電気光学装置
【課題】視距離が短い立体表示装置を提供する。
【解決手段】多視点画像を表示する電気光学装置であって、該電気光学装置は、電気光学パネル7と、電気光学パネル7の表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板35と、電気光学パネル7と第1の偏光板35との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズ50を並列配置して形成されたレンチキュラーレンズ5と、を備え、第1の偏光板35とレンチキュラーレンズ5との間には、レンチキュラーレンズ5の構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【解決手段】多視点画像を表示する電気光学装置であって、該電気光学装置は、電気光学パネル7と、電気光学パネル7の表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板35と、電気光学パネル7と第1の偏光板35との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズ50を並列配置して形成されたレンチキュラーレンズ5と、を備え、第1の偏光板35とレンチキュラーレンズ5との間には、レンチキュラーレンズ5の構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置としての液晶装置には、レンチキュラーレンズを用いることにより第1の画素が構成する第1の画像と第2の画素が構成する第2の画像とを左右方向に異なる方向に射出することにより、立体表示を可能とした立体表示装置がある(例えば特許文献1)。かかる表示装置を、以下、液晶装置と称する。図11は、図12に示すレンチキュラーレンズ5を用いて立体表示を可能とした、従来の透過型の液晶装置の模式断面図である。なお、個々の構成要素については、実施形態において後述する。
【0003】
液晶パネル7は、後述するように、一対の透光性基板としての素子基板と対向基板と、該一対の基板間に封入された液晶層等からなる。上述の画素は、液晶パネルの表示領域を規則的に区画して形成された領域であり、色彩及び強度等が均一の光を射出可能な最小の領域である。
【0004】
そして液晶装置は、液晶パネル7の観察者60側に順に配置された第1の偏光板35とレンチキュラーレンズ5、及び観察者側の反対側に順に配置された第2の偏光板36と光源としてのバックライトユニット90等からなっている。レンチキュラーレンズ5は、図12に示すように、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズ50を並列配置したものであり、両サイドは平坦部51となっている。
【0005】
液晶パネル7内には、図示するように、第1の画素である左画素L及び第2の画素である右画素Rとが交互に配置されている。そして、一組の左画素L及び右画素Rに対して1つの円柱レンズ50が対向するように、上記レンチキュラーレンズ5が形成されている。左画素L及び右画素Rはシャッター機能を有し、バックライトユニット90から照射される光の透過量を連続的に変化させることができる。なお、円柱レンズ50は、図示する断面形状を保ったまま紙面に対して垂直の方向に延伸している。また、左画素L及び右画素Rも上記方向に連続するように配置されている。
【0006】
バックライトユニット90は液晶パネル7全体(全面)に対して略均一の光を照射しており、照射された光は、画素毎に個別に着色され、かつ個別の透過量となってレンチキュラーレンズ5に到達する。そして、円柱レンズ50の働きにより左画素Lを透過した光は観察者60の左眼65のみに到達し、右画素Rを透過した光は観察者60の右眼66のみに到達する。左右の眼に互いに異なる画像が到達することで立体画像として認識される。
かかる構成の立体ディスプレイは、パララックスバリア等を用いて、光源から照射される光の一部を遮蔽する方式に比べて、上述のバックライトユニット90から照射される光を有効に利用できるという利点がある。
【0007】
【特許文献1】特開2006−516753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし一方で、かかる構成の立体ディスプレイは、観察者60との間の距離により、構成部材の厚さが制限されるという問題がある。図示するように、
p=左画素Lの中心と右画素Rの中心との距離である画素ピッチ、
T=画素とレンチキュラーレンズの節点との間の距離、
D=レンチキュラーレンズの節点と観察者の眼の距離、
d=観察者の左右の眼の間隔、
とすると、
T:D=p:d・・・・・・・・・・・・・(1)
より、
T=D×p/d・・・・・・・・・・・・・(2)
となる。
【0009】
一般的な画素ピッチ0.042mmの4インチのVGAパネルをD=650mmの距離から見たときに立体画像を認識するためには、T=0.42mmが必要となる。なお、上述のTは大気中の光学距離である。
ここで液晶装置の構成要素の厚さを考えると、
対向基板11=0.2mm
第1の偏光板35=0.15mm
レンチキュラーレンズ(節点までの厚さ)=0.15mm
とした時に、上述の三つの構成要素の平均の屈折率を略1.5とすると、合計の厚さを大気中の光学距離に換算するとおおよそ0.33mmとなり、上述のT=0.42mmよりも短い。したがって、立体視に必要な光学設計が成り立つ。しかし、液晶装置と観察者60との間が450mmとなった場合、T=0.29mmとなる。ガラス製である対向基板の厚さは強度上の問題から0.2mmよりも薄くすることは困難であるため、上記の距離(450mm)では、立体視に必要な光学設計が成り立たないこととなる。したがって、偏光板をレンチキュラーレンズの外(観察者側)へ配置して、レンチキュラーレンズと液晶パネルの画素を近づける構成とする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0011】
[適用例1]
多視点画像を表示する電気光学装置であって、上記電気光学装置は、電気光学パネルと、該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、上記電気光学パネルと上記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、を備え、上記第1の偏光板と上記レンチキュラーレンズとの間には、上記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【0012】
このような構成によれば、上記電気光学パネルと上記レンチキュラーレンズとの間を短縮できる。また、上記レンチキュラーレンズと上記偏光板との間に所定の間隔を設けたため、上記偏光板を観察者側に配置した態様で、レンチキュラーレンズの作用を発現させることができる。したがって、多視点画像を表示する電気光学装置において、視距離(電気光学装置と観察者との間の距離)を短縮できる。ここで、「多視点画像を表示する」とは、少なくとも2つの異なる方向に画像を表示することをいい、当該2視点の他、4視点、8視点、16視点…等の表示を含む。
【0013】
[適用例2]
多視点画像を表示する電気光学装置であって、光源と、上記光源から照射される光の透過量を調整することにより画像を形成する電気光学パネルと、該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、上記電気光学パネルと上記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、上記光源と上記電気光学パネルとの間に配置されている第2の偏光板と、を備える電気光学装置であって、上記第1の偏光板は上記レンチキュラーレンズに対して所定の距離をおいて配置されており、上記第1の偏光板と上記レンチキュラーレンズとの間には、上記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【0014】
このような構成によれば、上記電気光学パネルと上記レンチキュラーレンズとの間を短縮できる。また、上記レンチキュラーレンズと上記偏光板との間に所定の間隔を設けたため、上記偏光板を観察者側に配置した態様で、レンチキュラーレンズの作用を発現させることができる。したがって、光源から照射される光を用いて多視点画像を透過表示することが可能な電気光学装置において、視距離を短縮できる。
【0015】
[適用例3]
多視点画像を表示する電気光学装置であって、光源と、上記光源から照射される光の透過量を調整することにより第1の画像を形成する第1の画素と上記光源から照射される光の透過量を調整することにより第2の画像を形成する第2の画素とが表示領域に配置されている電気光学パネルと、該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、上記電気光学パネルと上記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、上記光源と上記電気光学パネルとの間に配置されている第2の偏光板と、を備える電気光学装置であって、上記第1の偏光板は上記レンチキュラーレンズに対して所定の距離をおいて配置されており、上記第1の偏光板と上記レンチキュラーレンズとの間には、上記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【0016】
このような構成によれば、上記電気光学パネルと上記レンチキュラーレンズとの間を短縮できる。また、上記レンチキュラーレンズと上記偏光板との間に所定の間隔を設けたため、上記偏光板を観察者側に配置した態様で、レンチキュラーレンズの作用を発現させることができる。したがって、光源から照射される光を用いて、上記第1の画像と上記第2の画像とによる2視点画像、特に立体画像を透過表示することが可能な電気光学装置において、視距離を短縮できる。
【0017】
[適用例4]
上述の電気光学装置であって、上記電気光学パネルは、一対の透光性基板間に挟持した液晶層に、上記画素毎に電圧を印加することにより、上記光源から照射される光の透過量を調整する液晶パネルであることを特徴とする電気光学装置。
【0018】
液晶パネルは上記透過量の制御性が高いため、このような構成であれば、表示品質が向上した電気光学装置を得ることができる。
【0019】
[適用例5]
上述の電気光学装置であって、上記物質は大気であり、上記第1の偏光板は、上記レンチキュラーレンズの上記電気光学パネルとは反対側の面上の外周部に形成されている平坦部にスペーサで固定される支持基板の表面に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【0020】
