説明

電気ポット

【課題】用途によって必要な電源電圧が異なる電気ポットの2次側電源回路の構成を簡略化し、小型、かつ低コスト化するとともに、消費電力の低減を図る。
【解決手段】電動給湯ポンプ駆動用の電源回路を応用し、トライアックおよび保温ヒータを利用することによって、各種電源用途に応じた2次側電源回路を共通に形成し、従来から搭載されている電動給湯ポンプ駆動用の電源回路によって2次側すべての電源を供給することができるようにし、電磁リレー用の電源と周辺回路の電源の区分や電源ICやフォトカプラなどの高価な電子部品を必要とせず、安価な電子部品のみで、小型かつ低コストに構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気ポットの2次側電源回路の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動給湯型の電気ポットの場合、湯沸しヒータ用、保温ヒータ用の1次側電源回路に加え、電磁リレーやトライアック、電動給湯ポンプ等駆動用の2次側電源回路が必要である(例えば特許文献1〜特許文献4参照)。
【0003】
このため、従来の電気ポットの2次側電源回路では、一般に抵抗ドロップ方式による電源電圧形成回路(特許文献2参照)や電源IC方式による電源電圧形成回路(特許文献4参照)が採用されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−125849号公報
【特許文献2】特開2002−300968号公報
【特許文献3】特開平10−271673号公報
【特許文献4】特開平8−280539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、抵抗ドロップ方式によるものは、(1)分圧抵抗が電力を消費することから、流す電流値を大きくすることができず、また、リレーと給湯ポンプ等の駆動電圧が異なるため、リレー用の電源とその他電動給湯ポンプ等周辺回路用の電源とを区分し、別回路とする必要があり、部品数が増大するので、回路を小型化することができない欠点やコストアップとなる欠点がある。
【0006】
また、(2)ジュール熱により無駄な電流を消費することに加え、電圧値調整用のツェナーダイオードに常時電流を流さなければならないために、消費電力が大きい。したがって、省エネ性にも欠ける。
【0007】
一方、電源IC方式によるものの場合には、リレーと給湯ポンプ等の駆動電圧が異なるため、別回路とする必要があり、部品点数が増大し、また、IC回路、コイル、フォトカプラなどの高価な電気部品が必要であるため、相当に回路コストが高くなる。
【0008】
本願発明は、このような事情に基いてなされたもので、電動給湯ポンプ駆動用の電源回路を応用し、トライアックおよび保温ヒータを利用することによって、各種電源用途に応じた2次側電源回路を共通に形成し、従来から搭載されている電動給湯ポンプ駆動用の電源回路によって2次側すべての電源を供給することができるようにし、電磁リレー用の電源と周辺回路の電源の区分や電源ICやフォトカプラなどの高価な電子部品を必要とせず、安価な電子部品のみで、小型かつ低コストに構成することができるようにした電気ポットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、上記の課題を解決するために、次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
【0010】
(1) 請求項1記載の発明
この発明の電気ポットは、湯沸かしおよび保温用の内容器と、該内容器を加熱する湯沸しヒータおよび保温ヒータと、該湯沸しヒータおよび保温ヒータに電源を供給する1次側電源回路と、上記湯沸しヒータを駆動制御するリレー回路と、上記保温ヒータを駆動制御するトライアックと、上記内容器内の湯を外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動制御する電動給湯ポンプ駆動回路と、該電動給湯ポンプ駆動回路を作動させて給湯する給湯ロック可能な給湯スイッチと、該給湯スイッチの給湯ロック状態を解除する給湯ロック解除スイッチと、上記リレー回路、電動給湯ポンプ駆動回路等に必要な駆動電源を供給する2次側電源回路とを備えてなる電気ポットであって、上記2次側電源回路は、上記電動給湯ポンプ駆動回路の電源回路を中心とし、上記トライアックおよび上記トライアックによりON,OFF制御される保温ヒータを利用して共通に形成したことを特徴としている。
【0011】
