電気化学インピーダンス分光法のための方法及びシステム
本願は、センサー及びその直近の環境の分光インピーダンスを測定するための方法及びシステムに関する。センサーは、工学的構成構造上に配置され、保護コーティングでコーティングされる。この方法には、第一変調周波数及び振幅を有する第一光信号を提供する工程が含まれる。この方法には更に、第一光信号と第二光信号とを、第一位置からセンサー位置に伝送する工程が含まれる。この方法には更に、第二光信号を第二変調周波数及び振幅で変調することが含まれ、第二変調周波数及び振幅は第一光信号から変換される。この方法には更に、位相差及び時間遅延のうち1つを測定するために、第一変調周波数を第二変調周波数と比較する工程と、センサー及びその直近の環境の電気化学インピーダンス分光を、周波数の関数として計算する工程とが含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出の方法及びシステムを目的とする。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
腐食を検出することができるセンサーは既知であり、例えば米国特許第6,384,610号、同第6,328,878号、同第6,316,646号、同第5,859,537号、同第6,054,038号、同第6,144,026号、同第4,380,763号、同第4,780,664号、同第4,962,360号、同第5,323,429号、同第5,367,583号、同第6,445,565号、及び同第6,896,779号に記述されている。例えば、これらの従来のアプローチのうちいくつかは「埋め込み可能」な腐食センサーを利用しているが、従来のテクノロジーではしばしば、堅いプリント基板及び堅いシリコンウエハチップを採用している。このようなテクノロジーの限界としては、厚さと脆さが挙げられる。堅い回路板を薄いエポキシ又はペイントコーティングの下に配置すると、コーティングの破損を引き起こすことがあり、シリコンウエハ系のセンサーは割れやすく、平坦でない表面にぴったり適合することもない。
【0003】
他の腐食検出システムは、米国特許公開第2008−0150555−A1号及び同第2007−0144272−A1号にも記述されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様により、センサー及びセンサー直近の環境の分光インピーダンスを測定する方法が提示される。センサーは、工学的構成構造上に配置され、保護コーティングでコーティングされる。この方法には、第一変調周波数及び振幅を有する第一光信号を提供する工程が含まれる。その方法には更に、第一光信号と第二光信号とを、第一位置からセンサー位置に伝送する工程が含まれる。この方法には更に、第二光信号を第二変調周波数及び振幅で変調することが含まれ、第二変調周波数及び振幅は第一光信号から変換される。この方法には更に、位相差及び時間遅延のうち1つを測定するために、第一変調周波数を第二変調周波数と比較する工程と、センサー及びセンサー直近の環境の電気化学インピーダンス分光を、周波数の関数として計算する工程とが含まれる。
【0005】
1つの態様において、この伝送工程には、第一光信号を第二光信号と多重化して複合信号にすることが含まれ、振幅変調された第一光信号は第一波長を有し、連続出力である第二光信号は、第一波長とは異なる第二波長を有する。更なる態様において、この方法には、光の複合信号を、センサー位置で少なくとも第一光信号と第二光信号に分割することが含まれる。
【0006】
別の態様において、この変調工程には、電気的にセンサーに接続され、第一光信号の電気変換を含む信号により電源供給される変調装置で、第二光信号を変調することが含まれる。
【0007】
別の態様において、この方法は更に、変調された第二光信号を第一位置に伝送する工程と、この変調された第二光信号を第一位置で検出する工程とを含む。
【0008】
別の態様において、この計算工程には、次の式により、センサー及びセンサー直近の環境の電気化学インピーダンス分光を計算することが含まれる。
【0009】
【数1】
【0010】
式中、RO(ω)は変調装置の初期インピーダンスであり、P0(ω)はセンサー位置での変調装置の初期の光学的反応であり、かつP1(ω)=Ae(iφ)である。式中のAは、第一位置で検出される、変調された第二信号の振幅であり、式中のφは、位相差及び時間遅延のうちの1つである。別の態様において、電気化学インピーダンス分光は、約0.1Hz〜約1MHzの周波数範囲にわたって計算される。
【0011】
本発明の別の態様により、工学的構成構造の物理的状態を監視するための検出システムには、その工学的構成構造上に配置可能で、工学的構成構造の表面と、その表面を実質的に覆う保護コーティングとの間に配置可能な、変調要素を含む第一センサーが含まれる。センサーからのデータを取得するためにコンパレーター回路、及び周波数ωでAC信号を提供するための信号発生器を備えたコントローラーが含まれる。この検出システムは、コントローラーによって生成された光信号を第一センサーに連結する1つ以上の光ファイバーを含み、第一センサーは、工学的構成構造及び保護コーティングに対応する電気化学インピーダンスデータを提供する。
【0012】
別の態様において、このシステムは前記光信号を発生するための光源を含み、光信号は、AC信号に対応する第一変調周波数及び振幅を有する第一波長での第一光信号と、第二波長での連続出力である第二光信号とを含む。別の態様において、この光源は第一及び第二の狭帯域光源を含み、ここで少なくとも第一の狭帯域光源は、信号発生器に接続されている。
【0013】
別の態様において、1つ以上の光ファイバーは、第一及び第二の光信号を第一センサーに運ぶための第一光ファイバーを含む。また、1つ以上の光ファイバーは、第一センサーからコントローラーへと戻る光信号を運ぶための第二光ファイバーを更に含み、この戻り光信号は、変調された第二光信号を含み、第二光信号は第二変調周波数及び振幅を有し、第二変調周波数及び振幅は第一光信号から変換される。
【0014】
別の態様において、コントローラーは、第一光信号及び第二光信号を組み合わせて複合信号にするための光マルチプレクサーを更に含み、このとき第一波長は、第二波長とは異なる。更に別の態様において、コントローラーは、センサーからの戻り光信号を受け取って検出するための検出器を更に含む。
【0015】
更に別の態様において、センサーは、工学的構成構造上に取り付けられた可撓性基材上に配置され、保護コーティングで覆われた、パターン化された導電性要素を有するセンサーヘッドを含み、このセンサーヘッドに電気的に接続された変調装置が第二光信号を受け取る。別の態様において、このセンサーは、光信号デマルチプレクサーを更に含み、このデマルチプレクサーは第二光経路に沿って第一光信号を伝送し、第一光経路に沿って第二光信号を伝送する。センサーは、第一光信号を電気信号に変換するための、第二光経路上に配置されたフォトダイオードアレイを更に含み、変調装置は第一光経路に沿って配置され、変調装置はフォトダイオードアレイからの電気信号によって給電される。1つの態様において、変調装置はエレクトロクロミックスイッチを含む。
【0016】
更に別の態様において、工学的構成構造は、パイプ、及びパイプ系の周溶接部分のうち1つを含む。
【0017】
本発明の上記の要約は、本発明の例示実施形態それぞれ、又はあらゆる実施を記述することを意図したものではない。より具体的に後述される図及び詳細記述が、これらの実施形態を例証するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、添付図面を参照して更に詳しく記述される。
【図1A】本発明の1つの態様による代表的な検出システム。
【図1B】本発明の別の態様による代表的な検出システム。
【図2】本発明の代表的な1つの態様による、コーティングと工学的構成構造との間に埋め込まれたセンサーの断面図。
【図3A】本発明の1つの態様による代表的なセンサー。
【図3B】本発明の別の態様による代表的なセンサーの一部の概略図。
【図3C】図3Bのエレクトロクロミックスイッチの概略図。
【図4A】非平坦表面上に配置された代表的なセンサーの別の実装例。
【図4B】非平坦表面上に配置された代表的なセンサーの別の実装例。
【図5】本発明の1つの態様による、パイプライン上に実装された代表的な検出システム。
【図6A】実験の第1セットから得た強度、位相、及びインピーダンス結果。
【図6B】実験の第1セットから得た強度、位相、及びインピーダンス結果。
【図6C】実験の第1セットから得た強度、位相、及びインピーダンス結果。
【図7A】実験の第2セットから得たインピーダンス結果。
【図7B】実験の第2セットから得たインピーダンス結果。
【0019】
本発明はさまざまな修正及び代替形態に従い、その明細は図に示す実施例によって示され、詳しく説明される。しかしながら、本発明は、記述されている特定の実施形態に限定されることを意図するものではないことが理解されるべきである。むしろ、付随する請求項によって定義される本発明の範囲内に入る修正、等価物、及び代替物すべてを網羅することを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、検出の方法及びシステムを目的とする。特に、代表的な実施形態の検出方法及びシステムは、工学的構成構造上のコーティング表面の状態を遠隔検出するために利用することができる。代表的な1つの態様において、この検出システムは、光ファイバー回線又は光ファイバーネットワークを利用して、1つ以上の検出器アレイを中央制御システムとつなぎ、電気化学インピーダンス分光法(EIS)測定を発生させ、この測定法を中央制御システムが利用して、検査対象である特定の工学的構成構造に関する、リアルタイムのコーティング情報を提供することができる。
【0021】
EISは、電圧及び電流の複合周波数依存性を測定することによって、材料及び電子的特性を特徴づけるのに使用されている試験方法である。工学的構成構造と試験装置との間に電気系接続ケーブルを使用するとき、EIS反応を測定するために使用できる幅広い周波数(1MHz〜0.001Hz)は、試験中に電磁干渉(EMI)による挑戦(challenges)を招くことになる。温度変化などの他の要因も、電子ケーブルによって運ばれる電気信号に影響し得る。好ましい1つの態様において、試験方法及びシステムは、光ネットワークを利用してEISデータが測定及び収集される。光ファイバー系ネットワークは、本明細書の代表的な態様において記述されるように、EMIに反応せず、光信号が長距離にわたって伝搬でき、工学的構成構造から中央ステーションまで、明らかなひずみ無しにEIS信号を返信することができる。
【0022】
これらの代表的な実装において、検出用法及びシステムは、データ取得システムを介して、工学的構成構造の1つ以上の物理的状態をリアルタイムで定期的(例えば毎時、毎日、毎週の)データをもたらすよう構成することができる。この種のデータ取得システムは、工学的構成構造の、「予防的」メンテナンスではなく、「状態に基づく」メンテナンスのために、リアルタイムデータを提供することができ、これにより、工学的に構成された物体又は構造の修理又は交換のスケジュール設定をより良く管理するためのデータがもたらされることによって、工学的に構成された構造又は物体の耐用期間を最大限にするのに役立つ。加えて、光ファイバー回線の使用により、工学的構成構造を、離れた場所(例えば、光ファイバー伝送線の長さで測定して1km〜10km又はそれ以上)に所在する制御システムで監視することが可能になる。
【0023】
本発明の1つの代表的な実施形態によって、図1Aは、検出システム100を概略図で示している。この検出システム100は、伝送光ファイバー105aを介してセンサーアレイ120aに連結された中央制御システム(コントローラー150として示されている)を含む。この代表的な実施形態において、センサーアレイ120aには、データ伝送ファイバー105a/106aに結合した複数のセンサー(図の例では、簡略化のために6個(130a〜130f)のセンサー群を示す)が含まれる。戻り信号光ファイバー107aも、代表的な態様に採用され得る。センサーアレイ120aは、工学的構成構造110の表面112上に配置される。特に、下記に詳しく述べるように、センサーアレイのセンサーは、中央コントローラーにEIS情報を提供するよう構成され得る。下記に詳しく説明されるように、本発明の実施形態は、さまざまなタイプのセンサーも利用することができる。
【0024】
1つの代表的な実施形態において、コーティング140は、工学的構成構造110の表面112に適用されている。センサー130a〜130fは、非常に薄い設計を有する(例えば、約13μm〜約75μmの検出部分厚さを有する)よう構成され、これによりセンサーは表面112とコーティング140との間に容易に配置される。このようにして、センサーはコーティング140及び工学的構成構造110の状態に関するデータを同時に提供することができる。
【0025】
