説明

電気二重層キャパシタ電極用炭素材およびその製造方法

【課題】内部抵抗値が小さく、単位体積当りの静電容量の大きい電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法を提供する。
【解決手段】易黒鉛化性炭素材料を原料とし、3種以上のアルカリ金属化合物を用いて賦活処理することにより、BET比表面積が1500〜3000m/g、かつMP法による細孔径分布における最大値を与える細孔直径の範囲が1〜2nmの活性炭を製造することを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタ電極用炭素材である活性炭およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭は炭化処理をしたヤシガラや、石油コークス、石炭コークスなどの炭素材料を賦活して多孔質構造としたものである。表面積の大きい多孔質の活性炭は、吸着剤や触媒担体、電気二重層キャパシタ、リチウム二次電池などの電極材料などに多用されている。特に、ハイブリッドカーなどに使用する電気二重層キャパシタにおいて、エネルギー密度、即ち、静電容量を増大するために、その電極材料として微細孔が効果的に形成された結晶化度が高く、かつ表面積の大きい活性炭が求められている。
【0003】
かかる電気二重層キャパシタの電極材料に使用可能な微細孔が効果的に形成された活性炭の工業生産には、石油コークスなどの炭素材料と水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物とを不活性ガス雰囲気中などで、例えば、600〜1200℃の範囲で加熱し、アルカリ金属を黒鉛結晶層間に侵入させて反応させる賦活方法が一般的に使用されている。このような賦活において、層状の縮合多環炭素化合物が積層された層状構造にアルカリ金属が侵入し、微細孔が形成される。通常、この活性炭の細孔の大部分は1nm以下のミクロ孔であり、電解質イオンの移動に充分な大きさの細孔径でないため、比表面積の大きさが生かされていないのが現状である。
【0004】
活性炭のイオン吸脱着に対する最適な細孔径は、電気二重層キャパシタ用の有機系電解質の電解質イオンが、種類にもよるがミクロ孔領域である約1nmの大きさであるため、ミクロ孔領域だけでは電解質イオンがスムーズに移動できないので、メソ孔を含む領域が重要であると考えられた(非特許文献1)。
活性炭の細孔径を大きくする方法としては、賦活剤に水酸化ナトリウムを使用する方法が知られているが、賦活力が水酸化カリウムより劣るため高比表面積の活性炭が得られない問題がある。また、賦活でメソ孔を多く形成させると空隙部分も増加し、電極かさ密度が低下し体積当りの容量が低下する問題も生じる。
【0005】
特許文献1では、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合物を賦活剤として使用し、それぞれ単一で用いた場合に比べ、細孔径が2nm以上の電気二重層キャパシタ電極用炭素材を得ており、それを用いた電気二重層キャパシタは単位体積当りの静電容量が高いと記載されている。しかしながら、電極の内部抵抗が比較的大きく、さらなる改良が望まれた。一方、特許文献2では、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合物を賦活剤として使用した場合、KOHのみを用いた場合に比較して、分極性電極の充電時における膨張量を低減することができると記載されている。しかしながら、電極の電気抵抗値は、混合物を使用することにより増加する傾向を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−302226号公報
【特許文献2】特開2002−15958号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「炭素材料の研究開発動向」,CPC研究会,2009年3月,p.23−33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、易黒鉛化性炭素材料を原料とし、3種以上のアルカリ金属化合物を用いて賦活処理することにより、BET比表面積およびMP法による細孔径分布における最大値を与える細孔直径の範囲を所定の範囲に制御した活性炭を製造することができ、かかる活性炭を電極材料として用いることにより、内部抵抗を低減させ出力特性の優れた電気二重層キャパシタを提供することが出来ることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、易黒鉛化性炭素材料を原料とし、3種以上のアルカリ金属化合物を用いて賦活処理することにより、BET比表面積が1500〜3000m/g、かつMP法による細孔径分布における最大値を与える細孔直径の範囲が1〜2nmの活性炭を製造することを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法に関する。
【0010】
また本発明は、アルカリ金属化合物が、少なくとも50〜90質量%の水酸化カリウムおよび5〜45質量%の水酸化ナトリウムからなることを特徴とする前記記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法に関する。