上記のような構成にすると、トライアックのON,OFFを制御することによって、保温ヒータの電圧を一定にすることができ、従来から搭載されているポンプ電源回路を応用して、2次側すべての電源を供給することができるようになるので、従来の抵抗ドロップ方式のもののように、電磁リレー用の電源と周辺回路の電源とを区分したり、別電源にする必要もなく、小型化が可能である。また、ツェナーダイオードを通じて常時電流が流されるのは保温ヒータであるから、消費電流も無駄にならない。
【0012】
また、従来の電源IC方式のもののように、電源ICやフォトカプラなど高価な電子部品を必要とせず、安価な電子部品のみで構成することができ、部品点数も少なくて済むことから、回路コストが安価になるとともに、基板の小型化が可能となる。
【0013】
(2) 請求項2記載の発明
この発明の電気ポットは、上記請求項1の発明の構成において、2次側の電源電圧を検出する電源電圧検出回路を設け、同電源電圧検出回路により検出された検出電圧が所定の設定電圧を超えた場合には、2次側電源回路への通電を停止するようにしたことを特徴としている。
【0014】
このように、2次側電源回路の電源電圧を検出する電源電圧検出回路を設けて、2次側電源回路の電源電圧を検出し、同検出電圧が所定電圧以上の場合には、2次側電源回路への通電状態をOFFに制御するようにすると、従来の抵抗ドロップ方式のように、無駄な電力を消費しなくて済み、省エネ効果の高い電源回路となる。また、通電制御専用の電気部品等を必要とせず、コストアップや部品点数の増大を招かない。
【0015】
(3) 請求項3記載の発明
この発明の電気ポットは、上記請求項1又は2の発明の構成において、2次側電源回路の電源電圧を必要とする複数の電圧値に切り換える電源電圧切換回路を設け、該電源電圧切換回路をマイコン制御手段により切り換え作動させるようにしたことを特徴としている。
【0016】
このように、マイコン制御手段からの信号によって動作する電源電圧切換回路を設け、同電源電圧切換回路によって電源電圧を用途に応じて所望の電圧値に変更できるようにすると、例えば給湯ロック解除キーがOFFで、給湯ロック状態にあり、電動給湯ポンプが作動していない電動給湯ポンプ非駆動時には、電源電圧を例えば電動給湯ポンプ以外の用途に対応した12Vに設定する一方、給湯ロック解除キーがON操作された電動給湯ポンプ駆動時には電源電圧を電動給湯ポンプの駆動に適した8Vに設定することができる。
【0017】
つまり、1つの電源回路で2次側すべての用途に対応した所望の電源電圧を供給することができ、電磁リレーや電動給湯ポンプなど負荷に応じて電源電圧を自由に設定できることになる。
【発明の効果】
【0018】
以上の結果、本願発明によると、小型、かつ低コストで、省エネ性能の高い、電気ポット用の電源回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明の実施の形態に係る電気ポット本体部分の構成を示す側方から見た縦断面図である。
【図2】同電気ポット本体部分の平面図である。
【図3】同電気ポット本体内の電気的な制御回路図である。
【図4】同電気ポット本体内の電源回路部分の構成を示す電源回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の実施の形態に係る電気ポットのポット本体部分および電源回路部分の構成と作用について詳細に説明する。
【0021】
(ポット本体部分の構成)
先ず図1ないし図3には、同本願発明の実施の形態に係る電気ポットのポット本体部分の構成が示されている。
【0022】
この電気ポットは、先ず図1および図2に示すように、貯湯用の内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1の上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記内容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である湯沸しヒータ4Aと、上記内容器3を保温時において加熱する加熱手段である保温ヒータ4Bと、上記内容器3内の湯を外部へ給湯するための給湯通路5と、AC電源が接続されている状態において上記給湯通路5を介して上記内容器3内の湯を外部に送り出す電動給湯ポンプ6とを備えて構成されている。
【0023】
上記容器本体1は、外側面部を構成する合成樹脂製の筒状の外ケース7と、内側面部を構成する上記内容器3と、上記外ケース7と内容器3とを上部側で一体に結合固定する合成樹脂製の環状の肩部材8a,8bと、底面部を構成する合成樹脂製の皿状の底部材9とからなっている。
