電気光学装置
【課題】表示部と表示部に対向して配置された光学系とを有する電気光学装置において、光学系を介してユーザーによって視認される表示部の表示面の画質のむらを低減する
【解決手段】電気光学装置(10)は、画像データに基づいて画像を表示する表示部(12)と、前記表示部に対向して配置された光学系(14)と、入力された画像データを、前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて補正して、補正された画像データを前記表示部に出力する画像データ補正部(152)とを有する。
【解決手段】電気光学装置(10)は、画像データに基づいて画像を表示する表示部(12)と、前記表示部に対向して配置された光学系(14)と、入力された画像データを、前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて補正して、補正された画像データを前記表示部に出力する画像データ補正部(152)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーによって視認される電気光学装置における表示面内の画質のむらを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューターのディスプレイや、テレビモニターのディスプレイとして、液晶表示パネル(液晶パネルとも言う)が広く用いられている。液晶表示パネルは、見る方向(角度)によって見え方(コントラスト比や色)が異なることがある。液晶表示パネルを見る方向による見え方の差は、極力小さいことが望ましい。
【0003】
特許文献1には、液晶表示パネルを見る角度によって輝度や色度に変化が生じること(視野角特性ともいう)に起因する、液晶表示パネルの大型化にともない顕著となってきた一人の鑑賞者から見たときの画質の面内不均一性を補正するための技術が記載されている。具体的には、特許文献1には、液晶表示パネルと、映像信号を入力し、当該映像信号の映像の明暗に寄与する各画素データにおいて、同じ入力輝度レベルに対する出力輝度レベルを、液晶表示パネル内で基準画素からの距離が遠い画素ほど基準画素の出力輝度レベルに対して相対的に大きくなるように調整することによって、当該液晶表示パネルの視野角特性に起因して生じる面内輝度差を補正し、補正後の映像信号を液晶表示パネルに出力する輝度補正部と、を有する直視型液晶表示装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、液晶パネルの液晶層厚さムラに起因する輝度ムラを補正するための補正信号を生成する補正回路を設けることが記載されている。
【0005】
特許文献3には、バックライトの輝度むらに起因する表示画面の輝度むらを低減するべく、表示位置に応じて表示データのゲインを補正することが記載されている。
【0006】
近年、デジタルカメラやビデオカメラ等のファインダーに、撮像素子によって得られた画像情報を液晶パネル等の表示装置に表示させる電子ビューファインダー(electronic view finder:EVF)が広く採用されている。このようなEVFでは、表示装置に表示された画像は接眼レンズを含む光学系によって拡大され、ユーザーによって視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−5828号公報
【特許文献2】特開2000−56737号公報
【特許文献3】特開2007−65572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液晶パネルに表示された画像を光学系を介して見る場合、光学系の特性(例えば、倍率)に応じて、ユーザーによって視認される液晶パネルの表示面の画質のむらの特性が変化することがある。
そこで、本発明は、表示部と表示部に対向して配置された光学系とを有する電気光学装置において、光学系を介してユーザーによって視認される表示部の表示面の画質のむらを低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像データに基づいて画像を表示する表示部と、前記表示部に対向して配置された光学系と、入力された画像データを前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて補正して、補正された画像データを前記表示部に出力する画像データ補正部とを有する電気光学装置を提供する。
この電気光学装置によれば、表示部と表示部に対向して配置された光学系とを有する電気光学装置が、入力された画像データを表示部の特性及び光学系の特性に応じて補正して、補正された画像データを表示部に出力する画像データ補正部を有さない場合と比べて、光学系を介してユーザーによって視認される表示部の表示面の画質のむらが低減される。
【0010】
好ましい態様において、前記電気光学装置は、前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて前記表示部の表示面を複数の領域に分割するべくこれら複数の領域を定義する領域定義データと、前記表示部の各領域に対応付けられた変換データとを格納するデータ格納部を有し、前記画像データ補正部は、前記データ格納部に格納された前記領域定義データを参照して、前記表示部の各画素が属する領域を前記複数の領域から特定し、前記入力された画像データに含まれる当該画素の階調値を前記特定された領域に対応付けられた変換データに基づいて、補正された階調値に変換することで、前記入力された画像データの補正を行ってもよい。
この電気光学装置によれば、表示部の各画素毎に変換データを格納する場合と比べて、補正データ格納部に格納されるデータの量が低減される。
【0011】
別の好ましい態様において、前記変換データは、前記入力された画像データに含まれる階調値と、前記補正された画像データに含まれる階調値とを関連付ける変換テーブルを含んでもよい。
この電気光学装置によれば、変換データが、入力された画像データに含まれる階調値と、補正された画像データに含まれる階調値とを関連付ける変換テーブルを含まない場合に比べて、入力された画像データに含まれる階調値と補正された画像データに含まれる階調値の対応付けの自由度が大きい。
【0012】
さらに別の好ましい態様において、前記入力された画像データは、RGBの各色に対する画像データを含み、前記変換データは、前記RGBのうち、前記光学系を介してユーザーによって視認される前記表示部の輝度のむらに最も影響を与える色である、支配的な色に対する画像データに含まれる階調値を、補正された階調値に対応付ける変換テーブルを含み、前記画像データ補正部は、前記支配的な色に対する前記変換テーブルに基づいて、前記支配的な色に対する画像データの補正を行ってもよい。
この電気光学装置によれば、支配的な色以外の色に対しても画像データの補正を行う場合と比べて、画像データの補正に要する処理時間を短くすることができる。
【0013】
さらに別の好ましい態様において、前記光学系は、アタッチメントレンズを取り付け可能であり、前記データ格納部は、各々前記領域定義データ及び前記変換データを含む複数の補正データを格納し、当該電気光学装置は、前記光学系に取り付けられるアタッチメントレンズの特性に応じて、前記データ格納部に格納された複数の補正データの一つを選択して前記画像データ補正部に供給する補正データ選択部を有してもよい。
この電気光学装置によれば、補正データ格納部に複数の補正データを格納し、光学系に取り付けられるアタッチメントレンズの特性に応じて複数の補正データの一つを選択しない場合と比べて、アタッチメントレンズを取り付けた場合でも、光学系及びアタッチメントレンズを介して視認される表示部の表示面の画質のむらを低減することができる。
【0014】
さらに別の好ましい態様において、前記電気光学装置は、前記アタッチメントレンズのレンズ情報保持部に保持されたレンズ情報を読み取るレンズ情報読取部を有し、前記補正データ選択部は、前記レンズ情報読取部によって読み取られた前記レンズ情報に基づいて、前記データ格納部に格納された複数の補正データの一つを選択してもよい。
この電気光学装置によれば、ユーザーがアタッチメントレンズのレンズ情報を入力しなくても、アタッチメントレンズのレンズ情報に基づいて補正データの選択を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るEVFが組み込まれたデジタルカメラの背面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るEVFの模式的な断面図。
【図3】液晶パネルの画素を見る角度と視認される輝度の関係を例示する図。
【図4】光学系を通して視認される液晶パネルの表示面の輝度むらを例示する図。
【図5】制御部の機能的構成を示すブロック図。
【図6】補正データの例を示す図。
【図7】表示面の分割の例を示す図。
【図8】変換データの例を示す図。
【図9】変形例1に係るEVFの模式的な断面図。
【図10】変形例1に係る補正データを例示する図。
【図11】変形例1に係る制御部の機能的構成を示すブロック図。
【図12】プロジェクターの構成の一例を示す平面図。
【図13】光学系を通して視認される液晶パネルの表示面の輝度むらの別の例を示す図。
