説明

電気力学的な破砕装置に用いられる作業電極、作業電極に用いられる交換部材及び作業電極の使用

【課題】電気力学的な破砕装置に用いられる作業電極に関する。
【解決手段】作業電極は、中心の導体2を有する絶縁体1を備えていて、この導体2は絶縁体1を軸方向に貫通するとともに作業端部に交換可能な交換部材4によって形成された電極先端部3を支持している。交換部材4は、摩擦接続的に緊締によって、中心の導体2の作業端部に設けられた端面側の開口内に固定されていて、拡開スリーブ24を有しており、該拡開スリーブ24を半径方向に拡開するための拡開体25を備えており、該拡開体25によって、拡開スリーブ24が、緊締を生ぜしめるために、半径方向で端面側の開口の壁26に対して押圧可能であるかまたは押圧されている。この構成により、電極先端部を簡単に交換することができ、強い圧力脈動時でも長い期間にわたって実際に保守なしに運転することができる、電気力学的な破砕装置に用いられる作業電極を提供することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気力学的な破砕装置に用いられる作業電極、前述した形式の作業電極に用いられる交換部材、および独立請求項を前提とした作業電極の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
材料、たとえばコンクリートを電気力学的に破砕する場合には、高電圧パルスで負荷された作業電極と、通常中性の電位にある基本電極との間で高電圧破壊が、粉砕したい材料を通して発生させられる。これによって、この材料の粉砕が生ぜしめられる。この場合、各高電圧破壊時には、作業電極先端部における僅かな材料摩耗も生ぜしめられ、これによって、作業電極先端部がある程度の使用期間後に損耗されていて、交換されなければならない。また、望ましくない電極材料による最終製品の汚染を阻止するために、電極交換が、装置によって砕解したい材料の変更時に必要になることもある。両事例では、今日知られている電気力学的な破砕装置において、作業電極全体が絶縁体を含めて交換されなければならない。このことは、特に作業電極がその接続側で、通常、絶縁オイルで充填されたシステムに連結されているので、コストおよび手間を要する作業を成している。ここから、更なる欠点として、使用される電極を完全に使い果たさないことが不経済的であることが明らかとなる。なぜならば、据付け手間が残り使用期間で測って比較的高いからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、公知先行技術の欠点を有していないかまたは公知先行技術の欠点を少なくとも部分的に回避する作業電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、独立請求項に従う作業電極およびこのような作業電極に用いられる交換部材によって達成される。
【0005】
本発明によれば、本発明の第1の態様は、交換可能な電極先端部を備えた、電気力学的な破砕装置に用いられる作業電極に関する。この作業電極は、たとえばプラスチックまたはセラミックス材料から成る絶縁体を有している。この絶縁体は、良導電性の、有利には金属材料、たとえばアルミニウム、銅またはステンレス性の鋼から成る中心の導体を備えている。この中心の導体は絶縁体を軸方向に貫通している。一方の端部において、中心の導体は、作業電極に高電圧パルスを供給するための高電圧発生器に接続するために形成されている。運転中、プロセス液、たとえば水と、破砕装置の、粉砕したい材料とで充填された作業領域に進入する他方の端部、いわゆる「作業端部」には、中心の導体が電極先端部を支持している。この電極先端部は、運転中、電圧破壊に対する出発点を成している。電極先端部は、一体のまたは複数の部分から成る交換可能な交換部材によって形成される。
【0006】
このような形式の作業電極は、電極の摩耗時にまたは粉砕したい材料の変化時に電極先端部が交換されさえすればよく、たとえば作業電極全体の交換の目的でのオイル充填された高電圧システムの開放が不要になるという利点を有している。これによって、電気力学的な破砕装置の、保守に起因した停止時間と運転コストとを著しく減少させることができる。
【0007】
交換部材は、摩擦接続的に緊締によって、中心の導体の作業端部に設けられた端面側の開口内に固定されている。これは、有利には、交換部材が、有利には円筒状の拡開スリーブと、この拡開スリーブ内に少なくとも部分的に配置された拡開体とを有しており、この拡開体によって、拡開スリーブが、半径方向に端面側の開口の壁に対して押圧され、これによって、軸方向に移動不能に開口内に緊締されるような領域で拡開スリーブが拡開可能であることによって実現される。これによって、中心の導体への交換部材の確実な固定を簡単に達成することができる。