工学的構成構造110は、水、海水、雨、風などの自然の影響にさらされる任意のタイプの構造又は物品であり得る。この構造110の物理的組成物は、金属(例えば鋼)、炭素繊維複合材料、セラミック、又はガラス繊維系材料(例えばガラス繊維積層品)であり得る。
【0026】
1つの代表的な実施形態において、検出システム100は、石油/ガス/水パイプラインプラットフォームに利用することができる(例えば、図5参照)。例えば、物理的な障壁のために視覚的に点検することが困難な、地上又は水中/地下石油/ガス/水パイプラインの長さ方向に沿って、センサーを配置することができる。本発明の実施形態の遠隔検出特性は、何キロメートルも離れたところからユーザーがセンサーに問い合わせする能力をもたらし得る。このようにして、中央に配置されたコントローラーが、パイプラインに沿ったさまざまな遠隔位置で、特に周溶接と呼ばれる数多くのパイプライン接続点において、コーティング及び/又は構造の状態を遠隔で検出することができる。これらの数多くの周溶接はそれぞれ、厳しい環境条件にさらされているため、代表的な検出システム100によって検出される、コーティング及び/又は構造の状態のリアルタイムで定期的な評価が、メンテナンス計画に関連する重要な情報をもたらすことができる。
【0027】
例えば図5は、代表的なパイプライン部分110’を示す。このパイプライン部分は光ファイバー105a(及び所望により別の戻りファイバー107a)によって中央コントローラー150に光学的に結合しており、これが中央コントローラーとの光信号の送受信を行う。このパイプライン部分110’には、例えばセンサー130a、130bなどの複数のセンサーユニットが含まれる(簡略化のため2つだけが示されている)。好ましい1つの態様において、このセンサーはパイプラインシステムのさまざまな位置に配置される。この実施例では、センサー130a及び130bはそれぞれ、周溶接112a及び112bの位置に配置されている。パイプラインのパイプユニットが溶接で接合された後に、その周溶接部分がコーティングされているため、これらの場所はより腐食の影響を受けやすい可能性がある。別の態様においては、各周溶接に、1つ又は複数のセンサーを含めることができる(例えば、一組のセンサーで周溶接の周囲を包む)。一連のタップオフ(tap-off)装置161a〜161bは、中央コントローラーで発した光信号の一部を届けるのに使用され得る。これらの構成要素の操作に関する詳細は、下記で述べる。
【0028】
別の実施形態による検出システム100は、例えば海上プラットフォーム(例えば船やその他の船舶)、トンネル、橋、及び航空機などの、腐食あるいは他の形態の物理的劣化を被りやすいような、他のタイプの工学的構成構造に使用できる。
【0029】
構造110を保護するために、コーティング140には、例えばエポキシ系コーティング又は塗料などのコーティングが含まれ得る。例えば、コーティングは、パイプライン用途に使用される従来の溶融接着エポキシ(FBE)コーティング(例えば3M Company(ミネソタ州セントポール)から市販されているもの)であり得る。他のコーティングには、ポリアミドエポキシ類及びその他のコーティングエポキシ類(例えば、3M Company(ミネソタ州セントポール)から市販されている製品番号2216A/Bなど)が含まれ得る。下記に更に詳しく説明されるように、検出システム100は、コーティング140の状態特性を検出するのに使用され得る。
【0030】
1つの代表的な実施形態に従って、中央コントローラー150は、監視下に個々の工学的構成構造110から離れて位置することができる。好ましい1つの態様において、コントローラー150には、データ取得システム151、光源152、変調器153、信号発生器157(これは変調器153とは別のものであっても、一体部品であってもよい)、及びコンパレーター回路155が含まれる。他の構成要素には、マルチプレクサー154、検出器159及び光サーキュレーター156も含まれ得る。いくつかの態様において、このコントローラーには光スペクトル分析器165も含まれ得る。好ましい1つの態様において、コントローラー150は、工学的構成構造110のEIS反応を決定することができる。
【0031】
操作中においては、1つ以上の異なる光信号を、光源152から発生させることができる。光源152から発せられた光信号は、伝送光ファイバー105aを介してセンサーアレイ120aに伝えられる。好ましい1つの態様において、このコントローラーは光信号を送信及び受信する。戻り光信号は、別の戻りファイバー107a又は伝送ファイバー105aによって、中央コントローラーへと導かれ得る。いくつかの態様において、戻り信号は直接、検出器159に供給され得る。他の態様において、戻り信号は光サーキュレーター156によって、検出器159又は(所望により)スペクトル分析器165へと導かれ得る。所望により、コントローラー150によって制御されている光スイッチ158を、他の工学的構成構造及び/又は他のセンサーアレイ(例えばセンサーアレイ120c)へと光信号を分配するのに利用することができる。システム全体の1つ以上のセンサーアレイと通信するために、1つ以上の光信号を使用することにより、長距離の接続が得られ、電線系ネットワークで存在し得るような電磁干渉(EMI)が実質的に減少又は排除される。
【0032】
1つの態様において、データ取得システム151は、光源152、(所望により)変調器153、(所望により)信号発生器157、コンパレーター回路155、及び(所望により)光スイッチ158と通信を行うサーバー又は他のコンピューター系装置として構成することができる。データ取得システム151は、インタフェース装置及びデータ保存及び表示のためのコンピューターを含み得る。例えば、このデータ取得システムは、信号発生器/変調器及びコンパレーター回路と通信を行うためのインタフェースカード(例えばGPIBカード)を備えたコンピューターを含み得る。また、このデータ取得システムは、例えばコーティング状態のリアルタイムなデータ等の画像データをユーザーに提供するため、別個のディスプレイに接続することができる。データ取得システム151はコンピューター、サーバー、又はコンピューターをベースとした装置であるため、データの収集、操作、分析、及び送達は、ここに搭載されたアプリケーション専用ソフトウェアプログラムを介して供給され得る。同様のデータ検索、復調及び保存プロセスを、システム内で使用されるすべてのセンサー又はセンサー群について利用することができる。コーティング又は構造の劣化が起きていることを1つのセンサーが示すと、(例えば可聴形式及び/又は視覚的形式で)警告がユーザーに供給され得る。あるいは、ユーザーの請求によりデータを表示することができる。自動化プロセスを採用して、データ検索及び分析をリアルタイムの定期的な方法でアクティブにすることができる。
【0033】
1つの態様において、EIS測定について、光源152は1つ以上の区別できる(相対的に)狭帯域の光源を含み、それぞれが異なる波長の出力を有し、これにより複数の波長チャネルλ1〜λnを有する光の出力信号が得られる。例えば、狭帯域光源のセットには、例えばレーザーダイオード又はLEDなどの、レーザー光源セット又はダイオード光源セットが含まれ、このそれぞれが異なる出力波長λ1〜λnを有し得る。例えば、異なる波長出力λ1〜λn(例えば1550nm、1550.5nm、1551nm、...1570nm)を有するダイオードを別個に使用することができる。図1Aに示すように、代表的な光源152には、別個の光源152a及び152bが含まれ得る。光源152a及び152bによって発生した別個の波長信号が、マルチプレクサー154によって多重送信され、ファイバー105a、106aに沿って伝送され得る。このタイプのシステムにおいては、システム内のすべてのセンサーの問い合わせに、この2つの信号を使用することができる。更なる別の方法において、光源152は、より幅広い波長範囲のレーザー出力(例えば10〜20μm範囲にわたるレーザー出力)を生成する、1つ以上の調節可能なレーザーを含み得る。また更なる別の方法において、光源152は、(比較的)低いスペクトル電力密度を有する1つ以上の連続する広帯域光源(例えばランプ)を含み得る。例えば、自然放射増幅光源などの光源も使用することができる。
【0034】
好ましい1つの態様において、変調器153及び/又は信号発生器157は、光源152によって発生する1つ以上の光信号を変調するためのAC信号を供給することができる。この変調された信号(AM)が、遠隔センサーへ伝送される。1つの態様において、信号発生器157は、AC信号発生器であり得、そして、AC出力信号は、外部の電力増幅器で増幅してDCバイアスを加えることができ、結果として得られるバイアスされたAC信号が光変調器153に印加され、これが光源の出力を、制御された状態で変調する。1つの態様において、レーザー光源152aは、波長λ1の第一光信号を出力し、レーザー光源152bは、波長λ2の第二光信号を出力する。第一レーザー光源は、変調機153に接続して、光信号λ1を周波数ωで変調することができ、ここにおいて第二レーザー信号λ2は変調されていない(又は逆もまた同様)。インピーダンス測定中、周波数ωを変えて(例えば0.001Hz〜1MHz、又はより好ましくは0.1Hz〜1MHz)、完全な分光測定を実施することができる。他の周波数掃引も利用することができる。
【0035】
多重送信信号が次に、ファイバー105aに沿って伝送され得る。1つの態様において、ファイバー105aは伝送信号及び戻り信号を運ぶことができる。別の態様において、戻り信号は、例えばファイバー107aなどの別のファイバー回線で運ばれ得る。本明細書において、当業者には理解されるように、複数の波長光源152について、異なる波長のいくつかの光信号を変調し、同時にいくつかの他の光信号は変調されない状態にすることができる。更に下記に詳しく説明するように、伝送信号及び戻り信号に関連する情報の比較は、EIS測定を行うための基盤を提供し得る。
【0036】
複数波長の光信号は、光ファイバー105aに沿った第一センサーアレイ120aへ伝送される。光ファイバー105aは、例えばコーニング社(ニューヨーク州、コーニング市)から市販されているSMF28(登録商標)光ファイバーのような従来の通信用ファイバー、又は、典型的な光通信波長領域1300nm若しくは1550nm以外の波長領域で使用可能な別の光ファイバーであり得る。所望により、この光信号は更に、スイッチ169を介して追加のセンサーアレイ120bへ更に分配することができる。戻りファイバー(例えばファイバー107a)が使用される場合、戻りファイバーの構成は、伝送ファイバーと同じであり得る。
【0037】
図1Aの実施形態に示すように、センサーアレイ120aで受け取った(波長λ1〜λnを有する)光信号は、一連のタップオフ(tap-off)装置161a〜161fを介して個々のセンサー130a〜130fへ分配することができる。好ましい1つの態様において、タップオフ装置161aは、入力信号(例えば第一及び第二光信号λ1、λ2)の一部をセンサー130aへ分配するデマルチプレクサーを含むことができ、このとき残る信号λ3〜λnは、アレイの他のセンサー、すなわちセンサー130b〜130fへ分配される。
【0038】
別の実施形態において、図1Bに示すように、センサーアレイ120dは、複数の個別センサー(この実施例ではセンサー130aから130l)を含み得る。ここで、各個別センサーは(光ファイバー105a〜105lを介して、及び所望により、戻りファイバー107a〜107lを介して)コントローラー150に直接接続されている。ここで、戻り信号ファイバー(図示なし)も採用され得る。この別の態様において、タップオフ装置(例えばタップオフ装置161a〜161f)は不要である。
【0039】
図2の断面図に示すように、センサー130aは、構造110の表面112上に配置できる。センサー130aは、例えば耐水分性の二成分エポキシ(例えばTra−Con Corp.(マサチューセッツ州ベッドフォード)から市販されているTra−Con 2151接着剤)、又は両面テープ若しくは移動粘着剤(例えば3M Company(ミネソタ州セントポール)から市販されている3M VHB)のような、接着剤を介して表面112に固定することができる。センサー130aは、光ファイバー105a/106a及び(所望により)戻りファイバー107aを介して、中央コントローラー150と通信できる。コーティング140が表面112に適用され、外部の物質又は材料160の腐食性影響から構造110を保護する。より詳しく下記に説明されるように、センサー130aは、(例えばインピーダンスのモニタリングにより)コーティング140の状態を検出することができ、これによりコーティング140が劣化し、及び構造110が腐食し始めるときの一般的なコーティング状態を示すことになる。
【0040】