このような構成によれば、上記レンチキュラーレンズ上に透光性を有する層を別途形成することなく、上記第1の偏光板と上記レンチキュラーレンズとを、上記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率の低い物質を介して配置できる。したがって、製造コスト等の増加を抑制しつつ上述の視距離を短縮できる。
【0021】
[適用例6]
上述の電気光学装置であって、上記偏光板は、偏光フィルムと位相差フィルムとの積層体であることを特徴とする電気光学装置。
【0022】
このような構成であれば、上記液晶層の複屈折性等に起因する着色等を抑制でき、上記電気光学装置を斜め方向から見る際の表示品質を向上できる。
【0023】
[適用例7]
上述の電気光学装置であって、上記レンチキュラーレンズは平面視略方形であり、上記スペーサは上記レンチキュラーレンズの上記長手方向に平行な2辺に沿って配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【0024】
このような構成であれば、上記レンチキュラーレンズの四方を研削することなしに上記スペーサを上記レンチキュラーレンズ上に配置できるため、電気光学装置を低コストで得ることができる。
【0025】
[適用例8]
上述の電気光学装置であって、上記レンチキュラーレンズは平面視略方形であり、上記スペーサは上記レンチキュラーレンズの4辺に沿って配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【0026】
このような構成であれば、上記スペーサにより上記支持基板を確実に固定でき、上記電気光学装置の信頼性を向上できる。
【0027】
[適用例9]
上述の電気光学装置であって、上記第1の偏光板は、上記支持基板の上記レンチキュラーレンズと対向する側の面に配置されており、上記スペーサは平面視枠状であり、該枠の内側と外側とを導通する切り欠きが形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【0028】
このような構成であれば、上記スペーサと上記レンチキュラーレンズと上記支持基板とで囲まれる空間が密閉空間となることを回避できる。したがって、かかる空間における結露等の発生や圧力のアンバランスによる変形、破損を抑制でき、上記電気光学装置の信頼性を向上できる。
【0029】
[適用例10]
上述の電気光学装置であって、上記スペーサが、上記レンチキュラーレンズと一体的に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【0030】
このような構成であれば、上記スペーサと上記レンチキュラーレンズとを結合(接着)する工程を削減でき、電気光学装置を低コストで得ることができる。
【0031】
[適用例11]
上述の電気光学装置であって、上記スペーサが、上記支持基板と一体的に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【0032】
このような構成であれば、上記スペーサと上記支持基板とを結合(接着)する工程を削減でき、電気光学装置を低コストで得ることができる。
【0033】
[適用例12]
上述の電気光学装置であって、上記スペーサが黒色に着色されていることを特徴とする電気光学装置。
【0034】
このような構成であれば、上記スペーサを介して上記電気光学パネル内に迷光が進入することを抑制でき、上記電気光学装置の表示品質を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照し、本発明を具体化した電気光学装置としての立体表示型の液晶装置の実施形態について述べる。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、該各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0036】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態、及び後述する第2〜4の各実施形態にかかる液晶装置に共通する、液晶パネル7の回路構成を模式的に示す図である。規則的に配置された個々の画素を個別に制御して表示領域75に画像を形成するアクティブマトリクス型の液晶パネル7の回路図である。
【0037】
液晶パネルは、TFT(薄膜トランジスタ)40と画素電極21とを備える画素(R又はL)が規則的に配置されている表示領域75と、該領域と隣り合う周縁部領域に形成された駆動回路等からなる。表示領域75は平面視で実際に画像が形成される領域であり、走査線76とデータ線77とが格子状に形成されている。走査線76とデータ線77とで囲まれる方形の領域が、1つの画素が形成されている領域である。
【0038】
走査線駆動回路72は、図示しない外部回路から供給される駆動信号に基づいて形成した走査信号を、走査線76を介してTFT40に供給する。データ線駆動回路73は、図示しない外部回路から供給される駆動信号に基づいて形成した画像信号を、データ線77を介して画素電極21に供給する。画素電極21に供給された所定レベルの画像信号は、画素電極21と後述する対向電極22(図3参照)との間で一定時間保持される。そして、かかる時間中、該一対の電極間に挟持された液晶層12(図3参照)中の液晶分子の配向方向を一定に保ち、該液晶層の透光性を規定する。各々の画素に個別に画像信号が印加されて、画素毎に光の透過量が制御されることで、表示領域75に画像が形成される。
【0039】
図2は、第1の実施形態の液晶装置の、表示領域75(図1参照)における画素、及びレンチキュラーレンズ5を構成する円柱レンズ50(図12参照)の配置の態様を模式的に示す図である。なお本図は表示領域75の一部を示すものであり、実際の画素の数は、縦方向、横方向共に数百〜数千ある。
【0040】
画素は、左眼用の画像を形成する第1の画素としての左画素Lと、右眼用の画像を形成する第2の画素としての右画素Rと、がある。左眼用の画像が第1の画像であり、右眼用の画像が第2の画像である。該双方の画素に付記されている小文字のアルファベットは、各々の画素が射出する光の色を表わしている。
【0041】
各々の画素にはカラーフィルタ15(図3参照)が配置されており、後述する光源としてのバックライトユニット90から照射される白色光から三原色のいずれかの色の光を選択して射出できる。rは透過する白色光から赤色光を透過させる赤画素であることを示し、gは白色光から緑色光を透過させる緑画素であることを示し、bは白色光から青色光を透過させる青画素であることを示している。かかる計六種類の画素(Lr,Lg,Lb,Rr,Rg,Rb)の総称が画素である。
【0042】
同種の画素は、縦方向に一列に並ぶように配置されている。かかる方向がY方向である。そして、右画素Rと左画素Lとが、r,g,bを繰り返すように隣り合う方向がX方向である。そして、一列の右画素Rと一列の左画素Lとを跨ぐように円柱レンズ50が形成されており、双方の画素が形成する画像を異なる視点に導光している。
【0043】
図3は、液晶パネル7の表示領域75内における断面を、バックライトユニット90等と共に模式的に示す図である。液晶パネル7はバックライトユニット90からの光を変調して透過することにより、対向基板11側に光を射出させて表示を行う。したがって、液晶パネル7のうち対向基板11側が表示面側となる。液晶パネルは、TFT40等が形成された素子基板10と、カラーフィルタ15等が形成された対向基板11と、該双方の基板間に挟持されたTN(Twisted Nematic)モードの液晶層12等からなる。上記双方の基板は、図示しないシール材により所定の間隔を持って対向するように保持されている。素子基板10のTFT40が形成されている側の反対側の面には第2の偏光板36が貼付され、対向基板11のカラーフィルタ15が形成されている側の反対側の面には所定の間隔をもって第1の偏光板35が配置されている。かかる配置の態様については後述する。
【0044】
TFT40は、走査線76の一部を延伸して形成したゲート電極41と、ゲート絶縁膜42と、半導体層43と、データ線77の一部を分岐するように延長して形成したソース電極45と、ドレイン電極46と、からなる。ゲート絶縁膜42は酸化シリコンあるいは窒化シリコン等からなり、表示領域75全域に形成されている。
【0045】
TFT40の上には、TFT40と画素電極21とを絶縁する層間絶縁膜23が形成されている。層間絶縁膜23は、酸化シリコンあるいは窒化シリコン等の透光性絶縁材料からなる。そして、該層間絶縁膜の一部を選択的にエッチングして、画素電極21とドレイン電極46とを接続するコンタクトホール25が形成されている。
【0046】
画素電極21は島状にパターニングされたITO(酸化インジウム・すず合金)層からなる。ITOは透明導電材料であり、バックライトユニット90から照射される光の透過と液晶層12への電圧の印加を両立できる。素子基板10の層間絶縁膜23の上層(つまり液晶層12側)には、画素電極21を覆うように第2の配向膜32が形成されている。また、対向基板11の液晶層12側の面には、カラーフィルタ15(若しくはブラックマトリクス16)、オーバーコート層34、対向電極22、第1の配向膜31が順に積層されている。第1の配向膜31及び第2の配向膜32は、ポリイミド等の高分子材料からなる薄膜に配向処理を施した膜であり、液晶層12に含まれる液晶分子の配向方向を揃えることができる。
【0047】
バックライトユニット90は、蛍光管93から照射される光を導光板92及び反射板91により上記双方の基板の面に対して均一に照射できる。そして、かかる光を液晶層12及びカラーフィルタ15を透過させて液晶装置の外部ヘ射出できる。液晶装置は、液晶層12の配向状態を画素毎に変化させることにより、バックライトユニット90から照射される光の透過量を画素毎に変化させて画像を形成している。かかる透過量の変化は、TFT40のON状態及びOFF状態を切り替えて、画素電極21に印加する電圧を変化させることで行われている。
【0048】
対向電極22は、少なくとも表示領域75(図1参照)の全面に形成されたITOからなる薄膜であり、該領域において、液晶層12の対向基板側を同電位に保っている。したがって、TFT40を介して画素電極21に印加された電圧が、該画素電極が形成されている領域の液晶層に印加される電圧となる。
【0049】
カラーフィルタ15は、着色された樹脂等で形成された層である。上述したように、入射した光のうちの所定の範囲の波長の光を透過させ、それ以外の波長範囲の光を吸収することにより、バックライトユニット90が照射する白色光から有色光を取り出すことができる。ブラックマトリクス16は、黒色に着色され遮光性を付与された樹脂等からなり、表示領域75内に、個々のカラーフィルタ15を囲むように格子状に形成されている。走査線76、データ線77、及びTFT40は、平面視においてブラックマトリクス16と重なるように形成されている。該走査線等が形成されている領域は液晶層12に電圧を印加できない領域であり、かかる領域が透光性となる事をブラックマトリクス16により回避している。
