電気ポット
【課題】給湯スイッチ押圧時の押圧力を可変することにより、湯の吐出量を可変できるようにした電動給湯型の電気ポットにおいて、その時の吐出量の大小に応じた適切な吐出量調節を行える電動給湯型ポットを実現する。
【解決手段】湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を非直線特性とした。
【解決手段】湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を非直線特性とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電動給湯ポンプを備えた電気ポットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の電気ポットでは電動給湯ポンプを備え、給湯スイッチを押すと、同電動給湯ポンプが駆動されて、内容器内の湯が給湯通路を介して外部に注出される電動給湯型のものが多くなっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような電動給湯型の電気ポットの中には、さらに圧電素子を備え、給湯スイッチを押圧操作した時の押圧力に応じて出力される圧電素子の電圧値によって電動給湯ポンプを駆動するようにし、給湯スイッチに対する押圧力を可変することにより給湯時の吐出量(単位時間当たりの吐出量)を所望の量に可変調節できるようにしたものもある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−300968号公報
【特許文献2】特開平7−213441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述の給湯スイッチに対する押圧力に応じて電動給湯ポンプを駆動し、吐出量を可変するようにしたものの場合、その時の吐出量に関係なく、給湯スイッチの押圧力に対する電気ポット駆動電圧の比が一定、すなわち図6の仮想線に示すように正比例する関係に設定されており、少量給湯領域においても、中量、大量給湯領域においても、常に一定の比率(感度)で吐出量が増減制御されるようになっている。
【0006】
したがって、中量、大量域での吐出量調節が容易である反面、少量域での細かな吐出量調節を行ない難い問題がある。また、大量域では、押圧力に対する吐出量変化を一層大きくして、さらに吐出効率を向上させる方が良いとも言える。
【0007】
つまり、上記従来の電気ポットでは、吐出量の多少や用途に応じた適切な吐出量制御特性が実現されていない問題がある。
【0008】
本願発明は、このような問題に対応してなされたものであり、従来のように、常に一定の制御特性で吐出量制御するのではなく、吐出領域に応じて適切な吐出量制御を行えるようにした電気ポットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0010】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気ポットは、湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を非直線特性としたことを特徴としている。
【0011】
このような構成によると、押圧力の小さい少量域から押圧力の大きい大量域までの湯の吐出領域の全領域において、常に押圧力に応じた一定の割合で湯吐出量を増減制御するのではなく、給湯スイッチに対する押圧力が小さく、湯吐出量も少ない少量吐出時には、押圧力に対するポンプ駆動電圧の可変比率を、中量、大量吐出時に比べて小さなものに設定して、細かな吐出量制御を行うことができるようになる。
【0012】
したがって、少量給湯時の給湯スイッチ押圧操作による給湯量の調節が容易になる。
【0013】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気ポットは、上記請求項1の発明の課題解決手段の構成において、湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を複数有し、その内の1つを任意に選択して給湯制御できるようにしたことを特徴としている。
【0014】
このような構成によると、ユーザーの使用頻度の高い湯吐出量やユーザーによって異なる吐出の仕方等、用途や使用方法に応じた種々のパターンの吐出量調節を実現することができる。
【0015】
特に、その場合において、従来と同様の給湯スイッチの押圧力に対してポンプ駆動電圧が正比例する直線的な制御特性と少量吐出時の吐出量調節を容易にした上述の非直線的な制御特性とを選択可能とすれば、従来と同様の吐出量調節機能を含めた多様なパターンの吐出量調節が可能となる。
【0016】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気ポットは、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段の構成において、給湯開始時の電動給湯ポンプ駆動電圧を、その時の給湯スイッチ押圧力に応じて設定される本来の設定電圧よりも高く設定したことを特徴としている。
【0017】
このような構成によると、給湯開始初期の電動給湯ポンプ能力が通常時よりも大きくなり、給湯通路の長さによって生じる給湯スイッチ押圧時から実際に湯が吐出されるまでのタイムラグが可及的に短かくなり、ユーザーの違和感を解消することができる。
【0018】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気ポットは、上記請求項1,2又は3の発明の課題解決手段の構成において、電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性は、その時の内容器内の残水量に応じて複数組設けられていることを特徴としている。
【0019】
このような構成によると、その時の湯量の相違(満量・中量・少量)によるヘッド差に関係なく、常に安定した一定の湯の出方(吐出量、吐出状態)を実現できるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上の結果、本願発明の電気ポットによると、吐出時の電動給湯ポンプの単位時間当りの吐出量を、その時の給湯スイッチ押圧力によって決まる吐出領域に応じて適切に調節できるようになり、中量以上の吐出時の場合は勿論、少量吐出時の場合にも、非常に調節しやすい給湯量制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明の各実施の形態に共通な電気ポット本体部分の構成を示す側方から見た縦断面図である。
【図2】同本体部分の平面図である。
【図3】同本体部分の流量センサ部の拡大縦断面図である。
【図4】同本体部分の電気的な制御ブロック回路図である。
【図5】本願発明の実施の形態1の給湯量補正制御を示すフローチャートである。
【図6】同実施の形態1の給湯量制御における給湯スイッチの押圧力とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図7】本願発明の実施の形態2の給湯量制御における給湯スイッチ操作時間とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図8】本願発明の実施の形態3の給湯量制御における給湯スイッチ押圧力とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図9】本願発明の実施の形態4の給湯量制御における給湯スイッチ押圧力とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図10】本願発明の実施の形態5の給湯量制御において課題とした従来の電気ポットのポンプ駆動電圧と湯吐出量との関係についての問題点を示す図である。