【0008】
この場合、拡開体が、拡開スリーブの半径方向の拡開を生ぜしめるために拡開体を拡開スリーブに対して軸方向に移動させるための駆動エレメントに結合されており、この駆動エレメントが、中心の導体の作業端部で端面側の開口から進出していて、拡開体と反対の側の端部に電極先端部を形成していると有利である。これによって、中心の導体内での交換部材の緊締を、駆動エレメントに軸方向力を加えることによって簡単に生ぜしめることができる。さらに、有利には、拡開体と駆動エレメントとが互いに一体に形成される場合には、特に簡単なかつ頑丈な構造が得られる。
【0009】
また、この場合、拡開体が、拡開スリーブを半径方向に拡開するための、有利には円錐形のまたは角錐形の区分を有しているかまたは全体的に円錐台形体または角錐台形体として形成されていても有利である。なぜならば、これによって、極めて大きな拡開力を、コントロールして発生させることができるからである。
【0010】
有利には、駆動エレメントが、電極先端部と拡開体との間に雄ねじ山を有しており、この雄ねじ山によって、軸方向の力を雄ねじ山に加えることができ、これによって、拡開体の移動と、中心の導体に設けられた開口内での拡開スリーブの、結果的に生ぜしめられる半径方向の拡開および緊締とが生ぜしめられる。こうして、比較的大きな移動力を、コントロールして提供することができる。
【0011】
この場合、中心の導体の作業端部の方向への拡開体の軸方向の移動が拡開スリーブの半径方向の拡開を生ぜしめる、すなわち、駆動エレメントが、中心の導体内での交換部材の緊締のために、引張り力を伝達しなければならないように、拡開体が形成されている場合には、軸方向の移動力を発生させるための駆動エレメントの雄ねじ山が、隣接エレメントの相応の雌ねじ山と協働し、この雌ねじ山が、軸方向で拡開スリーブに支持されていると有利である。これによって、少ない構成部材を備えた簡単な構造が生ぜしめられる。
【0012】
また、この場合、隣接エレメントが、六角ナットまたは少なくとも2つの端面孔を備えた端面孔付きナットとして形成されており、このナットが、有利にはその外周面に、全周にわたって延びる半径方向の隆起部を有していても有利である。この隆起部は電界減衰部として働くことができる。
【0013】
有利には、この場合、駆動エレメントが、拡開体と雄ねじ山との間に、有利には伸び軸部または伸びスリーブとして形成された、有利には雄ねじ山の直径の少なくとも2倍、有利には少なくとも4倍の長さを備えた伸び領域を有している。
【0014】
これに対して、中心の導体の作業端部から離れる方向への拡開体の軸方向の移動が、拡開スリーブの半径方向の拡開を生ぜしめる、すなわち、駆動エレメントが、中心の導体内での交換部材の緊締のために、押圧力を伝達しなければならないように、拡開体が形成されている場合には、駆動エレメントの雄ねじ山が、隣接エレメントの相応の雌ねじ山と協働と協働し、この雌ねじ山が、軸方向で拡開スリーブに結合されており、これによって、軸方向の引張り力が、隣接エレメントと拡開スリーブとの間で伝達されるようになっていると有利である。この場合、有利には、隣接エレメントが、拡開スリーブと一体に形成されている場合には、最小数の構成部材を備えた可能なコンパクトな構造が得られる。
【0015】
有利には、この場合、拡開スリーブが、隣接エレメントと、拡開体によって半径方向に拡開される領域との間の領域に伸び領域を有しており、この伸び領域が、有利には隣接エレメントの雌ねじ山の直径の少なくとも2倍、さらに有利には少なくとも4倍の長さを有している。
【0016】
交換可能な交換部材と中心の導体との構成部材の間に圧着力を発生させるために必要となる力を伝達するための伸び領域を構造的に設けることによって、これらの構成部材の間の変化力を作業スペースにおける強い圧力脈動時にも回避することができ、これによって、特に頑丈なかつ長い時間にわたって保守なしの作業電極を提供することができる。
【0017】
有利には、駆動エレメントが、電極先端部と拡開体との間に、非回転対称的な横断面を備えた領域、有利には互いに平行な少なくとも2つの対称面を有している。両対称面は、拡開スリーブに対する駆動エレメントの回動および/または回動に抗した駆動エレメントの一時的な位置固定のために、工具、たとえばフォークレンチによって形状接続的に把持することができる。
【0018】
作業電極のさらに別の有利な構成では、交換部材と中心の導体との間に、交換部材と中心の導体との間の固定領域へのプロセス液および汚物の侵入を阻止するために、シール部材、有利にはOリングが配置されている。
