説明

電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器

【課題】液晶装置等の電気光学装置において、装置サイズを増大させることなく、画素の検査を実行でき、且つ、通常表示時にデータ線にプリチャージ信号を供給する。
【解決手段】電気光学装置は、走査線11及びデータ線3と、1水平走査期間毎に極性反転する画像信号が供給される画素部70と、高電位電源VDD及び低電位電源VSSのうち画像信号と同じ極性の信号をプリチャージ用基準電位として供給する基準信号線refとを備える。更に、ノードsoに基準信号線refの電位が入力されると共に、ノードseにデータ線3の電位が入力され、ノードsoの電位とノードseとの電位を比較して、ノードseの電位がノードsoの電位より低い場合には、低電位電源VSSを、ノードseの電位がノードsoの電位より高い場合には、高電位電源VDDを、ノードseからデータ線3に、水平帰線期間において出力する差動増幅回路4aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶表示装置等の電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例である液晶装置は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下「TFT」と称す。)が形成されたTFTアレイ基板を検査する工程と、TFTアレイ基板及び液晶を制御するための対向電極が形成された対向基板間に液晶を封入する工程とを経て形成される。TFTアレイ基板に形成されたTFTの不具合が、TFTアレイ基板を検査する工程で検出されずに、完成品である液晶装置で不具合が検出された場合には、TFTアレイ基板を形成した後の工程が無駄な工程となってしまい、液晶装置を製造する際の歩留まりの低下及びコストの増大を招く問題点がある。
【0003】
このような問題点を解決する手段の一つとして、例えば特許文献1は、画素アレイ内においてコンパレータに電気的に接続された2本のデータ線及び走査線の全ての交差に対応して画素部が配置されており、TFTアレイ基板を形成した段階で2つの画素部に供給された電位情報を比較することによって画素部に不良が生じているか否かを検査する技術を開示している。
【0004】
他方、液晶装置の駆動方式には、液晶の焼付きや劣化を防ぐため、画像信号の極性を所定周期毎に反転させるライン反転、フレーム反転等の反転駆動方式が採用されている。このような反転駆動方式において、画像信号の極性を反転する際には、供給しようとする画像信号と常に反対極性の電位にあるデータ線を介して画像信号を書き込むのでは、大きな書き込み能力が必要となるため、例えば水平帰線期間中など、画像信号の供給に先行して所定電位のプリチャージ信号を、データ線に書き込むプリチャージが行われるのが一般的である。
【0005】
【特許文献1】特開2004―226551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、基板上に、検査用のコンパレータに加えて、通常表示時にデータ線をプリチャージするためのプリチャージ回路を設けるのは、電気光学装置の小型化という観点から困難であるという問題点がある。更に、仮にコンパレータとは別にプリチャージ回路を設けた場合には、プリチャージ回路がコンパレータの近傍でデータ線と電気的に接続されることによって、微小な電位差を検出するコンパレータによる検査に悪影響を及ぼしてしまうという問題点もある。
【0007】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば、液晶装置等の電気光学装置のサイズを増大させることなく、画素部の検査を実行でき、且つ、通常表示時にデータ線にプリチャージ信号を供給できる電気光学装置及びその駆動方法、並びにこのような電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の交差に対応して配置されると共に、所定周期で電位が所定電位に対して高位側の正極性と低位側の負極性とで極性反転する画像信号が、前記データ線を介して供給される複数の画素部と、前記所定電位よりも高い電位を有する高電位基準信号及び低い電位を有する低電位基準信号のうち、前記所定電位に対して前記画像信号と同じ極性の信号を基準信号として供給する基準信号線と、第1ノードに前記基準信号線の電位が入力されると共に第2ノードに前記データ線の電位が入力され、前記第1ノードの電位と前記第2ノードの電位とを比較して、前記第2ノードの電位が前記第1ノードの電位より低い場合には、前記所定電位より低い電位を有する低電位信号を、前記第2ノードの電位が前記第1ノードの電位より高い場合には、前記所定電位より高い電位を有する高電位信号を、前記第2ノードから前記データ線に、前記データ線への前記画像信号の供給に先行する期間において出力する差動増幅回路とを備える。
【0009】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、例えばデータ線駆動回路により画像信号が、データ線を介して各画素部に供給される。これと共に、走査線線駆動回路により走査線を介して走査信号が各画素部に供給される。画素部毎に設けられた例えば画素スイッチング用トランジスタは、走査線にゲートが接続されており、走査信号に応じて画像信号を画素電極へ選択的に供給する。これらにより、例えば、画素電極及び対向電極間に挟持された、例えば液晶等の電気光学物質を各画素部で制御或いは駆動することで、複数の画素部が例えばマトリックス状に平面配列された表示領域における画像表示が行われる。この際、蓄積容量によって、画素部における電位保持特性が向上し、表示の高コントラスト化が可能となる。尚、画素電極としては、例えば、入射光を透過する透過型の画素電極或いは入射光を反射する反射型又は半透過反射型の画素電極が用いられる。