【図14】液晶パネルの表示面の分割の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子ビューファインダー(以下、EVF)が組み込まれたデジタルカメラ1の背面図である。図1に示すように、このデジタルカメラ1は、前面側に図示しない撮影レンズが取り付けられた本体2と、本体2の上面に設けられたシャッターボタン3及び電源スイッチ4と、本体の背面に設けられたタッチパネル5とを有する。タッチパネル5は、例えば液晶パネル上にタッチパッドが配置されたものであり、表示装置と入力装置の機能を併せ持つユーザーインターフェースとして働く。タッチパネル5には、デジタルカメラ1の撮像素子(図示せず)により得た画像データに基づく画像、ユーザーにデジタルカメラ1の設定を行わせる設定画面、メモリーカード等のメモリー(図示せず)に保存された撮影済みの画像などが表示される。尚、画像データとは、画像の各画素毎に表示される色や輝度を指定するデータであり、各画素のデータを画素データと言う。画素データは、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の強度を表す8ビットのデータ(即ち、0〜255の範囲の階調値(以下、画素値という))である。通常、デジタルカメラ1には、撮像素子により得た画像データを、ユーザーにより設定された様々なパラメータ(例えば、露出、シャッタースピード、絞り、ホワイトバランス、ISO感度など)に応じて処理したり、画像データの圧縮を行ったりする画像処理装置(図示せず)が設けられている。ユーザーがデジタルカメラ1を用いて撮影を行う際、タッチパネル5に、画像処理装置から出力された処理済みの画像データに基づく画像を表示することで、ユーザーは、自身が設定したパラメータを反映した画像を確認することができる。また、本体2の上部にはEVF10が設けられている。
【0017】
図2は、EVF10の模式的な断面図である。EVF10は、ハウジング11内に設けられた液晶パネル12と、液晶パネル12に向かって光を照射するバックライト13と、液晶パネル12の表示面(バックライト13に対向する面と反対側の面)に表示された画像を拡大するべく前記液晶パネル12の表示面に対向して配置された光学系14とを有する。光学系14には接眼レンズが含まれる。尚、図2には一枚のレンズしか示していないが、光学系14は複数枚のレンズを有してよい。また、ハウジング11内には、液晶パネル12を制御する制御部15が設けられている。制御部15は、後に詳述するように、デジタルカメラ1の撮像素子または画像処理装置から入力される画像データを補正して、補正された画像データを液晶パネル12に供給する。
【0018】
図3は、液晶パネル12の画素を見る角度と視認される輝度の関係を例示する図である。図3(A)は、表示面に沿った方向に見た液晶パネル12を示している。図3(A)に示すように、視点Vが液晶パネル12の表示面の中心点Cを通り液晶パネル12の表示面に垂直な線L1上にある場合、液晶パネル12の任意の画素Pと視点Vとを結ぶ線L2は、線L1との間に角度Φをなす(画素Pが中心点Cに位置するときは、Φ=0)。この角度Φを視点Vから画素Pを見た角度という。図3(B)は、液晶パネル12の各画素Pに対して同じ中間階調の画素データ(例えば、RGB各成分の値が100)を有する画像データを液晶パネル12に供給した場合に、視点Vから角度Φの方向に位置する画素Pを見たときに視認される輝度の一例を示すグラフである。
【0019】
図3(B)に示すように、液晶パネルの表示面の中心点Cから離れた画素P(即ち、角度Φが大きい画素P)において、中心点Cに位置する画素Pに比べて輝度が増加することがある。これは、各画素Pにおいて、液晶パネル12の表示面に垂直な方向に対して傾いた方向に、バックライト13の光が液晶を介さずに漏れ出るためと考えられる。このような場合、画素Pを正面から(即ち、線L1に沿った方向に)見た場合には、画素データによって指定された輝度が観察されても、画素Pを斜めに見た場合(例えば、Φ=10度)には、画素データによって指定された輝度より高い輝度が観察されることとなる。そのため、光学系14を介してユーザーが液晶パネル12の表示面に表示された画像を見るとき、液晶パネル12の全画素の画素データが同じであっても、ユーザーには、液晶パネル12の表示面内に輝度のむらがあるように感じられる。
【0020】
図4は、光学系14を通してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の輝度むらを例示する図である。図4(A)は、図3(B)に示した輝度特性を有する液晶パネル12の全画素の画素データを同じ中間階調を指定する画素データとしたときに、液晶パネル12に表示される画像を光学系14を介してユーザーが見たとき視認される液晶パネル12の表示面の輝度むらを示している。図4(B)は、図4(A)のラインA−Aに沿った輝度分布を示す図である。図4(A)に示すように、本例において、液晶パネル12の表示面の形状は矩形である。図4(A)において、グレーの濃い部分ほど、視認される輝度が画素データにより指定された輝度に近く、グレーの薄い部分ほど、画素データにより指定された輝度よりも、視認される輝度が高いことを示す。図4(A)に示した例では、液晶パネル12の表示面の中心点Cを中心として同心円状に輝度が変化しており、中心点Cから離れるほど、画素データにより指定された輝度よりも輝度が高くなっている。そのため、中心点Cから離れた領域では、色が白茶けて見える。
【0021】
図4に示したような液晶パネル12の表示面の輝度むらの特性(輝度が高い(または低い)部分の分布や、輝度むらの程度など)は、液晶パネル12は同じでも、光学系14が異なると変化する。これは、光学系14の特性(例えば、倍率)が異なると、光学系14と液晶パネル12の距離が変わり、その結果、液晶パネル12の表示面の中心点Cから離れた画素Pを見るとき、その画素Pを見る角度Φが変化するためと考えられる。尚、図4には画質のむらの例として輝度むらを示したが、一般に輝度むらの特性はRGB各色ごとに異なるため、液晶パネル12の表示面内において色むらが生じることもある。本実施形態では、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に起因してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の画質のむらを低減するため、制御部15において画像データを補正し、補正した画像データを液晶パネル12に供給する。
【0022】
図5は、制御部15の機能的構成を示すブロック図である。制御部15は、画像データ取得部151と、画像データ補正部152と、補正データ格納部153とを有する。画像データ取得部151は、デジタルカメラ1の撮像素子または画像処理装置から画像データを取得し、取得した画像データを画像データ補正部152に入力する。画像データ補正部152は、補正データ格納部153に格納された補正データを参照して、画像データ取得部151から入力された画像データを補正し、補正された画像データを液晶パネル12に出力する。画像データ取得部151及び画像データ補正部152の機能は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置により、ROM(Read Only Memory)などのメモリーに格納されたプログラムを実行することにより実現してよい。補正データ格納部153は、ROMなどのメモリーにより具現される。
【0023】
補正データ格納部153は、画像データ補正部152により実行される画像データの補正に必要なデータを、補正データとして格納する。具体的には、補正データ格納部153は、液晶パネル12の表示面を複数の領域に分割するための領域定義データと、画像データに含まれる画素値(入力画素値)を、補正された画像データに含まれる画素値(出力画素値)に変換するための変換データとを、補正データとして格納する。領域定義データは、表示面の複数の領域の各々の範囲を定義するデータである。変換データは、例えば、入力画素値と出力画素値を関連付ける変換テーブル(ガンマカーブとも言う)であり、液晶パネル12の表示面の各領域に対応付けて格納される。
【0024】
図6は、補正データ格納部153に格納される補正データの例を示す図である。また、図7は、図6に示した補正データに対応した、液晶パネル12の表示面の分割の例を示す図である。図6に示した補正データD1は、図4に示した輝度むら特性を有する液晶パネル12と光学系14の組み合わせに対応したものである。図6に示した補正データD1は、4つの領域R1〜R4を定義する領域定義データを含んでいる。具体的には、液晶パネル12の表示面の中心点Cと画素Pの距離をdとしたとき、領域R1はd<r1となる画素Pの集まりとして定義され、領域R2はr1≦d<r2となる画素Pの集まりとして定義され、領域R3はr2≦d<r3となる画素Pの集まりとして定義され、領域R4はr3≦dとなる画素Pの集まりとして定義されている(r1<r2<r3)。即ち、本例では、図7に示すように、液晶パネル12の表示面は中心点Cを中心とした半径r1、r2、及びr3の3つの同心円を境界とする4つの領域R1〜R4に分割される。このような液晶パネル12の表示面の分割は、液晶パネル12及び光学系14の特性に起因する表示面の画質のむらが、図4に示したように中心点Cを中心に同心円状に生じる(即ち、輝度が径方向に変化し、周方向に概ね均一である)ことに対応したものである。また、図6に示すように、補正データD1は、領域R1〜R4の各々に対応付けられた変換データとして、入力画素値と出力画素値を対応付けるガンマカーブG1〜G4を含んでいる。
【0025】
図8は、領域R1〜R4のそれぞれに対応付けられた変換データ(ガンマカーブG1〜G4)の一例を示す図である。図8において、領域R1に対応付けられたガンマカーブG1は入力画素値と出力画素値が等しい、即ち、入力画素値の変換をしないことを示している。これは、図4に示した輝度むら特性において、液晶パネル12の中心点Cの近辺の画素(即ち、領域R1内の画素)では、視認される輝度が画素データにより指定された輝度に概ね等しいためである。領域R2〜R4に対応付けられたガンマカーブG2〜G4は、出力画素値を入力画素値に対し所定の値だけ低下させることを示しており、低下幅はガンマカーブG2、G3、G4の順に大きくなっている。これは、図4に示した輝度むら特性では、液晶パネルの中心点Cから離れるほど輝度が大きくなっていることに対応している。このように、ガンマカーブG1〜G4は、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に起因して視認される液晶パネル12の表示面の輝度むらに基づいて、輝度の高い部分の出力画素値を入力画素値より低下させるように定められる。
