説明

電気化学的に活性化された水を使用する飲料の製造、処理、パッケージング及び分注

電気化学的に活性化された水(ECAW)を使用して飲料を製造、処理、パッケージング及び分注するシステムであって、(a)或る飲料の製造から別の飲料の製造へと移行する際に非混合性の残留物を中和するのにECAWを使用すること、(b)供給水精製システムに使用される粒状活性炭濾過装置を回復及び消毒するのにECAWを使用すること、(c)炭酸ECAW製品を製造すると共にシステムの洗浄又は消毒に炭酸ECAWを使用すること、(d)水の使用を大幅に低減すると共に、化学洗剤及び化学消毒剤の使用を低減又は排除しながら、微生物管理の改良を達成するのに飲料設備の定置洗浄システムにおいてECAW溶液を使用すること、(e)ECAW陽極液を水成分供給流に添加することにより、処理システムにおいてバイオフィルムの成長をさらに低減すると共に、塩素を用いずに水成分を精製すること、及び/又は(f)パッケージングの前に、飲料製品ボトル又は他のパッケージを、1つ又は複数のECAW溶液で洗浄することを含む、電気化学的に活性化された水(ECAW)を使用して飲料を製造、処理、パッケージング及び分注するシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク、スポーツドリンク、発酵飲料、醸造飲料及び他の飲料の製造、処理、パッケージング(例えば瓶詰め、缶詰め等)及び/又は分注中の電気化学的に活性化された(ECA)水の使用と、その使用により製造される製品とに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料の処理及びパッケージング
飲料製造及びパッケージング設備内では、内部の品質保証要件を満たし、バッチ放出の規格に適合させるために、高い衛生状態及びそのために効果的なプロトコルを維持しなければならないことが定着している。
【0003】
同じ設備内で同じ製造ラインを使用してますます多様な種類の飲料が開発、製造及びパッケージングされることに伴い、生産性の増大、及びさらには多くの様々な製品バラエティの確実な供給に対応することの圧力から、微生物汚染を防ぐのに、且つ異なるバッチ及び製品種類の間で残留する汚染成分(例えば香味料、着色剤、アルコール分等)の持ち越しを防ぐのに効果的な洗浄及び消毒戦略が必要となっている。
【0004】
ほとんどの飲料製造及びパッケージング機器が常設部分である(すなわち個々のシステム構成要素は都合よく取り外し、別々に処理することはできない)ことを考えると、その洗浄及び消毒には、機器を分解し、手動での洗浄及び消毒が必要となる特別な個人的介入を可能にすることよりは、システム全体を通して専用の作用因子の導入及び循環が要求される。このため「定置洗浄(Cleaning-in-Place)」(CIP)は、システム構成要素、機器及びサブシステムの集合体全体にわたる洗浄剤及び消毒剤の循環の実施を表す。一方で「分解洗浄(Cleaning-out-Place)」(COP)は、分解した機器及び取り外し可能な取付具を、常設の製造及びパッケージングシステムとは離れた場所で別々に且つ大部分は手作業で洗浄及び消毒するような手順を表す。
【0005】
同じ設備内で同じ充填機器を使用して調製及びパッケージングされる多様な製品は、アルコール製品と非アルコール製品との両方を含み得ることも多い。かかる製品全てに関するパッケージング条件は、風味豊かで且つ匂いの強い製品と瓶詰めされた水との間で起こる二次汚染を妨げることが必須である同じストリンジェントな洗浄及び消毒処方により左右される。これらのしつこい風味又はアルコール残留物の最適な除去であっても、充填ラインの急速洗浄及び再整備に対する主な制限はそのままであり、混合不可能で且つ非良性の製品の間で切り替える際のライン及びフィラーヘッドの洗浄中に通常消費される大量の水の原因となる。
【0006】
微生物汚染がユビキタスで起こり得ること及びこれに伴う製品の損傷及び劣化の可能性とは別に、内部のバッチ放出規格に適合しなければならないさらなる製品品質基準には、色味、味、匂い及び発泡性及び飲料品質の一貫性等の全体的特質が含まれる。
【0007】
これらの事項及び制限に対処するために使用されるこれまでの従来の手段には、相当な高温にまで加熱される溶液又は対応策の使用;液体及び気体の圧力の上昇の利用;高い液体循環速度の利用;並びに高濃度の苛性洗剤及び潜在的に有害な殺生物化合物に長期間にわたって曝すことが含まれていた。
【0008】
しかしながらこれらの手段は、大部分は洗浄及び衛生化(sanitation)に効果的であるが、(a)現在、或る製品から別の製品へと処理ラインを素早く切り替えることが業界では不可能であることに起因する生産性の喪失と、(b)これまでの手順の高いエネルギー、大量の飲用水及び多くの労働力に対する要求とに関しては実質的に不十分なままである。製造及びパッケージングプロセスにおける他の項目の高コストを制御することに加えて、水の消費も依然として、生産効率の測定及び管理に関する極めて重要な基準である。
【0009】
上述の洗浄及び衛生化手順の他に、さらなる測定基準が通常、飲料処理プラントで使用されるプロセス水及び成分水の品質を確保するのに使用される。かかる手順には、様々な多孔率の合成膜の使用と、有害な殺虫剤及び殺菌剤、毒素、無機化合物及び有機残渣又は汚染物質の選択的除去を達成するために部分的に処理した水を「スクラビング(scrubbing)」する粒状活性炭(GAC)濾過装置又はカラムの使用とを含む、多種多様な濾過技術が含まれる。
【0010】
不運なことに、膜に基づくか及び/又はGACの種類であるかにかかわらず、いずれの濾過技術も、濾過する作用因子又は要素を連続して捕捉する。これらの濾液は、システムの選択的な分離効率が危うくなる時点まで徐々に集積される。このため、これらの汚染された濾過システムのメンテナンス及び再生にはこれまで、(a)コストがかかり且つ大部分が環境にやさしくない、コアとなる濾過構成要素の断続的な交換又は(b)システムを機能効率まで回復させ、元に戻すための物理的(熱)及び/又は化学的介入のいずれかが必要であった。
【0011】
また大量の汚れた流出溶液(例えば飲料成分、消毒剤、洗浄用化学物質等を含む流出液)の廃水網目システムへの排出が、最適な飲料製造及びパッケージング性能に対する重要な環境的制約である。流出液流におけるCIP化学物質及び/又は飲料汚染物質の量を制限するステップとしては、再利用のために異なる化学的因子を回収及び保存するシステムの設置、並びに洗浄及び消毒後に多様なシステムから化学的残留物を除去するのに使用されるリンス水の量を制限するための努力が含まれる。より効率的且つ慎重な水及び化学物質の使用により、廃水の量及び質が或る程度改良されるが、廃水の質及び量は依然として飲料製造及びパッケージング設備において重要な製造上の制約を構成している。
【0012】
飲料製品の製造及びパッケージング中に達成される効率及び品質の順守度を高める必要性とは別に、最終製品の完全性のメンテナンスには、確実に飲料分注システム(例えば水及びソーダ水及び生ビールのディスペンサ)から残留する製品を同様に取り除き、消毒するのに努力が注がれることも重要である。製品残留物は、さらなる微生物の成長、及びこれによるバイオフィルムの発生の媒体として働き、分注した製品の品質、衛生及び安全性に悪影響を及ぼす。
【0013】
結果として、現行の固定資産(すなわち処理及びパッケージングライン等)の生産性を最適化することに多大な圧力があり、また消費者及び株主の意識が徐々に高まり、資源の非効率的な利用が非難される製造環境において、持続的な品質保証及び生産性の向上を実現するために、洗浄及び衛生化に対するより全体的且つ革新的な再生可能なアプローチを行う多大な必要性が存在する。
電気化学的に活性化された水(ECA)
電気化学的に活性化された(ECA)水は、分離可能な陰極液及び陽極液製品を製造するため、電流を電解質溶液に通すことにより希釈された解離性塩溶液から生成できることが周知である。陰極チャンバから流出する溶液である陰極液は、通常pHが約8〜約13の範囲であり、酸化還元(レドックス)電位(ORP)が−200mV〜約−1100mVの範囲の抗酸化剤である。陽極チャンバから流出する溶液である陽極液は、通常pHが2〜約8の範囲であり、ORPが+300mV〜約+1200mVの範囲であり、遊離酸化剤(Free Available Oxidant)(FAO)濃度が300ppm以下の酸化剤である。
【0014】
電解質水溶液の電気化学的活性化の間、様々な酸化種及び還元種、例えばHOCl(次亜塩素酸);ClO(二酸化塩素);OCl(次亜塩素酸塩);Cl(塩素);O(酸素);H(過酸化水素);OH(ヒドロキシル)及びH(水素)が溶液中に存在し得る。溶液中の任意の特定の反応種の有無は主に、使用される誘導体の塩と、最終溶液のpHとに影響される。そのため例えば、pH3以下では、HOClはClへと変換される傾向があり、これにより毒性レベルが増大する。pH5未満では、塩化物濃度が低いため、HOClを生成する傾向があり、通常塩化物濃度が高いと、Clガスが生成される。7.5を超えるpHでは通常、次亜塩素酸塩イオン(OCI)が優占種である。9を超えるpHでは、酸化剤(亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩)は非酸化剤(塩化物、塩素酸塩及び過塩素酸塩)へと変換する傾向があり、活性塩素(すなわちCl、HOCl及びClOと規定される)は通常、塩素酸塩(ClO)へと変換するためなくなる。pH4.5〜7.5では通常、優勢種(predominant species)はHOCl(次亜塩素酸)、O(オゾン)、O2−(過酸化物イオン)及びO2−(超酸化物イオン)である。
【0015】
このため、陽極液は通常主に、ClO;ClO;HOCl;OH;HO;H;O;S2−及びCl2−等の種を含み、陰極液は通常主にNaOH;KOH;Ca(OH);Mg(OH);HO;H;HO;H;O;OH及びO2−等の種を含む。これらの種の酸化力の順番は、HOCl(最も強い)>Cl>OCl(最も弱い(least powerful))である。このため、陽極液は、陰極液又は推奨用量で使用される市販の安定した塩素製剤と比較して抗微生物及び消毒の有効性がかなり高い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上述の必要性を満たすと共に、上述の課題を軽減する。本発明の利点としては、処理、パッケージング及び/又は分注される製品、処理インフラ、及びパッケージング容器における微生物除染;有害な洗浄及び消毒化学物質に対する必要性の低減又は排除;殺生物剤の相乗作用;殺虫剤汚染物質の排除;並びに匂い及び風味残留物の中和が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