【0010】
本発明では、画像信号は、例えば1水平走査期間等の所定周期で電位の極性が、例えば共通固定電位或いは接地電位等の所定電位に対して反転する。即ち、走査線の選択順序に応じて、例えばライン反転駆動や部分領域毎に反転駆動される領域反転駆動等が行われる。尚、走査線の選択順序は、任意の順序でよい。
【0011】
更に、本発明では、基板上に差動増幅回路を備える。差動増幅回路は、電気光学装置の動作時に先立って行われる検査時において、画素部の良否を検査するために用いられる。即ち、電気光学装置の動作時に先立って行われる検査時において、差動増幅回路の第1ノードには、基準信号線を介して例えば検査の基準となる検査用基準電位が供給される。一方、差動増幅回路の第2ノードには、画素部における例えば画素電極に入力された、即ち書き込まれた電位信号が読み出されて供給される。尚、このような検査は、電気光学装置が一対の基板が貼り合わされる前段階で好ましくは実施される。ここで、画素部から読み出される電位信号は、画素部の良否を反映した信号である。より具体的には、画素部には、例えば検査に先立ち予め検査信号が供給されており、画素部の良否に応じて検査信号の電位から変動した電位を有する信号が電位信号として出力される。「画素部の良否」とは、画素部が不具合を有しているか否かを意味し、検査用基準電位及び電位信号の電位の高低関係は、画素部に生じた不具合に応じて異なる。差動増幅回路は、例えば画素部から出力され第2ノードに供給される電位信号が第1ノードに供給される検査用基準電位より僅かに低い電位を有している場合には、検査基準電位よりも第2ノードに供給される電位信号の電位の低いことがデータ線等の配線に印加されるノイズによって不明瞭とならないように、第2ノードに低電位信号を出力する。反対に、例えば画素部から出力され第2ノードに供給される電位信号の電位が第1ノードに供給される検査用基準電位より僅かに高い電位を有している場合には、第2ノードに高電位信号を出力する。このように差動増幅回路から出力された低電位信号又は高電位信号は、上述した画素部の良否を反映した信号である。このような差動増幅回路からの出力に基づいて、例えば、予め画素部に供給された電位信号が検査用基準電位より高い場合に、差動増幅回路から低電位信号が出力されれば第2ノードに電気的に接続されたデータ線に対応する画素部に何らかの不具合が発生している等のように判断される。
【0012】
本発明では特に、差動増幅回路は、上述した検査時に検査回路として用いることができるのみならず、電気光学装置の動作時において、データ線にプリチャージ信号を供給するプリチャージ回路として用いることができる。即ち、差動増幅回路の第1ノードに電気的に接続された基準信号線は、所定電位よりも高い電位を有する高電位基準信号及び低い電位を有する低電位基準信号のうち、所定電位に対して画像信号と同じ極性の信号を基準信号として供給する。高電位基準信号及び低電位基準信号としては、例えばデータ線駆動回路或いは走査線線駆動回路等を駆動するための例えば高電位電源及び低電位電源等が用いられる。高電位基準信号の電位は、画像信号の電位のとり得る最大電位よりも高く、低電位基準信号の電位は、画像信号のとり得る最小電位よりも低くなるようにするのが望ましい。例えば、第i番目(但し、iは自然数)の水平走査期間に、画像信号が所定電位よりも低い電位(即ち、負極性の電位)を有している場合おいて、基準信号線は、第i番目の水平走査期間には、画像信号と反対の極性(即ち、正極性)である、即ち所定電位よりも高い高電位基準信号を第1ノードに供給し、第i+1番目の水平走査期間には、極性が反転される画像信号と反対の極性(即ち、負極性)である、即ち所定電位よりも低い低電位基準信号を第1ノードに供給する。他方、第2ノードには、第i+1番目の水平走査期間のうち例えば水平帰線期間等の非表示期間(即ち、正極性の画像信号の供給に先行する期間)においてデータ線から電位信号が供給される。この際、データ線から供給される電位信号は、第i番目の水平走査期間に供給された画像信号と同じ極性(即ち、負極性)を有している。このように第i+1番目の水平帰線期間において、第1ノードには、基準信号線を介して低電位基準信号が供給され、第2ノードには、データ線を介して負極性の電位信号が供給されることになる。そうすると、差動増幅回路は、第2ノードに供給される負極性の電位信号の電位が第1ノードに供給される低電位基準信号の電位よりも高いので、所定電位よりも高い電位を有する高電位信号を、第2ノードを介してデータ線に出力する。即ち、第i+1番目の水平走査期間のうち、正極性の画像信号が供給される期間に先立つ水平帰線期間において、データ線に予め正極性を有する高電位信号が供給される、即ち、データ線がプリチャージされる。
【0013】