【0026】
画像データ補正部152は、画像データが入力されると、補正データ格納部153に格納された各領域R1〜R4の領域定義データを参照して、液晶パネル12の各画素が属する領域を領域R1〜R4から特定する。また、画像データ補正部152は、各画素に対して特定された領域R1〜R4に対応付けられたガンマカーブG1〜G4に基づいて、入力画像データに含まれる各画素の画素値(入力画素値)を補正された画素値(出力画素値)に変換することで、画像データの補正を行う。上記したように、領域R1〜R4及びガンマカーブG1〜G4は、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて定められているので、これら領域R1〜R4及びガンマカーブG1〜G4を用いた入力画像データの補正を行うことで、画像データ補正部152は、入力画像データを液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて補正することとなる。
【0027】
上述したように、本実施形態においては、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて、入力画像データを画像データ補正部152によって補正し、補正された画像データを液晶パネル12に出力するものとしたので、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に起因してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の画質のむらが低減される。また、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて液晶パネル12の表示面を複数の領域R1〜R4に分割し、各領域R1〜R4に対応付けて変換データを補正データ格納部153に格納したので、液晶パネル12の各画素毎に変換データを格納する場合と比べて、補正データ格納部153に格納されるデータの量が低減される。
【0028】
尚、本例では、領域R1では入力画素値の変換を行わないので、領域R1に対する変換データ(ガンマカーブG1)の格納を省略してもよい。また、領域R1〜R4の各々に対して、RGB各成分に対応する3つのガンマカーブを格納してもよいし、RGB各成分に共通の一つのガンマカーブを格納してもよい。あるいは、RGB各成分のうち、光学系14を介してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の輝度のむらに最も大きい影響を与える色である、支配的な色(例えば、G)に対してのみガンマカーブに基づく入力画素値の出力画素値への変換を行い、他の色(例えば、R及びB)に対しては入力画素値の出力画素値への変換を行わないものとしてもよい。これにより、変換に要する時間が短縮される。尚、人間の網膜に存在するRGB各色の錐体細胞の数の割合から、通常、G色が視認される輝度むらに最も大きい影響を与えると考えられるが、例えば、液晶パネル12に設けられるカラーフィルターの厚みが各色毎に異なる場合、液晶パネル12の表示面に垂直な方向に対して傾いた方向に漏れ出るバックライトの光によって影響を受け易い色(即ち、支配的な色)がG色以外の色となる場合もあり得る。
【0029】
<変形例>
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0030】
(変形例1)
図9は、変形例1に係るEVF10の模式的な断面図である。図9に示すように、EVF10の倍率を変更するため、付加的な光学系(以下、アタッチメントレンズと言う)20をEVF10に取り付けてもよい。その場合、液晶パネル12及び光学系14は同じでも、アタッチメントレンズ20の特性(例えば、倍率)に応じて、ユーザーによって視認される液晶パネル12の表示面の画質のむらの特性が変化し得る。補正データ格納部153は、光学系14に取り付け可能な複数のアタッチメントレンズ20の特性に対応して、複数の補正データを格納してもよい。
【0031】
図9に示すように、アタッチメントレンズ20は、倍率、メーカー名、型番などのレンズ情報を記憶した例えばROMなどのメモリー21(レンズ情報保持部の一例)を有する。EVF10のアタッチメントレンズ20が取り付けられる面には、接点16が設けられている。アタッチメントレンズ20がEVF10に取り付けられると、アタッチメントレンズ20のメモリー21に格納されたレンズ情報が、EVF10の制御部15に接点16を介して入力される。
【0032】
図10は、変形例1に係る補正データを例示する図であり、図11は、変形例1に係る制御部15の機能的構成を示すブロック図である。図11において、図5と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0033】
図10に示すように、本例では、EVF10に取着され得る複数のアタッチメントレンズ20の倍率に対応して、複数の補正データD1、D2、D3・・・が、補正データ格納部153に格納される。これら複数の補正データD1、D2、D3・・・は、表示面の領域の数、各領域の領域定義データ、各領域に対応付けられる変換データが異なっていてよい。
【0034】
図11に示す制御部15は、アタッチメントレンズ20のメモリー21に格納されたレンズ情報を接点16を介して読み取るレンズ情報読取部155と、レンズ情報読取部155が読み取ったレンズ情報に含まれるアタッチメントレンズ21の倍率に応じて、補正データ格納部153に格納されている複数の補正データD1、D2、D3・・・の一つを選択し、画像データ補正部152に供給する補正データ選択部154とを有する点が、図5に示す制御部15と異なる。アタッチメントレンズ20が、レンズ情報を格納したメモリー21を有さない場合、レンズ情報をタッチパネル5を通じてユーザーが入力してもよい。画像データ補正部152は、補正データ選択部154により選択された補正データに基づき、入力画像データを補正して、補正された画像データを液晶パネル12に出力する。
【0035】
このように、変形例1においては、アタッチメントレンズ20の特性(倍率)に応じて複数の補正データD1、D2、D3・・・を補正データ格納部153に格納し、レンズ情報読取部が読み取ったアタッチメントレンズ20の特性に応じて、補正データ格納部153に格納されている複数の補正データD1、D2、D3・・・の一つを補正データ選択部154で選択し画像データ補正部152に供給するものとしたので、アタッチメントレンズ20をEVF10に取り付けた場合でも、光学系14及びアタッチメントレンズ20を介して視認されるEVF10の液晶パネル12の表示面の画質のむらを低減することができる。
【0036】
尚、入力されたアタッチメントレンズ20の特性に対応する補正データが補正データ格納部153に格納されていない場合、画像データ補正部152は、補正データ格納部153に格納されている複数の補正データD1、D2、D3・・・の1または複数から、入力されたアタッチメントレンズ20の特性に対応する補正データを補間により作成し、作成した補正データに基づいて入力画像データの補正を行ってよい。例として、補正データ格納部153に、アタッチメントレンズ20がEVF10に取着されない場合、EVF10に取着されるアタッチメントレンズ20の倍率が2.0倍の場合、及びEVF10に取着されるアタッチメントレンズ20の倍率が3.0倍の場合のそれぞれ対応した補正データD1、D2、及びD3が格納されているとき、EVF10に倍率が2.5倍のアタッチメントレンズ20が取り付けられる場合を考える。この場合、倍率が2.0倍のアタッチメントレンズ20に対応した補正データD2と、倍率が3.0倍のアタッチメントレンズ20に対応した補正データD3とに基づいて、内挿による補間を行う(例えば、各入力画素値(0〜255)に対し、補正データD2に基づく出力画素値と補正データD3に基づく出力画素値の平均を、アタッチメントレンズ20の倍率が2.5倍である場合の出力画素値として関連付ける)ことで、倍率が2.5倍のアタッチメントレンズ20に対応する補正データ(変換データ)を作成してもよい。
【0037】
また、上記例では、補正データ格納部153は、光学系14に取り付け可能な複数のアタッチメントレンズ20の特性(倍率)に対応して、複数の補正データD1、D2、D3・・・を格納し、ユーザーがタッチパネル5を用いて入力したアタッチメントレンズ20の特性に応じて、補正データ選択部154が補正データを選択するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、補正データ格納部153に、アタッチメントレンズ20の特性を特定し得る別のレンズ情報(例えば、メーカー名及び型番)に対応して複数の補正データを格納し、補正データ選択部154は、レンズ情報読取部155で読み取ったアタッチメントレンズ20のメーカー名及び型番に対応付けられた(即ち、アタッチメントレンズ20の特性に対応した)補正データを選択し、画像データ補正部152に供給してもよい。
【0038】
(変形例2)
上記実施形態では、電気光学装置はEVFであったが、本発明はこれに限定されない。電気光学装置は、ヘッドマウントディスプレイやプロジェクターでもよく、表示部と、表示部に表示された画像を拡大する光学系とを有する電気光学装置であればよい。
【0039】
図12は、プロジェクターの構成の一例を示す平面図である。図12に示されたプロジェクター2100は、液晶パネルをRGB各色のライトバルブとして用いた3板式プロジェクターである。
【0040】
図12に示されるように、プロジェクター2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源を有するランプユニット2102が設けられている。ランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離される。分離された投射光は、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124を有するリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0041】
