトに接触し、前記ハウジングに取り付けられる複数のコンタクトと、前記ハウジングに内蔵された半導体素子と、を有する電気コネクタにおいて、
前記半導体素子が過電圧保護素子を有し、前記過電圧保護素子を介して前記コンタクトが接地されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明のうち請求項2に係る電気コネクタは、請求項1に記載の発明において、前記複数のコンタクトのうち、接地用コンタクトと、その他のコンタクトとが前記過電圧保護素子を介して接続されていることを特徴としている。
また、本発明のうち請求項3に係る電気コネクタは、請求項1に記載の発明において、前記コンタクトとは別に設けられた接地用端子と、前記コンタクトとが前記過電圧保護素子を介して接続されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明のうち請求項4に係る電気コネクタは、回路基板上に実装された電気コネクタであって、ハウジングと、前記回路基板に接続され、前記ハウジングに取り付けられる複数の第1コンタクトと、相手コネクタの相手コンタクトに接触し、前記ハウジングに取り付けられる複数の第2コンタクトと、前記ハウジングに内蔵された半導体素子と、を有する電気コネクタにおいて、前記半導体素子は、隣接する少なくとも1対の第1コンタクトと、それらの第1コンタクトに対応し、隣接する少なくとも1対の第2コンタクトとが、コモンモードチョークコイル回路を介して接続していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1に係る電気コネクタによれば、過電圧保護素子を介して各コンタクトが接地された回路を備えた半導体素子を有するので、回路基板上の回路を保護し、回路基板上における保護回路の設置領域を削減できる。これは結果として、回路基板上に搭載される回路の保護及び回路基板上における高集積化を共に実現するものである。半導体素子に搭載される過電圧保護素子は、例えば、ツェナーダイオードである。
【0010】
本発明のうち請求項2に係る電気コネクタによれば、複数のコンタクトのうち、接地に供するコンタクトに他のコンタクトが過電圧保護素子を介して接続されるので、簡単な構成で回路基板上の回路を保護することができる。すなわち、各コンタクトに過電圧が印加された場合、接地に供するコンタクトに過電圧電流を逃がすことができ、回路基板上の回路を保護することができる。ここで、「他のコンタクト」とは、接地に供するコンタクト以外のコンタクトを指し、例えば、信号用コンタクト、電力供給用コンタクト、識別情報通信用コンタクトが挙げられる。なお、過電圧保護素子を高速信号回路に使用する場合には、過電圧保護素子の入力容量が信号の劣化を引き起こすことがある。本発明のコネクタにおいては、コンタクトが誘導性であることを利用し、過電圧保護素子とコネクタとを別々に実装した場合に比べて高速信号の劣化の程度を低くすることができる。
【0011】
また、本発明のうち請求項3に係る電気コネクタによれば、接地用端子を既存のコンタクト以外に個別に設けたので、過電圧電流を逃がす経路が、接地に供する既存のコンタクトに逃がす場合よりも増えるので効率的である。
また、本発明のうち請求項4に係る電気コネクタによれば、回路基板上におけるコモンモードチョークコイル回路の設置領域を削減し、回路基板上の高集積化が実現される。また、第1コンタクトと第2コンタクトとの間にコモンモードチョークコイル回路を介在させたので、隣接するコンタクト間の相対電圧を変えて回路基板上の回路を保護することができる。これは、隣接するコンタクト間においてそれぞれに伝送される差動信号を受ける場合に、レシーバーである回路基板上の回路に過大な電圧がかかることがあるため、このような過電圧から回路を保護する目的がある。このような構成を採用することによって、過電圧保護素子を介してコンタクトを接地させなくても電気コネクタが実装される回路基板上の回路を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明に係る電気コネクタを示し、(A)は平面図、(B)は背面図、(C)は正面図、(D)は底面図、(E)は右側面図である。図2は図1(A)における2−2線に沿う断面図である。図3(A)〜(D)は図1の電気コネクタの製造方法を示す概略図である。図4はハウジング内における半導体素子とコンタクトとの接続状態を示し、(A)は、第1の実施形態における概略図、(B)は、第2の実施形態における概略図、(C)は、第3の実施形態における概略図である。図5は半導体素子に組み込まれる回路の回路図を示し、(A)は、第1の実施形態における回路図、(B)は、第2の実施形態における回路図、(C)は、第3の実施形態における回路図である。