以上説明したように、本発明の電気光学装置によれば、差動増幅回路によって、データ線をプリチャージできる。即ち、画素部の良否の検査に用いられる差動増幅回路をプリチャージ回路として機能させることができる。言い換えれば、差動増幅回路を、画素部の良否を検査する検査回路及びデータ線をプリチャージするプリチャージ回路の両方として用いる、即ち兼用することができる。よって、検査回路と別にプリチャージ回路を基板上に形成する必要がない。従って、基板サイズを小さくすることができ、電気光学装置の小型化を図ることが可能となる。更に、仮にプリチャージ回路を差動増幅回路とは別に設けた場合と比較して、プリチャージ信号の劣化や遅延が少なくて済む。即ち、仮にプリチャージ回路を別に設けた場合には、プリチャージ信号を供給するためのプリチャージ信号配線を基板上に引き回す必要があり、プリチャージ信号が、プリチャージ信号配線を伝播する間に、プリチャージ信号の劣化や遅延が生じてしまうおそれがある。しかるに本発明によれば、差動増幅回路からの出力がプリチャージ信号として供給されるので、プリチャージ信号の劣化や遅延は殆ど或いは全く発生しない。
【0014】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記所定周期は、前記画像信号の1水平走査期間であり、前記先行する期間は、前記1水平走査期間における水平帰線期間である。
【0015】
この態様によれば、1本の走査線を走査する1水平走査期間のうち表示に寄与しない水平帰線期間或いは水平ブランキング期間毎に、データ線をプリチャージすることができる。
【0016】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記走査線を介して前記画素部に走査信号を供給する走査線駆動回路と、前記複数の画素部の各々に前記データ線を介して前記画像信号を供給する画像信号供給回路と、前記走査線駆動回路及び前記画像信号供給回路の少なくとも一方に前記所定電位よりも高い高電位電源及び低い低電位電源の各々を供給する複数の電源配線とを備え、前記高電位基準信号及び前記高電位信号は、前記高電位電源の電位と同電位であり、前記低電位基準信号及び前記低電位信号は、前記低電位電源の電位と同電位である。
【0017】
この態様によれば、高電位基準信号、高電位信号、低電位基準信号及び低電位信号を、電源配線から供給できるので、これら信号を供給するための配線を電源配線とは別に配線する必要がない。よって、基板サイズを増大させることなく、或いは、基板上における積層構造を複雑化させることなく、差動増幅回路によってデータ線をプリチャージすることができる。
【0018】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記高電位基準信号及び前記低電位基準信号の中間の電位を有する中間電位基準信号と、前記高電位基準信号及び前記低電位基準信号のうち前記同じ極性の信号とを選択的に前記基準信号線に供給する選択回路を備える。
【0019】
この態様によれば、画素部の検査時には、中間電位基準信号を基準信号線に供給することで、差動増幅回路による画素部の検査を確実に行うことができる。更に、画素部による通常表示には、高電位基準信号又は低電位基準信号を基準信号線に供給することで、差動増幅回路による画素部のプリチャージを確実に行うことができる。
【0020】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を具備してなる。
【0021】
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0022】
本発明の電気光学装置の駆動方法は上記課題を解決するために、基板上に、互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の交差に対応して配置された複数の画素部と、基準信号を供給する基準信号線と、第1ノードに前記基準信号線の電位が入力されると共に第2ノードに前記データ線の電位が入力される差動増幅回路とを備えた電気光学装置を駆動する電気光学装置の駆動方法であって、所定周期で電位が所定電位に対して高位側の正極性と低位側の負極性とで極性反転する画像信号を、前記データ線を介して前記複数の画素部に供給する画像信号供給過程と、前記所定電位よりも高い電位を有する高電位基準信号及び低い電位を有する低電位基準信号のうち電位が前記画像信号と同じ極性である信号を、前記基準信号として前記基準信号線に供給する基準信号供給過程と、前記第1ノードの電位と前記第2ノードの電位とを比較して、前記第2ノードの電位が前記第1ノードの電位より低い場合には、前記所定電位より低い電位を有する低電位信号を、前記第2ノードの電位が前記第1ノードの電位より高い場合には、前記所定電位より高い電位を有する高電位信号を、前記データ線への前記画像信号の供給に先行する期間において前記データ線をプリチャージするためのプリチャージ信号として、前記第2ノードを介して前記データ線に供給するプリチャージ過程とを備える。
【0023】
本発明の電気光学装置の駆動方法によれば、上述した本発明の電気光学装置の場合と同様に、データ線への画像信号の供給に先行する期間において、差動増幅回路から低電位信号又は高電位信号をデータ線に供給することで、データ線をプリチャージすることができる。
【0024】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図8を参照して説明する。
【0026】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H´線での断面図である。
【0027】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0028】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。尚、データ線駆動回路101及びサンプリング回路7は、本発明に係る「画像信号供給回路」の一例を構成する。また、走査線線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0029】