【0024】
上記内容器3の底部3aの下面側には、上記湯沸しヒータ4Aと保温ヒータ4B(例えば雲母板にワット数の異なる2組の発熱体を保持させたマイカヒータよりなる)が取り付けられている。
【0025】
上記内容器3の上端部には、給水口3bが開口されている。また符号12は、上記内容器3の温度(換言すれば、内容器3内の湯の温度)を検出する湯温検出手段として作用する底センサ(湯温センサ)であり、サーミスタよりなっている。
【0026】
上記蓋体2は、合成樹脂製の上板14と該上板14に対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板15とからなっており、上記肩部材8a,8bの後部に設けられたヒンジ受け16に対してヒンジピン17を介して上下方向に開閉自在且つ着脱自在に支持されている。
【0027】
上記蓋体2における下板15の下面には、金属製の内カバー部材23が固定されており、該内カバー部材23の外周縁には、上記蓋体2の閉蓋時において上記内容器3の給水口3bの上面に圧接される耐熱ラバー製のシールパッキン24が設けられている。
【0028】
上記給湯通路5の上流端側である上記内容器3の下部位置には、内容器3側湯導入筒6a、給湯ポンプ側湯吸入口6bを介して直流型の電動給湯ポンプ6が配設されており、この給湯通路5においては上記湯導入筒6aを介して湯吸入口6bより吸入された湯が当該電動給湯ポンプ6のポンピング作用により、その吐出口6cから吐出され、同給湯通路5の直管部5bを経て、外部への湯注出口5cに導かれる。
【0029】
さらに、符号35は、後述する各種スイッチ類の操作面や液晶表示部の表示面を備えた操作パネル部、51aは、マイコン制御部60や各種スイッチ類38〜41、液晶表示部47等を備えたマイコン基板、51は、液晶表示部47の支持部材、50は、上記電動給湯ポンプ6の駆動回路や湯沸しヒータ4A、保温ヒータ4Bの加熱制御回路、安定化直流電源回路等を備えた電源基板である。
【0030】
上記操作パネル部35には、給湯スイッチ38、給湯ロック解除スイッチ39、再沸騰/保温選択スイッチ40、おやすみタイマースイッチ41、再沸騰表示用LED44、保温動作表示用LED45、給湯ロック解除表示用LED46、液晶表示部47等が設けられている。
【0031】
上記液晶表示部47には、例えば時刻/時間/湯温/作動状態等兼用表示部47a、保温設定温度表示部47b、まほうびん保温表示部47cが設けられており、各種の便利な情報表示がなされるようになっている。
【0032】
(制御回路部の構成)
次に図4は、上記構成の電気ポット本体における制御回路部の構成の概略を示すブロック図である。
【0033】
図4中、先ず符号57は、マイコン制御部(マイコン制御ユニット)60および加熱制御部54、ポンプ電源部59等に直流電源を供給する直流安定化電源部、また54は、湯沸しヒータ4A作動用の電源スイッチ、同電源スイッチ駆動用の電源リレー、保温ヒータ4B作動用のトライアック、同トライアック駆動用のトランジスタなどよりなる加熱制御部、4A,4Bは、上述した湯沸しヒータ4A、保温ヒータ4Bよりなる加熱手段、59は、上記電動給湯ポンプ6のポンプ電源部、38は、上述の給湯スイッチ、6は、上述の直流型の電動給湯ポンプである。
【0034】
上記湯沸しヒータ4Aは、例えば上記マイコン制御部60から湯沸しヒータON信号が出力されると、上記加熱制御部54中のトランジスタ(図5のTR2)を介して電源リレーのリレーコイル(図5のRL)が励磁され、それに対応して電源スイッチ(図5のリレースイッチRS)がONになることにより、駆動される。
【0035】
また、上記保温ヒータ4Bは、上記マイコン制御部60から、保温ヒータON信号が出力されると、上記加熱制御部54のトライアックがトリガー(図5の53)されて駆動される。
【0036】
さらに、上記電動給湯ポンプ6は、上記給湯スイッチ38がON操作されると、マイコン制御部60に同給湯スイッチ38のON信号が入力され、それに応じて上記マイコン制御部60から所定のデューティー比のパルス電圧信号が出力されて、そのポンプ電源部59を介して所定の電源電圧値(8V)で、かつ当該所定のデューティー比で適切に回転駆動される。
【0037】
また、上記マイコン制御部60には、安定化直流電源部57の定電圧電源部を介して所定の定電圧(12V)が供給されている。
【0038】