一態様において、飲料処理システムの少なくとも一部分を第1の飲料の処理から第2の飲料の処理へと移行させる方法であって、第1の飲料は第2の飲料と非混合性の材料を含み、或る量の材料が第1の飲料を処理した後に飲料処理システム中に残存する、方法が提供される。材料は風味を与える物質、色味を与える物質、アルコール、匂いを与える物質又はそれらの組合せであり得る。この方法は、(a)飲料処理システムの部分を介して、飲料処理システム中の材料の少なくとも一部分を酸化するのに有効な量の電気化学的に活性化された陽極水溶液を送達する工程と、それから(b)飲料処理システムの上記部分において第2の飲料を処理する工程とを含む。工程(a)で電気化学的に活性化された陽極水溶液によって酸化された材料の部分は、該材料が第2の飲料の、味、匂い、色味、アルコール度又はそれらの組合せに対する放出要求を満たすのを妨げない程度に十分な量である。電気化学的に活性化された陽極水溶液は、無希釈形態で工程(a)に使用することができるか、又は電気化学的に活性化された陽極水溶液の水希釈液として工程(a)において飲料処理システムの部分を通して送達することができる。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「飲料処理システム」という用語は、任意の所定の飲料に関する製造及びパッケージングシステム全体を表す。システム全体は、製品の製造及びパッケージングに関する全てのライン及びサブシステムを含む多くの様々な部分の集合体を含み得る。かかるライン及びサブシステムの例としては、成分送達システム、成分混合システム、ボトル又は他のパッケージを充填するための充填ライン、及び加熱、冷却又は炭酸化のための中間処理システム、及び/又は他の製造手順を行うためのサブシステムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
別の態様において、飲料製造及びパッケージング機器から残留する飲料による汚れ(soils)を除去するための洗浄剤としての非毒性ECAW(好ましくは陰極液又は陰極希釈水溶液)の使用を含む方法が提供される。この洗浄剤は、周囲温度での定置洗浄(CIP)手順に含まれ、従来のアルカリ苛性ソーダ系の洗浄製剤と比較して、ECAWは実質的にすすぐ必要がないため、必須である大量の、腐食後(post-caustic)の水すすぎに対する必要性がなくなる。このため本発明のさらなる態様では、本発明の方法が水効率を高める。またこれに関して、最終的な消毒に使用される酸化剤陽極溶液による洗浄に使用される陰極溶液の固有の相溶性が、中間のすすぎ工程の必要なく2つの溶液(陰極液及びその後の陽極液)の連続したタンデム適用を可能にする。陽極溶液の消毒特性は残留する陰極液の持ち越しによっては影響を受けない。
【0020】
別の態様では、多様の種類の飲料の製造及びパッケージングにおける非毒性の消毒対応策としての電気化学的に活性化された水(ECAW)(好ましくは陽極液又は陽極希釈水溶液)の使用を含む方法が提供される。ECAWには好ましくは、有害な病原体を死滅させるのに次亜塩素酸塩よりも効果的なHOClが含まれる。この対応策には、周囲温度で実質的に効果的であり、同等レベルの微生物管理を達成するのに消毒剤洗浄溶液の高温操作の必要性がなくなるという利点もある。
【0021】
別の態様において、飲料処理システムの少なくとも一部分を定置洗浄する改良された方法であって、該方法が総容量の水を使用し、(a)飲料処理システムの該部分を介して或る量のリンス水を送達する工程と、それから(b)飲料処理システムの該部分を介して或る量の消毒水溶液を送達する工程とを含んでおり、該量のリンス水及び該量の消毒水溶液が共に飲料処理システム内の或るレベルの微生物管理に有効である、改良された方法が提供される。この改良は、少なくとも同じレベルの微生物管理を依然として得ながらも、該方法に使用される水の総容量を低減すること、及び工程(b)に使用される消毒水溶液の量を低減することを含む。これは、工程(b)において消毒水溶液として電気化学的に活性化された陽極水溶液を使用することにより達成される。
【0022】
本発明の定置洗浄方法の別の態様において、本発明の改良は好ましくは、少なくとも同じレベルの微生物管理を依然として得ながらも、該方法に使用される水の総容量を低減すること、及び工程(a)に使用されるリンス水の量を低減することもさらに含む。これは、工程(a)においてリンス水として電気化学的に活性化された陽極希釈水溶液を使用することにより達成される。
【0023】
改良された定置洗浄方法を使用することができる飲料処理システムの例としては、炭酸ソフトドリンク、醸造飲料、果実飲料、発酵飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、コーヒー飲料、茶飲料又はそれらの組合せを処理するシステムが挙げられるが、これらに限定されない。別の例としては、瓶詰め又はパッケージングした水を提供するために、改良された定置洗浄方法を飲料処理システムに使用することもできる。
【0024】
別の態様において、飲料処理システムの少なくとも一部分を定置洗浄するための改良された方法であって、該方法が総容量の水を使用し、(a)飲料処理システムの該部分を介して或る量の洗浄水溶液を送達する工程と、それから(b)飲料処理システムの該部分を介して或る量の中間リンス水を送達する工程と、それから(c)飲料処理システムの該部分を介して或る量の消毒水溶液を送達する工程とを含み、該量の洗浄水溶液、該量の中間リンス水及び該量の消毒水溶液が共に、飲料処理システムの該部分において或るレベルの微生物管理を得るのに効果的であった、改良された方法が提供される。この改良は、少なくとも同じレベルの微生物管理を依然として得ながらも、該方法で使用される水の総容量を低減すること、並びに工程(a)で使用される洗浄水溶液の量及び工程(c)で使用される消毒水溶液の量を低減することを含む。これは、(i)工程(a)において洗浄水溶液として電気化学的に活性化された陰極水溶液を使用すること、(ii)工程(c)において消毒水溶液として電気化学的に活性化された陽極水溶液を使用すること、及び(iii)工程(b)において中間リンス水の量を低減すること、又は中間リンス水を排除することにより達成される。
【0025】
別の態様において、浄水に使用される粒状活性炭(GAC)濾過装置を回復及び消毒する方法が提供される。該方法は、(a)GAC濾過装置と電気化学的に活性化された陰極水溶液とを接触させる工程と、(b)GAC濾過装置と電気化学的に活性化された陽極水溶液とを接触させる工程とを非同時に(non-simultaneous)含む。
【0026】
GAC濾過装置(GAC bed)を回復及び消毒する方法において、電気化学的に活性化された陽極水溶液は、GAC濾過装置と接触させる前には開始酸化還元電位を有し、濾過装置と接触させるのに使用した後、使用済酸化還元電位を有する。電気化学的に活性化された陽極水溶液の開始酸化還元電位は好ましくは正のmV酸化値である。さらに、該方法の工程(b)は好ましくは、(i)電気化学的に活性化された陽極水溶液の開始酸化還元電位を求める工程と、(ii)GAC濾過装置と電気化学的に活性化された陽極水溶液とを接触させる工程と、(iii)工程(ii)後に電気化学的に活性化された陽極水溶液の使用済酸化還元電位を求める工程と、(iv)少なくとも工程(iii)で求めた電気化学的に活性化された陽極水溶液の使用済酸化還元電位が、工程(ii)の前の開始酸化還元電位より低く544mVより大きくない正のmV酸化値になるまで、工程(ii)と工程(iii)とを繰り返す工程とを含む。より好ましくは、工程(iv)では、少なくとも電気化学的に活性化された陽極水溶液の使用済酸化還元電位が、開始酸化還元電位より低く、143mV以下、最も好ましくは104mV以下になるまで、工程(ii)と工程(iii)とを繰り返す。
【0027】
さらに、GAC濾過装置を回復及び消毒する方法の工程(ii)は、(1)少なくとも1回、電気化学的に活性化された陽極水溶液を実質的に正常な操作流方向でGAC濾過装置へと送達し、(2)少なくとも1回、電気化学的に活性化された陽極水溶液を、実質的に正常な操作流方向の実質的に反対となる逆流方向でGAC濾過装置へと送達するように、少なくとも2回行うのが好ましい。同様に、GAC濾過装置を回復及び消毒する方法の工程(a)も、(1)少なくとも1回、電気化学的に活性化された陰極水溶液を実質的に正常な操作流方向でGAC濾過装置へと送達し、(2)少なくとも1回、電気化学的に活性化された陰極水溶液を、実質的に正常な操作流方向の実質的に反対となる逆流方向でGAC濾過装置へと送達するように、少なくとも2回行うのが好ましい。
【0028】
別の態様において、プロセス水の濾過並びに有毒な不純物及び化学汚染物質の吸着のために、飲料製造に又は非飲料システムに使用される粒状活性炭(GAC)カラムを処理する方法が提供される。本発明の方法では、炭素粒の回復及び再生は、従来の熱的又は化学的な再生手順の代わりとして、又は少なくともその補助としてECA溶液の戦略的なタンデム導入により達成されるのが好ましい。
【0029】
別の態様において、粒状活性炭(GAC)濾過システムを消毒する方法であって、炭素粒の孔内の汚染された吸着表面を、(a)微生物コロニー及び樹立されたバイオフィルムの除去と、(b)GACシステム内の固着した微生物種及び浮遊性の微生物種の両方の排除とを共に容易にするECAW酸化剤溶液(好ましくは陽極液又は陽極希釈水溶液)に曝す、方法が提供される。本発明の方法は、有毒な化学物質、高温及びかかるシステムを衛生化するのにこれまでに使用されている種類の加圧流介入に対する必要性を低減又は排除する。
【0030】
別の態様において、ECA処理溶液の流入流及び流出流の両方の生理化学的性質を測定することにより、GACシステム中に循環させながら、ECA溶液の殺生物性能を予測する方法が提供される。この方法により、残りの表面電荷に対するECA溶液の補充速度は、酸化剤還元電位(ORP)の手段に対して相対的な相互関係(correlate)、したがって最適なバイオフィルム除去及び微生物排除をもたらし、且つGACシステムの吸着能を再生するためにGACシステムに適用させる必要がある、或る容量のそれぞれの特定のECA溶液を与える。
【0031】
別の態様において、飲料製品の製造及びパッケージング中に使用される食品等級、水性のECAW殺生物剤のインプロセス導入を含む方法であって、該方法は表面の微生物バイオフィルム成長の最終管理に特に効果的であり、これは結果として同じバイオフィルム関連の損傷及び病原体微生物からのパッケージングした製品の再汚染の低減を伴う。
【0032】
別の態様において、水成分供給流を有する飲料処理システムにおいてバイオフィルム成長を少なくとも低減する方法が提供される。該方法は、80容量部の水成分供給流当たり20容量部を超えない電気化学的に活性化された陽極水溶液の量で、電気化学的に活性化された陽極水溶液を水供給流に添加する工程を含む。
【0033】
別の態様において、飲料製品を製造する改良された方法であって、製品パッケージに飲料製品を入れることを含む、方法が提供される。この改良は、パッケージに飲料製品を入れる前に、電気化学的に活性化された陰極水溶液を使用して製品パッケージを洗浄する工程を含む。この方法に従って処理する製品パッケージはボトル又は他の種類の容器であり得る。また改良は、洗浄する工程の前に、製品パッケージに電気化学的に活性化された陽極水溶液を噴霧する、電気化学的に活性化された陽極水溶液中に浸す、又はそうでなければ接触させる工程を含むのが好ましい。