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0030】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のトランジスタや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用トランジスタや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0031】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線線駆動回路104の他に、後述するように、本発明に係る「差動増幅回路」の一例としての差動増幅回路4a、選択回路200等が形成されている。
【0032】
尚、画素電極9aとしては、例えば、入射光を透過する透過型の画素電極或いは入射光を反射する反射型又は半透過反射型の画素電極を用いることができる。
【0033】
次に、本実施形態に係る液晶装置の回路構成について、図3から図8を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る液晶装置の主要な回路構成を示したブロック図である。図4は、画素部の電気的な構成を示す回路図である。
【0034】
図3において、本実施形態の液晶装置は、TFTアレイ基板10上に画素部70、サンプリング回路7、走査線線駆動回路104、データ線駆動回路101、差動増幅回路4a、トランスミッションゲート60及び選択回路200を備えている。
【0035】
画素部70は、画像表示領域10aにn行×m列のマトリックス状に2次元に配置されている。ここで、m、nはそれぞれ自然数である。より具体的には、図3に示すように、画素部70は、画像表示領域10aにおける右側から第1列、第2列、・・・、第m列で、上側から第1行、第2行、・・・、第n行のマトリック状に配置されている。即ち、n本のデータ線3及びm本の走査線11の交点に対応して単位表示素子である画素部70が設けられている。
【0036】
図4に示すように、画素部70は、トランジスタ30、液晶容量Clc及び付加容量Csを備えている。
【0037】
液晶容量Clcは、画素電極9a、対向電極21及び液晶層50(図2参照)による容量である。
【0038】
付加容量Csは、液晶容量Clcに並列に電気的に接続されている。
【0039】
トランジスタ30は、ソース端子sがデータ線3に電気的に接続され、ゲート端子gが走査線11に電気的に接続されている。トランジスタ30は、走査線線駆動回路104から供給される走査信号によってオンオフが切り換えられる。
【0040】
トランジスタ30のドレインは、液晶容量Clc及び付加容量Csの各々の一端に電気的に接続され、付加容量Csの他端は、共通固定電位LCCOMに電気的に接続されている。トランジスタ30のゲート端子gに走査信号が入力されてトランジスタ30がオンすると、データ線3に電気的に接続されたトランジスタ30のソース端子sに印加されている電圧が液晶容量Clc及び付加容量Csに印加され、供給されたデータ信号の電位が維持される。これにより、画像表示が行われる際に画素部70に供給されたデータ信号の電位を長時間保持することが可能となっている。
【0041】
再び図3において、データ線駆動回路101は、クロック信号CLX(及びその反転信号CLXB)及びシフトレジスタスタート信号DXに基づいて、サンプリング回路7を駆動するためのサンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、m)を出力するように構成されている。
【0042】
サンプリング回路7は、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFT若しくは相補型のTFTから構成されたサンプリングスイッチ71からなる。サンプリング回路7は、画像信号線6に供給される画像信号VIDを、基準クロック信号であるサンプリング回路駆動信号Siに応じてサンプリングし、夫々をデータ信号としてデータ線3に印加する。データ線3は、各列のn個の画素部70に夫々電気的に接続されており、データ線3からのデータ信号は、画素部70(より具体的には、各画素部70が有する液晶容量Clc及び付加容量Cs)に書き込まれるようになっている。
【0043】
走査線線駆動回路104は、マトリクス状に配置された複数の画素部70をデータ信号及び走査信号により走査線11の配列方向に走査するように走査信号Gi(i=1、…、n)を走査線11に印加する。
【0044】
図5に示すように、走査線線駆動回路104は、走査信号印加の基準クロックであるクロック信号CLY(及びその反転信号CLYB)及びシフトレジスタスタート信号DYに基づいて生成される走査信号Gi(i=1、…、n)を、複数の走査線11に印加する。ここに図5は、走査信号の供給タイミングを示すタイミングチャートである。より具体的には、垂直走査期間を規定するシフトレジスタスタート信号DYが入力されると、走査線線駆動回路104は、クロック信号CLYによって規定される1水平走査期間Th毎に、1本の走査線11に走査信号Giを順次供給する、即ち、1本の走査線11を順次選択する。1水平走査期間Th毎に選択された1本の走査線11とm本のデータ線と交点に対応する画素部70にデータ信号が書き込まれる。尚、m本の走査線11に走査信号Gi(i=1、…、n)を供給する順序は、任意の順序でよい。