【0019】
作業電極のさらに別の有利な構成では、中心の導体が、絶縁体から進出した作業側の端部の領域で外周面に、全周にわたって延びる半径方向の隆起部を有している。
【0020】
作業電極のさらに別の有利な構成では、中心の導体が、絶縁体からの作業端部側の出口の領域に、工具、たとえばフォークレンチと形状接続的に協働するための非回転対称的な横断面を備えた領域、有利には互いに平行な2つの対称面を有している。
【0021】
択一的または付加的には、中心の導体が、その作業端部側の端面に、端面孔レンチと形状接続的に協働するための少なくとも2つの端面孔を有していると有利である。
【0022】
この構成によって、中心の導体を交換部材の組付け時にかつ/または取外し時に絶縁体内での回動に抗して位置固定することが可能となる。この回動は、摩擦接続的に、たとえば圧入または収縮嵌めによって絶縁体内に固定された中心の導体において、絶縁体との結合部の自動解離もしくは破壊に繋がる恐れがある。
【0023】
作業電極の有利な構成では、電極先端部が、球冠または回転放物面体として成形されている。このような形状は、局所的に規定された破壊出発点と同時に電極先端部の良好な寿命を提供する。
【0024】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による作業電極に用いられる交換部材に関する。この交換部材は、拡開スリーブと、有利には円錐形のまたは角錐形の拡開体とを有している。この拡開体は、少なくとも部分的に拡開スリーブの内部に配置されていて、この拡開スリーブと協働し、これによって、この拡開スリーブが、所定の領域、有利には拡開スリーブの端領域でのこの拡開スリーブに対して相対的な拡開体の軸方向の移動によって半径方向に拡開することができる。この場合、拡開体は、有利には材料接続的に、たとえば一体の構成またはろう接または溶接によって、拡開体を拡開スリーブ内で移動させるための駆動エレメントに結合されている。この駆動エレメントは、拡開体と反対の側の端部で拡開スリーブから突出していて、この端部に球冠状のまたは回転放物面体状の電極先端部を形成している。この電極先端部と拡開体との間には、駆動エレメントが雄ねじ山を有している。この雄ねじ山には、相応の雌ねじ山を備えた、有利にはナット状の隣接エレメントが配置されている。この隣接エレメントは軸方向で拡開スリーブに支持されており、これによって、駆動エレメントに対して相対的な隣接エレメントの回転が、電極先端部の方向への、駆動エレメントに結合された拡開体の軸方向の運動を生ぜしめることができる。このことは、その後、拡開スリーブの拡開の増加に繋がる。
【0025】
交換部材の有利な構成では、隣接エレメントが、同じピッチで分配された、有利には少なくとも2つ、さらに有利には少なくとも4つの端面孔を備えた端面孔付きナットとして形成されている。この場合、さらに、この端面孔付きナットが、その外周面に、全周にわたって延びる半径方向の隆起部を形成していると有利であり、この隆起部が、主として、丸み付けられた周縁部を備えたディスクの形状を有しているとさらに有利である。こうして、隣接エレメントが付加的に電界減衰部として働くことができる。
【0026】
交換部材の別の有利な構成では、駆動エレメントが、拡開体と雄ねじ山との間に、有利には雄ねじ山の直径の少なくとも2倍、さらに有利には少なくとも4倍の長さを備えた、有利には伸び軸部または伸びスリーブとして形成された伸び領域を有している。
【0027】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様による作業電極に用いられる交換部材に関する。この交換部材は、拡開スリーブと、特に円錐形のまたは角錐形の拡開体とを有しており、これによって、拡開スリーブが、この拡開スリーブに対して相対的な拡開体の軸方向の移動によって半径方向に拡開されるようになっている。この場合、この拡開体は、有利には材料接続的に、たとえば一体の構成または溶接またはろう接によって、拡開スリーブ内で拡開体を移動させるための駆動エレメントに結合されている。この駆動エレメントは、拡開体と反対の側の端部で拡開スリーブから突出していて、この端部で球冠状のまたは回転放物面体状の電極先端部として形成されている。さらに、この電極先端部と拡開体との間には、駆動エレメントが雄ねじ山を有している。この雄ねじ山は、隣接エレメントの相応の雌ねじ山と協働する。隣接エレメントは、有利には一体の構成によって拡開スリーブに結合されており、これによって、隣接エレメントと拡開スリーブとの間での軸方向の引張り力の伝達が可能となり、隣接エレメントに対して相対的な駆動エレメントの回転によって、電極先端部から離れる方向への拡開体の軸方向の運動を生ぜしめることができる。このことは、その後、拡開スリーブの拡開の増加に繋がる。
