説明

電気ブレーキ作動アセンブリ

回転アクチュエータ(11)及び回転アクチュエータ(11)を駆動するための電気駆動手段と、回転アクチュエータ(11)の両側に配置され、各々が3つの接続部A,A1,B,B1,C,C1を含む一対の負荷伝達部材(16,17)とを備えた電気ブレーキ作動アセンブリ(10)。リンク・アレンジメント(14)は負荷伝達部材(16,17)の第一の接続部A,A1同士を接続し、作動ケーブル・アレンジメント(15)は負荷伝達部材(16,17)の第二の接続部B,B1同士を接続して回転アクチュエータ(11)と接続するように延伸し、ブレーキ・アセンブリ接続部(18,19)は負荷伝達部材(16,17)の第三の接続部C,C1のそれぞれからブレーキ・アセンブリとの接続のために延伸する。このアレンジメントは、回転アクチュエータ(11)がブレーキ作動方向に回転するに際し、引張力が作動ケーブル・アレンジメント(15)を通して負荷伝達部材(16,17)の第二の接続部C,C1に加えられて当該部材が第一の接続部A,A1の回りを回転し、第三の接続部B,B1の位置をシフトさせることによってブレーキ・アセンブリ接続部(18,19)に作動負荷を加え、ブレーキ・アセンブリを作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両のブレーキを作動させるための電気ブレーキ作動アセンブリに関する。本発明を車両の駐車ブレーキを作動させるものとして説明するのが都合が良いが、本発明をドラムまたはディスク等の常用ブレーキといった他の形態に適用することも可能である。
【背景技術】
【0002】
近年、特に駐車ブレーキを作動させるために電気ブレーキ作動アセンブリが車両に導入されている。電気ブレーキ・アクチュエータを用いることにより、車両の運転手は運転室の中にあるスイッチによって駐車ブレーキをかけたり、かけなかったりすることができ、駐車ブレーキを手動でかける手間が省ける。加えて、電機ブレーキ・アクチュエータは、手動の駐車ブレーキ・アクチュエータでは不可能な仕様で、車内コンピュータにより制御することができ、運転の安全性を高めるので望ましいと考えられている。
【特許文献1】国際公開第03/008248号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気ブレーキ作動アセンブリの利点が知られている一方で、市場に受け入れられるアセンブリを容易に入手することはできない。従って、本発明の目的の一つは、一般的な市場の受入要件に適合する電気ブレーキ作動アセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、電気ブレーキ作動アセンブリであって、回転アクチュエータ及び当該回転アクチュエータを駆動するための電気駆動手段と、前記回転アクチュエータの両側に配置された各々が3つの接続部を含む一対の負荷伝達部材と、前記負荷伝達部材の第一の接続部同士を接続するリンク・アレンジメントと、前記負荷伝達部材の第二の接続部同士を接続し、前記回転アクチュエータと接続するように延伸する作動ケーブル・アレンジメントと、前記負荷伝達部材の第三の接続部のそれぞれからブレーキ・アセンブリとの接続のために延伸するブレーキ・アセンブリ接続部とを備え、前記アレンジメントは、前記回転アクチュエータがブレーキ作動方向に回転するに際し、引張力が前記作動ケーブル・アレンジメントを通して前記負荷伝達部材の前記第二の接続部に加えられて、当該部材が前記第一の接続部の周りを回転し、前記第三の接続部の位置をシフトさせて、前記ブレーキ・アセンブリを作動させるために前記ブレーキ・アセンブリ接続部に作動負荷を加えるものである、電気ブレーキ作動アセンブリが提供される。
【0005】
本発明の回転アクチュエータは、出願人による特許文献1に記載される全ての形態をとることができ、作動ケーブル・アレンジメントは、回転アクチュエータと連絡して延伸し、順方向又は逆方向の何れかにアクチュエータが回転することによってブレーキをかけるために引き込まれ、又はブレーキを解放するために延伸される一つの連続ケーブルを含むものである。当該出願の明細書の内容についてはその全体がここにクロス・リファレンスとして援用される。
【0006】
回転アクチュエータは他の形態をとることもでき、作動ケーブル・アレンジメントが一対のケーブルを含み、そのそれぞれがアクチュエータに固定され、そのそれぞれが各々の負荷伝達部材に延伸する等の形態をとることも可能である。従って、回転アクチュエータは円筒形態をとることもでき、一対のケーブルの末端が適切な様式でそこに固定されるができる。その代わりに、回転アクチュエータは、作動ケーブル・アレンジメントの一対のケーブルの末端が(好ましくはそのそれぞれの端に)接続されるか、又は(そのそれぞれの端に向かって)長さ方向に沿って固定される長形要素等の回転要素であることができる。