プロジェクター2100において、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bの各々は、画素毎に透過率を設定可能な液晶パネルからなる。ライトバルブ100R、100G及び100Bには、R色、G色、B色のそれぞれの原色成分の階調レベルを指定する映像信号が供給され、供給された映像信号に応じて、ライトバルブ100R、100G及び100Bがそれぞれ駆動される。ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折し、G色の光は直進する。したがって、各原色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ群2114によってカラー画像が投射される。投射レンズ群2114の光軸上の位置を変えることで、スクリーン2120に投影された画像の大きさを変えることができる。スクリーン2120上の画像の大きさが最大になる投射レンズ群2114の位置をワイド端、スクリーン2120上の画像の大きさが最大になる投射レンズ群2114の位置をテレ端という。
【0042】
なお、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R色、G色、B色のそれぞれに対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射される。したがって、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
【0043】
図12に示したプロジェクター2100の構成において、ライトバルブ100R、100G及び100B、または、それらの表示画面を合成するダイクロイックプリズム2112が、本発明の表示部の一例に相当する。また、投射レンズ群2114が、本発明の光学系の一例に相当する。補正データ格納部153は、投射レンズ群2114がワイド端にあるとき(倍率大)と、テレ端にあるとき(倍率小)のそれぞれに対応した補正データを格納し、画像データ補正部152は、投射レンズ群2114の位置に応じた補正データを、ワイド端に対応する補正データと、テレ端に対応する補正データとから内挿により補間して作成し、作成した補正データに基づいて、入力画像データの補正をしてよい。
【0044】
(変形例3)
上記実施形態では、液晶パネル12の表示面を中心点Cを中心とした半径r1、r2、及びr3の3つの同心円を境界とする4つの領域R1〜R4に分割したが、本発明はこれに限定されない。表示面を分割する領域の形状や数は、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性によって生じる画質むらの特性や、補正データ記憶部153の容量などに応じて変更してよい。より具体的には、表示面を分割する領域の形状は、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて、液晶パネル12の各画素の画素データを同じにしたとき各領域内に含まれる画素の画質(例えば輝度)の差が極力小さくなるように定めてよく、表示面を分割する領域の数は補正データを格納する補正データ格納部153の容量に応じて決めてよい。
【0045】
図13は、光学系を通して視認される液晶パネル12の表示面の輝度むらの別の例を示す図であり、図14は、液晶パネル12の表示面の分割の別の例を示す図である。図13は、図4(A)と同様に、液晶パネル12の全画素の画素データを同じ中間階調を指定する画素データとしたときに、光学系14を通してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の輝度をグレーの濃淡で示した図であり、グレーの濃い部分ほど、視認される輝度が画素データにより指定された輝度に近く、グレーの薄い部分ほど、画素データにより指定された輝度よりも、視認される輝度が高いことを示す。図13に示した例では、液晶パネル12の全画素の画素データを同じ中間階調を指定する画素データとしたときに、光学系14を通してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の輝度が、表示面の短辺に沿った方向には概ね均一であり、表示面の長辺に沿った方向には、中心線Lから離れるほど、画素データにより指定された輝度よりも輝度が高くなっている。この場合、図14に示すように、液晶パネルの表示面を、輝度むらの少ない方向である表示面の短辺方向に延びる複数の直線によって区分された、各々矩形の領域R1〜R5に分割するとよい。ここで、長辺に沿った方向の中心線Lについて対称な領域は同じ領域とした。即ち、図14の例では、液晶パネル12の表示面を構成する各画素は、中心線Lからの長辺に沿った方向の距離に応じて、領域R1〜R5のいずれかに属する。このような分割により、例えば、表示面の長辺方向に沿った境界線により表示面を複数の領域に分割する場合と比べて、各領域R1〜R5に含まれる画素の輝度の差が小さくなる。各領域R1〜R5に含まれる画素の輝度の差が小さいと、各領域R1〜R5内の画素に対して同じ変換データを用いて画素値の補正を行っても、補正が過大または不十分となる画素が生じにくい。尚、図14の例では、5つの領域R1〜R5に分割したが、補正データ記憶部153の容量に応じて、5より多くの数の領域に分割したり、5より少ない数の領域に分割してもよい。
【0046】
(変形例4)
上記実施形態では、EVF10の表示部として液晶パネル12を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示部として、有機EL(Electro-Luminescence)素子を用いた有機ELパネルを用いてもよい。
【0047】
(変形例5)
上記実施形態では、入力画素値を出力画素値に変換するための変換データとして入力画素値と出力画素値を関連付ける変換テーブル(ガンマカーブ)を補正データ格納部に格納したが、本発明はこれに限定されない。例えば、出力画素値をPyとし、入力画素値をPxとしたとき、Py=a・Px+bのように、出力画素値Pyが入力画素値Pxの一次関数として表される場合、変換データとして係数a、bを補正データ格納部に格納してもよい。ただし、ガンマカーブを用いると、入力画素値と出力画素値の対応付けの自由度が大きい。
【符号の説明】
【0048】
1…デジタルカメラ、2…本体、3…シャッターボタン、4…電源スイッチ、5…タッチパネル、10…EVF、11…ハウジング、12…液晶パネル、13…バックライト、14…光学系、15…制御部、16…接点、20…アタッチメントレンズ、21…メモリー、151、…画像データ取得部、152…画像データ補正部、153…補正データ格納部、154…補正データ選択部、155…レンズ情報読取部、2100…プロジェクター、2102…ランプユニット、2106…ミラー、2108…ダイクロイックミラー、2112…ダイクロイックプリズム、2114…投射レンズ群、2120…スクリーン、2121…リレーレンズ系、2122…入射レンズ、2123…リレーレンズ、2124…出射レンズ、100R、100G、100B…ライトバルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーによって視認される電気光学装置における表示面内の画質のむらを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューターのディスプレイや、テレビモニターのディスプレイとして、液晶表示パネル(液晶パネルとも言う)が広く用いられている。液晶表示パネルは、見る方向(角度)によって見え方(コントラスト比や色)が異なることがある。液晶表示パネルを見る方向による見え方の差は、極力小さいことが望ましい。
【0003】
特許文献1には、液晶表示パネルを見る角度によって輝度や色度に変化が生じること(視野角特性ともいう)に起因する、液晶表示パネルの大型化にともない顕著となってきた一人の鑑賞者から見たときの画質の面内不均一性を補正するための技術が記載されている。具体的には、特許文献1には、液晶表示パネルと、映像信号を入力し、当該映像信号の映像の明暗に寄与する各画素データにおいて、同じ入力輝度レベルに対する出力輝度レベルを、液晶表示パネル内で基準画素からの距離が遠い画素ほど基準画素の出力輝度レベルに対して相対的に大きくなるように調整することによって、当該液晶表示パネルの視野角特性に起因して生じる面内輝度差を補正し、補正後の映像信号を液晶表示パネルに出力する輝度補正部と、を有する直視型液晶表示装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、液晶パネルの液晶層厚さムラに起因する輝度ムラを補正するための補正信号を生成する補正回路を設けることが記載されている。
【0005】
特許文献3には、バックライトの輝度むらに起因する表示画面の輝度むらを低減するべく、表示位置に応じて表示データのゲインを補正することが記載されている。
【0006】
近年、デジタルカメラやビデオカメラ等のファインダーに、撮像素子によって得られた画像情報を液晶パネル等の表示装置に表示させる電子ビューファインダー(electronic view finder:EVF)が広く採用されている。このようなEVFでは、表示装置に表示された画像は接眼レンズを含む光学系によって拡大され、ユーザーによって視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−5828号公報
【特許文献2】特開2000−56737号公報
【特許文献3】特開2007−65572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液晶パネルに表示された画像を光学系を介して見る場合、光学系の特性(例えば、倍率)に応じて、ユーザーによって視認される液晶パネルの表示面の画質のむらの特性が変化することがある。