【0013】
(第1の実施形態)
図1(A)〜図1(E)に示すように、電気コネクタ1は、ハウジング3と、コンタクト10と、接地用端子20と、シェル6とを有してなる。電気コネクタ1は、図示しない回路基板上に電気コネクタ1の底面が当接するようにして実装される。コンタクト10、及び接地用端子20は、ハウジング3の前後方向(図1(E)における左右方向)に貫通するようにしてハウジング3に取り付けられる。シェル6は、板状の金属板であり、ハウジング3の側面部を覆うように筒状に曲げ加工されている。
【0014】
図1(B)に示すように、ハウジング3の背面側に突出したコンタクト10、及び接地用端子20は、折り曲げられて、ハウジング3の底面に引き回され、回路基板上の導電パッド(図示せず)に接続される。
ハウジング3は、図2に示すように、電気コネクタ1の背面側に一部が露出した直方体状の本体部3aと、本体部3aから前方(図2における左側)に突出する板状のプラットフォーム部3bとを有している。ハウジング3は絶縁性の材料よりなる。
【0015】
コンタクト10は、5本のコンタクト11〜15からなる。コンタクト11〜15は、金属板を打ち抜いて成型される。コンタクト11〜15は、例えば、コンタクト11が電力供給用として割り当てられ、コンタクト12が識別情報通信用に割り当てられ、コンタクト13,14が信号用(例えば、差動伝送信号用)に割り当てられ、コンタクト15が接地用に割り当てられる。図2に示すように、コンタクト11〜15は、電気コネクタ1の正面方向及び背面方向に延びるように横並びに設置される。コンタクト11〜15の一方の端部は、ハウジング3の背面に沿って底面側に折り曲げられ、回路基板上に形成された導電パッド(図示せず)に接続される。コンタクト11〜15の他方の端部は、プラットフォーム部3bの下側に露出させて配置される。プラットフォーム部3bの下側に配置されたコンタクト11〜15の他方の端部は、収容キャビティ5内に配置され、プラットフォーム部3bに嵌合される相手コネクタの相手コンタクトに電気的に接触する。
【0016】
接地用端子20は、その一方の端部が、コンタクト11〜15に並ぶようにハウジング3の背面に沿って底面側に折り曲げられる(図1(B)及び図3(A)参照)。なお、接地用端子20の他方の端部は、コンタクト11〜15の他方の端部と共に電気コネクタ1の正面方向に延びるように形成される必要はない。接地用端子20の他方の端部は、後述する半導体素子30上の導電パッドに適正に接続される位置まで延設されればよい(図3(A)参照)。
【0017】
図1(C)及び図2に示すように、電気コネクタ1の正面側には、電気コネクタ1に嵌合される相手コネクタ(図示せず)を収容する収容キャビティ5が、ハウジング3の側面を覆うシェル6の前方への突出部分によって形成されている。シェル6の前後方向の寸法は、本体部3aの前後方向の寸法よりも長いため、シェル6には、本体部3aより前方に突出する突出部分6cが形成される。そして、この突出部分6cとプラットフォーム部3bとの間には空隙が形成される。この空隙が収容キャビティ5であり、電気コネクタ1に嵌合される相手コネクタの嵌合部の形状に応じて成型される。
【0018】
シェル6の背面側の上面には、幅方向に互いに離間した1対の爪部6a,6aが内方に折り曲げ可能に形成されている。シェル6の下面には、左右側端部において1対の突片6b,6bが形成されている。この突片6b,6bを、電気コネクタ1が実装される回路基板に形成された導電パッドに表面実装し、半田付けすることにより、電気コネクタ1が回路基板上に固定される。
図1(D)及び図1(E)に示すように、シェル6の収容キャビティ5側の周縁部6dは、相手コネクタが収容キャビティ5内に収容されやすいように外方に折り曲げられている。
【0019】