【0007】
回転アクチュエータがどのような形態をとろうとも、アクチュエータに対する要求は、そこから2つの一般的には相反する方向へケーブルの延伸を促進すること、及びケーブルを回転の一方向へ引き込み、その引き込まれた状態からケーブルが回転によって第二の反対方向へ戻ることを許容することである。
【0008】
本発明の好ましい形態において、回転アクチュエータは、ディスクが回転する際にケーブル長の一部を収容するためのケーブル溝を定義する円形の外周を有する回転ディスクを含むものである。しかしながら、ディスクは楕円形等の他の形状であっても良く、ディスクのために選択される形状は、ケーブルの負荷がどのようにブレーキ・アセンブリにかかるかに基づいて選択することが可能である。例えば、ブレーキ・アセンブリにおけるランニング・クリアランスを吸収するためには、換言すれば、クリアランスの位置からブレーキパッドをディスク又はドラムのブレーキ表面に係合させるためには、ブレーキの掛け始めの段階ではより大きいケーブルのシフト又は引き込みが望ましく、その後は程度が減少したシフトが望ましいかもしれないが、ブレーキバッドとブレーキ表面の間に要求される圧力を実現させるためには増加されたトルクが必要である。従って、回転アクチュエータの幾何学的形状は異なる操作特性を提供するように選択することが可能である。
【0009】
本発明において、回転アクチュエータを都合よく固定し、車両のシャーシ上の適切なアンカ・ポイント等に接地することができる。例えば、回転アクチュエータを車両の後車軸又は差動装置に固定することができ、車両下側が容易に晒される泥、水、ほこり、その他の汚染物から守るために封止された適切なハウジング内に格納することができる。従って、後述する理由により、均等化の目的のために特許文献1に開示されるフレキシブル・ブラケット等を用いる必要はない。有益なことに、回転部材を固定又は接地することによって、複雑さがより少ない載置アレンジメントを採用することが可能になる。
【0010】
リンク・アレンジメントは負荷伝達部材の間を延伸し、これらの部材の第一接続部における回転運動以外の動きを実質的に制限する。リンク・アレンジメントは好ましくは引張状態の負荷トランスミッッション用のケーブルを含むものであり、当該アレンジメントが、それぞれの負荷伝達部材に対して反対側の端に固定されてこれらの部材の間を途切れることなく直接的に延伸する1つのケーブルを含むものであることが好ましい。その代わりに、1つのケーブルが適切な経路によって負荷伝達部材の間を間接的に延伸するものであっても構わない。また、その代わりに、リンク・アレンジメントは、圧縮下又は引張下において負荷を伝達可能なロッド等の剛性部材からなる又はそれを含むものであっても良い。リンク・アレンジメントは負荷伝達部材を連結し、これらの部材とリンク・アレンジメントとの接続点の間に実質上一定の距離を保つように操作することが可能である。設定された距離を保つことにより、負荷伝達部材は、アクチュエータ・ケーブルアレンジメントが負荷伝達部材との接続点に引っ張り負荷を加えたときに、第一接続部の周りを回転することが可能になる。
【0011】
上述のように、アクチュエータ・ケーブルアレンジメントは、それぞれの負荷伝達部材と回転アクチュエータとに連結して延伸する。アクチュエータ・ケーブルアレンジメントは連続するケーブルであることができ、また、必要であれば2つ以上の別個のケーブルを包含することが可能である。アクチュエータ・ケーブルアレンジメントの構造は部分的に回転アクチュエータの形状に依存するものであり、例えば、特許文献1の図面に示されるアクチュエータにおいては、それぞれの負荷伝達部材に対して何れかの末端に接続される連続ケーブルを用いることが可能である。しかしながら、回転部材が例えば上述の長形要素のような他の形態を取る場合には、一端が負荷伝達部材に接続され、他端が回転部材に接続された2つの分離したケーブルを用いることができる。連続ケーブルを収容可能なアクチュエータが、特に組み立ての容易性に関して特定の優位性を提供することは特許文献1の明細書の記載から理解される。
【0012】
回転部材は、ブレーキの適用及び解放のために作動ケーブル・アレンジメントを引き込み、延伸させる役割を負う。回転部材は、ブレーキをかけるために負荷伝達部材まで延伸するケーブル又はケーブルの一部を引き込む必要がある。この引き込みによって、負荷伝達部材はリンク・アレンジメントの第一接続部の周りを回転し、この回転によりブレーキ・アセンブリの接続を引っ張る又は引き込むことによってブレーキをかける。回転部材が反対方向に回転することにより、ブレーキ解放から作動ケーブル・アレンジメントの延伸によって、負荷伝達部材が再び第一接続部の回りを逆に回転することが可能になる。
【0013】