図1Aに示すように、センサーアレイ120aは、複数の個々のセンサー130a〜130fを含む。もちろん、工学的構成構造の大きさ又は具体的な用途に応じて、より多数のセンサー又はより少数のセンサーをセンサーアレイ120aに利用することができる。好ましい1つの態様において、個々のセンサーはそれぞれ、同じ基本構造を有し得る。例えば、図3A及び3Bに示すように、センサー130aは、柔軟なポリイミド基材上に形成することができ(下記で詳しく説明される)、その上に配置された光電子インタフェース134を含むことができる。あるいは、個々のセンサーが異なる構造を有し得る。
【0041】
1つの態様において、光電子インタフェース134は、ポリマー系材料(例えばポリアミド、ポリエステル)、液晶ポリマー、又はアクリル材料などのベース材料上に配置することができる。ベース材料は、光電子インタフェース134及び/又はキャップ部分の密封封止(図示なし)の一部のための支持を提供することができる。ベース材料及び/又はその他のセンサー部分は、接着剤(例えば3M Company(ミネソタ州セントポール)から市販されているVHB)によって、工学的構成構造110の表面に接着することができる。構成要素及び相互接続部分を環境曝露から保護するために、保護コーティング又は封止剤133も供給され得る。所望により、更なる保護のために、パッケージキャップ材質(例えば硬質プラスチック)が、外側保護シェルを供給することができる。全体的なパッケージ厚さは、約100μm〜約1000μmに維持され得る。
【0042】
光電子インタフェース134は、光信号デマルチプレクサー137を含み得る(図3Bを参照)。1つの態様において、このデマルチプレクサー137は、あらかじめ定められた1つ又は複数のチャネル(例えばλ1、λ2)を選択するための、薄膜系のチャネルセレクターを含み得る。更に、この各センサーの光信号デマルチプレクサーは、その波長λnによって個々のセンサーそれぞれを識別するのに使用することができる。光信号デマルチプレクサー137は、図3Bに示すように、光信号を2つの経路(例えば経路139a及び139b)に分割するのに使用され得る。1つの態様において、デマルチプレクサー137は、信号λ2を選択肢、経路139aに沿ってこれを伝送し、一方で信号λ1は経路139bに沿って伝送される。
【0043】
センサー130aは、更にPINダイオードアレイ135(好ましくは光起電力PINダイオードアレイ)を含み、光信号の一部を受け取って電力に変換することができる。図3Bに概略図を示すように、信号λ1が経路139bに沿ってPINダイオードアレイ135へ伝送され、このダイオードアレイが光信号を受け取って電力を発生する。好ましい1つの態様において、信号λ1は周波数ωで中央コントローラーにおいて変調され、PINダイオードアレイ135で発生した電気信号も、この周波数ωで変調される。この電力は、変調装置(この代表的な態様においてはエレクトロクロミックスイッチ136)用電源として使用することができる。信号λ1が変調されると、ダイオードアレイからの変調された電気信号が更に、エレクトロクロミックスイッチ136のための変調された電源を提供する。この代表的な態様において、信号λ2は経路139aに沿ってエレクトロクロミックスイッチ136へと伝送される。エレクトロクロミックスイッチ136は第二の光信号λ2を受け取り、経路139cで運ばれてきたλ2の戻り信号が変調されるように前のDC信号を変調する。
【0044】
下記に述べるように、変調装置(エレクトロクロミックスイッチ136)が利用できる電力量は、検出部分132がこのエレクトロクロミックスイッチ136用の電源に接続されているため、保護コーティング140の状態に依存し得る。
【0045】
図3Cに示すように、代表的なエレクトロクロミックスイッチ136は、2つの光透過性材料136c、136dと、その間に配置された電圧感受性材料136aを含み得る。電圧感受性材料136aは、例えば三酸化タングステンを含み得る。電解質136eがこの電圧感受性材料と層136fとの間に配置され、これは好ましくは五酸化バナジウム層である。電解質層136eは、印加電圧Vのための電荷移動メカニズムを提供し、ここで五酸化バナジウム層136fは、エレクトロクロミックスイッチの変調中のコントラスト比を強化することができる。1つの態様において、光透過性基材136bは、戻り信号ファイバー139c(及び戻り信号ファイバー107a)に結合するよう供給され得る。1つの別の態様において、透過性材料136dは、基材136bの代わりに、高反射性のコーティングでコーティングすることができ、これにより変調機を経て反射して戻った戻り信号が供給される。
【0046】
別の態様において、変調装置はマイクロエレクトロクロミックスイッチを含み得る。ファイバー系のマイクロエレクトロクロミックスイッチ及びその構成要素の製造の詳細は、出願中の米国特許公開第2008−0150555−A1号に記述されており、これは参考として全体が本明細書に組み込まれる。この出願中の米国特許公開第2008−0150555−A1号に具体的に記述されているマイクロスイッチは、中央コントローラーに返る戻り信号を反射するのに最も適している。別の1つの態様において、このようなマイクロエレクトロクロミックスイッチは、戻りファイバーを含む光学システムに使用するため、改変することができる(例えば、バックリフレクターを取り除き、戻りファイバーを取り付けるなどの改変)。このようなシステムは、光ファイバーの端末に形成される、又は伝送ファイバーと戻りファイバーとの端子の間に形成される、きわめてコンパクトな構造を有することができる。
【0047】
センサー130aは更に、センサー部分132を含む。好ましい1つの態様において、アレイ検出部分132は、交互に嵌め合った金属系(例えば金、銀、銅)の回路を有する電極を含み、これが電気化学/腐食測定のアノード及びカソードとして使用することができ、可撓性のポリイミド基材上に形成することができる。加えて、センサー130aの一部をそれ自体の保護オーバーコート133でコーティングすることができる(例えば、センサーの電気/光変換部分をカバーするが、構造110及びコーティング140に対して露出した検出部分132は残しておく)。
【0048】
代表的な実施形態において、検出部分132は、例えば3Mの可撓性回路材料(3M Company(ミネソタ州セントポール)から商品名3MFlex(登録商標)として市販)などの薄い可撓性の基材材料上に形成することができる。このような可撓性回路を製造するための代表的な物品及びプロセスは、米国特許第6,320,137号に記載されており、これは参考として全体が組み込まれる。「可撓性」という語は、センサー及び(該当する場合は)基材が曲がっても検出部分が層間剥離しないことを意味する(例えば、検出部分がその導電性質を失うことなしに、非常に小さな曲率半径で90度(又はそれ以上)に曲げ、又は鋭く直角に曲げ、又は折り目をつけることができる)。
【0049】
例えば、検出部分132には、例えばポリイミド材料などの基材を含み得る。検出電極構造は、基材の上に例えばクローム結合層を有し、銅(又は他の導電性)層をその上に配置し、その銅層の上に銀(又は金若しくは他の金属)層を配置した、パターン化した多層材料として形成することができる。本記述で明らかであるように、他の多層構造も利用することができる。よって、代表的なカソード−アノード構造を備えた検出部分132は、これまでは監視が困難だった場所で、カソードとアノードとの間のインピーダンスを測定する能力を提供することができる。
【0050】
別の1つの実施形態において、検出部分132は、水に感受性がある化学種、例えばAl、Fe、又はZnで形成された電極として構成することができる。この化学種が水と相互作用すると、測定されるインピーダンス又は抵抗に変化が生じる。本明細書において、当業者には明らかであるように、他の腐食感受性種も利用することができる。
【0051】
操作中においては、1つの態様において、変調装置であるエレクトロクロミックスイッチ136は、PINダイオード135の出力によって給電される。図3Bの概略図に示すように、検出部分132は好ましくは、可撓性ポリイミド基材上に形成された、交互に嵌め合った金属系回路を有する電極構造の物理的構成体を有する。好ましい1つの態様において、エレクトロクロミックスイッチ136は、交互に嵌め合った検出部分132に対して並列に配置される。あるいは、エレクトロクロミックスイッチ136は、交互に嵌め合った検出部分132に対して直列に配置することができる。
【0052】
例えば、最初の段階では、コーティング140の質は良好である。従って、検出部分132による抵抗/インピーダンスは高い。その結果、この初期条件でエレクトロクロミックスイッチ136にAC電圧(V)を印加すると、大きな振幅でAC電圧信号が生成される。エレクトロクロミックスイッチ136に対するAC電圧(V)が大きな振幅を有するとき、電圧感受性材料136aは(比較的)大きな振幅変調で入力信号(λ2)を変調し、これにより、コントローラー150へ返る戻りλ2信号の振幅(A)は高くなる。
【0053】
より後の段階になると、腐食性要素にさらされた後、コーティング140の品質が劣化する。従って、検出部分132による抵抗/インピーダンスは低下する。その結果、エレクトロクロミックスイッチ136に対するAC電圧(V)はより小さな振幅を有する。エレクトロクロミックスイッチ136に対するAC電圧(V)がより小さな振幅を有するとき、電圧感受性材料136aはより小さな振幅変調で入力信号(λ2)を変調し、これにより、戻りλ2信号は(比較的)小さな振幅(A)を有する。よって、オペレーターは、遠隔位置からコーティング140の相対的状態を測定することができる。本明細書において、当業者には明らかであるように、この操作の他の変形方法も利用することができる。
【0054】
上記の説明はλ1、λ2信号に限定されているが、本発明の態様はこれに限定されず、λ3、λ4信号をセンサー130bに伝送することができ、λ5、λ6信号をセンサー130cに伝送することができ、というように続く。よって、好ましい1つの態様において、他のセンサー位置(130b〜130n)での他の信号(λ3〜λn)が、この工学的構成構造の他の場所でのコーティング状態に対応して生成される。よって、例えば光学的スペクトル分析器165などの分光計装置を、戻り光信号を分析するためのコントローラーで使用することができる。あるいは、中央コントローラーは1つ以上のデマルチプレクサー(図示なし)を利用して、戻り信号を波長の関数として分離することができる。
【0055】
好ましい1つの態様において、変調されたλ2信号が、戻りファイバー107aを経由して中央コントローラー150へ戻ると、λ2信号の振幅が測定され、この戻り信号の位相特性を、λ1信号の変調に使用されたAC信号に照らして比較することができ、これにより、正確なEIS測定を決定するために必要なデータを得ることができる。例えば、変調されたλ2信号が、中央コントローラー150へ戻る。1つの態様において、この戻り信号は戻りファイバー107a上に供給され、検出器159に導かれる。別の1つの態様において、戻り信号は、ファイバー105aを介して中央コントローラーに達することができ、光サーキュレーター156を介して検出器159に導くことができる。
【0056】
変調された戻りλ2信号が検出器159によって電気信号に変換され、これは好ましくは、例えば光起電力ダイオードなどの1セット以上のPINフォトダイオードを含む。この変調された電気信号がコンパレーター回路(例えば、市販されているものなどのデジタルロックイン増幅器を含むもの)に供給される。コンパレーター回路155には、1組の入力が含まれ、このうち少なくとも2つが、検出器159からの変換された信号の入力と、信号発生器157及び/又は変調器153からの入力とを含む。これらの信号は、ロックイン増幅器又は類似のものを使用して比較され、位相の差又は時間遅延が測定される。測定された信号は次に主コントローラー回路151に供給され、特定の1つ又は複数のセンサーについてのEIS測定値を計算することができる。完全なEIS試験のためには、変調器/信号発生器の周波数を変えて(例えば周波数をω1、ω2、ω3、というように掃引して)、異なる周波数での測定値を得ることができる。
【0057】
更に詳しくは、好ましい1つの態様において、上述のシステムを利用した工学的構成構造のEIS測定は、次のように実施することができる。
【0058】
中央コントローラー150で、周波数ωを有する変調されたAC信号(tl)が、信号発生器157/変調器153によって生成され得る。この変調された信号が光源152に供給され、これにより光源152の少なくとも1つの出力信号(例えばλ1)が、周波数ωを有するAM光信号となる。完全な分光範囲を得るため、周波数は幅広い周波数範囲(1つの態様において0.001Hz〜1MHz、又は別の態様において0.1Hz〜1MHz以下)にわたって掃引することができる。AM λ1信号は、マルチプレクサーによって少なくとも1つの非変調(好ましくはDC)光信号(例えばλ2)と組み合わせられ、この複合信号が、光伝送ライン(例えばファイバー105a)を介して、工学的構成構造上に配置されている少なくとも1つの遠隔センサー又はセンサーアレイ(例えばセンサーアレイ120a)に伝送される。
【0059】
