電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器
【課題】精度の高い電気光学装置の製造工程を簡略化する。
【解決手段】画素電極200と、発光機能層110と、陰極311を含む有機EL素子と、有機EL素子を駆動するTFTを備え、TFTは、ソース・ドレイン領域303、ゲート絶縁膜302、ゲート電極305、層間絶縁膜306に開口されたコンタクトホール307に形成されたソース・ドレイン電極309を備え、有機EL素子は、TFT上に形成されたバンク層310によって囲まれる領域に形成され、ゲート絶縁膜302は親液性を有し、ゲート絶縁膜302によって画素電極200の周縁部が覆われている。
【解決手段】画素電極200と、発光機能層110と、陰極311を含む有機EL素子と、有機EL素子を駆動するTFTを備え、TFTは、ソース・ドレイン領域303、ゲート絶縁膜302、ゲート電極305、層間絶縁膜306に開口されたコンタクトホール307に形成されたソース・ドレイン電極309を備え、有機EL素子は、TFT上に形成されたバンク層310によって囲まれる領域に形成され、ゲート絶縁膜302は親液性を有し、ゲート絶縁膜302によって画素電極200の周縁部が覆われている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高分子有機EL(Electro Luminescence)材料を大型基板上に均一に塗布する方法としてインクジェット法による成膜技術が知られている。インクジェット法による成膜では、基板上に有機材料によりバンク層を形成し、バンク層の開口部に有機EL材料の液滴を吐出する。このとき、液体の有機EL材料を開口部に精度良く均一に塗布できるように、親液性制御層を設ける方法がある。このような技術は例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−282273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の方法では、親液性制御層を形成するために余分な工程が必要となる。
そこで、本発明の目的は、精度の高い電気光学装置の製造工程を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電気光学装置の製造方法は、第1の電極層と、前記第1の電極層の上に形成された発光機能層と、前記発光機能層の上に形成された第2の電極層と、を含む発光部と、前記発光部を駆動する薄膜トランジスタとを備えた電気光学装置の製造方法であって、前記薄膜トランジスタに含まれるゲート絶縁膜は親液性を有し、前記ゲート絶縁膜によって前記第1の電極層の周縁部が覆われるように形成するものである。
これにより、ゲート絶縁膜が親液性制御層を兼ねるので、親液性制御層を形成する工程が必要なく、電気光学装置の製造工程を簡略化することができる。
【0006】
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、ソース・ドレイン領域および前記第1の電極層を形成する工程と、前記ソース・ドレイン領域と前記第1の電極層の上に前記ゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成し、コンタクトホールを開口してソース・ドレイン電極を形成する工程と、前記発光部の形成領域を囲むバンク層を形成する工程と、前記第1の電極層上に前記発光機能層を形成する工程と、前記発光機能層上に前記第2の電極層を形成する工程を有する。
これにより、プレーナ構造のTFTを駆動用トランジスタとして用いる電気光学装置に適用できる。
【0007】
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、ソース・ドレイン電極および前記第1の電極層を形成する工程と、前記ソース・ドレイン電極と前記第1の電極層の上に前記ゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記発光部の形成領域を囲むバンク層を形成する工程と、前記第1の電極層上に前記発光機能層を形成する工程と、前記第2の電極層を形成する工程を有する。
これにより、スタガ構造のTFTを駆動用トランジスタとして用いる電気光学装置に適用できる。
また、前記第1の電極層の下層に、前記ソース・ドレイン電極の層を形成しておくことにより、電気光学装置の発光方向を基板と反対側にすることができる。
【0008】
本発明による電気光学装置は、第1の電極層と、前記第1の電極層の上に形成された発光機能層と、前記発光機能層の上に形成された第2の電極層と、を含む発光部と、前記発光部を駆動する薄膜トランジスタを備え、前記薄膜トランジスタに含まれるゲート絶縁膜は親液性を有し、前記ゲート絶縁膜によって前記第1の電極層の周縁部が覆われている。
これにより、ゲート絶縁膜が親液性制御層を兼ねるので、親液性制御層を別途形成する必要がなく、電気光学装置の厚さを薄くすることができる。
【0009】
本発明による電気光学装置は、前記薄膜トランジスタが、ソース・ドレイン領域と、前記ソース・ドレイン領域上に形成された前記ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極上に形成された層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールに形成されたソース・ドレイン電極を備え、前記発光部は、前記薄膜トランジスタ上に形成されたバンク層によって囲まれる領域に形成されたものである。
これにより、プレーナ構造のTFTを駆動用トランジスタとして用いる電気光学装置に適用できる。
【0010】
本発明による電気光学装置は、前記薄膜トランジスタが、ソース・ドレイン電極と、前記ソース・ドレイン電極上に形成された前記ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極を備え、前記発光部は、前記薄膜トランジスタ上に形成されたバンク層によって囲まれる領域に形成されたものである。
これにより、スタガ構造のTFTを駆動用トランジスタとして用いる電気光学装置に適用できる。
また、前記第1の電極層の下層に、前記ソース・ドレイン電極の層が形成されていれば、電気光学装置の発光方向を基板と反対側にすることができる。
【0011】