さらに、上記マイコン制御部60には、液晶表示部47、再沸騰表示用LED44、保温動作表示用LED45、給湯ロック解除表示用LED46等の各種表示部や給湯スイッチ38、再沸騰/保温選択スイッチ40、給湯ロック解除スイッチ39、おやすみタイマースイッチ41等の各種操作部や温度検知手段12等が、各々入出力ポートを介して接続されている。
【0039】
(電源回路の構成)
次に図5は、上記電気ポットの2次側電源回路の詳細な構成を示している。
【0040】
従来の電気ポットの2次側電源回路は、すでに述べたように抵抗ドロップ方式による電源電圧形成回路や電源IC方式による電源電圧形成回路が採用されてきた。
【0041】
しかし、抵抗ドロップ方式によるものは、(1)抵抗値のために電流を消費することから、電流値を大きくすることができず、電磁リレー用の電源と周辺回路用の電源とを区分する必要があり、電源回路を小型化することができない。
【0042】
また、(2)ジュール熱により無駄な電流を消費することに加え、電圧調整用のツェナーダイオードに常時電流を流さなければならないために、消費電力が大きい。
【0043】
さらに、(3)電磁リレー(12V)と給湯ポンプ(8V)と駆動電圧が異なるため、別電源とする必要があり、部品点数が増大し、コストアップとなる。
【0044】
電源IC方式によるものの場合には、上記(1),(2)の問題は解決されるものの、(3)の問題は同様である。また、IC回路、コイル、フォトカプラなどの高価な電気部品が必要であるため、相当に回路コストが高くなる。
【0045】
そこで、本実施の形態では、図5に示すように、トライアック53と保温ヒータ4Bを組み合わせて2次側電源回路を構成し、トライアック53のオン・オフ状態をマイコン制御ユニット60により制御することにより、保温ヒータ4Bの電圧を一定にするようにしている。そして、それにより、従来からポンプ電源回路として搭載されている電源回路によって2次側すべての電源(12V/8V)を供給することができるようにすることによって、上述した電源ICやフォトカプラなど高価な電子部品を必要とせず、安価な電子部品のみで、小型かつ低コストに構成することができるようにしている。
【0046】
以下、図5の電源回路の構成について、詳細に説明する。
【0047】
図中、先ず符号52はAC電源、4Aは湯沸しヒータ、RLは湯沸しヒータ4A駆動用電磁リレーのリレースイッチ(上述の電源スイッチであるが、以下の説明では、その機能を分りやすくするために、リレースイッチと称することにする)RSをONまたはOFF作動させる電磁リレーのリレーコイル、TR2は同リレーコイルRLに電源電流を流して励磁作動させるためのスイッチングトランジスタ、D2は同リレーコイルRLに並列に接続された逆流防止用のバイパスダイオードであり、上記スイッチングトランジスタTR2のベースは、前述したマイコン制御部60の湯沸しヒータ駆動信号出力ポートM2に接続されているる
したがって、マイコン制御部60の湯沸しヒータ駆動信号出力ポートM2から、湯沸しヒータ駆動信号(ローエッジトリガー信号)が出力されると、上記スイッチングトランジスタTR2がONになって、リレーコイルRLが励磁され、リレースイッチRSを閉作動させるので、湯沸しヒータ4Aに電源ラインL1からの電源電流が流される。
【0048】
また、符号4Bは保温ヒータ、53は保温ヒータ4Bに電源電流を流して駆動するトライアックであり、このトライアック53のゲート端子は、抵抗R3を介してマイコン制御部60の保温ヒータ駆動信号出力ポートM3に接続されている。そして、トライアック53は同マイコン制御部60から保温ヒータ駆動信号が出力されると、トリガーされて保温ヒータ4Bに電源ラインL1からの電源電流を流す。
【0049】
また、上記トライアック53のゲート端子は、抵抗R4、トランジスタTR5,TR6を介してグランドラインL2に接続されている一方、トランジスタTR5のベースには、抵抗R5,R6よりなる第1の電源電圧分圧回路が接続されている。そして、同第1の電源電圧分圧回路の抵抗R5とR6間(分圧点)は、抵抗R7、トランジスタTR3を介して電源ラインL1に接続され、またトランジスタTR3のベースは、マイコン制御部60の電源電圧切換信号出力ポートM4に接続されている。
【0050】
すなわち、マイコン制御部60のマイコンは、上述した電動給湯ポンプ6がOFFの時は、同出力ポートM4の出力信号をH信号にすることによって、上記トランジスタTR3をOFFにし、電源電圧を、電動給湯ポンプ駆動以外の、例えば電磁リレー等の駆動に適した12(V)に設定する一方、電動給湯ポンプ6がONの時は、同出力ポートM4の出力信号をL信号にすることによって、トランジスタTR3をONにし、電源電圧を電動給湯ポンプ6の駆動に適した8(V)に設定する。