【0034】
別の態様において、電気化学的に活性化された水溶液の電気化学的特性(例えばpH、酸化還元電位、遊離活性酸化剤含量及び/又は導電性)を強化する方法であって、電気化学的に活性化された水溶液中にCOを溶解し、炭酸製品溶液を製造する工程を含む、方法が提供される。電気化学的に活性化された水溶液は、陽極溶液、陰極溶液、又はそれらの組合せであってもよく、無希釈形態又は水希釈液形態のいずれであってもよい。
【0035】
別の態様において、電気化学的に活性化された水溶液の酸化還元電位において正のmV変化を生じるように、COが有効量溶解している電気化学的に活性化された水溶液を含む炭酸組成物が提供される。電気化学的に活性化された水溶液は、陽極溶液、陰極溶液、又はそれらの組合せであってもよく、無希釈形態又は水希釈液形態のいずれであってもよい。
【0036】
別の態様において、食品処理システムの少なくとも一部分を洗浄又は消毒する方法であって、電気化学的に活性化された水溶液の酸化還元電位において正のmV変化を生じるように、食品処理システムの該部分を、COが有効量溶解している電気化学的に活性化された水溶液を含む炭酸溶液で処理する工程を含む、方法が提供される。電気化学的に活性化された水溶液は、陽極溶液、陰極溶液、又はそれらの組合せであってもよく、無希釈形態又は水希釈液形態であってもよい。
【0037】
別の態様において、酸化剤ECA溶液の殺生物活性を強化する方法であって、ECA溶液を炭酸化又は加圧するために、二酸化炭素気体(CO)をECAW又は希釈ECAWに導入することを含む、方法が提供される。このため、炭酸ECAW、又はECAWの炭酸水希釈液を、製造、処理及びパッケージングシステム、並びにインフラ、及び/又は飲料製造及びパッケージングシステムのほかの場所、又は非飲料システムに導入することを含む方法も提供される。本発明によると、所定のレベルの抗微生物有効性を達成するのには、炭酸ECA溶液を使用する場合、非炭酸酸化剤ECA溶液と対比してECAWの量及び/又は割合の低減が必要であることが殺生物活性の信頼性のある予測因子としてレドックス電位(ORP)を使用して発見されている。
【0038】
さらに飲料混合及び充填機器の消毒中のCOの特異的導入は、充填及び混合機器の全側面(aspect)への「CO強化酸化剤」の曝露を増大させることにより、最適な消毒を確実にするのに役立つ。飲料充填機器内の供給ポンプにより駆動される従来の圧力勾配によっては、最適な抗微生物効果に適切な消毒剤分配効率は与えられ得ない。
【0039】
COにより「炭酸化」されている陽極希釈水溶液の驚くべき予期せぬ効力増大により、任意の特定の適用に使用される陽極液の量を抗微生物活性を損わずに低減させることが可能になる。この発見の利点の1つは、陽極液が高リスクを伴って使用する場合に、瓶詰めされた水等の超高感度製品、並びに味、色味及び一貫性が製品の構成の重要な要素となるアイスコーヒー等の保存料製剤に対する任意の潜在的な悪影響をさらに最小限にすることである。
【0040】
COガスによる水性飲料の炭酸化により通常、或る量の炭酸が生成される(HCO)。本発明の炭酸陽極液の消毒効力の増大は、或る程度、炭酸陽極水溶液中での或る量の炭酸の生成に起因し得ると考えられる。
【0041】
さらに別の態様において、従来、高温の苛性洗剤溶液への長期曝露及び水すすぎサイクルの延長の両方が要求される香味料成分の残存する匂い及び味を中和するために、周囲温度でECAW又は水希釈ECAWにより飲料製造及びパッケージング機器を処理することを含む方法が提供される。
【0042】
別の態様において、飲料製造システム、容器及びパッケージングシステムのインフラからのアルコール含有残留物の除去及び排除を改善する、ECAW溶液及びECAW溶液の適用を含む方法が提供される。
【0043】
別の態様において、全ての種類の飲料の製造、処理及びパッケージングにおいて洗浄剤、消毒剤、及び/又は成分としてECAWを使用する方法が提供される。該方法は、飲料の完全性及び消費者の健康に悪影響を与え得る、化学殺虫剤、殺菌剤及び除草剤の残留物を排除する。かかる残留物は、例えば農業活動が活発な地域に由来するプロセス水供給における一般的な汚染物質であり、重大な健康及び安全性のリスクを課す。
【0044】
別の態様において、ECAW溶液が、検査されないことによって(unchecked)微生物成長が最終製品品質に悪影響を与える、計画外の一時的又は延長されたインプロセス保存を受け得る中間のパッケージング前の製品の抗微生物バイオセキュリティを高める方法及び該方法のためのECAW溶液が提供される。
【0045】
別の態様において、ECAWが、飲料分注システム(水及びソーダ水及び生ビールの分注システムを含むが、これらに限定されない)の安全で且つ効果的な洗浄及び除染に使用される方法が提供される。
【0046】
本発明のさらなる目的、特徴及び利点は、添付の図面を調べる、また好ましい実施形態の以下の詳細な記載を読むと、当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】パッケージングした製品に関する実施例1で得られた微生物数の結果を示すチャート図である。
【図2】充填機器及び容器における実施例1で得られた微生物数の結果を示すチャート図である。
【図3】最終すすぎ洗浄に関する実施例1で得られた微生物数の結果を示すチャート図である。
【図4A】本発明により提供される改良されたソフトドリンク製造、処理及びパッケージングシステムの実施形態2を示すフロー図である。
【図4B】本発明により提供される改良されたソフトドリンク製造、処理及びパッケージングシステムの実施形態2を示すフロー図である。
【図5A】本発明により提供される改良された瓶詰め水製造システムの実施形態6を示すフロー図である。
【図5B】本発明により提供される改良された瓶詰め水製造システムの実施形態6を示すフロー図である。
【図6】本発明により提供される改良されたフルーツジュース製造及びパッケージングシステムの実施形態10を示すフロー図である。
【図7】本発明により提供される改良されたワイン製造及び瓶詰めシステムの実施形態14を示すフロー図である。
【図8】本発明により提供される改良されたビール製造及びパッケージングシステムの実施形態18を示すフロー図である。
【図9】本発明により提供される、粒状活性炭(GAC)濾過システムを処理するための方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明によれば、殺生物剤による介入のインプロセス、リアルタイム方法であって、ECAW(すなわち陽極液、陰極液又はこれらの組合せ)が、多様な範囲の飲料製品の製造、パッケージング及び/又は分注中に消毒剤及び/又は洗剤として使用される、方法が提供される。本発明の方法は、一貫してストリンジェントな衛生規格を満たす中間製品及びパッケージングした最終製品を製造することが可能である。
【0049】
一態様において、本発明の方法は好ましくは、電気化学的に活性化された陽極水溶液又はその水希釈液をシステム(複数可)を介して送達することにより、中間製品及びパッケージングされる製品の飲料製造及び/又はパッケージングシステム((a)実質的に製造ライン/システム全体、(b)それらの任意の所望の部分、又は(c)任意の選択されたサブシステムのいずれかを含む)を衛生化する工程を含む。使用される陽極液のpH(無希釈)は約4.5〜約7.5の範囲であり、ORP(無希釈)は約+650mV〜+900mV以上の範囲であり、遊離酸化剤(FAO)濃度(無希釈)が300ppm以下であるのが好ましい。陽極液のpH(無希釈)はより好ましくは約5.5〜約7の範囲である。
【0050】
陽極液は、プロセスの様々な段階(濾過、衛生化及び成分水)に添加される、又はこれを介して送達される場合、pH、導電率、ORP及び遊離酸化剤(FAO)濃度等の独特の生理化学的性質を有し、且つこれらを与える。これらのパラメータは、汚染微生物数(microbial bioload)と適用される陽極希釈液との間の逆相関関係に基づき、抗微生物有効性との直接的な因果関係を有する。言い換えると、微生物数が多ければ、(a)より短期間の曝露時間でのより高い陽極液濃度(すなわちより低い希釈率)、又は(b)より低い陽極液濃度(すなわちより高い希釈率)でのより長期間の曝露期間のいずれかが必要となる。このことは、陽極液の水希釈液の手段と、希釈試料で測定される導電率及び遊離酸化剤濃度における予測可能な変化との間に直接的な相関関係があるという事実を反映している。希釈列内のpH及びORP変化は同一の線形低減傾向には従わない。ORP値は、高い希釈率(1:50〜1:100)(この時点でORPが劇的に低下する)まで実質的に高いままである傾向がある。他方でpHは一定を維持し、希釈水のpH値をとる傾向がある。
【0051】
これらのパラメータは、任意の所定の時点での陽極溶液の抗微生物能を信頼性をもって予測するようにリアルタイムに測定することができる。ORPと予測可能な抗微生物活性との間には直接的な相関関係がある。高いORP(すなわち600mV以上)が5分以内の効果的な微生物排除をもたらす。しかしながらORPが低減すると、この有効性は低下する。低いORP、陽極液濃度及び/又は高い微生物レベルでは、抗微生物活性は必要に応じて曝露時間を増大させることにより増大することができる。
【0052】
陽極液を好ましくは、水1リットル当たり約1グラム〜約9グラムの範囲の塩を含む希釈生理食塩水溶液を電気化学的に活性化することにより作製する。生理食塩水溶液は好ましくは、水1リットル当たり約2グラム〜約3グラムの塩を含む。
【0053】
塩は任意の無機塩であり得る。塩は好ましくは非ヨウ化(non-iodated)塩化ナトリウム(NaCl)、又は塩化カリウム(KCL)である。
【0054】
本発明の方法はその場で陽極溶液を生成する工程を含み得る。上記の特質を有する陽極液を作製するのに使用することができる様々な種類の機器及び手順が当該技術分野で既知である。当業者により理解されるように、好ましい手順は、陽極チャンバ及び陰極チャンバ(そこから分離可能な電気化学的に活性化された陽極水溶液及び陰極水溶液(すなわち「濃縮された溶液」)を作製することができる)を備える電気化学的リアクタ内で希釈電解質(塩)溶液を電気化学的に活性化する工程;陰極溶液を別々に回収する工程;新たな水(fresh water)が全く存在しない状態で、少なくとも一部の陰極溶液を陽極チャンバに再導入する工程;及び主にHOCl(次亜塩素酸)、O(オゾン)、O2−(過酸化物イオン)及びO2−(超酸化物イオン)種を含み、遊離酸化剤(FAO)濃度が300ppm以下であることを特徴とする陽極溶液を作製するように、必要に応じて陽極チャンバを介して陰極液の流速、水圧流れ構造(hydraulic flow configuration)及びレジメン、圧力並びに温度を操作する工程を含む。
【0055】