【図11】本願発明の実施の形態5の給湯量制御における給湯スイッチ押圧力とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図12】本願発明の実施の形態6における給湯スイッチ操作時の湯吐出量レベルを示すレベルインジケータの設置状態を示す操作パネルの図である。
【図13】本願発明の実施の形態6におけるレベルインジケータのレベル表示部と給湯スイッチ押圧力およびポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、先ず本願発明の電気ポットの後述する各実施の形態に共通な電気ポット本体部分および制御装置部分の構成と作用について説明する。
【0023】
(電気ポット本体部分の構成)
図1ないし図3には、後述する本願発明の各実施の形態に共通な電気ポットの本体および要部の構成が示されている。
【0024】
この電気ポットは、先ず図1および図2に示すように、貯湯用の内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1の上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記内容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である湯沸しヒータ4Aと、上記内容器3を保温時において加熱する加熱手段である保温ヒータ4Bと、上記内容器3内の湯を外部へ給湯するための給湯通路5と、該給湯通路5の途中に設けられた実流量計測用の流量センサ80と、AC電源が接続されている状態において上記給湯通路5を介して上記内容器3内の湯を外部に送り出す電動給湯ポンプ6と、AC電源が接続されていない状態において上記給湯通路5を介して内容器3内の湯を外部に送り出すエア式の手動給湯ポンプ18とを備えて構成されている。
【0025】
上記容器本体1は、外側面部を構成する合成樹脂製の筒状の外ケース7と、内側面部を構成する上記内容器3と、上記外ケース7と内容器3とを上部側で一体に結合固定する合成樹脂製の環状の肩部材8と、底面部を構成する合成樹脂製の皿状の底部材9とからなっている。
【0026】
上記内容器3は、ステンレス製の有底円筒形状の内筒10と同じくステンレス製の円筒形状の外筒11との間に真空断熱空間を設けた保温性能の高い真空二重構造体からなっており、その底部には、外周部を除いて上記内筒10の底面部のみにより構成された1枚板部3aが形成されている。該1枚板部3aは若干上方に高く突出して成形されていて、その下面側には、上記湯沸しヒータ4Aと保温ヒータ4B(例えば雲母板にワット数の異なる2組の発熱体を保持させたマイカヒータよりなる)が取り付けられている。
【0027】
上記内容器3の上端部には、上記内筒10側の上端部を中心軸方向に向けて絞り加工したヒートキープ構造の小径の給水口3bが形成されている。また符号12は、上記内容器3の温度(換言すれば、内容器3内の湯の温度)を検出する湯温検出手段として作用する底センサ(湯温センサ)であり、サーミスタよりなっている。さらに、符号13は上記内容器3の満水位を表示する凸状の満水位表示部である。
【0028】
上記蓋体2は、合成樹脂製の上板14と該上板14に対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板15とからなっており、上記肩部材8の後部に設けられたヒンジ受け16に対してヒンジピン17を介して上下方向に開閉自在且つ着脱自在に支持されている。
【0029】
この蓋体2には、AC電源が接続されていない状態でも上記給湯通路5を介して外部への給湯が可能なように、手動押圧操作により圧縮作動されるエア式の手動給湯ポンプ18が配設されている。該手動給湯ポンプ18は、上記蓋体2の略中央部に形成された円筒部19内に配設されたベローズタイプのものとされており、押圧カバー20Aと押圧板20Bを介して蛇腹構造のベローズ20Cを下方に押圧操作することにより、ベローズ20C内の加圧空気20Dが空気吹込口を介して内容器3内に吹き込まれ、該加圧空気の吹き込み圧力によって内容器3内のお湯が給湯通路5を介して外部へ押し出されるようになっている。また、20Eはベローズ20Cの上方への復元バネ、15Aは下板15側のベローズ支持板である。なお、符号21a〜21dは、下方から上方に向けて相互に連通した蓋体2の蒸気排出通路、22は同蒸気排出通路21a〜21dの蒸気導出部21a側途中に配設された転倒止水弁である。
【0030】
上記蓋体2における下板15の下面には、金属製の内カバー部材23が固定されており、該内カバー部材23の外周縁には、上記蓋体2の閉蓋時において上記内容器3の給水口3bの上面に圧接される耐熱ラバー製のシールパッキン24が設けられている。
【0031】
上記給湯通路5の上流端側である上記内容器3の下部位置には、内容器3側湯導入筒6a、給湯ポンプ側湯吸入口6bを介して直流型の電動給湯ポンプ6が配設されており、この給湯通路5においては上記湯導入筒6aを介して湯吸入口6bより吸入された湯が当該電動給湯ポンプ6のポンピング作用により、その吐出口6cから吐出され、同給湯通路5の直管部5bを経て、上記流量センサ80内の流量検出通路を通り、転倒止水弁側連結パイプ5cから外部への湯注出口5dに導かれる。
【0032】
さらに、符号35は、後述する各種スイッチ類の操作面や液晶表示部の表示面を備えた操作パネル部、51aは、マイコン制御部60や各種スイッチ類38〜41,42,43、液晶表示装置(駆動部)等を備えたマイコン基板、51は、液晶表示部47の支持部材、50は、上記電動給湯ポンプ6の駆動回路や湯沸しヒータ4A、保温ヒータ4Bの加熱制御回路、安定化直流電源回路等を備えた電源基板である。
【0033】
上記操作パネル部35には、圧電素子を備えた感圧式の給湯スイッチ38、給湯ロック解除スイッチ39、再沸騰/保温選択スイッチ40、おやすみタイマースイッチ41、定量給湯モード選択時における給湯量設定用アップダウンスイッチ42,43、再沸騰表示用LED44、保温動作表示用LED45、給湯ロック解除表示用LED46、液晶表示部47等が設けられている。
【0034】
上記液晶表示部47には、例えば時刻/時間/湯温/作動状態等兼用表示部47a、保温設定温度表示部47b、まほうびん保温表示部47cが設けられており、各種の便利な情報表示がなされるようになっている。
【0035】
この電動給湯型の電気ポットは、上記給湯スイッチ38を押し続ける限り、その時の押圧力に応じた電圧により、連続的に上記電動給湯ポンプ6を駆動して、押圧力に応じた量の湯を注出できる連続給湯モードと、給湯スイッチ38を押し続けても、予じめアップダウンスイッチ42,43で設定した所定量の湯を注出すると上記電動給湯ポンプ6が停止する定量給湯モードとの2種の給湯モードを備えて構成されている。
【0036】
そして、その何れの給湯モードの場合にも、上記流量センサ80の出力を利用した電動給湯ポンプ6の駆動パルス電圧のデューティー比の可変制御が行われる。
【0037】
そして、それに使用される流量センサ80は、例えば図3に示されるように、回転支軸81の外周に筒状のハブ82aを介して螺旋状の回転スクリュー羽根82を遊嵌し、それらを給湯通路5の直管部5bの上端に嵌合筒83を介して嵌合固定して支持するとともに、外周部をシリコン弾性体89で液密にカバーし、その上部外周に透明体よりなる筒状の通路形成部材84の下端部84aを嵌合する。そして、さらに該通路形成部材84の上端部84bを上記転倒止水弁側連結パイプ5cの下端に突き合わせ、同突き合わせ部外周部にスリーブ88を嵌合してシール状態で連結固定する。
【0038】