【0051】
この電源電圧の切り換えは、上述した給湯ロック解除キー39のONまたはOFF状態に対応して行う。つまり、給湯ロック状態では12(V)に、他方、同給湯ロック状態が解除されて電動給湯ポンプ6の駆動が可能な時は、電動給湯ポンプ6の駆動に適した8(V)に設定する。
【0052】
一方、グランドラインL2とグランドラインL3の間に配設されたトランジスタTR6のベースには、トランジスタ(PNP)TR7の出力側が接続されている。また、トランジスタTR7のベースには、トランジスタTR4の出力側が接続されており、さらにトランジスタTR4のベースは、上記マイコン制御部60の電流制御信号出力ポートM5に接続されている。
【0053】
さらに、上記電源ラインL1とグランドラインL3との間には、抵抗R11とR12の直列回路よりなる電源電圧分圧回路が設けられており、この電源電圧分圧回路の抵抗R11とR12間の中点は、上記マイコン制御部60の2次側電源電圧検出ポートM6に接続されている。これにより、上記マイコン制御部60のマイコンは、抵抗R11とR12によって分圧された分圧値をパラメータとして、2次側電源回路の電源電圧値を検出する。
【0054】
そして、上記マイコン制御部60のマイコンは、上記のように電動給湯ポンプ6が給湯ロック状態で、設定された電源電圧が12(V)である時は、上記電圧検出値に応じて上記トランジスタTR6をON−OFF制御して、流れる電流値を制限することによって、省エネ化を図る。
【0055】
また、符号C1,C2は充放電可能な平滑コンデンサであり、それらの間にはツェナーダイオードZDおよび抵抗R13、トランジスタTR8よりなる3つ目の回路が設けられており、上記マイコン制御ユニット60のマイコンにマイコン駆動用の5(V)電源を供給する。
【0056】
一方、符号TR1は、電動給湯ポンプ6駆動用のトランジスタであり、そのベース側は、抵抗R1を介して電源ラインL1に、また抵抗R2を介してマイコン制御部60のポンプ駆動信号出力ポートM1に接続されている。そして、上記給湯ロック解除状態において給湯スイッチ38を押すことにより、上記マイコン制御部60のマイコンから電動給湯ポンプ駆動信号が出力され、上記電動給湯ポンプ駆動用のトランジスタTR1がONになると、電動給湯ポンプ6が駆動されて、上述した内容器内の湯が注出される。なお、D1は逆流防止ダイオードである。
【0057】
以上の実施の形態では、トライアック53と保温ヒータ4Bで電源回路を構成し、トライアック53のオン・オフ状態を制御することによって、保温ヒータ4Bの電圧を一定にするようにしている。これにより、従来から搭載されているポンプ電源回路を応用して、電磁リレー(リレーコイルRL)、電動給湯ポンプ6、その他周辺回路の2次側すべての電源を供給することができるようになるので、従来の抵抗ドロップ方式のもののように、電磁リレー(RL)用の電源と周辺回路の電源とを区分したり、別電源にする必要もなく、小型化が可能である。また、ツェナーダイオードZDを通じて常時電流が流されるのは保温ヒータ4Bであるから、消費電流も無駄にならない。
【0058】
また、従来の電源IC方式のもののように、電源ICやフォトカプラなど高価な電子部品を必要とせず、抵抗およびトランジスタのみの安価な電子部品のみで構成することができ、部品点数も少なくて済むことから、回路コストが安価になるとともに、基板の小型化が可能となる。
【0059】
また、同実施の形態では、その場合において、マイコン制御部60により、同2次側の電源電圧(抵抗R12両端の電圧)を検出し、同検出電圧が所定電圧(12V)以上の場合(コンデンサC1が12Vにチャージアップした場合)には、マイコン制御部60(M5)により当該2次側電源回路への通電状態をOFF(トランジスタTR4をOFF)に制御するようにしている。
【0060】
したがって、従来の抵抗ドロップ方式のように、無駄な電力を消費しなくて済み省エネ効果の高い電源回路となる。また、通電制御専用の電気部品等を必要とせず、コストアップや部品点数の増大を招かない。
【0061】
さらに、同実施の形態では、それらの場合において、上記マイコン制御部60からの信号によって動作する電源電圧切替回路(トランジスタTR3、TR5、TR6、抵抗R4、R5、R6、R7よりなる)を設け、同回路をマイコン制御部60(出力ポートM4)により作動させることによって電源電圧を用途に応じて所望の電圧値に変更するようにしている。
【0062】