図2に示すように、コンタクト11(コンタクト12〜15も同様)は、半導体素子30と共に絶縁性の樹脂パッケージ4に封止されている。樹脂パッケージ4は、ハウジング3の本体部3aに封止されている。コンタクト11〜15は、半導体素子30上に形成された複数の導電パッド(図示せず)にボンディングワイヤ40によって電気的に接続されている。具体的には、図3(B)及び図4(A)に示すように、半導体素子30上に形成された導電パッド30aとコンタクト11とがボンディングワイヤ40で接続されている。また、半導体素子30上に形成された導電パッド30bとコンタクト12とがボンディングワイヤ40で接続されている。また、半導体素子30上に形成された導電パッド30cとコンタクト13とがボンディングワイヤ40で接続されている。また、半導体素子30上に形成された導電パッド30dとコンタクト14とがボンディングワイヤ40で接続されている。また、半導体素子30上に形成された導電パッド30eとコンタクト15とがボンディングワイヤ40で接続されている。また、半導体素子30上に形成された導電パッド30f,30gと接地用端子20とがボンディングワイヤ40で接続されている。
【0020】
また、半導体素子30上に形成された導電パッド30a〜30eは、同様に半導体素子30上に形成された導電パッド30f又は導電パッド30gに半導体素子30の内部で過電圧保護素子51〜54を介して接続されている。すなわち、コンタクト11〜15は、半導体素子30の内部に形成された過電圧保護素子51〜54を介して接地用端子20に電気的に接続されている。前述したように、接地用端子20は、電気コネクタ1が実装される回路基板上に形成された接地用の導電パッドに電気的に接続されているので、コンタクト11〜15は、過電圧保護素子51〜54を介して接地されている。ここで、過電圧保護素子51〜54は、例えば、ツェナーダイオード等である。
このように、コンタクト11〜15と接地用端子20とが接続されていることによって、相手コネクタから過電圧が印加された際に、回路基板上の回路に過電圧を印加させずに、接地用端子20に過電圧電流を逃がすことができる。
【0021】
<電気コネクタの製造方法>
次に、本発明の電気コネクタの製造方法について、図3を参照して以下に説明する。本発明の電気コネクタの製造方法は、ボンディング工程と、第1の封止工程と、第2の封止工程と、組立工程とを有する。
<ボンディング工程>
ボンディング工程は、半導体素子30上に形成された導電パッド30a〜30gと、コンタクト11〜15及び接地用端子20,20とを接続する工程である。まず、コンタクト11〜15及び接地用端子20,20は、これらがバラバラにならないように連結するタイバー(図示せず)を介して金属板等を打ち抜いて一体に成型されている。その後、図3(A)に示すように、絶縁性の材料で被覆された半導体素子30が、例えば、コンタクト12〜14の中間部に載置される。半導体素子30とコンタクト12〜14との間には絶縁性のシートを設置してもよい。コンタクト11〜15及び接地用端子20,20の一方の端部は、予め設計されたハウジング3の背面及び底面の形状に応じて折り曲げられる。次に、図3(B)に示すように、半導体素子30上に形成された各導電パッド30a〜30gと、コンタクト11〜15及び接地用端子20,20とが、ボンディングワイヤ40でワイヤボンディングされる(図4(A)及び図5(A)参照)。
【0022】
<第1の封止工程>
第1の封止工程は、電気的に接続された半導体素子30と、コンタクト11〜15及び接地用端子20,20とを樹脂等の絶縁性の材料で封止する工程である。この工程は、ポット、プランジャ、ランナ、ゲート、キャビティ、イジェクタ、及びポンプ等を有する半導体装置製造用の樹脂封止装置を用いることが好ましい。半導体素子30、並びに、コンタクト11〜15及び接地用端子20,20は、半導体素子30の全体、コンタクト11〜15の中間部、接地用端子20,20の一方の端部において樹脂封止される。樹脂封止された後は、コンタクト11〜15及び接地用端子20,20を連結するタイバーを切断して、コンタクト11〜15及び接地用端子20,20を個々に分離する。この第1の樹脂封止工程によって、図3(C)に示すように、半導体素子30、並びに、コンタクト11〜15及び接地用端子20,20は、樹脂パッケージ4に封止された形態となる。
【0023】
<第2の封止工程>