このセンサーには、例えば図3Aに示す検出部分132のような、保護コーティングと工学的構成構造110の表面との間に配置されている検出部分を含む。センサーは好ましくは、可撓性ポリイミド基材上に形成された、交互に嵌め合った金属系回路を有する電極構造の物理的構成体を有する。
【0060】
個々のセンサー位置(例えばセンサー130a)において、この複合信号がデマルチプレクサー(例えばデマルチプレクサー137)によって、少なくとも第一及び第二の光信号構成成分に逆多重化される。第一光信号成分(例えば変調されたλ1信号)は、フォトダイオードアレイ135によって電気信号に変換することができ、これによって、結果として得られた変調された電気信号が変調装置(例えばエレクトロクロミックスイッチ136)に、選択された周波数ωで電力を供給することができる。第二光信号構成成分(例えばλ2信号)は、エレクトロクロミックスイッチ136を通過し(又は所望により反射され)、ここでλ2信号が周波数ωで変調される。この変調装置は、センサーヘッドの検出部分に電気的に結合しているため、コーティングの状態が、この変調された戻りλ2信号の位相(又は時間遅延)及び振幅に影響を与え得る。
【0061】
ここで、変調された光信号λ2が遠隔センサーから、別の戻り信号ファイバー(例えばファイバー107a)又は光伝送ライン105のいずれかを介して返され、中央コントローラーがこれを受け取る。戻り光信号λ2は、検出器(例えば検出器159)によって電気信号(t2)に変換される。この変換された戻り信号が、コンパレーター(例えばコンパレーター回路155)に供給される。振幅変調光信号λ1に対応して信号発生器157/変調器153から生成されたもう1つの電気信号(t1)も、このコンパレーターに供給される。コンパレーターはt2及びt1信号の間の相対的な位相差φ又は時間遅延を測定し、光信号λ2が変換された電気信号t2の振幅Aを測定する。位相差及び振幅の測定値に基づき、PINダイオードによって電源供給されているときに測定された遠隔位置での変調装置の光学的反応は、P1(ω)=Ae(iφ)として計算することができる。
【0062】
よって、センサーヘッド及びその直近の環境(その位置のコーティング140及び工学的構成構造110を含む)の電気的インピーダンスRC(ω)は、次のように決定することができる。
【0063】
【数2】
【0064】
式中、RO(ω)は遠隔変調装置の初期インピーダンス(メーカーから提供され得るもの、又は設置前に標準EIS装置を使用して測定され得るもの)であり、P0(ω)はPINダイオードによって電源供給されているときに測定された遠隔変調装置の初期光応答(コーティングの適用、並びに工学的構成構造の表面にセンサーヘッド接続を行う前の応答)であり、かつ、既に説明したように、P1(ω)=Ae(iφ)である。
【0065】
完全な分光測定を提供するために、上述のプロセスが、異なる周波数値ω1〜ωnで繰り返し行われ、これにより振幅及び位相情報が、変化する周波数の関数として繰り返し収集される。実際において、約0.1Hz〜1MHzの周波数範囲が、適切な分光情報を提供し得る。
【0066】
上記の設計を使用して、本明細書に記載されている検出システムの代表的な実施形態が、非破壊的なアンダーコーティングのセンサーを提供することができる。加えて、このセンサーは可撓性の曲げ可能な基材上に構築することができ、これによりユーザーはセンサーを、例えば工学的構成構造の非平坦な表面(例えば、曲げや角の周辺部、及び他の鋭角な箇所)の重要な部分に配置することができる。これらの箇所は、保護コーティングが角又は他の鋭角箇所では均一に適用されていないことがあるため、腐食又は他の劣化事象が起こりやすい場所であり得る。例えば、図4A及び4Bに示すように、代表的なセンサー130aは、I形梁の端部周囲に起こり得るような、単一の角表面111(図5A)、又は複数の角表面113(図5B)に配置することができる。
【0067】
よって、上記の代表的な実施形態において、埋め込み可能な腐食センサーは、センサーヘッド及びその直近の環境(コーティング状態及び構造状態を含む)のリアルタイムのインピーダンス特性を検出するために、提供することができる。このようなセンサーは、可撓性の基材上に形成することができるため、位置固有のリアルタイム測定がより多くユーザーに供給され得る。更に、そのような薄い回路(例えば25.4μm(約0.001インチ)の厚さ)は、コーティング状態に悪影響を与えることなく、保護コーティングと構造との間に配置することができる。更に、データ取得システムは、腐食関連事象のリアルタイム測定を提供することができる。このような腐食センサーは、腐食関連の損傷の直接的及び間接的なコストを削減するのに役立ち得る。
【0068】
実験
第一の実験では、(上記センサー132に類似の構造を有する)センサーヘッドのインピーダンスが測定される。センサーヘッドはエポキシ系コーティングで覆われ、塩水浴に浸漬された。具体的には、センサーヘッドは米軍用規格24441のエポキシコーティング約0.12mm(5mil)でディップコーティングされ、24時間硬化させてから、人工(ASTM)塩水浴に浸漬された。AC信号を、センサーヘッドに周波数ωで給電した。この実験において、エレクトロクロミックスイッチの代わりに、従来のニオブ酸リチウム変調器がその場所に利用された。1.5μmの連続波(又はDC)光信号が、センサーヘッドと並列に配置された変調器を通って、短い長さ(3m)の光ファイバー(SMF−28光ファイバー、コーニング社の市販品)に沿って伝送された。フォトダイオードが、この変調戻り信号を電気信号に変換した。測定された戻り信号の(相対的)強度(周波数ωの関数として)、及び、AC電源信号の位相に対する戻り信号の相対的位相(周波数の関数として)を、図6A及び6Bに示す。いくつかの試行が実施され、詳細は図の凡例に記載されている。そのセンサーヘッドに関するインピーダンスが計算され(上記の式P1(ω)=Ae(iφ)を使用)、これを図6Cに示す(周波数の関数として)。この実験の図は、コーティングの劣化と共に、位相変化及び信号強度の相対的増加を示している。
【0069】
別の実験において、比較EIS試験が実施され、光系のEIS測定方法が(上に詳しく記述されたものと同様)、標準EIS測定に比較された。両方の試験において、特定なコーティング(ここではエポキシ系の米軍用規格24441のコーティング)の劣化が実施された。センサーヘッド(上述のセンサー132のものに類似の構造)が上記規格24441のコーティングで覆われ、人工(ASTM)塩水浴に浸漬された。光学的EIS試験では、1.5μmの連続波(DC)光信号が、センサーヘッドと並列に配置されたニオブ酸リチウム変調器を通って、短い長さ(3m)の光ファイバー(SMF−28光ファイバー、コーニング社の市販品)に沿って伝送された。フォトダイオードが、この変調戻り信号を電気信号に変換した。
【0070】
図7A及び7Bは、それぞれ光学系及び電気系のEIS測定値の結果を示しており、ここでセンサーのインピーダンスは周波数の関数として測定されている。いくつかの試行が実施され、詳細は図の凡例に記載されている。記録として、コーティングの劣化を促進するため、浸漬から2日後に水浴の温度を上げた。複数の光学系EISインピーダンス測定(図7A)は、電気系EIS測定(図7B)と同様の経路をたどっている。振幅の差は、変調器に使用した初期インピーダンスの見積り値によるものであり得る。しかしながら、光学系EIS測定と電気系EIS測定の両方とも、周波数範囲にわたって約5桁のインピーダンス低下を示している。
【0071】
本明細書の検討により、本発明の目的とするものには、本発明が適用される構造と共に、さまざまな修正、等価プロセスが、適用され得ることが、当業者には容易に明らかとなろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出の方法及びシステムを目的とする。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
腐食を検出することができるセンサーは既知であり、例えば米国特許第6,384,610号、同第6,328,878号、同第6,316,646号、同第5,859,537号、同第6,054,038号、同第6,144,026号、同第4,380,763号、同第4,780,664号、同第4,962,360号、同第5,323,429号、同第5,367,583号、同第6,445,565号、及び同第6,896,779号に記述されている。例えば、これらの従来のアプローチのうちいくつかは「埋め込み可能」な腐食センサーを利用しているが、従来のテクノロジーではしばしば、堅いプリント基板及び堅いシリコンウエハチップを採用している。このようなテクノロジーの限界としては、厚さと脆さが挙げられる。堅い回路板を薄いエポキシ又はペイントコーティングの下に配置すると、コーティングの破損を引き起こすことがあり、シリコンウエハ系のセンサーは割れやすく、平坦でない表面にぴったり適合することもない。
【0003】
他の腐食検出システムは、米国特許公開第2008−0150555−A1号及び同第2007−0144272−A1号にも記述されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様により、センサー及びセンサー直近の環境の分光インピーダンスを測定する方法が提示される。センサーは、工学的構成構造上に配置され、保護コーティングでコーティングされる。この方法には、第一変調周波数及び振幅を有する第一光信号を提供する工程が含まれる。その方法には更に、第一光信号と第二光信号とを、第一位置からセンサー位置に伝送する工程が含まれる。この方法には更に、第二光信号を第二変調周波数及び振幅で変調することが含まれ、第二変調周波数及び振幅は第一光信号から変換される。この方法には更に、位相差及び時間遅延のうち1つを測定するために、第一変調周波数を第二変調周波数と比較する工程と、センサー及びセンサー直近の環境の電気化学インピーダンス分光を、周波数の関数として計算する工程とが含まれる。
【0005】
1つの態様において、この伝送工程には、第一光信号を第二光信号と多重化して複合信号にすることが含まれ、振幅変調された第一光信号は第一波長を有し、連続出力である第二光信号は、第一波長とは異なる第二波長を有する。更なる態様において、この方法には、光の複合信号を、センサー位置で少なくとも第一光信号と第二光信号に分割することが含まれる。
【0006】
別の態様において、この変調工程には、電気的にセンサーに接続され、第一光信号の電気変換を含む信号により電源供給される変調装置で、第二光信号を変調することが含まれる。
【0007】
別の態様において、この方法は更に、変調された第二光信号を第一位置に伝送する工程と、この変調された第二光信号を第一位置で検出する工程とを含む。
【0008】
別の態様において、この計算工程には、次の式により、センサー及びセンサー直近の環境の電気化学インピーダンス分光を計算することが含まれる。
【0009】
【数1】
【0010】
式中、RO(ω)は変調装置の初期インピーダンスであり、P0(ω)はセンサー位置での変調装置の初期の光学的反応であり、かつP1(ω)=Ae(iφ)である。式中のAは、第一位置で検出される、変調された第二信号の振幅であり、式中のφは、位相差及び時間遅延のうちの1つである。別の態様において、電気化学インピーダンス分光は、約0.1Hz〜約1MHzの周波数範囲にわたって計算される。
【0011】
本発明の別の態様により、工学的構成構造の物理的状態を監視するための検出システムには、その工学的構成構造上に配置可能で、工学的構成構造の表面と、その表面を実質的に覆う保護コーティングとの間に配置可能な、変調要素を含む第一センサーが含まれる。センサーからのデータを取得するためにコンパレーター回路、及び周波数ωでAC信号を提供するための信号発生器を備えたコントローラーが含まれる。この検出システムは、コントローラーによって生成された光信号を第一センサーに連結する1つ以上の光ファイバーを含み、第一センサーは、工学的構成構造及び保護コーティングに対応する電気化学インピーダンスデータを提供する。
【0012】
別の態様において、このシステムは前記光信号を発生するための光源を含み、光信号は、AC信号に対応する第一変調周波数及び振幅を有する第一波長での第一光信号と、第二波長での連続出力である第二光信号とを含む。別の態様において、この光源は第一及び第二の狭帯域光源を含み、ここで少なくとも第一の狭帯域光源は、信号発生器に接続されている。
【0013】
別の態様において、1つ以上の光ファイバーは、第一及び第二の光信号を第一センサーに運ぶための第一光ファイバーを含む。また、1つ以上の光ファイバーは、第一センサーからコントローラーへと戻る光信号を運ぶための第二光ファイバーを更に含み、この戻り光信号は、変調された第二光信号を含み、第二光信号は第二変調周波数及び振幅を有し、第二変調周波数及び振幅は第一光信号から変換される。
【0014】
別の態様において、コントローラーは、第一光信号及び第二光信号を組み合わせて複合信号にするための光マルチプレクサーを更に含み、このとき第一波長は、第二波長とは異なる。更に別の態様において、コントローラーは、センサーからの戻り光信号を受け取って検出するための検出器を更に含む。