ブレーキ・アセンブリの接続は全ての適切なアレンジメント形態をとることができ、例えば、圧縮下又は引張下のそれぞれにおいて作動可能な接続を含むものである。圧縮状態において、ブレーキ・アセンブリの接続はプッシュロッドを包含することができる。引張状態において、当該接続はケーブルであることができ、これが好ましい。従って、後者の接続は駐車ブレーキ用に用いられる本願のケーブル・アレンジメントの形態又はそれに類似した形態を都合よく取ることのできるブレーキ・ケーブルアレンジメントを含むものである。それ故、ダクトに収容されたケーブルをそれぞれのブレーキ・アセンブリから負荷伝達アレンジメントまで延伸することが可能である。当該ダクトを、ケーブルがその中を自由に動くことができる状態で、それぞれのブレーキ・アセンブリ及び負荷伝達部材に隣接して固定することができる。負荷伝達部材に隣接して固定されたダクトの末端は当該部材付近に固定されることが好ましく、上述のように、電気ブレーキ作動アセンブリを収容するハウジング或いはアセンブリが設置又は用いられる車両の適切な箇所に、ダクトが固定されることが好ましい。このアレンジメントにおいて、ブレーキ・ケーブルアレンジメントのケーブルを外部に晒すことなく、ダクト及びハウジング内に完全に密閉することが可能である。
【0014】
負荷伝達部材の形態は適切なものであれば如何なるものでもよく、そのうちの一つにおいて当該伝達部材は長形のレバーであって、当該レバーの長さ方向に3つの接続部が間隔をおいて設けられている。一つの形態において、第一及び第二の接続部がレバーの両末端に形成又は設けられ、第三の接続部が第一及び第二の接続部の間に形成される。この好ましいアレンジメントにおいて、ブレーキ・アセンブリの接続部は引張状態において作用し、従って、ケーブルについては所望される形態をとることができる。このことは第三の接続部が第一の接続部に対して第二の接続部の反対側に提供される場合にも同様である。その代わりに、第三の接続部が第二の接続部に対して第一の接続部の反対側である場合には、ブレーキ・アセンブリは圧縮状態において作用可能なものでなければならない。
【0015】
本発明のアセンブリは、負荷伝達部材からブレーキ・アセンブリの接続部までを通した、負荷の増幅又は増大或いは負荷の減少を提供するものであることができる。増幅の程度は、例えば、第一及び第二の接続部の間の距離(距離y)、並びに第一及び第三の接続部の間の距離(距離x)のそれぞれの違いの比率の関数である。従って、第一及び第二の接続部の間の距離yが第一及び第三の接続部の間の距離xの2倍になるようにそれぞれの接続部が等しく離れている場合には、負荷の増幅度は2対1、即ち、1ユニットの力が入り、2ユニットに増幅されて出て行く、ということになる。増幅の比率は、y:xの比が変わるように接続部の間隔を変更することによって必要に応じて変化させることが可能である。負荷の減少についてもそれぞれの負荷伝達部材の接続部を適切に位置づけることによって同様に調整することができる。
【0016】
本発明のアセンブリは、負荷伝達部材が第三の接続部に作用する力とは反対方向に作用する第一及び第二の接続部における分力を受けるようにアレンジされる。使用において、それぞれの接続部に作用する力は、引張状態においてリンク及び作動アレンジメント並びにブレーキ・アセンブリの接続部を維持するようなものであることが好ましい。
【0017】
負荷伝達部材が、必要な場合には、負荷均一化を促進することができるように浮動することが可能であることが好ましい。即ち、ブレーキ・アセンブリの接続部の一つによる変位の要求が他の接続部より大きい場合に、負荷伝達部材が浮動位置にシフトすることによってそれぞれの負荷を均一にすることができる。従って、本発明のアセンブリにおいて回転アクチュエータのそれぞれとブレーキ・アセンブリの接続部とを固定することができる一方、負荷伝達部材を浮動するようにアレンジすることができ、このようなアレンジメントによってブレーキ・アセンブリにかかる負荷を均一化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明をより良く理解し、どのような実施形態が可能であるかを示すために、図面を参照して本発明の実施例を以下に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
【0019】
(実施例)
図1に示すアセンブリ10において、回転アクチュエータ11が、回転運動以外の運動に対して回転アクチュエータ11を固定的に据える搭載構造12と共に示されている。搭載構造12は、例えば車両のシャーシの一部或いは後車軸又は差動装置に固定することができる。回転アクチュエータ11を駆動するための駆動アレンジメントは搭載構造12の一部を形成するが、図1には駆動アレンジメントは示されていない。一般的には、駆動アレンジメントは電動機とキー溝又はスプライン接続等によって回転アクチュエータ11に固定される駆動軸とを含むものであるが、駆動軸と回転アクチュエータとの間のトランスミッションは、回転アクチュエータ11にかかる駆動軸の回転を減らすために、ギアによるアレンジメントであってもよい。