また本発明は、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム以外のアルカリ金属化合物が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属塩化物から選ばれることを特徴とする前記記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法に関する。
【0011】
また本発明は、前記記載の製造方法により得られる電気二重層キャパシタ電極用炭素材に関する。
さらに本発明は、前記記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材を用いた電気二重層キャパシタに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法により、内部抵抗値が小さく、単位体積当りの静電容量の大きい電気二重層キャパシタ電極用炭素材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1で作製したラミネートセルの構成を示す図である。
【図2】キャパシタの初期特性(静電容量、内部抵抗)の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳述する。
本発明において出発原料として用いる易黒鉛化性炭素材料としては、石油コークスや石炭コークス等が挙げられる。また、メソフェーズピッチやそれを紡糸したメソフェーズピッチ繊維を不融化・炭素化したもの等を挙げることができる。これらの中でも石油コークスが好ましく、石油生コークスが特に好ましい。
本発明で出発原料として好ましく使用される石油生コークスは、アルキル側鎖を持つ多環芳香族化合物が積層した集合体で、熱不融の固体である。
【0015】
本発明においては、上記易黒鉛化性炭素材料をそのままアルカリ金属化合物により賦活処理を行っても良いが、好ましくは炭化処理(熱処理)を行った後、アルカリ金属化合物により賦活処理を行う。炭化処理は、通常500〜900℃、好ましくは500〜800℃の温度範囲にて不活性ガス中で実施される。その際、昇温速度については特に制限はないが、あまりに遅すぎても処理工程に時間が掛かり、逆にあまりに急激な温度上昇は揮発分の爆発的な揮散を招き、結晶構造を破壊することがあり、また装置コストも高くなるため、好ましくは30〜600℃/時、より好ましくは60〜300℃/時程度の昇温速度とするのが望ましい。目標の焼成温度に達した後は一定時間その温度を保持するのが好ましい。この保持時間は、通常10分〜2時間程度である。
【0016】
次いで、アルカリ金属化合物により賦活処理を行う。
本発明においては、賦活剤としてアルカリ金属化合物を3種類以上用いることを特徴とする。アルカリ金属化合物としては、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムは必須として用い、その他のアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属塩化物から選ばれる1種または2種以上のアルカリ金属化合物が用いられる。
【0017】
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化フランシウム等が挙げられ、このうち水酸化セシウムが好ましい例として挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等が挙げられ、このうち炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが好ましい例として挙げられる。
アルカリ金属塩化物としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム等が挙げられ、このうち塩化ナトリウム、塩化カリウムが好ましい例として挙げられる。
【0018】
用いられるアルカリ金属化合物中の水酸化カリウムの含有割合は、50〜90質量%、好ましくは60〜85質量%である。水酸化カリウムの含有割合が50質量%未満だと、高比表面積のものが得られないため好ましくなく、また、90質量%を超えると、他成分との混合による細孔を大きくする効果が小さくなるため好ましくない。
また、用いられるアルカリ金属化合物中の水酸化ナトリウムの含有割合は、5〜45質量%、好ましくは10〜40質量%である。水酸化ナトリウムの含有割合が5質量%未満だと、細孔を大きくする効果が小さくなるため好ましくなく、また、45質量%を超えると、高比表面積のものが得られないため好ましくない。
【0019】
用いられるアルカリ金属化合物中の水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム以外のその他のアルカリ金属化合物の含有割合は、5〜45質量%、好ましくは10〜40質量%である。他のアルカリ金属化合物の含有割合が5質量%未満だと、最大細孔径が最適範囲の1〜2nmより小さくなるため好ましくなく、また、45質量%を超えると、最大細孔径が2nmより大きくなるため好ましくない。
【0020】
賦活処理は公知の方法により行われる。すなわち、賦活工程における賦活反応の反応条件はこの反応を充分に進行させることができれば特に限定されず、通常の活性炭の製造で行われる公知の賦活反応と同様の反応条件のもとで賦活反応を行うことができる。
具体的には、3種以上のアルカリ金属水酸化物からなる賦活剤と易黒鉛化性炭素材料からなる賦活用炭素材を混合し、好ましくは400℃以上、より好ましくは600℃以上、更に好ましくは700℃以上の高温の温度条件のもと加熱することにより行うことができる。なお、この加熱温度の上限は賦活反応が支障なく進行する温度であれば特に限定されないが、通常900℃以下が好ましい。賦活用炭素材と賦活剤との混合割合は特に限定されるものではないが、通常、両者の質量比(賦活用炭素材:賦活剤)が1:0.5〜1:5の範囲が好ましく、1:1〜1:3の範囲がより好ましい。