【0015】
更に別の態様において、センサーは、工学的構成構造上に取り付けられた可撓性基材上に配置され、保護コーティングで覆われた、パターン化された導電性要素を有するセンサーヘッドを含み、このセンサーヘッドに電気的に接続された変調装置が第二光信号を受け取る。別の態様において、このセンサーは、光信号デマルチプレクサーを更に含み、このデマルチプレクサーは第二光経路に沿って第一光信号を伝送し、第一光経路に沿って第二光信号を伝送する。センサーは、第一光信号を電気信号に変換するための、第二光経路上に配置されたフォトダイオードアレイを更に含み、変調装置は第一光経路に沿って配置され、変調装置はフォトダイオードアレイからの電気信号によって給電される。1つの態様において、変調装置はエレクトロクロミックスイッチを含む。
【0016】
更に別の態様において、工学的構成構造は、パイプ、及びパイプ系の周溶接部分のうち1つを含む。
【0017】
本発明の上記の要約は、本発明の例示実施形態それぞれ、又はあらゆる実施を記述することを意図したものではない。より具体的に後述される図及び詳細記述が、これらの実施形態を例証するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、添付図面を参照して更に詳しく記述される。
【図1A】本発明の1つの態様による代表的な検出システム。
【図1B】本発明の別の態様による代表的な検出システム。
【図2】本発明の代表的な1つの態様による、コーティングと工学的構成構造との間に埋め込まれたセンサーの断面図。
【図3A】本発明の1つの態様による代表的なセンサー。
【図3B】本発明の別の態様による代表的なセンサーの一部の概略図。
【図3C】図3Bのエレクトロクロミックスイッチの概略図。
【図4A】非平坦表面上に配置された代表的なセンサーの別の実装例。
【図4B】非平坦表面上に配置された代表的なセンサーの別の実装例。
【図5】本発明の1つの態様による、パイプライン上に実装された代表的な検出システム。
【図6A】実験の第1セットから得た強度、位相、及びインピーダンス結果。
【図6B】実験の第1セットから得た強度、位相、及びインピーダンス結果。
【図6C】実験の第1セットから得た強度、位相、及びインピーダンス結果。
【図7A】実験の第2セットから得たインピーダンス結果。
【図7B】実験の第2セットから得たインピーダンス結果。
【0019】
本発明はさまざまな修正及び代替形態に従い、その明細は図に示す実施例によって示され、詳しく説明される。しかしながら、本発明は、記述されている特定の実施形態に限定されることを意図するものではないことが理解されるべきである。むしろ、付随する請求項によって定義される本発明の範囲内に入る修正、等価物、及び代替物すべてを網羅することを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、検出の方法及びシステムを目的とする。特に、代表的な実施形態の検出方法及びシステムは、工学的構成構造上のコーティング表面の状態を遠隔検出するために利用することができる。代表的な1つの態様において、この検出システムは、光ファイバー回線又は光ファイバーネットワークを利用して、1つ以上の検出器アレイを中央制御システムとつなぎ、電気化学インピーダンス分光法(EIS)測定を発生させ、この測定法を中央制御システムが利用して、検査対象である特定の工学的構成構造に関する、リアルタイムのコーティング情報を提供することができる。
【0021】
EISは、電圧及び電流の複合周波数依存性を測定することによって、材料及び電子的特性を特徴づけるのに使用されている試験方法である。工学的構成構造と試験装置との間に電気系接続ケーブルを使用するとき、EIS反応を測定するために使用できる幅広い周波数(1MHz〜0.001Hz)は、試験中に電磁干渉(EMI)による挑戦(challenges)を招くことになる。温度変化などの他の要因も、電子ケーブルによって運ばれる電気信号に影響し得る。好ましい1つの態様において、試験方法及びシステムは、光ネットワークを利用してEISデータが測定及び収集される。光ファイバー系ネットワークは、本明細書の代表的な態様において記述されるように、EMIに反応せず、光信号が長距離にわたって伝搬でき、工学的構成構造から中央ステーションまで、明らかなひずみ無しにEIS信号を返信することができる。
【0022】
これらの代表的な実装において、検出用法及びシステムは、データ取得システムを介して、工学的構成構造の1つ以上の物理的状態をリアルタイムで定期的(例えば毎時、毎日、毎週の)データをもたらすよう構成することができる。この種のデータ取得システムは、工学的構成構造の、「予防的」メンテナンスではなく、「状態に基づく」メンテナンスのために、リアルタイムデータを提供することができ、これにより、工学的に構成された物体又は構造の修理又は交換のスケジュール設定をより良く管理するためのデータがもたらされることによって、工学的に構成された構造又は物体の耐用期間を最大限にするのに役立つ。加えて、光ファイバー回線の使用により、工学的構成構造を、離れた場所(例えば、光ファイバー伝送線の長さで測定して1km〜10km又はそれ以上)に所在する制御システムで監視することが可能になる。
【0023】
本発明の1つの代表的な実施形態によって、図1Aは、検出システム100を概略図で示している。この検出システム100は、伝送光ファイバー105aを介してセンサーアレイ120aに連結された中央制御システム(コントローラー150として示されている)を含む。この代表的な実施形態において、センサーアレイ120aには、データ伝送ファイバー105a/106aに結合した複数のセンサー(図の例では、簡略化のために6個(130a〜130f)のセンサー群を示す)が含まれる。戻り信号光ファイバー107aも、代表的な態様に採用され得る。センサーアレイ120aは、工学的構成構造110の表面112上に配置される。特に、下記に詳しく述べるように、センサーアレイのセンサーは、中央コントローラーにEIS情報を提供するよう構成され得る。下記に詳しく説明されるように、本発明の実施形態は、さまざまなタイプのセンサーも利用することができる。
【0024】
1つの代表的な実施形態において、コーティング140は、工学的構成構造110の表面112に適用されている。センサー130a〜130fは、非常に薄い設計を有する(例えば、約13μm〜約75μmの検出部分厚さを有する)よう構成され、これによりセンサーは表面112とコーティング140との間に容易に配置される。このようにして、センサーはコーティング140及び工学的構成構造110の状態に関するデータを同時に提供することができる。
【0025】
工学的構成構造110は、水、海水、雨、風などの自然の影響にさらされる任意のタイプの構造又は物品であり得る。この構造110の物理的組成物は、金属(例えば鋼)、炭素繊維複合材料、セラミック、又はガラス繊維系材料(例えばガラス繊維積層品)であり得る。
【0026】
1つの代表的な実施形態において、検出システム100は、石油/ガス/水パイプラインプラットフォームに利用することができる(例えば、図5参照)。例えば、物理的な障壁のために視覚的に点検することが困難な、地上又は水中/地下石油/ガス/水パイプラインの長さ方向に沿って、センサーを配置することができる。本発明の実施形態の遠隔検出特性は、何キロメートルも離れたところからユーザーがセンサーに問い合わせする能力をもたらし得る。このようにして、中央に配置されたコントローラーが、パイプラインに沿ったさまざまな遠隔位置で、特に周溶接と呼ばれる数多くのパイプライン接続点において、コーティング及び/又は構造の状態を遠隔で検出することができる。これらの数多くの周溶接はそれぞれ、厳しい環境条件にさらされているため、代表的な検出システム100によって検出される、コーティング及び/又は構造の状態のリアルタイムで定期的な評価が、メンテナンス計画に関連する重要な情報をもたらすことができる。
【0027】
例えば図5は、代表的なパイプライン部分110’を示す。このパイプライン部分は光ファイバー105a(及び所望により別の戻りファイバー107a)によって中央コントローラー150に光学的に結合しており、これが中央コントローラーとの光信号の送受信を行う。このパイプライン部分110’には、例えばセンサー130a、130bなどの複数のセンサーユニットが含まれる(簡略化のため2つだけが示されている)。好ましい1つの態様において、このセンサーはパイプラインシステムのさまざまな位置に配置される。この実施例では、センサー130a及び130bはそれぞれ、周溶接112a及び112bの位置に配置されている。パイプラインのパイプユニットが溶接で接合された後に、その周溶接部分がコーティングされているため、これらの場所はより腐食の影響を受けやすい可能性がある。別の態様においては、各周溶接に、1つ又は複数のセンサーを含めることができる(例えば、一組のセンサーで周溶接の周囲を包む)。一連のタップオフ(tap-off)装置161a〜161bは、中央コントローラーで発した光信号の一部を届けるのに使用され得る。これらの構成要素の操作に関する詳細は、下記で述べる。
【0028】
別の実施形態による検出システム100は、例えば海上プラットフォーム(例えば船やその他の船舶)、トンネル、橋、及び航空機などの、腐食あるいは他の形態の物理的劣化を被りやすいような、他のタイプの工学的構成構造に使用できる。
【0029】
構造110を保護するために、コーティング140には、例えばエポキシ系コーティング又は塗料などのコーティングが含まれ得る。例えば、コーティングは、パイプライン用途に使用される従来の溶融接着エポキシ(FBE)コーティング(例えば3M Company(ミネソタ州セントポール)から市販されているもの)であり得る。他のコーティングには、ポリアミドエポキシ類及びその他のコーティングエポキシ類(例えば、3M Company(ミネソタ州セントポール)から市販されている製品番号2216A/Bなど)が含まれ得る。下記に更に詳しく説明されるように、検出システム100は、コーティング140の状態特性を検出するのに使用され得る。
【0030】
1つの代表的な実施形態に従って、中央コントローラー150は、監視下に個々の工学的構成構造110から離れて位置することができる。好ましい1つの態様において、コントローラー150には、データ取得システム151、光源152、変調器153、信号発生器157(これは変調器153とは別のものであっても、一体部品であってもよい)、及びコンパレーター回路155が含まれる。他の構成要素には、マルチプレクサー154、検出器159及び光サーキュレーター156も含まれ得る。いくつかの態様において、このコントローラーには光スペクトル分析器165も含まれ得る。好ましい1つの態様において、コントローラー150は、工学的構成構造110のEIS反応を決定することができる。
【0031】
操作中においては、1つ以上の異なる光信号を、光源152から発生させることができる。光源152から発せられた光信号は、伝送光ファイバー105aを介してセンサーアレイ120aに伝えられる。好ましい1つの態様において、このコントローラーは光信号を送信及び受信する。戻り光信号は、別の戻りファイバー107a又は伝送ファイバー105aによって、中央コントローラーへと導かれ得る。いくつかの態様において、戻り信号は直接、検出器159に供給され得る。他の態様において、戻り信号は光サーキュレーター156によって、検出器159又は(所望により)スペクトル分析器165へと導かれ得る。所望により、コントローラー150によって制御されている光スイッチ158を、他の工学的構成構造及び/又は他のセンサーアレイ(例えばセンサーアレイ120c)へと光信号を分配するのに利用することができる。システム全体の1つ以上のセンサーアレイと通信するために、1つ以上の光信号を使用することにより、長距離の接続が得られ、電線系ネットワークで存在し得るような電磁干渉(EMI)が実質的に減少又は排除される。
【0032】
1つの態様において、データ取得システム151は、光源152、(所望により)変調器153、(所望により)信号発生器157、コンパレーター回路155、及び(所望により)光スイッチ158と通信を行うサーバー又は他のコンピューター系装置として構成することができる。データ取得システム151は、インタフェース装置及びデータ保存及び表示のためのコンピューターを含み得る。例えば、このデータ取得システムは、信号発生器/変調器及びコンパレーター回路と通信を行うためのインタフェースカード(例えばGPIBカード)を備えたコンピューターを含み得る。また、このデータ取得システムは、例えばコーティング状態のリアルタイムなデータ等の画像データをユーザーに提供するため、別個のディスプレイに接続することができる。データ取得システム151はコンピューター、サーバー、又はコンピューターをベースとした装置であるため、データの収集、操作、分析、及び送達は、ここに搭載されたアプリケーション専用ソフトウェアプログラムを介して供給され得る。同様のデータ検索、復調及び保存プロセスを、システム内で使用されるすべてのセンサー又はセンサー群について利用することができる。コーティング又は構造の劣化が起きていることを1つのセンサーが示すと、(例えば可聴形式及び/又は視覚的形式で)警告がユーザーに供給され得る。あるいは、ユーザーの請求によりデータを表示することができる。自動化プロセスを採用して、データ検索及び分析をリアルタイムの定期的な方法でアクティブにすることができる。