そこで、本発明は、表示部と表示部に対向して配置された光学系とを有する電気光学装置において、光学系を介してユーザーによって視認される表示部の表示面の画質のむらを低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像データに基づいて画像を表示する表示部と、前記表示部に対向して配置された光学系と、入力された画像データを前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて補正して、補正された画像データを前記表示部に出力する画像データ補正部とを有する電気光学装置を提供する。
この電気光学装置によれば、表示部と表示部に対向して配置された光学系とを有する電気光学装置が、入力された画像データを表示部の特性及び光学系の特性に応じて補正して、補正された画像データを表示部に出力する画像データ補正部を有さない場合と比べて、光学系を介してユーザーによって視認される表示部の表示面の画質のむらが低減される。
【0010】
好ましい態様において、前記電気光学装置は、前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて前記表示部の表示面を複数の領域に分割するべくこれら複数の領域を定義する領域定義データと、前記表示部の各領域に対応付けられた変換データとを格納するデータ格納部を有し、前記画像データ補正部は、前記データ格納部に格納された前記領域定義データを参照して、前記表示部の各画素が属する領域を前記複数の領域から特定し、前記入力された画像データに含まれる当該画素の階調値を前記特定された領域に対応付けられた変換データに基づいて、補正された階調値に変換することで、前記入力された画像データの補正を行ってもよい。
この電気光学装置によれば、表示部の各画素毎に変換データを格納する場合と比べて、補正データ格納部に格納されるデータの量が低減される。
【0011】
別の好ましい態様において、前記変換データは、前記入力された画像データに含まれる階調値と、前記補正された画像データに含まれる階調値とを関連付ける変換テーブルを含んでもよい。
この電気光学装置によれば、変換データが、入力された画像データに含まれる階調値と、補正された画像データに含まれる階調値とを関連付ける変換テーブルを含まない場合に比べて、入力された画像データに含まれる階調値と補正された画像データに含まれる階調値の対応付けの自由度が大きい。
【0012】
さらに別の好ましい態様において、前記入力された画像データは、RGBの各色に対する画像データを含み、前記変換データは、前記RGBのうち、前記光学系を介してユーザーによって視認される前記表示部の輝度のむらに最も影響を与える色である、支配的な色に対する画像データに含まれる階調値を、補正された階調値に対応付ける変換テーブルを含み、前記画像データ補正部は、前記支配的な色に対する前記変換テーブルに基づいて、前記支配的な色に対する画像データの補正を行ってもよい。
この電気光学装置によれば、支配的な色以外の色に対しても画像データの補正を行う場合と比べて、画像データの補正に要する処理時間を短くすることができる。
【0013】
さらに別の好ましい態様において、前記光学系は、アタッチメントレンズを取り付け可能であり、前記データ格納部は、各々前記領域定義データ及び前記変換データを含む複数の補正データを格納し、当該電気光学装置は、前記光学系に取り付けられるアタッチメントレンズの特性に応じて、前記データ格納部に格納された複数の補正データの一つを選択して前記画像データ補正部に供給する補正データ選択部を有してもよい。
この電気光学装置によれば、補正データ格納部に複数の補正データを格納し、光学系に取り付けられるアタッチメントレンズの特性に応じて複数の補正データの一つを選択しない場合と比べて、アタッチメントレンズを取り付けた場合でも、光学系及びアタッチメントレンズを介して視認される表示部の表示面の画質のむらを低減することができる。
【0014】
さらに別の好ましい態様において、前記電気光学装置は、前記アタッチメントレンズのレンズ情報保持部に保持されたレンズ情報を読み取るレンズ情報読取部を有し、前記補正データ選択部は、前記レンズ情報読取部によって読み取られた前記レンズ情報に基づいて、前記データ格納部に格納された複数の補正データの一つを選択してもよい。
この電気光学装置によれば、ユーザーがアタッチメントレンズのレンズ情報を入力しなくても、アタッチメントレンズのレンズ情報に基づいて補正データの選択を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るEVFが組み込まれたデジタルカメラの背面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るEVFの模式的な断面図。
【図3】液晶パネルの画素を見る角度と視認される輝度の関係を例示する図。
【図4】光学系を通して視認される液晶パネルの表示面の輝度むらを例示する図。
【図5】制御部の機能的構成を示すブロック図。
【図6】補正データの例を示す図。
【図7】表示面の分割の例を示す図。
【図8】変換データの例を示す図。
【図9】変形例1に係るEVFの模式的な断面図。
【図10】変形例1に係る補正データを例示する図。
【図11】変形例1に係る制御部の機能的構成を示すブロック図。
【図12】プロジェクターの構成の一例を示す平面図。
【図13】光学系を通して視認される液晶パネルの表示面の輝度むらの別の例を示す図。
【図14】液晶パネルの表示面の分割の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子ビューファインダー(以下、EVF)が組み込まれたデジタルカメラ1の背面図である。図1に示すように、このデジタルカメラ1は、前面側に図示しない撮影レンズが取り付けられた本体2と、本体2の上面に設けられたシャッターボタン3及び電源スイッチ4と、本体の背面に設けられたタッチパネル5とを有する。タッチパネル5は、例えば液晶パネル上にタッチパッドが配置されたものであり、表示装置と入力装置の機能を併せ持つユーザーインターフェースとして働く。タッチパネル5には、デジタルカメラ1の撮像素子(図示せず)により得た画像データに基づく画像、ユーザーにデジタルカメラ1の設定を行わせる設定画面、メモリーカード等のメモリー(図示せず)に保存された撮影済みの画像などが表示される。尚、画像データとは、画像の各画素毎に表示される色や輝度を指定するデータであり、各画素のデータを画素データと言う。画素データは、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の強度を表す8ビットのデータ(即ち、0〜255の範囲の階調値(以下、画素値という))である。通常、デジタルカメラ1には、撮像素子により得た画像データを、ユーザーにより設定された様々なパラメータ(例えば、露出、シャッタースピード、絞り、ホワイトバランス、ISO感度など)に応じて処理したり、画像データの圧縮を行ったりする画像処理装置(図示せず)が設けられている。ユーザーがデジタルカメラ1を用いて撮影を行う際、タッチパネル5に、画像処理装置から出力された処理済みの画像データに基づく画像を表示することで、ユーザーは、自身が設定したパラメータを反映した画像を確認することができる。また、本体2の上部にはEVF10が設けられている。
【0017】
図2は、EVF10の模式的な断面図である。EVF10は、ハウジング11内に設けられた液晶パネル12と、液晶パネル12に向かって光を照射するバックライト13と、液晶パネル12の表示面(バックライト13に対向する面と反対側の面)に表示された画像を拡大するべく前記液晶パネル12の表示面に対向して配置された光学系14とを有する。光学系14には接眼レンズが含まれる。尚、図2には一枚のレンズしか示していないが、光学系14は複数枚のレンズを有してよい。また、ハウジング11内には、液晶パネル12を制御する制御部15が設けられている。制御部15は、後に詳述するように、デジタルカメラ1の撮像素子または画像処理装置から入力される画像データを補正して、補正された画像データを液晶パネル12に供給する。
【0018】
図3は、液晶パネル12の画素を見る角度と視認される輝度の関係を例示する図である。図3(A)は、表示面に沿った方向に見た液晶パネル12を示している。図3(A)に示すように、視点Vが液晶パネル12の表示面の中心点Cを通り液晶パネル12の表示面に垂直な線L1上にある場合、液晶パネル12の任意の画素Pと視点Vとを結ぶ線L2は、線L1との間に角度Φをなす(画素Pが中心点Cに位置するときは、Φ=0)。この角度Φを視点Vから画素Pを見た角度という。図3(B)は、液晶パネル12の各画素Pに対して同じ中間階調の画素データ(例えば、RGB各成分の値が100)を有する画像データを液晶パネル12に供給した場合に、視点Vから角度Φの方向に位置する画素Pを見たときに視認される輝度の一例を示すグラフである。
【0019】
図3(B)に示すように、液晶パネルの表示面の中心点Cから離れた画素P(即ち、角度Φが大きい画素P)において、中心点Cに位置する画素Pに比べて輝度が増加することがある。これは、各画素Pにおいて、液晶パネル12の表示面に垂直な方向に対して傾いた方向に、バックライト13の光が液晶を介さずに漏れ出るためと考えられる。このような場合、画素Pを正面から(即ち、線L1に沿った方向に)見た場合には、画素データによって指定された輝度が観察されても、画素Pを斜めに見た場合(例えば、Φ=10度)には、画素データによって指定された輝度より高い輝度が観察されることとなる。そのため、光学系14を介してユーザーが液晶パネル12の表示面に表示された画像を見るとき、液晶パネル12の全画素の画素データが同じであっても、ユーザーには、液晶パネル12の表示面内に輝度のむらがあるように感じられる。
【0020】