【0020】
回転アクチュエータ11は、上述の特許文献1に記載され説明された類のものである。従って、回転アクチュエータ11は、パッセージ又はギャップがそれらの間に明確になるように分離された一対の一般的には半円状のローブ13を含むものである。ローブ13の外周はケーブル用の溝(図示せず)を有するものである。
【0021】
アセンブリ10は、ケーブル14の形態のリンク・アレンジメント及びケーブル15の形態のアクチュエータ・ケーブルアレンジメントを更に含むものである。リンク及びアクチュエータ・ケーブル14及び15は、一対の負荷伝達部材16及び17の間を延伸するものである。リンク・ケーブル14は、ケーブル接続部A及びA1の一端に固定される連続した1つのケーブルを含むものである。また、アクチュエータ・ケーブル15も一つのケーブルを含むものであり、当該ケーブルは、負荷伝達部材16及び17の間であってケーブル接続部C及びC1の間を延伸するが、ケーブル15は回転アクチュエータ11とも係合するものである。この係合は、ケーブル15が最初のローブ13と係合し、ローブ13の間のギャップを延伸して他方のローブ13と係合するものである。ケーブル15はそれぞれのローブ13に設けられた上述の溝内に収容される。
【0022】
負荷伝達部材16及び17のそれぞれにはブレーキ・アセンブリ接続部18も接続され、これらのアレンジメント18用のケーブル接続部は上述のケーブル接続部A、A1及びC、C1の間のB及びB1にそれぞれ位置する。ブレーキ・ケーブルアレンジメント18は、それぞれがダクト21に向かって延伸するケーブル19及び20を含み、負荷伝達部材16及び17に面するダクト21の端はハウジング(図示せず)に対して接地されているのが好ましい。
【0023】
アセンブリ10は以下のように操作可能である。回転アクチュエータ11が反時計方向に回転することによって、アクチュエータ・ケーブル15に対して矢印22の方向に引張力が働く。引張力によって負荷伝達部材16及び17がケーブルの接続部A及びA1に作られた支点を中心に回転し、ケーブル19及び20に引張力を加える。ケーブル19及び20はダクト21内において回転部材13に向かってシフトし、この動きによってアセンブリ10に接続されているブレーキ・アセンブリを作動することができる。ダクト21の端である21’は、アセンブリ10を収容するハウジング又は車両の安定部分に固定される。
【0024】
アクチュエータ・ケーブル15を、それを回転アクチュエータ11に対して固定する適切なアレンジメントによって、回転アクチュエータ11を通じた又はそれに対する並進運動に対して実質的に安定化させることができる。図1において、抑制装置又はアバットメント23が、ケーブル15とローブ13との係合のほぼ中間の位置でケーブル15に固定されているのが示されている。アバットメント23はローブ13の向かい合った面に形成される一対の向かい合った凹部24内に位置し、凹部24はケーブル15に固定されたアバットメント23がローブ13の間のギャップ内に挿入されることを可能にする。一旦挿入されると、アバットメント23は向かい合った凹部24が設けられたローブ13のギャップ部分の間に補足され、従って、アバットメント23がケーブル15に固定されるので、ケーブル15も同様に回転アクチュエータ11を通じた又はそれに対する並進運動に対して安定化されることになる。
【0025】
アバットメント23は他の形態であっても良く、例えば、アバットメント23が凹部24と密接又はぴったりと近接するようにその外表面が凹部24のカーブと適合するように湾曲していても良い。
【0026】
アバットメント24はクリンピング又は他の適切な固定手段によってケーブル15に固定することができ、或いはケーブル15を2つの部分に形成してアバットメントを当該2つの部分が一緒になるように接続しても良い。ケーブルにより大きい強度を与えられるであろうことから、前者の形態の方が好ましい。
【0027】
アセンブリ10において、リンク・ケーブル14並びにブレーキ・ケーブル19及び20はケーブル以外の剛性部材であることができる。これは、例えば、ブレーキ・ケーブル19及び20が引張状態よりは圧縮状態で操作される場合に望ましい場合に適切である。実際にこれが利用可能な例として、接続部B’が点線で示される延伸部分に設けられている負荷伝達部材16が図1に示されている。従って、接続部B’はケーブル接続部Cに対してケーブル接続部Aの反対側に位置することになる。このアレンジメントにおいて、アクチュエータ・ケーブル15が矢印22の方向に引っ張られた場合に、接続部B’はケーブル接続部Aの支点の周りを逆時計方向に回転し、圧縮部材がブレーキ・アセンブリに対して作動力を加えることになる。