また、本発明の電子機器は、上述した電気光学装置を表示部として備える。ここで、電子機器とは、電気光学装置を表示部として備えるあらゆる機器を含むもので、ディスプレイ装置、テレビジョン装置、電子ペーパ、時計、電卓、携帯電話、携帯情報端末等を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明による電気光学装置の例である有機EL装置(電気光学装置)100の構成を示すブロック図である。有機EL装置100は、複数の走査線101と、走査線に直交して配置される複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103と、各走査線101と各信号線102との交点付近にそれぞれ設けられる画素部Aと、を含んで構成されている。すなわち、本例の有機EL装置100は、複数の画素部を備え、当該各画素部がマトリクス状に配列されてなるアクティブマトリクス型の表示装置である。
【0013】
各走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路105が接続されている。また、各信号線には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路104が接続されている。各画素部Aには、走査線101を介して走査信号がゲートに供給されるスイッチングトランジスタ(薄膜トランジスタ)112と、このスイッチングトランジスタ112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量111と、この保持容量111によって保持された画素信号がゲートに供給される駆動用トランジスタ(薄膜トランジスタ)113と、この駆動用トランジスタ113を介して電源線103に電気的に接続されたときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(陽極)と、この画素電極と対向電極(陰極)との間に挟み込まれた発光機能層110と、が設けられている。これらの画素電極と対向電極と発光機能層110によって発光素子(有機EL素子、発光部)が構成されている。なお、発光機能層110は正孔輸送層、発光層、電子注入層を含む。
【0014】
この有機EL装置100では、走査線101が駆動されてスイッチングトランジスタ112がオン状態となると、そのときの信号線102の電位が保持容量111に保持され、この保持容量111の状態に応じて、駆動用トランジスタ113のオン/オフ状態が決まる。そして、駆動用トランジスタ113のチャネルを介して、電源線103から画素電極に電流がながれ、さらに発光機能層110を介して陰極に電流がながれる。発光機能層110は、この流れる電流量に応じて発光する。各発光機能層110の発光状態を制御することにより、所望の画像表示を行うことができる。
【0015】
図2は、実施の形態1による有機EL装置100の画素部Aの構成を示す平面図である。また、図3は、実施の形態1による有機EL装置100の製造方法を説明する図であり、図3(A)〜(E)はそれぞれ図1のB−B’方向の断面を示している。なお、実施の形態1では、駆動用トランジスタ113はプレーナ構造のTFTである。
【0016】
図3を用いて、有機EL装置100の製造方法を説明する。
まず、図3(A)に示すように、ガラス等の透明絶縁基板(図示せず)上に下地絶縁膜(図示せず)を形成し、後の工程でチャネル領域およびソース・ドレイン領域となるアモルファスシリコン層を形成する。アモルファスシリコン層をELA(Excimer Laser Annealing)等により結晶化してポリシリコン層301を形成した後、パターニングする。次に、画素電極200となるITO(Indium−Tin Oxide)を成膜し、パターニングを行う。
【0017】
次に、図3(B)に示すように、ゲート絶縁膜302を堆積する。ゲート絶縁膜302は、後述するように有機EL素子部における親液性制御層を兼ねるため、例えばSiO2等の親液性の材料を用いて成膜する。なお、本発明における親液性制御層では、少なくとも後述するバンク層と比較して親液性が高ければよい。したがって、上記のSiO2の他、SiNを用いてもよいし、プラズマ処理等の表面処理を行うことにより、親液性を高めてもよい。例えば、基板全体を70〜80℃に加熱した状態で、酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う工程を導入することにより、ゲート絶縁膜302の親液性を高めることもできる。また、上記のO2プラズマ処理を行った場合、ポリシリコン層301の欠陥を低減することができるという、副次的な効果もある。その後、チャネル領域となる部分をレジストで覆い、イオン打ち込みを行う。これによりソース・ドレイン領域303、チャネル領域304が形成される。
【0018】
次に、図3(C)に示すように、ゲート電極305を形成する。また、ゲート電極305と後述するソース・ドレイン電極とを絶縁するための層間絶縁膜306を形成する。また、層間絶縁膜306及びゲート絶縁膜302をドライエッチングまたはウェットエッチングすることにより、ソース・ドレイン電極309形成箇所にコンタクトホール307を形成する。また、有機EL素子形成領域308もコンタクトホール307と同様に形成する。
【0019】
次に、図3(D)に示すように、コンタクトホール307を開口した箇所にソース・ドレイン電極309を形成する。ここまでで駆動用トランジスタ113が完成する。
次に、バンク層310を形成する。バンク層310は、例えば感光性アクリル等の紫外光に感光する材料を用いて形成することができる。バンク層310の表面には、撥水処理を施してもよい。また、バンク層310を形成する材料に予め撥水性の材料を用いてもよい。
【0020】
次に、図3(E)に示すように、バンク層310に囲まれた有機EL素子形成領域に、例えばインクジェット装置を用いて正孔輸送層、発光層、電子注入層を成膜し、発光機能層110を形成する。この時、ゲート絶縁膜302の端部が有機EL素子形成領域の周縁部(図中C)と重複し、親液性制御層の役割を果たすため、発光機能層110が有機EL素子形成領域の隅まで均一に形成される。これにより、画素電極200と陰極311の絶縁も保障される。
【0021】
最後に、例えば真空蒸着法を用いて陰極311を成膜し、有機EL装置100が完成する。なお、実施の形態1による有機EL装置100の発光方向は基板側(図3(E)の下側)となる。
【0022】
ここで、図4に比較例として従来の有機EL装置の画素部の構成を示す平面図を、図5に図4のB−B’線での断面図を示す。