飲料製造、処理及びパッケージングシステムでの衛生化洗浄液(wash)として本発明の方法で使用される場合、陽極液は水で希釈されるのが好ましい。希釈陽極溶液は、50容量部の濃縮陽極液当たり少なくとも50容量部の水を含むのが好ましい。より好ましくは、希釈陽極液は、炭酸ソフトドリンク及び醸造飲料等の製造飲料を製造及びパッケージングするシステムに使用される場合、水対陽極液の容量比が少なくとも60:40であり、果実系又は発酵した果実若しくは野菜系の製品を製造及びパッケージングするシステムにおいて水対陽極液の容量比は少なくとも50:50である。それぞれの場合において、水と濃縮陽極液との容量部の比は好ましくは98:2よりも大きくなく、より好ましくは95:5よりも大きくなく、より好ましくは約94:6〜約60:40の範囲であり、最も好ましくは約93:7〜約65:35の範囲である。
【0056】
陽極液衛生化洗浄液は標準的な操作条件により或る温度で導入することができるのが望ましい。陽極液衛生化洗浄液は好ましくは約5℃〜約45℃の範囲の温度で導入される。
【0057】
本発明の方法は、処理されるシステム全体にわたって所望のレベルで陽極溶液の酸化還元電位(ORP)を維持するように、飲料システムの単一及び/又は複数の衛生化のポイント又はセクションでの陽極溶液の導入による連続した及び/又は一過性の処理介入を含むことができ、これによりさらに確実に陽極液衛生化洗浄液の最小殺微生物性と測定される酸化剤反応性との間の予測関係が衛生化中にシステム全体にわたって維持される。
【0058】
本発明の方法には、抗酸化剤である電気化学的に活性化された陰極水溶液を、遊離すすぎ洗剤又は界面活性剤として飲料製造、処理及び/又はパッケージングシステムに選択的に投与するさらなる工程も含まれ得る。要求される曝露期間は、大量の処理及びパッケージングの時間的制約内に十分収まる。陰極液(無希釈)のpHは約8〜約13の範囲であり、負のORPが少なくとも−700mVであるのが好ましい。
【0059】
本発明の方法にはさらに、pH(無希釈)が約2〜約5の範囲であり、ORP(無希釈)が1000mV以上の陽極液による飲料システムの任意の所望の側面を洗浄する工程が含まれ得る。この独特の陽極溶液を飲料システムにおいて任意の適切な処理ポイントで適用することができる。特に有益な処理ポイントの例としては、バルク保持容器、発酵樽、濾過ビール(bright beer)又は合成シロップタンク、移動容器及び/又は網目状に結び付いた(allied reticulation)システム(例えば濾過、分離、希釈、低温殺菌及び炭酸化システムを含み得る)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明の方法には、残留する微生物汚染物質を連続して中和するように、及び再汚染の可能性となるバイオフィルムの成長の管理のために下流プロセス機器の残留物の消毒に影響を与えるように、好ましくはpH(無希釈)が約6.0〜約6.5の範囲であり、ORP(無希釈)が+950mV以上であり、遊離酸化剤(無希釈)が300ppm以下の陽極液を選択的に適用するさらなる工程も含まれ得る。陽極液は、80容量部の水当たり最大20容量部の陽極液の濃度で一般的なプロセス水に導入されるのが好ましい。この工程は、新たに導入された微生物を水供給システム(自治体(municipal authority)、ボアホール(borehole)等)から排除するように、及びまたCIPプロセス中、又はそれ以外で陽極液処理の不規則的な介入に起因しかねない、さらなる又は新たなバイオフィルムの成長を妨げるために処理水の電荷を操作するように、一般的なプロセス水流に低用量の陽極液を連続して包含させることを伴うのが好ましい。連続した低用量の陽極液の適用は、システムに導入される新たな微生物の排除と、経時的な微生物汚染の新たな供給源を生むバイオフィルムの新たな成長の防止との両方に働く。プロセスフロー全体における適用時点は、プロセス内での最小滞留時間により説明される標的となる微生物が殺生物剤と接触する期間(それ自体が陽極液希釈度、及び処理プロセス水内で要求される微生物除染の最小レベルに対応した)に対応するのが好ましい。通常大きいバッチ製造容量では、処理時間の延長、これにより保存及びパッケージング期間の長期化が必要とされる。
【0061】
本発明に従って、陰極液を濃縮又は好ましくは水希釈形態で清浄溶液として導入することができる典型的な飲料製造処理及びパッケージングユニットにおけるポイント又はシステムの例としては、(a)例えば凝集との混合及び床洗浄のための水処理領域;(b)例えば膜洗浄、下流及び上流の消毒及び滅菌のため、並びに定置洗浄(CIP)システムにおける洗剤及び他の作用因子の代わりとしての限外濾過モジュール領域;(c)汚れ除去;並びに(d)製品除染のためのチェーンルーブ(chain lube)バイオフィルムの除去が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
醸造所における発酵容器の内部を清浄にするのに使用される場合、陰極液清浄溶液は、(a)電気化学的に活性化された陰極水溶液、及び(b)発酵容器における発泡を低減する、最も好ましくは防止するのに効果的な量の食品等級の非イオン界面活性剤を含むのが好ましい。界面活性剤を用いないと、発酵容器における油性の有機残留物により、陰極溶液の物理的なせん断作用を強く阻害し、それによりその洗浄の有効性が有意に低減する発泡が引き起こされる。しかしながら本発明者は、比較的少量の非イオン界面活性剤を洗浄組成物に添加することが、発泡を低減又は防止し、それにより陰極溶液の洗浄の有効性を大いに高めるのに効果的であることを発見している。
【0063】
発酵容器の洗浄組成物に使用される電気化学的に活性化された陰極水溶液は、無希釈形態又は水希釈液形態であってもよく、無希釈形態で負の酸化還元電位が少なくとも110mVであり、pHが約8〜約13の範囲である陰極液製品を含むのが好ましい。陰極溶液は、非電解希釈水と陰極液製品との全複合容量に対して少なくとも50容量%(より好ましくは少なくとも70容量%及び最も好ましくは少なくとも80容量%)の非電解水を含む陰極液製品の水希釈液であるのが好ましい。
【0064】
発酵容器の洗浄組成物での使用に適した非イオン界面活性剤の例としては、ポリシロキサン、処理シリカ、及び乳化剤を含む水性エマルションであるBiosil AF 720F、並びにポリオキシエチレン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。非イオン界面活性剤は、陰極液洗浄組成物1リットル当たり少なくとも10mgの量(すなわち10ppm)で使用されるのが好ましい。陰極溶液の濃度が増大するにつれて通常、より大量の界面活性剤が好ましい。
【0065】
陽極液を濃縮又は好ましくは水希釈形態のいずれかで消毒洗浄液又は消毒剤として使用することができる典型的な飲料製造、処理及びパッケージングプラントでの領域の例としては、(a)例えば塩素消毒剤の交換及びバイオフィルム除去を含む水処理用途;(b)例えば膜清浄、下流及び上流の消毒及び滅菌を含む、並びに当該技術分野でこれまでに使用されたCIP化学薬品及び洗浄液の代わりとしての限外濾過モジュール領域用途;(c)バイオフィルム除去、バイオフィルム管理及び糖除去;(d)例えば、チェーンルーブバイオフィルムの除去、当該技術分野でこれまでに使用されたCIP化学薬品の代替、及びノズル洗浄を含む製品除染用途;並びに(e)ボトル及びキャップの洗浄を含むボトル洗浄用途が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
図4は、様々なポイント及び様々なサブシステムでECAWを利用するように改良されているソフトドリンク製造、処理及びパッケージングシステム2を概略的に示す。ソフトドリンクライン2には、陽極液及び陰極液製品を製造するための電気化学的活性化システム/リアクタユニット4が含まれる。濃縮又は水希釈陰極液の洗浄溶液がソフトドリンク製造ライン2に導入及び使用されるシステム、サブシステム及びポイントの例としては、ボトル洗浄;ボトル洗浄腐食槽適用;及び実質的にライン2全体又は任意のその一部分に対する定置洗浄(CIP)システムが挙げられる。濃縮又は水希釈陽極液の消毒洗浄溶液が本発明に従って導入及び使用されるシステム、サブシステム及びポイントの例としては、実質的にライン2全体又は任意のその一部分に対するCIPシステム;水処理;全体的な衛生化;クレート洗浄;ボトル浸漬及び洗浄;キャップ及びボトル調製;並びに飲料成分として、が挙げられる。
【0067】
図5は、本発明に従って陽極液及び陰極液処理を利用する改良された瓶詰め水処理及びパッケージングシステム6を概略的に示す。改良された瓶詰め水ライン6には、使用される陽極液及び陰極液の材料を生成するための電気化学的活性化システム/リアクタ8が含まれる。濃縮陰極液又は水希釈陰極液の洗浄溶液が使用される瓶詰め水ライン6内のシステム、サブシステム及びポイントの例としては、CIPシステム;ボトル洗浄;並びにボトル洗浄腐食槽及び浸漬操作が挙げられる。濃縮陽極液又は水希釈陽極液の消毒洗浄溶液が使用されるシステム、サブシステム及びポイントの例としては、CIPシステム;水処理;全体的な衛生化;クレート洗浄;ボトル洗浄;腐食槽適用;及び最終製品が挙げられる。
【0068】
図6は、ECWA溶液が本発明に従って使用される改良されたフルーツジュース製造、処理及び瓶詰めシステム10を示す。フルーツジュースライン10には、本発明の方法で使用される陽極液及び陰極液の材料を生成する電気化学的活性化システム/リアクタ12が含まれる。フルーツジュースライン10に濃縮陰極液又は水希釈陰極液の消毒洗浄溶液が使用されるシステム、サブシステム及びポイントの例としては、CIPシステム、ボトル洗浄及び混合が挙げられる。濃縮陽極液又は水希釈陽極液の消毒溶液が本発明に従って使用されるシステム、サブシステム及びポイントの例としては、CIPシステム;全体的な衛生化;クレート洗浄;ボトル洗浄;水処理;及び製品成分として、が挙げられる。
【0069】
図7は、ECAWが幾つかの目的で本発明に従って使用される改良されたワイン製造及び瓶詰めシステム14を概略的に示す。改良されたワイン製造及び瓶詰めライン14には、改良された方法に使用される陽極液及び陰極液の材料を生成するための電気化学的活性化システム/リアクタ16が含まれる。改良されたワイン製造及び瓶詰めライン14では、濃縮陰極液又は水希釈陰極液の洗浄溶液が使用されるシステム、サブシステム及びポイントの例としては、CIPシステム、ボトル洗浄、製造及び瓶詰めが挙げられる。濃縮陽極液又は水希釈陽極液の衛生化溶液がワイン製造及び瓶詰めライン14に使用されるシステム、サブシステム及びポイントの例としては、CIPシステム;水処理;全体的な衛生化;クレート洗浄;及びボトル洗浄が挙げられる。
【0070】
図8は、ECAWが様々な目的のために本発明に従って使用される改良されたビール製造及び瓶詰めシステム18を概略的に示す。改良されたビール製造及び瓶詰めライン18には、改良されたシステムに使用される陽極液及び陰極液の材料を生成するための電気化学的活性化システム/リアクタ20が含まれる。濃縮陰極液又は水希釈陰極液の洗浄溶液が改良されたビール製造及び瓶詰めライン18に用いられるシステム、サブシステム及びポイントの例としては、CIPシステム、ボトル洗浄、製造及び瓶詰めが挙げられる。濃縮陽極液又は水希釈陽極液の消毒溶液が改良されたビール処理及び瓶詰めライン18に用いられるシステム、サブシステム及びポイントの例としては、CIPシステム;全体的な衛生化;水処理;クレート洗浄;ボトル洗浄;及びビール成分として、が挙げられる。