例えば給湯ロック解除キー39がON操作されていない電動給湯ポンプ6非駆動時には、電源電圧を電磁リレー(RL)の制御に適した12Vに設定する一方、給湯ロック解除キー39がON操作された電動給湯ポンプ6が駆動可能な時には、電源電圧を電動給湯ポンプ6の駆動に適した8Vに設定することができる。つまり、1つの電源回路で2次側すべての用途に対応した電源電圧(12V/8V)を供給することができ、電磁リレー(RL)や電動給湯ポンプ6など負荷に応じて電源電圧を自由に設定できることになる。
【0063】
しかも、この電源電圧の切替は、上記のように給湯ロック解除キー39の操作状態(マイコン制御部60の出力ポートM4からの信号)に応じてなされるようになっており、例えば給湯ロック解除キー39がON操作されていない給湯ロック状態では、上記12(V)の値に維持されているが、同給湯ロック解除キー39がON操作されて、その操作信号が入力されると、その時点で直ちに電源電圧が上記12(V)の値から、電動給湯ポンプ6駆動用の8(V)に切り替えられる。
【0064】
つまり、実際に給湯キー38が押される前に予じめ電源電圧を電動給湯ポンプ6駆動用の電圧に変更することが可能となる。
【0065】
この結果、給湯キー38を押したときには、すぐに電動給湯ポンプ6を駆動することができ、動作の遅れを感じさせなくて済む。
【0066】
さらに、また本実施の形態では、図5の回路から分るように、以上のように電源電圧の切替を可能にした場合において、何の電源電圧に切り換えられた場合にも、すべての電源電流が保温ヒータ4Bを介して流されるようになっている。
【0067】
したがって、消費電流の全てが保温ヒータ4Bの発熱に有効に活用されることになり、省エネ性能の向上につながる。
【0068】
さらに、また従来の構成では、湯沸し中に給湯することができたが、そのようにすると、湯が飛び散り易く、キャビテーションが発生する。
【0069】
そこで、本実施の形態では、湯沸し中に給湯ロック解除キー39が押された場合には、以下のような動作を行わせる。
【0070】
(1) 湯沸しヒータ4AへのリレースイッチRSをオフにし、ロックを解除する。
【0071】
(2) 湯温が沸騰近傍なら保温へ移行させる一方、湯温が低い場合にはロックを解除させない。
【符号の説明】
【0072】
1は容器本体、3は内容器、4Aは湯沸しヒータ、4Bは保温ヒータ、6は電動給湯ポンプ、52はAC電源、53はトライアック、60はマイコン制御部、TR1〜TR8はトランジスタ、R1〜R13は抵抗である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯沸かしおよび保温用の内容器と、該内容器を加熱する湯沸しヒータおよび保温ヒータと、該湯沸しヒータおよび保温ヒータに電源を供給する1次側電源回路と、上記湯沸しヒータを駆動制御するリレー回路と、上記保温ヒータを駆動制御するトライアックと、上記内容器内の湯を外部に給湯する電動給湯ポンプと、該電動給湯ポンプを駆動制御する電動給湯ポンプ駆動回路と、該電動給湯ポンプ駆動回路を作動させて給湯する給湯ロック可能な給湯スイッチと、該給湯スイッチの給湯ロック状態を解除する給湯ロック解除スイッチと、上記リレー回路、電動給湯ポンプ駆動回路等に必要な駆動電源を供給する2次側電源回路とを備えてなる電気ポットであって、上記2次側電源回路は、上記電動給湯ポンプ駆動回路の電源回路を中心とし、上記トライアックおよび上記トライアックによりON,OFF制御される保温ヒータを利用して共通に形成したことを特徴とする電気ポット。
【請求項2】
2次側の電源電圧を検出する電源電圧検出回路を設け、同電源電圧検出回路により検出された検出電圧が所定の設定電圧を超えた場合には、2次側電源回路への通電を停止するようにしたことを特徴とする請求項1記載の電気ポット。
【請求項3】
2次側電源回路の電源電圧を必要とする複数の電圧値に切り換える電源電圧切換回路を設け、該電源電圧切換回路をマイコン制御手段により切り換え作動させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の電気ポット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−250933(P2011−250933A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125826(P2010−125826)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】