【0045】
1水平走査期間Thの始まりには、表示に寄与しない水平帰線期間Tbが設けられている。
【0046】
本実施形態では、画像信号線6に供給される画像信号VIDは、1水平走査期間を所定周として電位が、共通固定電位LCCOMに対して高位側の正極性と、低位側の負極性とで極性反転する。即ち、選択された順番で、走査線11毎に交互にデータ信号の電位が反転する反転駆動が行われる。尚、反転駆動としては、例えばライン反転駆動であってもよいし、m本の走査線11を、例えば画像表示領域10aを複数の部分領域に分けて、異なる部分領域における走査線を順に選択するようにして、部分領域毎に反転駆動される領域反転駆動等を行うようにしてもよい。
【0047】
図3において、差動増幅回路4aは、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、画像表示領域10aに対してデータ線駆動回路101とは反対側に、データ線3毎に1ずつ設けられている。画像表示領域10aに設けられた画素部70と差動増幅回路4aとの間には、トランスミッションゲート60が設けられている。
【0048】
ここで、本実施形態に係る差動増幅回路の電気的な構成について、図3及び図6を参照して説明する。ここに図6は、差動増幅回路の電気的な構成を示す回路図である。
【0049】
図6において、差動増幅回路4aは、pチャネル型のトランジスタTr1及びTr2と、nチャネル型のトランジスタTr3及びTr4とを備えた交差結合型の差動増幅回路である。より具体的には、トランジスタTr1及びTr2が電気的に直列に接続された直列回路と、トランジスタTr3及びTr4が電気的に直列に接続された直列回路とが電気的に並列に接続されている。トランジスタTr1及びTr3のゲートは、ノードsoに電気的に接続されている。トランジスタTr2及びTr4のゲートは、ノードseに電気的に接続されている。トランジスタTr1及びTr2のソース及びドレインの接続点はノードspに電気的に接続され、トランジスタTr3及びTr4のソース及びドレインの接続点はノードsnに電気的に接続されている。
【0050】
図3に示すように、ノードse及びsoは、これらのノードに電位を供給するse配線4f及びso配線4gに夫々電気的に接続されている。se配線4fは、トランスミッションゲート60を介してデータ線3と電気的に接続可能になっており、se配線4fには、画素部70から読み出したデータ信号の電位が供給される。so配線4gには、後述する選択回路200から基準信号線refを介して検査用基準電位或いはプリチャージ用基準電位が供給される。ノードspには、トランジスタ4dを介して高電位電源VDDが供給され、ノードsnには、トランジスタ4eを介して高電位電源VDDより低い低電位電源VSSが供給される。トランジスタ4d及び4eは夫々、端子4b及び4cを介して供給される駆動信号SAp−ch及びSAn−chによってオンオフ制御されるようになっている。
【0051】
図6において、このように構成された差動増幅回路4aは、ノードse及びsoに供給された電位を、一方は高電位電源VDDの電位まで引き上げ、他方は低電位電源VSSの電位まで引き下げる。例えば、ノードseにノードsoに比べて僅かでも高い電位が供給された場合には、トランジスタTr1〜Tr4のうち、トランジスタTr4が最初にオンとなる。トランジスタTr4がオンとなるので、ノードsoの電位はノードsnの低電位電源VSSの電位まで低下する。そして、ノードsoがノードsnの低電位電源の電位まで低下するので、ゲートがノードsoに電気的に接続されたトランジスタTr1がオンになる。その結果、ノードseはノードspの高電位電源VDDの電位まで上昇する。逆に、ノードseにノードsoに比べて僅かでも低い電位が供給された場合には、トランジスタTr1〜Tr4のうち、トランジスタTr3が最初にオンとなる。トランジスタTr3がオンとなるので、ノードseの電位はノードsnの低電位電源VSSの電位まで低下する。そして、ノードseがノードsnの低電位電源VSSの電位まで低下するので、ゲートがノードseに電気的に接続されたトランジスタTr2がオンになる。その結果、ノードsoはノードspの高電位電源VDDの電位まで上昇する。
【0052】
このように、差動増幅回路4aは、ノードse及びsoに印加される電位のうち高い方の電位をより高くし、低い方の電位をより低くするように機能する。
【0053】
再び図3において、トランスミッションゲート60は、各データ線3に対応して設けられたトランジスタ60sによって構成されている。差動増幅回路4aのノードseに電気的に接続されたse配線4fは、トランジスタ60sのソースに電気的に接続され、トランジスタ60sのゲートは制御端子9bに電気的に接続されている。トランジスタ60sは、制御端子9bを介して入力されるHIGHの接続制御信号TEによってオンとなり、データ線3に差動増幅回路4aを電気的に接続するようになっている。
【0054】
選択回路200は、複数の差動増幅回路4aのノードsoにso配線4g及び基準信号線refを介して電気的に接続されている。
【0055】
ここで、選択回路200の電気的な構成について、図7を参照して説明する。ここに図7は、選択回路の電気的な構成を示す回路図である。
【0056】