【0028】
アセンブリ10は様々な有益な結果を提供することができる。第一に、負荷伝達部材16及び17を通してケーブル19及び20に負荷を加えることによって、負荷の増幅又は増大を図ることができる。負荷増幅は距離y/xの比であって、ケーブル接続部B、B1がケーブル接続部A、A1に向かってシフトすると負荷の増幅度が増加することは容易に理解される。
【0029】
第二に、アセンブリ10はケーブル19及び20を通して加えられた負荷に対して自己均一化を図ることができ、この理由は負荷伝達部材16及び17が接地されておらず、その代わりに浮動することができるということによる。従って、ケーブル20によってより高い変位が要求される場合に、ブレーキ・アセンブリ接続部18間の負荷が均一化されるように、それぞれの負荷伝達部材がケーブル20のダクト21に向かって浮動することができる。
【0030】
従って、特許文献1に開示された類の浮動マウンティングを必要とすることなく、回転アクチュエータ11を固定できるという利点がある。
【0031】
更なる利点は、当該アレンジメントのケーブルは全出力負荷(ブレーキ・ケーブルアレンジメントにかかる負荷)を支える必要はなく、出力負荷の一部のみを支えればよいため、作動ケーブルにより細く、より柔軟なケーブルを用いることができるということである。また、これらのアレンジメントのケーブルが回転部材のローブ13を経路とする必要がない場合には、より標準的で、より柔軟性がなく、安価なケーブルをブレーキ・アセンブリの接続部に使用することができる。
【0032】
図1に示されるアセンブリ10は、リンク及びアクチュエータ・ケーブル14及び15並びにブレーキ・ケーブル19及び20の全てが、必要ならば適切なガイド・アレンジメントの援助によって、同一面に延伸する、本質的には一次元アセンブリと呼ぶことのできるものである。同様に、負荷伝達部材16及び17はこれらのケーブルと同一平面上にある。しかしながら、概して平面である図1のアレンジメントがケーブル及び負荷伝達部材が移動されて非平面的アレンジメントに変更された、三次元アレンジメントと呼ぶことのできるアレンジメントとすることも可能である。
【0033】
図2及び3は、図1に示され説明されたものと同一の部品を多く含むアセンブリ100を示すものである。従って、図1と同様の部品には同一の符番に100を加えて示している。
【0034】
負荷伝達部材116及び117が搭載構造112の一方の側から他方側に向かって延伸することは特に図3に明らかに示されている。搭載構造112の前側130が、回転アクチュエータ111が設置される側である場合には、負荷伝達部材116及び117は当該前側130から後側140に向かって延伸する。これは負荷伝達部材が回転アクチュエータ11の面とほぼ平行に延伸する図1に示されるアセンブリ10と対照的である。
【0035】
図2及び3に戻り、リンク・ケーブル114が搭載構造112の後側140を横切って負荷伝達部材116及び117の間を延伸し、一方、アクチュエータ・ケーブル115はその前側130を横切って延伸することが示されている。更に、ブレーキ・ケーブル119及び120が、それぞれの負荷伝達部材116及び117の前側130及び後側140の間であってより後側に近い位置から延伸することが示されている。ブレーキ・ケーブルをより前側に近い位置から延伸させることが可能であるが、これは要求される入力/出力負荷の比に依存する。
【0036】
図2及び3は、負荷伝達部材及び様々なケーブルを図1に示すように概して平面にアレンジする必要がないことを例証するものであり、本発明によるアセンブリが様々な異なる形態を取ることができることを明確に示すものである。
【0037】
ここに記載された発明を特に説明したもの以外に変更、改良、及び/又は付加することができ、本発明は上述の記述の趣旨及び範囲内である全ての変更、改良、及び/又は付加を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施態様による電気ブレーキ作動アセンブリを説明するためのものである。
【図2】本発明の他の実施態様による電気ブレーキ作動アセンブリを説明するためのものである。
【図3】図2に示すアセンブリの側面図である。
【符号の説明】
【0039】
10,100 アセンブリ
11 回転アクチュエータ
12,112 搭載構造
13 ローブ
14,15,114 リンク・ケーブル
115 アクチュエータ・ケーブル
19,20,119,120 ブレーキ・ケーブル
16,17,116,117 負荷伝達部材
18 ブレーキ・アセンブリ接続部(アレンジメント)
21 ダクト
21’ ダクト21の端
23 アバットメント
24 凹部
130 搭載構造112の前側
140 搭載構造112の後側
A,A1,B,B’,B1,C,C1 ケーブル接続部