【0021】
賦活処理されて得られる炭化物(活性炭)は、その後、通常、アルカリ洗浄、酸洗浄、水洗、乾燥、粉砕工程を経て電気二重層キャパシタ電極用炭素材となる。なお、炭素材中に残留するアルカリ金属の量については、電気二重層キャパシタとした場合に悪影響を及ぼす可能性のある水準よりも低い量(好ましくは1000質量ppm以下)であれば特に洗浄することを要しないが、好ましくは、洗浄排水のpHが7〜8程度になるように洗浄すると共に、できるだけアルカリ金属分を除去するように洗浄することが望ましい。また、粉砕工程は、公知の方法により行うことができ、通常、平均粒径0.5〜50μm、好ましくは1〜20μm程度の微粉体とすることが望ましい。
【0022】
このように賦活処理して得られる炭素材は、1500〜3000m/gの比表面積を有し、かつ、MP法による細孔径分布における最大値を与える細孔直径の範囲が1〜2nmであり、アルカリ金属量は200質量ppm以下である。
なお、MP法とは、液体窒素温度における吸着量より窒素吸着等温線を求め、「t−プロット法」(B. C. Lippens, J. H. de Boer, J. Catalysis, 4,319(1965))を用いて、マイクロ孔容積、マイクロ孔面積、およびマイクロ孔の分布を求める方法であり、M. Mikhail, Brunauer, Bodorにより考案された方法である(R. S. Mikhail, S. Brunauer, E. E. Bodor, J.Colloid Interface Sci., 26, 45(1968))。
【0023】
次に、本発明の電気二重層キャパシタについて説明する。
本発明の電気二重層キャパシタは、前記のように調製された活性炭(電気二重層キャパシタ電極用炭素材)を含む電極を備えることを特徴とするものである。
該電極は、例えば、活性炭と結着剤、さらに好ましくは導電剤を加えて構成され、またさらに集電体と一体化した電極であっても良い。
ここで使用する結着剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体架橋ポリマー等のフッ素化ポリマー、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等のビニル系ポリマー、ポリアクリル酸等が挙げられる。電極中における結着剤の含有量は特に限定されないが、活性炭と結着剤の合計量に対して、通常0.1〜30質量%程度の範囲内で適宜選択される。
【0024】
導電剤としては、カーボンブラック、粉末グラファイト、酸化チタン、酸化ルテニウム等の粉末が用いられる。電極中における導電剤の配合量は、配合目的に応じて適宜選択されるが、活性炭、結着剤及び導電剤の合計量に対して、通常1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%程度の範囲内で適宜選択される。
なお、活性炭、結着剤、導電剤を混合する方法としては、公知の方法が適宜適用され、例えば、結着剤を溶解する性質を有する溶媒を上記成分に加えてスラリー状としたものを集電体上に均一に塗布する方法や、あるいは溶媒を加えないで上記成分を混練した後に常温または加熱下で加圧成形する方法が採用される。
また、集電体としては、公知の材質および形状のものを使用することができ、例えば、アルミニウム、チタン、タンタル、ニッケル等の金属、あるいはステンレス等の合金を用いることができる。
【0025】
本発明の電気二重層キャパシタの単位セルは、一般に上記電極を正極及び負極として一対用い、セパレータ(ポリプロピレン繊維不織布、ガラス繊維不織布、合成セルロース紙等)を介して対向させ、電解液中に浸漬することによって形成される。
電解液としては、公知の水系電解液、有機系電解液を使用することができるが、有機系電解液を用いることがより好ましい。このような有機系電解液としては、電気化学の電解液の溶媒として使用されているものを用いることができ、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、スルホラン誘導体、3−メチルスルホラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、グルタロニトリル、バレロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、メチルフォルメート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等を挙げることができる。なお、これらの電解液を混合して使用してもよい。
【0026】
また、有機電解液中の支持電解質としては特に限定されないが、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類等の各種のものが使用でき、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、(CNBF、(C(CH)NBF、(CPBF、(C(CH)PBF等が好ましいものとして挙げられる。電解液中のこれらの塩の濃度は、通常0.1〜5mol/l、好ましくは0.5〜3mol/l程度の範囲内で適宜選択される。