図7において、選択回路200は、pチャネル型のトランジスタ211及び221と、nチャネル型のトランジスタ212及び222とを備えている。トランジスタ211及び212のゲートは、端子231に電気的に接続されている。トランジスタ221及び222のゲートは、端子232に電気的に接続されている。トランジスタ211のソースは、端子233に電気的に接続され、トランジスタ212のソースは、端子234に電気的に接続されている。トランジスタ222のソースは、端子235に電気的に接続されている。トランジスタ211及び222のドレインは、トランジスタ221のソースに電気的に接続されており、トランジスタ221及び222のドレインは端子236に電気的に接続されている。
【0057】
端子231には、反転駆動される画像信号VIDの極性反転の周期を規定する反転周期規定信号FRPが供給されている。反転周期規定信号FRPは、画像信号VIDの極性反転の周期と同じ周期を有していると共に、画像信号VIDと同じ極性を有している。即ち、画像信号VIDが共通固定電位LCCOMよりも高い電位を有している期間は、反転周期規定信号FRPも、共通固定電位LCCOMよりも高い電位を有しており、画像信号VIDが共通固定電位LCCOMよりも低い電位を有している期間は、反転周期規定信号FRPも、共通固定電位LCCOMよりも低い電位を有している。
【0058】
端子232には、検査時と通常表示時との切り換えを制御する切換信号exが供給されている。切換信号exは、検査時にはHIGHであり、通常表示時にはLOWである。
【0059】
端子233には、高電位電源VDDが供給されている。
【0060】
端子234には、低電位電源VSSが供給されている。
【0061】
端子235には、検査用基準電位VMが供給されている。検査用基準電位VMは、高電位電源VDDとVSSとの間の電位を有している。
【0062】
次に、本実施形態に係る差動増幅回路による画素部の検査について、図3、図6及び図7を参照して説明する。
【0063】
図3及び図7において、画素部70の良否を検査する検査時には、HIGHの切換信号exが選択回路200の端子232に供給されることで、トランジスタ221がオフにされ且つトランジスタ222がオンにされる。これにより、選択回路200の端子235と端子236とが電気的に接続され、基準信号線refには、検査用基準電位VMが供給される。
【0064】
図3において、画素部70の良否を検査する検査時には、接続制御端子9bにHIGHの接続制御信号TEが供給されることで、トランジスタ60sがオンにされ、データ線3に差動増幅回路4aが電気的に接続される。
【0065】
画素部の検査においては、各画素部70に例えばLOW又はHIGHのデータ信号を書き込み、画素部70に書き込まれたデータ信号を読み出して差動増幅回路4aのノードseに与える。一方、差動増幅回路4aのノードsoには、選択回路200から基準信号線ref及びso配線4gを介して検査用基準電位VMを与える。差動増幅回路4aは、図6を参照して上述したように、2入力(即ち、ノードso及びノードseへの入力)のうち低いレベルの電位を低電位電源VSSの電位まで低下させ、高いレベルの電位を高電位電源VDDの電位まで上昇させることで、微妙な2入力のレベル差を大きくして、2入力のレベルの大小の判定を容易にする。このような差動増幅回路4aからの出力に基づいて、例えば、予め画素部70に供給されたデータ信号が検査用基準電位VMより高い場合に、差動増幅回路4aから低電位電源VSSの電位が出力されればノードseに電気的に接続されたデータ線に対応する画素部70に何らかの不具合が発生している等のように判断することで、画素部70の良否を検査することができる。よって、製造工程において、TFTアレイ基板10及び対向基板20を貼り合わせて液晶を封入する前に、複数の画素部70の電気的特性の評価或いは検査をすることができる。
【0066】
次に、本実施形態に係る差動増幅回路によるプリチャージについて、図3、及び図6から図8を参照して説明する。ここに図8は、差動増幅回路によってプリチャージされるデータ線の電位の変化を示すタイミングチャートである。
【0067】
本実施形態では特に、差動増幅回路4aは、上述したように検査時に検査回路として用いることができるのみならず、液晶装置の通常表示時において、データ線3にプリチャージ信号を供給するプリチャージ回路として用いることができる。
【0068】
図3及び図7において、通常表示時には、LOWの切換信号exが選択回路200の端子232に供給されることで、トランジスタ221がオンにされ且つトランジスタ222がオフにされる。これにより、選択回路200の端子236とトランジスタ211及び212のドレインとが電気的に接続され、基準信号線refには、反転周期規定信号FRPに基づくトランジスタ211及び212のオンオフの切換によって、高電位電源VDD又は低電位電源VSSの電位がプリチャージ用基準電位として供給される。即ち、図7及び図8に示すように、第i番目の水平走査期間Th(i)において反転周期規定信号FRPがHIGHの場合(即ち、画像信号の極性が共通固定電位LCCOMよりも高い場合)には、トランジスタ211がオフにされ且つトランジスタ212がオンにされ、基準信号線refには、低電位電源VSSの電位が供給される。続く第i+1番目の水平走査期間Th(i+1)では反転周期規定信号FRPがLOWに変化することにより、トランジスタ211がオンにされ且つトランジスタ212がオフにされ、基準信号線refには、高電位電源VDDの電位が供給される。即ち、通常表示時において、基準信号線refには、共通固定電位LCCOMに対して画像信号とは反対の極性で、高電位電源VDD及び低電位電源VSSの電位が、1水平走査期間Th毎に交互にプリチャージ用基準電位として供給される。プリチャージ用基準電位は、基準信号線refと電気的に接続されたso配線4gを介して差動増幅回路4aのノードsoに供給される。ここで、高電位電源VDD及び低電位電源VSSは、データ線駆動回路101或いは走査線線駆動回路104等を駆動するための電源であり、高電位電源VDDの電位は、画像信号VIDの電位のとり得る最大電位よりも高く、低電位電源VSSの電位は、画像信号VIDのとり得る最小電位よりも低い。