また、該通路形成部材84の下部側外周には、装置支持フランジ84cが設けられており、その上部に小径の第1の筒壁85aと大径の第2の筒壁85bとの2重の筒壁構造を備えた傘状の装置カバー85が嵌合固定されている。そして、上記第1の筒壁85aを利用して装置基板86が取り付けられており、該装置基板86上の上記透明な通路形成部材84を挟んで対向する前後両位置に発光部87aと受光部87bが、相互に光軸を一致させた状態で設置されている。該発光部87aと受光部87bの光軸は、上記通路形成部材84内の螺旋状の回転スクリュー羽根82の上下羽根間の隙間を介したものとなるように、その回転中心軸位置よりも半径方向外方に所定位置偏位させて設置されている。
【0039】
したがって、上記電動給湯ポンプ6が駆動され、上記直管部5bを介して上記通路形成部材84内の湯流通路を湯が通ると、それによって上記螺旋状の回転スクリュー羽根82が回転するが、それによって上記発光部87aと受光部87b間の光軸は半回転毎に遮断され、受光部87bからは、その単位時間内の回転速度に応じた所定の個数Nの出力信号が出力される。そして、この出力信号の個数Nが結局上記電動給湯ポンプ6による給湯量を表わすことになる。
【0040】
なお、以上の構成における給湯スイッチ38は、もちろん安全性を考慮して適切な操作感度(押圧感度)に設定されており、所定の値以上の押圧力が作用しないとポンプ駆動を行わないように構成されている。したがって、少し触れた程度で給湯作動されるようなことはない。
【0041】
(制御回路部の構成)
次に図4は、それぞれ上記構成の電気ポット本体における制御回路部の構成を示すブロック図である。
【0042】
図4中、先ず符号57は、平滑コンデンサおよび電源ICよりなり、マイコン制御部60および加熱制御部54、ポンプ電源部59等に直流電源を供給する直流安定化電源部、また54は、湯沸しヒータ4A作動用の電源スイッチ、同電源スイッチ駆動用の電源リレー、保温ヒータ4B作動用のトライアック、同トライアック駆動用のトランジスタなどよりなる加熱制御部、4A,4Bは、上述した湯沸しヒータ4A、保温ヒータ4Bよりなる加熱手段、59は、上記電動給湯ポンプ6のポンプ電源部、38は、上述の給湯スイッチ、58は、上記電動給湯ポンプ6のモータ部に対して駆動用のパルス電圧を供給して駆動するパルス駆動部、6は、上述の直流型の電動給湯ポンプである。
【0043】
上記湯沸しヒータ4Aは、例えば上記マイコン制御部60から湯沸しヒータON信号が出力されると、上記加熱制御部54中のトランジスタを介して電源リレーが作動され、それに対応して電源スイッチがONになることにより、駆動される。
【0044】
また、上記保温ヒータ4Bは、上記マイコン制御部60から、保温ヒータON信号が出力されると、上記加熱制御部54のトランジスタがONになり、トライアックがトリガーされて駆動される。
【0045】
さらに、上記電動給湯ポンプ6は、そのアース側ライン中に挿入された上記給湯スイッチ38がON操作されると、マイコン制御部60に同給湯スイッチ38のON信号が入力され、それに応じてマイコン制御部60が上記保温ヒータ4BをOFFにするとともに、上記マイコン制御部60から所定のデューティー比のパルス電圧信号が出力されて、そのポンプ電源部59およびパルス駆動部58側分圧電源回路を介して所定の分圧電源値で、かつ当該所定のデューティー比で適切に回転駆動される。
【0046】
また、上記マイコン制御部60には、定電圧電源部を介して所定の定電圧が供給されている。
【0047】
さらに、上記マイコン制御部60には、液晶表示部47、再沸騰表示用LED44、保温動作表示用LED45、給湯ロック解除表示用LED46等の各種表示部や給湯スイッチ38、再沸騰/保温選択スイッチ40、給湯ロック解除スイッチ39、おやすみタイマースイッチ41、給湯用設定手段用アップダウンスイッチ42,43等の各種操作部や温度検知手段12、流量検知手段80などの各センサー部等が、各々入出力ポートを介して接続されている。
【0048】
<実施の形態1に係る給湯量制御>
次に、図5は、上記のように構成された電気ポット本体に適用される本願発明の実施の形態1に係る電気ポットの給湯量制御のメインルーチンを、図6は同給湯量の制御特性(従来のものと対比)を各々示している。
【0049】
すでに述べたように、通常給湯モードの場合は勿論、定量給湯モードの場合においても、上記直流型電動給湯ポンプ6の単位時間当りの給湯量を、応答性良く、高精度かつ正確に調節できるようにするためには、当該直流型の電動給湯ポンプ6をパルス電圧で駆動するようにし、そのデューティー比を適切に可変コントロールするようにすることが好ましい。
【0050】
そして、その場合の単位時間当りの吐出量の調節は、予じめ検証されている電動給湯ポンプ6のポンプ性能を考慮して、給湯スイッチ38の押圧力に応じた所定の目標吐出量を設定し、実際の電動給湯ポンプ6の吐出量が当該目標吐出量となるようにオープンループ制御するか、又は上記流量検出手段としての流量センサ80を使用して実流量を検出しながら該実流量が上記所定の目標流量となるようにパルス電圧のデューティー比を決定して、上記電動給湯ポンプ6の回転数をフィードバック制御するようにする。
【0051】
先ず、今上述の電気ポット本体(図1〜図3)は、湯沸し、カルキ抜きが完了し、その内容器3内には所定目標保温温度(例えば98℃又は90℃)で、満量状態の湯が貯留され、給湯ロック状態に設定されていることを前提として話を進める。
【0052】
該状態において、先ずロック解除スイッチ39がON操作されたか否かを判定する(ステップS1)。
【0053】
その結果、NOのロック解除スイッチ39がON操作されないままの時は、そのまま通常の保温制御のメインルーチンに戻る(ステップS2)。他方、YESのロック解除スイッチ39がON操作された時は、上記給湯ロック機能を解除して、給湯ロック解除表示用LED46を点灯(ステップS3)させるとともに、所定のロック解除時間Tを設定しているロック解除タイマーTMのタイマー動作をスタートさせる(ステップS4)。
【0054】
そして、それに続いて該ロック解除タイマーTMのロック解除時間Tのタイマーアップ(経過)を判定し(ステップS5)、YESの時は、上記給湯ロック解除表示用LED46をOFF(ステップS6)にした上で、上記通常の保温制御のメインルーチンに戻る(ステップS7)。
【0055】
他方、これに対してNOの未だロック解除時間Tが経過していない時は、次に給湯スイッチ38がON操作されたか否か、を判定する(ステップS8)。
【0056】
そして、その結果、YESの給湯スイッチ38がON操作された時は、先ず給湯スイッチ圧電素子の押圧力に応じた電圧出力を入力する(ステップS9)。次に入力された同電圧値を基に規定の関数式による演算処理を行って、給湯スイッチ38の押圧力に対するポンプ駆動電圧、すなわち吐出量の関係を図6のリニアな関係(従来)からノンリニアな関係(本実施の形態)に変更する(ステップS10)。次にノンリニアな制御同特性に基き、上記電動給湯ポンプ6の駆動手段であるパルス駆動部58に対して、マイコン制御部60内のデューティー比設定回路から、同制御特性に応じたデューティー比のパルス電圧を出力する(ステップS11)。
【0057】
なお、この場合、図示はしなかったが、それに合わせて上記流量センサ80の単位時間当りの出力パルス数N、すなわち同単位時間当りの検出流量をマイコン制御部60内に読み込む。
【0058】
そして、該読み込んだ単位時間当りの流量センサ80の出力パルス数Nが予じめ設定した所定の設定パルス数Na±ΔNの範囲内にあるか否かを判定し、YESの時は同判定を繰り返す一方、設定パルス数Na±ΔNの範囲を超えるようになってNOと判定されると、後述するように、その変化量に応じて上記パルス駆動部58へ出力するパルス電圧のデューティー比を補正するようにする。
【0059】
他方、上記ステップS8の給湯スイッチ38のON/OFF判定で、給湯スイッチ38がON操作されなかったNOの時は、上記ステップS5のロック解除、タイムアップ判定に戻る。
【0060】