【0050】
液晶装置における上述の透過量の変化は、以下のように行われる。
第1の配向膜31の配向方向は、第1の偏光板35の透過軸の方向と平行であり、第2の配向膜32の配向方向は、第2の偏光板36の透過軸の方向と平行である。したがって、液晶層12に電圧が印加されていない状態において、液晶層12に含まれる液晶分子の長軸は、液晶層12内で90度ねじれた状態となる。
【0051】
TFT40がOFF状態、すなわち液晶層12に電圧が印加されていない状態において、バックライトユニット90から照射された光は、第2の偏光板36の透過軸の方向に偏光する直線偏光として、第2の配向膜32を介して液晶層12に入射する。そして、液晶層12を透過する際に、偏光方向が90度ねじれて、第1の偏光板35に入射する。上述したように第1の偏光板35の透過軸の方向は、第2の偏光板36の透過軸の方向と直交している。したがって、かかる光は第1の偏光板35を透過して、図示しない観察者に向けて射出される。
【0052】
一方、TFT40がON状態、すなわち液晶層12に電圧が印加されている状態において、液晶層12に含まれる液晶分子の長軸は素子基板10等に対して垂直方向を向いている。したがって、第2の偏光板36を透過した直線偏光は偏光状態を維持したまま第1の偏光板35に入射する。上述したように第1の偏光板35の透過軸の方向は、第2の偏光板36の透過軸の方向と直交している。したがって、かかる光は第1の偏光板35内で吸収されて、外部すなわち観察者側に射出されることはない。
【0053】
かかる、OFF状態及びON状態は、画素電極21に印加される電圧量により段階的に制御される。したがって、バックライトユニット90から照射される光の透過量は、画素毎に段階的に制御される。このように、本実施形態の液晶パネル7はTNモードを採用しているが、これに限定する趣旨ではなく、VA(Vertical Alignment)IPS(In Plain Switching)、FFS(Fringe Field Switching)、STN(Super Twisted Nematic)等、種々のモードを採用することができる。
【0054】
図4及び図5は、本実施形態の液晶装置におけるレンチキュラーレンズ5及び第1の偏光板35等の各構成要素の配置の態様を模式的に示す図である。図4はXZ平面における断面図、図5は各構成要素を分離させて示す斜視図である。図4には、本実施形態の効果を示すために、観察者60の右眼66及び左眼65を図示している。なお、図5では、バックライトユニット90の図示を省略している。
【0055】
図示するように、本実施形態の液晶装置は、液晶パネル7の観察者側(バックライトユニット90が配置されていない方の側)の面にレンチキュラーレンズ5が貼付されており、レンチキュラーレンズ5の観察者側に第1の偏光板35が位置している。換言すれば、液晶パネル7と第1の偏光板35との間にレンチキュラーレンズ5が配置されている。つまり、従来の液晶装置とは異なり、液晶パネル7とレンチキュラーレンズ5との間に、第1の偏光板35は配置されていない。なお、レンチキュラーレンズ5は、樹脂層にレンズ形状を転写した構造のものや、ガラス基板の表面に形成された樹脂層にレンズ形状を転写した構造のものを用いることができる。
【0056】
第1の偏光板35は、レンチキュラーレンズ5と間隔を持って配置されている支持基板13上に貼付されている。つまり、第1の偏光板35は、該レンチキュラーレンズと観察者60との間に配置されている。したがって、レンチキュラーレンズ5と第1の偏光板35との間は、空間となっている。なお、第2の偏光板36は、従来の液晶装置と同様に液晶パネル7のバックライトユニット90側の面に直接的に貼付されている。
【0057】
図4に示すように、液晶パネル7内の表示領域75には、左画素Lと右画素Rとが(X方向に)交互に配置されている。そして、表示領域75と隣り合う非表示領域79の外周部にはシール材19が形成され、液晶層12(図3参照)を封止している。
【0058】
レンチキュラーレンズ5は、液晶パネル7の、観察者60が位置する側の略全域に、レンズ接着層81により貼付されている。そしてレンチキュラーレンズ5の、(液晶パネル7の)表示領域75と平面視で重なる領域には、レンチキュラーレンズ5を構成する円柱レンズ50がX方向に配列されている。なお、円柱レンズ50はレンチキュラーレンズ5のY方向の全域に延伸している。
【0059】
レンチキュラーレンズ5の、液晶パネル7とは反対側の面のうち、(液晶パネル7の)非表示領域79と平面視で重なる領域は平坦部51となっている。該平坦部には、円柱レンズ50の延伸方向と平行に、スペーサ4が配置されている。そして、スペーサ4を介して、支持基板13が配置されている。スペーサ4とレンチキュラーレンズ5とは下接着層83で接合され、スペーサ4と支持基板13とは上接着層82で接合されている。そして、支持基板13の観察者60側の面には、第1の偏光板35が貼付されている。本実施形態の液晶装置は、かかる構成により、液晶パネル7にレンチキュラーレンズ5を直接的に貼付しつつ、液晶層12(図3参照)を2枚の偏光板で挟持すると言う構成を得ている。なお、第1の偏光板35は、少なくとも表示領域75の全域と、平面視で重なるように形成されている。
【0060】
スペーサ4の材質としては、アクリルやポリカーボネート等の樹脂が好ましい。そして、かかる樹脂を黒色に着色して用いることが好ましい。黒色に着色することで、液晶パネル7内へ迷光が進入して表示画像のコントラストを低下させることを抑制でき、表示品質を向上できる。なお、スペーサ4の高さ(Z方向の寸法)は、円柱レンズ50の表面が支持基板13に触れないように設定され例えば略0.2mmとする。
【0061】
(本実施形態の効果)
本実施形態の液晶装置は、従来の液晶装置と構成要素自体は変化させず、該構成要素の配置位置を変化させることにより、画素とレンチキュラーレンズ5の節点との間の距離である「T」(図4参照)を短縮している。すなわち、第1の偏光板35を、レンチキュラーレンズ5と液晶パネル7との間に配置せずに、レンチキュラーレンズ5と観察者60との間に配置することにより上記「T」を第1の偏光板35の厚さである0.15mm分短縮している。
【0062】
ここで、観察者60の左右の眼の間隔「d」は変らない。また、左画素Lの中心と右画素Rの中心との距離である画素ピッチ「p」も一定である。したがって、上述の式の変形、すなわち
D=T×p/d・・・・・・・・・・・(3)
に従い、Dを短縮できる。つまり、視距離Dを短縮することを可能にしている。
【0063】
また、上述したように、円柱レンズ50のレンズ作用を発現させるためには、円柱レンズ50の凸面側に、円柱レンズ50を構成する材料よりも屈折率が低い材料で満たされた領域が必要になる。本実施形態の液晶装置は、第1の偏光板35をレンチキュラーレンズ5上に貼付するのではなく、スペーサ4によりレンチキュラーレンズ5から所定の間隔を持って固定されている支持基板13に貼付することで、レンチキュラーレンズ5と第1の偏光板35との間に空間を形成し、上述のレンズ作用の発現を確実にさせている。
【0064】
図6は、第1の実施形態にかかる液晶装置の第1の変形例としての液晶装置を示す図である。本変形例にかかる液晶装置は、第1の偏光板35を偏光フィルム37と位相差フィルム38との積層体で構成している。液晶パネル7と観察者60(図4参照)との間に位相差フィルム38を配置することで色補償等の光学補償が可能となり、例えば斜め方向に観察者60が位置する場合における表示品質を向上できる。
なお、上記以外の構成については第1の実施形態の液晶装置と共通であるので、説明の記載は省略する。
【0065】
図7は、第1の実施形態にかかる液晶装置の第2の変形例としての液晶装置を示す図である。本変形例にかかる液晶装置は、支持基板13の観察者60(図4参照)に対向している面とは反対側の面(すなわちレンチキュラーレンズ5に対向する面)に第1の偏光板35を配置している。第1の偏光板35が観察者60側に露出していないので、耐擦性等に優れた液晶装置を構成できる。また、支持基板13の観察者60(図4参照)に対向している面に反射防止フィルム39を貼付しているため、明所での表示品質を向上できる。
なお、第1の偏光板35が偏光フィルム37と位相差フィルム38との積層体であることは上記第1の変形例と共通している。その他の構成については第1の実施形態の液晶装置と共通であるので、説明の記載は省略する。
【0066】
(第2の実施形態)
図8に、第2の実施形態の液晶装置の構成の概略を示す。図5と同様に、各構成要素の配置の態様を模式的に示す斜視図である。本実施形態の液晶装置は、スペーサ4の形状を除き、上述の第1の実施形態の液晶装置と基本的に同様の構成を有している。液晶パネル7の内部の構成も同一である。そのため、共通する構成要素には同一の符号を付与し、説明の記載は省略している。
【0067】
本実施形態の液晶装置は、スペーサ4の形状が、枠状であるところに特徴がある。すなわち、第1の実施形態の液晶装置のようにレンチキュラーレンズ5の対向する2辺に配置されるのではなく、4辺全てに配置されている。そして(4辺の)角部も接合されているため、平面視で枠状となっている。かかる構成により、支持基板13の4辺全てを保持可能であり、該支持基板に変形等が発生することを抑制できる。また、レンチキュラーレンズ5上に埃等が付着することを抑制できる。したがって、本実施形態の液晶装置は、表示品質及び信頼性が向上している。
【0068】
スペーサ4が枠状であるため、レンチキュラーレンズ5は、外縁部の4辺全てに平坦部51を有している。かかる構成は、Y方向に延伸された円柱レンズ50の端部を研削して得ている。あるいは、円柱レンズ50を成型する際に、同時に平坦部51を形成してもよい。
【0069】
また、スペーサ4には切り欠き85が形成されており、枠の内側と外側の間で大気の流動が可能となっている。それにより、スペーサ4とレンチキュラーレンズ5と支持基板13とで形成される空間が密閉空間となることを回避して、結露の発生や、高所での使用時における圧力のアンバランスによる支持基板13の変形等を回避できる。
【0070】
なお、切り欠き85の個数は1つとは限らず、複数個形成してもよい。また、切り欠き85の形成位置は支持基板13とスペーサ4との界面に限定されるものではない。スペーサ4とレンチキュラーレンズ5との界面に形成してもよく、また、スペーサ4の厚さ方向(Z方向の)の中間に形成してもよい。
【0071】
(第3の実施形態)
図9に、第3の実施形態の液晶装置の構成の概略を示す。図4と同様に、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図である。本実施形態の液晶装置は、レンチキュラーレンズ5の形状を除き、上述の第1の実施形態の液晶装置と基本的に同様の構成を有している。液晶パネル7の内部の構成も同一である。そのため、共通する構成要素には同一の符号を付与し、説明の記載は省略している。