図4は、光学系14を通してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の輝度むらを例示する図である。図4(A)は、図3(B)に示した輝度特性を有する液晶パネル12の全画素の画素データを同じ中間階調を指定する画素データとしたときに、液晶パネル12に表示される画像を光学系14を介してユーザーが見たとき視認される液晶パネル12の表示面の輝度むらを示している。図4(B)は、図4(A)のラインA−Aに沿った輝度分布を示す図である。図4(A)に示すように、本例において、液晶パネル12の表示面の形状は矩形である。図4(A)において、グレーの濃い部分ほど、視認される輝度が画素データにより指定された輝度に近く、グレーの薄い部分ほど、画素データにより指定された輝度よりも、視認される輝度が高いことを示す。図4(A)に示した例では、液晶パネル12の表示面の中心点Cを中心として同心円状に輝度が変化しており、中心点Cから離れるほど、画素データにより指定された輝度よりも輝度が高くなっている。そのため、中心点Cから離れた領域では、色が白茶けて見える。
【0021】
図4に示したような液晶パネル12の表示面の輝度むらの特性(輝度が高い(または低い)部分の分布や、輝度むらの程度など)は、液晶パネル12は同じでも、光学系14が異なると変化する。これは、光学系14の特性(例えば、倍率)が異なると、光学系14と液晶パネル12の距離が変わり、その結果、液晶パネル12の表示面の中心点Cから離れた画素Pを見るとき、その画素Pを見る角度Φが変化するためと考えられる。尚、図4には画質のむらの例として輝度むらを示したが、一般に輝度むらの特性はRGB各色ごとに異なるため、液晶パネル12の表示面内において色むらが生じることもある。本実施形態では、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に起因してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の画質のむらを低減するため、制御部15において画像データを補正し、補正した画像データを液晶パネル12に供給する。
【0022】
図5は、制御部15の機能的構成を示すブロック図である。制御部15は、画像データ取得部151と、画像データ補正部152と、補正データ格納部153とを有する。画像データ取得部151は、デジタルカメラ1の撮像素子または画像処理装置から画像データを取得し、取得した画像データを画像データ補正部152に入力する。画像データ補正部152は、補正データ格納部153に格納された補正データを参照して、画像データ取得部151から入力された画像データを補正し、補正された画像データを液晶パネル12に出力する。画像データ取得部151及び画像データ補正部152の機能は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置により、ROM(Read Only Memory)などのメモリーに格納されたプログラムを実行することにより実現してよい。補正データ格納部153は、ROMなどのメモリーにより具現される。
【0023】
補正データ格納部153は、画像データ補正部152により実行される画像データの補正に必要なデータを、補正データとして格納する。具体的には、補正データ格納部153は、液晶パネル12の表示面を複数の領域に分割するための領域定義データと、画像データに含まれる画素値(入力画素値)を、補正された画像データに含まれる画素値(出力画素値)に変換するための変換データとを、補正データとして格納する。領域定義データは、表示面の複数の領域の各々の範囲を定義するデータである。変換データは、例えば、入力画素値と出力画素値を関連付ける変換テーブル(ガンマカーブとも言う)であり、液晶パネル12の表示面の各領域に対応付けて格納される。
【0024】
図6は、補正データ格納部153に格納される補正データの例を示す図である。また、図7は、図6に示した補正データに対応した、液晶パネル12の表示面の分割の例を示す図である。図6に示した補正データD1は、図4に示した輝度むら特性を有する液晶パネル12と光学系14の組み合わせに対応したものである。図6に示した補正データD1は、4つの領域R1〜R4を定義する領域定義データを含んでいる。具体的には、液晶パネル12の表示面の中心点Cと画素Pの距離をdとしたとき、領域R1はd<r1となる画素Pの集まりとして定義され、領域R2はr1≦d<r2となる画素Pの集まりとして定義され、領域R3はr2≦d<r3となる画素Pの集まりとして定義され、領域R4はr3≦dとなる画素Pの集まりとして定義されている(r1<r2<r3)。即ち、本例では、図7に示すように、液晶パネル12の表示面は中心点Cを中心とした半径r1、r2、及びr3の3つの同心円を境界とする4つの領域R1〜R4に分割される。このような液晶パネル12の表示面の分割は、液晶パネル12及び光学系14の特性に起因する表示面の画質のむらが、図4に示したように中心点Cを中心に同心円状に生じる(即ち、輝度が径方向に変化し、周方向に概ね均一である)ことに対応したものである。また、図6に示すように、補正データD1は、領域R1〜R4の各々に対応付けられた変換データとして、入力画素値と出力画素値を対応付けるガンマカーブG1〜G4を含んでいる。
【0025】
図8は、領域R1〜R4のそれぞれに対応付けられた変換データ(ガンマカーブG1〜G4)の一例を示す図である。図8において、領域R1に対応付けられたガンマカーブG1は入力画素値と出力画素値が等しい、即ち、入力画素値の変換をしないことを示している。これは、図4に示した輝度むら特性において、液晶パネル12の中心点Cの近辺の画素(即ち、領域R1内の画素)では、視認される輝度が画素データにより指定された輝度に概ね等しいためである。領域R2〜R4に対応付けられたガンマカーブG2〜G4は、出力画素値を入力画素値に対し所定の値だけ低下させることを示しており、低下幅はガンマカーブG2、G3、G4の順に大きくなっている。これは、図4に示した輝度むら特性では、液晶パネルの中心点Cから離れるほど輝度が大きくなっていることに対応している。このように、ガンマカーブG1〜G4は、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に起因して視認される液晶パネル12の表示面の輝度むらに基づいて、輝度の高い部分の出力画素値を入力画素値より低下させるように定められる。
【0026】
画像データ補正部152は、画像データが入力されると、補正データ格納部153に格納された各領域R1〜R4の領域定義データを参照して、液晶パネル12の各画素が属する領域を領域R1〜R4から特定する。また、画像データ補正部152は、各画素に対して特定された領域R1〜R4に対応付けられたガンマカーブG1〜G4に基づいて、入力画像データに含まれる各画素の画素値(入力画素値)を補正された画素値(出力画素値)に変換することで、画像データの補正を行う。上記したように、領域R1〜R4及びガンマカーブG1〜G4は、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて定められているので、これら領域R1〜R4及びガンマカーブG1〜G4を用いた入力画像データの補正を行うことで、画像データ補正部152は、入力画像データを液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて補正することとなる。
【0027】
上述したように、本実施形態においては、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて、入力画像データを画像データ補正部152によって補正し、補正された画像データを液晶パネル12に出力するものとしたので、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に起因してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の画質のむらが低減される。また、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて液晶パネル12の表示面を複数の領域R1〜R4に分割し、各領域R1〜R4に対応付けて変換データを補正データ格納部153に格納したので、液晶パネル12の各画素毎に変換データを格納する場合と比べて、補正データ格納部153に格納されるデータの量が低減される。
【0028】
尚、本例では、領域R1では入力画素値の変換を行わないので、領域R1に対する変換データ(ガンマカーブG1)の格納を省略してもよい。また、領域R1〜R4の各々に対して、RGB各成分に対応する3つのガンマカーブを格納してもよいし、RGB各成分に共通の一つのガンマカーブを格納してもよい。あるいは、RGB各成分のうち、光学系14を介してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の輝度のむらに最も大きい影響を与える色である、支配的な色(例えば、G)に対してのみガンマカーブに基づく入力画素値の出力画素値への変換を行い、他の色(例えば、R及びB)に対しては入力画素値の出力画素値への変換を行わないものとしてもよい。これにより、変換に要する時間が短縮される。尚、人間の網膜に存在するRGB各色の錐体細胞の数の割合から、通常、G色が視認される輝度むらに最も大きい影響を与えると考えられるが、例えば、液晶パネル12に設けられるカラーフィルターの厚みが各色毎に異なる場合、液晶パネル12の表示面に垂直な方向に対して傾いた方向に漏れ出るバックライトの光によって影響を受け易い色(即ち、支配的な色)がG色以外の色となる場合もあり得る。
【0029】
<変形例>
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0030】
(変形例1)