すでに述べたように、給湯スイッチ38、すなわち圧電素子への押圧力に対するポンプ駆動電圧(吐出量)の関係を、図6の従来例のように正比例の関係で定数設定したものの場合、図示のように、押圧力が小さい少量の吐出領域でも、押圧力が大きい多量の吐出領域の何れでも変化率そのものが一定であるから、少量吐出時の吐出量の調節が難しい問題がある。
【0061】
ところが、上述のように、圧電素子に作用する押圧力が小さくて吐出量が少ない時には、押圧力の増大量又は減少量に対するポンプ駆動電圧(吐出量)の増大率又は減少率が小さいが、圧電素子に作用する押圧力が所定値以上に大きな領域(中量域から大量域)では押圧力に対するポンプ駆動電圧(吐出量)の変化率が大きくなるノンリニアな制御特性にすると、吐出量の少ない領域での微調整が容易になるとともに、吐出量の多い領域での速やかな給湯が可能となる。
【0062】
これらの結果、電動給湯操作の利便性、操作性が向上する。
【0063】
<実施の形態2に係る給湯量制御>
上述のように、給湯スイッチ38を圧電素子で形成し、該圧電素子に対する押圧力に応じて出力される電圧値により電動給湯ポンプ6を駆動することによって吐出量を制御するようにした場合、図6の従来の制御特性(リニアな特性)のままでは、給湯開始時から最少量の吐出を行おうとすると、ポンプ駆動電圧が低いことから、湯吸入口6bから給湯量通路5を介して湯注出口5dに湯が到達するのに時間がかかる。
【0064】
そのため給湯スイッチ38の押圧操作と出湯動作との間に相当のタイムラグがあり、操作感(応答性)の悪いものとなっていた。
【0065】
そこで、この実施の形態では、例えば図7に示すように、上記給湯量通路5内に湯が満たされる時間(1秒程度)は、給湯スイッチ38の押圧力に応じた本来のポンプ駆動電圧よりも電圧値(初期電圧値)を高くし、速やかに給湯量通路5内に湯を満たした後、給湯スイッチ38の押圧力に応じた本来のポンプ駆動電圧に戻して吐出量制御するようにする。
【0066】
このようにすると、給湯開始初期からの少量吐出時においても、ユーザーの給湯スイッチ押圧操作と実際の湯吐出動作とのタイムラグが小さくなり、給湯スイッチ38の操作感(応答性)が向上する。
【0067】
<実施の形態3に係る給湯量制御>
この実施の形態では、例えば図8に示すように、上述した実施の形態1に係るノンリニアな給湯量制御特性Aと従来のリニアな給湯量制御特性Bとの2つの制御特性を備え、それらの何れか一方のユーザーにとって使い勝手の良い制御特性に、任意に切り換えて使用できるようにしたものである。
【0068】
このような構成によると、例えばコーヒーカップなどの小さな容器に湯を注ぐ場合には、給湯スイッチ38の比較的小さな押圧力に応じて緩やかに吐出量調節できる制御特性Aで給湯量制御する一方、大きな容器に大量の湯を速く注ぎたい場合には、給湯スイッチ38を軽く押しただけでも多量に吐出させることができる制御特性Bで給湯量制御するなどの用途に応じた使い分けが可能となる。
【0069】
<実施の形態4に係る給湯量制御>
上述のように、湯の注出方法は用途に応じて異なるとともに、ユーザーの好みによっても異なり、相当な幅がある。
【0070】
したがって、例えば図9の特性図に示されるように、上記実施の形態1に係る給湯量制御特性(少量給湯時はゆるやかで、中量時以上は増量率を大きくする・・・・パターン1)、必要とする給湯量に応じて段階的に増量率をかえる制御特性(例えば0〜50cc〜100cc〜150cc〜200cc・・・・パターン2)、増量率が一定である従来のリニアな制御特性(パターン3)、少量給湯時は増量率が大で、中量時から大量時にかけて増量率を小さくする制御特性(パターン4)、小さな押圧力で多量の湯を吐出させる上記実施の形態3のBの制御特性(パターン5)の複数の制御特性を具備させ、用途に応じ、またユーザーの好みに応じて所望の制御特性を選んで給湯量制御できるようにする。
【0071】
このようにすると、さらに給湯操作の利便性を向上させることができる。
【0072】
<実施の形態5に係る給湯量制御>
上述のような電動給湯タイプの電気ポットでは、例えば図10に示されるように、ポンプ駆動電圧が一定であっても、その時の内容器3内の残水量の多少(満水時/2L時/1L時)によって湯の吐出量が変わる問題がある(ヘッド差による変動)。
【0073】
そこで、この実施の形態では、例えば図11に示すように、その時の残水量(満水時/2L時/1L時)を所定の検出手段で検出し、同検出値に応じて制御特性を自動的に変更することによって、残水量如何にかかわらず、吐出量を一定にすることができる。
【0074】
したがって、給湯スイッチ38による給湯操作の利便性を、さらに向上させることができるようにしている。
【0075】
<実施の形態6に係る給湯量制御>
ところで、以上のように給湯スイッチ38の押圧力に応じて給湯時の吐出量を制御するようにした電動給湯型の電気ポットの場合、押圧力に応じて湯が吐出されるものの、その吐出量レベルが具体的に何の程度のものなのか、感覚的に認識しにくい問題がある。
【0076】
そこで、この実施の形態では、例えば図12に示すように、前述の操作パネル部35の前端に押圧力に応じた実際の吐出量レベルをLED表示するレベルインジケータ60を設置し、給湯スイッチ38の押圧力に応じた実際の吐出量レベルを、その制御特性に応じ、例えばレベル1〜レベル5までの5段階で視覚的に容易に認識できるようにしたことを特徴とするものである。
【0077】
同レベルインジケータ60のインジケータ部61は、レベル1〜レベル5の5個のLEDを左から右に長く並設して構成されており、その横(前側)には左から右に幅が拡大された矢印62が設けられていて、5個のLEDの点灯方向が吐出量の増大方向であることが分かるようになっている。
【0078】
このような構成によると、給湯スイッチ38の押圧力に応じた実際の吐出量を視覚的に実感として認識することができるようになり、より操作性、利便性の高いものとなる。
【0079】
なお、この吐出量レベルの表示は、もちろん上記実施の形態1のようなノンリニアな特性のみに限られず、図示仮想線のようなリニアな制御特性(前述した従来の特性)の場合にも全く同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1は容器本体、2は蓋体、3は内容器、4Aは湯沸しヒータ、4Bは保温ヒータ、5は給湯通路、6は電動給湯ポンプ、7は外ケース、10は内筒、11は外筒、12は底センサ、18は手動給湯ポンプ、60はマイコン制御部、80は流量センサである。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電動給湯ポンプを備えた電気ポットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の電気ポットでは電動給湯ポンプを備え、給湯スイッチを押すと、同電動給湯ポンプが駆動されて、内容器内の湯が給湯通路を介して外部に注出される電動給湯型のものが多くなっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような電動給湯型の電気ポットの中には、さらに圧電素子を備え、給湯スイッチを押圧操作した時の押圧力に応じて出力される圧電素子の電圧値によって電動給湯ポンプを駆動するようにし、給湯スイッチに対する押圧力を可変することにより給湯時の吐出量(単位時間当たりの吐出量)を所望の量に可変調節できるようにしたものもある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−300968号公報
【特許文献2】特開平7−213441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述の給湯スイッチに対する押圧力に応じて電動給湯ポンプを駆動し、吐出量を可変するようにしたものの場合、その時の吐出量に関係なく、給湯スイッチの押圧力に対する電気ポット駆動電圧の比が一定、すなわち図6の仮想線に示すように正比例する関係に設定されており、少量給湯領域においても、中量、大量給湯領域においても、常に一定の比率(感度)で吐出量が増減制御されるようになっている。