電気二重層キャパシタのより具体的な構成は特に限定されないが、例えば、厚さ10〜500μmの薄いシート状またはディスク状の一対の電極(正極と負極)の間にセパレータを介して金属ケースに収容したコイン型、一対の電極をセパレータを介して捲回してなる捲回型、セパレータを介して多数の電極群を積み重ねた積層型等が挙げられる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]
石油生コークスの2mm以下に粒度調整したものを、窒素ガス雰囲気中で550℃1時間熱処理した。そのときの昇温速度は200℃/時間とした。この熱処理物(賦活用炭素材)を平均粒径が7μmとなるようにジェットミルで粉砕した。この粉砕物100質量部に対してアルカリ金属化合物総計が220質量部(内訳は水酸化カリウム80質量%、水酸化ナトリウム10質量%、水酸化セシウム10質量%)となるように混合し、窒素ガス雰囲気中、750℃で1時間賦活反応を進行せしめ、反応後に水洗及び酸洗浄(塩酸を使用)を繰り返し、炭素材中に残存する金属カリウムを除去し、乾燥して賦活物(電気二重層キャパシタ電極用炭素材)を得た。得られた賦活物の窒素ガス吸着法(BET法)による比表面積は2230m/gであり、細孔容積は1.077cm/gであった。MP法による細孔分布における最大を示す細孔径は1.6nmであった。
【0029】
得られた電極用炭素材を使用して、カーボンブラックおよび顆粒状ポリテトラフルオロエチレンを混合し、プレスすることにより、厚みが150μm〜300μm程度の炭素電極シートを作製した。このシートから所定のサイズに電極を切り出し、図1に示すラミネートセルを作製することにより、キャパシタとしての炭素電極材の評価を行った。なお、電解液には1.5Mのトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEMA・BF)のプロピレンカーボネート(PC)溶液を用いた。
【0030】
次に、前記ラミネートセルを用いて、キャパシタの初期特性(静電容量、内部抵抗)を測定した。測定方法を図2に示す。静電容量については、キャパシタに蓄えられる全エネルギー量を測定し、その値から静電容量を算出(エネルギー換算法)した。内部抵抗については、放電開始直後のIRドロップより算出した。さらに、キャパシタのレート特性として、定電流放電値を0.36mA/cm〜72mA/cmまで変化させたときの静電容量を測定した。レート特性の結果は0.36mA/cm放電時の静電容量を基準として、各定電流放電時の静電容量の維持率としてまとめた。その結果を表1に示す。
【0031】
[実施例2〜3、比較例1〜2]
各種条件を変えて実験を行った。その結果をまとめて表1、表2に示す。
【0032】
表1、表2より、アルカリ金属化合物として、KOH50〜90質量%、NaOH5〜45質量%、その他のアルカリ金属化合物5〜45質量%からなる3種以上のアルカリ金属化合物を用いた場合(実施例1〜3)は、KOHおよびNaOHの2種を用いた場合(比較例1)に対して、最大細孔径は1〜2nmの範囲内にあり、内部抵抗は小さく、レート特性に優れ、また、単位体積当りの静電容量は大きくなることが分かる。また、3種類のアルカリ金属化合物を用いても、その組成比が本発明で規定する範囲から外れた場合(比較例2)、最大細孔径は2nmより大きくなり、内部抵抗は比較的大きく、単位体積当りの静電容量は小さくなった。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の方法で製造される活性炭を電気二重層キャパシタの電極に用いることにより、内部抵抗値が小さく、かつ単位体積当りの静電容量が比較的に大きい電気二重層キャパシタが得られるため、その工業的価値は極めて大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
易黒鉛化性炭素材料を原料とし、3種以上のアルカリ金属化合物を用いて賦活処理することにより、BET比表面積が1500〜3000m/g、かつMP法による細孔径分布における最大値を与える細孔直径の範囲が1〜2nmの活性炭を製造することを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法。
【請求項2】
アルカリ金属化合物が、少なくとも50〜90質量%の水酸化カリウムおよび5〜45質量%の水酸化ナトリウムからなることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法。
【請求項3】
水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム以外のアルカリ金属化合物が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属塩化物から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られる電気二重層キャパシタ電極用炭素材。
【請求項5】
請求項4に記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材を用いた電気二重層キャパシタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−245482(P2010−245482A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95724(P2009−95724)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】