図9は、変形例1に係るEVF10の模式的な断面図である。図9に示すように、EVF10の倍率を変更するため、付加的な光学系(以下、アタッチメントレンズと言う)20をEVF10に取り付けてもよい。その場合、液晶パネル12及び光学系14は同じでも、アタッチメントレンズ20の特性(例えば、倍率)に応じて、ユーザーによって視認される液晶パネル12の表示面の画質のむらの特性が変化し得る。補正データ格納部153は、光学系14に取り付け可能な複数のアタッチメントレンズ20の特性に対応して、複数の補正データを格納してもよい。
【0031】
図9に示すように、アタッチメントレンズ20は、倍率、メーカー名、型番などのレンズ情報を記憶した例えばROMなどのメモリー21(レンズ情報保持部の一例)を有する。EVF10のアタッチメントレンズ20が取り付けられる面には、接点16が設けられている。アタッチメントレンズ20がEVF10に取り付けられると、アタッチメントレンズ20のメモリー21に格納されたレンズ情報が、EVF10の制御部15に接点16を介して入力される。
【0032】
図10は、変形例1に係る補正データを例示する図であり、図11は、変形例1に係る制御部15の機能的構成を示すブロック図である。図11において、図5と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0033】
図10に示すように、本例では、EVF10に取着され得る複数のアタッチメントレンズ20の倍率に対応して、複数の補正データD1、D2、D3・・・が、補正データ格納部153に格納される。これら複数の補正データD1、D2、D3・・・は、表示面の領域の数、各領域の領域定義データ、各領域に対応付けられる変換データが異なっていてよい。
【0034】
図11に示す制御部15は、アタッチメントレンズ20のメモリー21に格納されたレンズ情報を接点16を介して読み取るレンズ情報読取部155と、レンズ情報読取部155が読み取ったレンズ情報に含まれるアタッチメントレンズ21の倍率に応じて、補正データ格納部153に格納されている複数の補正データD1、D2、D3・・・の一つを選択し、画像データ補正部152に供給する補正データ選択部154とを有する点が、図5に示す制御部15と異なる。アタッチメントレンズ20が、レンズ情報を格納したメモリー21を有さない場合、レンズ情報をタッチパネル5を通じてユーザーが入力してもよい。画像データ補正部152は、補正データ選択部154により選択された補正データに基づき、入力画像データを補正して、補正された画像データを液晶パネル12に出力する。
【0035】
このように、変形例1においては、アタッチメントレンズ20の特性(倍率)に応じて複数の補正データD1、D2、D3・・・を補正データ格納部153に格納し、レンズ情報読取部が読み取ったアタッチメントレンズ20の特性に応じて、補正データ格納部153に格納されている複数の補正データD1、D2、D3・・・の一つを補正データ選択部154で選択し画像データ補正部152に供給するものとしたので、アタッチメントレンズ20をEVF10に取り付けた場合でも、光学系14及びアタッチメントレンズ20を介して視認されるEVF10の液晶パネル12の表示面の画質のむらを低減することができる。
【0036】
尚、入力されたアタッチメントレンズ20の特性に対応する補正データが補正データ格納部153に格納されていない場合、画像データ補正部152は、補正データ格納部153に格納されている複数の補正データD1、D2、D3・・・の1または複数から、入力されたアタッチメントレンズ20の特性に対応する補正データを補間により作成し、作成した補正データに基づいて入力画像データの補正を行ってよい。例として、補正データ格納部153に、アタッチメントレンズ20がEVF10に取着されない場合、EVF10に取着されるアタッチメントレンズ20の倍率が2.0倍の場合、及びEVF10に取着されるアタッチメントレンズ20の倍率が3.0倍の場合のそれぞれ対応した補正データD1、D2、及びD3が格納されているとき、EVF10に倍率が2.5倍のアタッチメントレンズ20が取り付けられる場合を考える。この場合、倍率が2.0倍のアタッチメントレンズ20に対応した補正データD2と、倍率が3.0倍のアタッチメントレンズ20に対応した補正データD3とに基づいて、内挿による補間を行う(例えば、各入力画素値(0〜255)に対し、補正データD2に基づく出力画素値と補正データD3に基づく出力画素値の平均を、アタッチメントレンズ20の倍率が2.5倍である場合の出力画素値として関連付ける)ことで、倍率が2.5倍のアタッチメントレンズ20に対応する補正データ(変換データ)を作成してもよい。
【0037】
また、上記例では、補正データ格納部153は、光学系14に取り付け可能な複数のアタッチメントレンズ20の特性(倍率)に対応して、複数の補正データD1、D2、D3・・・を格納し、ユーザーがタッチパネル5を用いて入力したアタッチメントレンズ20の特性に応じて、補正データ選択部154が補正データを選択するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、補正データ格納部153に、アタッチメントレンズ20の特性を特定し得る別のレンズ情報(例えば、メーカー名及び型番)に対応して複数の補正データを格納し、補正データ選択部154は、レンズ情報読取部155で読み取ったアタッチメントレンズ20のメーカー名及び型番に対応付けられた(即ち、アタッチメントレンズ20の特性に対応した)補正データを選択し、画像データ補正部152に供給してもよい。
【0038】
(変形例2)
上記実施形態では、電気光学装置はEVFであったが、本発明はこれに限定されない。電気光学装置は、ヘッドマウントディスプレイやプロジェクターでもよく、表示部と、表示部に表示された画像を拡大する光学系とを有する電気光学装置であればよい。
【0039】
図12は、プロジェクターの構成の一例を示す平面図である。図12に示されたプロジェクター2100は、液晶パネルをRGB各色のライトバルブとして用いた3板式プロジェクターである。
【0040】
図12に示されるように、プロジェクター2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源を有するランプユニット2102が設けられている。ランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離される。分離された投射光は、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124を有するリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0041】
プロジェクター2100において、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bの各々は、画素毎に透過率を設定可能な液晶パネルからなる。ライトバルブ100R、100G及び100Bには、R色、G色、B色のそれぞれの原色成分の階調レベルを指定する映像信号が供給され、供給された映像信号に応じて、ライトバルブ100R、100G及び100Bがそれぞれ駆動される。ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折し、G色の光は直進する。したがって、各原色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ群2114によってカラー画像が投射される。投射レンズ群2114の光軸上の位置を変えることで、スクリーン2120に投影された画像の大きさを変えることができる。スクリーン2120上の画像の大きさが最大になる投射レンズ群2114の位置をワイド端、スクリーン2120上の画像の大きさが最大になる投射レンズ群2114の位置をテレ端という。
【0042】
なお、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R色、G色、B色のそれぞれに対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射される。したがって、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
【0043】
図12に示したプロジェクター2100の構成において、ライトバルブ100R、100G及び100B、または、それらの表示画面を合成するダイクロイックプリズム2112が、本発明の表示部の一例に相当する。また、投射レンズ群2114が、本発明の光学系の一例に相当する。補正データ格納部153は、投射レンズ群2114がワイド端にあるとき(倍率大)と、テレ端にあるとき(倍率小)のそれぞれに対応した補正データを格納し、画像データ補正部152は、投射レンズ群2114の位置に応じた補正データを、ワイド端に対応する補正データと、テレ端に対応する補正データとから内挿により補間して作成し、作成した補正データに基づいて、入力画像データの補正をしてよい。
【0044】
(変形例3)
上記実施形態では、液晶パネル12の表示面を中心点Cを中心とした半径r1、r2、及びr3の3つの同心円を境界とする4つの領域R1〜R4に分割したが、本発明はこれに限定されない。表示面を分割する領域の形状や数は、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性によって生じる画質むらの特性や、補正データ記憶部153の容量などに応じて変更してよい。より具体的には、表示面を分割する領域の形状は、液晶パネル12の特性及び光学系14の特性に応じて、液晶パネル12の各画素の画素データを同じにしたとき各領域内に含まれる画素の画質(例えば輝度)の差が極力小さくなるように定めてよく、表示面を分割する領域の数は補正データを格納する補正データ格納部153の容量に応じて決めてよい。
【0045】