図3(E)と図5を比較して分かるように、図5の比較例では、ゲート絶縁膜302と親液性制御層400がそれぞれ別の層に設けられているため、その分製造工程数が多くなっている。具体的には、親液性制御層形成工程と、ソース・ドレイン電極309と親液性制御層400の間に形成される第2層間絶縁膜401の形成工程が増えている。このように、実施の形態1によれば有機EL装置100の製造工程を簡略化することができる。
【0023】
また、実施の形態1によれば、第2層間絶縁膜401が形成されない分、有機EL装置100の厚みを薄くすることができ、発光強度を向上させることが可能となる。
【0024】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2による有機EL装置100の画素部Aの構成を示す平面図である。また、図7は、有機EL装置100の製造方法を説明する図であり、図7(A)〜(E)はそれぞれ図6のB−B’方向の断面を示している。なお、実施の形態2では、駆動用トランジスタ113はスタガ構造のTFTである。
【0025】
まず、図7(A)に示すように、ガラス等の透明絶縁基板(図示せず)上に下地絶縁膜(図示せず)を形成し、ソース・ドレイン電極309を形成する。なお、ソース・ドレイン電極309は、ソース・ドレイン電極309の上面の端部と下面の端部とを結んで形成されるテーパ角が鋭角であることが望ましい。続いて、ソース・ドレイン電極309の上に、後の工程でチャネル領域およびソース・ドレイン領域となるアモルファスシリコン層を形成する。アモルファスシリコン層をELA等により結晶化してポリシリコン層301を形成した後、パターニングする。次に、画素電極200となるITOを成膜し、パターニングを行う。ITOのパターニングに際して、先に形成されたソース・ドレイン電極309は、ポリシリコン層あるいはITOパターニング時に用いるレジストにより被覆されていることが望ましい。
【0026】
次に、図7(B)に示すように、ゲート絶縁膜302を堆積する。ゲート絶縁膜302は、後述するように有機EL素子部における親液性制御層を兼ねるため、例えばSiO2等の親液性の材料を用いて成膜する。その後、チャネル領域となる部分をレジストで覆い、イオン打ち込みを行う。これによりソース・ドレイン領域303、チャネル領域304が形成される。
【0027】
次に、図7(C)に示すように、ソース・ドレイン電極309と後述するゲート電極との接続を行うためのコンタクトホール307を形成する。また、有機EL素子形成領域308もコンタクトホール307と同様に形成する。次に、ゲート電極305を形成する。ここまでで駆動用トランジスタ113が完成する。
【0028】
次に、図7(D)に示すように、バンク層310を形成する。バンク層310は、例えば感光性アクリル等の紫外光に感光する材料を用いて形成することができる。バンク層310の表面には、撥水処理を施してもよい。
【0029】
次に、図7(E)に示すように、バンク層310に囲まれた有機EL素子形成領域に、例えばインクジェット装置を用いて正孔輸送層、発光層、電子注入層を成膜し、発光機能層110を形成する。この時、ゲート絶縁膜302の端部が有機EL素子形成領域の周縁部(図中C)を覆って親液性制御層の役割を果たすため、発光機能層110が有機EL素子形成領域の隅まで均一に形成される。これにより、画素電極200と陰極311の絶縁も保障される。
【0030】
最後に、例えば真空蒸着法を用いて陰極311を成膜し、有機EL装置100が完成する。なお、実施の形態2による有機EL装置100の発光方向は基板側(図7(E)の下側)となる。
【0031】
実施の形態2も実施の形態1と同様に、有機EL装置100の製造工程を簡略化することができる。また、第2層間絶縁膜が形成されない分、有機EL装置100の厚みを薄くすることができ、発光強度を向上させることが可能となる。
【0032】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3による有機EL装置100の画素部Aの構成を示す平面図である。また、図9は、有機EL装置100の製造方法を説明する図であり、図9(A)〜(E)はそれぞれ図8のB−B’方向の断面を示している。なお、実施の形態3では、駆動用トランジスタ113はスタガ構造のTFTである。
【0033】
まず、図9(A)に示すように、ガラス等の透明絶縁基板(図示せず)上に下地絶縁膜(図示せず)を形成し、ソース・ドレイン電極309を形成する。なお、ソース・ドレイン電極309は、テーパ角が鋭角であることが望ましい。
また、ソース・ドレイン電極309は有機EL素子形成領域にも形成される。
【0034】
続いて、ソース・ドレイン電極309の上に、後の工程でチャネル領域およびソース・ドレイン領域となるアモルファスシリコン層を形成する。アモルファスシリコン層をELA等により結晶化してポリシリコン層301を形成した後、パターニングする。次に、画素電極200となるITOを成膜し、パターニングを行う。ITOのパターニングに際して、先に形成されたソース・ドレイン電極309は、ポリシリコン層あるいはITOパターニング時に用いるレジストにより被覆されていることが望ましい。
【0035】
次に、図9(B)に示すように、ゲート絶縁膜302を堆積する。ゲート絶縁膜302は、後述するように有機EL素子部における親液性制御層を兼ねるため、例えばSiO2等の親液性の材料を用いて成膜する。その後、チャネル領域となる部分をレジストで覆い、イオン打ち込みを行う。これによりソース・ドレイン領域303、チャネル領域304が形成される。
【0036】
次に、図9(C)に示すように、ソース・ドレイン電極309と後述するゲート電極との接続を行うためのコンタクトホール307を形成する。また、有機EL素子形成領域308もコンタクトホール307と同様に形成する。次に、ゲート電極305を形成する。ここまでで駆動用トランジスタ113が完成する。
【0037】
次に、図9(D)に示すように、バンク層310を形成する。バンク層310は、例えば感光性アクリル等の紫外光に感光する材料を用いて形成することができる。バンク層310の表面には、撥水処理を施してもよい。
【0038】
次に、図9(E)に示すように、バンク層310に囲まれた有機EL素子形成領域に、例えばインクジェット装置を用いて正孔輸送層、発光層、電子注入層を成膜し、発光機能層110を形成する。この時、ゲート絶縁膜302の端部が有機EL素子形成領域の周縁部(図中C)を覆って親液性制御層の役割を果たすため、発光機能層110が有機EL素子形成領域の隅まで均一に形成される。これにより、画素電極200と陰極311の絶縁も保障される。
【0039】