【0072】
本実施形態の液晶装置はスペーサ4がレンチキュラーレンズ5と一体化している所に特徴がある。かかる構成は、レンチキュラーレンズ5を成型する際に、スペーサ4も一括して作り込むことで得ることができる。2つの構成要素を一体化したことによりスペーサ4とレンチキュラーレンズ5とを接合する工程を削減でき、液晶装置の製造コストを抑制できる。
【0073】
なお、スペーサ4は、図5(第1の実施形態)に示すよう2辺に形成してもよく、図8(第2の実施形態)に示すよう4辺に形成してもよい。また、第1の偏光板35を観察者60(図4参照)側の面に配置しているが、反対側の面に配置してもよい。さらに、反射防止フィルム39(図7参照)を観察者60側の面に貼付してもよい。
【0074】
(第4の実施形態)
図10に、第4の実施形態の液晶装置の構成の概略を示す。図4と同様に、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図である。本実施形態の液晶装置は、支持基板13の形状を除き、上述の第1の実施形態の液晶装置と基本的に同様の構成を有している。液晶パネル7の内部の構成も同一である。そのため、共通する構成要素には同一の符号を付与し、説明の記載は省略している。
【0075】
本実施形態の液晶装置はスペーサ4が支持基板13と一体化している所に特徴がある。かかる構成は、支持基板13を成型する際に、スペーサ4の形成位置以外の領域を、エッチング等により薄板化することによって得ることができる。2つの構成要素を一体化したことによりスペーサ4と支持基板13とを接合する工程を削減でき、液晶装置の製造コストを抑制できる。
なお、スペーサ4は、図5(第1の実施形態)に示すよう2辺に形成してもよく、図8(第2の実施形態)に示すよう4辺に形成してもよい。また、第1の偏光板35を観察者60(図4参照)側の面に配置してもよい。
【0076】
本発明の実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0077】
(変形例1)
上記第1〜4の実施形態においては立体表示装置を例に説明したが、本発明は、X方向(図2等参照)に並ぶ複数の観察者に対して夫々異なる画像を表示する、(4視点、8視点等の)多視点表示装置にも適用できる。自動車の運転席と助手席とに異なる画像を表示するような2画面(2視点)表示装置の場合は視距離を短縮する必要があり、第1の偏光板35をレンチキュラーレンズ5と観察者60との間に配置することの効果を生かすことができる。
【0078】
(変形例2)
上記第1〜4の実施形態においては表示領域75の周囲のみにスペーサ4を配置したが、表示領域75内にもスペーサ4を配置する態様も可能である。表示領域75の面積が広い場合、スペーサ4を表示領域75にも配置することにより支持基板13の撓み等を抑制できる。かかる場合、スペーサ4は平面視形状が小さいものを表示領域75内に分散するように配置することが好ましい。また、スペーサ4を、ブラックマトリクス16と平面視で重なるように配置してもよい。かかる構成により表示品質を低下させることなく支持基板13を表示領域75内においても保持できる。
【0079】
(変形例3)
上記第1〜4の実施形態においてはレンチキュラーレンズ5と支持基板13との間を大気で満たしていたが、大気に代えて低屈折率の液体等を充填することもできる。かかる場合、レンチキュラーレンズ5を屈折率の高い材料で形成することで、上述の大気に代わる充填物質との屈折率の差を大きくして、レンズ作用の発現を確保できる。
【0080】
(変形例4)
上記第1〜4の実施形態においては、電気光学パネルとして液晶パネル7を用いる透過型の多視点表示装置を例に説明した。しかし、本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルのような自発光型の電気光学パネルを用いる多視点表示装置においても適用できる。有機ELパネルを用いる表示装置においては、外光反射を防ぐために、該パネルと観察者との間に偏光板(直線偏光板)と1/4波長板とを積層した円偏光板を配置することが好ましい。かかる場合において、スペーサ4及び支持基板13を用いてレンチキュラーレンズ5と観察者との間に上記円偏光板を配置することにより、視距離を変化させることなく反射防止機能を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】液晶パネルの回路構成を模式的に示す図。
【図2】液晶装置の表示領域における画素及び円柱レンズの配置の態様を模式的に示す図。
【図3】液晶パネルの断面をバックライトユニット等と共に模式的に示す図。
【図4】第1の実施形態の液晶装置の、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図。
【図5】第1の実施形態各構成要素の配置の態様を模式的に示す斜視図。
【図6】第1の実施形態にかかる液晶装置の第1の変形例を示す図。
【図7】第1の実施形態にかかる液晶装置の第2の変形例を示す図。
【図8】第2の実施形態の液晶装置の、各構成要素の配置の態様を模式的に示す斜視図。
【図9】第3の実施形態の液晶装置の、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図。
【図10】第4の実施形態の液晶装置の、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図。
【図11】従来の液晶装置の構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図。
【図12】レンチキュラーレンズを示す図。
【符号の説明】
【0082】
4…スペーサ、5…レンチキュラーレンズ、7…電気光学パネルとしての液晶パネル、10…透光性基板としての素子基板、11…透光性基板としての対向基板、12…液晶層、13…支持基板、15…カラーフィルタ、16…ブラックマトリクス、19…シール材、21…画素電極、22…対向電極、23…層間絶縁膜、25…コンタクトホール、31…第1の配向膜、32…第2の配向膜、34…オーバーコート、35…第1の偏光板、36…第2の偏光板、37…偏光フィルム、38…位相差フィルム、39…反射防止フィルム、40…スイッチング素子としてのTFT、41…ゲート電極、42…ゲート絶縁膜、43…半導体層、45…ソース電極、46…ドレイン電極、50…円柱レンズ、51…平坦部、60…観察者、65…左眼、66…右眼、72…走査線駆動回路、73…データ線駆動回路、75…表示領域、76…走査線、77…データ線、79…非表示領域、81…レンズ接着層、82…上接着層、83…下接着層、85…切り欠き、90…光源としてのバックライトユニット、91…反射板、92…導光板、93…蛍光管、L…左画素、R…右画素。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置としての液晶装置には、レンチキュラーレンズを用いることにより第1の画素が構成する第1の画像と第2の画素が構成する第2の画像とを左右方向に異なる方向に射出することにより、立体表示を可能とした立体表示装置がある(例えば特許文献1)。かかる表示装置を、以下、液晶装置と称する。図11は、図12に示すレンチキュラーレンズ5を用いて立体表示を可能とした、従来の透過型の液晶装置の模式断面図である。なお、個々の構成要素については、実施形態において後述する。
【0003】
液晶パネル7は、後述するように、一対の透光性基板としての素子基板と対向基板と、該一対の基板間に封入された液晶層等からなる。上述の画素は、液晶パネルの表示領域を規則的に区画して形成された領域であり、色彩及び強度等が均一の光を射出可能な最小の領域である。
【0004】
そして液晶装置は、液晶パネル7の観察者60側に順に配置された第1の偏光板35とレンチキュラーレンズ5、及び観察者側の反対側に順に配置された第2の偏光板36と光源としてのバックライトユニット90等からなっている。レンチキュラーレンズ5は、図12に示すように、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズ50を並列配置したものであり、両サイドは平坦部51となっている。
【0005】
液晶パネル7内には、図示するように、第1の画素である左画素L及び第2の画素である右画素Rとが交互に配置されている。そして、一組の左画素L及び右画素Rに対して1つの円柱レンズ50が対向するように、上記レンチキュラーレンズ5が形成されている。左画素L及び右画素Rはシャッター機能を有し、バックライトユニット90から照射される光の透過量を連続的に変化させることができる。なお、円柱レンズ50は、図示する断面形状を保ったまま紙面に対して垂直の方向に延伸している。また、左画素L及び右画素Rも上記方向に連続するように配置されている。
【0006】
バックライトユニット90は液晶パネル7全体(全面)に対して略均一の光を照射しており、照射された光は、画素毎に個別に着色され、かつ個別の透過量となってレンチキュラーレンズ5に到達する。そして、円柱レンズ50の働きにより左画素Lを透過した光は観察者60の左眼65のみに到達し、右画素Rを透過した光は観察者60の右眼66のみに到達する。左右の眼に互いに異なる画像が到達することで立体画像として認識される。
かかる構成の立体ディスプレイは、パララックスバリア等を用いて、光源から照射される光の一部を遮蔽する方式に比べて、上述のバックライトユニット90から照射される光を有効に利用できるという利点がある。
【0007】
【特許文献1】特開2006−516753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし一方で、かかる構成の立体ディスプレイは、観察者60との間の距離により、構成部材の厚さが制限されるという問題がある。図示するように、
p=左画素Lの中心と右画素Rの中心との距離である画素ピッチ、
T=画素とレンチキュラーレンズの節点との間の距離、
D=レンチキュラーレンズの節点と観察者の眼の距離、
d=観察者の左右の眼の間隔、
とすると、
T:D=p:d・・・・・・・・・・・・・(1)
より、
T=D×p/d・・・・・・・・・・・・・(2)
となる。
【0009】
一般的な画素ピッチ0.042mmの4インチのVGAパネルをD=650mmの距離から見たときに立体画像を認識するためには、T=0.42mmが必要となる。なお、上述のTは大気中の光学距離である。
ここで液晶装置の構成要素の厚さを考えると、
対向基板11=0.2mm
第1の偏光板35=0.15mm
レンチキュラーレンズ(節点までの厚さ)=0.15mm