【0028】
交換部材の有利な構成では、拡開スリーブが、隣接エレメントと、拡開体によって半径方向に拡開される領域との間の領域に、有利には隣接エレメントの雌ねじ山の直径の少なくとも2倍、さらに有利には少なくとも4倍の長さを備えた伸び領域を有している。一般的に、このような伸び領域は、可能な限り少なく剛性的な伸び特性を得るために、減少させられた横断面を有することで認めることができる。
【0029】
本発明の第2および第3の態様による交換部材は、有利な商品を成していて、電極先端部を電圧供給システムからの電極の分離なしに簡単に交換することができる作業電極の構造を可能にする。
【0030】
本発明の第4の態様は、有利には劣伝導性の材料、たとえばコンクリートまたはスラグを電気力学的に破砕するための、本発明の第1の態様による作業電極の使用に関する。このような使用では、本発明の利点が特に著しく露見する。
【0031】
本発明の更なる構成、利点および使用事例は、特許請求の範囲および図面に基づく以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による第1の作業電極の作業端部の縦断面図である。
【図2】本発明による第2の作業電極の作業端部の縦断面図である。
【図3】本発明による第3の作業電極の作業端部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、本発明による第1の作業電極の作業端部が縦断面図で示してある。認めることができるように、電極は、円筒状のかつ作業端部に向かって段階的に円錐台形に終わる絶縁体1を有している。この絶縁体1はプラスチックから成っていて、その中心に配置された中心の導体2を備えている。この中心の導体2はステンレス性の鋼から成っていて、絶縁体1内に収縮嵌めされている。中心の導体2はその作業端部側の端面に円筒状の中心の盲孔を有している。この盲孔は作業端部に向かって開放されている。この作業端部では、中心の導体2が、全周にわたって延びる半径方向の隆起部14を形成して絶縁体1から進出している。中心の導体2の中心の孔内には、本発明による交換部材4が配置されている。この交換部材4は、一方の端部に、スリットを備えた円筒状の拡開スリーブ24(断面図で示していない)を有している。この拡開スリーブ24は円錐台形の拡開体25によって、スリットを備えた端部で半径方向に拡開されており、これによって、拡開スリーブ24がこの端部の領域で半径方向に盲孔の壁26に対して押圧され、これによって、軸方向に移動不能に盲孔内に固く緊締される。拡開体25は、拡開スリーブの半径方向の拡開を生ぜしめる目的で拡開体25を拡開スリーブ内で軸方向に移動させるための駆動エレメント27と一体に形成されている。この駆動エレメント27は、拡開体25と反対の側の端部で拡開スリーブ24から突出していて、この端部において球冠状の電極先端部3で終わっている。この電極先端部3と拡開体25との間には、駆動エレメント27が雄ねじ山28を有している。この雄ねじ山28には、相応の雌ねじ山を備えた、六角ナットとして形成された隣接エレメント29(断面図で示していない)が配置されている。隣接エレメント29は軸方向で拡開スリーブ24に支持されており(内側の導体2には支持されていない)、これによって、駆動エレメント27に対して相対的な隣接エレメント29の回転が、電極先端部3に向けられた、駆動エレメント27に結合された拡開体25の軸方向の運動を生ぜしめ得る。その後、このことは、拡開スリーブ24の拡開の増加もしくは盲孔の壁26と拡開スリーブ24との間の緊締力の増加に繋がる。駆動エレメント27の、最終的に緊締力を生ぜしめる軸方向の引張り力を提供するための可能な限り「柔軟」なばね特性を得るためには、駆動エレメント27が拡開体25と雄ねじ山28との間の領域で伸び軸部として形成されている(図示せず)。駆動エレメント27の伸び軸部を拡開スリーブ24の拡開および緊締の目的でのナット29の締付け時にもしくは交換部材4の取出しの目的でのナット29の解離時に不適切なねじり力から負荷軽減するためには、駆動エレメント27が、電極先端部3と雄ねじ山28との間の領域に、それぞれ90°だけ周方向にずらされた4つの対称面12を有している。これらの対称面12には、駆動エレメント27をナット29の締付け時のもしくは解離時の回動に抗して位置固定するために、フォークレンチを当て付けることができる。
【0034】