最後に、例えば真空蒸着法を用いて陰極311を成膜し、有機EL装置100が完成する。陰極311は、可視光を透過する程度に薄く形成されている。なお、実施の形態3による有機EL装置100の発光方向は、有機EL素子部の基板側の電極309が反射板の役割を果たすため、基板と反対側(図9(E)の上側)となる。
【0040】
実施の形態3も実施の形態1と同様に、有機EL装置100の製造工程を簡略化することができる。また、第2層間絶縁膜が形成されない分、有機EL装置100の厚みを薄くすることができ、発光強度を向上させることが可能となる。
【0041】
電子機器
次に、上述した有機EL装置100を備えた電子機器の具体例について説明する。
図10は、有機EL装置100を備えた電子機器の具体例を示す斜視図である。図10(A)は、電子機器の一例である携帯電話機を示す斜視図である。この携帯電話機1000は、本発明にかかる有機EL装置100を用いて構成された表示部1001を備えている。図10(B)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、本発明にかかる有機EL装置100を用いて構成された表示部1101を備えている。図10(C)は、電子機器の一例である携帯型情報処理装置1200を示す斜視図である。この携帯型情報処理装置1200は、キーボード等の入力部1201、演算手段や記憶手段などが格納された本体部1202、および本発明にかかる有機EL装置100を用いて構成された表示部1203を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による電気光学装置の例である有機EL装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1による有機EL装置の画素部の構成を示す平面図である。
【図3】図3(A)〜図3(E)は、本発明の実施の形態1による有機EL装置の製造方法を説明する図である。
【図4】比較例による有機EL装置の画素部の構成を示す平面図である。
【図5】図4のB−B’線での断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2による有機EL装置の画素部の構成を示す平面図である。
【図7】図7(A)〜図7(E)は、本発明の実施の形態1による有機EL装置の製造方法を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態3による有機EL装置の画素部の構成を示す平面図である。
【図9】図9(A)〜図9(E)は、本発明の実施の形態1による有機EL装置の製造方法を説明する図である。
【図10】本発明による電子機器の例を示した図である。
【符号の説明】
【0043】
100 有機EL装置、101 走査線、102 信号線、103 電源線、104 データ線駆動回路、105 走査線駆動回路、110 発光機能層、111 保持容量、112 スイッチングトランジスタ、113 駆動用トランジスタ、200 画素電極、301 ポリシリコン層、302 ゲート絶縁膜、303 ソース・ドレイン領域、304 チャネル領域、305 ゲート電極、306 層間絶縁膜、307 コンタクトホール、308 有機EL素子形成領域、309 ソース・ドレイン電極、310 バンク層、311 陰極、400 親液性制御層、401 第2層間絶縁膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高分子有機EL(Electro Luminescence)材料を大型基板上に均一に塗布する方法としてインクジェット法による成膜技術が知られている。インクジェット法による成膜では、基板上に有機材料によりバンク層を形成し、バンク層の開口部に有機EL材料の液滴を吐出する。このとき、液体の有機EL材料を開口部に精度良く均一に塗布できるように、親液性制御層を設ける方法がある。このような技術は例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−282273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の方法では、親液性制御層を形成するために余分な工程が必要となる。
そこで、本発明の目的は、精度の高い電気光学装置の製造工程を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電気光学装置の製造方法は、第1の電極層と、前記第1の電極層の上に形成された発光機能層と、前記発光機能層の上に形成された第2の電極層と、を含む発光部と、前記発光部を駆動する薄膜トランジスタとを備えた電気光学装置の製造方法であって、前記薄膜トランジスタに含まれるゲート絶縁膜は親液性を有し、前記ゲート絶縁膜によって前記第1の電極層の周縁部が覆われるように形成するものである。
これにより、ゲート絶縁膜が親液性制御層を兼ねるので、親液性制御層を形成する工程が必要なく、電気光学装置の製造工程を簡略化することができる。
【0006】
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、ソース・ドレイン領域および前記第1の電極層を形成する工程と、前記ソース・ドレイン領域と前記第1の電極層の上に前記ゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成し、コンタクトホールを開口してソース・ドレイン電極を形成する工程と、前記発光部の形成領域を囲むバンク層を形成する工程と、前記第1の電極層上に前記発光機能層を形成する工程と、前記発光機能層上に前記第2の電極層を形成する工程を有する。
これにより、プレーナ構造のTFTを駆動用トランジスタとして用いる電気光学装置に適用できる。
【0007】
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、ソース・ドレイン電極および前記第1の電極層を形成する工程と、前記ソース・ドレイン電極と前記第1の電極層の上に前記ゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記発光部の形成領域を囲むバンク層を形成する工程と、前記第1の電極層上に前記発光機能層を形成する工程と、前記第2の電極層を形成する工程を有する。
これにより、スタガ構造のTFTを駆動用トランジスタとして用いる電気光学装置に適用できる。
また、前記第1の電極層の下層に、前記ソース・ドレイン電極の層を形成しておくことにより、電気光学装置の発光方向を基板と反対側にすることができる。
【0008】