x,y 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ブレーキ作動アセンブリであって、
回転アクチュエータ及び当該回転アクチュエータを駆動するための電気駆動手段と、
前記回転アクチュエータの両側に配置され、各々が3つの接続部を含む一対の負荷伝達部材と、
前記負荷伝達部材の第一の接続部同士を接続するリンク・アレンジメントと、
前記負荷伝達部材の第二の接続部同士を接続し、前記回転アクチュエータと接続するように延伸する作動ケーブル・アレンジメントと、
前記負荷伝達部材の第三の接続部のそれぞれからブレーキ・アセンブリとの接続のために延伸するブレーキ・アセンブリ接続部とを備え、
前記アレンジメントは、前記回転アクチュエータがブレーキ作動方向に回転するに際し、引張力が前記作動ケーブル・アレンジメントを通して前記負荷伝達部材の前記第二の接続部に加えられて当該部材が前記第一の接続部の周りを回転し、前記第三の接続部の位置をシフトさせて前記ブレーキ・アセンブリを作動させるために前記ブレーキ・アセンブリ接続部に作動負荷を加える、電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項2】
前記作動ケーブル・アレンジメントが、単一の連続したケーブルである作動ケーブルを含む、請求項1に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項3】
前記作動ケーブル・アレンジメントが、一端が前記アクチュエータに固定され、それぞれの負荷伝達部材に延伸する一対の作動ケーブルを含む、請求項1に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項4】
前記回転アクチュエータが回転ディスクを備え、当該回転ディスクは回転する際に前記作動ケーブル・アレンジメントの一部を収容するための溝が設けられた外周を有する、請求項1又は2に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項5】
前記回転ディスクに設けられた外周が円形又は楕円形である、請求項4に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項6】
前記回転ディスクが、前記外周に形成された前記溝の基部から軸に沿って放射状に形成される前記ディスクの回転軸を通って直径方向に延伸する通路を備え、前記ケーブルは前記通路を通って延伸し、前記ケーブルは前記通路を通って延伸する部分にアバットメントを含み、前記通路は当該通路を通した並進運動に対して前記ケーブルを実質的に安定化させるように前記アバットメントと協調するように構成される、請求項4又は5に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項7】
前記通路は、前記通路を通した並進運動に対して前記ケーブルを実質的に安定化させるために前記アバットメントを部分的に収容する少なくとも1つの凹部を有する、請求項6に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項8】
前記通路は、前記通路の対向面に形成される1対の対向する凹部を含み、当該凹部のそれぞれは、前記通路を通した並進運動に対して前記ケーブルを実質的に安定化させるために前記アバットメントを部分的に収容する、請求項7に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項9】
前記アバットメントが前記ケーブルに固定された部材である、請求項6〜8何れか一項に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項10】
前記回転アクチュエータが、回転運動以外の運動に対して固定されたものである、請求項1〜9何れか一項に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項11】
前記回転アクチュエータが車両のシャーシに固定される、請求項10に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項12】
前記回転アクチュエータが車両の後軸又は差動装置に固定される、請求項10に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項13】
前記リンク・アレンジメントが、前記負荷伝達部材の前記第一の接続部の反対端に固定されたケーブルを含み、前記作動アセンブリは当該ケーブルが圧縮状態にあるものである、請求項1〜12何れか一項に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項14】