とした時に、上述の三つの構成要素の平均の屈折率を略1.5とすると、合計の厚さを大気中の光学距離に換算するとおおよそ0.33mmとなり、上述のT=0.42mmよりも短い。したがって、立体視に必要な光学設計が成り立つ。しかし、液晶装置と観察者60との間が450mmとなった場合、T=0.29mmとなる。ガラス製である対向基板の厚さは強度上の問題から0.2mmよりも薄くすることは困難であるため、上記の距離(450mm)では、立体視に必要な光学設計が成り立たないこととなる。したがって、偏光板をレンチキュラーレンズの外(観察者側)へ配置して、レンチキュラーレンズと液晶パネルの画素を近づける構成とする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0011】
[適用例1]
多視点画像を表示する電気光学装置であって、上記電気光学装置は、電気光学パネルと、該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、上記電気光学パネルと上記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、を備え、上記第1の偏光板と上記レンチキュラーレンズとの間には、上記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【0012】
このような構成によれば、上記電気光学パネルと上記レンチキュラーレンズとの間を短縮できる。また、上記レンチキュラーレンズと上記偏光板との間に所定の間隔を設けたため、上記偏光板を観察者側に配置した態様で、レンチキュラーレンズの作用を発現させることができる。したがって、多視点画像を表示する電気光学装置において、視距離(電気光学装置と観察者との間の距離)を短縮できる。ここで、「多視点画像を表示する」とは、少なくとも2つの異なる方向に画像を表示することをいい、当該2視点の他、4視点、8視点、16視点…等の表示を含む。
【0013】
[適用例2]
多視点画像を表示する電気光学装置であって、光源と、上記光源から照射される光の透過量を調整することにより画像を形成する電気光学パネルと、該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、上記電気光学パネルと上記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、上記光源と上記電気光学パネルとの間に配置されている第2の偏光板と、を備える電気光学装置であって、上記第1の偏光板は上記レンチキュラーレンズに対して所定の距離をおいて配置されており、上記第1の偏光板と上記レンチキュラーレンズとの間には、上記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【0014】
このような構成によれば、上記電気光学パネルと上記レンチキュラーレンズとの間を短縮できる。また、上記レンチキュラーレンズと上記偏光板との間に所定の間隔を設けたため、上記偏光板を観察者側に配置した態様で、レンチキュラーレンズの作用を発現させることができる。したがって、光源から照射される光を用いて多視点画像を透過表示することが可能な電気光学装置において、視距離を短縮できる。
【0015】
[適用例3]
多視点画像を表示する電気光学装置であって、光源と、上記光源から照射される光の透過量を調整することにより第1の画像を形成する第1の画素と上記光源から照射される光の透過量を調整することにより第2の画像を形成する第2の画素とが表示領域に配置されている電気光学パネルと、該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、上記電気光学パネルと上記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、上記光源と上記電気光学パネルとの間に配置されている第2の偏光板と、を備える電気光学装置であって、上記第1の偏光板は上記レンチキュラーレンズに対して所定の距離をおいて配置されており、上記第1の偏光板と上記レンチキュラーレンズとの間には、上記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【0016】
このような構成によれば、上記電気光学パネルと上記レンチキュラーレンズとの間を短縮できる。また、上記レンチキュラーレンズと上記偏光板との間に所定の間隔を設けたため、上記偏光板を観察者側に配置した態様で、レンチキュラーレンズの作用を発現させることができる。したがって、光源から照射される光を用いて、上記第1の画像と上記第2の画像とによる2視点画像、特に立体画像を透過表示することが可能な電気光学装置において、視距離を短縮できる。
【0017】
[適用例4]
上述の電気光学装置であって、上記電気光学パネルは、一対の透光性基板間に挟持した液晶層に、上記画素毎に電圧を印加することにより、上記光源から照射される光の透過量を調整する液晶パネルであることを特徴とする電気光学装置。
【0018】
液晶パネルは上記透過量の制御性が高いため、このような構成であれば、表示品質が向上した電気光学装置を得ることができる。
【0019】
[適用例5]
上述の電気光学装置であって、上記物質は大気であり、上記第1の偏光板は、上記レンチキュラーレンズの上記電気光学パネルとは反対側の面上の外周部に形成されている平坦部にスペーサで固定される支持基板の表面に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【0020】
このような構成によれば、上記レンチキュラーレンズ上に透光性を有する層を別途形成することなく、上記第1の偏光板と上記レンチキュラーレンズとを、上記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率の低い物質を介して配置できる。したがって、製造コスト等の増加を抑制しつつ上述の視距離を短縮できる。
【0021】
[適用例6]
上述の電気光学装置であって、上記偏光板は、偏光フィルムと位相差フィルムとの積層体であることを特徴とする電気光学装置。
【0022】
このような構成であれば、上記液晶層の複屈折性等に起因する着色等を抑制でき、上記電気光学装置を斜め方向から見る際の表示品質を向上できる。
【0023】
[適用例7]
上述の電気光学装置であって、上記レンチキュラーレンズは平面視略方形であり、上記スペーサは上記レンチキュラーレンズの上記長手方向に平行な2辺に沿って配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【0024】
このような構成であれば、上記レンチキュラーレンズの四方を研削することなしに上記スペーサを上記レンチキュラーレンズ上に配置できるため、電気光学装置を低コストで得ることができる。
【0025】
[適用例8]
上述の電気光学装置であって、上記レンチキュラーレンズは平面視略方形であり、上記スペーサは上記レンチキュラーレンズの4辺に沿って配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【0026】
このような構成であれば、上記スペーサにより上記支持基板を確実に固定でき、上記電気光学装置の信頼性を向上できる。
【0027】
[適用例9]
上述の電気光学装置であって、上記第1の偏光板は、上記支持基板の上記レンチキュラーレンズと対向する側の面に配置されており、上記スペーサは平面視枠状であり、該枠の内側と外側とを導通する切り欠きが形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【0028】
このような構成であれば、上記スペーサと上記レンチキュラーレンズと上記支持基板とで囲まれる空間が密閉空間となることを回避できる。したがって、かかる空間における結露等の発生や圧力のアンバランスによる変形、破損を抑制でき、上記電気光学装置の信頼性を向上できる。
【0029】
[適用例10]
上述の電気光学装置であって、上記スペーサが、上記レンチキュラーレンズと一体的に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【0030】
このような構成であれば、上記スペーサと上記レンチキュラーレンズとを結合(接着)する工程を削減でき、電気光学装置を低コストで得ることができる。
【0031】
[適用例11]
上述の電気光学装置であって、上記スペーサが、上記支持基板と一体的に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【0032】
このような構成であれば、上記スペーサと上記支持基板とを結合(接着)する工程を削減でき、電気光学装置を低コストで得ることができる。
【0033】
[適用例12]
上述の電気光学装置であって、上記スペーサが黒色に着色されていることを特徴とする電気光学装置。
【0034】
このような構成であれば、上記スペーサを介して上記電気光学パネル内に迷光が進入することを抑制でき、上記電気光学装置の表示品質を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照し、本発明を具体化した電気光学装置としての立体表示型の液晶装置の実施形態について述べる。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、該各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0036】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態、及び後述する第2〜4の各実施形態にかかる液晶装置に共通する、液晶パネル7の回路構成を模式的に示す図である。規則的に配置された個々の画素を個別に制御して表示領域75に画像を形成するアクティブマトリクス型の液晶パネル7の回路図である。
【0037】
液晶パネルは、TFT(薄膜トランジスタ)40と画素電極21とを備える画素(R又はL)が規則的に配置されている表示領域75と、該領域と隣り合う周縁部領域に形成された駆動回路等からなる。表示領域75は平面視で実際に画像が形成される領域であり、走査線76とデータ線77とが格子状に形成されている。走査線76とデータ線77とで囲まれる方形の領域が、1つの画素が形成されている領域である。
【0038】
走査線駆動回路72は、図示しない外部回路から供給される駆動信号に基づいて形成した走査信号を、走査線76を介してTFT40に供給する。データ線駆動回路73は、図示しない外部回路から供給される駆動信号に基づいて形成した画像信号を、データ線77を介して画素電極21に供給する。画素電極21に供給された所定レベルの画像信号は、画素電極21と後述する対向電極22(図3参照)との間で一定時間保持される。そして、かかる時間中、該一対の電極間に挟持された液晶層12(図3参照)中の液晶分子の配向方向を一定に保ち、該液晶層の透光性を規定する。各々の画素に個別に画像信号が印加されて、画素毎に光の透過量が制御されることで、表示領域75に画像が形成される。
【0039】
図2は、第1の実施形態の液晶装置の、表示領域75(図1参照)における画素、及びレンチキュラーレンズ5を構成する円柱レンズ50(図12参照)の配置の態様を模式的に示す図である。なお本図は表示領域75の一部を示すものであり、実際の画素の数は、縦方向、横方向共に数百〜数千ある。