第2の封止工程は、樹脂パッケージ4を樹脂等の絶縁性の材料でさらに封止し、ハウジング3を形成する工程である。第2の封止工程も、第1の封止工程と同様に、半導体装置製造用の樹脂封止装置を用いることが好ましい。なお、本工程に用いられるキャビティは、本体部3aとプラットフォーム部3bとを形成する形状とされている。図3(C)及び図3(D)に示すように、樹脂パッケージ4は、本体部3aの背面側からコンタクト11〜15及び接地用端子20,20のぞれぞれの一方の端部が突出するように樹脂封止される。また、樹脂パッケージ4は、本体部3aの正面側からコンタクト11〜15及び接地用端子20,20のぞれぞれの他方の端部が突出するように樹脂封止される。また、本体部3aの上面部には、シェル6の爪部6aを係合させるための溝部3cが成型される(図1(B)参照)。さらに、プラットフォーム部3bは、その下面に、コンタクト11〜15の他方の端部が位置するように成型される。その後、必要に応じて、コンタクト11〜15及び接地用端子20,20のぞれぞれの一方の端部が、本体部3aの背面に当接し、かつ、本体部3aの下面に当接するように折り曲げ量を調節する。
【0024】
<組立工程>
組立工程は、ハウジング3をシェル6に収納し、収容キャビティ5が正面に形成された電気コネクタ1を形成する工程である。ハウジング3は、前後方向を同じくしてシェル6の内部に収納される。このとき、シェル6の背面側の端面とハウジング3の背面とが位置合わせされる。図3(D)に示すように、シェル6は、金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成されている。シェル6は、前後方向に開口し、ハウジング3の本体部3aの外形に応じて、その側面を覆うように曲げ成型される。シェル6には、背面側の下端部において、本体部3aの下面に当接するように折り曲げられたコンタクト11〜15及び接地用端子20,20を回路基板に当接させるスペースが確保されている。ハウジング3を収納したシェル6は、爪部6aを折り曲げてハウジング3の上面に形成された溝部3cに係合させることによって、ハウジング3がシェル6内において固定される(図1(B)参照)。
【0025】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る電気コネクタは、半導体素子と、コンタクトとの接続関係が前述の第1の実施形態と異なるだけであるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。図4(B)及び図5(B)に示すように、本実施形態に係る電気コネクタは、コンタクト11〜15のうち、いずれかが接地用に供されており、接地用端子20,20の代わりに接地用のコンタクトを用いている。具体的には、コンタクト15が接地用に供されている場合、導電パッド30a〜30dと導電パッド30eとが半導体素子30の内部で過電圧保護素子51〜54を介して接続されている。
このように、過電圧保護素子51〜54を介してコンタクト10に接続される接地用端子を、コンタクト11〜15に含まれる接地用端子とすることによって、電気コネクタの構成を簡略化し、製造コストを低減できる。
【0026】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る電気コネクタも、半導体素子と、コンタクトとの接続関係が前述の第1の実施形態と異なるだけであるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。図4(C)及び図5(C)に示すように、本実施形態に係る電気コネクタは、コンタクト10のうち、少なくとも1対が第1コンタクト及び第2コンタクトとして分断され、所望の回路を介して半導体素子30内で接続されている。具体的には、コンタクト13とコンタクト14との間のコモンモードノイズを軽減することを目的として、まず、第1コンタクト13aと導電パッド30cとがボンディングワイヤ40で接続される。また、第1コンタクト14aと導電パッド30dとがボンディングワイヤ40で接続される。さらに、第2コンタクト13bと導電パッド30hとがボンディングワイヤ40で接続される。また、第1コンタクト14bと導電パッド30iとがボンディングワイヤ40で接続される。そして、導電パッド30c,30dと、導電パッド30h,30iとは、半導体素子30の内部でコモンモードチョーク回路60を形成して接続されている。