【0071】
本発明の方法には、GAC濾過システムにおける、包括的には微生物及び具体的にはバイオフィルムの汚染に対する活性炭顆粒の消毒剤対応策としての電気化学的に活性化された水性陽極液の使用も含まれる。様々な希釈率での陽極溶液のレドックス電位を用いて、微生物及びバイオフィルムの存在を支持する表面の電荷、これにより活性炭顆粒の自由エネルギーを操作する。この介入は、好ましくは陽極液を、GACシステムを洗い流すのに使用されるプロセス水に導入することにより、粒状活性炭材料と、pH(無希釈)が約4.5〜約7.5の範囲であり、ORP(無希釈)が約+650mV〜+900mV以上の範囲の陽極溶液とを接触させる工程を含む。
【0072】
本発明は、多様な飲料製品の製造、処理及びパッケージングに使用されるシステム及び機器の消毒に使用されるプロセス水の処理剤として好ましくは水希釈形態で使用する、pH(無希釈)が約4.5〜約7.5の範囲であり、ORP(無希釈)が約+650mV〜+900mV以上の範囲の電気化学的に活性化された水性陽極液製品をさらに含む。
【0073】
本発明は、例えば或る飲料製品の製造から別の飲料製品の製造に飲料システムを切り替える場合に直面する、専用の製品香味料及び成分を含む化学残留物の汚染の排除における酸化剤としての電気化学的に活性化された水性陽極液の使用にも及ぶ。この工程は、システム及び機器の構成要素と、pH(無希釈)が約4.5〜約7.5の範囲であり、ORP(無希釈)が約+650mV〜+900mV以上の範囲であり、遊離酸化剤濃度(無希釈)が300ppm未満である陽極液とを接触させることを含む。陽極液は水希釈形態で適用されるのが好ましい。
【0074】
本発明は、殺虫剤及び殺菌剤の残留物を排除するためにプロセス水の処理において酸化剤として使用される、pH(無希釈)が約4.5〜約7.5の範囲であり、ORP(無希釈)が約+650mV〜+900mV以上の範囲であり、遊離酸化剤濃度(無希釈)が300ppm以下である電気化学的に活性化された水性陽極液をさらに含む。
【0075】
本発明は、炭素粒子の孔表面の除染、及び粒状活性炭カラムにおける殺虫剤残留物の中和のために処理剤として使用される、pH(無希釈)が約4.5〜約7.5の範囲であり、ORP(無希釈)が約+650mV〜+900mV以上の範囲であり、遊離酸化剤濃度(無希釈)が300ppm以下である電気化学的に活性化された水性陽極液も含む。
【0076】
以下は、電気化学的に活性化された水(ECAW)溶液による粒状活性炭(GAC)カラムの処理に好ましい手順の例である。この手順は、GACを使用する標準的な濾過システムに関連するとして記載している。適用プロトコルは、濾過容器及び/又は濾液の流動力学の設計における差異に対応するように容易に適合することができる。
【0077】
本発明の方法は、表面の自由エネルギー、したがってGAC顆粒の固有の電荷環境を破壊するという励起されたECAW溶液特有の性質を利用するのが望ましく、さらに活性炭表面からの静電気的に結合したバイオフィルム汚れ及び有機残骸(debris)の放出、並びに専用の殺生物的介入としてシステムからの不安定エネルギーの除去に作用させるためにこの電荷操作を利用する。
【0078】
これは、ECAW陰極溶液及び陽極溶液の連続適用により信頼性をもって且つ効果的に達成される。「高エネルギー」陰極溶液の導入による樹立した有機汚れ及びバイオフィルム成長の可動化(mobilization)及び除去は陰極液の潜在性の洗剤特性及び脱塊化(deagglomerative)低減特性により促進される。同様に、GAC濾過装置内の浮遊性及び顆粒付着性の微生物の中和は高酸化剤の陽極溶液の存在により達成される。
【0079】
2つのECAW溶液の性能の評価に関して、GAC容器を介した送達の前後での溶液の生理化学特性の測定を、達成される介入の程度を算出するのに使用することができる。しかしながら、GAC顆粒での電荷が漸進的且つ累積的に変化し、カラムの深さを通して変化した電荷勾配がECAW溶液との接触の結果として展開すると理解されるであろう。このため、適用の時点で「新たな」溶液と接触させた顆粒が、ECAW溶液がGAC濾過装置に浸透するにつれて漸進的に希釈される影響により、最も大きい電荷の変化を示す。この電荷の「犠牲(sacrifice)」は、顆粒表面の自由エネルギーにより、適用された濾液溶液に向けられたエネルギー要求の結果であり、GACカラム内の漸増する深さで顆粒に対する電荷変化の程度を漸進的に増大させるために、ECAW溶液の連続流又は反復適用のいずれかが必要となる。
【0080】
このため、ECAW流入溶液の測定特性と流出溶液の測定特性との間で観察される差異が小さければ、達成される有効性の程度が大きくなる。このため、陰極溶液は、GAC濾過装置全体を通した効果的な低減を維持する必要があるが、陽極溶液は高酸化状態で維持される必要がある。
【0081】
これより例示のために、本発明により提供される手順を図9で示される標準的な容器設計を使用して説明する。
【0082】
異なるECAW溶液の性能を予測するのに使用される生理化学的測定結果の完全性を最適化するために、いかなるECAW溶液も導入する前、GACカラム中の水流に関してこれらの同じ特性のベースライン値を初めに測定するのが好ましい。流入水流及び流出水流の両方に関する同じ組の測定結果を捉え、濾液の水質への影響に関してGAC顆粒の現在の性能を求め、この測定結果はECAW溶液による介入の影響と比較するためのベースラインとして働く。
【0083】
データを、カラムにおける顆粒の寿命、並びに消毒及び電荷の再生/回復に関する現在の実施、並びに濾過容器の設計及び流動力学に関して解釈する。
【0084】
これらの測定結果は以下のものを含むのが好ましい:
酸化還元電位(ORP)−ミリボルト(mV)
導電率(EC)−ミリジーメンス/センチメータ(mS/cm)
遊離酸化剤(FAO)−パーツパーミリオン(parts per million)/ミリグラム/リットル(ppm/mg/lit)。
【0085】
通常、本発明のGAC処理に使用される溶液は好ましくは、以下の測定値及び最小容量を有する:
【0086】
【表1】

【0087】
ECAW溶液により図9で図示されたGACカラムを処理するのに好ましい手順は以下の通りである:
1.GAC容器の外側に可能な限り全ての残留水を排出する。
【0088】
2.陽極液及び陰極液の新たな溶液は、連続した処理を行うことを可能にするのに十分な量をその場で生成するのが好ましい。
【0089】
3.容器の流入処理点での陰極液のORP、pH及びECを測定する。
【0090】
4.順行性の(normograde)流れ方向でGAC容器に濃縮陰極溶液を充填し、陰極溶液を炭素濾過装置のレベルを超えて充填する。
【0091】
5.陰極溶液は容器の最上部のポートから、又は上部の分配鐘形口に接続する既存の流入パイプから投与することができる。これには通常5分〜20分必要である。
【0092】
6.陰極溶液を底部の排出ポート又はバルブから自由に排出させる。これには通常5分〜10分かかる。
【0093】
7.容器の流出点での流出陰極溶液のORP、pH及びECを測定する。
【0094】
8.溶液のORP、pH及びECを測定した後、逆行性の流れ方向で(すなわち底部から上向きに)陰極溶液の投与を繰り返す。
【0095】
9.陰極溶液を自由に排出させ、流出溶液のORP、pH及びECを測定する。
【0096】
10.工程8及び工程9で詳述されるような投与と測定とを繰り返す。
【0097】
11.工程5〜工程7に詳述の手順に従って、陰極液の順行性の投与を繰り返す。
【0098】
12.陰極溶液の2回の反復適用は通常、バイオフィルム集合を移動させるのに適当であるが、投与スケジュールの反復数を増やしてもよく、これはバイオフィルム成長、有機汚れ又は汚染微生物数の程度により左右される。
【0099】
13.容器は、可能な限り全ての残留する陰極流出液を完全に排出するのが好ましい。
陽極液投与
14.容器の流入処理点での陽極液のORP、pH及びECを測定する。
【0100】
15.順行性の流れ方向でGAC容器に濃縮陽極溶液を充填し、陽極溶液を活性炭濾過装置のレベルを超えて充填する。
【0101】
16.陽極溶液は容器の最上部のポートから、又は上部の分配鐘形口に接続する既存の流入パイプから投与することができる。これには通常5分〜20分かかる。
【0102】
17.陽極溶液を底部の排出ポート又はバルブから自由に排出させる。これには通常5分〜10分かかる。
【0103】
18.容器の流出点での流出陽極溶液のORP、pH及びECを測定する。
【0104】
19.溶液のORP、pH及びECを測定した後、逆行性の流れ方向で(すなわち底部から上向きに)陽極溶液の投与を繰り返す。
【0105】
20.陽極溶液を自由に排出させ、流出溶液のORP、pH及びECを測定する。
【0106】
21.工程19及び工程20で詳述されるような投与と測定とを繰り返す。
【0107】
22.工程16〜工程18に詳述の手順に従って、陽極液の順行性の投与を繰り返す。
【0108】
23.システムから残留する陽極流出液を全て排出し、軟化処理水を導入して、GAC濾過システムから残留するECAW溶液を洗い流す。これは、流入水流の生理化学的特性と流出水流の生理化学的特性との間でパリティ(parity)が達成されると果たされる。
【0109】
活性炭粒子の電荷を回復し、活性化炭素粒子を消毒することに加えて、本発明の方法に従って使用されるECAW溶液の使用をさらに操作し、GACシステム中の殺虫剤残留物及び堆積物(build-up)を中和する。
【0110】
その範囲を限定することなく、これより本発明をさらに説明し、以下の実施例及び実験結果を参照して例示する。
【実施例】
【0111】
実施例1
これは、従来の定置洗浄(CIP)プロトコルで使用される現行の化学薬品を置き換えるためのECAW溶液の使用を伴う比較試験であった。以下で示されるように、本発明の方法は、炭酸飲料プラントでの微生物管理の向上、水の使用低減、並びに洗浄及び消毒サイクルの短縮を提供した。
【0112】
炭酸飲料パッケージングプラントにおけるシステム及び機器の従来の洗浄及び消毒には通常、2つのプロトコル−3つの工程(消毒のみ)又は5つの工程プロセス(洗浄、すすぎ及び消毒)のいずれかが含まれる。
【0113】
抗酸化剤の陰極液及び酸化剤の陽極液を、現行の従来の化学製品に対する完全な代替として、多様の種類の飲料の製造及びパッケージングシステム及び機器の洗浄及び消毒に使用されるプロセス水に添加した。使用される希釈処理水溶液の測定特質は以下の通りであった:
【0114】
【表2】

【0115】
比較試験を代表的な炭酸飲料製造及びパッケージングプラントで行った。比較試験に使用される従来の洗浄化学物質には、周囲温度で用いられる2%〜3%の塩素アルカリ苛性ソーダ(NaOH)溶液が含まれていた。従来の消毒剤溶液には、50ppmの遊離塩素(FAC)含量の割合でシステムに周囲温度で投与された次亜塩素酸ナトリウム溶液若しくは次亜塩素酸カルシウム溶液又は同等の酸化剤のいずれかが含まれていた。