【0040】
画素は、左眼用の画像を形成する第1の画素としての左画素Lと、右眼用の画像を形成する第2の画素としての右画素Rと、がある。左眼用の画像が第1の画像であり、右眼用の画像が第2の画像である。該双方の画素に付記されている小文字のアルファベットは、各々の画素が射出する光の色を表わしている。
【0041】
各々の画素にはカラーフィルタ15(図3参照)が配置されており、後述する光源としてのバックライトユニット90から照射される白色光から三原色のいずれかの色の光を選択して射出できる。rは透過する白色光から赤色光を透過させる赤画素であることを示し、gは白色光から緑色光を透過させる緑画素であることを示し、bは白色光から青色光を透過させる青画素であることを示している。かかる計六種類の画素(Lr,Lg,Lb,Rr,Rg,Rb)の総称が画素である。
【0042】
同種の画素は、縦方向に一列に並ぶように配置されている。かかる方向がY方向である。そして、右画素Rと左画素Lとが、r,g,bを繰り返すように隣り合う方向がX方向である。そして、一列の右画素Rと一列の左画素Lとを跨ぐように円柱レンズ50が形成されており、双方の画素が形成する画像を異なる視点に導光している。
【0043】
図3は、液晶パネル7の表示領域75内における断面を、バックライトユニット90等と共に模式的に示す図である。液晶パネル7はバックライトユニット90からの光を変調して透過することにより、対向基板11側に光を射出させて表示を行う。したがって、液晶パネル7のうち対向基板11側が表示面側となる。液晶パネルは、TFT40等が形成された素子基板10と、カラーフィルタ15等が形成された対向基板11と、該双方の基板間に挟持されたTN(Twisted Nematic)モードの液晶層12等からなる。上記双方の基板は、図示しないシール材により所定の間隔を持って対向するように保持されている。素子基板10のTFT40が形成されている側の反対側の面には第2の偏光板36が貼付され、対向基板11のカラーフィルタ15が形成されている側の反対側の面には所定の間隔をもって第1の偏光板35が配置されている。かかる配置の態様については後述する。
【0044】
TFT40は、走査線76の一部を延伸して形成したゲート電極41と、ゲート絶縁膜42と、半導体層43と、データ線77の一部を分岐するように延長して形成したソース電極45と、ドレイン電極46と、からなる。ゲート絶縁膜42は酸化シリコンあるいは窒化シリコン等からなり、表示領域75全域に形成されている。
【0045】
TFT40の上には、TFT40と画素電極21とを絶縁する層間絶縁膜23が形成されている。層間絶縁膜23は、酸化シリコンあるいは窒化シリコン等の透光性絶縁材料からなる。そして、該層間絶縁膜の一部を選択的にエッチングして、画素電極21とドレイン電極46とを接続するコンタクトホール25が形成されている。
【0046】
画素電極21は島状にパターニングされたITO(酸化インジウム・すず合金)層からなる。ITOは透明導電材料であり、バックライトユニット90から照射される光の透過と液晶層12への電圧の印加を両立できる。素子基板10の層間絶縁膜23の上層(つまり液晶層12側)には、画素電極21を覆うように第2の配向膜32が形成されている。また、対向基板11の液晶層12側の面には、カラーフィルタ15(若しくはブラックマトリクス16)、オーバーコート層34、対向電極22、第1の配向膜31が順に積層されている。第1の配向膜31及び第2の配向膜32は、ポリイミド等の高分子材料からなる薄膜に配向処理を施した膜であり、液晶層12に含まれる液晶分子の配向方向を揃えることができる。
【0047】
バックライトユニット90は、蛍光管93から照射される光を導光板92及び反射板91により上記双方の基板の面に対して均一に照射できる。そして、かかる光を液晶層12及びカラーフィルタ15を透過させて液晶装置の外部ヘ射出できる。液晶装置は、液晶層12の配向状態を画素毎に変化させることにより、バックライトユニット90から照射される光の透過量を画素毎に変化させて画像を形成している。かかる透過量の変化は、TFT40のON状態及びOFF状態を切り替えて、画素電極21に印加する電圧を変化させることで行われている。
【0048】
対向電極22は、少なくとも表示領域75(図1参照)の全面に形成されたITOからなる薄膜であり、該領域において、液晶層12の対向基板側を同電位に保っている。したがって、TFT40を介して画素電極21に印加された電圧が、該画素電極が形成されている領域の液晶層に印加される電圧となる。
【0049】
カラーフィルタ15は、着色された樹脂等で形成された層である。上述したように、入射した光のうちの所定の範囲の波長の光を透過させ、それ以外の波長範囲の光を吸収することにより、バックライトユニット90が照射する白色光から有色光を取り出すことができる。ブラックマトリクス16は、黒色に着色され遮光性を付与された樹脂等からなり、表示領域75内に、個々のカラーフィルタ15を囲むように格子状に形成されている。走査線76、データ線77、及びTFT40は、平面視においてブラックマトリクス16と重なるように形成されている。該走査線等が形成されている領域は液晶層12に電圧を印加できない領域であり、かかる領域が透光性となる事をブラックマトリクス16により回避している。
【0050】
液晶装置における上述の透過量の変化は、以下のように行われる。
第1の配向膜31の配向方向は、第1の偏光板35の透過軸の方向と平行であり、第2の配向膜32の配向方向は、第2の偏光板36の透過軸の方向と平行である。したがって、液晶層12に電圧が印加されていない状態において、液晶層12に含まれる液晶分子の長軸は、液晶層12内で90度ねじれた状態となる。
【0051】
TFT40がOFF状態、すなわち液晶層12に電圧が印加されていない状態において、バックライトユニット90から照射された光は、第2の偏光板36の透過軸の方向に偏光する直線偏光として、第2の配向膜32を介して液晶層12に入射する。そして、液晶層12を透過する際に、偏光方向が90度ねじれて、第1の偏光板35に入射する。上述したように第1の偏光板35の透過軸の方向は、第2の偏光板36の透過軸の方向と直交している。したがって、かかる光は第1の偏光板35を透過して、図示しない観察者に向けて射出される。
【0052】
一方、TFT40がON状態、すなわち液晶層12に電圧が印加されている状態において、液晶層12に含まれる液晶分子の長軸は素子基板10等に対して垂直方向を向いている。したがって、第2の偏光板36を透過した直線偏光は偏光状態を維持したまま第1の偏光板35に入射する。上述したように第1の偏光板35の透過軸の方向は、第2の偏光板36の透過軸の方向と直交している。したがって、かかる光は第1の偏光板35内で吸収されて、外部すなわち観察者側に射出されることはない。
【0053】
かかる、OFF状態及びON状態は、画素電極21に印加される電圧量により段階的に制御される。したがって、バックライトユニット90から照射される光の透過量は、画素毎に段階的に制御される。このように、本実施形態の液晶パネル7はTNモードを採用しているが、これに限定する趣旨ではなく、VA(Vertical Alignment)IPS(In Plain Switching)、FFS(Fringe Field Switching)、STN(Super Twisted Nematic)等、種々のモードを採用することができる。
【0054】
図4及び図5は、本実施形態の液晶装置におけるレンチキュラーレンズ5及び第1の偏光板35等の各構成要素の配置の態様を模式的に示す図である。図4はXZ平面における断面図、図5は各構成要素を分離させて示す斜視図である。図4には、本実施形態の効果を示すために、観察者60の右眼66及び左眼65を図示している。なお、図5では、バックライトユニット90の図示を省略している。
【0055】
図示するように、本実施形態の液晶装置は、液晶パネル7の観察者側(バックライトユニット90が配置されていない方の側)の面にレンチキュラーレンズ5が貼付されており、レンチキュラーレンズ5の観察者側に第1の偏光板35が位置している。換言すれば、液晶パネル7と第1の偏光板35との間にレンチキュラーレンズ5が配置されている。つまり、従来の液晶装置とは異なり、液晶パネル7とレンチキュラーレンズ5との間に、第1の偏光板35は配置されていない。なお、レンチキュラーレンズ5は、樹脂層にレンズ形状を転写した構造のものや、ガラス基板の表面に形成された樹脂層にレンズ形状を転写した構造のものを用いることができる。
【0056】
第1の偏光板35は、レンチキュラーレンズ5と間隔を持って配置されている支持基板13上に貼付されている。つまり、第1の偏光板35は、該レンチキュラーレンズと観察者60との間に配置されている。したがって、レンチキュラーレンズ5と第1の偏光板35との間は、空間となっている。なお、第2の偏光板36は、従来の液晶装置と同様に液晶パネル7のバックライトユニット90側の面に直接的に貼付されている。
【0057】
図4に示すように、液晶パネル7内の表示領域75には、左画素Lと右画素Rとが(X方向に)交互に配置されている。そして、表示領域75と隣り合う非表示領域79の外周部にはシール材19が形成され、液晶層12(図3参照)を封止している。
【0058】
レンチキュラーレンズ5は、液晶パネル7の、観察者60が位置する側の略全域に、レンズ接着層81により貼付されている。そしてレンチキュラーレンズ5の、(液晶パネル7の)表示領域75と平面視で重なる領域には、レンチキュラーレンズ5を構成する円柱レンズ50がX方向に配列されている。なお、円柱レンズ50はレンチキュラーレンズ5のY方向の全域に延伸している。
【0059】
レンチキュラーレンズ5の、液晶パネル7とは反対側の面のうち、(液晶パネル7の)非表示領域79と平面視で重なる領域は平坦部51となっている。該平坦部には、円柱レンズ50の延伸方向と平行に、スペーサ4が配置されている。そして、スペーサ4を介して、支持基板13が配置されている。スペーサ4とレンチキュラーレンズ5とは下接着層83で接合され、スペーサ4と支持基板13とは上接着層82で接合されている。そして、支持基板13の観察者60側の面には、第1の偏光板35が貼付されている。本実施形態の液晶装置は、かかる構成により、液晶パネル7にレンチキュラーレンズ5を直接的に貼付しつつ、液晶層12(図3参照)を2枚の偏光板で挟持すると言う構成を得ている。なお、第1の偏光板35は、少なくとも表示領域75の全域と、平面視で重なるように形成されている。
【0060】
スペーサ4の材質としては、アクリルやポリカーボネート等の樹脂が好ましい。そして、かかる樹脂を黒色に着色して用いることが好ましい。黒色に着色することで、液晶パネル7内へ迷光が進入して表示画像のコントラストを低下させることを抑制でき、表示品質を向上できる。なお、スペーサ4の高さ(Z方向の寸法)は、円柱レンズ50の表面が支持基板13に触れないように設定され例えば略0.2mmとする。