【0027】
樹脂パッケージ4に封止された半導体素子30と、コンタクト11〜15とがこのように接続されていることによって、隣接するコンタクト間の相対電圧を変えて回路基板上の回路を保護することができる。
このように、回路基板上の回路を保護する保護回路の機能及び保護回路とコンタクトとの接続態様を適宜設定することにより、保護回路の自由度が高く、多極のコンタクトを有しても大きな実装面積を要しない電気コネクタを提供できる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。例えば、上述した実施形態では、マイクロUSBコネクタを例として、コンタクト10の数を5本(5対)としたが、コンタクト10の数はこれに限られない。例えば、コンタクト10の数は、ミニHDMIコネクタを例として19本でもよい。また、コンタクト10と半導体素子30との接続は、ワイヤボンディングに限られず、フリップチップ接続等、ワイヤレスボンディングによって接続されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る電気コネクタを示し、(A)は平面図、(B)は背面図、(C)は正面図、(D)は底面図、(E)は右側面図である。
【図2】図1(A)における2−2線に沿う断面図である。
【図3】図1の電気コネクタの製造方法を示す概略図である。
【図4】ハウジング内における半導体素子とコンタクトとの接続状態を示し、(A)は、第1の実施形態における概略図、(B)は、第2の実施形態における概略図、(C)は、第3の実施形態における概略図である。
【図5】半導体素子に組み込まれる回路の回路図を示し、(A)は、第1の実施形態における回路図、(B)は、第2の実施形態における回路図、(C)は、第3の実施形態における回路図である。
【図6】従来の電気コネクタの構造を示す概略図である。
【図7】従来の電気コネクタの構造を示す概略図である。
【符号の説明】
【0030】
1 電気コネクタ
3 ハウジング
10 コンタクト
20 接地用端子
30 半導体素子
51〜54 過電圧保護素子
60 コモンモードチョーク回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に実装された電気コネクタであって、ハウジングと、前記回路基板に接続されると共に、相手コネクタの相手コンタクトに接触し、前記ハウジングに取り付けられる複数のコンタクトと、前記ハウジングに内蔵された半導体素子と、を有する電気コネクタにおいて、
前記半導体素子が過電圧保護素子を有し、前記過電圧保護素子を介して前記コンタクトが接地されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記複数のコンタクトのうち、接地用コンタクトと、その他のコンタクトとが前記過電圧保護素子を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトとは別に設けられた接地用端子と、前記コンタクトとが前記過電圧保護素子を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
回路基板上に実装された電気コネクタであって、ハウジングと、前記回路基板に接続され、前記ハウジングに取り付けられる複数の第1コンタクトと、相手コネクタの相手コンタクトに接触し、前記ハウジングに取り付けられる複数の第2コンタクトと、前記ハウジングに内蔵された半導体素子と、を有する電気コネクタにおいて、
前記半導体素子は、隣接する少なくとも1対の第1コンタクトと、それらの第1コンタクトに対応し、隣接する少なくとも1対の第2コンタクトとが、コモンモードチョークコイル回路を介して接続していることを特徴とする電気コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−272254(P2009−272254A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123997(P2008−123997)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスアンプ株式会社 (340)
【Fターム(参考)】