図13は、光学系を通して視認される液晶パネル12の表示面の輝度むらの別の例を示す図であり、図14は、液晶パネル12の表示面の分割の別の例を示す図である。図13は、図4(A)と同様に、液晶パネル12の全画素の画素データを同じ中間階調を指定する画素データとしたときに、光学系14を通してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の輝度をグレーの濃淡で示した図であり、グレーの濃い部分ほど、視認される輝度が画素データにより指定された輝度に近く、グレーの薄い部分ほど、画素データにより指定された輝度よりも、視認される輝度が高いことを示す。図13に示した例では、液晶パネル12の全画素の画素データを同じ中間階調を指定する画素データとしたときに、光学系14を通してユーザーに視認される液晶パネル12の表示面の輝度が、表示面の短辺に沿った方向には概ね均一であり、表示面の長辺に沿った方向には、中心線Lから離れるほど、画素データにより指定された輝度よりも輝度が高くなっている。この場合、図14に示すように、液晶パネルの表示面を、輝度むらの少ない方向である表示面の短辺方向に延びる複数の直線によって区分された、各々矩形の領域R1〜R5に分割するとよい。ここで、長辺に沿った方向の中心線Lについて対称な領域は同じ領域とした。即ち、図14の例では、液晶パネル12の表示面を構成する各画素は、中心線Lからの長辺に沿った方向の距離に応じて、領域R1〜R5のいずれかに属する。このような分割により、例えば、表示面の長辺方向に沿った境界線により表示面を複数の領域に分割する場合と比べて、各領域R1〜R5に含まれる画素の輝度の差が小さくなる。各領域R1〜R5に含まれる画素の輝度の差が小さいと、各領域R1〜R5内の画素に対して同じ変換データを用いて画素値の補正を行っても、補正が過大または不十分となる画素が生じにくい。尚、図14の例では、5つの領域R1〜R5に分割したが、補正データ記憶部153の容量に応じて、5より多くの数の領域に分割したり、5より少ない数の領域に分割してもよい。
【0046】
(変形例4)
上記実施形態では、EVF10の表示部として液晶パネル12を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示部として、有機EL(Electro-Luminescence)素子を用いた有機ELパネルを用いてもよい。
【0047】
(変形例5)
上記実施形態では、入力画素値を出力画素値に変換するための変換データとして入力画素値と出力画素値を関連付ける変換テーブル(ガンマカーブ)を補正データ格納部に格納したが、本発明はこれに限定されない。例えば、出力画素値をPyとし、入力画素値をPxとしたとき、Py=a・Px+bのように、出力画素値Pyが入力画素値Pxの一次関数として表される場合、変換データとして係数a、bを補正データ格納部に格納してもよい。ただし、ガンマカーブを用いると、入力画素値と出力画素値の対応付けの自由度が大きい。
【符号の説明】
【0048】
1…デジタルカメラ、2…本体、3…シャッターボタン、4…電源スイッチ、5…タッチパネル、10…EVF、11…ハウジング、12…液晶パネル、13…バックライト、14…光学系、15…制御部、16…接点、20…アタッチメントレンズ、21…メモリー、151、…画像データ取得部、152…画像データ補正部、153…補正データ格納部、154…補正データ選択部、155…レンズ情報読取部、2100…プロジェクター、2102…ランプユニット、2106…ミラー、2108…ダイクロイックミラー、2112…ダイクロイックプリズム、2114…投射レンズ群、2120…スクリーン、2121…リレーレンズ系、2122…入射レンズ、2123…リレーレンズ、2124…出射レンズ、100R、100G、100B…ライトバルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて画像を表示する表示部と、
前記表示部に対向して配置された光学系と、
入力された画像データを前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて補正して、補正された画像データを前記表示部に出力する画像データ補正部と
を有する電気光学装置。
【請求項2】
前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて前記表示部の表示面を複数の領域に分割するべくこれら複数の領域を定義する領域定義データと、前記表示部の各領域に対応付けられた変換データとを格納するデータ格納部を有し、
前記画像データ補正部は、前記データ格納部に格納された前記領域定義データを参照して、前記表示部の各画素が属する領域を前記複数の領域から特定し、前記入力された画像データに含まれる当該画素の階調値を前記特定された領域に対応付けられた変換データに基づいて、補正された階調値に変換することで、前記入力された画像データの補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記変換データは、前記入力された画像データに含まれる階調値と、前記補正された画像データに含まれる階調値とを関連付ける変換テーブルを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記入力された画像データは、RGBの各色に対する画像データを含み、
前記変換データは、前記RGBのうち、前記光学系を介してユーザーによって視認される前記表示部の輝度のむらに最も影響を与える色である、支配的な色に対する画像データに含まれる階調値を、補正された階調値に対応付ける変換テーブルを含み、
前記画像データ補正部は、前記支配的な色に対する前記変換テーブルに基づいて、前記支配的な色に対する画像データの補正を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記光学系は、アタッチメントレンズを取り付け可能であり、
前記データ格納部は、各々前記領域定義データ及び前記変換データを含む複数の補正データを格納し、
当該電気光学装置は、前記光学系に取り付けられるアタッチメントレンズの特性に応じて、前記データ格納部に格納された複数の補正データの一つを選択して前記画像データ補正部に供給する補正データ選択部を有する
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記アタッチメントレンズのレンズ情報保持部に保持されたレンズ情報を読み取るレンズ情報読取部を有し、
前記補正データ選択部は、前記レンズ情報読取部によって読み取られた前記レンズ情報に基づいて、前記データ格納部に格納された複数の補正データの一つを選択する
ことを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項1】
画像データに基づいて画像を表示する表示部と、
前記表示部に対向して配置された光学系と、
入力された画像データを前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて補正して、補正された画像データを前記表示部に出力する画像データ補正部と
を有する電気光学装置。
【請求項2】
前記表示部の特性及び前記光学系の特性に応じて前記表示部の表示面を複数の領域に分割するべくこれら複数の領域を定義する領域定義データと、前記表示部の各領域に対応付けられた変換データとを格納するデータ格納部を有し、
前記画像データ補正部は、前記データ格納部に格納された前記領域定義データを参照して、前記表示部の各画素が属する領域を前記複数の領域から特定し、前記入力された画像データに含まれる当該画素の階調値を前記特定された領域に対応付けられた変換データに基づいて、補正された階調値に変換することで、前記入力された画像データの補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記変換データは、前記入力された画像データに含まれる階調値と、前記補正された画像データに含まれる階調値とを関連付ける変換テーブルを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記入力された画像データは、RGBの各色に対する画像データを含み、
前記変換データは、前記RGBのうち、前記光学系を介してユーザーによって視認される前記表示部の輝度のむらに最も影響を与える色である、支配的な色に対する画像データに含まれる階調値を、補正された階調値に対応付ける変換テーブルを含み、
前記画像データ補正部は、前記支配的な色に対する前記変換テーブルに基づいて、前記支配的な色に対する画像データの補正を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記光学系は、アタッチメントレンズを取り付け可能であり、
前記データ格納部は、各々前記領域定義データ及び前記変換データを含む複数の補正データを格納し、
当該電気光学装置は、前記光学系に取り付けられるアタッチメントレンズの特性に応じて、前記データ格納部に格納された複数の補正データの一つを選択して前記画像データ補正部に供給する補正データ選択部を有する
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記アタッチメントレンズのレンズ情報保持部に保持されたレンズ情報を読み取るレンズ情報読取部を有し、
前記補正データ選択部は、前記レンズ情報読取部によって読み取られた前記レンズ情報に基づいて、前記データ格納部に格納された複数の補正データの一つを選択する
ことを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図4】
【図13】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図4】
【図13】
【公開番号】特開2013−61442(P2013−61442A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199112(P2011−199112)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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