【0061】
(本実施形態の効果)
本実施形態の液晶装置は、従来の液晶装置と構成要素自体は変化させず、該構成要素の配置位置を変化させることにより、画素とレンチキュラーレンズ5の節点との間の距離である「T」(図4参照)を短縮している。すなわち、第1の偏光板35を、レンチキュラーレンズ5と液晶パネル7との間に配置せずに、レンチキュラーレンズ5と観察者60との間に配置することにより上記「T」を第1の偏光板35の厚さである0.15mm分短縮している。
【0062】
ここで、観察者60の左右の眼の間隔「d」は変らない。また、左画素Lの中心と右画素Rの中心との距離である画素ピッチ「p」も一定である。したがって、上述の式の変形、すなわち
D=T×p/d・・・・・・・・・・・(3)
に従い、Dを短縮できる。つまり、視距離Dを短縮することを可能にしている。
【0063】
また、上述したように、円柱レンズ50のレンズ作用を発現させるためには、円柱レンズ50の凸面側に、円柱レンズ50を構成する材料よりも屈折率が低い材料で満たされた領域が必要になる。本実施形態の液晶装置は、第1の偏光板35をレンチキュラーレンズ5上に貼付するのではなく、スペーサ4によりレンチキュラーレンズ5から所定の間隔を持って固定されている支持基板13に貼付することで、レンチキュラーレンズ5と第1の偏光板35との間に空間を形成し、上述のレンズ作用の発現を確実にさせている。
【0064】
図6は、第1の実施形態にかかる液晶装置の第1の変形例としての液晶装置を示す図である。本変形例にかかる液晶装置は、第1の偏光板35を偏光フィルム37と位相差フィルム38との積層体で構成している。液晶パネル7と観察者60(図4参照)との間に位相差フィルム38を配置することで色補償等の光学補償が可能となり、例えば斜め方向に観察者60が位置する場合における表示品質を向上できる。
なお、上記以外の構成については第1の実施形態の液晶装置と共通であるので、説明の記載は省略する。
【0065】
図7は、第1の実施形態にかかる液晶装置の第2の変形例としての液晶装置を示す図である。本変形例にかかる液晶装置は、支持基板13の観察者60(図4参照)に対向している面とは反対側の面(すなわちレンチキュラーレンズ5に対向する面)に第1の偏光板35を配置している。第1の偏光板35が観察者60側に露出していないので、耐擦性等に優れた液晶装置を構成できる。また、支持基板13の観察者60(図4参照)に対向している面に反射防止フィルム39を貼付しているため、明所での表示品質を向上できる。
なお、第1の偏光板35が偏光フィルム37と位相差フィルム38との積層体であることは上記第1の変形例と共通している。その他の構成については第1の実施形態の液晶装置と共通であるので、説明の記載は省略する。
【0066】
(第2の実施形態)
図8に、第2の実施形態の液晶装置の構成の概略を示す。図5と同様に、各構成要素の配置の態様を模式的に示す斜視図である。本実施形態の液晶装置は、スペーサ4の形状を除き、上述の第1の実施形態の液晶装置と基本的に同様の構成を有している。液晶パネル7の内部の構成も同一である。そのため、共通する構成要素には同一の符号を付与し、説明の記載は省略している。
【0067】
本実施形態の液晶装置は、スペーサ4の形状が、枠状であるところに特徴がある。すなわち、第1の実施形態の液晶装置のようにレンチキュラーレンズ5の対向する2辺に配置されるのではなく、4辺全てに配置されている。そして(4辺の)角部も接合されているため、平面視で枠状となっている。かかる構成により、支持基板13の4辺全てを保持可能であり、該支持基板に変形等が発生することを抑制できる。また、レンチキュラーレンズ5上に埃等が付着することを抑制できる。したがって、本実施形態の液晶装置は、表示品質及び信頼性が向上している。
【0068】
スペーサ4が枠状であるため、レンチキュラーレンズ5は、外縁部の4辺全てに平坦部51を有している。かかる構成は、Y方向に延伸された円柱レンズ50の端部を研削して得ている。あるいは、円柱レンズ50を成型する際に、同時に平坦部51を形成してもよい。
【0069】
また、スペーサ4には切り欠き85が形成されており、枠の内側と外側の間で大気の流動が可能となっている。それにより、スペーサ4とレンチキュラーレンズ5と支持基板13とで形成される空間が密閉空間となることを回避して、結露の発生や、高所での使用時における圧力のアンバランスによる支持基板13の変形等を回避できる。
【0070】
なお、切り欠き85の個数は1つとは限らず、複数個形成してもよい。また、切り欠き85の形成位置は支持基板13とスペーサ4との界面に限定されるものではない。スペーサ4とレンチキュラーレンズ5との界面に形成してもよく、また、スペーサ4の厚さ方向(Z方向の)の中間に形成してもよい。
【0071】
(第3の実施形態)
図9に、第3の実施形態の液晶装置の構成の概略を示す。図4と同様に、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図である。本実施形態の液晶装置は、レンチキュラーレンズ5の形状を除き、上述の第1の実施形態の液晶装置と基本的に同様の構成を有している。液晶パネル7の内部の構成も同一である。そのため、共通する構成要素には同一の符号を付与し、説明の記載は省略している。
【0072】
本実施形態の液晶装置はスペーサ4がレンチキュラーレンズ5と一体化している所に特徴がある。かかる構成は、レンチキュラーレンズ5を成型する際に、スペーサ4も一括して作り込むことで得ることができる。2つの構成要素を一体化したことによりスペーサ4とレンチキュラーレンズ5とを接合する工程を削減でき、液晶装置の製造コストを抑制できる。
【0073】
なお、スペーサ4は、図5(第1の実施形態)に示すよう2辺に形成してもよく、図8(第2の実施形態)に示すよう4辺に形成してもよい。また、第1の偏光板35を観察者60(図4参照)側の面に配置しているが、反対側の面に配置してもよい。さらに、反射防止フィルム39(図7参照)を観察者60側の面に貼付してもよい。
【0074】
(第4の実施形態)
図10に、第4の実施形態の液晶装置の構成の概略を示す。図4と同様に、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図である。本実施形態の液晶装置は、支持基板13の形状を除き、上述の第1の実施形態の液晶装置と基本的に同様の構成を有している。液晶パネル7の内部の構成も同一である。そのため、共通する構成要素には同一の符号を付与し、説明の記載は省略している。
【0075】
本実施形態の液晶装置はスペーサ4が支持基板13と一体化している所に特徴がある。かかる構成は、支持基板13を成型する際に、スペーサ4の形成位置以外の領域を、エッチング等により薄板化することによって得ることができる。2つの構成要素を一体化したことによりスペーサ4と支持基板13とを接合する工程を削減でき、液晶装置の製造コストを抑制できる。
なお、スペーサ4は、図5(第1の実施形態)に示すよう2辺に形成してもよく、図8(第2の実施形態)に示すよう4辺に形成してもよい。また、第1の偏光板35を観察者60(図4参照)側の面に配置してもよい。
【0076】
本発明の実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0077】
(変形例1)
上記第1〜4の実施形態においては立体表示装置を例に説明したが、本発明は、X方向(図2等参照)に並ぶ複数の観察者に対して夫々異なる画像を表示する、(4視点、8視点等の)多視点表示装置にも適用できる。自動車の運転席と助手席とに異なる画像を表示するような2画面(2視点)表示装置の場合は視距離を短縮する必要があり、第1の偏光板35をレンチキュラーレンズ5と観察者60との間に配置することの効果を生かすことができる。
【0078】
(変形例2)
上記第1〜4の実施形態においては表示領域75の周囲のみにスペーサ4を配置したが、表示領域75内にもスペーサ4を配置する態様も可能である。表示領域75の面積が広い場合、スペーサ4を表示領域75にも配置することにより支持基板13の撓み等を抑制できる。かかる場合、スペーサ4は平面視形状が小さいものを表示領域75内に分散するように配置することが好ましい。また、スペーサ4を、ブラックマトリクス16と平面視で重なるように配置してもよい。かかる構成により表示品質を低下させることなく支持基板13を表示領域75内においても保持できる。
【0079】
(変形例3)
上記第1〜4の実施形態においてはレンチキュラーレンズ5と支持基板13との間を大気で満たしていたが、大気に代えて低屈折率の液体等を充填することもできる。かかる場合、レンチキュラーレンズ5を屈折率の高い材料で形成することで、上述の大気に代わる充填物質との屈折率の差を大きくして、レンズ作用の発現を確保できる。
【0080】
(変形例4)
上記第1〜4の実施形態においては、電気光学パネルとして液晶パネル7を用いる透過型の多視点表示装置を例に説明した。しかし、本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルのような自発光型の電気光学パネルを用いる多視点表示装置においても適用できる。有機ELパネルを用いる表示装置においては、外光反射を防ぐために、該パネルと観察者との間に偏光板(直線偏光板)と1/4波長板とを積層した円偏光板を配置することが好ましい。かかる場合において、スペーサ4及び支持基板13を用いてレンチキュラーレンズ5と観察者との間に上記円偏光板を配置することにより、視距離を変化させることなく反射防止機能を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】液晶パネルの回路構成を模式的に示す図。
【図2】液晶装置の表示領域における画素及び円柱レンズの配置の態様を模式的に示す図。
【図3】液晶パネルの断面をバックライトユニット等と共に模式的に示す図。
【図4】第1の実施形態の液晶装置の、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図。
【図5】第1の実施形態各構成要素の配置の態様を模式的に示す斜視図。
【図6】第1の実施形態にかかる液晶装置の第1の変形例を示す図。
【図7】第1の実施形態にかかる液晶装置の第2の変形例を示す図。
【図8】第2の実施形態の液晶装置の、各構成要素の配置の態様を模式的に示す斜視図。
【図9】第3の実施形態の液晶装置の、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図。
【図10】第4の実施形態の液晶装置の、各構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図。
【図11】従来の液晶装置の構成要素の配置の態様を模式的に示す断面図。