【0116】
従来の手順に関するプロトコルは以下の通りであった:
【0117】
【表3】

【0118】
比較のために、その後以下のプロトコルを、本発明の方法に従ってECAW溶液を使用して開始した:
【0119】
【表4】

【0120】
酸化剤陽極溶液の抗微生物有効性は図1、図2及び図3に反映される。
【0121】
標準的な膜濾過方法を使用して、全ての微生物試料を試験した。認識される標準的なプロトコルのようにスワブを回収した。
結論:
従来の洗浄及び消毒化学物質の完全な排除に加えて、3工程及び5工程のCIP手順の両方へのECA溶液の統合により、水の使用の有意な低減及びCIPプロセスを完了させるのに必要とされる時間の実質的な削減がもたらされた。
実施例2
ECA溶液の炭酸化
所定の希釈ECA溶液の炭酸化を行い、二酸化炭素気体(CO)の添加及び存在に起因した生理化学的特質の変化を確立した。
【0122】
新たに生成されたECA陽極液及び陰極液の標準希釈液を、未処理の飲用プロセス水を使用して調製した。各溶液の生理化学的性質を、COの導入により影響を受ける変化を詳述するために、炭酸化の前後両方で記録した。
【0123】
当業者により理解されるように、本実施例で試験される様々な溶液を、2.5容量(5グラム/500ml)のCOを500mlの試料に周囲温度で30秒間、適用することにより炭素化した。
【0124】
【表5】

【0125】
陰極溶液に関して、実質的な還元能から弱い酸化剤へとレドックス電位が実質的に移行した。
【0126】
ORPが異なる希釈率での陽極溶液の潜在的な抗微生物有効性の信頼できる評価基準であり、システムにおける汚染微生物数の程度(cfu/ml)の予備知識により、微生物汚染を排除するのに必要とされる陽極溶液を、その関係性に基づき正確に滴定することができることが度々報告されている。希釈陽極溶液へのCOの添加により、酸化活性の増大と共にレドックス電位における驚くべき且つ実質的な上方向への移行が生じ、ECA消毒剤溶液の殺生物活性を強化するようにも働くpHの同等の低減が並行して起こった。
結論:
ECA溶液の炭酸化により、洗浄及び殺細菌能に影響を与える物理化学的パラメータにおいて実質的な移行が生じる。炭酸陽極液のレドックス電位の上昇が非炭酸陽極液と比べた抗微生物能の向上を提供する。
実施例3
残留物の中和
酸化剤ECA陽極溶液による殺虫剤及び殺菌剤の残留物の分解を以下の通りに評価した。
【0127】
酸化剤の陽極溶液を、10倍希釈列を使用して希釈した。この試験に関する対照として、非ECA系の加水分解又は化学分解の可能性を、2つの非処理対照溶液(1つは陽極液希釈列において希釈剤として使用される水道水であり、もう1つは電気活性化前の電気分解フィード溶液として使用された活性化されていないブライン溶液である)を使用して評価した。
【0128】
水道水の後、多種多様の殺虫剤及び殺菌剤の活性成分(AI)の回収度における差異を対比させるために実験を行い、様々な希釈陽極溶液を固定の含有率で同じAIに「混ぜた」。それぞれの場合、1ppmの活性成分カクテルを100mlの試験アリコート又は対照溶液試料に添加した。試験試料を周囲温度で5分間、機械的な攪拌器でかき混ぜ、それから有機溶媒で抽出し、ガス又は液体クロマトグラフィのいずれかで解析した。
【0129】
【表6】

【0130】
【表7】

【0131】
結論
有機リン及びカルバメート群の殺虫剤及びベンズイミダゾール、アニリノピリミジン、ストロビルリン、ピリミジン及びベンズイミダゾール系の殺菌剤を全て、陽極溶液に曝露することにより酸化させた。
実施例4
ECA溶液による活性炭顆粒の微生物汚染除去及び表面自由エネルギー操作
ECA溶液を、深さ2000mm及び直径1700mmの寸法の活性濾過装置を有する標準的な粒状活性炭(GAC)カラム容器に適用した。かさ密度が500kg/mの市販の(F200等級)活性炭顆粒を様々なサイズ及び密度の段階的ペブル濾過装置に敷き詰めた。活性炭顆粒濾過装置は次第に、成熟微生物バイオフィルムで汚染されるため、従来の手順を使用する顆粒の最適な操作回復には、蒸気による低温殺菌の延長又は顆粒の完全な交換が必要になる。
【0132】
表面自由エネルギーに基づく活性炭顆粒の特異的な吸着特質を考慮すると、最初に抗酸化剤陰極液を使用して、バイオフィルム:活性炭顆粒界面で、濾液水の表面張力を操作し、吸着された無機バイオフィルム基質の破壊を促進した。流入溶液の生理化学的性質における変化は流出流のものとは対照をなし、これらの差異は、達成される表面自由エネルギーの操作の程度を説明しており、活性炭顆粒表面での吸着能の変化の程度を予測する働きがあった。
【0133】
連続した陰極液の注入、浸漬及び排水の後、陽極溶液を導入し、流入液流と流出液流との両方の生理化学的特質を対比させ、要求される抗微生物効果を得るために、最適酸化還元電位が濾過装置内で達成された時間を詳述した。
【0134】
ECA溶液と活性炭顆粒の表面との最適混合が、ECA溶液を濾過容器の上部及び底部の両方から導入することにより得られ、このプロトコルは、顆粒濾過装置における現行の流れ構造での濾液のチャネリングを破壊することにより顆粒表面への曝露を増大させた。
【0135】
【表8】

【0136】
結論
粒状活性炭(GAC)濾過カラムへのタンデムで且つ連続的な介入として適用された場合、電気化学的に活性化された陰極溶液及び陽極溶液の酸化還元電位(ORP)の上昇が、飲料処理及びパッケージングプラントで、並びに他の用途で濾過及び吸着に使用される活性炭顆粒の表面上で且つこれらの孔内で表面自由エネルギー電荷の選択的な操作能を有することが実証された。この操作能は、顆粒の吸着特質の再生を助け、顆粒の表面上と孔内の両方で微生物の負荷(burden)を実質的に軽減する働きがあった。
実施例5
ECA溶液の風味中和能
本発明に従って、陽極溶液は驚くべきことに、その広範な基となる抗微生物有効性に加えて、製造及びパッケージング機器からの残留する風味剤分子及び合成成分の残留物を酸化させることが同時に可能であるという別の利点を提供し得ることがさらに発見されている。
【0137】
この試験は、炭酸飲料プラントでパッケージング機器から持続的で且つしつこい風味痕跡(fingerprints)を排除するECA溶液の能力の官能及び測色評価を伴っていた。
【0138】
1つの特に持続的で且つしつこい風味型(パイナップル系)から標準的なコーラフレーバー又はソーダ水系製品への変更が、ECA溶液への曝露後の風味剤物質の残留する持ち越しの完全な排除を実証した。
【0139】
さらにアップル(MJ3116)、チェリー(MJ2381)、ラズベリー(MJ3102)、ブラックカラント(MJ1115)、パイナップル(MJ2082)、風船ガム(MG1250)及びストロベリー(MJ2507)を含む様々な市販の合成フレーバー分子(Cranbrook Flavors)によるin vitro試験は全て、フレーバー分子を混ぜたECA溶液中の効果的な中和を実証した。
結論:ECA陽極溶液は、持続的で且つしつこいフレーバー分子を中和する能力がある。
実施例6
ECAW陽極液製品をビール製造に使用される井戸水に連続的に投与した。試験中に、試験に使用される濃縮陽極液のpHを約6.5±0.5、ORP(ミリボルト)を900±50、及び導電率(mジーメンズ/cm)を5.5±0.5に維持した。得られた処理井戸水の陽極液濃度は0.5容量%であり、pHは6.5±0.5であり、ORPは500±50であり、導電率は0.2±0.05であった。
【0140】
定常状態に達した後、処理井戸水の微生物を取り除いた。処理井戸水をビール製造での実際の成分として使用した。ビール製品の味、特質、色味又は他の特質において、処理水の使用による有害作用は全く検出されなかった。
【0141】
このため、本発明は、上記方針(objectives)を実行し、上述の目的及び利点、並びにその中に固有のものを達成するように十分に適合される。目下好ましい実施形態を本開示のために説明しているが、多くの変更及び修正が当業者にとって明らかであろう。かかる変更及び修正は、特許請求の範囲で規定のように本発明内に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料処理システムの少なくとも一部分を第1の飲料の処理から第2の飲料の処理へと移行させる方法であって、該第1の飲料は該第2の飲料と非混合性の材料を含み、該材料は風味を与える物質、色味を与える物質、アルコール、匂いを与える物質又はそれらの組合せであり、前記第1の飲料を処理した後に、或る量の前記材料が該飲料処理システムの前記部分に残存し、該方法が、
a.前記飲料処理システムの前記部分を介して、該飲料処理システム中の該材料の少なくとも一部分を酸化するのに有効な量の電気化学的に活性化された陽極水溶液を送達する工程と、それから
b.前記処理システムの前記部分において前記第2の飲料を処理する工程であって、該第2の飲料は味、匂い、色味、アルコール度又はそれらの組合せに対する放出要求を有し、工程(a)で前記電気化学的に活性化された陽極水溶液によって酸化された前記材料の前記部分は、該材料が前記第2の飲料の該放出要求を満たすのを妨げない程度に十分な量である、前記処理システムの前記部分において前記第2の飲料を処理する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
無希釈形態では、前記電気化学的に活性化された陽極水溶液のpHが約4.5〜約7.5の範囲であり、且つ酸化還元電位が少なくとも+650mVである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気化学的に活性化された陽極水溶液が、該電気化学的に活性化された陽極水溶液の水希釈液として工程(a)において前記飲料処理システムの前記部分を介して送達される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
無希釈形態では、前記電気化学的に活性化された陽極水溶液の遊離活性酸化剤(free active oxidant)含量が300ppm未満である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記飲料処理システムの前記部分がボトル又は他の製品パッケージに充填するための充填ラインを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
浄水するのに使用される粒状活性炭濾過装置を回復及び消毒する方法であって、
(a)前記粒状活性炭濾過装置と電気化学的に活性化された陰極水溶液とを接触させる工程と、
(b)前記粒状活性炭濾過装置と電気化学的に活性化された陽極水溶液とを接触させる工程と、
を非同時に含む、方法。
【請求項7】
無希釈形態では、前記電気化学的に活性化された陰極水溶液の負の酸化還元電位が少なくとも110mVであり、pHが約8〜約13の範囲であり、