【0069】
図3及び図8において、通常表示時には、水平帰線期間Tb内のプリチャージ期間TpにHIGHとなる接続制御信号TEが接続端子9b供給されることで、トランスミッションゲート60のトランジスタ60sがオンにされ、データ線3に差動増幅回路4aが電気的に接続される。この際、データ線3の電位であるデータ線電位Vdが差動増幅回路4aのノードseに供給されることになる。
【0070】
図8において、データ線電位Vdは、第i番目の水平帰線期間Tb(i)の始まりでは、負極性を有している(即ち、共通固定電位LCCOMよりも低い電位を有している)。つまり、第i−1番目の水平走査期間Th(i−1)において、画素部70に供給されたデータ信号の電位の極性が負極性であり、水平帰線期間T(i)では極性反転した正極性のデータ信号がまだデータ線3に供給されないため、データ線電位Vdは負極性に維持されている。
【0071】
時刻t1において画像信号の供給期間に先行するプリチャージ期間Tpが開始すると(即ち、接続制御信号TEがHIGHとなると)、トランジスタ60sがオンになり、この負極性を有するデータ線電位Vdが差動増幅回路4aのノードseに供給される。他方、上述したように、第i番目の水平走査期間Th(i)では、基準信号線refには、低電位電源VSSの電位が供給されている。このため、差動増幅回路4aは、ノードseに供給される負極性のデータ線電位Vdがノードsoに供給される低電位電源VSSの電位よりも高いので、高電位電源VDDの電位を、ノードseを介してデータ線3に出力する、即ちデータ線電位Vdが高電位電源VDDの電位とされる。よって、第i番目の水平走査期間Th(i)のうち、正極性のデータ信号が供給される期間に先立つ水平帰線期間Tb(i)(より正確には、プリチャージ期間Tp)において、データ線3に予め正極性を有する高電位電源VDDの電位を供給できる、即ち、データ線3をプリチャージすることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の液晶装置によれば、差動増幅回路4aによって、データ線3をプリチャージすることができる。即ち、画素部70の良否の検査に用いられる差動増幅回路4aをプリチャージ回路として機能させることができる。言い換えれば、差動増幅回路4aを、画素部70の良否を検査する検査回路及びデータ線3をプリチャージするプリチャージ回路の両方として用いる、即ち兼用することができる。よって、検査回路としての差動増幅回路4aとは別に、プリチャージ回路をTFTアレイ基板10上に形成する必要がない。従って、仮に検査回路とプリチャージ回路とを別個に設けた場合と比較して、TFTアレイ基板10の基板サイズを小さくすることができ、液晶装置の小型化を図ることが可能となる。更に、仮にプリチャージ回路を差動増幅回路4aとは別個に設けた場合と比較して、プリチャージ信号の劣化や遅延が少なくて済む。即ち、仮にプリチャージ回路を差動増幅回路4aとは別個に設けた場合には、プリチャージ信号を供給するためのプリチャージ信号配線をTFTアレイ基板10上に引き回す必要があり、プリチャージ信号が、プリチャージ信号配線を伝播する間に、プリチャージ信号の劣化や遅延が生じてしまうおそれがある。しかるに実施形態の液晶装置によれば、差動増幅回路4aからの出力がプリチャージ信号として供給されるので、プリチャージ信号の劣化や遅延は殆ど或いは全く発生しない。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0073】
この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図9は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図9に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0074】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0075】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0076】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0077】
尚、図9を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0078】
また本発明は、上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0079】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及びその駆動方法、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´の断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の主要な回路構成を示したブロック図である。