前記リンク・アレンジメントが、前記負荷伝達部材の前記第一の接続部の反対端に接続されたロッドを含む、請求項1〜12何れか一項に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項15】
前記ブレーキ・アセンブリ接続部のそれぞれが、一端が前記負荷伝達部材の前記第三の接続部に固定され、他端が各々のブレーキ・アセンブリに接続されるケーブルを備えた、請求項1〜14何れか一項に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項16】
前記ケーブルがケーブル・ダクトに収容されており、当該ダクトの一端はそれぞれのブレーキ・アセンブリに固定され、他端は負荷伝達部材に隣接する固定されたアバットメントに固定され、前記ケーブルは当該ダクト内を自由に移動可能である、請求項15に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項17】
負荷伝達部材に隣接して固定された前記ダクトの端が、前記ダクト内に収容された前記ケーブルが前記ダクトからハウジング内に延伸するように、前記回転アクチュエータを収容する当該ハウジングの一部に固定される、請求項16に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項18】
前記負荷伝達部材が長形のレバーであり、前記3つのケーブル接続部が当該レバーの概略長さ方向に間隔を空けて配置される、請求項1〜17何れか一項に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項19】
前記第三の接続部が前記第一及び第二の接続部の間に設けられる、請求項18に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項20】
前記第一及び第二の接続部が前記レバーの両末端に設けられ、前記第三の接続部が前記第一及び第二の接続部の間に設けられる、請求項19に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項21】
前記第三の接続部が前記第一の接続部に対して前記第二の接続部の反対側に設けられる、請求項18に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項22】
前記負荷伝達部材の各々が、前記ブレーキ・アセンブリに実質的に均一に負荷を加えて負荷均一化を促進するように、前記回転部材に対して浮動するように配置される、請求項1〜21何れか一項に記載の電気ブレーキ作動アセンブリ。
【請求項23】
車両のブレーキ・アレンジメントであって、
車両の一対の車輪のそれぞれに付随する一対のブレーキ・アセンブリと、
電気ブレーキ作動アセンブリとを備え、当該電気ブレーキ作動アセンブリは、
回転アクチュエータ及び当該回転アクチュエータを駆動するための電気駆動手段と、
前記回転アクチュエータの両側に配置され、各々が3つの接続部を含む一対の負荷伝達部材と、
前記負荷伝達部材の第一の接続部同士を接続するリンク・アレンジメントと、
前記負荷伝達部材の第二の接続部同士を接続し、前記回転アクチュエータと接続するように延伸する作動ケーブル・アレンジメントと、
前記負荷伝達部材の第三の接続部のそれぞれからブレーキ・アセンブリとの接続のために延伸するブレーキ・アセンブリ接続部とを備え、
前記アレンジメントは、前記回転アクチュエータがブレーキ作動方向に回転するに際し、引張力が前記作動ケーブル・アレンジメントを通して前記負荷伝達部材の前記第二の接続部に加えられて当該部材が前記第一の接続部の周りを回転し、前記第三の接続部の位置をシフトさせて前記ブレーキ・アセンブリを作動させるために前記ブレーキ・アセンブリ接続部に作動負荷を加えるものである、車両のブレーキ・アレンジメント。
【請求項24】
前記ブレーキ・アレンジメントが駐車ブレーキ・アレンジメントである、請求項23に記載のブレーキ・アレンジメント。
【請求項25】
前記ブレーキ・アレンジメントが常用ブレーキ・アレンジメントである、請求項23に記載の車両のブレーキ・アレンジメント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−500214(P2008−500214A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513607(P2007−513607)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000754
【国際公開番号】WO2005/115817
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(506392883)ピービーアール・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】