本発明による電気光学装置は、第1の電極層と、前記第1の電極層の上に形成された発光機能層と、前記発光機能層の上に形成された第2の電極層と、を含む発光部と、前記発光部を駆動する薄膜トランジスタを備え、前記薄膜トランジスタに含まれるゲート絶縁膜は親液性を有し、前記ゲート絶縁膜によって前記第1の電極層の周縁部が覆われている。
これにより、ゲート絶縁膜が親液性制御層を兼ねるので、親液性制御層を別途形成する必要がなく、電気光学装置の厚さを薄くすることができる。
【0009】
本発明による電気光学装置は、前記薄膜トランジスタが、ソース・ドレイン領域と、前記ソース・ドレイン領域上に形成された前記ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極上に形成された層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールに形成されたソース・ドレイン電極を備え、前記発光部は、前記薄膜トランジスタ上に形成されたバンク層によって囲まれる領域に形成されたものである。
これにより、プレーナ構造のTFTを駆動用トランジスタとして用いる電気光学装置に適用できる。
【0010】
本発明による電気光学装置は、前記薄膜トランジスタが、ソース・ドレイン電極と、前記ソース・ドレイン電極上に形成された前記ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極を備え、前記発光部は、前記薄膜トランジスタ上に形成されたバンク層によって囲まれる領域に形成されたものである。
これにより、スタガ構造のTFTを駆動用トランジスタとして用いる電気光学装置に適用できる。
また、前記第1の電極層の下層に、前記ソース・ドレイン電極の層が形成されていれば、電気光学装置の発光方向を基板と反対側にすることができる。
【0011】
また、本発明の電子機器は、上述した電気光学装置を表示部として備える。ここで、電子機器とは、電気光学装置を表示部として備えるあらゆる機器を含むもので、ディスプレイ装置、テレビジョン装置、電子ペーパ、時計、電卓、携帯電話、携帯情報端末等を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明による電気光学装置の例である有機EL装置(電気光学装置)100の構成を示すブロック図である。有機EL装置100は、複数の走査線101と、走査線に直交して配置される複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103と、各走査線101と各信号線102との交点付近にそれぞれ設けられる画素部Aと、を含んで構成されている。すなわち、本例の有機EL装置100は、複数の画素部を備え、当該各画素部がマトリクス状に配列されてなるアクティブマトリクス型の表示装置である。
【0013】
各走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路105が接続されている。また、各信号線には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路104が接続されている。各画素部Aには、走査線101を介して走査信号がゲートに供給されるスイッチングトランジスタ(薄膜トランジスタ)112と、このスイッチングトランジスタ112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量111と、この保持容量111によって保持された画素信号がゲートに供給される駆動用トランジスタ(薄膜トランジスタ)113と、この駆動用トランジスタ113を介して電源線103に電気的に接続されたときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(陽極)と、この画素電極と対向電極(陰極)との間に挟み込まれた発光機能層110と、が設けられている。これらの画素電極と対向電極と発光機能層110によって発光素子(有機EL素子、発光部)が構成されている。なお、発光機能層110は正孔輸送層、発光層、電子注入層を含む。
【0014】
この有機EL装置100では、走査線101が駆動されてスイッチングトランジスタ112がオン状態となると、そのときの信号線102の電位が保持容量111に保持され、この保持容量111の状態に応じて、駆動用トランジスタ113のオン/オフ状態が決まる。そして、駆動用トランジスタ113のチャネルを介して、電源線103から画素電極に電流がながれ、さらに発光機能層110を介して陰極に電流がながれる。発光機能層110は、この流れる電流量に応じて発光する。各発光機能層110の発光状態を制御することにより、所望の画像表示を行うことができる。
【0015】
図2は、実施の形態1による有機EL装置100の画素部Aの構成を示す平面図である。また、図3は、実施の形態1による有機EL装置100の製造方法を説明する図であり、図3(A)〜(E)はそれぞれ図1のB−B’方向の断面を示している。なお、実施の形態1では、駆動用トランジスタ113はプレーナ構造のTFTである。
【0016】
図3を用いて、有機EL装置100の製造方法を説明する。
まず、図3(A)に示すように、ガラス等の透明絶縁基板(図示せず)上に下地絶縁膜(図示せず)を形成し、後の工程でチャネル領域およびソース・ドレイン領域となるアモルファスシリコン層を形成する。アモルファスシリコン層をELA(Excimer Laser Annealing)等により結晶化してポリシリコン層301を形成した後、パターニングする。次に、画素電極200となるITO(Indium−Tin Oxide)を成膜し、パターニングを行う。
【0017】
次に、図3(B)に示すように、ゲート絶縁膜302を堆積する。ゲート絶縁膜302は、後述するように有機EL素子部における親液性制御層を兼ねるため、例えばSiO2等の親液性の材料を用いて成膜する。なお、本発明における親液性制御層では、少なくとも後述するバンク層と比較して親液性が高ければよい。したがって、上記のSiO2の他、SiNを用いてもよいし、プラズマ処理等の表面処理を行うことにより、親液性を高めてもよい。例えば、基板全体を70〜80℃に加熱した状態で、酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う工程を導入することにより、ゲート絶縁膜302の親液性を高めることもできる。また、上記のO2プラズマ処理を行った場合、ポリシリコン層301の欠陥を低減することができるという、副次的な効果もある。その後、チャネル領域となる部分をレジストで覆い、イオン打ち込みを行う。これによりソース・ドレイン領域303、チャネル領域304が形成される。