【0033】
1つの態様において、EIS測定について、光源152は1つ以上の区別できる(相対的に)狭帯域の光源を含み、それぞれが異なる波長の出力を有し、これにより複数の波長チャネルλ1〜λnを有する光の出力信号が得られる。例えば、狭帯域光源のセットには、例えばレーザーダイオード又はLEDなどの、レーザー光源セット又はダイオード光源セットが含まれ、このそれぞれが異なる出力波長λ1〜λnを有し得る。例えば、異なる波長出力λ1〜λn(例えば1550nm、1550.5nm、1551nm、...1570nm)を有するダイオードを別個に使用することができる。図1Aに示すように、代表的な光源152には、別個の光源152a及び152bが含まれ得る。光源152a及び152bによって発生した別個の波長信号が、マルチプレクサー154によって多重送信され、ファイバー105a、106aに沿って伝送され得る。このタイプのシステムにおいては、システム内のすべてのセンサーの問い合わせに、この2つの信号を使用することができる。更なる別の方法において、光源152は、より幅広い波長範囲のレーザー出力(例えば10〜20μm範囲にわたるレーザー出力)を生成する、1つ以上の調節可能なレーザーを含み得る。また更なる別の方法において、光源152は、(比較的)低いスペクトル電力密度を有する1つ以上の連続する広帯域光源(例えばランプ)を含み得る。例えば、自然放射増幅光源などの光源も使用することができる。
【0034】
好ましい1つの態様において、変調器153及び/又は信号発生器157は、光源152によって発生する1つ以上の光信号を変調するためのAC信号を供給することができる。この変調された信号(AM)が、遠隔センサーへ伝送される。1つの態様において、信号発生器157は、AC信号発生器であり得、そして、AC出力信号は、外部の電力増幅器で増幅してDCバイアスを加えることができ、結果として得られるバイアスされたAC信号が光変調器153に印加され、これが光源の出力を、制御された状態で変調する。1つの態様において、レーザー光源152aは、波長λ1の第一光信号を出力し、レーザー光源152bは、波長λ2の第二光信号を出力する。第一レーザー光源は、変調機153に接続して、光信号λ1を周波数ωで変調することができ、ここにおいて第二レーザー信号λ2は変調されていない(又は逆もまた同様)。インピーダンス測定中、周波数ωを変えて(例えば0.001Hz〜1MHz、又はより好ましくは0.1Hz〜1MHz)、完全な分光測定を実施することができる。他の周波数掃引も利用することができる。
【0035】
多重送信信号が次に、ファイバー105aに沿って伝送され得る。1つの態様において、ファイバー105aは伝送信号及び戻り信号を運ぶことができる。別の態様において、戻り信号は、例えばファイバー107aなどの別のファイバー回線で運ばれ得る。本明細書において、当業者には理解されるように、複数の波長光源152について、異なる波長のいくつかの光信号を変調し、同時にいくつかの他の光信号は変調されない状態にすることができる。更に下記に詳しく説明するように、伝送信号及び戻り信号に関連する情報の比較は、EIS測定を行うための基盤を提供し得る。
【0036】
複数波長の光信号は、光ファイバー105aに沿った第一センサーアレイ120aへ伝送される。光ファイバー105aは、例えばコーニング社(ニューヨーク州、コーニング市)から市販されているSMF28(登録商標)光ファイバーのような従来の通信用ファイバー、又は、典型的な光通信波長領域1300nm若しくは1550nm以外の波長領域で使用可能な別の光ファイバーであり得る。所望により、この光信号は更に、スイッチ169を介して追加のセンサーアレイ120bへ更に分配することができる。戻りファイバー(例えばファイバー107a)が使用される場合、戻りファイバーの構成は、伝送ファイバーと同じであり得る。
【0037】
図1Aの実施形態に示すように、センサーアレイ120aで受け取った(波長λ1〜λnを有する)光信号は、一連のタップオフ(tap-off)装置161a〜161fを介して個々のセンサー130a〜130fへ分配することができる。好ましい1つの態様において、タップオフ装置161aは、入力信号(例えば第一及び第二光信号λ1、λ2)の一部をセンサー130aへ分配するデマルチプレクサーを含むことができ、このとき残る信号λ3〜λnは、アレイの他のセンサー、すなわちセンサー130b〜130fへ分配される。
【0038】
別の実施形態において、図1Bに示すように、センサーアレイ120dは、複数の個別センサー(この実施例ではセンサー130aから130l)を含み得る。ここで、各個別センサーは(光ファイバー105a〜105lを介して、及び所望により、戻りファイバー107a〜107lを介して)コントローラー150に直接接続されている。ここで、戻り信号ファイバー(図示なし)も採用され得る。この別の態様において、タップオフ装置(例えばタップオフ装置161a〜161f)は不要である。
【0039】
図2の断面図に示すように、センサー130aは、構造110の表面112上に配置できる。センサー130aは、例えば耐水分性の二成分エポキシ(例えばTra−Con Corp.(マサチューセッツ州ベッドフォード)から市販されているTra−Con 2151接着剤)、又は両面テープ若しくは移動粘着剤(例えば3M Company(ミネソタ州セントポール)から市販されている3M VHB)のような、接着剤を介して表面112に固定することができる。センサー130aは、光ファイバー105a/106a及び(所望により)戻りファイバー107aを介して、中央コントローラー150と通信できる。コーティング140が表面112に適用され、外部の物質又は材料160の腐食性影響から構造110を保護する。より詳しく下記に説明されるように、センサー130aは、(例えばインピーダンスのモニタリングにより)コーティング140の状態を検出することができ、これによりコーティング140が劣化し、及び構造110が腐食し始めるときの一般的なコーティング状態を示すことになる。
【0040】
図1Aに示すように、センサーアレイ120aは、複数の個々のセンサー130a〜130fを含む。もちろん、工学的構成構造の大きさ又は具体的な用途に応じて、より多数のセンサー又はより少数のセンサーをセンサーアレイ120aに利用することができる。好ましい1つの態様において、個々のセンサーはそれぞれ、同じ基本構造を有し得る。例えば、図3A及び3Bに示すように、センサー130aは、柔軟なポリイミド基材上に形成することができ(下記で詳しく説明される)、その上に配置された光電子インタフェース134を含むことができる。あるいは、個々のセンサーが異なる構造を有し得る。
【0041】
1つの態様において、光電子インタフェース134は、ポリマー系材料(例えばポリアミド、ポリエステル)、液晶ポリマー、又はアクリル材料などのベース材料上に配置することができる。ベース材料は、光電子インタフェース134及び/又はキャップ部分の密封封止(図示なし)の一部のための支持を提供することができる。ベース材料及び/又はその他のセンサー部分は、接着剤(例えば3M Company(ミネソタ州セントポール)から市販されているVHB)によって、工学的構成構造110の表面に接着することができる。構成要素及び相互接続部分を環境曝露から保護するために、保護コーティング又は封止剤133も供給され得る。所望により、更なる保護のために、パッケージキャップ材質(例えば硬質プラスチック)が、外側保護シェルを供給することができる。全体的なパッケージ厚さは、約100μm〜約1000μmに維持され得る。
【0042】
光電子インタフェース134は、光信号デマルチプレクサー137を含み得る(図3Bを参照)。1つの態様において、このデマルチプレクサー137は、あらかじめ定められた1つ又は複数のチャネル(例えばλ1、λ2)を選択するための、薄膜系のチャネルセレクターを含み得る。更に、この各センサーの光信号デマルチプレクサーは、その波長λnによって個々のセンサーそれぞれを識別するのに使用することができる。光信号デマルチプレクサー137は、図3Bに示すように、光信号を2つの経路(例えば経路139a及び139b)に分割するのに使用され得る。1つの態様において、デマルチプレクサー137は、信号λ2を選択肢、経路139aに沿ってこれを伝送し、一方で信号λ1は経路139bに沿って伝送される。
【0043】
センサー130aは、更にPINダイオードアレイ135(好ましくは光起電力PINダイオードアレイ)を含み、光信号の一部を受け取って電力に変換することができる。図3Bに概略図を示すように、信号λ1が経路139bに沿ってPINダイオードアレイ135へ伝送され、このダイオードアレイが光信号を受け取って電力を発生する。好ましい1つの態様において、信号λ1は周波数ωで中央コントローラーにおいて変調され、PINダイオードアレイ135で発生した電気信号も、この周波数ωで変調される。この電力は、変調装置(この代表的な態様においてはエレクトロクロミックスイッチ136)用電源として使用することができる。信号λ1が変調されると、ダイオードアレイからの変調された電気信号が更に、エレクトロクロミックスイッチ136のための変調された電源を提供する。この代表的な態様において、信号λ2は経路139aに沿ってエレクトロクロミックスイッチ136へと伝送される。エレクトロクロミックスイッチ136は第二の光信号λ2を受け取り、経路139cで運ばれてきたλ2の戻り信号が変調されるように前のDC信号を変調する。
【0044】
下記に述べるように、変調装置(エレクトロクロミックスイッチ136)が利用できる電力量は、検出部分132がこのエレクトロクロミックスイッチ136用の電源に接続されているため、保護コーティング140の状態に依存し得る。
【0045】
図3Cに示すように、代表的なエレクトロクロミックスイッチ136は、2つの光透過性材料136c、136dと、その間に配置された電圧感受性材料136aを含み得る。電圧感受性材料136aは、例えば三酸化タングステンを含み得る。電解質136eがこの電圧感受性材料と層136fとの間に配置され、これは好ましくは五酸化バナジウム層である。電解質層136eは、印加電圧Vのための電荷移動メカニズムを提供し、ここで五酸化バナジウム層136fは、エレクトロクロミックスイッチの変調中のコントラスト比を強化することができる。1つの態様において、光透過性基材136bは、戻り信号ファイバー139c(及び戻り信号ファイバー107a)に結合するよう供給され得る。1つの別の態様において、透過性材料136dは、基材136bの代わりに、高反射性のコーティングでコーティングすることができ、これにより変調機を経て反射して戻った戻り信号が供給される。
【0046】
別の態様において、変調装置はマイクロエレクトロクロミックスイッチを含み得る。ファイバー系のマイクロエレクトロクロミックスイッチ及びその構成要素の製造の詳細は、出願中の米国特許公開第2008−0150555−A1号に記述されており、これは参考として全体が本明細書に組み込まれる。この出願中の米国特許公開第2008−0150555−A1号に具体的に記述されているマイクロスイッチは、中央コントローラーに返る戻り信号を反射するのに最も適している。別の1つの態様において、このようなマイクロエレクトロクロミックスイッチは、戻りファイバーを含む光学システムに使用するため、改変することができる(例えば、バックリフレクターを取り除き、戻りファイバーを取り付けるなどの改変)。このようなシステムは、光ファイバーの端末に形成される、又は伝送ファイバーと戻りファイバーとの端子の間に形成される、きわめてコンパクトな構造を有することができる。
【0047】
センサー130aは更に、センサー部分132を含む。好ましい1つの態様において、アレイ検出部分132は、交互に嵌め合った金属系(例えば金、銀、銅)の回路を有する電極を含み、これが電気化学/腐食測定のアノード及びカソードとして使用することができ、可撓性のポリイミド基材上に形成することができる。加えて、センサー130aの一部をそれ自体の保護オーバーコート133でコーティングすることができる(例えば、センサーの電気/光変換部分をカバーするが、構造110及びコーティング140に対して露出した検出部分132は残しておく)。
【0048】