無希釈形態では、前記電気化学的に活性化された陽極水溶液の正の酸化還元電位が少なくとも+650mVであり、pHが約4.5〜約7.5の範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電気化学的に活性化された陰極水溶液の前記負の酸化還元電位が少なくとも700mVである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電気化学的に活性化された陰極水溶液が、工程(a)で前記粒状活性炭濾過装置と接触させるのに無希釈形態で使用され、
前記電気化学的に活性化された陽極水溶液が、工程(b)で前記粒状活性炭濾過装置と接触させるのに無希釈形態で使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記電気化学的に活性化された陽極水溶液が、前記粒状活性炭濾過装置と接触する前には開始酸化還元電位を有し、
前記開始酸化還元電位が正のmV酸化値であり、
前記電気化学的に活性化された陽極水溶液が、前記粒状活性炭濾過装置と接触させるのに使用した後、使用済酸化還元電位を有し、
工程(b)が、
(i)前記電気化学的に活性化された陽極水溶液の前記開始酸化還元電位を求める工程と、
(ii)前記粒状活性炭濾過装置と前記電気化学的に活性化された陽極水溶液とを接触させる工程と、
(iii)工程(ii)の後に前記電気化学的に活性化された陽極水溶液の前記使用済酸化還元電位を求める工程と、
(iv)少なくとも工程(iii)で求めた前記電気化学的に活性化された陽極水溶液の前記使用済酸化還元電位が、該電気化学的に活性化された陽極水溶液の前記開始酸化還元電位より低く544mVより大きくない正のmV酸化値になるまで、工程(ii)と工程(iii)とを繰り返す工程と、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記電気化学的に活性化された陽極水溶液の前記開始酸化還元電位が少なくとも650mVである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(iv)において、少なくとも工程(iii)で求めた前記電気化学的に活性化された陽極水溶液の前記使用済酸化還元電位が、該電気化学的に活性化された陽極水溶液の前記開始酸化還元電位より低く143mV以下になるまで、工程(ii)と工程(iii)とを繰り返す、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
工程(iv)において、少なくとも工程(iii)で求めた前記電気化学的に活性化された陽極水溶液の前記使用済酸化還元電位が、該電気化学的に活性化された陽極水溶液の前記開始酸化還元電位より低く104mV以下になるまで、工程(ii)と工程(iii)とを繰り返す、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1回、前記電気化学的に活性化された陽極水溶液を実質的に正常な操作流方向で前記粒状活性炭濾過装置へと送達し、
少なくとも1回、前記電気化学的に活性化された陽極水溶液を、前記実質的に正常な操作流方向の実質的に反対となる逆流方向で前記粒状活性炭濾過装置へと送達するように、工程(b)を少なくとも2回行う、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1回、前記電気化学的に活性化された陰極水溶液を実質的に正常な操作流方向で前記粒状活性炭濾過装置へと送達し、
少なくとも1回、前記電気化学的に活性化された陰極水溶液を、前記実質的に正常な操作流方向の実質的に反対となる逆流方向で前記粒状活性炭濾過装置へと送達するように、工程(a)を少なくとも2回行う、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
電気化学的に活性化された水溶液の電気化学的特性を強化する方法であって、該電気化学的に活性化された水溶液中にCOを溶解し、炭酸製品溶液を製造する工程を含む、方法。
【請求項17】
前記電気化学的に活性化された水溶液が陽極溶液を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
無希釈形態では、前記陽極溶液のpHが約2〜約8の範囲であり、且つ酸化還元電位が約300mV〜約1200mVの範囲である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記溶解する工程で使用される前記電気化学的に活性化された水溶液が無希釈形態の前記陽極溶液である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記溶解する工程で使用される前記電気化学的に活性化された水溶液が前記陽極溶液の水希釈液である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
無希釈形態では、前記陽極溶液の前記pHが約4.5〜約7.5の範囲であり、無希釈形態では、該陽極溶液の前記酸化還元電位が少なくとも650mVである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記陽極溶液の前記水希釈液が、50容量部の該陽極溶液当たり少なくとも50容量部の電気化学的に活性化されていない水を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記溶解する工程の前には、前記電気化学的に活性化された水溶液が非炭酸酸化還元電位を有し、
前記溶解する工程では、前記COを、前記炭酸製品溶液が前記非炭酸酸化還元電位より大きく少なくとも+107mVの酸化還元電位を有するようになるのに効果的な量で前記電気化学的に活性化された水溶液中に溶解させる、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記電気化学的に活性化された水溶液が陰極溶液を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
無希釈形態では、前記陰極溶液のpHが約8〜約13の範囲であり、負の酸化還元電位が少なくとも110mVである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記溶解する工程で使用される前記電気化学的に活性化された水溶液が無希釈形態の前記陰極溶液である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記溶解する工程で使用される前記電気化学的に活性化された水溶液が前記陰極溶液の水希釈液である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記溶解する工程の前には、前記電気化学的に活性化された水溶液が抗酸化溶液であり、
前記溶解する工程では、前記COを、前記炭酸製品溶液を酸化溶液とするのに効果的な量で前記電気化学的に活性化された水溶液中に溶解させる、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記溶解する工程では、500mlの前記電気化学的に活性化された水溶液当たり少なくとも5グラムのCOの内の或る量の該COを少なくとも30秒間、該電気化学的に活性化された水溶液に適用する、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
電気化学的に活性化された水溶液の酸化還元電位において正のmV変化を生じるように、COが有効量溶解している該電気化学的に活性化された水溶液を含む炭酸組成物。
【請求項31】
前記電気化学的に活性化された水溶液が陽極溶液を含む、請求項30に記載の炭酸組成物。
【請求項32】
前記COが前記陽極溶液中に溶解されていない無希釈形態では、該陽極溶液のpHが約2〜約8の範囲であり、且つ酸化還元電位が約300mV〜約1200mVの範囲である、請求項31に記載の炭酸組成物。
【請求項33】
無希釈形態では、前記電気化学的に活性化された水溶液が前記陽極溶液である、請求項31に記載の炭酸組成物。
【請求項34】
前記電気化学的に活性化された水溶液が前記陽極溶液の水希釈液である、請求項31に記載の炭酸組成物。
【請求項35】
前記COが前記陽極溶液中に溶解されていない無希釈形態では、該陽極溶液のpHが約4.5〜約7.5の範囲であり、且つ酸化還元電位が少なくとも650mVである、請求項34に記載の炭酸組成物。
【請求項36】
前記陽極溶液の前記水希釈液が、50容量部の該陽極溶液当たり少なくとも50容量部の電気化学的に活性化されていない水を含む、請求項35に記載の炭酸組成物。
【請求項37】
前記電気化学的に活性化された水溶液中に溶解された前記COの前記有効量が、前記炭酸組成物が該電気化学的に活性化された水溶液の前記酸化還元電位より大きく少なくとも107mVの酸化還元電位を有するようになるのに十分である、請求項30に記載の炭酸組成物。
【請求項38】
前記電気化学的に活性化された水溶液が陰極溶液を含む、請求項30に記載の炭酸組成物。
【請求項39】
前記COが前記陰極溶液中に溶解されていない無希釈形態では、該陰極溶液のpHが約8〜約13の範囲であり、負の酸化還元電位が少なくとも110mVである、請求項38に記載の炭酸組成物。
【請求項40】
前記電気化学的に活性化された水溶液が無希釈形態の前記陰極溶液である、請求項38に記載の炭酸組成物。
【請求項41】
前記電気化学的に活性化された水溶液が前記陰極溶液の水希釈液である、請求項38に記載の炭酸組成物。
【請求項42】
前記電気化学的に活性化された水溶液が抗酸化溶液であり、該電気化学的に活性化された水溶液中に溶解された前記COの前記有効量が、前記炭酸組成物を酸化組成物にするのに十分である、請求項38に記載の炭酸組成物。
【請求項43】
食品処理システムの少なくとも一部分を洗浄又は消毒する方法であって、電気化学的に活性化された水溶液の酸化還元電位において正のmV変化を生じるように、該食品処理システムの該部分を、COが有効量溶解している該電気化学的に活性化された水溶液を含む炭酸溶液で処理する工程を含む、方法。
【請求項44】
前記電気化学的に活性化された水溶液が陽極溶液を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記電気化学的に活性化された水溶液が無希釈形態の前記陽極溶液である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記電気化学的に活性化された水溶液が前記陽極溶液の水希釈液である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記電気化学的に活性化された水溶液が陰極溶液を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記食品処理システムが飲料処理システムである、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記食品処理システムの前記部分が飲料成分混合ラインである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記食品処理システムの前記部分が飲料混合機器の一部である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記食品処理システムの前記部分が製品ボトルに充填するため又は他の製品パッケージに充填するための充填ラインである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記食品処理システムの前記部分が製品ボトルに充填するため又は他の製品パッケージに充填するための機器の一部である、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記食品処理システムの前記部分が浄水ラインである、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