【0018】
次に、図3(C)に示すように、ゲート電極305を形成する。また、ゲート電極305と後述するソース・ドレイン電極とを絶縁するための層間絶縁膜306を形成する。また、層間絶縁膜306及びゲート絶縁膜302をドライエッチングまたはウェットエッチングすることにより、ソース・ドレイン電極309形成箇所にコンタクトホール307を形成する。また、有機EL素子形成領域308もコンタクトホール307と同様に形成する。
【0019】
次に、図3(D)に示すように、コンタクトホール307を開口した箇所にソース・ドレイン電極309を形成する。ここまでで駆動用トランジスタ113が完成する。
次に、バンク層310を形成する。バンク層310は、例えば感光性アクリル等の紫外光に感光する材料を用いて形成することができる。バンク層310の表面には、撥水処理を施してもよい。また、バンク層310を形成する材料に予め撥水性の材料を用いてもよい。
【0020】
次に、図3(E)に示すように、バンク層310に囲まれた有機EL素子形成領域に、例えばインクジェット装置を用いて正孔輸送層、発光層、電子注入層を成膜し、発光機能層110を形成する。この時、ゲート絶縁膜302の端部が有機EL素子形成領域の周縁部(図中C)と重複し、親液性制御層の役割を果たすため、発光機能層110が有機EL素子形成領域の隅まで均一に形成される。これにより、画素電極200と陰極311の絶縁も保障される。
【0021】
最後に、例えば真空蒸着法を用いて陰極311を成膜し、有機EL装置100が完成する。なお、実施の形態1による有機EL装置100の発光方向は基板側(図3(E)の下側)となる。
【0022】
ここで、図4に比較例として従来の有機EL装置の画素部の構成を示す平面図を、図5に図4のB−B’線での断面図を示す。
図3(E)と図5を比較して分かるように、図5の比較例では、ゲート絶縁膜302と親液性制御層400がそれぞれ別の層に設けられているため、その分製造工程数が多くなっている。具体的には、親液性制御層形成工程と、ソース・ドレイン電極309と親液性制御層400の間に形成される第2層間絶縁膜401の形成工程が増えている。このように、実施の形態1によれば有機EL装置100の製造工程を簡略化することができる。
【0023】
また、実施の形態1によれば、第2層間絶縁膜401が形成されない分、有機EL装置100の厚みを薄くすることができ、発光強度を向上させることが可能となる。
【0024】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2による有機EL装置100の画素部Aの構成を示す平面図である。また、図7は、有機EL装置100の製造方法を説明する図であり、図7(A)〜(E)はそれぞれ図6のB−B’方向の断面を示している。なお、実施の形態2では、駆動用トランジスタ113はスタガ構造のTFTである。
【0025】
まず、図7(A)に示すように、ガラス等の透明絶縁基板(図示せず)上に下地絶縁膜(図示せず)を形成し、ソース・ドレイン電極309を形成する。なお、ソース・ドレイン電極309は、ソース・ドレイン電極309の上面の端部と下面の端部とを結んで形成されるテーパ角が鋭角であることが望ましい。続いて、ソース・ドレイン電極309の上に、後の工程でチャネル領域およびソース・ドレイン領域となるアモルファスシリコン層を形成する。アモルファスシリコン層をELA等により結晶化してポリシリコン層301を形成した後、パターニングする。次に、画素電極200となるITOを成膜し、パターニングを行う。ITOのパターニングに際して、先に形成されたソース・ドレイン電極309は、ポリシリコン層あるいはITOパターニング時に用いるレジストにより被覆されていることが望ましい。
【0026】
次に、図7(B)に示すように、ゲート絶縁膜302を堆積する。ゲート絶縁膜302は、後述するように有機EL素子部における親液性制御層を兼ねるため、例えばSiO2等の親液性の材料を用いて成膜する。その後、チャネル領域となる部分をレジストで覆い、イオン打ち込みを行う。これによりソース・ドレイン領域303、チャネル領域304が形成される。
【0027】
次に、図7(C)に示すように、ソース・ドレイン電極309と後述するゲート電極との接続を行うためのコンタクトホール307を形成する。また、有機EL素子形成領域308もコンタクトホール307と同様に形成する。次に、ゲート電極305を形成する。ここまでで駆動用トランジスタ113が完成する。
【0028】
次に、図7(D)に示すように、バンク層310を形成する。バンク層310は、例えば感光性アクリル等の紫外光に感光する材料を用いて形成することができる。バンク層310の表面には、撥水処理を施してもよい。
【0029】
次に、図7(E)に示すように、バンク層310に囲まれた有機EL素子形成領域に、例えばインクジェット装置を用いて正孔輸送層、発光層、電子注入層を成膜し、発光機能層110を形成する。この時、ゲート絶縁膜302の端部が有機EL素子形成領域の周縁部(図中C)を覆って親液性制御層の役割を果たすため、発光機能層110が有機EL素子形成領域の隅まで均一に形成される。これにより、画素電極200と陰極311の絶縁も保障される。
【0030】
最後に、例えば真空蒸着法を用いて陰極311を成膜し、有機EL装置100が完成する。なお、実施の形態2による有機EL装置100の発光方向は基板側(図7(E)の下側)となる。
【0031】
実施の形態2も実施の形態1と同様に、有機EL装置100の製造工程を簡略化することができる。また、第2層間絶縁膜が形成されない分、有機EL装置100の厚みを薄くすることができ、発光強度を向上させることが可能となる。
【0032】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3による有機EL装置100の画素部Aの構成を示す平面図である。また、図9は、有機EL装置100の製造方法を説明する図であり、図9(A)〜(E)はそれぞれ図8のB−B’方向の断面を示している。なお、実施の形態3では、駆動用トランジスタ113はスタガ構造のTFTである。
【0033】
まず、図9(A)に示すように、ガラス等の透明絶縁基板(図示せず)上に下地絶縁膜(図示せず)を形成し、ソース・ドレイン電極309を形成する。なお、ソース・ドレイン電極309は、テーパ角が鋭角であることが望ましい。
また、ソース・ドレイン電極309は有機EL素子形成領域にも形成される。
【0034】