【0006】
したがって、中量、大量域での吐出量調節が容易である反面、少量域での細かな吐出量調節を行ない難い問題がある。また、大量域では、押圧力に対する吐出量変化を一層大きくして、さらに吐出効率を向上させる方が良いとも言える。
【0007】
つまり、上記従来の電気ポットでは、吐出量の多少や用途に応じた適切な吐出量制御特性が実現されていない問題がある。
【0008】
本願発明は、このような問題に対応してなされたものであり、従来のように、常に一定の制御特性で吐出量制御するのではなく、吐出領域に応じて適切な吐出量制御を行えるようにした電気ポットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0010】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気ポットは、湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を非直線特性としたことを特徴としている。
【0011】
このような構成によると、押圧力の小さい少量域から押圧力の大きい大量域までの湯の吐出領域の全領域において、常に押圧力に応じた一定の割合で湯吐出量を増減制御するのではなく、給湯スイッチに対する押圧力が小さく、湯吐出量も少ない少量吐出時には、押圧力に対するポンプ駆動電圧の可変比率を、中量、大量吐出時に比べて小さなものに設定して、細かな吐出量制御を行うことができるようになる。
【0012】
したがって、少量給湯時の給湯スイッチ押圧操作による給湯量の調節が容易になる。
【0013】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気ポットは、上記請求項1の発明の課題解決手段の構成において、湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を複数有し、その内の1つを任意に選択して給湯制御できるようにしたことを特徴としている。
【0014】
このような構成によると、ユーザーの使用頻度の高い湯吐出量やユーザーによって異なる吐出の仕方等、用途や使用方法に応じた種々のパターンの吐出量調節を実現することができる。
【0015】
特に、その場合において、従来と同様の給湯スイッチの押圧力に対してポンプ駆動電圧が正比例する直線的な制御特性と少量吐出時の吐出量調節を容易にした上述の非直線的な制御特性とを選択可能とすれば、従来と同様の吐出量調節機能を含めた多様なパターンの吐出量調節が可能となる。
【0016】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気ポットは、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段の構成において、給湯開始時の電動給湯ポンプ駆動電圧を、その時の給湯スイッチ押圧力に応じて設定される本来の設定電圧よりも高く設定したことを特徴としている。
【0017】
このような構成によると、給湯開始初期の電動給湯ポンプ能力が通常時よりも大きくなり、給湯通路の長さによって生じる給湯スイッチ押圧時から実際に湯が吐出されるまでのタイムラグが可及的に短かくなり、ユーザーの違和感を解消することができる。
【0018】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気ポットは、上記請求項1,2又は3の発明の課題解決手段の構成において、電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性は、その時の内容器内の残水量に応じて複数組設けられていることを特徴としている。
【0019】
このような構成によると、その時の湯量の相違(満量・中量・少量)によるヘッド差に関係なく、常に安定した一定の湯の出方(吐出量、吐出状態)を実現できるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上の結果、本願発明の電気ポットによると、吐出時の電動給湯ポンプの単位時間当りの吐出量を、その時の給湯スイッチ押圧力によって決まる吐出領域に応じて適切に調節できるようになり、中量以上の吐出時の場合は勿論、少量吐出時の場合にも、非常に調節しやすい給湯量制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明の各実施の形態に共通な電気ポット本体部分の構成を示す側方から見た縦断面図である。
【図2】同本体部分の平面図である。
【図3】同本体部分の流量センサ部の拡大縦断面図である。
【図4】同本体部分の電気的な制御ブロック回路図である。
【図5】本願発明の実施の形態1の給湯量補正制御を示すフローチャートである。
【図6】同実施の形態1の給湯量制御における給湯スイッチの押圧力とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図7】本願発明の実施の形態2の給湯量制御における給湯スイッチ操作時間とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図8】本願発明の実施の形態3の給湯量制御における給湯スイッチ押圧力とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図9】本願発明の実施の形態4の給湯量制御における給湯スイッチ押圧力とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図10】本願発明の実施の形態5の給湯量制御において課題とした従来の電気ポットのポンプ駆動電圧と湯吐出量との関係についての問題点を示す図である。
【図11】本願発明の実施の形態5の給湯量制御における給湯スイッチ押圧力とポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【図12】本願発明の実施の形態6における給湯スイッチ操作時の湯吐出量レベルを示すレベルインジケータの設置状態を示す操作パネルの図である。
【図13】本願発明の実施の形態6におけるレベルインジケータのレベル表示部と給湯スイッチ押圧力およびポンプ駆動電圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、先ず本願発明の電気ポットの後述する各実施の形態に共通な電気ポット本体部分および制御装置部分の構成と作用について説明する。
【0023】
(電気ポット本体部分の構成)
図1ないし図3には、後述する本願発明の各実施の形態に共通な電気ポットの本体および要部の構成が示されている。
【0024】
この電気ポットは、先ず図1および図2に示すように、貯湯用の内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1の上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記内容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である湯沸しヒータ4Aと、上記内容器3を保温時において加熱する加熱手段である保温ヒータ4Bと、上記内容器3内の湯を外部へ給湯するための給湯通路5と、該給湯通路5の途中に設けられた実流量計測用の流量センサ80と、AC電源が接続されている状態において上記給湯通路5を介して上記内容器3内の湯を外部に送り出す電動給湯ポンプ6と、AC電源が接続されていない状態において上記給湯通路5を介して内容器3内の湯を外部に送り出すエア式の手動給湯ポンプ18とを備えて構成されている。