前記食品処理システムの前記部分が浄水機器の一部である、請求項43に記載の方法。
【請求項55】
飲料処理システムの少なくとも一部分を定置洗浄する方法であって、該方法が総容量の水を使用し、該方法が(a)該飲料処理システムの該部分を介して或る量のリンス水を送達する工程と、それから(b)該飲料処理システムの該部分を介して或る量の消毒水溶液を送達する工程とを含んでおり、該量の該リンス水及び該量の該消毒水溶液が共に前記飲料処理システム内の或るレベルの微生物管理を得るのに有効である、方法において、その改良は、工程(b)において前記消毒水溶液として電気化学的に活性化された陽極水溶液を使用することにより、少なくとも前記レベルの微生物管理を依然として得ながらも、該方法に使用される水の前記総容量を低減すること、及び工程(b)に使用される前記消毒水溶液の前記量を低減することを含む、方法。
【請求項56】
前記改良が、無希釈形態でpHが約4.5〜約7.5の範囲であり、且つ酸化還元電位が少なくとも650mVである陽極液を含む前記電気化学的に活性化された陽極水溶液をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記改良が、工程(b)に使用される前記電気化学的に活性化された陽極水溶液が無希釈形態の前記陽極液であることをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記改良が、工程(b)に使用される前記電気化学的に活性化された陽極水溶液が前記陽極液の水希釈液であることをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記改良が、50容量部の前記陽極液当たり少なくとも50容量部の電気化学的に活性化されていない水を含む該陽極液の水希釈液をさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記改良が、工程(a)において前記リンス水として電気化学的に活性化された陽極希釈水溶液を使用することにより、少なくとも前記レベルの微生物管理を依然として得ながらも、前記方法に使用される水の該総容量を低減すること、及び工程(a)に使用される前記リンス水の前記量を低減することもさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記改良が、無希釈形態で酸化還元電位が約300mV〜約1200mVの範囲であり、pHが約2〜約8の範囲である、40容量部の陽極液当たり少なくとも60容量部の電気化学的に活性化されていない水を含む前記電気化学的に活性化された陽極希釈水溶液をさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記改良が、無希釈形態でpHが約4.5〜約7.5であり、且つ酸化還元電位が少なくとも650mVである前記陽極液をさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記改良が、5容量部の前記陽極液当たり約95容量部の前記電気化学的に活性化されていない水を含む前記電気化学的に活性化された陽極希釈水溶液をさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記飲料処理システムの前記部分が、飲料成分混合ライン、ボトルに充填するため若しくは他の製品パッケージに充填するための充填ライン、又はそれらの組合せを備える、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記飲料処理システムが炭酸ソフトドリンク、醸造飲料、果実飲料、発酵飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、コーヒードリンク又はそれらの組合せを処理するシステムである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
飲料処理システムの少なくとも一部分を定置洗浄する方法であって、該方法が総容量の水を使用し、該方法が(a)該飲料処理システムの該部分を介して或る量の洗浄水溶液を送達する工程と、それから(b)該飲料処理システムの該部分を介して或る量の中間リンス水を送達する工程と、それから(c)該飲料処理システムの該部分を介して或る量の消毒水溶液を送達する工程とを含み、該量の該洗浄水溶液、該量の該中間リンス水及び該量の該消毒水溶液が共に、前記飲料処理システムの前記部分において或るレベルの微生物管理を得るのに有効である、方法において、その改良が、
(i)工程(a)において前記洗浄水溶液として電気化学的に活性化された陰極水溶液を使用すること、
(ii)工程(c)において前記消毒水溶液として電気化学的に活性化された陽極水溶液を使用すること、及び
(iii)工程(b)において前記中間リンス水の前記量を低減すること、又は該中間リンス水を除去することにより、少なくとも前記レベルの微生物管理を依然として得ながらも、該方法で使用される水の前記総容量を低減すること、並びに工程(a)で使用される前記洗浄水溶液の前記量及び工程(c)で使用される前記消毒水溶液の前記量を低減することを含む、方法。
【請求項67】
前記方法が、工程(a)の前に、前記飲料処理システムの前記部分を介して或る量の開始リンス水を送達する工程も含んでおり、前記改良が、前記開始リンス水として電気化学的に活性化された陽極希釈水溶液を使用することにより、少なくとも前記レベルの微生物管理を依然として得ながらも、前記方法に使用される水の前記総容量をさらに低減すること、及び前記開始リンス水の前記量を低減することも含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記飲料処理システムの前記部分が、飲料成分混合ライン、ボトルに充填するため若しくは他の製品パッケージに充填するための充填ライン、又はそれらの組合せを備える、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記飲料処理システムが炭酸ソフトドリンク、醸造飲料、果実飲料、発酵飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、コーヒー飲料又はそれらの組合せを処理するシステムである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記改良が、工程(b)の前記中間リンス水を排除することをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記改良が、工程(a)に使用される前記電気化学的に活性化された陰極水溶液が陰極液及び電気化学的に活性化されていない水を含む陰極希釈水溶液であることをさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記改良が、工程(c)に使用される前記電気化学的に活性化された陽極水溶液が、
無希釈形態でpHが約4.5〜約7.5の範囲であり、且つ酸化還元電位が少なくとも+650mVである陽極液と、
50容量部の前記陽極液当たり少なくとも50容量部の電気化学的に活性化されていない水と、
を含む陽極希釈水溶液であることをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
水成分供給流を有する飲料処理システムにおいてバイオフィルムの成長を少なくとも低減する方法であって、80容量部の該水成分供給流当たり20容量部を超えない電気化学的に活性化された陽極水溶液量で該電気化学的に活性化された陽極水溶液を前記水成分供給流に添加する工程を含む、方法。
【請求項74】
前記電気化学的に活性化された陽極水溶液のpHが約6〜約7の範囲であり、酸化還元電位が少なくとも850mVである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
製品パッケージに前記飲料製品を入れることを含む飲料製品を製造する方法において、その改良は、前記パッケージに前記飲料製品を入れる前に、電気化学的に活性化された陰極水溶液を使用して該製品パッケージを水洗する工程を含む、方法。
【請求項76】
前記製品パッケージがボトルである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記改良が、前記洗浄する工程の前に、電気化学的に活性化された陽極水溶液中に前記製品パッケージを浸すことをさらに含む、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
発酵容器の内部を洗浄する方法であって、該発酵容器の該内部を、(a)電気化学的に活性化された陰極水溶液と、(b)該発酵容器の該内部で洗浄組成物の発泡を少なくとも低減させるのに効果的な量の非イオン界面活性剤とを含む該洗浄組成物に接触させる工程を含む、方法。
【請求項79】
前記電気化学的に活性化された陰極水溶液が、無希釈形態で負の酸化還元電位が少なくとも110mVであり、且つpHが約8〜約13の範囲である、陰極液製品を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
前記電気化学的に活性化された陰極水溶液が前記陰極液製品の水希釈液である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記非イオン界面活性剤が、前記洗浄組成物1リットル当たり少なくとも10mgの該非イオン界面活性剤の量で該洗浄組成物中に存在する、請求項78に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2011−510676(P2011−510676A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545578(P2010−545578)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005356
【国際公開番号】WO2009/098599
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(510215905)ラジカル ウォーターズ アイピー (ピーティーワイ) リミテッド (1)
【Fターム(参考)】