続いて、ソース・ドレイン電極309の上に、後の工程でチャネル領域およびソース・ドレイン領域となるアモルファスシリコン層を形成する。アモルファスシリコン層をELA等により結晶化してポリシリコン層301を形成した後、パターニングする。次に、画素電極200となるITOを成膜し、パターニングを行う。ITOのパターニングに際して、先に形成されたソース・ドレイン電極309は、ポリシリコン層あるいはITOパターニング時に用いるレジストにより被覆されていることが望ましい。
【0035】
次に、図9(B)に示すように、ゲート絶縁膜302を堆積する。ゲート絶縁膜302は、後述するように有機EL素子部における親液性制御層を兼ねるため、例えばSiO2等の親液性の材料を用いて成膜する。その後、チャネル領域となる部分をレジストで覆い、イオン打ち込みを行う。これによりソース・ドレイン領域303、チャネル領域304が形成される。
【0036】
次に、図9(C)に示すように、ソース・ドレイン電極309と後述するゲート電極との接続を行うためのコンタクトホール307を形成する。また、有機EL素子形成領域308もコンタクトホール307と同様に形成する。次に、ゲート電極305を形成する。ここまでで駆動用トランジスタ113が完成する。
【0037】
次に、図9(D)に示すように、バンク層310を形成する。バンク層310は、例えば感光性アクリル等の紫外光に感光する材料を用いて形成することができる。バンク層310の表面には、撥水処理を施してもよい。
【0038】
次に、図9(E)に示すように、バンク層310に囲まれた有機EL素子形成領域に、例えばインクジェット装置を用いて正孔輸送層、発光層、電子注入層を成膜し、発光機能層110を形成する。この時、ゲート絶縁膜302の端部が有機EL素子形成領域の周縁部(図中C)を覆って親液性制御層の役割を果たすため、発光機能層110が有機EL素子形成領域の隅まで均一に形成される。これにより、画素電極200と陰極311の絶縁も保障される。
【0039】
最後に、例えば真空蒸着法を用いて陰極311を成膜し、有機EL装置100が完成する。陰極311は、可視光を透過する程度に薄く形成されている。なお、実施の形態3による有機EL装置100の発光方向は、有機EL素子部の基板側の電極309が反射板の役割を果たすため、基板と反対側(図9(E)の上側)となる。
【0040】
実施の形態3も実施の形態1と同様に、有機EL装置100の製造工程を簡略化することができる。また、第2層間絶縁膜が形成されない分、有機EL装置100の厚みを薄くすることができ、発光強度を向上させることが可能となる。
【0041】
電子機器
次に、上述した有機EL装置100を備えた電子機器の具体例について説明する。
図10は、有機EL装置100を備えた電子機器の具体例を示す斜視図である。図10(A)は、電子機器の一例である携帯電話機を示す斜視図である。この携帯電話機1000は、本発明にかかる有機EL装置100を用いて構成された表示部1001を備えている。図10(B)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、本発明にかかる有機EL装置100を用いて構成された表示部1101を備えている。図10(C)は、電子機器の一例である携帯型情報処理装置1200を示す斜視図である。この携帯型情報処理装置1200は、キーボード等の入力部1201、演算手段や記憶手段などが格納された本体部1202、および本発明にかかる有機EL装置100を用いて構成された表示部1203を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による電気光学装置の例である有機EL装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1による有機EL装置の画素部の構成を示す平面図である。
【図3】図3(A)〜図3(E)は、本発明の実施の形態1による有機EL装置の製造方法を説明する図である。
【図4】比較例による有機EL装置の画素部の構成を示す平面図である。
【図5】図4のB−B’線での断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2による有機EL装置の画素部の構成を示す平面図である。
【図7】図7(A)〜図7(E)は、本発明の実施の形態1による有機EL装置の製造方法を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態3による有機EL装置の画素部の構成を示す平面図である。
【図9】図9(A)〜図9(E)は、本発明の実施の形態1による有機EL装置の製造方法を説明する図である。
【図10】本発明による電子機器の例を示した図である。
【符号の説明】
【0043】
100 有機EL装置、101 走査線、102 信号線、103 電源線、104 データ線駆動回路、105 走査線駆動回路、110 発光機能層、111 保持容量、112 スイッチングトランジスタ、113 駆動用トランジスタ、200 画素電極、301 ポリシリコン層、302 ゲート絶縁膜、303 ソース・ドレイン領域、304 チャネル領域、305 ゲート電極、306 層間絶縁膜、307 コンタクトホール、308 有機EL素子形成領域、309 ソース・ドレイン電極、310 バンク層、311 陰極、400 親液性制御層、401 第2層間絶縁膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極層と、前記第1の電極層の上に形成された発光機能層と、前記発光機能層の上に形成された第2の電極層と、を含む発光部と、
前記発光部を駆動する薄膜トランジスタとを備えた電気光学装置の製造方法であって、
前記薄膜トランジスタに含まれるゲート絶縁膜は親液性を有し、前記ゲート絶縁膜によって前記第1の電極層の周縁部が覆われるように形成する、電気光学装置の製造方法。
【請求項2】
基板上に、ソース・ドレイン領域および前記第1の電極層を形成する工程と、
前記ソース・ドレイン領域と前記第1の電極層の上に前記ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成し、コンタクトホールを開口してソース・ドレイン電極を形成する工程と、
前記発光部の形成領域を囲むバンク層を形成する工程と、
前記第1の電極層上に前記発光機能層を形成する工程と、
前記発光機能層上に前記第2の電極層を形成する工程を有する、請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
基板上に、ソース・ドレイン電極および前記第1の電極層を形成する工程と、