【0025】
上記容器本体1は、外側面部を構成する合成樹脂製の筒状の外ケース7と、内側面部を構成する上記内容器3と、上記外ケース7と内容器3とを上部側で一体に結合固定する合成樹脂製の環状の肩部材8と、底面部を構成する合成樹脂製の皿状の底部材9とからなっている。
【0026】
上記内容器3は、ステンレス製の有底円筒形状の内筒10と同じくステンレス製の円筒形状の外筒11との間に真空断熱空間を設けた保温性能の高い真空二重構造体からなっており、その底部には、外周部を除いて上記内筒10の底面部のみにより構成された1枚板部3aが形成されている。該1枚板部3aは若干上方に高く突出して成形されていて、その下面側には、上記湯沸しヒータ4Aと保温ヒータ4B(例えば雲母板にワット数の異なる2組の発熱体を保持させたマイカヒータよりなる)が取り付けられている。
【0027】
上記内容器3の上端部には、上記内筒10側の上端部を中心軸方向に向けて絞り加工したヒートキープ構造の小径の給水口3bが形成されている。また符号12は、上記内容器3の温度(換言すれば、内容器3内の湯の温度)を検出する湯温検出手段として作用する底センサ(湯温センサ)であり、サーミスタよりなっている。さらに、符号13は上記内容器3の満水位を表示する凸状の満水位表示部である。
【0028】
上記蓋体2は、合成樹脂製の上板14と該上板14に対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板15とからなっており、上記肩部材8の後部に設けられたヒンジ受け16に対してヒンジピン17を介して上下方向に開閉自在且つ着脱自在に支持されている。
【0029】
この蓋体2には、AC電源が接続されていない状態でも上記給湯通路5を介して外部への給湯が可能なように、手動押圧操作により圧縮作動されるエア式の手動給湯ポンプ18が配設されている。該手動給湯ポンプ18は、上記蓋体2の略中央部に形成された円筒部19内に配設されたベローズタイプのものとされており、押圧カバー20Aと押圧板20Bを介して蛇腹構造のベローズ20Cを下方に押圧操作することにより、ベローズ20C内の加圧空気20Dが空気吹込口を介して内容器3内に吹き込まれ、該加圧空気の吹き込み圧力によって内容器3内のお湯が給湯通路5を介して外部へ押し出されるようになっている。また、20Eはベローズ20Cの上方への復元バネ、15Aは下板15側のベローズ支持板である。なお、符号21a〜21dは、下方から上方に向けて相互に連通した蓋体2の蒸気排出通路、22は同蒸気排出通路21a〜21dの蒸気導出部21a側途中に配設された転倒止水弁である。
【0030】
上記蓋体2における下板15の下面には、金属製の内カバー部材23が固定されており、該内カバー部材23の外周縁には、上記蓋体2の閉蓋時において上記内容器3の給水口3bの上面に圧接される耐熱ラバー製のシールパッキン24が設けられている。
【0031】
上記給湯通路5の上流端側である上記内容器3の下部位置には、内容器3側湯導入筒6a、給湯ポンプ側湯吸入口6bを介して直流型の電動給湯ポンプ6が配設されており、この給湯通路5においては上記湯導入筒6aを介して湯吸入口6bより吸入された湯が当該電動給湯ポンプ6のポンピング作用により、その吐出口6cから吐出され、同給湯通路5の直管部5bを経て、上記流量センサ80内の流量検出通路を通り、転倒止水弁側連結パイプ5cから外部への湯注出口5dに導かれる。
【0032】
さらに、符号35は、後述する各種スイッチ類の操作面や液晶表示部の表示面を備えた操作パネル部、51aは、マイコン制御部60や各種スイッチ類38〜41,42,43、液晶表示装置(駆動部)等を備えたマイコン基板、51は、液晶表示部47の支持部材、50は、上記電動給湯ポンプ6の駆動回路や湯沸しヒータ4A、保温ヒータ4Bの加熱制御回路、安定化直流電源回路等を備えた電源基板である。
【0033】
上記操作パネル部35には、圧電素子を備えた感圧式の給湯スイッチ38、給湯ロック解除スイッチ39、再沸騰/保温選択スイッチ40、おやすみタイマースイッチ41、定量給湯モード選択時における給湯量設定用アップダウンスイッチ42,43、再沸騰表示用LED44、保温動作表示用LED45、給湯ロック解除表示用LED46、液晶表示部47等が設けられている。
【0034】
上記液晶表示部47には、例えば時刻/時間/湯温/作動状態等兼用表示部47a、保温設定温度表示部47b、まほうびん保温表示部47cが設けられており、各種の便利な情報表示がなされるようになっている。
【0035】
この電動給湯型の電気ポットは、上記給湯スイッチ38を押し続ける限り、その時の押圧力に応じた電圧により、連続的に上記電動給湯ポンプ6を駆動して、押圧力に応じた量の湯を注出できる連続給湯モードと、給湯スイッチ38を押し続けても、予じめアップダウンスイッチ42,43で設定した所定量の湯を注出すると上記電動給湯ポンプ6が停止する定量給湯モードとの2種の給湯モードを備えて構成されている。
【0036】
そして、その何れの給湯モードの場合にも、上記流量センサ80の出力を利用した電動給湯ポンプ6の駆動パルス電圧のデューティー比の可変制御が行われる。
【0037】
そして、それに使用される流量センサ80は、例えば図3に示されるように、回転支軸81の外周に筒状のハブ82aを介して螺旋状の回転スクリュー羽根82を遊嵌し、それらを給湯通路5の直管部5bの上端に嵌合筒83を介して嵌合固定して支持するとともに、外周部をシリコン弾性体89で液密にカバーし、その上部外周に透明体よりなる筒状の通路形成部材84の下端部84aを嵌合する。そして、さらに該通路形成部材84の上端部84bを上記転倒止水弁側連結パイプ5cの下端に突き合わせ、同突き合わせ部外周部にスリーブ88を嵌合してシール状態で連結固定する。
【0038】
また、該通路形成部材84の下部側外周には、装置支持フランジ84cが設けられており、その上部に小径の第1の筒壁85aと大径の第2の筒壁85bとの2重の筒壁構造を備えた傘状の装置カバー85が嵌合固定されている。そして、上記第1の筒壁85aを利用して装置基板86が取り付けられており、該装置基板86上の上記透明な通路形成部材84を挟んで対向する前後両位置に発光部87aと受光部87bが、相互に光軸を一致させた状態で設置されている。該発光部87aと受光部87bの光軸は、上記通路形成部材84内の螺旋状の回転スクリュー羽根82の上下羽根間の隙間を介したものとなるように、その回転中心軸位置よりも半径方向外方に所定位置偏位させて設置されている。
【0039】
したがって、上記電動給湯ポンプ6が駆動され、上記直管部5bを介して上記通路形成部材84内の湯流通路を湯が通ると、それによって上記螺旋状の回転スクリュー羽根82が回転するが、それによって上記発光部87aと受光部87b間の光軸は半回転毎に遮断され、受光部87bからは、その単位時間内の回転速度に応じた所定の個数Nの出力信号が出力される。そして、この出力信号の個数Nが結局上記電動給湯ポンプ6による給湯量を表わすことになる。
【0040】
なお、以上の構成における給湯スイッチ38は、もちろん安全性を考慮して適切な操作感度(押圧感度)に設定されており、所定の値以上の押圧力が作用しないとポンプ駆動を行わないように構成されている。したがって、少し触れた程度で給湯作動されるようなことはない。
【0041】
(制御回路部の構成)
次に図4は、それぞれ上記構成の電気ポット本体における制御回路部の構成を示すブロック図である。
【0042】
図4中、先ず符号57は、平滑コンデンサおよび電源ICよりなり、マイコン制御部60および加熱制御部54、ポンプ電源部59等に直流電源を供給する直流安定化電源部、また54は、湯沸しヒータ4A作動用の電源スイッチ、同電源スイッチ駆動用の電源リレー、保温ヒータ4B作動用のトライアック、同トライアック駆動用のトランジスタなどよりなる加熱制御部、4A,4Bは、上述した湯沸しヒータ4A、保温ヒータ4Bよりなる加熱手段、59は、上記電動給湯ポンプ6のポンプ電源部、38は、上述の給湯スイッチ、58は、上記電動給湯ポンプ6のモータ部に対して駆動用のパルス電圧を供給して駆動するパルス駆動部、6は、上述の直流型の電動給湯ポンプである。