【図4】画素部の電気的な構成を示す回路図である。
【図5】走査信号の供給タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】差動増幅回路の電気的な構成を示す回路図である。
【図7】選択回路の電気的な構成を示す回路図である。
【図8】差動増幅回路によってプリチャージされるデータ線の電位の変化を示すタイミングチャートである。
【図9】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0081】
3…データ線、4a…差動増幅回路、6…画像信号線、9a…画素電極、7…サンプリング回路、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、11…走査線、20…対向基板、60…トランスミッションゲート、70…画素部、101…データ線駆動回路、104…走査線線駆動回路、200…選択回路、ex…切換信号、FRP…反転周期規定信号、ref…基準信号線、so、se…ノード、VDD…高電位電源、VSS…低電位電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、
前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の交差に対応して配置されると共に、所定周期で電位が所定電位に対して高位側の正極性と低位側の負極性とで極性反転する画像信号が、前記データ線を介して供給される複数の画素部と、
前記所定電位よりも高い電位を有する高電位基準信号及び低い電位を有する低電位基準信号のうち、前記所定電位に対して前記画像信号と同じ極性の信号を基準信号として供給する基準信号線と、
第1ノードに前記基準信号線の電位が入力されると共に第2ノードに前記データ線の電位が入力され、前記第1ノードの電位と前記第2ノードの電位とを比較して、前記第2ノードの電位が前記第1ノードの電位より低い場合には、前記所定電位より低い電位を有する低電位信号を、前記第2ノードの電位が前記第1ノードの電位より高い場合には、前記所定電位より高い電位を有する高電位信号を、前記第2ノードから前記データ線に、前記データ線への前記画像信号の供給に先行する期間において出力する差動増幅回路と
を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記所定周期は、前記画像信号の1水平走査期間であり、
前記先行する期間は、前記1水平走査期間における水平帰線期間である
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記走査線を介して前記画素部に走査信号を供給する走査線駆動回路と、
前記複数の画素部の各々に前記データ線を介して前記画像信号を供給する画像信号供給回路と、
前記走査線駆動回路及び前記画像信号供給回路の少なくとも一方に前記所定電位よりも高い高電位電源及び低い低電位電源の各々を供給する複数の電源配線と
を備え、
前記高電位基準信号及び前記高電位信号は、前記高電位電源の電位と同電位であり、
前記低電位基準信号及び前記低電位信号は、前記低電位電源の電位と同電位である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記高電位基準信号及び前記低電位基準信号の中間の電位を有する中間電位基準信号と、前記高電位基準信号及び前記低電位基準信号のうち前記同じ極性の信号とを選択的に前記基準信号線に供給する選択回路を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなる電子機器。
【請求項6】
基板上に、互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の交差に対応して配置された複数の画素部と、基準信号を供給する基準信号線と、第1ノードに前記基準信号線の電位が入力されると共に第2ノードに前記データ線の電位が入力される差動増幅回路とを備えた電気光学装置を駆動する電気光学装置の駆動方法であって、
所定周期で電位が所定電位に対して高位側の正極性と低位側の負極性とで極性反転する画像信号を、前記データ線を介して前記複数の画素部に供給する画像信号供給過程と、
前記所定電位よりも高い電位を有する高電位基準信号及び低い電位を有する低電位基準信号のうち電位が前記画像信号と同じ極性である信号を、前記基準信号として前記基準信号線に供給する基準信号供給過程と、
前記第1ノードの電位と前記第2ノードの電位とを比較して、前記第2ノードの電位が前記第1ノードの電位より低い場合には、前記所定電位より低い電位を有する低電位信号を、前記第2ノードの電位が前記第1ノードの電位より高い場合には、前記所定電位より高い電位を有する高電位信号を、前記データ線への前記画像信号の供給に先行する期間において前記データ線をプリチャージするためのプリチャージ信号として、前記第2ノードを介して前記データ線に供給するプリチャージ過程と
を備えたことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−219354(P2007−219354A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42018(P2006−42018)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】