【図12】レンチキュラーレンズを示す図。
【符号の説明】
【0082】
4…スペーサ、5…レンチキュラーレンズ、7…電気光学パネルとしての液晶パネル、10…透光性基板としての素子基板、11…透光性基板としての対向基板、12…液晶層、13…支持基板、15…カラーフィルタ、16…ブラックマトリクス、19…シール材、21…画素電極、22…対向電極、23…層間絶縁膜、25…コンタクトホール、31…第1の配向膜、32…第2の配向膜、34…オーバーコート、35…第1の偏光板、36…第2の偏光板、37…偏光フィルム、38…位相差フィルム、39…反射防止フィルム、40…スイッチング素子としてのTFT、41…ゲート電極、42…ゲート絶縁膜、43…半導体層、45…ソース電極、46…ドレイン電極、50…円柱レンズ、51…平坦部、60…観察者、65…左眼、66…右眼、72…走査線駆動回路、73…データ線駆動回路、75…表示領域、76…走査線、77…データ線、79…非表示領域、81…レンズ接着層、82…上接着層、83…下接着層、85…切り欠き、90…光源としてのバックライトユニット、91…反射板、92…導光板、93…蛍光管、L…左画素、R…右画素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多視点画像を表示する電気光学装置であって、
前記電気光学装置は、
電気光学パネルと、
該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、
前記電気光学パネルと前記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、
を備え、
前記第1の偏光板と前記レンチキュラーレンズとの間には、前記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
多視点画像を表示する電気光学装置であって、
光源と、
前記光源から照射される光の透過量を調整することにより画像を形成する電気光学パネルと、
該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、
前記電気光学パネルと前記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、
前記光源と前記電気光学パネルとの間に配置されている第2の偏光板と、
を備える電気光学装置であって、
前記第1の偏光板は前記レンチキュラーレンズに対して所定の距離をおいて配置されており、
前記第1の偏光板と前記レンチキュラーレンズとの間には、前記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
多視点画像を表示する電気光学装置であって、
光源と、
前記光源から照射される光の透過量を調整することにより第1の画像を形成する第1の画素と前記光源から照射される光の透過量を調整することにより第2の画像を形成する第2の画素とが表示領域に配置されている電気光学パネルと、
該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、
前記電気光学パネルと前記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、
前記光源と前記電気光学パネルとの間に配置されている第2の偏光板と、
を備える電気光学装置であって、
前記第1の偏光板は前記レンチキュラーレンズに対して所定の距離をおいて配置されており、
前記第1の偏光板と前記レンチキュラーレンズとの間には、前記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電気光学装置であって、
前記電気光学パネルは、一対の透光性基板間に挟持した液晶層に、前記画素毎に電圧を印加することにより、前記光源から照射される光の透過量を調整する液晶パネルであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記物質は大気であり、
前記第1の偏光板は、前記レンチキュラーレンズの前記電気光学パネルとは反対側の面上の外周部に形成されている平坦部にスペーサで固定される支持基板の表面に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記偏光板は、偏光フィルムと位相差フィルムとの積層体であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の電気光学装置であって、
前記レンチキュラーレンズは平面視略方形であり、前記スペーサは前記レンチキュラーレンズの前記長手方向に平行な2辺に沿って配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の電気光学装置であって、
前記レンチキュラーレンズは平面視略方形であり、前記スペーサは前記レンチキュラーレンズの4辺に沿って配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電気光学装置であって、
前記第1の偏光板は、前記支持基板の前記レンチキュラーレンズと対向する側の面に配置されており、
前記スペーサは平面視枠状であり、該枠の内側と外側とを導通する切り欠きが形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記スペーサが、前記レンチキュラーレンズと一体的に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記スペーサが、前記支持基板と一体的に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記スペーサが黒色に着色されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項1】
多視点画像を表示する電気光学装置であって、
前記電気光学装置は、
電気光学パネルと、
該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、
前記電気光学パネルと前記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、
を備え、
前記第1の偏光板と前記レンチキュラーレンズとの間には、前記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
多視点画像を表示する電気光学装置であって、
光源と、
前記光源から照射される光の透過量を調整することにより画像を形成する電気光学パネルと、
該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、
前記電気光学パネルと前記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、
前記光源と前記電気光学パネルとの間に配置されている第2の偏光板と、
を備える電気光学装置であって、
前記第1の偏光板は前記レンチキュラーレンズに対して所定の距離をおいて配置されており、
前記第1の偏光板と前記レンチキュラーレンズとの間には、前記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
多視点画像を表示する電気光学装置であって、
光源と、
前記光源から照射される光の透過量を調整することにより第1の画像を形成する第1の画素と前記光源から照射される光の透過量を調整することにより第2の画像を形成する第2の画素とが表示領域に配置されている電気光学パネルと、
該電気光学パネルの表示面側に略平行に対向配置された第1の偏光板と、
前記電気光学パネルと前記第1の偏光板との間に配置された、長手方向に延伸させた複数の円柱レンズを並列配置して形成されたレンチキュラーレンズと、
前記光源と前記電気光学パネルとの間に配置されている第2の偏光板と、
を備える電気光学装置であって、
前記第1の偏光板は前記レンチキュラーレンズに対して所定の距離をおいて配置されており、
前記第1の偏光板と前記レンチキュラーレンズとの間には、前記レンチキュラーレンズの構成材料よりも屈折率が低い物質が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電気光学装置であって、
前記電気光学パネルは、一対の透光性基板間に挟持した液晶層に、前記画素毎に電圧を印加することにより、前記光源から照射される光の透過量を調整する液晶パネルであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記物質は大気であり、
前記第1の偏光板は、前記レンチキュラーレンズの前記電気光学パネルとは反対側の面上の外周部に形成されている平坦部にスペーサで固定される支持基板の表面に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記偏光板は、偏光フィルムと位相差フィルムとの積層体であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の電気光学装置であって、
前記レンチキュラーレンズは平面視略方形であり、前記スペーサは前記レンチキュラーレンズの前記長手方向に平行な2辺に沿って配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の電気光学装置であって、
前記レンチキュラーレンズは平面視略方形であり、前記スペーサは前記レンチキュラーレンズの4辺に沿って配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電気光学装置であって、
前記第1の偏光板は、前記支持基板の前記レンチキュラーレンズと対向する側の面に配置されており、
前記スペーサは平面視枠状であり、該枠の内側と外側とを導通する切り欠きが形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記スペーサが、前記レンチキュラーレンズと一体的に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記スペーサが、前記支持基板と一体的に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記スペーサが黒色に着色されていることを特徴とする電気光学装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−157301(P2009−157301A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338585(P2007−338585)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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