図2には、本発明による第2の作業電極の作業端部が縦断面図で示してある。第6の作業電極は、構造に関して、前述した作業電極にほぼ相当している。しかし、図6に示した構成と異なり、本事例では、内側の導体2が純粋な円筒スリーブとして半径方向の隆起部なしに形成されていて、隣接エレメント29が、4つの端面孔23と、丸み付けられた周縁部とを備えたディスク状の端面孔付きナットとして形成されている。周縁部は、ここでは、電界減衰部の半径方向の隆起部を形成している。また、拡開スリーブ24が、この構成では、図6に示した例よりも短くかつ外周において著しく大きく寸法設定されていて、拡開体25が、図6に示した例よりもむしろプレート状に形成されていて、駆動エレメント27の、ここに見ることができる伸び軸部8が、図6に示した例よりも短く形成されていることが目立つ。これに対して、絶縁体1と、電極先端部3と、対称面12と、駆動エレメント27の雄ねじ山28とは、第5の構成と同一に形成されている。
【0035】
図3には、本発明による第3の作業電極の作業端部が縦断面図で示してある。認めることができるように、電極は、ここでも、円筒状のかつ作業端部に向かって円錐台形に形成された絶縁体1を有している。この絶縁体1の中心には、中心の導体2が配置されている。この中心の導体2はその作業端部側の端面に円筒状の中心の孔を有している。この孔は作業端部に向かって開放されている。この作業端部では、中心の導体2が、全周にわたって延びる半径方向の隆起部14を形成して絶縁体1から進出している。半径方向の隆起部14は、端面孔レンチを係合するための端面孔23を備えている。中心の導体2の中心の孔内には、本発明による交換部材4が配置されている。この交換部材4は、本事例では、拡開スリーブ24と、この拡開スリーブ24に対する軸方向の移動によって拡開スリーブ24を半径方向に拡開するための円錐形の拡開体25とを有している。この拡開体25は、拡開スリーブ24内で拡開体25を移動させるための駆動エレメント27に一体に結合されている。この駆動エレメント27は、拡開体と反対の側の端部で拡開スリーブ24から突出していて、この端部で球冠状の電極先端部3として形成されている。さらに、この電極先端部3と拡開体25との間には、駆動エレメント27が雄ねじ山28を有している。この雄ねじ山28は、拡開スリーブ24の作業側の端部に設けられた相応の雌ねじ山内にねじり込まれている。拡開スリーブ24のこの領域は、本発明による隣接エレメントを形成している。すなわち、ここでは、拡開体25と、駆動エレメント27と、雄ねじ山28と、電極先端部3とが、一体の螺入部材によって形成される。さらに、この螺入部材は、螺入工具もしくは螺出工具と協働するための対称面12を有していて、拡開スリーブ24内への螺入時に自動的に、中心の導体2に設けられた孔内での拡開スリーブ24の拡開および相応の緊締を生ぜしめる。ねじり力が、中心の導体2と絶縁体1との間の接触面に導入されないように、中心の導体2は、螺入部材の螺入時にもしくは螺出時に、有利には端面孔レンチによって回動に抗して位置固定される。さらに、認めることができるように、拡開スリーブ24は、駆動エレメント27の雄ねじ山28と協働する雌ねじ山と、拡開スリーブ24が拡開体25によって半径方向に拡開される領域との間に、横断面において著しく減少させられた領域9を有している。この領域9は、雌ねじ山の直径の約4倍の長さを備えた伸びスリーブ9を成している。
【0036】
本出願には、本発明の有利な構成が記載されているのに対して、当然ながら、念のための付言しておくと、本発明はこの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で別の形式で実施されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気力学的な破砕装置に用いられる作業電極において、絶縁体(1)が設けられており、該絶縁体(1)が、中心の導体(2)を備えており、該導体(2)の作業端部に電極先端部(3)が配置されており、該電極先端部(3)が、交換可能な交換部材(4)によって形成されており、該交換部材(4)が、摩擦接続的に緊締によって、中心の導体(2)の作業端部に設けられた端面側の開口内に固定されていて、拡開スリーブ(24)を有しており、該拡開スリーブ(24)が、該拡開スリーブ(24)を半径方向に拡開するための拡開体(25)を備えており、該拡開体(25)によって、拡開スリーブ(24)が、緊締を生ぜしめるために、半径方向で端面側の開口の壁(26)に対して押圧可能であるかまたは押圧されていることを特徴とする、電気力学的な破砕装置に用いられる作業電極。
【請求項2】