代表的な実施形態において、検出部分132は、例えば3Mの可撓性回路材料(3M Company(ミネソタ州セントポール)から商品名3MFlex(登録商標)として市販)などの薄い可撓性の基材材料上に形成することができる。このような可撓性回路を製造するための代表的な物品及びプロセスは、米国特許第6,320,137号に記載されており、これは参考として全体が組み込まれる。「可撓性」という語は、センサー及び(該当する場合は)基材が曲がっても検出部分が層間剥離しないことを意味する(例えば、検出部分がその導電性質を失うことなしに、非常に小さな曲率半径で90度(又はそれ以上)に曲げ、又は鋭く直角に曲げ、又は折り目をつけることができる)。
【0049】
例えば、検出部分132には、例えばポリイミド材料などの基材を含み得る。検出電極構造は、基材の上に例えばクローム結合層を有し、銅(又は他の導電性)層をその上に配置し、その銅層の上に銀(又は金若しくは他の金属)層を配置した、パターン化した多層材料として形成することができる。本記述で明らかであるように、他の多層構造も利用することができる。よって、代表的なカソード−アノード構造を備えた検出部分132は、これまでは監視が困難だった場所で、カソードとアノードとの間のインピーダンスを測定する能力を提供することができる。
【0050】
別の1つの実施形態において、検出部分132は、水に感受性がある化学種、例えばAl、Fe、又はZnで形成された電極として構成することができる。この化学種が水と相互作用すると、測定されるインピーダンス又は抵抗に変化が生じる。本明細書において、当業者には明らかであるように、他の腐食感受性種も利用することができる。
【0051】
操作中においては、1つの態様において、変調装置であるエレクトロクロミックスイッチ136は、PINダイオード135の出力によって給電される。図3Bの概略図に示すように、検出部分132は好ましくは、可撓性ポリイミド基材上に形成された、交互に嵌め合った金属系回路を有する電極構造の物理的構成体を有する。好ましい1つの態様において、エレクトロクロミックスイッチ136は、交互に嵌め合った検出部分132に対して並列に配置される。あるいは、エレクトロクロミックスイッチ136は、交互に嵌め合った検出部分132に対して直列に配置することができる。
【0052】
例えば、最初の段階では、コーティング140の質は良好である。従って、検出部分132による抵抗/インピーダンスは高い。その結果、この初期条件でエレクトロクロミックスイッチ136にAC電圧(V)を印加すると、大きな振幅でAC電圧信号が生成される。エレクトロクロミックスイッチ136に対するAC電圧(V)が大きな振幅を有するとき、電圧感受性材料136aは(比較的)大きな振幅変調で入力信号(λ2)を変調し、これにより、コントローラー150へ返る戻りλ2信号の振幅(A)は高くなる。
【0053】
より後の段階になると、腐食性要素にさらされた後、コーティング140の品質が劣化する。従って、検出部分132による抵抗/インピーダンスは低下する。その結果、エレクトロクロミックスイッチ136に対するAC電圧(V)はより小さな振幅を有する。エレクトロクロミックスイッチ136に対するAC電圧(V)がより小さな振幅を有するとき、電圧感受性材料136aはより小さな振幅変調で入力信号(λ2)を変調し、これにより、戻りλ2信号は(比較的)小さな振幅(A)を有する。よって、オペレーターは、遠隔位置からコーティング140の相対的状態を測定することができる。本明細書において、当業者には明らかであるように、この操作の他の変形方法も利用することができる。
【0054】
上記の説明はλ1、λ2信号に限定されているが、本発明の態様はこれに限定されず、λ3、λ4信号をセンサー130bに伝送することができ、λ5、λ6信号をセンサー130cに伝送することができ、というように続く。よって、好ましい1つの態様において、他のセンサー位置(130b〜130n)での他の信号(λ3〜λn)が、この工学的構成構造の他の場所でのコーティング状態に対応して生成される。よって、例えば光学的スペクトル分析器165などの分光計装置を、戻り光信号を分析するためのコントローラーで使用することができる。あるいは、中央コントローラーは1つ以上のデマルチプレクサー(図示なし)を利用して、戻り信号を波長の関数として分離することができる。
【0055】
好ましい1つの態様において、変調されたλ2信号が、戻りファイバー107aを経由して中央コントローラー150へ戻ると、λ2信号の振幅が測定され、この戻り信号の位相特性を、λ1信号の変調に使用されたAC信号に照らして比較することができ、これにより、正確なEIS測定を決定するために必要なデータを得ることができる。例えば、変調されたλ2信号が、中央コントローラー150へ戻る。1つの態様において、この戻り信号は戻りファイバー107a上に供給され、検出器159に導かれる。別の1つの態様において、戻り信号は、ファイバー105aを介して中央コントローラーに達することができ、光サーキュレーター156を介して検出器159に導くことができる。
【0056】
変調された戻りλ2信号が検出器159によって電気信号に変換され、これは好ましくは、例えば光起電力ダイオードなどの1セット以上のPINフォトダイオードを含む。この変調された電気信号がコンパレーター回路(例えば、市販されているものなどのデジタルロックイン増幅器を含むもの)に供給される。コンパレーター回路155には、1組の入力が含まれ、このうち少なくとも2つが、検出器159からの変換された信号の入力と、信号発生器157及び/又は変調器153からの入力とを含む。これらの信号は、ロックイン増幅器又は類似のものを使用して比較され、位相の差又は時間遅延が測定される。測定された信号は次に主コントローラー回路151に供給され、特定の1つ又は複数のセンサーについてのEIS測定値を計算することができる。完全なEIS試験のためには、変調器/信号発生器の周波数を変えて(例えば周波数をω1、ω2、ω3、というように掃引して)、異なる周波数での測定値を得ることができる。
【0057】
更に詳しくは、好ましい1つの態様において、上述のシステムを利用した工学的構成構造のEIS測定は、次のように実施することができる。
【0058】
中央コントローラー150で、周波数ωを有する変調されたAC信号(tl)が、信号発生器157/変調器153によって生成され得る。この変調された信号が光源152に供給され、これにより光源152の少なくとも1つの出力信号(例えばλ1)が、周波数ωを有するAM光信号となる。完全な分光範囲を得るため、周波数は幅広い周波数範囲(1つの態様において0.001Hz〜1MHz、又は別の態様において0.1Hz〜1MHz以下)にわたって掃引することができる。AM λ1信号は、マルチプレクサーによって少なくとも1つの非変調(好ましくはDC)光信号(例えばλ2)と組み合わせられ、この複合信号が、光伝送ライン(例えばファイバー105a)を介して、工学的構成構造上に配置されている少なくとも1つの遠隔センサー又はセンサーアレイ(例えばセンサーアレイ120a)に伝送される。
【0059】
このセンサーには、例えば図3Aに示す検出部分132のような、保護コーティングと工学的構成構造110の表面との間に配置されている検出部分を含む。センサーは好ましくは、可撓性ポリイミド基材上に形成された、交互に嵌め合った金属系回路を有する電極構造の物理的構成体を有する。
【0060】
個々のセンサー位置(例えばセンサー130a)において、この複合信号がデマルチプレクサー(例えばデマルチプレクサー137)によって、少なくとも第一及び第二の光信号構成成分に逆多重化される。第一光信号成分(例えば変調されたλ1信号)は、フォトダイオードアレイ135によって電気信号に変換することができ、これによって、結果として得られた変調された電気信号が変調装置(例えばエレクトロクロミックスイッチ136)に、選択された周波数ωで電力を供給することができる。第二光信号構成成分(例えばλ2信号)は、エレクトロクロミックスイッチ136を通過し(又は所望により反射され)、ここでλ2信号が周波数ωで変調される。この変調装置は、センサーヘッドの検出部分に電気的に結合しているため、コーティングの状態が、この変調された戻りλ2信号の位相(又は時間遅延)及び振幅に影響を与え得る。
【0061】
ここで、変調された光信号λ2が遠隔センサーから、別の戻り信号ファイバー(例えばファイバー107a)又は光伝送ライン105のいずれかを介して返され、中央コントローラーがこれを受け取る。戻り光信号λ2は、検出器(例えば検出器159)によって電気信号(t2)に変換される。この変換された戻り信号が、コンパレーター(例えばコンパレーター回路155)に供給される。振幅変調光信号λ1に対応して信号発生器157/変調器153から生成されたもう1つの電気信号(t1)も、このコンパレーターに供給される。コンパレーターはt2及びt1信号の間の相対的な位相差φ又は時間遅延を測定し、光信号λ2が変換された電気信号t2の振幅Aを測定する。位相差及び振幅の測定値に基づき、PINダイオードによって電源供給されているときに測定された遠隔位置での変調装置の光学的反応は、P1(ω)=Ae(iφ)として計算することができる。
【0062】
よって、センサーヘッド及びその直近の環境(その位置のコーティング140及び工学的構成構造110を含む)の電気的インピーダンスRC(ω)は、次のように決定することができる。
【0063】
【数2】
【0064】
式中、RO(ω)は遠隔変調装置の初期インピーダンス(メーカーから提供され得るもの、又は設置前に標準EIS装置を使用して測定され得るもの)であり、P0(ω)はPINダイオードによって電源供給されているときに測定された遠隔変調装置の初期光応答(コーティングの適用、並びに工学的構成構造の表面にセンサーヘッド接続を行う前の応答)であり、かつ、既に説明したように、P1(ω)=Ae(iφ)である。
【0065】
完全な分光測定を提供するために、上述のプロセスが、異なる周波数値ω1〜ωnで繰り返し行われ、これにより振幅及び位相情報が、変化する周波数の関数として繰り返し収集される。実際において、約0.1Hz〜1MHzの周波数範囲が、適切な分光情報を提供し得る。
【0066】
上記の設計を使用して、本明細書に記載されている検出システムの代表的な実施形態が、非破壊的なアンダーコーティングのセンサーを提供することができる。加えて、このセンサーは可撓性の曲げ可能な基材上に構築することができ、これによりユーザーはセンサーを、例えば工学的構成構造の非平坦な表面(例えば、曲げや角の周辺部、及び他の鋭角な箇所)の重要な部分に配置することができる。これらの箇所は、保護コーティングが角又は他の鋭角箇所では均一に適用されていないことがあるため、腐食又は他の劣化事象が起こりやすい場所であり得る。例えば、図4A及び4Bに示すように、代表的なセンサー130aは、I形梁の端部周囲に起こり得るような、単一の角表面111(図5A)、又は複数の角表面113(図5B)に配置することができる。
【0067】
よって、上記の代表的な実施形態において、埋め込み可能な腐食センサーは、センサーヘッド及びその直近の環境(コーティング状態及び構造状態を含む)のリアルタイムのインピーダンス特性を検出するために、提供することができる。このようなセンサーは、可撓性の基材上に形成することができるため、位置固有のリアルタイム測定がより多くユーザーに供給され得る。更に、そのような薄い回路(例えば25.4μm(約0.001インチ)の厚さ)は、コーティング状態に悪影響を与えることなく、保護コーティングと構造との間に配置することができる。更に、データ取得システムは、腐食関連事象のリアルタイム測定を提供することができる。このような腐食センサーは、腐食関連の損傷の直接的及び間接的なコストを削減するのに役立ち得る。
【0068】
実験
第一の実験では、(上記センサー132に類似の構造を有する)センサーヘッドのインピーダンスが測定される。センサーヘッドはエポキシ系コーティングで覆われ、塩水浴に浸漬された。具体的には、センサーヘッドは米軍用規格24441のエポキシコーティング約0.12mm(5mil)でディップコーティングされ、24時間硬化させてから、人工(ASTM)塩水浴に浸漬された。AC信号を、センサーヘッドに周波数ωで給電した。この実験において、エレクトロクロミックスイッチの代わりに、従来のニオブ酸リチウム変調器がその場所に利用された。1.5μmの連続波(又はDC)光信号が、センサーヘッドと並列に配置された変調器を通って、短い長さ(3m)の光ファイバー(SMF−28光ファイバー、コーニング社の市販品)に沿って伝送された。フォトダイオードが、この変調戻り信号を電気信号に変換した。測定された戻り信号の(相対的)強度(周波数ωの関数として)、及び、AC電源信号の位相に対する戻り信号の相対的位相(周波数の関数として)を、図6A及び6Bに示す。いくつかの試行が実施され、詳細は図の凡例に記載されている。そのセンサーヘッドに関するインピーダンスが計算され(上記の式P1(ω)=Ae(iφ)を使用)、これを図6Cに示す(周波数の関数として)。この実験の図は、コーティングの劣化と共に、位相変化及び信号強度の相対的増加を示している。
【0069】