【0043】
上記湯沸しヒータ4Aは、例えば上記マイコン制御部60から湯沸しヒータON信号が出力されると、上記加熱制御部54中のトランジスタを介して電源リレーが作動され、それに対応して電源スイッチがONになることにより、駆動される。
【0044】
また、上記保温ヒータ4Bは、上記マイコン制御部60から、保温ヒータON信号が出力されると、上記加熱制御部54のトランジスタがONになり、トライアックがトリガーされて駆動される。
【0045】
さらに、上記電動給湯ポンプ6は、そのアース側ライン中に挿入された上記給湯スイッチ38がON操作されると、マイコン制御部60に同給湯スイッチ38のON信号が入力され、それに応じてマイコン制御部60が上記保温ヒータ4BをOFFにするとともに、上記マイコン制御部60から所定のデューティー比のパルス電圧信号が出力されて、そのポンプ電源部59およびパルス駆動部58側分圧電源回路を介して所定の分圧電源値で、かつ当該所定のデューティー比で適切に回転駆動される。
【0046】
また、上記マイコン制御部60には、定電圧電源部を介して所定の定電圧が供給されている。
【0047】
さらに、上記マイコン制御部60には、液晶表示部47、再沸騰表示用LED44、保温動作表示用LED45、給湯ロック解除表示用LED46等の各種表示部や給湯スイッチ38、再沸騰/保温選択スイッチ40、給湯ロック解除スイッチ39、おやすみタイマースイッチ41、給湯用設定手段用アップダウンスイッチ42,43等の各種操作部や温度検知手段12、流量検知手段80などの各センサー部等が、各々入出力ポートを介して接続されている。
【0048】
<実施の形態1に係る給湯量制御>
次に、図5は、上記のように構成された電気ポット本体に適用される本願発明の実施の形態1に係る電気ポットの給湯量制御のメインルーチンを、図6は同給湯量の制御特性(従来のものと対比)を各々示している。
【0049】
すでに述べたように、通常給湯モードの場合は勿論、定量給湯モードの場合においても、上記直流型電動給湯ポンプ6の単位時間当りの給湯量を、応答性良く、高精度かつ正確に調節できるようにするためには、当該直流型の電動給湯ポンプ6をパルス電圧で駆動するようにし、そのデューティー比を適切に可変コントロールするようにすることが好ましい。
【0050】
そして、その場合の単位時間当りの吐出量の調節は、予じめ検証されている電動給湯ポンプ6のポンプ性能を考慮して、給湯スイッチ38の押圧力に応じた所定の目標吐出量を設定し、実際の電動給湯ポンプ6の吐出量が当該目標吐出量となるようにオープンループ制御するか、又は上記流量検出手段としての流量センサ80を使用して実流量を検出しながら該実流量が上記所定の目標流量となるようにパルス電圧のデューティー比を決定して、上記電動給湯ポンプ6の回転数をフィードバック制御するようにする。
【0051】
先ず、今上述の電気ポット本体(図1〜図3)は、湯沸し、カルキ抜きが完了し、その内容器3内には所定目標保温温度(例えば98℃又は90℃)で、満量状態の湯が貯留され、給湯ロック状態に設定されていることを前提として話を進める。
【0052】
該状態において、先ずロック解除スイッチ39がON操作されたか否かを判定する(ステップS1)。
【0053】
その結果、NOのロック解除スイッチ39がON操作されないままの時は、そのまま通常の保温制御のメインルーチンに戻る(ステップS2)。他方、YESのロック解除スイッチ39がON操作された時は、上記給湯ロック機能を解除して、給湯ロック解除表示用LED46を点灯(ステップS3)させるとともに、所定のロック解除時間Tを設定しているロック解除タイマーTMのタイマー動作をスタートさせる(ステップS4)。
【0054】
そして、それに続いて該ロック解除タイマーTMのロック解除時間Tのタイマーアップ(経過)を判定し(ステップS5)、YESの時は、上記給湯ロック解除表示用LED46をOFF(ステップS6)にした上で、上記通常の保温制御のメインルーチンに戻る(ステップS7)。
【0055】
他方、これに対してNOの未だロック解除時間Tが経過していない時は、次に給湯スイッチ38がON操作されたか否か、を判定する(ステップS8)。
【0056】
そして、その結果、YESの給湯スイッチ38がON操作された時は、先ず給湯スイッチ圧電素子の押圧力に応じた電圧出力を入力する(ステップS9)。次に入力された同電圧値を基に規定の関数式による演算処理を行って、給湯スイッチ38の押圧力に対するポンプ駆動電圧、すなわち吐出量の関係を図6のリニアな関係(従来)からノンリニアな関係(本実施の形態)に変更する(ステップS10)。次にノンリニアな制御同特性に基き、上記電動給湯ポンプ6の駆動手段であるパルス駆動部58に対して、マイコン制御部60内のデューティー比設定回路から、同制御特性に応じたデューティー比のパルス電圧を出力する(ステップS11)。
【0057】
なお、この場合、図示はしなかったが、それに合わせて上記流量センサ80の単位時間当りの出力パルス数N、すなわち同単位時間当りの検出流量をマイコン制御部60内に読み込む。
【0058】
そして、該読み込んだ単位時間当りの流量センサ80の出力パルス数Nが予じめ設定した所定の設定パルス数Na±ΔNの範囲内にあるか否かを判定し、YESの時は同判定を繰り返す一方、設定パルス数Na±ΔNの範囲を超えるようになってNOと判定されると、後述するように、その変化量に応じて上記パルス駆動部58へ出力するパルス電圧のデューティー比を補正するようにする。
【0059】
他方、上記ステップS8の給湯スイッチ38のON/OFF判定で、給湯スイッチ38がON操作されなかったNOの時は、上記ステップS5のロック解除、タイムアップ判定に戻る。
【0060】
すでに述べたように、給湯スイッチ38、すなわち圧電素子への押圧力に対するポンプ駆動電圧(吐出量)の関係を、図6の従来例のように正比例の関係で定数設定したものの場合、図示のように、押圧力が小さい少量の吐出領域でも、押圧力が大きい多量の吐出領域の何れでも変化率そのものが一定であるから、少量吐出時の吐出量の調節が難しい問題がある。
【0061】
ところが、上述のように、圧電素子に作用する押圧力が小さくて吐出量が少ない時には、押圧力の増大量又は減少量に対するポンプ駆動電圧(吐出量)の増大率又は減少率が小さいが、圧電素子に作用する押圧力が所定値以上に大きな領域(中量域から大量域)では押圧力に対するポンプ駆動電圧(吐出量)の変化率が大きくなるノンリニアな制御特性にすると、吐出量の少ない領域での微調整が容易になるとともに、吐出量の多い領域での速やかな給湯が可能となる。
【0062】
これらの結果、電動給湯操作の利便性、操作性が向上する。
【0063】
<実施の形態2に係る給湯量制御>
上述のように、給湯スイッチ38を圧電素子で形成し、該圧電素子に対する押圧力に応じて出力される電圧値により電動給湯ポンプ6を駆動することによって吐出量を制御するようにした場合、図6の従来の制御特性(リニアな特性)のままでは、給湯開始時から最少量の吐出を行おうとすると、ポンプ駆動電圧が低いことから、湯吸入口6bから給湯量通路5を介して湯注出口5dに湯が到達するのに時間がかかる。
【0064】
そのため給湯スイッチ38の押圧操作と出湯動作との間に相当のタイムラグがあり、操作感(応答性)の悪いものとなっていた。
【0065】
そこで、この実施の形態では、例えば図7に示すように、上記給湯量通路5内に湯が満たされる時間(1秒程度)は、給湯スイッチ38の押圧力に応じた本来のポンプ駆動電圧よりも電圧値(初期電圧値)を高くし、速やかに給湯量通路5内に湯を満たした後、給湯スイッチ38の押圧力に応じた本来のポンプ駆動電圧に戻して吐出量制御するようにする。