拡開体(25)が、拡開スリーブ(24)を半径方向に拡開するための特に円錐形のまたは角錐形の区分を有しており、拡開体(25)が、特に一体の構成によって、拡開スリーブ(24)の拡開の目的で拡開体(25)を軸方向に移動させるための駆動エレメント(27)に結合されており、該駆動エレメント(27)が、中心の導体(2)の作業端部で端面側の開口から進出していて、拡開体(25)と反対の側の端部に電極先端部(3)を形成している、請求項1記載の作業電極。
【請求項3】
駆動エレメント(27)が、電極先端部(3)と拡開体(25)との間に、軸方向の移動力を発生させるための雄ねじ山(28)を有している、請求項2記載の作業電極。
【請求項4】
中心の導体(2)の作業端部の方向への拡開体(25)の軸方向の移動が、拡開スリーブ(24)の半径方向の拡開を生ぜしめるように、拡開体(25)が形成されており、駆動エレメント(27)の雄ねじ山(28)が、ナット状の支持エレメント(29)の相応の雌ねじ山と協働するようになっており、支持エレメント(29)が、軸方向で拡開スリーブ(24)に支持されている、請求項3記載の作業電極。
【請求項5】
ナット状の支持エレメント(29)が、少なくとも2つの端面孔(23)を備えた端面孔付きナットとして形成されており、該端面孔付きナットが、特にその外周面に、全周にわたって延びる半径方向の隆起部(14)を形成している、請求項4記載の作業電極。
【請求項6】
駆動エレメント(27)が、拡開体(25)と雄ねじ山(28)との間に、特に伸び軸部(8)または伸びスリーブとして形成された、特に雄ねじ山(28)の直径の少なくとも2倍の長さを備えた伸び領域を有している、請求項4または5記載の作業電極。
【請求項7】
中心の導体(2)の作業端部から離れる方向への拡開体(25)の軸方向の移動が、拡開スリーブ(24)の半径方向の拡開を生ぜしめるように、拡開体(25)が形成されており、駆動エレメント(27)の雄ねじ山(28)が、支持エレメント(29)の相応の雌ねじ山と協働するようになっており、支持エレメント(29)が、拡開スリーブ(24)に結合されており、これによって、軸方向の引張り力が、支持エレメント(29)と拡開スリーブ(24)との間で伝達されるようになっており、特に支持エレメント(29)が、拡開スリーブ(24)と一体に形成されている、請求項2記載の作業電極。
【請求項8】
拡開スリーブ(24)が、支持エレメント(29)と、拡開体(25)によって半径方向に拡開される領域との間の領域に、特に支持エレメント(29)の雌ねじ山の直径の少なくとも2倍の長さを備えた伸び領域(9)を有している、請求項7記載の作業電極。
【請求項9】
駆動エレメント(27)が、電極先端部(3)と拡開体(25)との間に、駆動エレメント(27)の回動または回動防止のための工具と形状接続的に協働するための非回転対称的な横断面を備えた領域、特に互いに平行な2つの対称面を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の作業電極。
【請求項10】
交換部材(4)と中心の導体(2)との間にシール部材(13)、特にOリング(13)が配置されており、これによって、交換部材(4)と中心の導体(2)との間に形成された領域へのプロセス液の侵入が阻止されるようになっており、Oリング(13)が、交換部材(4)を中心の導体(2)に固定するために働くようになっている、請求項1から9までのいずれか1項記載の作業電極。
【請求項11】
中心の導体(2)が、絶縁体(1)からの作業側の出口の領域で外周面に、全周にわたって延びる半径方向の隆起部(14)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の作業電極。
【請求項12】
中心の導体(2)が、絶縁体(1)からの作業端部側の出口の領域に、フォークレンチと形状接続的に協働するための非回転対称的な横断面を備えた領域、特に互いに平行な2つの対称面(12)を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の作業電極。
【請求項13】
中心の導体(2)が、その作業端部側の端面に、端面孔レンチと形状接続的に協働するための少なくとも2つの端面孔(23)を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の作業電極。
【請求項14】
電極先端部(3)が、球冠または回転放物面体の形状を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載の作業電極。
【請求項15】