前記ソース・ドレイン電極と前記第1の電極層の上に前記ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記発光部の形成領域を囲むバンク層を形成する工程と、
前記第1の電極層上に前記発光機能層を形成する工程と、
前記第2の電極層を形成する工程を有する、請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の電極層の下層に、前記ソース・ドレイン電極の層を形成しておくことを特徴とする、請求項3に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
第1の電極層と、前記第1の電極層の上に形成された発光機能層と、前記発光機能層の上に形成された第2の電極層と、を含む発光部と、
前記発光部を駆動する薄膜トランジスタを備え、
前記薄膜トランジスタに含まれるゲート絶縁膜は親液性を有し、前記ゲート絶縁膜によって前記第1の電極層の周縁部が覆われていることを特徴とする、電気光学装置。
【請求項6】
前記薄膜トランジスタは、
ソース・ドレイン領域と、
前記ソース・ドレイン領域上に形成された前記ゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成された層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールに形成されたソース・ドレイン電極を備え、
前記発光部は、前記薄膜トランジスタ上に形成されたバンク層によって囲まれる領域に形成された、請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記薄膜トランジスタは、
ソース・ドレイン電極と、
前記ソース・ドレイン電極上に形成された前記ゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極を備え、
前記発光部は、前記薄膜トランジスタ上に形成されたバンク層によって囲まれる領域に形成された、請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第1の電極層の下層に、前記ソース・ドレイン電極の層が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれかに記載の電気光学装置を備えた電子機器。
【請求項1】
第1の電極層と、前記第1の電極層の上に形成された発光機能層と、前記発光機能層の上に形成された第2の電極層と、を含む発光部と、
前記発光部を駆動する薄膜トランジスタとを備えた電気光学装置の製造方法であって、
前記薄膜トランジスタに含まれるゲート絶縁膜は親液性を有し、前記ゲート絶縁膜によって前記第1の電極層の周縁部が覆われるように形成する、電気光学装置の製造方法。
【請求項2】
基板上に、ソース・ドレイン領域および前記第1の電極層を形成する工程と、
前記ソース・ドレイン領域と前記第1の電極層の上に前記ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成し、コンタクトホールを開口してソース・ドレイン電極を形成する工程と、
前記発光部の形成領域を囲むバンク層を形成する工程と、
前記第1の電極層上に前記発光機能層を形成する工程と、
前記発光機能層上に前記第2の電極層を形成する工程を有する、請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
基板上に、ソース・ドレイン電極および前記第1の電極層を形成する工程と、
前記ソース・ドレイン電極と前記第1の電極層の上に前記ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記発光部の形成領域を囲むバンク層を形成する工程と、
前記第1の電極層上に前記発光機能層を形成する工程と、
前記第2の電極層を形成する工程を有する、請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の電極層の下層に、前記ソース・ドレイン電極の層を形成しておくことを特徴とする、請求項3に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
第1の電極層と、前記第1の電極層の上に形成された発光機能層と、前記発光機能層の上に形成された第2の電極層と、を含む発光部と、
前記発光部を駆動する薄膜トランジスタを備え、
前記薄膜トランジスタに含まれるゲート絶縁膜は親液性を有し、前記ゲート絶縁膜によって前記第1の電極層の周縁部が覆われていることを特徴とする、電気光学装置。
【請求項6】
前記薄膜トランジスタは、
ソース・ドレイン領域と、
前記ソース・ドレイン領域上に形成された前記ゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成された層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールに形成されたソース・ドレイン電極を備え、
前記発光部は、前記薄膜トランジスタ上に形成されたバンク層によって囲まれる領域に形成された、請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記薄膜トランジスタは、
ソース・ドレイン電極と、
前記ソース・ドレイン電極上に形成された前記ゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極を備え、
前記発光部は、前記薄膜トランジスタ上に形成されたバンク層によって囲まれる領域に形成された、請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第1の電極層の下層に、前記ソース・ドレイン電極の層が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれかに記載の電気光学装置を備えた電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−127752(P2007−127752A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319225(P2005−319225)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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