別の実験において、比較EIS試験が実施され、光系のEIS測定方法が(上に詳しく記述されたものと同様)、標準EIS測定に比較された。両方の試験において、特定なコーティング(ここではエポキシ系の米軍用規格24441のコーティング)の劣化が実施された。センサーヘッド(上述のセンサー132のものに類似の構造)が上記規格24441のコーティングで覆われ、人工(ASTM)塩水浴に浸漬された。光学的EIS試験では、1.5μmの連続波(DC)光信号が、センサーヘッドと並列に配置されたニオブ酸リチウム変調器を通って、短い長さ(3m)の光ファイバー(SMF−28光ファイバー、コーニング社の市販品)に沿って伝送された。フォトダイオードが、この変調戻り信号を電気信号に変換した。
【0070】
図7A及び7Bは、それぞれ光学系及び電気系のEIS測定値の結果を示しており、ここでセンサーのインピーダンスは周波数の関数として測定されている。いくつかの試行が実施され、詳細は図の凡例に記載されている。記録として、コーティングの劣化を促進するため、浸漬から2日後に水浴の温度を上げた。複数の光学系EISインピーダンス測定(図7A)は、電気系EIS測定(図7B)と同様の経路をたどっている。振幅の差は、変調器に使用した初期インピーダンスの見積り値によるものであり得る。しかしながら、光学系EIS測定と電気系EIS測定の両方とも、周波数範囲にわたって約5桁のインピーダンス低下を示している。
【0071】
本明細書の検討により、本発明の目的とするものには、本発明が適用される構造と共に、さまざまな修正、等価プロセスが、適用され得ることが、当業者には容易に明らかとなろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー及びその直近の環境の分光インピーダンスを測定する方法であって、前記センサーは工学的構成構造上に配置され、保護コーティングでコーティングされており、
第一変調周波数及び振幅を有する第一光信号を提供する工程と、
前記第一光信号と第二光信号とを、第一位置からセンサー位置に伝送する工程と、
前記第二光信号を、前記第一光信号から変換された第二変調周波数及び振幅で変調する工程と、
位相差及び時間遅延のうち1つを測定するために、前記第一変調周波数を前記第二変調周波数と比較する工程と、前記センサー及びその直近の環境の電気化学インピーダンス分光を、周波数の関数として計算する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記伝送工程が、前記第一光信号を前記第二光信号と多重化して複合信号にすることを含み、前記第一光信号は振幅変調されて第一波長を有し、前記第二光信号は連続出力され、かつ前記第一波長とは異なる第二波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調工程が、電気的に前記センサーに接続され、前記第一光信号の電気変換を含む信号により電源供給される変調装置で、前記第二光信号を変調することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
光の前記複合信号を、前記センサー位置で少なくとも前記第一光信号と前記第二光信号に分割することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記変調された第二光信号を前記第一位置に伝送する工程と、
前記変調された第二光信号を前記第一位置で検出する工程と、を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記計算工程が、下記の式により、前記センサー及びその直近の環境の電気化学インピーダンス分光を計算することを含み、
【数1】
式中、R0(ω)は前記変調装置の初期インピーダンスであり、P0(ω)は前記センサー位置での前記変調装置の初期光学的反応であり、P1(ω)=Ae(iφ)であり、Aは、第一位置で検出される、変調された第二信号の振幅であり、φは、位相差及び時間遅延のうちの1つである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算工程が、約0.1Hz〜約1MHzの周波数範囲にわたって、電気化学インピーダンス分光を計算することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工学的構成構造上に配置可能で、前記工学的構成構造の表面と、前記表面を実質的に覆う保護コーティングとの間に配置可能な、変調要素を含む前記第一センサーと、
前記センサーからのデータを取得するために、コンパレーター回路、及び周波数ω
でAC信号を提供するための信号発生器を備えたコントローラーと、
前記コントローラーによって生成された光信号を前記第一センサーに連結する1つ以上の光ファイバーと、を含み、前記第一センサーが、前記工学的構成構造及び前記保護コーティングに対応する電気化学インピーダンスデータを提供する、工学的構成構造の物理的状態を監視するための検出システム。
【請求項9】
前記コントローラーが、
前記光信号を発生するための光源を含み、前記光信号は、前記AC信号に対応する第一変調周波数及び振幅を有する第一波長での第一光信号と、第二波長での連続出力である第二光信号と、を更に含む、請求項8に記載の検出システム。
【請求項10】
1つ以上の光ファイバーが、前記第一及び第二の光信号を前記第一センサーへと伝送するための第一光ファイバーを含み、1つ以上の前記光ファイバーが、前記第一センサーから前記コントローラーへと戻り光信号を伝送するための第二光ファイバーを更に含み、前記戻り光信号は、前記第一光信号から変換された第二変調周波数及び振幅を有する前記第二光信号を含む、請求項9に記載の検出システム。
【請求項11】
前記コントローラーが、
前記第一及び第二光信号を組み合わせて複合信号にするための光マルチプレクサーを更に含み、前記第一波長及び前記第二波長が異なる、請求項9に記載の検出システム。
【請求項12】
前記センサーが、
前記工学的構成構造上に取り付けられ可撓性基材上に配置され、保護コーティングで覆われた、パターン化された導電性要素を有するセンサーヘッドと、
前記第二光信号を受け取るための、前記センサーヘッドに電気的に接続された変調装置と、
第二光経路に沿って前記第一光信号を伝送し、第一光経路に沿って前記第二光信号を伝送する、光信号デマルチプレクサーと、
前記第一光信号を電気信号に変換するための、第二光経路上に配置されたフォトダイオードアレイと、を含み、前記変調装置は前記第一光経路に沿って配置され、前記フォトダイオードアレイからの前記電気信号によって電源供給される、請求項9に記載の検出システム。
【請求項13】
前記変調装置がエレクトロクロミックスイッチを含む、請求項12に記載の検出システム。
【請求項14】
前記コントローラーが、前記戻り光信号を受け取り検出するための検出器を更に含む、請求項8に記載の検出システム。
【請求項15】
前記工学的構成構造が、パイプ、及びパイプ系の周溶接部分のうち1つを含む、請求項8に記載の検出システム。
【請求項1】
センサー及びその直近の環境の分光インピーダンスを測定する方法であって、前記センサーは工学的構成構造上に配置され、保護コーティングでコーティングされており、
第一変調周波数及び振幅を有する第一光信号を提供する工程と、
前記第一光信号と第二光信号とを、第一位置からセンサー位置に伝送する工程と、
前記第二光信号を、前記第一光信号から変換された第二変調周波数及び振幅で変調する工程と、
位相差及び時間遅延のうち1つを測定するために、前記第一変調周波数を前記第二変調周波数と比較する工程と、前記センサー及びその直近の環境の電気化学インピーダンス分光を、周波数の関数として計算する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記伝送工程が、前記第一光信号を前記第二光信号と多重化して複合信号にすることを含み、前記第一光信号は振幅変調されて第一波長を有し、前記第二光信号は連続出力され、かつ前記第一波長とは異なる第二波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調工程が、電気的に前記センサーに接続され、前記第一光信号の電気変換を含む信号により電源供給される変調装置で、前記第二光信号を変調することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
光の前記複合信号を、前記センサー位置で少なくとも前記第一光信号と前記第二光信号に分割することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記変調された第二光信号を前記第一位置に伝送する工程と、
前記変調された第二光信号を前記第一位置で検出する工程と、を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記計算工程が、下記の式により、前記センサー及びその直近の環境の電気化学インピーダンス分光を計算することを含み、
【数1】
式中、R0(ω)は前記変調装置の初期インピーダンスであり、P0(ω)は前記センサー位置での前記変調装置の初期光学的反応であり、P1(ω)=Ae(iφ)であり、Aは、第一位置で検出される、変調された第二信号の振幅であり、φは、位相差及び時間遅延のうちの1つである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算工程が、約0.1Hz〜約1MHzの周波数範囲にわたって、電気化学インピーダンス分光を計算することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工学的構成構造上に配置可能で、前記工学的構成構造の表面と、前記表面を実質的に覆う保護コーティングとの間に配置可能な、変調要素を含む前記第一センサーと、
前記センサーからのデータを取得するために、コンパレーター回路、及び周波数ω
でAC信号を提供するための信号発生器を備えたコントローラーと、
前記コントローラーによって生成された光信号を前記第一センサーに連結する1つ以上の光ファイバーと、を含み、前記第一センサーが、前記工学的構成構造及び前記保護コーティングに対応する電気化学インピーダンスデータを提供する、工学的構成構造の物理的状態を監視するための検出システム。
【請求項9】
前記コントローラーが、
前記光信号を発生するための光源を含み、前記光信号は、前記AC信号に対応する第一変調周波数及び振幅を有する第一波長での第一光信号と、第二波長での連続出力である第二光信号と、を更に含む、請求項8に記載の検出システム。
【請求項10】
1つ以上の光ファイバーが、前記第一及び第二の光信号を前記第一センサーへと伝送するための第一光ファイバーを含み、1つ以上の前記光ファイバーが、前記第一センサーから前記コントローラーへと戻り光信号を伝送するための第二光ファイバーを更に含み、前記戻り光信号は、前記第一光信号から変換された第二変調周波数及び振幅を有する前記第二光信号を含む、請求項9に記載の検出システム。
【請求項11】
前記コントローラーが、
前記第一及び第二光信号を組み合わせて複合信号にするための光マルチプレクサーを更に含み、前記第一波長及び前記第二波長が異なる、請求項9に記載の検出システム。
【請求項12】
前記センサーが、
前記工学的構成構造上に取り付けられ可撓性基材上に配置され、保護コーティングで覆われた、パターン化された導電性要素を有するセンサーヘッドと、
前記第二光信号を受け取るための、前記センサーヘッドに電気的に接続された変調装置と、
第二光経路に沿って前記第一光信号を伝送し、第一光経路に沿って前記第二光信号を伝送する、光信号デマルチプレクサーと、
前記第一光信号を電気信号に変換するための、第二光経路上に配置されたフォトダイオードアレイと、を含み、前記変調装置は前記第一光経路に沿って配置され、前記フォトダイオードアレイからの前記電気信号によって電源供給される、請求項9に記載の検出システム。
【請求項13】
前記変調装置がエレクトロクロミックスイッチを含む、請求項12に記載の検出システム。
【請求項14】
前記コントローラーが、前記戻り光信号を受け取り検出するための検出器を更に含む、請求項8に記載の検出システム。
【請求項15】
前記工学的構成構造が、パイプ、及びパイプ系の周溶接部分のうち1つを含む、請求項8に記載の検出システム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2011−511267(P2011−511267A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539573(P2010−539573)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/084153
【国際公開番号】WO2009/085454
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/084153
【国際公開番号】WO2009/085454
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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