【0066】
このようにすると、給湯開始初期からの少量吐出時においても、ユーザーの給湯スイッチ押圧操作と実際の湯吐出動作とのタイムラグが小さくなり、給湯スイッチ38の操作感(応答性)が向上する。
【0067】
<実施の形態3に係る給湯量制御>
この実施の形態では、例えば図8に示すように、上述した実施の形態1に係るノンリニアな給湯量制御特性Aと従来のリニアな給湯量制御特性Bとの2つの制御特性を備え、それらの何れか一方のユーザーにとって使い勝手の良い制御特性に、任意に切り換えて使用できるようにしたものである。
【0068】
このような構成によると、例えばコーヒーカップなどの小さな容器に湯を注ぐ場合には、給湯スイッチ38の比較的小さな押圧力に応じて緩やかに吐出量調節できる制御特性Aで給湯量制御する一方、大きな容器に大量の湯を速く注ぎたい場合には、給湯スイッチ38を軽く押しただけでも多量に吐出させることができる制御特性Bで給湯量制御するなどの用途に応じた使い分けが可能となる。
【0069】
<実施の形態4に係る給湯量制御>
上述のように、湯の注出方法は用途に応じて異なるとともに、ユーザーの好みによっても異なり、相当な幅がある。
【0070】
したがって、例えば図9の特性図に示されるように、上記実施の形態1に係る給湯量制御特性(少量給湯時はゆるやかで、中量時以上は増量率を大きくする・・・・パターン1)、必要とする給湯量に応じて段階的に増量率をかえる制御特性(例えば0〜50cc〜100cc〜150cc〜200cc・・・・パターン2)、増量率が一定である従来のリニアな制御特性(パターン3)、少量給湯時は増量率が大で、中量時から大量時にかけて増量率を小さくする制御特性(パターン4)、小さな押圧力で多量の湯を吐出させる上記実施の形態3のBの制御特性(パターン5)の複数の制御特性を具備させ、用途に応じ、またユーザーの好みに応じて所望の制御特性を選んで給湯量制御できるようにする。
【0071】
このようにすると、さらに給湯操作の利便性を向上させることができる。
【0072】
<実施の形態5に係る給湯量制御>
上述のような電動給湯タイプの電気ポットでは、例えば図10に示されるように、ポンプ駆動電圧が一定であっても、その時の内容器3内の残水量の多少(満水時/2L時/1L時)によって湯の吐出量が変わる問題がある(ヘッド差による変動)。
【0073】
そこで、この実施の形態では、例えば図11に示すように、その時の残水量(満水時/2L時/1L時)を所定の検出手段で検出し、同検出値に応じて制御特性を自動的に変更することによって、残水量如何にかかわらず、吐出量を一定にすることができる。
【0074】
したがって、給湯スイッチ38による給湯操作の利便性を、さらに向上させることができるようにしている。
【0075】
<実施の形態6に係る給湯量制御>
ところで、以上のように給湯スイッチ38の押圧力に応じて給湯時の吐出量を制御するようにした電動給湯型の電気ポットの場合、押圧力に応じて湯が吐出されるものの、その吐出量レベルが具体的に何の程度のものなのか、感覚的に認識しにくい問題がある。
【0076】
そこで、この実施の形態では、例えば図12に示すように、前述の操作パネル部35の前端に押圧力に応じた実際の吐出量レベルをLED表示するレベルインジケータ60を設置し、給湯スイッチ38の押圧力に応じた実際の吐出量レベルを、その制御特性に応じ、例えばレベル1〜レベル5までの5段階で視覚的に容易に認識できるようにしたことを特徴とするものである。
【0077】
同レベルインジケータ60のインジケータ部61は、レベル1〜レベル5の5個のLEDを左から右に長く並設して構成されており、その横(前側)には左から右に幅が拡大された矢印62が設けられていて、5個のLEDの点灯方向が吐出量の増大方向であることが分かるようになっている。
【0078】
このような構成によると、給湯スイッチ38の押圧力に応じた実際の吐出量を視覚的に実感として認識することができるようになり、より操作性、利便性の高いものとなる。
【0079】
なお、この吐出量レベルの表示は、もちろん上記実施の形態1のようなノンリニアな特性のみに限られず、図示仮想線のようなリニアな制御特性(前述した従来の特性)の場合にも全く同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1は容器本体、2は蓋体、3は内容器、4Aは湯沸しヒータ、4Bは保温ヒータ、5は給湯通路、6は電動給湯ポンプ、7は外ケース、10は内筒、11は外筒、12は底センサ、18は手動給湯ポンプ、60はマイコン制御部、80は流量センサである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を非直線特性としたことを特徴とする電気ポット。
【請求項2】
湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を複数有し、その内の1つを任意に選択して給湯制御できるようにしたことを特徴とする電気ポット。
【請求項3】
給湯開始時の電動給湯ポンプ駆動電圧を、その時の給湯スイッチ押圧力に応じて設定される本来の設定電圧よりも高く設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の電気ポット。
【請求項4】
電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性は、その時の内容器内の残水量に応じて複数組設けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の電気ポット。
【請求項1】
湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を非直線特性としたことを特徴とする電気ポット。
【請求項2】
湯沸かし保温用の内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、上記内容器内の湯を給湯通路を介して外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動する電動給湯ポンプ駆動手段と、感圧機能を備えた給湯スイッチと、該給湯スイッチ押圧操作時の押圧力に応じて、上記電動給湯ポンプ駆動手段の駆動電圧を可変する駆動電圧可変手段とを備え、上記給湯スイッチの押圧力を可変することによって、上記電動給湯ポンプの吐出量を所望の吐出量に調節するようにしてなる電気ポットであって、上記給湯スイッチ押圧時の押圧力の大きさに応じて可変される上記電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性を複数有し、その内の1つを任意に選択して給湯制御できるようにしたことを特徴とする電気ポット。
【請求項3】
給湯開始時の電動給湯ポンプ駆動電圧を、その時の給湯スイッチ押圧力に応じて設定される本来の設定電圧よりも高く設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の電気ポット。
【請求項4】
電動給湯ポンプ駆動電圧の可変特性は、その時の内容器内の残水量に応じて複数組設けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の電気ポット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−194108(P2011−194108A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65783(P2010−65783)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
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