請求項1から6までのいずれか1項記載の作業電極に用いられる交換部材(4)において、拡開スリーブ(24)と、特に円錐形のまたは角錐形の拡開体(25)とが設けられており、これによって、拡開スリーブ(24)が、該拡開スリーブ(24)に対して相対的な拡開体(25)の軸方向の移動により半径方向に拡開されるようになっており、拡開体(25)が、特に拡開スリーブ(24)内での拡開体(25)の移動のための駆動エレメント(27)に材料接続的に結合されており、該駆動エレメント(27)が、拡開体(25)と反対の側の端部で拡開スリーブ(24)から進出していて、該端部に球冠状のまたは回転放物面体状の電極先端部(3)を形成しており、駆動エレメント(27)が、電極先端部(3)と拡開体(25)との間に雄ねじ山(28)を有していて、該雄ねじ山(28)に配置されて、特にナット状の支持エレメント(29)を有しており、該支持エレメント(29)が、軸方向で拡開スリーブ(24)に支持されており、これによって、駆動エレメント(27)に対して相対的な支持エレメント(29)の回転により、電極先端部(3)の方向への拡開体(25)の軸方向の運動が、拡開スリーブ(24)を徐々に拡開させて生ぜしめられるようになっていることを特徴とする、作業電極に用いられる交換部材。
【請求項16】
支持エレメント(29)が、特に少なくとも2つの端面孔(23)を備えた端面孔付きナットとして形成されており、該端面孔付きナットが、特にその外周面に、全周にわたって延びる半径方向の隆起部(14)を形成している、請求項15記載の交換部材。
【請求項17】
駆動エレメント(27)が、拡開体(25)と雄ねじ山(28)との間に、特に伸び軸部(8)または伸びスリーブとして形成された、特に雄ねじ山(28)の直径の少なくとも2倍の長さを備えた伸び領域を有している、請求項15または16記載の交換部材。
【請求項18】
請求項7または8記載の作業電極に用いられる交換部材(4)において、拡開スリーブ(24)と、特に円錐形のまたは角錐形の拡開体(25)とが設けられており、これによって、拡開スリーブ(24)が、該拡開スリーブ(24)に対して相対的な拡開体(25)の軸方向の移動により半径方向に拡開されるようになっており、拡開体(25)が、特に拡開スリーブ(24)内での拡開体(25)の移動のための駆動エレメント(27)に材料接続的に結合されており、該駆動エレメント(27)が、拡開体(25)と反対の側の端部で拡開スリーブ(24)から進出していて、該端部に球冠状のまたは回転放物面体状の電極先端部(3)を形成しており、駆動エレメント(27)が、電極先端部(3)と拡開体(25)との間に雄ねじ山(28)を有しており、該雄ねじ山(28)が、支持エレメント(29)の相応の雌ねじ山と協働するようになっており、支持エレメント(29)が、拡開スリーブ(24)に結合されており、これによって、軸方向の引張り力が、支持エレメント(29)と拡開スリーブ(24)との間で伝達されるようになっており、これによって、支持エレメント(29)に対して相対的な駆動エレメント(27)の回転により、電極先端部(3)から離れる方向への拡開体(25)の軸方向の運動が、拡開スリーブ(24)を徐々に拡開させて生ぜしめられるようになっていることを特徴とする、作業電極に用いられる交換部材。
【請求項19】
支持エレメント(29)が、拡開スリーブ(24)と一体に形成されている、請求項18記載の交換部材。
【請求項20】
拡開スリーブ(24)が、支持エレメント(29)と、拡開体(25)によって半径方向に拡開される領域との間の領域に、特に支持エレメント(29)の雌ねじ山の直径の少なくとも2倍の長さを備えた伸び領域(9)を有している、請求項18または19記載の交換部材。
【請求項21】
特に劣伝導性の材料、特にコンクリートまたはスラグを電気力学的に破砕するための請求項1から14までのいずれか1項記載の作業電極の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−210630(P2012−210630A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−135836(P2012−135836)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2008−554572(P2008−554572)の分割
【原出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(508294169)ゼルフラーク アクチエンゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】selFrag AG
【住所又は居所原語表記】Biberenzelgli 18, CH−3210 Kerzers, Switzerland
【Fターム(参考)】